【医師監修】妊娠高血圧症候群の食事療法完全ガイド|DASH食と減塩の科学的根拠から日本の食生活での実践法まで
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【医師監修】妊娠高血圧症候群の食事療法完全ガイド|DASH食と減塩の科学的根拠から日本の食生活での実践法まで

妊婦健診で「血圧が少し高めですね」と指摘され、ご自身の体や赤ちゃんの健康について不安を感じている方もいらっしゃるかもしれません。妊娠中は体の変化が大きく、戸惑うことも多いでしょう。しかし、ご安心ください。血圧の管理は、適切な知識を持つことで、ご自身でコントロールできる部分がたくさんあります。この記事は、そのような不安を抱える日本の妊婦さんに向けて、JapaneseHealth.org編集部が、日本の主要な学会や公的機関の指針、そして最新の国際的な科学研究に基づき、信頼できる情報のみを厳選してお届けするものです。食事で何ができるのか、何を避けるべきなのか、そして時に複雑に感じられる情報をどのように理解すればよいのか。専門家の視点から、一つひとつ丁寧に、そして深く掘り下げて解説していきます。

この記事のキーポイント

  • 妊娠高血圧症候群(HDP)は、お母さんと赤ちゃんの両方に影響を及ぼす可能性のある重要な病気であり、食事管理はその予防と対策の柱の一つです。
  • 国際的に最もエビデンス(科学的根拠)が豊富な食事法は「DASH食」です。これは果物、野菜、全粒穀物を積極的に増やし、飽和脂肪酸や塩分を控える食事パターンで、HDPのリスクを大幅に下げることが数多くの研究で示されています1
  • 「減塩」については専門家の間でも様々な議論がありますが、「極端な塩分制限は不要、しかし日本の平均的な摂取量を考慮し、厚生労働省が示す1日6.5g未満を目指す」のが、現在の日本において最も賢明で安全なアプローチです23
  • 本記事では、日本の産婦人科や高血圧の専門学会の最新ガイドラインと、国際的な研究結果を統合し、日本の日常的な食生活で今日から実践できる具体的な方法を、専門家が徹底的に解説します。

はじめに:妊娠中の血圧、なぜ大切?

妊娠中の血圧管理は、あなたと未来の赤ちゃんの健康を守るために非常に重要です。まずは、なぜ血圧が注目されるのか、その基本的な知識から見ていきましょう。

妊娠高血圧症候群(HDP)とは?

妊娠高血圧症候群(Hypertensive Disorders of Pregnancy: HDP)とは、妊娠中に高血圧を発症する病気の総称です。日本産科婦人科学会によると、具体的には妊娠20週以降に、最高血圧(収縮期血圧)が140mmHg以上、または最低血圧(拡張期血圧)が90mmHg以上のいずれか、あるいは両方を満たす場合に診断されます4。日本では、妊婦さんのおよそ5~10%がHDPを発症すると報告されており5、決して珍しい病気ではありません。
HDPは、症状によって主に以下の4つのタイプに分類されます4

  • 妊娠高血圧(GH): 高血圧のみがみられ、たんぱく尿は伴わない状態。
  • 妊娠高血圧腎症(PE): 高血圧に加え、たんぱく尿もみられる状態。肝機能障害や腎障害、血小板減少などを伴うこともあり、より注意深い管理が必要です。これが最も典型的な病態です。
  • 加重型妊娠高血圧腎症: もともと高血圧や腎臓の病気があった人が、妊娠によって症状がさらに悪化する状態。
  • 子癇(しかん): HDPにけいれん発作が加わった最も重篤な状態で、母子の生命に危険が及ぶことがあります。

なぜ起こるの?その原因とリスク

HDPの正確な原因はまだ完全には解明されていませんが、最も有力な説は、胎児に栄養や酸素を供給する「胎盤」の形成がうまくいかないことが根底にあるというものです6。胎盤の血管が正常に作られないと、母体は赤ちゃんに必要な血液を十分に送ろうとして、無理に血圧を上げてしまう、と考えられています。特に以下のような方は、HDPを発症するリスクが高いとされています57

  • 初めてのお産(初産婦)
  • 40歳以上の高齢妊娠
  • 肥満(妊娠前のBMIが25以上)
  • 双子などの多胎妊娠
  • 家族に高血圧の人がいる方
  • もともと高血圧、腎臓病、糖尿病などの持病がある方
  • 以前の妊娠でHDPになったことがある方

お母さんと赤ちゃんへの影響

HDPを放置すると、お母さんと赤ちゃんの両方に深刻な影響を及ぼす可能性があります。お母さんにとっては、子癇(けいれん発作)、常位胎盤早期剥離(胎盤が子宮から剥がれてしまう危険な状態)、脳出血、肺水腫、肝臓や腎臓の機能障害(HELLP症候群)などのリスクが高まります4。また、HDPを経験した女性は、将来的に高血圧や心血管疾患になるリスクが2倍から8倍高くなることも知られています8。赤ちゃんにとっては、胎盤の機能が低下するため、発育が悪くなる(胎児発育不全)、週数より早く生まれてしまう(早産)、最悪の場合、胎内死亡に至るリスクがあります4。だからこそ、早期発見と適切な管理が何よりも重要なのです。

食事療法の基本方針:科学的根拠に基づくアプローチ

「〇〇を食べれば血圧が下がる」といった単純な情報に飛びつきたくなるかもしれませんが、HDPの管理で最も重要なのは、特定の食品に頼るのではなく、全体としてバランスの取れた「健康的な食事パターン」を実践することです。実際に、2023年に発表された複数の臨床試験を統合・分析した研究(メタ分析)では、専門家による「管理された栄養プログラム」が妊娠高血圧(GH)のリスクを有意に低下させることが示されました9。これは、単一の栄養素を補うだけでなく、食事全体の質を向上させることが重要であることを強く裏付けています。

世界が認める最強の食事法「DASH食」とは?

妊娠中の高血圧管理において、現在最も科学的根拠が豊富で、国際的に推奨されているのが「DASH食(ダッシュしょく)」です1011。DASH食とは「Dietary Approaches to Stop Hypertension(高血圧を止めるための食事アプローチ)」の略で、もともとは高血圧の治療のためにアメリカ国立衛生研究所(NIH)によって開発された食事療法です。
その原則は非常にシンプルで、特定の食品を厳しく制限するものではありません110

DASH食の主な原則

積極的に増やす食品:

  • 果物
  • 野菜
  • 全粒穀物(玄米、全粒粉パンなど)
  • 低脂肪の乳製品(牛乳、ヨーグルトなど)
  • 魚、鶏肉、豆類、ナッツ類

控えるべき食品:

  • 飽和脂肪酸やコレステロールの多い食品(脂身の多い肉、バターなど)
  • 赤身肉(牛肉、豚肉など)
  • お菓子や砂糖入りの甘い飲み物
  • ナトリウム(食塩)

なぜDASH食は妊娠中の高血圧に有効なのか?

DASH食がHDP、特にその重症型である妊娠高血圧腎症(PE)の予防に有効である理由は、複数のメカニズムによるものと考えられています1。これらの効果が複合的に作用することで、血管の健康を守り、血圧を安定させると期待されています。

  • 血圧の直接的な調整: DASH食はカリウム、カルシウム、マグネシウムといったミネラルが豊富です。これらのミネラルが協調して働き、体内のナトリウム排出を促し、血管の緊張を和らげ、血圧を安定させます。
  • 抗酸化作用: 豊富な果物や野菜に含まれるビタミンやポリフェノールが、体内の「酸化ストレス」を軽減します。酸化ストレスは血管の細胞を傷つけ、老化や動脈硬化の原因となるため、これを抑えることは血管の健康維持に直結します。
  • 抗炎症作用: 全粒穀物や魚(特に青魚)などに含まれる成分が、体内の慢性的な炎症を抑えます。HDPの発症には血管の炎症が関与していると考えられており、抗炎症作用は重要な予防メカニズムです。
  • 血管内皮機能の改善: 血管の内側を覆う「血管内皮」は、一酸化窒素(NO)などを産生し、血管のしなやかさを保つ重要な役割を担っています。DASH食は、この血管内皮の機能を改善することで、血圧の上昇を防ぎます。

実際に、DASH食の原則に沿った食事パターンを遵守している妊婦は、そうでない妊婦に比べて妊娠高血圧腎症(PE)のリスクが約35~45%も低いことが、複数の観察研究で報告されています112

【最重要】「減塩」の真実:日本の妊婦さんはどう向き合うべきか

妊娠中の食事で最も気になるのが「減塩」ではないでしょうか。この点については、専門家の間でも異なる見解があり、多くの妊婦さんが混乱する原因となっています。ここでは、その背景を整理し、私たちが取るべき現実的なアプローチを、科学的根拠に基づいて解説します。

専門家の間での異なる見解:なぜ混乱が起きるのか?

まず、日本の主要な専門機関の見解を見てみましょう。日本高血圧学会 (JSH) は「高血圧治療ガイドライン2019」の中で、「妊娠高血圧で厳しい減塩については有益性が認められず、推奨されない」と明確に述べています3。これは、過去に行われた研究で、1日2~3gといった極端な塩分制限が、かえって体内の循環血液量を減少させ、母体や胎児の状態を悪化させる可能性が指摘されたためです3。つまり、「治療目的での過度な制限は危険」というメッセージです。
一方で、厚生労働省 (MHLW) は「日本人の食事摂取基準(2020年版)」において、高血圧予防の観点から、妊婦を含む成人女性の食塩摂取量の目標量を1日6.5g未満と設定しています2。これは、病気の治療としてではなく、国民全体の生活習慣病を予防するための健康維持目標値です。さらに、2023年の国際的なメタ分析では、健康な妊婦において食塩制限の介入だけではHDPの予防効果は認められなかった、という報告もあります9。これらの情報が混在するため、「減塩はしなくていいの?」「それとも、しっかりやるべき?」と混乱が生じるのです。

【結論】私たちが目指すべき現実的な目標

このジレンマを解決する鍵は、それぞれの見解の「文脈」と「日本の食生活の実態」を理解することにあります。

表:減塩に関する各機関の見解比較
機関名 推奨/見解 背景/根拠 実践上の注意点
日本高血圧学会 (JSH) 厳格な減塩は推奨しない3 過去の過度な塩分制限(例: 2-3g/日)が循環血液量を減らし、有害となる可能性を懸念。 治療目的での自己判断による極端な減塩は避けるべき。
厚生労働省 (MHLW) 目標量は6.5g/日未満2 日本人の平均摂取量が多いため、生活習慣病予防の観点から設定された国民全体の目標値。 健康維持のための一般的な努力目標として捉える。
国際的な研究 食塩制限単独での予防効果は限定的9 HDPの要因は複雑で、塩分だけでなく食事全体のバランスが重要であることを示唆。 塩分だけに注目するのではなく、DASH食のような包括的な食事改善が効果的。

平成30年の国民健康・栄養調査によると、日本人の食塩摂取量の平均は成人女性で9.3g、男性では11.0gです。これは、MHLWの目標値(6.5g未満)を大幅に上回っています。これらの事実を踏まえると、私たちが取るべき最も賢明な結論は以下の通りです。

医師から特別な指示がない限り、日本高血圧学会が懸念するような極端な塩分制限(例:1日3g以下など)は不要です。しかし、日本の平均的な食生活は塩分過多であるため、厚生労働省が示す1日6.5g未満を目標に、現在の食生活を見直すことが、母子ともに最も安全で有益なアプローチと言えます。

DASH食を日本の食卓で!今日からできる実践ガイド

DASH食はアメリカで生まれた食事法ですが、その原則は日本の伝統的な食生活にも通じる点が多く、少しの工夫で無理なく実践できます1314。ここでは具体的な食材と調理のコツをご紹介します。

カリウム:余分な塩分を排出する立役者

カリウムは、体内の余分なナトリウム(塩分)を尿として排出するのを助け、血圧を下げる働きを持つ重要なミネラルです15。日本の食材にも豊富に含まれています。

  • 野菜: ほうれん草、小松菜、春菊、かぼちゃ、アボカド16
  • いも類: さつまいも、里芋、じゃがいも
  • 豆類: 納豆、枝豆、大豆製品
  • 海藻類: ひじき、わかめ、昆布17
  • 果物: バナナ、メロン、キウイフルーツ18

調理のコツ: カリウムは水に溶けやすい性質があるため、生で食べられる野菜や果物はそのまま、調理する場合は煮汁ごと食べられるスープや鍋物が効率的です。

カルシウムとマグネシウム:血管を健やかに保つミネラル

カルシウムとマグネシウムは、骨の健康だけでなく、血管の収縮と弛緩をコントロールし、血圧を正常に保つために不可欠なミネラルです1920

  • カルシウムが豊富な食材: 低脂肪の牛乳・ヨーグルト、しらす干し、干しエビ、木綿豆腐、小松菜21
  • マグネシウムが豊富な食材: 玄米、大豆、納豆、アーモンド、あおさ、ひじき、わかめ22

食物繊維と良質なたんぱく質

食物繊維: 玄米などの全粒穀物、野菜、きのこ、海藻に豊富な食物繊維は、ナトリウムを吸着して体外に排出するのを助ける働きもあります。
良質なたんぱく質: 胎児の成長に不可欠なたんぱく質は、脂肪の少ない魚(特にDHAやEPAが豊富な青魚)、鶏肉、大豆製品から摂るのがおすすめです。

【実践編】DASH食を取り入れた1日の献立例

これまでのポイントを組み合わせた、日本食ベースの献立例です。これを参考に、ご自身の食生活を組み立ててみてください。

  朝食 昼食 夕食
主食 雑穀ごはん 玄米おにぎり 胚芽米ごはん
主菜 焼き鮭 鶏むね肉のサラダ 豆腐ハンバーグ きのこあんかけ
副菜1 ほうれん草の胡麻和え ひじきの煮物 かぼちゃの煮物
副菜2 納豆 わかめとキュウリの酢の物 小松菜と油揚げのおひたし
汁物 具沢山の味噌汁(減塩味噌) 野菜と豆腐のすまし汁
乳製品/果物 低脂肪ヨーグルト、バナナ キウイフルーツ

減塩でも美味しい!調理の工夫10選

塩分を減らすと味が物足りなくなりがちですが、少しの工夫で美味しく満足感のある食事を作ることができます232425

  1. だしのうま味を活かす: 昆布やかつお節でしっかりだしを取り、料理のベースに。天然のうま味成分が味を補います。
  2. 香味野菜や香辛料を使う: しょうが、にんにく、しそ、みょうが、カレー粉、こしょうなどで風味豊かに。
  3. 酸味を利用する: レモン汁やすだち、酢を加えると、味が引き締まり、塩分が少なくても満足感が得られます。
  4. 油のコクをプラス: 仕上げにごま油やオリーブオイルを数滴たらすなど、香りの良い油でコクを出します。
  5. 香ばしく焼く・炒める: 食材を焼いたり炒めたりすることで、香ばしさを引き出し、味のアクセントになります。
  6. 味は表面に: 煮物は最後に調味料を絡め、和え物は食べる直前に和えることで、少ない塩分でも味を強く感じられます。
  7. 乳製品でコク出し: 味噌汁や煮物に牛乳や豆乳を少し加えると、まろやかになり減塩に繋がります。
  8. 加工食品を避ける: ハム、ソーセージ、練り製品、漬物などは塩分が多いので、できるだけ生の食材から調理しましょう。
  9. 麺類の汁は残す: ラーメンやうどんの汁には多くの塩分が含まれています。飲むのは半分以下に。
  10. 調味料は「かける」より「つける」: 醤油やソースは小皿に取り、つけて食べる習慣をつけましょう。無駄な摂取を防げます。

これは注意!HDPのリスクを高める可能性のある食生活

健康的な食事パターンがHDPのリスクを下げる一方で、逆のリスクを高める食事パターンも報告されています。2024年に発表された米国のヒスパニック系女性を対象とした研究では、固形脂(バターなど)、精製穀物(白米、白いパン)、チーズの摂取量が多い食事パターンが、HDPおよび妊娠高血圧腎症のリスクを有意に高めることが示されました26。具体的には、以下のような食生活に偏っている場合は注意が必要です。

  • 加工食品やインスタント食品が多い: これらの食品は、飽和脂肪酸や塩分が多く含まれている傾向があります。
  • 外食やファストフードが中心: 一般的に塩分や脂質が多く、野菜が不足しがちです。
  • 菓子パンや甘い清涼飲料水を頻繁に摂る: 過剰な糖質は体重増加に繋がり、間接的にHDPのリスクを高めます。

よくある質問(Q&A)

Q1. 外食やコンビニ食で気をつけることは?
A1. 完全に避けるのは難しいですが、選び方を工夫しましょう27。主食・主菜・副菜が揃った定食スタイルのものを選び、野菜の小鉢を追加するのが理想です。麺類の汁は残す、サラダチキンや枝豆、納豆、野菜スープ、焼き魚などを活用するのも良い方法です。購入する際は栄養成分表示を確認し、「食塩相当量」の少ないものを選ぶ習慣をつけましょう。
Q2. サプリメントは摂取した方が良いですか?
A2. 基本は食事からの栄養摂取が原則です。ただし、一部の研究では、カルシウム摂取量が少ない女性において、カルシウムサプリメントが妊娠高血圧腎症の予防に有効であったことが示唆されています9。しかし、サプリメントの過剰摂取は別の健康問題を引き起こす可能性もあります。自己判断で摂取せず、必ずかかりつけの医師や管理栄養士に相談してください。
Q3. 体重管理との関係は?
A3. 非常に密接な関係があります。妊娠前の肥満(BMIが25以上)は、HDPの強力なリスク因子の一つです5。妊娠中の急激な体重増加も血圧を上げる原因になります。厚生労働省や日本産科婦人科学会が示す、妊娠前の体格に応じた適切な体重増加の範囲を守ることが、HDP予防の観点からも非常に重要です28
Q4. 食事以外に気をつけることはありますか?
A4. はい。過労やストレスを避け、十分な休息と睡眠をとることが大切です。また、医師の許可があれば、ウォーキングなどの適度な運動も推奨されます。そして、最も重要なことの一つが「家庭での血圧測定」です。病院で測ると緊張して血圧が上がる「白衣高血圧」の可能性もあるため、自宅でリラックスした状態で毎日血圧を測り、記録する習慣をつけましょう7。日々の血圧の変動を把握することが、早期発見と適切な管理に繋がります。

結論

妊娠中の高血圧は、あなたと赤ちゃんの健康にとって注意すべき状態ですが、決して過度に恐れる必要はありません。正しい知識を持って、日々の食事や生活習慣を少しずつ見直すことで、そのリスクを大きく減らすことができます。この記事で解説したポイントを改めてまとめます。

  • 基本は「DASH食」: 野菜、果物、全粒穀物を中心に、バランスの取れた食事を心がけましょう。
  • 賢い「減塩」: 極端な制限はせず、1日6.5g未満を目安に、だしのうま味や香辛料を活用する工夫を。
  • 総合的な管理: 適切な体重管理、十分な休息、そして家庭での血圧測定も食事と同じくらい重要です。

何よりも大切なのは、一人で抱え込まず、定期的に妊婦健診を受け、不安なことや分からないことはかかりつけの産婦人科医や管理栄養士に相談することです。正しい情報と専門家のサポートを力に変えて、心穏やかで健康なマタニティライフをお送りください。

免責事項
本記事は、医学的知識の普及・啓発を目的としており、専門的な医療アドバイスに代わるものではありません。健康に関する懸念や治療に関する決定については、必ず資格を持つ医療専門家にご相談ください。

参考文献

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