妊娠初期のつわりがようやく落ち着き、お腹も少しずつ目立ってくる妊娠中期(おおよそ妊娠13〜27週ごろ)は、「安定期」と呼ばれることも多く、多くの方にとって比較的過ごしやすい時期です。 一方で、お腹の張りや腰痛、貧血、むくみなど新たな不調が出てきたり、「赤ちゃんは順調に育っているのかな?」「お腹が痛いとき、このまま様子を見て大丈夫?」といった不安も生まれやすい時期でもあります。
本記事では、厚生労働省や日本の専門学会、国立成育医療研究センターなどの公的情報に基づきながら、妊娠中期の体と心、赤ちゃんの発育、健診や検査の内容、日常生活でできる対策、受診の目安となる危険なサインまで、できるだけ具体的に整理しました。
「仕事や家事を続けながら、妊娠中期をできるだけ安心して過ごしたい」「どこまでがよくある症状で、どこからが要注意なのかを知りたい」という方にとって、妊娠中期を立体的にイメージしながら対策を考えられるガイドになることを目指しています。
Japanese Health(JHO)編集部とこの記事の根拠について
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- 国内外の医学会ガイドライン・査読付き論文:日本産科婦人科学会(JSOG)の産科診療ガイドラインや、国立成育医療研究センターの情報、WHO、Cochraneレビュー、Mayo Clinicなど、科学的に検証されたエビデンスをもとに要点を整理しています。
- 教育機関・医療機関・NPOによる一次資料:妊娠中の働き方や生活上の配慮、母子保健の実務的な情報として利用します。
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要点まとめ
- 妊娠中期(おおよそ妊娠13〜27週ごろ)は、つわりが落ち着き体調が安定しやすい一方で、腰痛や貧血、お腹の張り、むくみ、静脈瘤など妊娠特有の不調が出やすい時期です。赤ちゃんは急速に大きくなり、20週前後から胎動を感じる人が増えます。
- 日本では、妊娠中期以降は妊婦健診の間隔が徐々に短くなり、血圧や尿検査、体重、子宮底長、胎児超音波検査などを通じて、妊娠高血圧症候群や妊娠糖尿病、早産の兆候などを早期に見つけることが重視されています。
- 日常生活では、バランスの良い食事と適度な体重増加、十分な水分、軽い運動(マタニティヨガやウォーキングなど)、質の良い睡眠、歯科ケアや便秘対策などが、妊娠中期を快適に過ごすための基本となります。
- 強い腹痛や出血、急激な体重増加を伴うむくみ、激しい頭痛や目のチカチカ、胎動の大きな変化、高熱や排尿時の痛みなどは要注意のサインです。これらが見られる場合は、自己判断で様子を見るのではなく、早めに医療機関に相談しましょう。
- 妊娠中期は、出産場所や里帰り出産の有無、育児休業や職場復帰のタイミング、ベビー用品の準備など、今後の生活を具体的にイメージして計画を立てるのに適した時期です。パートナーや家族と早めに話し合っておくと、後半が少し楽になります。
「安定期と言われるのに、腰が痛い」「お腹が張ることが増えてきた」「立ち仕事を続けていても大丈夫?」──妊娠中期には、このような不安や疑問を抱える方が少なくありません。
この記事では、まず日常生活や仕事・家事など、身近な要因から体調の変化を振り返り、次に貧血や妊娠高血圧症候群、妊娠糖尿病、早産の兆候など、より専門的な病気の可能性について段階的に理解できるように構成しています。
必要に応じて、 関連する総合ガイド や、 詳細解説記事 など、JHO内の関連記事に自然な文脈で橋渡しを行うことで、「今の自分にはどの情報が必要か」を選びやすくすることも意識しています。
読み進めていただくことで、「自分の状態をどう理解し、いつ・どこで・誰に相談すべきか」を、妊娠中の生活や仕事、家庭の状況とあわせて具体的にイメージできるようになることを目指します。
第1部:妊娠中期の基本と日常生活の見直し
妊娠中期(一般的には妊娠13〜27週ごろ)は、胎盤が完成し、ホルモンバランスも比較的安定してくるため、初期に比べてつわりが軽くなり、体調が良くなる方が多い時期です。 一方で、お腹が大きくなることによる姿勢の変化や血液量の増加に伴い、腰痛や貧血、むくみなど、別のタイプの不調が出てきます。 ここでは、妊娠中期の体と心の基本的な変化と、毎日の生活で見直したいポイントを整理します。
1.1. 妊娠中期に起こる体と心の主な変化
妊娠中期は、日本の厚生労働省の資料でも「比較的安定している時期」とされつつ、腰痛や貧血、早産のリスクなどに注意が必要な時期として紹介されています1。 代表的な変化を、イメージしやすい形で見ていきましょう。
- お腹が前にせり出し、姿勢が変わる: 子宮が徐々に大きくなり、骨盤の上にせり上がってくることで、重心が前側に移動します。その結果、無意識のうちに腰を反らせた姿勢になりやすく、腰から背中にかけての負担が増え、腰痛や背部痛が出やすくなります。
- 乳房がさらに大きくなり、張りを感じる: 授乳に向けて乳腺や脂肪組織が発達し続けるため、ブラジャーのサイズが合わなくなったり、乳房の重さで肩こりを感じる方もいます。
- 血液量が増えることで貧血気味になりやすい: 妊娠中は、血液の「液体」の部分(血漿)が先に増えるため、赤血球の濃度が相対的に薄くなり、鉄欠乏性貧血になりやすくなります。立ちくらみや動悸、疲れやすさを感じることがあります。
- むくみ・静脈瘤: 大きくなった子宮が骨盤内の静脈を圧迫したり、ホルモンの影響で血管が拡張することで、足のむくみやこむら返り、脚の静脈瘤(血管がボコッと浮き出る)が出やすくなります。
- お腹の張り(前駆収縮): 「お腹がキューッと固くなる」ような感覚がときどき現れることがあります。数分以内に治まり、規則性がなく、痛みが軽いものであれば、生理的な子宮収縮の範囲内であることが多いとされています。ただし、張りが規則的・持続的で、痛みが強い場合は早産などの可能性があり、早めの受診が勧められます。
- 鼻づまり・歯ぐきの腫れ: 妊娠ホルモンの影響で粘膜に血流が増え、鼻づまりや鼻血、歯ぐきの腫れや出血(妊娠性歯肉炎)が起こりやすくなります。放置すると歯周病が進行することもあるため、歯科でのチェックも重要です。
- 胎動を感じるようになる: 個人差はありますが、初産婦では20週前後、経産婦ではもう少し早めに「ポコポコ」「モゾモゾ」とした胎動を感じる方が多いとされています。胎動は赤ちゃんが元気に動いているサインの一つであり、妊婦さんにとって大きな安心材料になります。
心の面では、つわりが落ち着いて気分が安定しやすくなる一方、出産や育児に向けた現実的な不安(仕事のこと、お金のこと、里帰り出産や実家・義実家との関係など)が浮かび上がりやすい時期でもあります。 不安を一人で抱え込まず、パートナーや家族、自治体の母親学級・両親学級なども活用しながら、少しずつ具体的に相談していきましょう。
1.2. 妊娠中期の不調を悪化させやすいNG習慣と見直しポイント
妊娠中期の不調の多くは、日常生活の工夫である程度軽減できることがあります。ここでは、ありがちな行動と、その代わりに試したい対策を整理します。
- 長時間の立ち仕事・歩きっぱなし: 休憩を挟まずに立ち続けると、足のむくみや腰痛、子宮の収縮(お腹の張り)を招きやすくなります。厚生労働省の資料でも、流早産予防のために長時間の立ち作業や歩行の継続を避けることが推奨されています1。 職場では、1〜2時間ごとに座って休憩を取れるように上司・同僚と相談しておきましょう。
- 重い荷物を持つ・急にかがむ動作: 買い物袋や子どもを抱き上げる動作などで、急に腰をひねったり前かがみになると、腰や骨盤に大きな負担がかかります。荷物は分散して持つ、キャリーカートを使う、しゃがむときは膝を曲げて腰を落とすなど、体に負担の少ない動きを意識しましょう。
- 夜更かし・スマートフォンの長時間使用: 寝る直前まで明るい画面を見続けると、睡眠リズムが乱れ、疲労感や自律神経の乱れにつながります。就寝1〜2時間前からスマホやパソコンの使用を控え、照明を少し落としてリラックスする時間を作ると、睡眠の質が上がりやすくなります。
- 偏った食事や間食のとり過ぎ: 甘いお菓子や菓子パンに偏ると、体重増加や妊娠糖尿病のリスクが高まります。妊娠中は毎日少しずつ体重が増えるのが自然ですが、急激な体重増加はむくみや高血圧の原因にもなります。間食はヨーグルト、果物、ナッツ、具だくさんの味噌汁など、栄養がとれつつ満足感もあるものを選びましょう。
- 水分不足・我慢しがちなトイレ: つわりが落ち着くと水分を意識しなくなる方もいますが、水分不足は便秘や尿路感染症、お腹の張りの原因にもなります。日中を中心にコップ1杯程度の水やお茶をこまめに飲むことを心がけましょう。
- 歯科受診を先延ばしにする: 「妊娠中に歯医者へ行っていいのか不安」という声もありますが、日本の自治体でも妊婦歯科健診をすすめているところが多く、妊娠中期は治療に適した時期とされています。歯ぐきからの出血や歯の痛みがある場合は、妊娠中であることを伝えた上で早めに相談しましょう。
妊娠中だからといって「何もしてはいけない」ということではありません。むしろ、無理のない範囲で体を動かし、バランスよく食べ、よく眠ることが、妊娠中期を快適に過ごすための基本です。 次の表では、「こんな症状があるときに考えられる背景」をセルフチェックの形で整理します。
| こんな症状・状況はありませんか? | 考えられる主な背景・原因カテゴリ |
|---|---|
| 夕方になると足がパンパンにむくみ、靴がきつくなる | 長時間の立ち仕事・座りっぱなし、静脈の圧迫、塩分のとり過ぎ など |
| 立ち上がるときにフラッとする、動悸がしやすい | 妊娠に伴う血液量の増加による貧血、急な体位変換 など |
| お腹がときどきキューッと張るが、数分でおさまり規則性はない | 生理的な子宮収縮(前駆収縮)の可能性があるが、頻度・痛みが増すようなら要相談 |
| 歯ぐきが腫れて血が出やすい、口の中がネバつく | 妊娠性歯肉炎、唾液の質・量の変化、口腔ケア不足 など |
| 夜中にふくらはぎがつって目が覚める(こむら返り) | 血行不良、カルシウム・マグネシウム不足、疲労、冷え など |
第2部:身体の内部要因 — 栄養・ホルモン・隠れた不調
生活習慣を整えても体調がすっきりしない場合、その背景には貧血や妊娠糖尿病、甲状腺の病気など、体の内側の状態が影響していることがあります。 妊娠中期は、こうした「隠れた不調」が見つかりやすい時期でもあり、妊婦健診での血液検査や尿検査が重要な役割を果たします。
2.1.【特に女性】ライフステージとホルモンバランスの変化
妊娠は、女性の人生の中でも特にホルモン変化が大きいライフイベントです。エストロゲンやプロゲステロンといった女性ホルモンが急激に増加し、子宮や乳房、血液循環、精神状態など、全身に影響を与えます。 妊娠中期になると、初期よりもホルモンバランスが落ち着く一方、以下のような影響が続きます。
- 感情の揺れ: 気分が安定している日もあれば、急に涙が出てしまう日もあるかもしれません。ホルモンの影響に加えて、仕事や家族との関係、出産に対する不安など、心理的な要因も絡み合います。
- 睡眠パターンの変化: 夜中にトイレで目が覚めたり、足がつって起きてしまったり、逆に日中に眠気が強くなることもあります。短い昼寝を取り入れたり、就寝前にストレッチや深呼吸を行うなど、自分なりのリズムを探っていくことが大切です。
- 皮膚や髪の変化: 顔やお腹、乳頭などに色素沈着(黒ずみ)が目立つことがあります。これはホルモンの影響によるもので、出産後に徐々に薄くなるケースが多いとされています。シミ予防の観点からも、日焼け止めや帽子、日傘などで紫外線対策を行いましょう。
妊娠中は「いつもと違う自分」にとまどいやすい時期です。「自分が弱いからだ」と責めるのではなく、「ホルモンの変化による自然な反応」と捉え、周囲の人にもそのことを共有しておくと、理解を得やすくなります。
2.2. 妊娠中期の栄養バランスと隠れた欠乏状態
妊娠中は「二人分食べなきゃ」と言われることもありますが、実際に必要なエネルギー量の増加は、妊娠中期で1日あたり約250kcal程度が目安とされています(通常の食事に小さめのおにぎり1個やヨーグルトを足すイメージ)。 むしろ大切なのは「量」よりも「質」であり、次のような栄養素を意識してとることが勧められています。
- 鉄分: 赤血球をつくる材料であり、貧血予防に欠かせません。赤身肉やレバー、カツオ、マグロ、大豆製品、ほうれん草、小松菜などに多く含まれます。ビタミンCと一緒にとると吸収が高まりやすくなります。
- 葉酸: 妊娠初期に特に重要とされていますが、中期以降も赤血球の生成や胎児の成長に関わります。緑黄色野菜や果物、豆類に多く含まれます。
- カルシウム・ビタミンD: 赤ちゃんの骨や歯の形成に必要です。牛乳・乳製品、小魚、青菜、きのこ類などを組み合わせてとり、日中の軽い日光浴でビタミンDの合成も促しましょう。
- 食物繊維と水分: 便秘や妊娠糖尿病予防のためにも、野菜・海藻・きのこ・果物・雑穀などから食物繊維をとり、こまめな水分補給を心がけます。
一方、日本の公的機関や医療機関の情報でも、妊娠中は以下のような食品を控える/避けることが推奨されています。
- 生肉・生魚(特に大型の魚に含まれる水銀量に注意)
- ナチュラルチーズなどの非加熱のナチュラルチーズ(リステリア症のリスク)
- アルコール飲料
- 大量のカフェイン飲料(コーヒー・エナジードリンクなど)
食事だけで必要量を満たすのが難しい場合、医師や助産師、管理栄養士と相談しながら、妊娠中に使用実績のあるサプリメントを取り入れることも一つの選択肢です。ただし、自己判断で複数のサプリメントを重ねて摂取すると、ビタミンAなど一部成分の過剰摂取になる場合があるため注意が必要です。
2.3. 妊娠中期に見つかりやすい代表的な「隠れた不調」
妊婦健診では、妊娠週数に応じてさまざまな検査が行われます。妊娠中期に見つかりやすい代表的な不調として、次のようなものがあります。
- 鉄欠乏性貧血: 血液検査でヘモグロビン値が低く、疲れやすさや動悸、息切れなどがある場合、鉄剤の内服が勧められることがあります。医師の指示に従って内服し、便の黒さや便秘などの副作用が気になる場合は遠慮なく相談しましょう。
- 妊娠糖尿病: 妊娠中に初めて診断される糖代謝異常で、妊娠中期にスクリーニング検査が行われることが多いです。放置すると赤ちゃんが大きくなりすぎたり、母体の高血圧や帝王切開のリスクが上がるため、食事療法や運動療法、必要に応じてインスリン治療が行われます。
- 甲状腺機能の異常: もともとの甲状腺の病気が妊娠をきっかけに明らかになることもあります。強い動悸や手の震え、体重の急な増減、極端なだるさなどが続く場合は、甲状腺の検査が行われることがあります。
- 尿路感染症: 解剖学的な変化やホルモンの影響で尿路感染症が増えやすくなります。排尿時の痛みや残尿感、発熱、腰痛などがある場合は、早めに受診して抗菌薬治療を受けることが大切です。放置すると腎盂腎炎を起こし、早産リスクにもつながります。
これらの状態は、多くが妊婦健診での検査や問診をきっかけに見つかります。「何も症状がないから大丈夫」と自己判断せず、妊婦健診のスケジュールに沿ってきちんと受診することが、自分と赤ちゃんを守る第一歩になります。
第3部:専門的な診断が必要な疾患と注意したいサイン
妊娠中期は比較的安定しているとはいえ、妊娠高血圧症候群や早産、胎児発育不全など、専門的な診断・治療が必要な状態が始まることもあります。 ここでは、代表的な疾患と、それを疑うサインを整理します。
3.1. 妊娠高血圧症候群(高血圧・むくみ・タンパク尿)
妊娠高血圧症候群は、妊娠中に新たに高血圧が出現し、ときにタンパク尿やむくみを伴う状態で、日本産科婦人科学会のガイドラインでも重視されている疾患です。 放置すると母体の脳出血や肝機能障害、胎児発育不全、胎盤早期剝離など、母子ともに重い合併症を引き起こすことがあります。
次のような症状がある場合は、早めに医師に相談しましょう。
- 急に顔や手足が大きくむくんできた(靴や指輪が入らない、朝になってもむくみが引かない)
- 1週間で体重が急に増えた(目安として1週間で1kg以上など)
- 頭痛が続く、目がチカチカする、視界がぼやける
- みぞおちあたりの痛みや吐き気が続く
妊婦健診では、毎回の血圧測定や尿検査でこうした異常の早期発見を目指しています。自宅でも血圧計を使って定期的に測定し、値をメモしておくと、診察時の参考になります。
3.2. 早産の兆候・胎盤に関するトラブル
妊娠22週以降、37週未満に出産に至ることを「早産」と呼びます。早産を完全に予防することは難しいものの、早い段階で兆候に気づき、安静や治療を行うことでリスクを下げられる場合があります。 妊娠中期に注意したいサインには、以下のようなものがあります。
- 生理痛のような下腹部痛や腰痛が規則的に続く(10〜15分おきなど)
- お腹の張りが頻回(1時間に何度も)で、休んでもおさまらない
- ピンク色や茶色のおりもの、鮮血の出血がある
- 突然大量の水っぽい液体が出た(破水の可能性)
超音波検査では、胎盤の位置や子宮頸管の長さなども確認されます。胎盤が子宮口近くにある「前置胎盤」や、子宮頸管が短い「子宮頸管無力症」など、早産リスクが高い状態が見つかった場合、仕事の制限や入院安静などが行われることがあります。
3.3. 胎児発育不全・羊水量の異常
妊娠中期の超音波検査では、赤ちゃんの頭の大きさや腹囲、太ももの骨の長さなどから推定体重を計算し、発育のスピードを確認します。 妊娠週数に比べて体重の増え方がゆっくりな場合、「胎児発育不全」が疑われ、母体の高血圧や喫煙、胎盤の血流など、さまざまな要因が検討されます。
また、羊水が極端に多い(羊水過多)または少ない(羊水過少)場合も、母体や胎児の状態を詳しく調べる必要があります。 超音波検査の結果について気になることがあれば、その場で医師や助産師に率直に質問しておくと安心です。
第4部:今日から始める妊娠中期の改善アクションプラン
妊娠中期をできるだけ快適に、安心して過ごすためには、「今日からできる小さな工夫」を積み重ねることが大切です。 ここでは、今夜からできること・今週から試したいこと・長期的に続けたいことをレベル別に整理します。
| ステップ | アクション | 具体例 |
|---|---|---|
| Level 1:今夜からできること | 睡眠環境を整え、腰とお腹に負担をかけない姿勢をとる | 左側を下にして横向きに寝て、膝の間やお腹の下にクッションや抱き枕を挟む/スマホやPCは就寝1〜2時間前にオフにする |
| Level 1:今夜からできること | 水分と軽いストレッチでこむら返りを予防する | 寝る前にコップ1杯の水や白湯を飲み、ふくらはぎや足首をゆっくり回すストレッチを行う |
| Level 2:今週から試したいこと | 食事の「主食・主菜・副菜」を意識する | ご飯(主食)+魚または肉・豆腐などのたんぱく質(主菜)+野菜のおかず(副菜)を基本形にし、間食は果物やヨーグルトなどに置き換える |
| Level 2:今週から試したいこと | 1日20〜30分のマタニティウォーキング | 体調の良い時間帯に、無理のないスピードで近所を散歩する。坂道や段差が多いコースは避け、転倒しにくい靴を選ぶ |
| Level 3:長期的に続けたいこと | 妊娠中の体調と気持ちを記録する | 手帳やアプリに「お腹の張り」「胎動」「睡眠時間」「食事」「気分」などを簡単にメモし、健診時に医師・助産師と共有する |
| Level 3:長期的に続けたいこと | 出産・育児に向けた情報収集と話し合い | 母親学級・両親学級に参加する/出産する病院の方針や面会ルールを確認する/パートナーや家族と育児休業や家事分担について話し合う |
体調が良い日もあれば、何となくやる気が出ない日や、ふとしたことで涙が出る日もあるかもしれません。 すべてを完璧にこなす必要はありません。「今日はレベル1を一つだけ」「週末にレベル2を少し試してみる」といった形で、自分のペースで取り入れていきましょう。
第5部:専門家への相談 — 受診の目安と妊婦健診の活かし方
妊娠中期を安心して過ごすためには、「どこまでがよくある症状で、どこからが受診の目安なのか」を知っておくことが大切です。 また、日本の医療制度では、公費補助を利用した妊婦健診が用意されており、これを上手に活用することで、妊娠経過を安全に見守ることができます。
5.1. すぐに受診を検討すべき危険なサイン
- 鮮血の出血や、生理2日目以上の量に感じる出血がある
- 生理痛より強い下腹部痛や、腰からお腹にかけての激しい痛みが続く
- お腹の張りが10分間隔、あるいはそれより短い間隔で規則的に続き、休んでもおさまらない
- 突然大量の水っぽい液体が出て止まらない(破水の可能性)
- 頭痛がひどく、目がチカチカする、視界がぼやける、息苦しさを伴う
- 顔や手足の急なむくみ、短期間での急激な体重増加
- 高熱(38度以上)が続く、悪寒がある、排尿時に強い痛みがある
- それまで感じていた胎動が、明らかに弱くなった・感じなくなったと感じる
これらの症状がある場合は、自己判断で様子を見続けるのではなく、かかりつけの産婦人科に連絡し、指示を仰ぎましょう。 夜間や休日で連絡がつかない場合でも、救急相談窓口や#7119(地域による)、必要に応じて119番通報の利用もためらわないでください。
5.2. 妊婦健診の頻度と主な内容
妊婦健診の頻度は自治体や医療機関によって多少異なりますが、日本では厚生労働省の示す標準的なスケジュールとして、「妊娠23週までは4週間に1回、24〜35週は2週間に1回、36週以降は毎週1回」程度が目安とされています2。
妊娠中期の健診で行われることが多い検査・チェック項目には、次のようなものがあります。
- 血圧測定・体重測定
- 尿検査(糖・タンパク・潜血など)
- 子宮底長・腹囲の測定(お腹の大きさから胎児の発育を推定)
- 赤ちゃんの心拍や位置の確認
- 超音波検査(形態異常の有無、胎盤の位置、羊水量など)
- 血液検査(貧血や血糖、感染症の再検査など)
健診の場は、「何か問題がないかを調べる」だけでなく、「日常生活や仕事、家事、上の子の育児などについて相談する場所」でもあります。 気になることがあれば、メモしておき、医師や助産師に遠慮なく質問してみましょう。
5.3. 診察時に持参すると役立つものと費用の目安
- 母子健康手帳(健診の記録や、妊娠週数の確認に必須)
- 健康保険証と、自治体から配布される妊婦健診の受診券
- 最近の体調やお腹の張り、胎動、出血の有無などをメモしたノートやアプリの記録
- 服用中の薬やサプリメントの一覧、おくすり手帳
妊婦健診は、多くの自治体で公費補助の対象となっており、指定回数までは自己負担が少なく受診できる仕組みがあります。ただし、検査内容や医療機関によっては追加費用が発生することもありますので、事前に受付で確認しておくと安心です。
よくある質問
Q1: 妊娠中期にお腹が張るのは、どこまでが「よくあること」ですか?
A1: 妊娠中期になると、子宮が大きくなる過程で、時々お腹がキューッと固くなる「張り」を感じる方が多くなります。 1回の張りが数十秒〜数分でおさまり、痛みが軽く、間隔も不規則である場合は、生理的な子宮収縮として様子を見ることが多いです。
しかし、10〜15分おきなど規則的な痛みを伴う張りが続く場合や、休んでもおさまらない強い張り、大量の出血や破水を伴う張りは早産などの可能性があるため、早めにかかりつけの産婦人科に連絡しましょう。
Q2: 妊娠中期でも仕事を続けても大丈夫でしょうか?
A2: 妊娠経過に問題がなく、医師から特別な制限が出ていない場合、多くの方は妊娠中期も仕事を続けることができます。 ただし、長時間の立ち仕事や重い荷物の運搬、夜勤や不規則勤務などは、流早産のリスクを高める可能性があるため、厚生労働省の資料でも配慮が求められています。
職場の就業規則や産前産後休業、育児休業の制度を確認しつつ、上司や人事担当者と体調や働き方について早めに相談しておくと良いでしょう。体調が優れない場合は無理をせず、産婦人科の先生から職場向けの診断書を書いてもらうことも一つの方法です。
Q3: 妊娠中期に旅行や里帰りをしても大丈夫ですか?
A3: 妊娠経過が順調で、医師から特別な注意を受けていない場合、妊娠中期は体調も安定しやすく「移動しやすい時期」と言われることがあります。 ただし、長時間同じ姿勢で座り続けると血栓症のリスクが高まるため、2時間ごとに足を動かしたり、こまめに休憩をとることが大切です。
旅行や里帰りを計画する際は、出発前に必ず主治医に相談し、移動手段や目的地周辺の医療機関、保険の補償範囲なども確認しておきましょう。 海外旅行については、地域によって感染症リスクや医療体制が異なるため、より慎重な検討が必要です。
Q4: 妊娠中期の性行為は赤ちゃんに影響しませんか?
A4: 妊娠経過が順調で、前置胎盤や早産リスクなど特別な注意事項がない場合、妊娠中期の性行為が直接赤ちゃんに害を与えるという証拠は一般的には多くありません。 子宮口はしっかり閉じており、赤ちゃんは羊水と子宮壁、胎盤などに守られています。
ただし、出血がある場合やお腹の張りが強くなる場合は中止し、医師に相談しましょう。また、お腹を圧迫しない体位を選ぶことや、無理のない範囲で行うことが大切です。 早産の既往がある方や妊娠経過に問題がある方は、主治医の指示を優先してください。
Q5: 妊娠中期に体重があまり増えません。大丈夫でしょうか?
A5: 妊娠中の体重増加には個人差があり、もともとの体格(BMI)によって望ましい増加量も変わります。 妊娠中期に入ってもまったく体重が増えない、むしろ減り続けている場合は、赤ちゃんの発育や母体の栄養状態を確認するために医師に相談しましょう。
超音波検査で赤ちゃんの推定体重が順調に増えている場合は、大きな問題がないこともありますが、無理なダイエットや極端な食事制限は推奨されません。 一方で、急激な体重増加も妊娠高血圧症候群などのリスクになりますので、健診で適切な増加ペースについて相談することが大切です。
Q6: 妊娠中期に風邪をひいてしまいました。市販薬を飲んでも大丈夫ですか?
A6: 妊娠中は、自己判断で市販薬を服用することはおすすめできません。 同じ「風邪薬」でも成分によっては妊娠中の安全性データが十分でないものもあるため、まずはかかりつけの産婦人科や内科、小児科(ママと赤ちゃんを診ているクリニックなど)で相談しましょう。
国立成育医療研究センターには「妊娠と薬情報センター」が設置されており、妊娠・授乳中の薬の相談に応じています3。 どうしても不安な場合は、主治医と相談のうえ、こうした公的な相談窓口を利用することも検討してみてください。
Q7: 胎動をあまり感じません。すぐに病院へ行くべきですか?
A7: 胎動を感じ始める時期や感じ方には大きな個人差があります。 初産婦の方では20週前後から、経産婦ではもう少し早く感じることが多いとされますが、「今日は動きが少ない気がする」と感じる日もあるかもしれません。
まだ妊娠20週に満たない場合や、胎動を感じ始めて間もない時期は、姿勢や時間帯によっても感じ方が変わることがあります。 一方、明らかに「いつもよりかなり少ない」「ほとんど動きを感じない」と不安な場合は、時間帯を変えて横向きに寝てみたり軽くお腹をさすってみても変化がない場合、念のため医療機関に相談しましょう。
結論:この記事から持ち帰ってほしいこと
妊娠中期は、多くの方にとって「つわりが落ち着き、お腹の赤ちゃんの存在を強く感じられる」比較的穏やかな時期です。 その一方で、腰痛やむくみ、貧血、お腹の張り、仕事や育児・お金の不安など、目に見えない負担や悩みを抱えやすい時期でもあります。
本記事で見てきたように、妊娠中期を安心して過ごすポイントは、次の3つに集約できます。
- 妊娠中期に起こりやすい体と心の変化を知り、「自分だけではない」と理解すること
- 日常生活(食事・睡眠・運動・仕事・家事)の中でできる工夫を少しずつ取り入れること
- 「これはおかしいかも?」と感じたときに、早めに妊婦健診や医療機関、相談窓口を活用すること
妊娠の経過や感じ方は、本当に人それぞれです。インターネットや周囲の経験談と自分を単純に比べて落ち込む必要はありません。 不安や疑問があるときは、一人で抱え込まず、かかりつけの医療機関や自治体の保健師、身近なサポート資源に相談しながら、自分と赤ちゃんにとって一番安心できるペースを一緒に探していきましょう。
この記事の編集体制と情報の取り扱いについて
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本記事の原稿は、最新のAI技術を活用して下調べと構成案を作成したうえで、JHO編集部が一次資料(ガイドライン・論文・公的サイトなど)と照合しながら、内容・表現・数値・URLの妥当性を人の目で一つひとつ確認しています。最終的な掲載判断はすべてJHO編集部が行っています。
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参考文献
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