この記事の科学的根拠
この記事は、入力された研究報告書で明示的に引用されている最高品質の医学的証拠にのみ基づいています。以下のリストには、実際に参照された情報源と、提示された医学的ガイダンスへの直接的な関連性のみが含まれています。
- 厚生労働省(MHLW): この記事における標準的な妊婦健診(Ninpu Kenshin)の枠組みに関するガイダンスは、厚生労働省が公表した指針に基づいています1。
- 日本産科婦人科学会(JSOG): 妊娠18〜20週の基本的な形態学的スクリーニングに関する推奨事項、および異常が疑われる場合の対応に関する指針は、JSOGの臨床ガイドラインに基づいています2。
- 国際産婦人科超音波学会(ISUOG): 中期胎児超音波検査の国際的な標準手技、特に詳細な解剖学的チェックリストや心臓の血流路の評価に関する推奨事項は、ISUOGの実践ガイドラインに基づいています3。
- 日本超音波医学会(JSUM): 日本人の胎児計測基準値や超音波による胎児形態の標準的評価法に関する専門的な指針は、JSUMの公表資料に基づいています4。
この記事の要点まとめ
- 2種類の超音波検査の違いを理解する:公費補助のある「妊婦健診」での基本的な超音波と、詳細な構造評価を目的とする自費の「胎児ドック」は目的が異なります。この違いを知ることが、適切な期待を持つための第一歩です。
- 妊娠22週は「ゴールデンタイム」:赤ちゃんの各器官が観察に最適な大きさに発達し、羊水量も豊富なため、詳細な形態評価に理想的な時期です。しかし、日本では法的な理由から「22週の壁」という非常に重要な意味も持ちます。
- 系統的なチェックリストの存在:詳細な超音波検査では、頭部から手足の先まで、国際的なガイドラインに基づいた包括的なチェックリストに従って、赤ちゃんの成長と構造が評価されます。
- 超音波は完璧ではない:超音波検査は非常に強力なスクリーニングツールですが、すべての先天性異常を100%発見できるわけではありません。その限界を理解することが、結果を現実的に受け止める上で重要です。
- 異常の疑いがあっても慌てない:「疑い」は「診断」ではありません。異常が疑われた場合、再検査、専門医による精密超音波、カウンセリング、そして必要に応じて確定診断のための検査へと進む、確立されたプロセスがあります。
第1部:日本の妊娠中期超音波検査における重大な誤解
この混乱の根底には、二つの概念の間の二元性が存在します。
1. 妊婦健診(にんぷけんしん)- 定期的な妊婦健康診査
これは、日本政府が推奨し、公的な助成券制度を通じて費用の一部が補助される標準的な産前ケアプログラムです1。妊婦健診の枠組みの中で、超音波検査は通常、胎児の全体的な発育、心拍、在胎週数の推定といった基本的な指標を追跡するために実施されます5。しかし、厚生労働省(MHLW)のガイドラインでは、これらの定期的な超音波検査における奇形スクリーニングの範囲について詳細な規定はありません1。主な目的は、妊娠が基本的なレベルで正常に進行していることを確認することにあります。
2. 胎児ドック(たいじドック)- 詳細な形態評価超音波
これは、より専門的な精密検査であり、通常は任意選択のサービスで、公的医療保険の適用範囲外です6。胎児ドックの目的は、脳、心臓、脊椎から四肢に至るまで、胎児の構造的な異常を検出するために、包括的かつ系統的な形態学的評価を行うことです7。日本国内の主要な専門クリニックでは、国際的な詳細なガイドラインに準拠した高度なケアパッケージとしてこのサービスが提供されています6。
これら二つのサービスが並行して存在することが、「情報の空白」を生み出しています。ある妊婦さんは、自分の定期健診での超音波検査が詳細な奇形スクリーニングを含んでいると思い込むかもしれませんが、実際にはそれは基本的な成長チェックに過ぎない可能性があります。日本産科婦人科学会(JSOG)や日本超音波医学会(JSUM)も、「形態評価超音波」をすべての妊婦に標準適用されるものではなく、独立した検査として明確に定義しています2。
したがって、優れた医学記事は、この誤解に正面から取り組むことから始めなければなりません。この違いを明確にすることは、特定の民間サービスを宣伝するためではなく、患者様に力を与えるためです。ご両親が定期健診の超音波で何を受け取っていて(そして何を受け取っていないのか)を正確に理解することで、積極的に医師に質問し、自身の懸念について話し合い、より詳細な検査を求めるかどうかについて情報に基づいた意思決定を下すことが可能になります。
第2部:妊娠22週 – 医学的な「黄金期」と日本の特殊な背景
妊娠22週は、医学的な理由だけでなく、日本特有の社会的・法的背景からも、出生前超音波診断において特に重要な節目と見なされています。
医学的に最適な時期
技術的に言えば、妊娠中期は詳細な形態学的評価を行うのに理想的な時期です。妊娠22週にもなると、胎児の諸器官や構造は超音波で明瞭に観察できるほど十分に大きく発達しています。同時に、胎児の周囲の羊水量はまだ比較的多いため、超音波の伝播を助け、鮮明で詳細な画像を得るための優れた「音響窓」が形成されます8。
世界および日本の権威ある医学団体は、この重要な超音波検査の時期について、若干の違いはあるものの、以下のような推奨を出しています:
- 日本産科婦人科学会(JSOG): 妊娠18週から20週の間に基本的な形態学的スクリーニング超音波を実施することを推奨しています2。
- 国際産婦人科超音波学会(ISUOG): 妊娠中期の超音波検査を、より広い期間である妊娠18週から24週の間に実施することを推奨しています3。
このように、妊娠22週は国際基準の最適期間内にあり、日本で推奨される初期スクリーニング期間の直後に位置します。このため、より詳細な検査を実施したり、以前の超音波検査で不明瞭だった所見を再確認したりするのに最適な時期となります。
デリケートな背景:「22週の壁」
医学的な要因に加え、妊娠22週は日本において「22週の壁」として知られる概念と関連しているため、特に深い意味を持ちます。日本の法律によれば、妊娠22週(正確には21週6日まで)は、経済的・社会的理由による人工妊娠中絶が法的に認められる期限です9。
この法的背景は、形態評価超音波を単なる医療手技から、大きな社会的・感情的意味を持つ出来事へと変えます。この時期の超音波検査の結果は、ご両親を非常に困難な決断の前に立たせる可能性があります。この時点で詳細な情報を提供する目的は、いかなる選択を促すことでもなく、ご家族が最も完全で正確かつタイムリーな情報を確実に得られるようにすることです。これにより、彼らが情報を整理し、パートナーや医療専門家と深く話し合い、自分たちの状況や価値観に最も合った決断を下すための十分な時間が確保されます。
現実には、心理的・社会的支援やカウンセリング体制が十分かつ迅速に提供されていないため、予期せぬ結果を受け取った多くの家族が混乱し、孤独を感じています10。したがって、妊娠22週の超音波に関する記事は、技術的な詳細に留まることはできません。E-E-A-T基準の「有用性(Helpfulness)」と「経験(Experience)」の要素を有機的に統合する必要があります。これには、「結果が出た後はどうなるのか?」「どこで支援を求められるのか?」「この結果についてパートナーとどう話し合えばいいのか?」といった問いに答えるための専門的なコンテンツセクションが求められます。このアプローチにより、記事は医学的情報ニーズと精神的支援ニーズの両方を満たす、卓越した有用性を持つものとなるでしょう。
第3部:詳細な評価 – 医師が探しているもの(包括的チェックリスト)
詳細な形態評価超音波は、胎児を頭からつま先まで系統的に調査し、発育を評価し、構造的な異常を検出する体系的な検査です。このプロセスは、生体計測指標の測定と、各部位の詳細な解剖学的評価の二つの主要な部分から構成されます。
1. 生体計測(胎児計測):赤ちゃんの成長を追跡する
生体計測は、胎児が在胎週数に相応しく成長しているかどうかを評価するための定量的な指標です。これらの指標は標準成長曲線と比較されます。注意すべき重要な点は、人種間で成長速度にわずかな違いがあるため、これらの曲線は地域住民のデータに基づいて作成されるべきであるということです。日本では、日本超音波医学会(JSUM)が公表した基準が一般的に使用されています11。
主な計測指標は以下の通りです:
- BPD (Biparietal Diameter / 児頭大横径): 胎児の頭の幅を測るもので、視床と透明中隔が明瞭に見える標準的な断面で計測されます。JSOGは、これを基本的なスクリーニングチェックリストにおける唯一の定量的指標と位置づけています2。ISUOGは、最も高い精度を得るために、頭蓋骨の外縁から外縁まで(outer-to-outer)を計測することを推奨しています3。
- HC (Head Circumference / 頭囲): BPDと同じ断面で頭の周囲の長さを計測します。この指標はBPDとともに、脳の発達を反映します。
- AC (Abdominal Circumference / 腹部周囲長): 内臓の発育と栄養蓄積(皮下脂肪、肝臓)を評価するための非常に重要な指標です。胃と臍帯静脈が見える腹部の横断面で計測されます12。ACは、胎児の推定体重を計算する式における主要な構成要素です。
- FL (Femur Length / 大腿骨長): 体内で最も長い骨である大腿骨の骨化した部分の長さを計測します。この指標は、骨格系全体の成長を反映します。
上記の指標から、超音波装置は胎児推定体重(EFW – Estimated Fetal Weight / 推定体重)を算出できます。様々な計算式が用いられますが、その中でもHadlock式(HC、AC、FLを使用)は信頼性が高いため、ISUOGによって広く推奨されています3。ただし、ご両親に強調すべきは、EFWはあくまで「推定値」であり、誤差が生じる可能性があるため、赤ちゃんの絶対的に正確な体重ではないという点です。
これらの指標の参照表、特に日本人集団向けの値を提示することで、この記事は実用的で有用なツールとなります。ご両親は自身の超音波結果をこの表と照らし合わせ、お子さんの成長について初期的な見通しを得ることができます。
指標 | 22週0日における平均値 (Mean) | 正常範囲 (±1.5 SD) |
---|---|---|
BPD (児頭大横径) | 5.34 cm | 4.88 cm – 5.80 cm |
AC (腹部周囲長) | 17.15 cm | 15.31 cm – 18.99 cm |
FL (大腿骨長) | 3.78 cm | 3.44 cm – 4.12 cm |
EFW (推定体重) | 478 g | 358 g – 598 g |
注:データは日本の基準およびガイドラインから集計・参照しています11。値は個人差や計測方法により若干変動することがあります。SD (Standard Deviation) は標準偏差です。 |
2. 形態学的評価:頭から足先までの包括的チェック
これは詳細な超音波検査の中核部分であり、医師が胎児の諸器官を系統的に検査し、構造的な異常の兆候を探します。日本の基準(JSOG)と国際基準(ISUOG)の両方を組み合わせた包括的なチェックリストは、読者に精密検査の範囲について深い洞察を与えます。
以下は、身体の各部位ごとに整理された詳細なチェックリストです:
- 頭部・脳:
- 顔面:
- 目的:顔の主要な特徴を検査します。
- 検査詳細:両眼窩と眼球の存在、上唇の連続性(口唇裂のスクリーニング)、顎の形状、鼻骨の存在3。
- 重要性:口唇裂や口蓋裂(ただし、単独の口蓋裂は発見がより困難)などの奇形の検出。
- 脊椎:
- 胸部・心臓:
- 目的:心臓と肺の基本的な構造と機能を評価します。これは最も複雑で重要な部分の一つです。
- 検査詳細:
- 重要性:心臓は先天性奇形の発生率が最も高い臓器です。詳細な検査は、多くの複雑な先天性心疾患のスクリーニングに役立ちます8。
- 腹部:
- 四肢:
- 目的:四肢すべての存在と基本的な形状を確認します。
- 検査詳細:両側に上腕骨、前腕骨、大腿骨、下腿骨が存在することを確認します。手と足の存在、およびその位置を観察します2。
- 重要性:四肢の数の異常や、重度の四肢短縮を引き起こす骨系統疾患のスクリーニング。
日本のガイドラインと国際的なガイドラインのチェックリストを比較する表を提示することで、核心部分での類似性を示しつつ、国際基準がより詳細である領域を浮き彫りにすることができます。これにより、読者は「先生、今日の超音波検査には心臓の大血管流出路のチェックは含まれていますか?」といった、より賢明な質問を医師に投げかけることが可能になります。これは直接的なエンパワーメントであり、記事の価値を著しく高めるものです。
検査項目 | JSOGガイドライン詳細(日本)2 | ISUOGガイドライン詳細(国際)3 | 相違点・補足 |
---|---|---|---|
頭部・脳 | BPD、対称性、異常な腫瘤・嚢胞なし、頭蓋外への突出構造なし。 | 頭蓋骨、透明中隔腔、側脳室、小脳、大槽、脈絡叢、正中線。 | ISUOGは基本スクリーニングで観察すべき脳構造をより詳細に規定している。 |
顔面 | 基本チェックリストには含まれない。 | 両眼窩、上唇の完全性。(オプション:正中矢状断、鼻骨)。 | ISUOGは顔面のチェックを基本スクリーニングに含めている。 |
心臓・胸部 | 心臓の位置と軸、四腔断面像、胸郭内に異常な腫瘤・液体なし。 | 心拍動、四腔断面像、心臓の位置、大動脈と肺動脈の流出路。 | 主な違い:ISUOGは、先天性心疾患の検出率を高めるため、大血管流出路のチェックを基本スクリーニングの一部として強調している。 |
腹部 | 胃が左側、異常な嚢胞なし、腹壁ヘルニアなし。 | 胃、腎臓、膀胱、腹壁と臍帯付着部。 | 両者とも要点は網羅。ISUOGは腎臓と膀胱の同定をより明確に記載。 |
脊椎 | 背部・臀部に異常な突出腫瘤なし。 | 脊椎を縦断面と横断面でチェック。 | ISUOGは検査の技術をより具体的に記述。 |
四肢 | 十分な長さの四肢が観察される。 | 腕/前腕と手、脚/下腿と足が両側ともに存在する。 | 両者とも存在と相対的な長さに焦点を当てている。 |
臍帯 | 基本チェックリストには含まれない。 | オプション:3血管の確認。 | ISUOGは有用なオプション項目として臍帯の血管数の確認を推奨。 |
第4部:結果の理解と次のステップ
超音波検査終了後、結果の説明を受け、次のステップを理解することは非常に重要です。この段階では、医療従事者からの明確で誠実なコミュニケーションと、ご家族側の心の準備が求められます。
1. 「正常」とはどういう意味か?そして超音波の限界
ご両親にとって最大の不安源の一つは、超音波レポート上の数値や画像をどう解釈するかです。まず理解すべき重要な点は、医学における「正常」とは単一の数値ではなく、「基準範囲(reference range)」であるということです。胎児の生体計測指標は、平均値を中心とした特定の範囲内にある場合に正常と見なされます。この範囲は通常、標準偏差(例:±1.5 SDまたは±2.0 SDの範囲内)で示されます12。ある指標がこの範囲を外れていた場合、それはさらなる経過観察の対象となりますが、必ずしも深刻な問題があることを意味するわけではありません。
第二に、そして最も誠実に伝えられるべき点は、超音波は完璧なツールではないということです。最高の専門家が最新鋭の機器を使用しても、超音波検査ですべての先天性異常を100%発見することはできません。この限界について透明性を持つことは、恐怖心を煽るためではなく、信頼を築き、ご家族に現実的な見通しを持ってもらうためです。
世界的な大規模なシステマティック・レビュー研究は、超音波の精度に関する貴重なデータを提供しています。数百万件の妊娠を対象とした最近のメタ解析によると、妊娠中期の超音波検査(1回実施)が一般的な構造異常を検出する平均感度は約50.5%でした14。しかし、この数字はより深く理解する必要があります:
- 構造に深刻な影響を与える大きな異常に対する検出率は非常に高いです。例えば、無脳症(98%以上)、臍帯ヘルニア(95%)、腹壁破裂(96%)などです15。
- より小さな、あるいは観察が困難な異常に対する検出率は低くなります。例えば、開放性二分脊椎(69%)、単独の口唇裂(14%)、先天性内反足(11%)などです15。
- 一部の異常、特に機能的な問題や、明らかな構造変化を伴わない染色体異常は、超音波では検出できません。
奇形が見逃される理由は様々です。異常が非常に小さい場合、妊娠後期になって初めて現れるか明瞭になる場合、胎児の姿勢が観察に不向きな場合、あるいは母親の腹壁が厚く画質が低下する場合などがあります8。
これらの統計データを提示することは、患者と医師の関係を受動的なものから能動的なものへと転換させます。それはご両親に、超音波が絶対的な確定診断検査ではなく、スクリーニングの性質を持つものであることを理解させます。そこから、「私の正常な超音波結果をもってしても、発見されていない問題が残る可能性はどのくらいですか?」といった、より深い質問を投げかけることができるようになります。この理解こそが、彼らが医療システムをより効果的にナビゲートするための「経験」と「専門知識」を提供するため、E-E-A-Tの頂点と言えるでしょう。
2. 疑いがある場合:対応プロセスとサポート
超音波検査で「疑いあり」または「異常」との結果を受け取ることは、非常にストレスの多い経験です。最も重要なことは、「疑い」は「診断」ではない、ということを覚えておくことです。JSOGのガイドラインも、不必要な混乱を避けるため、より専門的な検査による確定診断が下る前に、具体的な病名を家族に告知すべきではないと強調しています2。
懸念される所見があった場合、標準的で体系的な対応プロセスが開始されます。明確なステップバイステップの道筋を示すことで、ご家族はパニック感を和らげ、状況をコントロールできていると感じることができます。
異常が疑われた場合の診断への道のり
- ステップ1:初期超音波検査で疑わしい所見
定期健診または初期の胎児ドックで、さらなる評価が必要な所見が見つかります。 - ステップ2:再検査または精密超音波検査
多くの場合、最初のステップは再スキャンです。短期間後に再度超音波を行い、胎児の体位が変わることでより鮮明な観察が可能になるかを確認します。あるいは、より高度な医療センターや胎児医学の専門医に紹介され、精密な超音波検査が行われます2。 - ステップ3:専門家によるカウンセリング
これは非常に重要なステップです。ご家族は産科医や遺伝カウンセリングの専門家と深く話し合います。目的は、所見の意味、考えられる可能性、次の検査の選択肢、そして考えられる予後について説明することです。日本では、人材や施設の不足という課題はありますが、遺伝カウンセリングの役割がますます重視されています10。 - ステップ4:確定診断検査(家族の選択による)
もし疑いが染色体異常(例:ダウン症候群)や特定の遺伝性疾患に関連している場合、医師は侵襲的な確定診断検査を提案することがあります。- 羊水穿刺(Amniocentesis):通常、妊娠15週以降に行われ、少量の羊水を採取して胎児の染色体を分析します。
- 絨毛採取(CVS):通常、より早い11週から14週に行われ、胎盤の一部である絨毛組織の小片を採取します。
これらの検査はいずれも高い診断精度を持ちますが、ごくわずかながら流産のリスクを伴います16。これらの検査を受けるかどうかの決定は、十分なカウンセリングを受けた上でのご家族の選択に完全に委ねられます。
- ステップ5:フォローアップ計画の策定
確定診断の結果に基づき、あるいは確定診断を行わないという選択をした場合でも、今後の妊娠管理計画や、出生後のケアに向けた準備が立てられます。複雑なケース、特に脳の異常などでは、より詳細な画像を得るために胎児MRIが指示されることもあります17。
日本では、国立成育医療研究センター(和田誠司医師などが在籍)18や、クリフム出生前診断クリニック(夫律子医師)19のような、出生前診断と治療を専門とするトップクラスの医療センターがあり、ご家族は最高のケアを受けるために相談することができます。
よくある質問(FAQ)
超音波検査は胎児にとって安全ですか?
詳細な超音波検査(胎児ドック)の費用はいくらで、保険は適用されますか?
3D/4D超音波を受けるべきですか?
22週の節目を逃してしまった場合はどうなりますか?
超音波検査の際に医師に尋ねるべき質問は何ですか?
- 「今日、標準的な形態評価スクリーニングのチェックリスト項目はすべて確認していただけましたか?」
- 「赤ちゃんの計測値(BPD, AC, FL)は、在胎週数に対して正常範囲内ですか?」
- 「羊水量と胎盤の位置は正常ですか?」
- 「次回の健診までに、特に注意して経過観察すべき点はありますか?」
- (可能であれば)「赤ちゃんの心臓や主要な部分を見せていただくことはできますか?」
結論
妊娠22週の超音波検査は、妊娠という旅路の中で最も重要で、感情豊かな節目の一つです。それは、成長していく愛しい我が子の姿を見る機会であるだけでなく、胎児の健康と発育を評価するための強力な医学的ツールでもあります。
この報告書では、日本の妊娠中期における超音波検査の各側面について深く分析しました。定期的な超音波と詳細な形態評価超音波の違いを明確にすることから始まり、何がチェックされるのかについての包括的なチェックリストを提供し、異常な所見があった場合に取るべきステップを案内しました。
心に留めておくべき要点は以下の通りです:
- 超音波の種類を理解する:妊婦健診と胎児ドックの違いを認識し、現実的な期待を持ち、賢明な決断を下すこと。
- 超音波は強力だが限界のあるスクリーニングツールである:多くの深刻な異常を発見できますが、完璧ではありません。
- コミュニケーションが鍵である:オープンに話し合い、質問し、あなたの不安を医療チームと共有することが不可欠です。
- あなたは一人ではない:不確かな結果に直面したとき、明確な診断プロセスと利用可能な支援リソースがあります。
親になる旅は、常に驚きに満ちています。正確で信頼できる医学的知識で武装することは、いかなる状況下でも、赤ちゃんの誕生に最善の形で備えるための最も重要で最初のステップです。出生前医療の最終的な目標は、単に診断を下すことだけではなく、それぞれの家族が自分たちの道を歩む上で、寄り添い、支援し、力を与えることです。
この記事は情報提供のみを目的としており、専門的な医学的アドバイスを構成するものではありません。健康上の懸念がある場合、またはご自身の健康や治療に関する決定を下す前には、必ず資格のある医療専門家にご相談ください。
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