「成長痛やスポーツで痛めただけ」と言われたけれど、骨の痛みや腫れがなかなか良くならない…。レントゲン検査をしても原因がはっきりしない…。そんな状況が続くと、「もしかして骨のがんでは?」と不安になる方も少なくありません。
骨にできるがんには、大腸がんや乳がんなど、ほかの臓器から転移してくる「転移性骨腫瘍」と、骨そのものから発生する「原発性骨がん(原発性悪性骨腫瘍)」があります。原発性骨がんは全がんの中でも非常にまれですが、年齢が若くても起こることがあり、早期から専門的な診断・治療を受けることがとても重要です。
この記事では、厚生労働省や国立がん研究センター、日本の整形外科学会のガイドライン、海外のがん情報サイトなどの信頼できる情報にもとづいて、原発性骨がんの種類、症状、検査、治療の流れ、日常生活で気をつけたいサインや受診の目安を、できるだけわかりやすく整理しました。
「自分や家族に当てはまるかもしれない」と不安な方が、ご自身の状態を落ち着いて振り返り、いつ・どこで・どのように相談したらよいかをイメージできるようになることが、このページのゴールです。
Japanese Health(JHO)編集部とこの記事の根拠について
Japanese Health(JHO)は、健康と美容に関する情報を提供するオンラインプラットフォームです。膨大な医学文献や公的ガイドラインを整理し、日常生活で活用しやすい形でお届けすることを目指しています。
本記事の内容は、国立がん研究センター希少がんセンターによる「骨の肉腫」の解説や、国立がん研究センター がん情報サービス、原発性悪性骨腫瘍診療ガイドライン2022(日本整形外科学会)、MSDマニュアル、米国国立がん研究所(NCI)などの一次情報源を中心に、JHO編集部がAIツールのサポートを受けつつ、最終的には人の目で一つひとつ確認しながら作成しています1–7。
- 厚生労働省・国立がん研究センター・専門学会などの公的情報:日本人向けの公式がん情報サイトや、希少がんセンターの解説、診療ガイドラインを優先して参照しています。
- 国内外の医学会ガイドライン・査読付き論文:原発性骨がん(原発性悪性骨腫瘍)や骨肉腫、ユーイング肉腫などに関するガイドラインや総説、系統的レビューをもとに要点を整理しています。
- 教育機関・医療機関・NPOによる一次資料:患者さん向け解説や治療の流れ、生活上の注意点に関する一次情報を必要に応じて利用しています。
AIツールは、文献の要約や構成案作成の「アシスタント」として活用していますが、公開前には必ずJHO編集部が原著資料と照合し、重要な記述を一つひとつ確認しながら、事実関係・数値・URLの妥当性を検証しています。
私たちの運営ポリシーや編集プロセスの詳細は、運営者情報(JapaneseHealth.org)をご覧ください。
要点まとめ
- 骨のがんには、ほかの臓器から広がる「転移性骨腫瘍」と、骨そのものから発生する「原発性骨がん(原発性悪性骨腫瘍)」があり、後者は全がんの中でも非常にまれな「希少がん」です1。
- 原発性骨がんの代表的なタイプは、骨肉腫・軟骨肉腫・ユーイング肉腫などで、それぞれ好発年齢や発生しやすい骨の部位、治療法が異なります1,2,4,5。
- 典型的な症状は、原因がはっきりしない持続する骨の痛みや腫れで、とくに夜間や安静時に強くなる痛み、長引く痛み、軽いケガで骨折する場合などは要注意です1,2。
- 診断にはレントゲン、CT、MRI、骨シンチグラフィー、PETなどの画像検査と、生検による組織検査が欠かせません。疑いがある場合は、骨・軟部腫瘍を専門とする医療機関での評価が勧められます1,2,3。
- 治療の中心は手術と抗がん剤(化学療法)、必要に応じた放射線治療などで、病気の種類や進行度、年齢や全身状態に応じて最適な組み合わせが検討されます1,3,5–7。
- まれな病気だからこそ、「自分だけが特別な病気になってしまった」と孤立感を抱きやすくなります。早めに専門医に相談し、必要な情報や支援を受けながら治療と生活を両立させることが大切です。
骨の痛みや腫れは、成長期の「成長痛」やスポーツによる障害、変形性関節症など、がん以外の原因でもよく起こります。その一方で、原発性骨がんのような希少がんでも似たような症状が現れるため、「様子を見ているだけでよいのか」「どのタイミングで病院に行けばよいのか」がわかりにくいのが実情です。
この記事では、まず日常生活の中で気づきやすいサインや、よくある勘違いから整理し、そのうえで原発性骨がんの種類・症状・検査・治療の流れを段階的に解説します。さらに、仕事や学校、家事・育児と治療の両立、再発や転移への不安との向き合い方など、生活面の視点も含めてお伝えします。
必要に応じて、健康全般に関する総合ガイドや、他の症状・疾患に関する解説記事も参考にしながら、ご自身やご家族の状態を整理していきましょう。
「がんかもしれない」と感じたときこそ、一人で抱え込まず、信頼できる公的情報や医療機関につながることが大切です。本記事が、その第一歩を踏み出すきっかけになれば幸いです。
第1部:原発性骨がんの基本と日常生活で気づけるサイン
最初に、原発性骨がんとは何か、転移性骨腫瘍との違い、どのような症状から気づきやすいのかを整理します。「がん」という言葉にとらわれすぎず、まずは骨の仕組みと症状の意味を理解するところから始めましょう。
1.1. 原発性骨がんとは?転移との違いをやさしく整理
骨にできる腫瘍のうち、骨そのものの細胞から最初に発生した悪性腫瘍を「原発性骨がん(原発性悪性骨腫瘍)」と呼びます1,2,3。一方、乳がんや前立腺がん、肺がんなど、ほかの臓器で生じたがん細胞が血液やリンパの流れに乗って骨へ広がったものは、「転移性骨腫瘍」と呼ばれます。
イメージとしては、骨そのものが“がんの出発点”になっているのが原発性骨がん、ほかの臓器で生まれたがん細胞が骨に“飛んできて根付いた”状態が転移性骨腫瘍です。どちらも骨の痛みや骨折の原因になりますが、治療の方針や使う薬が大きく異なるため、「どこからがんが始まったのか」を見極めることがとても重要です。
日本では、骨に発生する肉腫(骨のがん)の患者さんは年間500〜800人程度と推定されており、原発性骨がんは全がんの中でも代表的な「希少がん」のひとつとされています1。代表的なタイプには次のようなものがあります。
- 骨肉腫(こつにくしゅ):10〜20歳代の膝周囲や肩の骨に多く発生するがんで、若年者に多い一方、高齢者にも起こることがあります1,5。
- 軟骨肉腫(なんこつにくしゅ):30〜60歳代以降に多く、大腿骨・骨盤・上腕骨などに発生しやすいとされています1,2。
- ユーイング肉腫:主に10〜20歳前後の小児・若年者に多く、長管骨(太ももやすねなどの長い骨)や骨盤に発生することが多い肉腫です1,4,6。
- その他のまれな腫瘍:脊索腫や線維肉腫、巨細胞腫など、頻度は低いものの重要な腫瘍がいくつか知られています2。
1.2. 痛み・腫れ・動かしにくさ…日常生活で気づきやすい症状
骨腫瘍で最も多い自覚症状は「痛み」と「腫れ」です1,2。ただし、痛みや腫れはスポーツ障害や打撲、成長期の痛み(成長痛)などでも起こるため、症状だけで骨のがんかどうかを判断することはできません。
それでも、次のような特徴がある場合には、一度整形外科で相談しておくと安心です。
- 同じ場所の骨の痛みが数週間〜数か月以上続いている。
- 夜間や安静にしているときのほうが痛みが強くなる。
- 局所がじんわり腫れてきて、触ると硬いしこりのように感じる。
- 原因となる大きなケガがないのに、軽い転倒や捻挫で骨折してしまった。
- 痛みのために関節がうまく動かせず、歩きにくい・階段が辛いなど日常生活に支障が出ている。
これらの症状は必ずしもがんを意味するものではありませんが、「単なる筋肉痛や疲労」と決めつけて自己判断で様子を見続けると、病気の発見が遅れてしまうことがあります。特に成長期の子どもは「部活で痛めただけ」「成長痛だろう」と思われやすいため、痛みが長引く場合は早めに医療機関で相談しましょう。
1.3. よくある勘違いと“NGな放置パターン”
原発性骨がんに限らず、骨の病気全般でよく見られる「勘違い」や「放置のパターン」を知っておくと、自分の行動を振り返りやすくなります。
- 「若いからがんではない」と決めつけてしまう:骨肉腫やユーイング肉腫は、むしろ10〜20歳代の若い世代に多いがんです1,4,5。
- 痛み止めや湿布で“ごまかしながら”スポーツを続ける:痛みの原因が骨の腫瘍であった場合、無理に運動を続けると骨折(病的骨折)を引き起こし、治療が難しくなることがあります1。
- 整骨院やマッサージだけで様子を見てしまう:骨自体の病気が原因の場合、画像検査や血液検査が必要です。一定期間改善が見られないときは整形外科に相談しましょう。
- 「どうせがんだったら治らない」とあきらめてしまう:原発性骨がんはまれな病気ですが、適切な治療により、病型や病期によっては長期生存や治癒が期待できるケースも少なくありません1,5–7。
| こんな症状・状況はありませんか? | 考えられる主な背景・原因カテゴリ |
|---|---|
| 成長期の子どもで、運動後に両足がズキズキ痛むが、休むと改善する | 成長痛、軽いスポーツ障害などの可能性(ただし長引く場合は整形外科で相談を) |
| 部活や仕事で同じ動作を繰り返した後に、関節周辺が痛み・腫れている | 捻挫・腱炎・疲労骨折などスポーツ障害の可能性 |
| 特に大きなケガがないのに、同じ部位の骨の痛みが数週間〜数か月続く | 原発性骨がんや骨髄炎、変形性関節症など、骨・関節の病気の可能性 |
| 以前にがんの治療を受けており、その後に新たな骨の痛みが出てきた | ほかの臓器からの「転移性骨腫瘍」の可能性(原発性骨がんとは別の病態) |
| 軽い転倒で骨折し、その部位のレントゲンで“異常な陰影”を指摘された | 原発性骨がんや骨の良性腫瘍などを含む「骨腫瘍」全般の可能性 |
第2部:身体の内部要因 — 遺伝・基礎疾患・既往歴との関係
生活習慣だけでは説明できない背景として、遺伝的な要因や骨の病気、過去の治療歴などが関係していることもあります。ここでは、原発性骨がんの「なりやすさ」に影響すると考えられている主な要因を整理します。
2.1. 年代によって異なる発症の傾向
原発性骨がんは、がんとしては非常にまれですが、発症しやすい年齢層が病型ごとにある程度わかっています1,2,4,5。
- 10〜20歳代の思春期・若年成人:骨肉腫やユーイング肉腫が発生しやすい時期です。特に、身長がぐんと伸びる成長期に、膝周囲(大腿骨遠位部・脛骨近位部)や上腕骨近位部に発生することが多いとされています。
- 30〜60歳代:軟骨肉腫など、一部の原発性骨がんが増えてくる年代です。骨盤や大腿骨、肩甲骨などの深部の骨に発生することもあり、痛みや腫れに気づきにくい場合があります。
- 高齢者:Paget病などの骨の慢性疾患を背景に、二次的に骨の悪性腫瘍が発生することがあると報告されています2,5。また、加齢に伴う骨粗しょう症により骨折しやすくなるため、「高齢だから骨折しやすいだけ」と決めつけず、画像検査で異常陰影があれば専門医の評価が重要です。
「この年代だから絶対に大丈夫」「この年代だから必ず骨のがんだ」というものではありませんが、「自分の年代で起こりやすい病気は何か」を知っておくことで、症状の意味をより正確に捉えやすくなります。
2.2. 遺伝的素因や骨の病気、過去の治療歴
ほとんどの原発性骨がんは、明確な原因がわからないとされていますが、一部では以下のような要因が関係すると報告されています2,5,7。
- 遺伝性疾患との関連:網膜芽細胞腫やLi-Fraumeni症候群など、特定の遺伝性がん症候群では、骨肉腫などの原発性骨がんを発症しやすいことが知られています。
- 骨の慢性疾患:Paget病(骨Paget病)や線維性骨異形成、遺伝性多発性外骨腫など、骨の構造が長期にわたって変化する病気では、まれに悪性化して骨肉腫や軟骨肉腫を生じることがあります。
- 高線量の放射線治療歴:他のがんなどの治療のために高線量の放射線を受けた部位に、数年〜十数年後、二次性の骨肉腫が発生することがあると報告されています。
- 良性腫瘍からの変化:良性とされる軟骨腫や骨軟骨腫などが、時間をかけて一部悪性化するケースがあるとされています。
これらの要因があっても、多くの人は一生原発性骨がんになりません。一方で、こうした背景を持つ方が新たな骨の痛みや腫れを感じた場合は、早めに専門医に相談するほうが安心につながります。「リスクがある=必ず発症する」ではなく、「少し注意して経過を見たほうがよい」というイメージで捉えるとよいでしょう。
2.3. 日常生活でできる「気づき」の工夫
原発性骨がんそのものを生活習慣だけで予防する方法は、現時点では確立されていません。ただし、次のような工夫は、骨のがんに限らず、さまざまな病気の早期発見・早期相談につながります。
- 痛みの場所・程度・時間帯をメモしておく:スマートフォンのメモやカレンダーに、「いつ、どのくらい痛んだか」「夜間に目が覚めるほどか」などを書き残しておくと、診察時に役立ちます。
- 左右差や動きの変化に気づく:同じ動作をしたときに、左右どちらかだけに痛みや違和感が集中していないか、歩き方が変わっていないかを意識してみましょう。
- 長引く痛みは自己判断で放置しない:市販薬や湿布で一時的に痛みが軽くなっても、数週間〜1か月以上同じ痛みが続く場合は、一度整形外科で相談しておくと安心です。
- 既往歴や家族歴を整理しておく:過去の放射線治療歴や骨の病気、家族に骨のがんや遺伝性のがん症候群がいるかどうかを整理しておくと、医師が全体像を把握しやすくなります。
第3部:専門的な診断が必要な原発性骨がんのタイプと検査の流れ
ここでは、原発性骨がんの代表的なタイプと、その診断に必要となる検査のイメージを整理します。実際の診断・治療は必ず専門医が行いますが、全体像を知っておくことで、不安な気持ちを少し和らげることができます。
3.1. 骨肉腫(Osteosarcoma)
骨肉腫は、骨をつくる細胞(骨芽細胞)に由来する悪性腫瘍で、日本では年間200〜300人程度と推定される希少ながんです1,5。10代後半から20代前半に多く、膝関節周囲(大腿骨遠位部・脛骨近位部)や上腕骨近位部に好発しますが、高齢者にも起こることがあります。
典型的な症状は、運動とは関係なく持続する骨の痛みや腫れです。初期には「成長痛」や「スポーツ障害」と誤解されることもありますが、徐々に痛みが増強し、夜間や安静時にも痛むようになります1,5。レントゲン検査で特徴的な骨の変化が見られることが多く、CTやMRIで腫瘍の広がりを評価します。
治療の基本は、全身化学療法と手術(患肢温存術または切断術)の組み合わせです1,3,5。多くの場合、まず抗がん剤で腫瘍を縮小させ、その後に広範切除(がんを含む一定の範囲をまとめて切除する手術)を行い、必要に応じて人工関節や骨移植で機能再建を行います。術後にも残存するがん細胞をたたく目的で化学療法を続けることが一般的です。
3.2. ユーイング肉腫と軟骨肉腫
ユーイング肉腫は、主に小児・若年者の骨や軟部組織に発生する肉腫で、骨肉腫に次いで頻度の高い骨の悪性腫瘍です1,4,6。大腿骨や骨盤、脊椎などに発生し、間欠的な骨の痛みや腫れ、発熱などが見られることがあります。診断には、レントゲンやMRIに加え、特徴的な融合遺伝子の有無を調べる検査が行われます。
ユーイング肉腫の治療も、全身化学療法と手術、放射線治療を組み合わせるのが標準的です。放射線感受性が比較的高い腫瘍であるため、腫瘍の位置や大きさによっては、手術の代わりに放射線治療を中心に行うこともあります1,4,6。
軟骨肉腫は、軟骨をつくる細胞に由来する腫瘍で、40歳以降の比較的高い年齢層に多いとされています1,2。骨盤や大腿骨、肩甲骨などの深部に発生することが多く、鈍い痛みや腫れが徐々に進行します。悪性度の低いタイプから高いタイプまでさまざまな亜型があり、治療も手術中心のものから再発リスクが高いものまで幅があります。
軟骨肉腫は、化学療法や放射線治療への反応が乏しいことが多く、基本的には腫瘍を取り切る手術が主な治療になります2。そのため、術前に悪性度を含めた正確な診断を行うことが非常に重要です。
3.3. 診断の流れ:画像検査と生検
原発性骨がんかどうかを判断するためには、次のようなステップを踏むのが一般的です1–3,7。
- 問診・診察:いつから、どの部位が、どのように痛むのか、ケガやスポーツ歴、既往歴などを詳しく確認します。
- レントゲン検査:骨の形や密度の変化、骨の破壊像・新生骨(余分な骨の形成)などを確認します。原発性骨がんでは特徴的な像が見られることがあります。
- CT・MRI・骨シンチグラフィー・PETなど:腫瘍の広がり(骨の中・外、軟部組織への浸潤)、周囲の神経・血管との関係、遠隔転移の有無などを調べます。
- 生検(せいけん):最終的な診断のためには、腫瘍の一部を採取して顕微鏡で観察する組織検査が不可欠です。骨の肉腫では、生検の方法や切開部位が後の手術に大きく影響するため、経験豊富な施設で慎重に行うことが重要とされています。
- 病期(ステージ)と悪性度(グレード)の評価:腫瘍細胞の見た目(分化度)、腫瘍の大きさ、骨の外への進展、遠隔転移の有無などから、病期や悪性度が総合的に判断されます。
「生検」という言葉だけを聞くと怖く感じるかもしれませんが、適切な計画のもとで行うことで、できるだけ負担を少なくしつつ診断の精度を高めることができます。気になる点があれば、遠慮せずに手術方法や麻酔、入院期間などについて医療スタッフに質問して構いません。
第4部:今日から始める改善アクションプラン ― 不安と向き合いながら次の一歩へ
原発性骨がんかどうかにかかわらず、「骨の痛みが長引いている」「がんかもしれない」という不安は、仕事や家事、学業にも大きな影響を与えます。ここでは、今日からできる小さな一歩から、医療機関での相談、治療と生活の両立まで、段階的なアクションプランの一例を紹介します。
| ステップ | アクション | 具体例 |
|---|---|---|
| Level 1:今日からできること | 症状と生活を「見える化」する | 痛みの場所・強さ・時間帯・きっかけをメモする/無理な運動や重い荷物を避ける/市販薬は自己判断で長期連用しない |
| Level 2:1〜2週間以内に検討したいこと | 整形外科やかかりつけ医への相談 | 長引く痛みや腫れ、歩きにくさなどを伝え、必要に応じてレントゲンやMRIなどを受ける/以前の検査データやお薬手帳を持参する |
| Level 3:専門的な評価が必要なとき | 骨・軟部腫瘍の専門施設への紹介・受診 | 原発性骨がんが疑われる場合、大学病院やがん拠点病院などの専門診療科への紹介状を書いてもらう/セカンドオピニオンを検討する |
| Level 4:診断後に大切なこと | 治療計画と生活のバランスを整える | 仕事や学校、家事・育児との両立について主治医や医療ソーシャルワーカーに相談する/リハビリテーションや支援制度の情報を集める |
| Level 5:長期的なフォロー | 定期通院と心身のケア | 再発・二次がんのチェックのための定期検査を続ける/痛みや不安、落ち込みが強いときは心の専門家に相談する |
すべてのステップを一度に完璧にこなす必要はありません。「まずは痛みの記録をつけてみる」「次の休みに近くの整形外科に行ってみる」といった小さな一歩からで構いません。状況に応じて、医療側と相談しながら進めていきましょう。
第5部:専門家への相談 ― いつ・どこで・どのように?
「この症状で本当に病院に行くべき?」「どの診療科を受診すればよい?」という迷いは、多くの方が抱くものです。ここでは、受診の目安や診療科の選び方、診察時に役立つ準備について整理します。
5.1. すぐに受診を検討したい危険なサイン
- 数週間以上続く骨の痛みが徐々に強くなり、夜間や安静時にも強く痛む。
- 原因となる大きなケガがないのに、骨の痛みとともに局所の腫れやしこりがはっきりしてきた。
- 軽い転倒やくしゃみ程度の衝撃で骨折してしまった、または骨折と診断されたが、レントゲンで「骨の形が少しおかしい」と言われた。
- 痛みとともに、しびれ・筋力低下・足がもつれるなどの神経症状が出てきた。
- 原因不明の発熱や体重減少、強い倦怠感など、全身症状が続いている。
これらのサインがあるからといって、必ずしも原発性骨がんとは限りませんが、いずれも放置すべきではない症状です。早めに整形外科やがん専門の医療機関に相談し、必要な検査を受けることで、骨のがん以外も含めたさまざまな病気の早期発見につながります。
強い痛みで歩けない、手足が突然動かしにくくなった、排尿・排便が急にしづらくなった、などの症状がある場合は、ためらわずに救急外来や119番通報を検討してください。
5.2. 症状に応じた診療科の選び方
- まずは整形外科へ:骨や関節の痛み・腫れ・骨折が主な症状の場合、多くは整形外科が窓口になります。近くの総合病院や地域の整形外科クリニックを受診し、必要に応じて専門施設を紹介してもらいましょう。
- 骨・軟部腫瘍を専門とする施設:原発性骨がんが疑われる場合、大学病院やがん専門病院など、骨・軟部腫瘍の診療経験が豊富な施設での治療が推奨されます1,3。日本整形外科学会や国立がん研究センターのサイトでは、専門施設に関する情報が掲載されています。
- 小児の場合:子どもで骨のがんが疑われる場合は、小児がん専門の診療体制(小児腫瘍科や小児血液・がん科など)を持つ施設への紹介が重要です4,6。
5.3. 診察時に持参すると役立つものと費用の目安
- 症状メモ・痛みの記録:いつからどこが痛むのか、痛みの程度、夜間の痛みの有無、腫れや熱感の有無などをメモしておくと、診察がスムーズになります。
- これまでの検査結果や画像:既にレントゲンやMRIなどの検査を受けている場合は、画像データ(CDなど)と検査報告書を持参すると、情報の重複を避けられます。
- お薬手帳・既往歴のメモ:過去に受けた放射線治療や、骨の病気、ほかのがんの治療歴などは、原発性骨がんのリスク評価にも役立ちます。
- 費用の目安:検査内容によって費用は大きく変わりますが、日本では公的医療保険が適用されるため、自己負担は原則3割(年齢や所得により異なる場合あり)となります。高額療養費制度など、医療費の負担を軽減する仕組みもありますので、医療ソーシャルワーカーや窓口で相談してみましょう。
よくある質問
Q1: 骨の痛みが長く続くと、すぐに原発性骨がんを疑うべきですか?
A1: 骨の痛みの多くは、打撲や筋肉痛、関節炎、成長痛、スポーツ障害など、がん以外の原因によるものです。一方で、原因がはっきりしない痛みが数週間〜数か月続き、夜間や安静時にも強くなる場合、原発性骨がんを含む骨の病気を念頭に置いて整形外科で相談することが勧められます1,2。自己判断で放置せず、「気になるから一度診てもらう」くらいの気持ちで受診して構いません。
Q2: 原発性骨がんと骨への転移がんは、どう違うのですか?
A2: 原発性骨がんは、骨そのものの細胞から最初に発生したがんで、骨肉腫や軟骨肉腫、ユーイング肉腫などが代表的です1,2。一方、骨への転移がん(転移性骨腫瘍)は、乳がんや前立腺がん、肺がんなど、ほかの臓器で生じたがん細胞が骨に広がった状態を指します2,7。症状は似ていても、治療の組み立て方や使用する薬が異なるため、「どこからがんが始まったか」を見極めることが重要です。
Q3: 原発性骨がんはどのくらい治る可能性があるのでしょうか?
A3: 原発性骨がんの予後(治療後の経過)は、がんの種類(骨肉腫・ユーイング肉腫・軟骨肉腫など)、病期(ステージ)、年齢や全身状態、治療にどのくらいよく反応したかなど、さまざまな要因によって大きく異なります1,5–7。たとえば、四肢に発生した骨肉腫で初診時に遠隔転移がない場合、集学的治療により5年生存率が約70%程度と報告されています1,5。ただし数字はあくまで統計上の目安であり、個々の状況によって違いますので、詳しくは担当医と相談してください。
Q4: 若い人に多いと聞きましたが、高齢者は心配しなくてよいのでしょうか?
A4: 骨肉腫やユーイング肉腫は若年者に多い一方、軟骨肉腫や一部の原発性骨腫瘍は中高年以降に多く発生するとされています1,2。また、高齢者では骨粗しょう症や変形性関節症に伴う痛みとの区別が難しい場合もあります。年齢に関係なく、「今まで経験したことのない種類の痛み」「長引く痛み」「軽いケガで骨折した」などのサインがある場合は、年齢だけで判断せず整形外科で相談しましょう。
Q5: 子どもがスポーツ中に膝の痛みを訴えています。原発性骨がんの可能性はありますか?
A5: 成長期の子どもがスポーツ中に膝の痛みを訴える場合、多くは成長痛やスポーツ障害(オスグッド病など)が原因です。ただし、骨肉腫やユーイング肉腫など、一部の原発性骨がんも同じ部位に発生するため、痛みが長引く、夜も眠れないほど痛む、腫れが目立つ、歩き方が変わってきたなどの変化が見られる場合は、小児も診ている整形外科や小児科で相談してください1,4,6。
Q6: 原発性骨がんと診断された場合、仕事や学校は続けられますか?
A6: 診断の時期や治療の内容(手術・化学療法・放射線治療など)、職種や学年によって大きく異なります。入院や通院が続く期間は、休職や休学が必要になることもありますが、治療の段階が落ち着いた後に復職・復学を目指す方も多くいらっしゃいます。日本では、主治医や看護師、医療ソーシャルワーカー、リハビリスタッフなどが連携し、仕事や学校との調整、障害者手帳・傷病手当金・就労支援制度などについて相談に乗ってくれる場合があります。早い段階から「働き方・学び方」についても主治医と話し合うことが大切です。
Q7: 原発性骨がんは再発や転移が多いのでしょうか?
A7: 再発や転移のリスクは、がんの種類・病期・治療への反応などによって異なります。骨肉腫やユーイング肉腫では、肺や他の骨への転移が問題になることがあり、治療後もしばらくは定期的な画像検査が行われます1,5–7。再発や転移が見つかった場合でも、追加の手術や化学療法、放射線治療など、状況に応じた治療オプションが検討されます。不安が強いときは、一人で抱え込まず、主治医や医療スタッフに率直に気持ちを伝えてみてください。
Q8: インターネットで情報を調べると不安になります。どの情報を信じればいいですか?
A8: 原発性骨がんは希少がんなので、インターネット上には古い情報や信頼性が不明な情報も少なくありません。日本では、国立がん研究センターの「がん情報サービス」や「希少がんセンター」のサイト、厚生労働省や専門学会の資料など、公的機関が発信する情報をまず優先して参照すると安心です1,3,4。海外のサイトを読む場合も、国立がん研究所(NCI)や大規模がんセンターなど、信頼できる医療機関の情報に絞るとよいでしょう6,7。わからない点があれば、印刷して主治医に確認してもらうのも一つの方法です。
結論:この記事から持ち帰ってほしいこと
原発性骨がんは、全がんの中でも非常にまれで、多くの骨の痛みはがん以外の原因によるものです。しかし、「まれだから自分には関係ない」と決めつけてしまうと、必要な検査や治療のタイミングを逃してしまうことがあります。特に、原因がはっきりしない骨の痛みや腫れが長引く場合、夜間や安静時にも強く痛む場合、軽いケガで骨折してしまった場合などには、一度専門家の目で確認してもらうことが大切です。
この記事では、原発性骨がんの基本的な種類や症状、検査・治療の流れ、日常生活で気づきやすいサイン、受診の目安などを幅広く紹介しました。すべてを一度で覚える必要はありません。興味があるところ、今の自分の状況に関係のありそうな部分から少しずつ読み返していただければ十分です。
「がんかもしれない」と感じたときこそ、一人で抱え込まず、信頼できる公的情報や医療機関につながることが、心身の負担を減らす第一歩になります。Japanese Health(JHO)編集部は、これからも厚生労働省や専門学会、世界の公的機関が発信する情報にもとづき、日本に暮らす方々が安心して使える健康情報をお届けしていきます。
この記事の編集体制と情報の取り扱いについて
Japanese Health(JHO)は、信頼できる公的情報源と査読付き研究に基づいて、健康・医療・美容に関する情報をわかりやすくお届けすることを目指しています。本記事では、国立がん研究センター希少がんセンターやがん情報サービス、原発性悪性骨腫瘍診療ガイドライン2022、日本整形外科学会・日本小児血液・がん学会、MSDマニュアル、米国国立がん研究所(NCI)などの資料を中心に内容を整理しました1–7。
本記事の原稿は、最新のAI技術を活用して下調べと構成案を作成したうえで、JHO編集部が一次資料(ガイドライン・論文・公的サイトなど)と照合しながら、内容・表現・数値・URLの妥当性を人の目で一つひとつ確認しています。最終的な掲載判断はすべてJHO編集部が行っています。
ただし、本サイトの情報はあくまで一般的な情報提供を目的としており、個々の症状に対する診断や治療の決定を直接行うものではありません。気になる症状がある場合や、治療の変更を検討される際は、必ず医師などの医療専門家にご相談ください。
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