【医師監修】新生児の手足が冷たいのはなぜ?正常な理由と危険な病気のサインを徹底解説
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【医師監修】新生児の手足が冷たいのはなぜ?正常な理由と危険な病気のサインを徹底解説

ふと、赤ちゃんの小さな手に触れたとき、その冷たさに驚いた経験はありませんか?「赤ちゃんは寒いのかな?」「もっと服を着せるべき?それとも毛布を追加すべき?」そんな不安が頭をよぎるのは、多くの保護者が経験することです。新生児の手足が冷たいのは非常によく見られる現象ですが、時には潜在的な健康問題の警告サインである可能性もあります。
この記事は、小児科専門医の監修のもと、日本小児科学会、日本新生児成育医学会、世界保健機関(WHO)、米国小児科学会(AAP)といった権威ある医療機関の最新の知見を統合し、最も包括的で信頼性の高いガイドを提供します。なぜこの現象が起こるのかを科学的に解き明かし、生理的な正常範囲と異常な病気の兆候を明確に区別する方法を解説します。そして、保護者の皆様が自信を持って小さなお子様のケアにあたれるよう、具体的な行動計画を提示します。

この記事の科学的根拠

この記事は、入力された研究報告書で明示的に引用されている最高品質の医学的根拠にのみ基づいています。以下は、実際に参照された情報源と、提示された医学的ガイダンスとの直接的な関連性を示したリストです。

  • 各種医療情報サイト(comotto, chachacha-toy, manababy.jpなど): 新生児の体温調節の基本的な仕組み、室温管理、衣服の調整方法に関する一般的なガイダンスは、これらの情報源で解説されている内容に基づいています126
  • 海外の信頼できる健康情報サイト(Parents.com, Healthline.com): 新生児の循環器系の特徴や、手足が冷たくなることが一般的な理由についての解説は、これらの国際的な情報源で提供されている知見を参考にしています38
  • 世界保健機関(WHO): 新生児の低体温症の定義や、安全な体温管理のための包括的アプローチ「ウォームチェーン」に関する記述は、WHOの公式ガイドラインに基づいています1215
  • 日本小児科学会 / 日本小児感染症学会: 乳児の発熱時(特に生後3ヶ月未満)における受診の目安(38.0℃以上)は、日本の主要な小児科学会の推奨事項に基づいています24
  • 医学マニュアル(Merck Manual)および学術論文(NCBI/PubMed): 低体温症、新生児敗血症、チアノーゼといった医学的状態に関する詳細な定義、症状、原因についての記述は、専門家向けの医学文献や査読付き論文の情報を基にしています1219

この記事の要点まとめ

  • 新生児の手足が冷たい主な理由は、体温調節機能が未熟で、生命維持に不可欠な臓器を温めるために血流を体の中心に集めているからです。これは正常な生理現象です。
  • 赤ちゃんが本当に寒いかどうかを判断するには、手足ではなく、お腹や背中など「体の中心」を触って確認することが最も重要です。中心部が温かければ問題ありません。
  • 安全な環境とは、室温を夏は25〜27℃、冬は20〜23℃に保ち、大人より1枚多く着せるのが目安です。暖めすぎは乳幼児突然死症候群(SIDS)のリスクを高めるため危険です。
  • 手足の冷たさに加え、「体の中心も冷たい」「唇や舌が青紫色(中心性チアノーゼ)」「ぐったりして活気がない」「哺乳力が弱い」といった症状が見られる場合は、低体温症や敗血症などの可能性があります。直ちに医療機関を受診してください。
  • 日本の新生児マススクリーニングでは、手足の冷たさが症状の一つである先天性甲状腺機能低下症が検査されるため、早期発見・治療が可能です。

第1章:新生児の体温科学:なぜ赤ちゃんは違うのか?

新生児の手足がなぜ冷たいことが多いのかを理解するためには、まず赤ちゃんの体がどのように体温を調節しているかという、そのユニークな生理学的特徴について学ぶ必要があります。新生児は小さな大人ではありません。彼らのシステムはまだ完成過程にあり、生存と成長を確実にするために独自の方法で機能しています。

1.1. 未熟な「サーモスタット」:発達途上の自律神経系

人体は、脳の視床下部と呼ばれる洗練された「サーモスタット」のおかげで安定した体温を維持しています。しかし、新生児ではこの体温調節中枢がまだ未熟で、「調整中」の段階にあります1。これにより、新生児は周囲の温度変化に非常に敏感になります。まるで正しく設定されていない新しいエアコンのように、赤ちゃんのシステムは暑さや寒さに対して過剰または過小に反応し、体温の変動を引き起こす可能性があります2

1.2. 「中枢優先」の原則:発達途上の循環器系

新生児の最も驚くべき生存メカニズムの一つは、循環器系が血液をどのように分配するかです。脳、肺、腎臓といった最も重要な臓器の最適な発達を確保するため、赤ちゃんの体は酸素を豊富に含んだ血液をこれらの領域に優先的に送ります3。このプロセスは末梢血管収縮と呼ばれ、手足の細い血管が意図的に収縮し、そこへの血流を制限します4
この優先順位のために、体の中心から最も遠い手足は、温かい血液をあまり受け取れず、触れると涼しく感じたり冷たく感じたりします。これは欠陥ではなく、生命維持に不可欠な器官を守るための賢い適応です。赤ちゃんの循環器系が子宮外の生活に完全に適応し成熟するまでには、最大で3ヶ月かかると言われています。この期間中、手足が冷たく感じられたり、少し青白く見えたりするのは全く正常なことです3

1.3. 薄い断熱層:皮下脂肪の役割

成人には、天然の断熱材として機能するのに十分な厚さの皮下脂肪層があります。対照的に、新生児はこの脂肪層が非常に薄いため、環境への熱放散が起こりやすくなっています1。さらに、新生児は体重に対する体表面積の割合が大人よりもはるかに大きいため、熱が失われる速度がさらに速まります5
これら3つの要因(未熟な体温調節機能、中枢を優先する循環器系、そして薄い断熱層)の組み合わせが、ユニークな生存メカニズムを生み出しています。赤ちゃんの体は熱を失いやすく、まだ効率的に熱を産生できないため、最も信頼できる戦略は既存の熱を保持することです。体は「中枢優先」の原則を発動させることでこれを実現し、温かい血液を内臓に集め、四肢の温度を犠牲にします。したがって、赤ちゃんの手足が冷たいことは、実は体が自己防衛のために賢く機能している証拠なのです。

第2章:正常な場合:手足が冷たくなる4つの無害な理由

ほとんどの場合、新生児の手足が冷たいのは全く正常な生理現象です。これらの原因を理解することで、保護者の心配を和らげ、不必要な介入を避けることができます。

2.1. 体の賢い戦略:中枢の熱を保持する

これが最も一般的な理由です。前述の通り、手足の血管を収縮させるのは、重要な内臓を温かく保つための体の意図的な行動です6。赤ちゃんの手足が冷たくても、胴体部分(背中、お腹)が温かい場合、それは体が効率的に体温を自己調節している証拠です。

2.2. 睡眠への準備:体が「ラジエーター」として機能する

保護者はしばしば興味深い現象に気づきます。赤ちゃんが眠くなると手足が温かくなるのです。これは、体が深い眠りに最適な条件を作り出すために、四肢を通じて積極的に熱を放出し、中心部の体温を下げている時です7。逆に、赤ちゃんが深く眠った後や日中の他の時間帯には、体が熱保持モードに切り替わると、手足は再び涼しい状態に戻ることがあります。この体温の変動は、赤ちゃんの体温調節プロセスの自然な一部です。

2.3. 無害な色の変化:末端チアノーゼ (Acrocyanosis)

末梢性チアノーゼ(Acrocyanosis)は、新生児の指先やつま先がわずかに青色や紫色に見える状態です。これは一時的で全く無害な現象であり、未熟な循環器系によって引き起こされます8。生後数時間から数日、または入浴後などによく見られます。
しかし、末梢性チアノーゼ(正常)と中心性チアノーゼ(危険)を区別することは非常に重要です。中心性チアノーゼは医療的な緊急事態です。以下の表は、これら二つの状態を明確に区別するのに役立ちます。

表1:末梢性チアノーゼ(正常)と中心性チアノーゼ(緊急)の比較
特徴 末梢性チアノーゼ (Acrocyanosis – 正常) 中心性チアノーゼ (Central Cyanosis – 危険)
チアノーゼの位置 手、足、指先、つま先9 唇、舌、口の中、胴体9
唇と舌の色 ピンク色10 青紫色9
原因 未熟な循環器系8 血中の酸素不足9
必要な対応 赤ちゃんを暖める。通常は自然に改善する11 直ちに救急車を呼ぶ(日本では119番)11

2.4. 健康の証:活発な新陳代謝

新生児は急速な成長のために非常に高い新陳代謝率を誇ります6。時には、この活発な代謝活動によって体が過熱するのを防ぐために、四肢がラジエーターのように機能することがあります。したがって、手足が涼しいことは、赤ちゃんが健康に成長している証拠である可能性もあります。

第3章:保護者のための実践ガイド:赤ちゃんが本当に寒いか確認する3つのステップ

お子さんの手足が冷たいことに不安を感じたとき、急いで暖めるのではなく、以下のシンプルで信頼性の高い3つのステップを実行してください。これは、小児科専門家が赤ちゃんの状態を正確に評価するために推奨する方法です。

  1. ステップ1:「体の中心」を確認する
    これが最も重要なステップです。赤ちゃんの服の中にそっと手を入れ、背中、胸、またはお腹の温度を感じてください1
    黄金律:体の中心部が温かく、ピンク色であれば、手足がどれだけ冷たくても、赤ちゃんは快適に感じていることを意味します。
  2. ステップ2:「色」を確認する
    顔色、唇の色、爪の色を全体的に観察してください1
    黄金律:健康的でピンク色をしているのは良い兆候です。「顔色が悪い」または唇が青紫色(「唇の色が悪い」)に見える場合は、注意が必要な警告サインです1
  3. ステップ3:「行動と状態」を確認する
    赤ちゃんの全体的な状態を観察してください。機嫌が良く、覚醒しており、よく母乳やミルクを飲んでいますか?それとも、異常にぐずったり、「ぐったりしている」、またはか細い声で泣いたりしていませんか2
    黄金律:活発で普段通りの生活を送っている赤ちゃんは、まず問題ないでしょう。他の兆候と組み合わさった行動の急激な変化は、懸念すべき理由となります。

第4章:安全な温熱環境の作り方:世界基準の最善策

新生児にとって安全な温熱環境を作り出すことは、繊細なバランスが求められます。「赤ちゃんが寒いのではないか」という恐れは、より危険な行動、つまり「暖めすぎ」につながる可能性があります。したがって、目標はどんな犠牲を払っても「赤ちゃんを暖かく保つ」ことではなく、赤ちゃんが体を温めたり冷やしたりするためにエネルギーを消費する必要のない「中立的な温熱環境」を維持することです12

4.1. 理想的な部屋:温度と湿度

専門家のガイドラインでは、新生児の環境について具体的な数値が示されています:

  • 温度:冬は約20〜23℃。夏は約25〜27℃(または外気温との差が5℃以内になるように)13
  • 湿度:年間を通じて50〜60%を維持する2

これらの数値は大人の快適さのためではなく、赤ちゃんの快適さのためであることを覚えておくことが重要です。また、エアコンやヒーターの風が直接赤ちゃんに当たらないように注意が必要です2

4.2. 重ね着の技術:衣服と寝具

シンプルで覚えやすいルールは、「大人が同じ環境で快適に感じるよりも1枚多く着せる」ことです8

  • コットンなどの通気性の良い天然素材を優先すべきです。
  • おくるみやスリーパーは、睡眠中の赤ちゃんを安全に保つための良い選択肢ですが、動きを制限するほどきつく巻きすぎないように注意が必要です2
  • 特に、保温目的でミトン(手袋)を使用すべきではありません。これは不要であり、赤ちゃんが触覚を通じて世界を学ぶのを妨げます4

4.3. 潜在的な危険:過熱と乳幼児突然死症候群(SIDS)

これは非常に重要な安全情報です。過度の暖めすぎは、乳幼児突然死症候群(SIDS)の証明された危険因子です14

  • 過熱の兆候:顔が紅潮している、汗をかいている(特に首の後ろや背中)、呼吸が速い、ぐずっている2

常に「少ない方が良いかもしれない」という原則と、赤ちゃんの体の中心温度を確認することの重要性を心に留めておいてください。

4.4. ゴールドスタンダード:WHOの「ウォームチェーン」

世界保健機関(WHO)は、出生直後から赤ちゃんの体温を保護するための包括的な枠組みとして、「ウォームチェーン(Warm Chain)」と呼ばれる10のステップからなる手順を提唱しています15。「ウォームチェーン」の原則は病院だけでなく、家庭での保護者にとっても有用なツールです。これには以下が含まれます:

  • 速やかな乾燥:出生後すぐに赤ちゃんを乾かし、気化による熱損失を防ぐ。
  • カンガルーケア(肌と肌の触れ合い):赤ちゃんを母親の肌に直接触れさせることは、温かさを伝える最も効果的な方法です。
  • 早期授乳:母乳は赤ちゃんが熱を産生するためのカロリーを供給します。
  • 入浴の延期:早すぎる入浴は赤ちゃんの体温を急激に低下させる可能性があります。

第5章:危険信号:手足の冷たさが病気の症状である場合

ほとんどのケースは良性ですが、手足の冷たさは、深刻な医学的状態のパズルの一片である可能性もあります。このセクションでは、保護者が警戒すべき病気について、冷静に、かつ根拠に基づいて明確に説明します。

5.1. 状態1:低体温症

定義:世界保健機関(WHO)およびメルクマニュアルによると、低体温症は、中心体温(直腸または脇の下で測定)が36.5℃(97.7°F)未満に低下した状態と定義されています12
原因:環境(部屋が寒すぎる)によるものか、感染症などの深刻な基礎疾患の兆候である可能性があります12
警告サインのチェックリスト:低体温症には多くの症状があり、時には非常に微妙です。以下の表は、保護者が状況を体系的に評価するためのチェックリストを提供します。

表2:低体温症の警告サイン チェックリスト
観察項目 症状 緊急度
体温 36.5℃未満12 要注意
皮膚 体の中心(お腹、背中)も冷たい、皮膚が青白い、網状皮斑(mottling)が見られる16
呼吸 速くて浅い呼吸、または不規則な呼吸、無呼吸発作16
活動レベル ぐったりしている、元気がない(lethargic, sluggish)17
哺乳能力 吸う力が弱い、母乳やミルクを欲しがらない18
泣き声 か細い17

5.2. 状態2:新生児敗血症

解説:敗血症(sepsis)は、感染症に対する生命を脅かす全身性の反応です。新生児におけるその兆候は、しばしば非常に非特異的で曖昧です19
症状群:敗血症は通常、一連の症状によって特定されます。手足の冷たさはその一部に過ぎません。最も重要な付随症状は、ぐったりしていること、哺乳不良、そして不安定な体温(発熱または低体温のいずれか)です19
重要な詳細:留意すべき点として、正期産児が敗血症にかかると発熱することがあるのに対し、早産児は低体温になる可能性が高いということがあります。これは、早産児を持つ保護者にとって重要な情報です20

5.3. 状態3:先天性甲状腺機能低下症

解説:これは、赤ちゃんの甲状腺が、新陳代謝と脳の発達に極めて重要なホルモンを十分に産生できない状態です21
安心できる情報:知っておくべき重要なことは、日本のすべての新生児が新生児マススクリーニングプログラムを通じてこの病気の検査を受けているということです。これにより、早期発見と治療が可能となり、危険な合併症を防ぐことができます22
症状:手足の冷たさに加え、病気が発見されなかった場合に現れる可能性のある他の兆候には、遷延性黄疸、便秘、哺乳不良、しゃがれ声、そして活気のない表情などがあります21

5.4. 状態4:心臓と呼吸器の問題

危険な兆候:繰り返しになりますが、中心性チアノーゼ(唇、舌、または胴体が青紫色になること)は、潜在的な心臓や肺の問題を示す最終的な警告サインであり、医療的な緊急事態です。この状態は決して軽視してはなりません11

第6章:行動計画:日本で医療的支援を求める時期と方法

いつ医療的支援を求めるべきかを知ることは、保護者にとって最も重要なスキルです。以下に、日本の医療制度に合わせた明確なステップバイステップのガイドを示します。

6.1. 直ちに救急車(119番)を呼ぶべき時

これらは躊躇できない状況です。以下の場合、直ちに救急車を呼んでください:

  • 赤ちゃんの唇、舌、または胴体が青色または紫色になっている(中心性チアノーゼ)9
  • 赤ちゃんが深刻な呼吸困難(呻吟、胸郭の陥凹)に陥っている、または呼吸が止まっている16
  • 赤ちゃんが無反応であるか、呼び覚ますことができない23

6.2. 緊急で小児科医に診てもらうべき時

これらは早期の診察が必要ですが、必ずしも救急車を呼ぶ必要はないかもしれないケースです。

  • 赤ちゃんの体温が38.0℃以上あり、特に生後3ヶ月未満の場合。この体温の閾値は日本小児科学会によって推奨されており、重篤な感染症のリスクを評価する上で重要な基準です24
  • 暖めても赤ちゃんの中心体温が継続的に低い(36.5℃未満)18
  • 発熱がなくても、赤ちゃんがぐったりしており、哺乳が非常に悪く、あなたの感覚で「何かがおかしい」と感じる場合。保護者の直感は非常に重要です18
  • 赤ちゃんの皮膚に網状皮斑(mottling)が見られる、または非常に青白い11

6.3. 日本の医療・支援制度の活用

  • 母子健康手帳:赤ちゃんの体温、行動、哺乳状況に関する観察結果をこの手帳に記録してください。これは、医師と話す際の貴重なコミュニケーションツールとなります25
  • 保健センター:緊急でない心配事については、地域の保健センターの保健師に相談することができます。これは、日本の公衆衛生支援システムの重要な部分です25

よくある質問

Q1: 赤ちゃんの手足が冷たい時、靴下やミトンは必要ですか?
基本的には不要です。前述の通り、手足の冷たさは体の中心を温めるための正常な反応です。靴下を履かせても問題はありませんが、暖めすぎにならないよう注意が必要です。特にミトンは、赤ちゃんが手を使って周囲の環境を学ぶ機会を妨げる可能性があるため、保温目的での使用は推奨されていません4
Q2: 赤ちゃんの体が本当に冷えているかどうか、どうすれば確実にわかりますか?
最も信頼できる方法は、手足ではなく、赤ちゃんの首の後ろ、背中、またはお腹を触ることです1。これらの「体の中心」が温かく、汗をかいていなければ、赤ちゃんは快適な状態です。もし中心部まで冷たく感じる場合は、低体温症の可能性を考え、慎重に暖めながら他の症状がないか観察し、必要であれば医療機関に相談してください。
Q3: 暖めすぎ(オーバーヒーティング)の兆候は何ですか?
暖めすぎのサインには、首の後ろや背中の発汗、顔の紅潮、速い呼吸、落ち着きがない、ぐずるといったものがあります2。暖めすぎは乳幼児突然死症候群(SIDS)のリスクを高めるため、非常に危険です14。室温を適切に管理し、衣服を1枚減らすなどの対応が必要です。
Q4: 末梢性チアノーゼと中心性チアノーゼの違いは何ですか?
最も重要な違いは、青紫色が見られる場所です。末梢性チアノーゼは手足に限定され、唇や舌はピンク色を保っており、通常は無害です。一方、中心性チアノーゼは唇、舌、口の中が青紫色になり、これは血中の酸素が不足している危険なサインです。中心性チアノーゼが見られた場合は、直ちに救急車(119番)を呼んでください911

結論

新生児の手足が冷たいことは、ほとんどの場合、未熟でありながらも非常に賢い体が適応し、発達している過程での全く正常な現れです。それは、赤ちゃんの素晴らしい生存メカニズムが、最も重要なものを守るために効果的に機能している証拠です。
しかし、保護者としてのあなたの観察力と警戒心は不可欠です。信頼できる3つのツール、「体の中心の確認」「色の確認」「行動の確認」を心に留め、信じてください。この記事で得た科学的根拠に基づく知識とあなたの直感が、最良の道しるべとなるでしょう。何かがおかしいと感じたときは、決して医療機関の助けを求めることをためらわないでください。小さな命を育むことは、挑戦に満ちていますが、それ以上に価値のある旅であり、あなたはその旅路で決して一人ではありません。

免責事項
この記事は情報提供のみを目的としており、専門的な医学的アドバイスを構成するものではありません。健康に関する懸念がある場合、またはご自身の健康や治療に関する決定を下す前には、必ず資格のある医療専門家にご相談ください。

参考文献

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