【子宮筋腫と食事】症状とうまく付き合うための5つの食品と生活改善ガイド
女性の健康

【子宮筋腫と食事】症状とうまく付き合うための5つの食品と生活改善ガイド

「子宮筋腫と言われたけれど、すぐに手術が必要なのか心配」「食事で少しでも良い方向に向ける方法はないだろうか」――そんな不安や疑問を抱えて、このページにたどり着いた方も多いのではないでしょうか。

子宮筋腫は、子宮にできる良性のしこり(腫瘍)で、がんではありません。日本産科婦人科学会によると、30歳以上の女性の約3割前後に子宮筋腫がみられるとされており1、厚生労働省の資料でも30〜50代女性の4〜5人に1人が持っていると記載されています2。とても身近な病気である一方で、月経量の増加や貧血、下腹部の重だるさ、頻尿、腰痛など、日常生活や仕事に影響する症状を引き起こすことがあります1,7

子宮筋腫そのものを「食事だけで小さくする」ことが科学的に明確に証明されているわけではありません。しかし、最近の研究では、果物や緑黄色野菜、食物繊維の多い食事、適切なビタミンDの状態、体重管理などが、子宮筋腫の発症リスクや進行に関係している可能性が報告されています5,6。一方で、動物性脂肪の摂り過ぎや肥満は、女性ホルモンのバランスに影響し、子宮筋腫のリスクを高める可能性があると指摘されています5,6,8

本記事では、厚生労働省や日本の専門学会、最新の海外の総説論文などの信頼できる情報をもとに、子宮筋腫と食事・生活習慣の関係をわかりやすく整理します。そのうえで、特に意識したい「5つの食品グループ」を中心に、今日から始められる具体的な工夫や、どのタイミングで婦人科を受診すべきかの目安も紹介します。

なお、ここで紹介する内容はあくまで一般的な情報であり、診断や治療方針の決定を置き換えるものではありません。気になる症状がある場合や、治療中の薬との相互作用が心配な場合は、必ず医師などの医療専門職に相談してください。

Japanese Health(JHO)編集部とこの記事の根拠について

Japanese Health(JHO)は、健康と美容に関する情報を提供するオンラインプラットフォームです。膨大な医学文献や公的ガイドラインを整理し、日常生活で活用しやすい形でお届けすることを目指しています。

本記事の内容は、以下のような一次情報源に基づいて、JHO編集部がAIツールのサポートを受けつつ、最終的には人の目で一つひとつ確認しながら作成しています。

  • 厚生労働省・自治体・公的研究機関:女性の生涯健康手帳や患者調査、男女共同参画白書など、日本人向けの統計と解説を優先して参照しています2,3,4,7
  • 国内外の医学会ガイドライン・査読付き論文:日本産科婦人科学会の情報や婦人科診療ガイドライン、子宮筋腫と栄養に関する最新の総説論文・臨床研究などをもとに要点を整理しています1,5,6
  • 教育機関・医療機関・NPOによる一次資料:女性の健康支援を目的とした公的サイトや、子宮筋腫患者会がまとめた生活療法のポイントなどを、日常生活の工夫例として参考にしています8,9

AIツールは、文献の要約や構成案作成の「アシスタント」として活用していますが、公開前には必ずJHO編集部が原著資料と照合し、重要な記述を一つひとつ確認しながら、事実関係・数値・URLの妥当性を検証しています。

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要点まとめ

  • 子宮筋腫は子宮にできる良性の腫瘍で、30歳以上の女性の3割前後にみられる身近な病気です。がんではありませんが、月経量の増加や貧血、腰痛、頻尿など、日常生活や仕事に影響する症状を伴うことがあります1,2,7
  • 食事だけで子宮筋腫を確実に小さくしたり治したりできるという科学的根拠はありませんが、果物・野菜・食物繊維が多い食事や適切な体重管理は、子宮筋腫の発症リスクを下げる可能性があると報告されています5,6
  • 動物性脂肪、加工肉、砂糖の多い飲み物などを摂り過ぎる食生活や肥満は、女性ホルモン(エストロゲン)のバランスや炎症に影響し、子宮筋腫のリスクや症状悪化につながる可能性があります5,6,8
  • 特に意識したい食品グループは、①野菜・果物、②豆類・レンズ豆などの豆科食品、③精製度の低い全粒穀物、④低脂肪の乳製品、⑤大豆製品と亜麻仁などの種子類です。これらは食物繊維やビタミン、植物性タンパク質などを補い、体重管理や炎症対策にも役立ちます5,6
  • 月経量の急な増加、息切れするほどの貧血症状、強い下腹部痛や腰痛、妊娠を考えているのに月経異常がある場合などは、生活改善だけに頼らず婦人科を受診し、必要な検査・治療を受けることが大切です1,3,7

第1部:子宮筋腫の基本と日常生活の見直し

はじめに、子宮筋腫そのものについて簡単に整理し、そのうえで日常生活のどんな習慣が症状の悪化に関わりやすいのかを見ていきます。「病気の知識」と「毎日の生活」を結び付けて理解することで、無理のないセルフケアの方向性が見えやすくなります。

1.1. 子宮筋腫の基本的な仕組みとホルモンとの関係

子宮筋腫は、子宮の筋肉(平滑筋)が増えてコブのような塊になった状態を指します。多くは子宮の体部にでき、子宮の内側に向かって盛り上がる「粘膜下筋腫」、子宮の筋肉の中にできる「筋層内筋腫」、子宮の外側に向かって盛り上がる「漿膜下筋腫」に分けられます1,9

子宮筋腫は、卵巣から分泌される卵胞ホルモン(エストロゲン)の影響で成長すると考えられており、女性ホルモンが活発な20〜40代に多くみられます1,2,8。月経が早く始まった人、閉経が遅い人など、エストロゲンにさらされる期間が長いほどリスクが高いと報告されています8。一方で、閉経後はホルモンの分泌が減るため、多くの子宮筋腫は徐々に小さくなる傾向があります2,8

症状としては、月経の量が増える(過多月経)、月経期間が長くなる、レバー状の血の塊が出る、貧血によるだるさ・息切れ、下腹部の張り、頻尿、便秘、腰痛などが代表的です1,7,9。ただし、筋腫の位置や大きさによっては、ほとんど症状が出ない場合もあります。

1.2. 子宮筋腫を悪化させやすい生活習慣と見直したいポイント

子宮筋腫そのものの原因は完全には解明されていませんが、肥満や動物性脂肪の多い食事、運動不足などの生活要因が、女性ホルモンや炎症反応を通じてリスクを高める可能性が指摘されています5,6,8。ここでは、特に見直したい「NG習慣」と、その代わりに意識したい行動を挙げます。

  • 動物性脂肪の多い食事:脂身の多い肉、揚げ物、バターや生クリームたっぷりのお菓子などを頻繁にとると、エストロゲンの代謝に影響し、子宮筋腫のリスクを高める可能性があります5,6,8。週の大半をこうした食事で過ごしている場合は要注意です。
  • 食物繊維不足と慢性的な便秘:食物繊維には、腸内で余分なエストロゲンを吸着して体外へ排出する働きがあるとされています5,6,8。便秘が続くと、腸内で再吸収されるエストロゲンが増え、ホルモンバランスに影響する可能性があります。
  • 運動不足と体重増加:脂肪組織はエストロゲンを産生するため、肥満は子宮筋腫のリスク因子の一つとされています5,6。また、体重増加は膝や腰への負担を増やし、腰痛や疲労感の悪化にもつながります。
  • 睡眠不足・慢性的なストレス:明確な因果関係はまだ研究段階ですが、ストレスや睡眠不足がホルモンバランスを乱し、月経不順や痛みの増悪に関与する可能性が指摘されています5,6,7
  • 冷えや血行不良:科学的エビデンスは限定的ですが、漢方や患者会の知見では、体を冷やす食事や生活習慣が骨盤内の血流を低下させ、症状の悪化感につながるとされています8

こうした習慣を「いきなり完璧にやめる」のではなく、少しずつ頻度を減らし、代わりに野菜や豆類、魚、全粒穀物などを増やしていくことが現実的です。次の表では、よくある症状と、背景として考えられる生活習慣・原因のカテゴリを整理しました。

表1:セルフチェックリスト(子宮筋腫と生活習慣の関係の例)
こんな症状・状況はありませんか? 考えられる主な背景・原因カテゴリ
月経の量が以前より明らかに増え、レバー状の血の塊が出る 粘膜下筋腫による子宮内腔の変形、貧血の進行の可能性1,2
月経痛が強く、鎮痛薬を飲んでもつらい日が続く 子宮筋腫や子宮内膜症など器質的な原因、冷えやストレスの影響1,7,9
下腹部が常に張っている感じがあり、トイレが近くなった 子宮が大きくなり膀胱や腸を圧迫している可能性1,9
外食やコンビニ食が多く、野菜や果物はあまり食べない 食物繊維不足、脂質・糖質過多によるホルモンバランスや体重への影響5,6,8
デスクワーク中心でほとんど歩かず、ここ数年で体重が増えた 肥満・運動不足によるエストロゲン増加や血行不良のリスク5,6

第2部:身体の内部要因 — 栄養・ホルモン・隠れた不調

日常生活を見直しても症状が続く場合、その背景には栄養バランスの偏りやホルモンバランスの変化、慢性的な貧血やビタミン不足など、体の内側の問題が隠れていることがあります。この章では、特に子宮筋腫と関連が議論されている栄養やライフステージ、そして「子宮筋腫に意識して取り入れたい5つの食品グループ」について解説します。

2.1. ライフステージと女性ホルモンの変化

思春期から性成熟期にかけて、女性の体ではエストロゲンなどの女性ホルモンが増加し、月経が始まります。内閣府の白書によると、子宮筋腫は女性ホルモンで進行する病気であり、働き盛りの女性に多くみられることが指摘されています3。妊娠・出産の時期やキャリア形成とも重なるため、「忙しくて受診を後回しにしてしまう」状況が起こりやすいのも現実です。

ライフステージごとに、ホルモンバランスと子宮筋腫の向き合い方は少しずつ変わります。

  • 20〜30代:女性ホルモンが最も活発な時期で、子宮筋腫が見つかることも多い年代です2,5。妊娠や将来の妊孕性(妊娠しやすさ)も考慮しながら、経過観察か治療かを医師と相談して決める必要があります。
  • 40代:仕事や家庭での役割が増える一方、更年期に向けてホルモンの波が大きくなる時期です。月経量の増加や貧血が悪化しやすく、パフォーマンス低下や疲労感につながることがあります3,7
  • 閉経前後:閉経後は多くの子宮筋腫が小さくなる傾向がある一方で、不正出血や急な腹痛など、他の病気との見分けが必要な症状が出ることもあります1,9

どのライフステージでも共通して大切なのは、「症状を我慢し続けないこと」と「自分の体の変化を記録し、必要なタイミングで医療者に相談すること」です。その土台として、栄養バランスの整った食事は大きな支えになります。

2.2. 貧血・ビタミンD不足など「隠れた欠乏状態」

子宮筋腫では、月経量の増加や出血の長期化により、鉄欠乏性貧血が起こりやすくなります1,2,7。息切れ、動悸、疲れやすさ、顔色の悪さ、爪が割れやすいなどの症状がある場合は、血液検査を受けて鉄の状態を確認することが重要です。食事からは、赤身の肉や魚、レバー、貝類、ほうれん草、小松菜、大豆製品などを組み合わせてとることが勧められますが、重度の貧血では内服薬や注射による治療が必要になることもあります。

また、近年の研究では、ビタミンD不足と子宮筋腫のリスク上昇や再発との関連が報告されています6,10,11。ビタミンDは骨や筋肉だけでなく、細胞増殖や免疫にも関与するホルモン様ビタミンで、日光に当たることや魚・卵・きのこ類などの食品から摂取されます。ある臨床研究では、ビタミンDを補給することで、子宮筋腫の再発率やサイズが低下したとの報告もありますが、投与量や期間、対象者の背景など、今後さらに検証が必要です10,11

これらの栄養素は、「サプリメントを飲めばよい」という単純な話ではありません。食事全体のバランス、既存の持病や服薬状況によって適切な量は異なります。サプリメントを検討する場合は、自己判断で大量に摂るのではなく、必ず医師や薬剤師に相談しましょう。

2.3. 子宮筋腫に意識して取り入れたい5つの食品グループ

子宮筋腫に対する食事療法は、「特定の食品だけを食べれば治る」というものではなく、全体としてバランスの良いパターンを長期的に続けることが重要です。子宮筋腫と食事についてまとめた総説論文では、果物や緑黄色野菜、食物繊維の多い食品を多く含む食事が子宮筋腫のリスクを低下させる可能性があり、一方で赤身肉や加工肉、糖質の多い食事はリスクを高める可能性が示されています5,6

ここでは、特に意識して取り入れたい5つの食品グループを紹介します。

  • ① 野菜・果物(特に緑黄色野菜と柑橘類)
    緑黄色野菜や果物には、ビタミンCやカロテノイド、ポリフェノールなどの抗酸化成分が豊富に含まれています。総説では、果物や緑の葉野菜の摂取量が少ない女性ほど、子宮筋腫の発症リスクが高いという観察研究の結果が複数紹介されています5,6
    日常生活では、「毎食に少なくとも1皿の野菜」「1日2回以上の果物」を目安に、サラダや煮物、果物のデザートなどで少しずつ増やしていくとよいでしょう。
  • ② 豆類・レンズ豆などの豆科食品
    大豆・ひよこ豆・レンズ豆・インゲン豆などの豆類は、食物繊維と植物性タンパク質が豊富で、血糖値の上昇を緩やかにし、体重管理にも役立ちます。食物繊維には、腸内で余分なエストロゲンを吸着して排出を促す働きがあるとされており5,6,8、子宮筋腫のリスク低下に関わる可能性も議論されています。
    和食では、納豆・冷奴・おから・煮豆、欧風メニューではレンズ豆のスープやサラダなど、日替わりで取り入れやすい形にアレンジできます。
  • ③ 全粒穀物(玄米・雑穀・オートミールなど)
    白米や白いパンなどの精製穀物に比べ、玄米や雑穀、全粒粉パン、オートミールなどの全粒穀物は、食物繊維やビタミン、ミネラルが豊富で、血糖値の急上昇を抑えます5,6
    子宮筋腫の研究でも、精製度の低い穀物を多くとる食事パターンは、肥満やインスリン抵抗性のリスク低下を通じて、子宮筋腫にも良い影響をもたらす可能性が示唆されています5,6。白米の一部を雑穀米に変えたり、朝食をパンからオートミールに変えてみるなど、小さな工夫から始めてみましょう。
  • ④ 低脂肪の乳製品(ヨーグルト・チーズなど)
    一部の研究では、適量の乳製品摂取が子宮筋腫のリスク低下と関連する可能性が報告されており、その背景にはカルシウムやビタミンDなどの栄養素が関与していると考えられています5,6,10
    ただし、脂肪分の多い乳製品をとり過ぎると、総摂取カロリーや飽和脂肪酸の増加につながり、体重増加や生活習慣病リスクが高まります。なるべく低脂肪または無脂肪タイプの牛乳・ヨーグルト・チーズを選び、甘味の多いデザート型乳製品は控えめにするのがおすすめです。
  • ⑤ 大豆製品・亜麻仁などの種子類
    大豆に含まれるイソフラボンや、亜麻仁に含まれるリグナンなどの「植物エストロゲン」は、エストロゲンに似た構造を持ちながら、体内ではエストロゲン受容体にやや弱く結合し、ホルモンバランスの調整に関わる可能性があると考えられています5,6
    一部の観察研究では、大豆食品の適量摂取が子宮筋腫リスクの低下と関連する可能性が示されていますが、逆にリスクを高めるという明確な証拠は現時点では限定的です5,6。日本人の一般的な食生活における範囲(味噌汁、豆腐、納豆など)であれば、過度に心配する必要は少ないと考えられます。
    亜麻仁(フラックスシード)は、食物繊維やオメガ3脂肪酸も豊富で、便通改善や炎症対策にも役立つとされています5,6。すりつぶしたものをヨーグルトやサラダにふりかけるなど、少量ずつ取り入れるとよいでしょう。

これらの食品グループは、あくまで「バランスのよい食事」の一部として位置づけることが大切です。特定の食品に偏るのではなく、1日の中で少しずつ取り入れ、続けやすいスタイルを見つけていきましょう。

第3部:専門的な診断が必要な疾患

生活習慣や食事の工夫は大切ですが、「症状が子宮筋腫によるものなのか」「別の病気が隠れていないか」は、自己判断だけではわかりません。この章では、子宮筋腫の診断・治療の基本と、似た症状を引き起こす他の婦人科疾患について整理します。

3.1. 子宮筋腫が疑われるときの検査と診断

子宮筋腫が疑われる場合、まずは問診と内診、経腟超音波検査が行われます1,9。必要に応じて、MRI検査や子宮鏡検査、子宮卵管造影などを組み合わせ、筋腫の大きさ・数・位置、子宮腔への突出の程度などを詳しく評価します1,9

日本産科婦人科学会のガイドラインでは、粘膜下筋腫などに対して、子宮鏡下子宮筋腫摘出術の適応や、開腹手術・腹腔鏡手術などの選択について、筋腫のサイズや突出度などを基に判断することが示されています9。妊娠希望の有無、年齢、貧血の程度、症状のつらさ、他の持病などを総合的に考えたうえで、医師と一緒に方針を決めることが大切です。

3.2. 子宮内膜症・子宮腺筋症など、似た症状の病気

「月経痛が強い」「出血量が多い」といった症状は、子宮筋腫だけでなく、子宮内膜症や子宮腺筋症など、他の婦人科疾患でもみられます3,7,9。特に子宮内膜症では、月経時以外にも腰痛や下腹部痛が続くことがあり、卵巣のチョコレート嚢胞ができると不妊の原因になることも知られています9

また、閉経前後の不正出血や急な貧血、急激な腹部膨満などは、子宮体がんなど別の病気のサインである可能性も否定できません。これらの症状がある場合は、「子宮筋腫だから大丈夫」と自己判断せず、早めに婦人科で検査を受けることが重要です。

第4部:今日から始める改善アクションプラン

ここまで見てきたように、子宮筋腫はホルモンや体質、年齢などさまざまな要因が関わる病気です。そのため、「これさえすれば完璧に防げる」という単純な対策はありません。しかし、今の生活を少しずつ整えることで、症状のつらさを和らげたり、将来のリスクを減らしたりすることは期待できます。この章では、今日から実践しやすいアクションプランを、レベル別に整理します。

表2:改善アクションプラン(子宮筋腫と食事・生活習慣の例)
ステップ アクション 具体例
Level 1:今夜からできること 夕食の主食・主菜・副菜のバランスを整える 白米の一部を雑穀ごはんに変更し、野菜料理を1品追加する。揚げ物ではなく、蒸し料理や煮物・焼き魚を選ぶ。
Level 1:今夜からできること 寝る前にスマホを置き、リラックスする時間をつくる 就寝1〜2時間前には画面を見ないようにし、ゆったりした入浴やストレッチを取り入れることで、ホルモンバランスや睡眠の質を整える。
Level 2:今週から始めること 週に2〜3回の軽い運動習慣をつくる 通勤時に一駅分歩く、エレベーターではなく階段を使う、週末に30分程度のウォーキングをするなど、無理のない範囲で体を動かす。
Level 2:今週から始めること 月経と症状の記録をつけ始める カレンダーアプリや手帳に、月経の日付・量・痛みの程度、出血以外の症状(腰痛、頻尿、だるさなど)をメモし、受診時に提示できるようにする。
Level 3:今月から取り組みたいこと 体重と血液検査をチェックし、必要に応じて医療者と相談する 健康診断や婦人科受診の際に、体重・BMI・貧血の有無・ビタミンDの状態などを確認し、改善が必要な場合は具体的な食事・運動計画を一緒に考えてもらう。
Level 3:今月から取り組みたいこと 生活パターンをふまえた「続けやすい食事スタイル」を固める 外食が多い人は、サラダや小鉢を追加する・揚げ物を減らすなどのルールを決める。自炊ができる人は、野菜・豆・全粒穀物・魚中心の献立を週に数回取り入れる。

こうしたアクションは、子宮筋腫だけでなく、将来の生活習慣病や骨粗しょう症、メンタルヘルスの予防にもつながります。「子宮筋腫のための我慢」ではなく、「これからの自分のからだのための投資」と考え、できることから少しずつ試してみてください。

第5部:専門家への相談 — いつ・どこで・どのように?

最後に、「どのタイミングで受診を考えるべきか」「どの診療科を選べばよいか」「診察時に役立つ準備は何か」を整理します。食事や生活習慣の改善は大切ですが、それだけで対処できないサインを見逃さないことも同じくらい重要です。

5.1. 受診を検討すべき危険なサイン

  • 月経の量が急に増え、夜用ナプキンを1〜2時間おきに交換しなければならない状態が数周期続いている。
  • 月経以外の時期にも出血が続く、または閉経後に出血がある。
  • 立ちくらみ、息切れ、動悸、極端な疲れやすさなど、貧血が疑われる症状がある。
  • 下腹部や骨盤の痛みが強く、市販の鎮痛薬を飲んでもほとんど改善しない。
  • 短期間でお腹が急に大きくなった、硬いしこりのようなものを触れる。
  • 妊娠を希望しているのに、月経異常や不妊が続いている。

これらの症状がある場合は、できるだけ早く婦人科を受診しましょう。息が苦しい、胸痛がある、意識が遠のくなどの症状がある場合は、ためらわずに救急受診や119番通報も検討してください。

5.2. 症状に応じた診療科の選び方

  • まず相談したい窓口:一般的には、婦人科または産婦人科が子宮筋腫の診断・治療を担当します。自治体の子宮がん検診で異常を指摘された場合も、担当の婦人科で筋腫が見つかることがあります。
  • 妊娠・出産も視野に入れている場合:不妊治療を扱うクリニックや、周産期医療の経験が豊富な総合病院の産婦人科で、妊娠との両立を含めて相談すると安心です。
  • 貧血や生活習慣病も気になる場合:婦人科とあわせて、内科やかかりつけ医に相談し、血液検査や生活習慣病のチェックを受けることが推奨されます。

5.3. 診察時に持参すると役立つものと費用の目安

  • 月経・症状の記録:カレンダーやアプリに記録した月経日・量・痛みの程度、出血以外の症状(頻尿、便秘、腰痛など)。
  • これまでの検査結果:健康診断の結果、他院で受けた超音波やMRIの画像・レポート、お薬手帳など。
  • 質問メモ:聞きたいことを書き出しておくと、緊張していても聞き漏れを防げます。例:「手術以外の選択肢は?」「妊娠を考えるときの注意点は?」など。
  • 費用の目安:初診時は診察料・超音波検査・採血などで数千円〜1万円台程度かかることがあります(保険診療3割負担の場合)。手術や入院が必要な場合は、医療費控除制度や高額療養費制度の利用も含めて、事前に医療機関や自治体に確認しておきましょう。

よくある質問

Q1: 食事だけで子宮筋腫を小さくすることはできますか?

A1: 現時点で、「特定の食品やサプリメントだけで子宮筋腫が確実に小さくなる」と証明された方法はありません5,6。一方で、果物や野菜、食物繊維の多い食事、適切な体重管理などが、子宮筋腫の発症リスクを下げる可能性が報告されています5,6。食事は「治すための薬」というより、「症状とうまく付き合い、全身の健康を守るための土台」と考えるのが現実的です。

すでに大きな筋腫がある場合や症状が強い場合は、食事だけで対処しようとせず、婦人科で治療方針について相談しましょう。

Q2: 子宮筋腫があっても、大豆製品や豆乳をとって大丈夫ですか?

A2: 大豆にはイソフラボンという植物エストロゲンが含まれており、エストロゲンに似た働きをもつ一方で、受容体への結合は弱く、ホルモンバランスの調整に関与する可能性が示されています5,6。観察研究では、大豆食品の適量摂取が子宮筋腫リスクの低下と関連する可能性も報告されていますが、結果は一貫しておらず、今後の研究が必要です5,6

日本人の一般的な食生活(味噌汁、豆腐、納豆、適量の豆乳など)の範囲であれば、過度に心配する必要は少ないと考えられます。ただし、サプリメントなどでイソフラボンを高用量で摂取する場合は、必ず医師や薬剤師に相談してください。

Q3: 子宮筋腫があると妊娠しにくくなりますか?

A3: 子宮筋腫の位置や大きさ、数によって、妊娠への影響は大きく異なります。子宮の内側に突き出す粘膜下筋腫や、子宮腔を大きく変形させる筋腫は、不妊や流産のリスクを高める可能性があり、治療が検討されることがあります1,9。一方、子宮の外側にある小さな筋腫などは、妊娠にほとんど影響しない場合もあります。

妊娠を希望している場合は、自己判断せず、婦人科や不妊治療専門の医療機関で、妊娠への影響や治療のタイミングについて相談することが大切です。

Q4: 体重を減らすと子宮筋腫に良い影響がありますか?

A4: 脂肪組織はエストロゲンを産生するため、肥満は子宮筋腫のリスク因子の一つと考えられています5,6。栄養バランスのとれた食事と無理のない運動で体重を適正に保つことは、子宮筋腫だけでなく、糖尿病や高血圧、脂質異常症などの予防にも役立ちます。

ただし、急激なダイエットや極端な食事制限は、ホルモンバランスを乱したり、貧血や骨量低下を招いたりするおそれがあります。体重やダイエットについて不安がある場合は、医師や管理栄養士に相談しながら進めましょう。

Q5: ビタミンDや鉄のサプリメントは飲んだほうがよいですか?

A5: ビタミンD不足と子宮筋腫のリスク上昇の関連や、サプリメントによる再発抑制効果を示す研究はありますが6,10,11、まだすべての人に一律に推奨できる状態ではありません。同様に、貧血がある場合は鉄の補充が重要ですが、過剰摂取は胃腸障害などの副作用を招くことがあります。

サプリメントを始める前に、血液検査などで現在の状態を確認し、医師や薬剤師と相談したうえで必要な種類と量を決めることをおすすめします。

Q6: 子宮筋腫があっても、日常生活や仕事は続けられますか?

A6: 症状の程度や治療方針によって異なりますが、多くの人は治療や経過観察をしながら仕事や家事を続けています。内閣府の資料では、子宮筋腫や子宮内膜症が、働き盛りの女性のパフォーマンスや将来の妊孕性に影響を与える疾患として取り上げられており3、適切な治療と職場の理解が重要だとされています。

月経量が多い・痛みが強いなどで仕事に支障が出ている場合は、我慢するのではなく、主治医に相談し、診断書や通院証明などを活用して職場と調整することも選択肢の一つです。

Q7: 和食と洋食、どちらが子宮筋腫には良いですか?

A7: 一概に「和食なら安全」「洋食は良くない」と言い切ることはできませんが、野菜・豆類・魚・全粒穀物が多い伝統的な和食パターンは、子宮筋腫のリスク低下に関連する食事パターン(高食物繊維・低脂肪)に近いと考えられます5,6。一方で、揚げ物や濃い味付けの肉料理、砂糖や脂肪の多いスイーツが中心の「洋食寄り」の食生活は、肥満やホルモンバランスへの影響が懸念されます5,6,8

大切なのは「和食か洋食か」ではなく、野菜・豆類・全粒穀物・魚をベースにしたバランスの良い食事を、無理なく続けられる形で取り入れることです。

結論:この記事から持ち帰ってほしいこと

子宮筋腫は多くの女性にとって身近な病気でありながら、その影響は人によって大きく異なります。ほとんど症状がないまま経過観察となる人もいれば、月経量の増加や貧血、痛みなどで、仕事や家庭生活に大きな負担を感じている人もいます。

食事や生活習慣だけで子宮筋腫を完全に予防・治療することはできませんが、果物や野菜、豆類、全粒穀物、低脂肪乳製品、大豆や亜麻仁などを中心としたバランスの良い食事と、適度な運動・十分な睡眠・ストレスケアは、ホルモンバランスや体重管理、貧血予防などを通じて、症状と上手に付き合う大きな助けになります5,6,8

一方で、月経量の急な変化や強い痛み、息切れするほどの貧血症状、妊娠を考えているのに月経異常が続くといったサインがあれば、生活改善だけに頼らず、早めに婦人科を受診することが大切です。この記事が、「何に気をつければよいのか」「いつ、どこで、誰に相談すべきか」を考えるきっかけになれば幸いです。

この記事の編集体制と情報の取り扱いについて

Japanese Health(JHO)は、信頼できる公的情報源と査読付き研究に基づいて、健康・医療・美容に関する情報をわかりやすくお届けすることを目指しています。

本記事の原稿は、最新のAI技術を活用して下調べと構成案を作成したうえで、JHO編集部が一次資料(ガイドライン・論文・公的サイトなど)と照合しながら、内容・表現・数値・URLの妥当性を人の目で一つひとつ確認しています。最終的な掲載判断はすべてJHO編集部が行っています。

ただし、本サイトの情報はあくまで一般的な情報提供を目的としており、個々の症状に対する診断や治療の決定を直接行うものではありません。気になる症状がある場合や、治療の変更を検討される際は、必ず医師などの医療専門家にご相談ください。

記事内容に誤りや古い情報が含まれている可能性にお気づきの場合は、お手数ですが運営者情報ページ記載の連絡先までお知らせください。事実関係を確認のうえ、必要な訂正・更新を行います。

免責事項 本記事は情報提供のみを目的としており、専門的な医学的助言や診断、治療に代わるものではありません。健康上の懸念がある場合や、治療内容の変更・中止等を検討される際には、必ず資格のある医療専門家にご相談ください。

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