【徐脈(脈が遅い)】放置して大丈夫?危険なサインと原因・治療法・受診の目安
心血管疾患

【徐脈(脈が遅い)】放置して大丈夫?危険なサインと原因・治療法・受診の目安

スマートウォッチや血圧計で心拍数を測ったとき、「いつも50台」「最近40台まで下がっている」と表示されて、心配になったことはありませんか。 安静時の心拍数(脈拍)が1分間に60回より少ない状態は、医学的に「徐脈(じょみゃく)」と呼ばれます。 スポーツ選手や睡眠中などでは生理的に脈が遅くなることもありますが、一方で、脳や全身に十分な血液が届かなくなり、めまい・失神・心不全・突然死につながる危険な徐脈も存在します13

「脈が遅いと言われたけれど、どこまでが“正常の範囲”なのか」「血圧は高いのに、脈だけ遅くて大丈夫?」など、人にはなかなか聞きにくい不安を一人で抱えている方も少なくありません。 本記事では、日本の公的機関や専門学会の情報をもとに、徐脈の基礎知識から原因、検査・治療、日常生活で気をつけたいポイント、受診の目安までをわかりやすく整理します123

「何が危険で、何はそこまで心配しなくてよいのか」「今すぐ病院へ行くべきサインは何か」「日常生活でできる予防やセルフチェックはあるのか」を具体的にイメージできるような構成にしています。 ご自身やご家族の脈の状態が気になる方は、ぜひ落ち着いて読み進めてみてください。

Japanese Health(JHO)編集部とこの記事の根拠について

Japanese Health(JHO)は、健康と美容に関する情報を提供するオンラインプラットフォームです。 厚生労働省や自治体、専門学会が公開している資料、日本の医療機関・研究機関が発信する一次情報、世界保健機関(WHO)や各国ガイドラインなど、信頼性の高い情報源をもとに、日常生活で活用しやすい形でお届けすることを目指しています。

本記事の内容は、愛知県など自治体が公表している心血管疾患に関する資料1、公益財団法人長寿科学振興財団「健康長寿ネット」の心拍数に関する解説2、 オムロン ヘルスケアの徐脈解説ページ3、循環器専門クリニックによる徐脈性不整脈の説明45、 日本循環器学会「不整脈薬物治療ガイドライン」7、米国心臓協会などの徐脈ガイドライン8、 厚生労働省「健康づくりのための身体活動・運動ガイド2023」10などの一次資料をもとに、JHO編集部がAIツールのサポートを受けながら整理・執筆しています。

  • 厚生労働省・自治体・公的研究機関:心拍数や運動に関するe-ヘルスネット、心血管疾患の解説、運動ガイドラインなど、日本人向けの公式情報を優先して参照しています1210
  • 国内外の医学会ガイドライン・査読付き論文:日本循環器学会のガイドライン7や、米国心臓協会・米国不整脈学会による徐脈の診療ガイドライン8など、科学的に検証されたエビデンスをもとに要点を整理しています。
  • 教育機関・医療機関・NPOによる一次資料:循環器専門クリニックや大学病院の患者向け解説ページを参考に、検査や治療の実際、日常生活の注意点を補足しています456

AIツールは、文献の要約や構成案作成の「アシスタント」として活用していますが、公開前には必ずJHO編集部が原著資料と照合し、重要な記述を一つひとつ確認しながら、事実関係・数値・URLの妥当性を検証しています。

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要点まとめ

  • 徐脈とは、一般的に安静時心拍数が1分間に50〜60回未満の状態を指し、特に40回前後まで低下すると、脳や全身に十分な血液が届かず危険な状態になり得ます136
  • アスリートや睡眠中など、生理的に脈が遅くなる「問題のない徐脈」もあれば、洞不全症候群や房室ブロックなど心臓の電気系統の異常で起こる「治療が必要な徐脈」もあります345
  • めまい・ふらつき・失神・息切れ・胸の痛み・強い倦怠感・記憶力の低下などが徐脈と同時に見られる場合は、心不全や突然死のリスクが高まるため、早めの循環器内科受診が重要です346
  • 降圧薬(β遮断薬や一部のカルシウム拮抗薬など)や抗不整脈薬、甲状腺機能低下症、電解質異常、睡眠時無呼吸症候群など、心臓以外の病気や薬によって徐脈になることもあります3710
  • 危険な徐脈の治療では、原因疾患の治療に加えて、ペースメーカーという心臓の電気刺激装置を体内に植え込む治療が行われることがあります457
  • 日常的に脈や血圧を測り、自分の「いつもの値」を把握しておくこと、禁煙・節酒・適度な運動といった生活習慣の見直しが、徐脈を含む心血管疾患の予防に役立ちます210

第1部:徐脈の基本と日常生活で確認したいポイント

まずは、「そもそも心拍数とは何か」「どこからが徐脈とされるのか」「日常生活のなかでどのように脈をチェックすればよいのか」といった基礎的な部分から整理していきます。 専門的な病名を考える前に、自分の体のリズムを客観的に理解することが大切です23

1.1. 心拍数と徐脈の基本的なメカニズム

心拍数とは、1分間に心臓が拍動する回数のことです。健康な成人の安静時心拍数は、おおよそ1分間に60〜100回が目安とされています2。 日本の高齢者向け情報サイトなどでも、同様の範囲が示されており、男性で約66回/分、女性で約68回/分程度が中央値とされています2

一方で、自治体が公表している心血管疾患の資料では、「拍動頻度が極端に少ない状態(1分間に50回以下)を徐脈」と説明しており1、 医療機関や企業の解説でも「50回未満」や「40回程度まで低下した場合は危険」といった目安が示されています3612。 つまり、実際の臨床現場では「60回未満=ただちに危険」というより、 「50回未満、特に40回前後で症状があるかどうか」が重要なポイントと考えられています136

心臓は、右心房の「洞結節(どうけっせつ)」という部位から発生する電気信号によって規則的に動いています。 電気のスタート地点である洞結節から、心房→房室結節→心室へと、電気の「電線」が順番に信号を伝えることで、心臓全体がリズミカルに収縮します47。 この電気信号の発生や伝わり方が弱くなったり、途中でブロックされたりすると、心拍数が極端に遅くなり、徐脈性不整脈が起こります345

また、アスリートや長年運動習慣がある人では、心臓のポンプ機能が発達し、1回の拍動で多くの血液を送り出せるため、安静時心拍数が40〜50回台と低くても元気に過ごしていることがあります3。 睡眠中も副交感神経の働きが強くなり、夜間は心拍数が40〜50回程度に下がるのは珍しくありません36。 このような「生理的な徐脈」と、病気による「病的な徐脈」を区別することが大切です。

1.2. 自宅でできる脈のセルフチェックとNG習慣

自宅で脈を確認する方法として、手首や首、左胸に指を当てて脈を数える方法がよく用いられます。 山口県の健康情報サイトでも、安静にした状態で15秒間脈を数え、その値を4倍して1分あたりの心拍数を計算する方法が紹介されています9。 スマートウォッチや家庭用血圧計の脈拍表示も便利ですが、たまには手で直接測ってみると、自分のリズムをより実感しやすくなります。

測るときは以下のポイントを意識しましょう。

  • 椅子に座るか横になり、5分程度安静にしてから測る。
  • 手首(親指側の動脈)や首の横(頸動脈)に人差し指と中指を軽く当てる。
  • 10〜15秒間、打つ回数を数え、6倍または4倍して1分あたりの心拍数を推定する。
  • 「トク・トク・トク」と一定のリズムか、「トク…トト…」のように乱れがないかも意識してみる。

一方で、徐脈を悪化させたり、症状を見逃したりしやすいNG習慣もあります。

  • 眠気・ふらつき・息切れがあっても、「年齢のせい」「疲れのせい」と決めつけてしまう。
  • 血圧を下げる薬や不整脈の薬を、自己判断で増量・減量・中断する710
  • 強いお酒を一度に大量に飲む、急に立ち上がるなど、血圧や自律神経に負担をかける生活を続ける。
  • 転倒や失神があっても医療機関を受診せず、そのままにしておく。

とくに高齢の方は、「ふらつき」「立ちくらみ」「なんとなくぼーっとする」といった曖昧な症状が、実は徐脈による脳血流低下のサインであることがあります46。 「脈が50回前後で、こうした症状が続く」という場合には、早めの受診を検討しましょう。

表1:セルフチェックリスト — 徐脈が疑われるサイン
こんな症状・状況はありませんか? 考えられる主な背景・原因カテゴリ
安静時の脈がいつも50回/分未満で、階段や少しの坂でも息切れが強い 徐脈性不整脈(洞不全症候群・房室ブロック)など心臓の電気系統の異常346
スポーツをしていて脈は40〜50回だが、症状はほとんどない 生理的(運動による)徐脈の可能性。ただし他の症状が出た場合は要確認36
夜間や寝起きに強いふらつきや失神を起こすことがある 夜間の高度な徐脈、睡眠時無呼吸症候群、自律神経反射など45
降圧薬や不整脈の薬を飲み始めてから、脈が遅くなりだるさが増えた 薬剤性徐脈(β遮断薬、一部のCa拮抗薬、抗不整脈薬など)の可能性3710
血圧が高いのに、脈はいつも50回前後と低い 高血圧と徐脈の併存(薬の影響、心筋症・虚血性心疾患、自律神経の異常など)3410

第2部:身体の内部要因 — 心臓・ホルモン・自律神経の異常

生活習慣を見直しても改善しない徐脈の背景には、心臓そのものの病気や、ホルモン・自律神経・脳の状態など、身体の内部で起こっているさまざまな変化が隠れていることがあります。 ここでは、代表的な原因を整理してみましょう346

2.1. 加齢と心臓の電気系統の変化(高齢者で増える徐脈)

東京ハートリズムクリニックなどの解説によると、高齢になると洞結節や刺激伝導系と呼ばれる心臓の電気の通り道が線維化(硬くなること)し、電気信号の伝わり方が弱くなるため、徐脈が増えるとされています46。 また、動脈硬化や心筋梗塞、高血圧性心疾患などを合併する割合も高くなり、これらが徐脈のリスクをさらに高めます4

高齢者では、「年だから仕方ない」と思ってしまいがちな、だるさ・ふらつき・転倒・物忘れが、実は慢性的な徐脈による脳血流低下のサインである場合もあります46。 特に以下のような場合は、一度循環器内科で心電図などの検査を受けてみる価値があります。

  • 安静時の脈がいつも50回未満で、ふらつきや倦怠感が続く。
  • ここ数年で転倒・失神が増えた。
  • 高血圧や心筋梗塞、心不全などの持病があり、最近息切れが強くなった。

2.2. 心臓の病気:洞不全症候群と房室ブロック

徐脈性不整脈の代表的な病気が「洞不全症候群」と「房室ブロック」です3456

洞不全症候群は、心臓のペースメーカー役である洞結節の働きが弱くなり、電気信号を十分に発生できなくなる病気です。 心臓を動かす電気の「発電所」が故障した状態とも言えます458。 脈がとても遅くなる「洞性徐脈」、一時的に脈が止まってしまう「洞停止」、速い脈と遅い脈を繰り返す「徐脈頻脈症候群」などのタイプがあります4

房室ブロックは、心房から心室へ電気信号を伝える「房室結節」の部分で電気が途中で止まってしまい、心室がうまく動かなくなる病気です46。 軽い房室ブロックではほとんど症状が出ないこともありますが、モービッツ型II度房室ブロックやIII度(完全)房室ブロックでは、心拍数が極端に低下し、命に関わることがあります467

これらの病気では、

  • 脈がとても遅くなる、あるいは一瞬止まったように感じる。
  • めまい、ふらつき、意識が遠のく、失神する。
  • 息切れ、むくみ、胸の圧迫感など、心不全に似た症状が出る。

といった症状が見られることが報告されています456。 状態によっては、ペースメーカーを植え込む治療が必要になることも少なくありません457

2.3. 全身の病気・薬による徐脈(甲状腺、電解質、薬剤など)

徐脈は、心臓以外の病気や服用している薬の影響で起こることもあります。 オムロン ヘルスケアや厚生労働省の運動ガイド、各種解説によると、代表的なものとして以下が挙げられます3710

  • 甲状腺機能低下症:甲状腺ホルモンが不足すると代謝が低下し、心拍数も減少します。冷え・むくみ・体重増加・便秘などを伴うことが多いです3
  • 電解質異常(特にカリウム):カリウムは心臓の電気活動に関わる重要なミネラルで、高カリウム血症などでは徐脈や致死的不整脈を引き起こすことがあります7
  • 睡眠時無呼吸症候群:睡眠中に呼吸が止まることで酸素不足や自律神経の乱れが生じ、夜間の徐脈や不整脈を誘発することがあります4
  • 降圧薬(β遮断薬・一部のカルシウム拮抗薬・α遮断薬など):心拍数を下げる作用がある薬剤で、運動中の心拍数も上がりにくくなる場合があります3710
  • 抗不整脈薬・心不全治療薬:不整脈を抑える薬のなかには、過度の徐脈を引き起こすものもあり、ガイドラインでも注意喚起されています7
  • 抗うつ薬・抗精神病薬・睡眠薬など:高齢者では、これらの薬が転倒や意識障害の一因となることがあり、徐脈と組み合わさると危険が増すことがあります10

これらの場合、「薬を飲み始めてから脈が遅くなった」「薬の種類や量が変わったタイミングで具合が悪くなった」といった関連が手がかりになります。 自己判断で薬を中断するのではなく、必ず処方した医師に相談し、「脈が遅くて心配であること」「具体的な脈拍数や症状」を伝えることが大切です710

第3部:専門的な診断が必要な徐脈性不整脈と検査

セルフケアや生活習慣の調整だけでは判断が難しい場合や、「危険な徐脈」が疑われる場合には、循環器内科などでの専門的な検査・診断が必要です。 ここでは、代表的な疾患と検査の流れを整理します346

3.1. 危険な徐脈性不整脈:洞不全症候群・高度房室ブロック

前述のとおり、洞不全症候群やモービッツ型II度・III度房室ブロックは、心拍数が極端に低下し、失神や心不全、突然死につながることがある徐脈性不整脈です456。 これらの病気では、ペースメーカー治療が検討されることが多く、日本循環器学会や米国のガイドラインでも強く推奨されています78

具体的には、以下のような状況では、できるだけ早く循環器内科を受診することが望まれます。

  • 脈拍がしばしば40回/分前後まで下がり、立ちくらみや失神を繰り返す。
  • 安静時でも息切れやむくみが強く、日常生活に支障が出ている。
  • 心電図やホルター心電図で、高度房室ブロックや長時間の心停止(数秒以上)が指摘された。
  • 高齢で、転倒や骨折のリスクが高いのに、ふらつきが続いている。

3.2. 「高血圧なのに脈が遅い」— 放置してよい?

「血圧は高いのに、脈はいつも50回前後で遅い」という相談もよく見られます。 高血圧と徐脈が同時に起きる背景には、降圧薬の影響、心筋症や虚血性心疾患など心臓の病気、自律神経のバランスの乱れ、まれに頭蓋内圧亢進に伴うクッシング現象など、さまざまな要因が考えられます37911

特に、頭蓋内圧が急激に上がった場合に見られる「クッシング現象」では、高血圧・徐脈・呼吸の異常(クッシング三徴)がセットで生じることが知られており911、 意識障害や強い頭痛、嘔吐、けいれんなどを伴うことが多く、救急医療が必要な状態です。 このような「高血圧+徐脈+神経症状」は、ためらわずに119番通報の対象と考えてください。

一方で、日常的な高血圧や心臓病の患者さんでは、「高血圧治療中のβ遮断薬や一部のCa拮抗薬による徐脈」「加齢に伴う動脈硬化と心機能低下に伴う徐脈」などが見られることもあります347。 「薬の飲み始め・増量後に脈が遅くなった」「息切れやふらつきが強くなった」などの変化があれば、自己判断せず主治医に相談しましょう710

3.3. 徐脈が疑われるときの主な検査

徐脈が疑われる場合、循環器内科などで以下のような検査が行われます346

  • 心電図検査(12誘導心電図):数秒〜数十秒間の心電図を記録し、徐脈の有無、洞不全症候群や房室ブロックのパターンなどを確認します。
  • ホルター心電図(24時間心電図):小型の装置を身につけ、日常生活のなかで24時間以上の心電図を記録します。短時間の検査では捉えにくい発作性の徐脈や失神との関連を調べるのに有用です4
  • 心エコー検査:超音波で心臓の形や動きを確認し、心不全や弁膜症、心筋症など、徐脈の背景にある病気の有無を評価します4
  • 血液検査:甲状腺機能、電解質(カリウムなど)、貧血、炎症反応などを調べ、全身疾患や薬剤の影響を評価します37
  • 運動負荷試験・ティルトテーブル試験:運動や体位変換による心拍数・血圧の変化を調べ、自律神経の関与や失神の原因を評価するために行われることがあります8

これらの検査結果を総合して、「生理的な範囲か」「治療が必要か」「ペースメーカーの適応があるか」が判断されます78

第4部:今日から始める改善アクションプラン

徐脈の一部は、生活習慣や薬の調整で改善できる場合があります。 もちろん、洞不全症候群や高度房室ブロックなど、生活習慣だけではどうにもならない病気もありますが、日々のセルフケアは「悪化を防ぐ」「早期発見につなげる」という意味で大きな役割を果たします2710

表2:徐脈が気になるときの改善アクションプラン
ステップ アクション 具体例
Level 1:今日からできること 脈と血圧を「見える化」する 朝起きてトイレに行ったあと、座った姿勢で血圧と脈拍を測り、ノートやアプリに記録する。 「いつも何回/分くらいか」「どのくらいの血圧で脈が遅くなるか」を把握する29
Level 1:今日からできること 薬の飲み方を見直す 降圧薬や不整脈の薬、睡眠薬などを飲んでいる場合、自己判断で増量・減量・中断しない。 「脈が遅くて心配」「最近めまいが増えた」などの変化を、次回の診察で具体的な数字と一緒に医師へ伝える710
Level 2:今週から始めたいこと 適度な有酸素運動を取り入れる 厚生労働省の運動ガイドでは、持病や服薬状況に応じて安全な範囲でウォーキングなどの有酸素運動を行うことが推奨されています10。 高血圧治療薬で心拍数が上がりにくい場合は、「ややきつい」と感じる主観的運動強度を目安にし、無理のない範囲で継続します10
Level 2:今週から始めたいこと 飲酒・喫煙・睡眠の見直し 過度の飲酒や喫煙は、不整脈全般や高血圧のリスクを高めます48。 就寝前のスマートフォン・カフェイン・夜更かしを控え、深い睡眠を確保することで、自律神経のバランスを整え、夜間の徐脈や不整脈を減らせる可能性があります。
Level 3:医療機関と連携して行うこと 基礎疾患や睡眠時無呼吸のチェック 甲状腺機能低下症、貧血、電解質異常、睡眠時無呼吸症候群などが疑われる場合は、血液検査や睡眠検査などを通じて原因を明らかにし、適切な治療を受けることが重要です34
Level 3:医療機関と連携して行うこと ペースメーカー治療後の生活調整 ペースメーカーを植え込んだ場合でも、多くの方が日常生活や仕事を続けることができます。 通院や遠隔モニタリングで定期的に状態をチェックしながら、運動や入浴、仕事の内容などについて医療機関と相談していきます457

第5部:専門家への相談 — いつ・どこで・どのように?

「どのタイミングで受診すべきか」「何科に行けばよいのか」「受診のときに何を伝えればいいのか」は、多くの人が迷うポイントです。 徐脈が疑われるときの受診の目安と、診療科の選び方を整理しておきましょう346

5.1. すぐ受診・救急要請を検討すべき危険なサイン

  • 安静時の脈が40回/分前後かそれ以下で、ふらつき・失神・呼吸困難・胸の痛みのいずれかを伴う。
  • 高血圧(特に200/120mmHg前後以上)と徐脈、激しい頭痛、意識の混乱、ろれつが回らない、片側の手足が動かしにくいなどの症状が同時に出ている(脳卒中やクッシング現象など重篤な状態の可能性)1911
  • ペースメーカー植込み後に、突然のめまい・失神・胸痛・息切れが出現した。
  • 徐脈とともに、強い胸部圧迫感や冷や汗、吐き気があり、心筋梗塞が疑われる場合。

これらの症状がある場合は、ためらわずに救急搬送を検討してください。 日本では迷ったときに地域の救急相談窓口が設けられている自治体も多いため、利用できるサービスがあれば活用しましょう。

5.2. 症状に応じた診療科の選び方

  • まず相談しやすいのは内科・循環器内科:脈の異常、不整脈、高血圧・糖尿病などの生活習慣病がある場合は、循環器内科が中心的な窓口となります46
  • 甲状腺やホルモンの異常が疑われる場合:内科・内分泌内科に相談し、必要に応じて循環器内科と連携してもらいます3
  • 睡眠中の無呼吸・いびき・日中の強い眠気がある場合:睡眠時無呼吸症候群の検査ができる呼吸器内科・睡眠外来・耳鼻咽喉科などが候補になります4
  • 頭部外傷や脳の症状を伴う場合:頭痛・意識障害・けいれんなどを伴う徐脈では、脳神経外科・脳神経内科の評価が必要となることがあります911

5.3. 診察時に持参すると役立つものと費用の目安

  • 脈・血圧の記録:いつ、どのくらいの心拍数だったか、血圧との組み合わせがどうかをメモやアプリで持参すると、診断の助けになります29
  • 症状の日記:めまい・失神・息切れ・胸痛が起きた日付・時間帯・状況(起き上がったとき、トイレのあとなど)を書き留めておくと、自律神経性の失神か、心臓の徐脈かの判断に役立ちます8
  • お薬手帳:飲んでいる薬やサプリメントが徐脈の原因となっているかどうかを確認するため、お薬手帳や薬のリストは必ず持参しましょう710
  • 費用の目安:心電図や血液検査のみであれば、保険3割負担で数千円程度のことが多いですが、ホルター心電図や心エコー、睡眠検査などが追加されると、数千〜1万円台程度になることがあります(医療機関や検査内容によって異なります)。

具体的な費用は、受診予定の医療機関のホームページや電話で確認しておくと安心です。

よくある質問

Q1: 安静時の脈が58回/分くらいですが、徐脈として心配ですか?

一般的に、安静時心拍数が60回/分未満だと「徐脈」と表現されることがありますが、50〜60回/分程度で、めまい・失神・息切れなどの症状がなければ、生理的な範囲内であることも少なくありません236。 特に、日常的に運動習慣がある人やアスリートでは、40〜50回台の安静時心拍数が「その人にとって正常」というケースもあります3

ただし、高齢の方や高血圧・心筋梗塞・心不全などの持病がある方で、「以前より脈が遅くなってきた」「階段で息切れしやすくなった」「立ちくらみが増えた」といった変化がある場合は、一度循環器内科でチェックしてもらうと安心です46

Q2: 脈が56回/分と低めで、時々ふらつきがあります。すぐ受診したほうがよいですか?

心拍数56回/分自体は、数値だけを見ると必ずしも危険とは限りませんが、「ふらつき」「立ちくらみ」「失神」「息切れ」「胸の痛み」「強い倦怠感」などを伴う場合は、脳や全身への血流が不足している可能性があります346

とくに、脈が40回/分前後まで下がる時間帯がある、転倒しそうになる、意識が飛ぶことがある、といった場合は、早めの循環器内科受診が推奨されます45。 受診の際には、いつ・どのくらいの脈だったのか、症状が出た状況(起き上がったとき、トイレのあとなど)をメモして伝えると、診断の助けになります8

Q3: 高血圧で薬を飲んでいますが、最近脈が遅くなりました。薬のせいでしょうか?

高血圧の治療薬のなかには、心拍数を下げる作用を持つものがあります。 代表的なものがβ遮断薬や一部のカルシウム拮抗薬で、厚生労働省の運動ガイドでも「心拍数が運動強度の指標にならない場合がある」と注意喚起されています3710

「薬の変更・増量後に脈が遅くなった」「脈が50回/分未満で、だるさや息切れが増えた」といった場合は、自己判断で中断するのではなく、必ず主治医に相談してください710。 場合によっては薬の種類や量を調整したり、心電図やホルター心電図で徐脈性不整脈がないかを確認したりすることがあります346

Q4: ペースメーカーを入れると言われました。日常生活や仕事に大きな制限はありますか?

洞不全症候群や高度房室ブロックなどの危険な徐脈では、ペースメーカーを体内に植え込むことで、一定以上の心拍数を維持し、失神や心不全を防ぐことができます457

植込み後の生活については、多くの場合、日常生活や軽い運動、仕事を続けることが可能です。 ただし、手術直後は腕の大きな動きや重いものを持つことを控える必要があり、強い磁場や衝撃を与える作業、一部のスポーツなどには注意が必要です45。 詳細な制限や注意点は、植込みを行った医療機関の指示に従ってください。

最近では、遠隔モニタリング機能付きのペースメーカーも普及しており、通院負担を減らしながら状態をチェックできるケースもあります4

Q5: 睡眠中に脈が40回台になります。これは危険ですか?

睡眠中は副交感神経の働きが強くなるため、心拍数が40〜50回台まで下がるのは、生理的な範囲内であることも少なくありません36。 アスリートや日頃から運動習慣がある人では、より顕著に見られることがあります。

一方で、「睡眠中に息が止まっていると言われた」「いびきが非常に大きい」「日中の眠気が強い」といった場合は、睡眠時無呼吸症候群が背景にあり、夜間の徐脈や不整脈を引き起こしている可能性があります4。 こうした症状がある方は、循環器内科や呼吸器内科、睡眠外来などで一度相談してみてください。

Q6: 脈が遅いと運動してはいけませんか?

徐脈だからといって、すべての運動が禁止されるわけではありません。 むしろ、適度な有酸素運動は高血圧・糖尿病・脂質異常症などの改善に役立ち、長期的には心血管リスクを下げる効果が期待できます210

ただし、洞不全症候群や高度房室ブロックなどの危険な徐脈がある場合や、運動中に胸痛・息切れ・めまい・失神が起きる場合は、運動内容を主治医と相談する必要があります46。 β遮断薬や一部の降圧薬を服用している場合は、心拍数が運動強度の指標にならないこともあるため、「ややきつい」と感じる程度を目安にするなどの工夫が勧められています10

Q7: 子どもの脈が遅いと言われました。大人と同じように考えてよいですか?

子どもの心拍数は年齢によって大きく異なり、乳幼児ほど心拍数が多く、成長とともに徐々に減少します。 「大人の基準で見て遅いから危険」とは一概には言えませんが、小児の徐脈には先天性心疾患や伝導系の異常が関与することもあるため、小児科・小児循環器専門医の評価が重要です78

学校検診や健診で「徐脈」「不整脈」を指摘された場合は、紹介状に記載された医療機関で精査を受け、運動制限の有無や日常生活の注意点についても相談しましょう。

Q8: 徐脈は放っておくと必ず悪化しますか?

生理的な徐脈や、軽い洞性徐脈のように、ほとんど症状がなく経過観察で問題ないケースもあります36。 一方で、加齢とともに洞結節や刺激伝導系の障害が進行し、徐脈が徐々に悪化していくタイプの病気もあります4

「必ず悪化する」とは言えませんが、「放置してよいもの」と「早めに対応が必要なもの」が混在しているため、 一度は心電図やホルター心電図などで状態を評価しておくことが安心につながります347

結論:この記事から持ち帰ってほしいこと

徐脈(脈が遅い状態)は、「スポーツで鍛えられた心臓」「睡眠中の生理的変化」のように心配のいらない場合もあれば、「洞不全症候群」「房室ブロック」「薬剤性の徐脈」など、放置すると命に関わる病気が隠れている場合もあります346

大切なのは、「数値だけで判断しないこと」と「症状との組み合わせを見ること」です。 安静時心拍数が50回/分未満、特に40回前後に低下しており、めまい・失神・息切れ・胸痛・強い倦怠感などを伴う場合は、早めに循環器内科を受診してください146

一方で、運動習慣があり症状がない方や、睡眠中のみ軽度の徐脈が見られる方は、慌てて不安になる必要はありません。 日々の脈・血圧を記録し、自分の「いつもの状態」を把握しつつ、定期的な健診や主治医との相談を続けることが、安心して生活を送るうえでの土台になります2910

気になる症状があるときは、一人で抱え込まず、かかりつけ医や循環器内科に相談してみてください。 適切な検査と説明を受けることで、「本当に危険なもの」と「そうではないもの」を見分け、自分らしい生活を続けるための選択肢が見えてくるはずです。

この記事の編集体制と情報の取り扱いについて

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本記事の原稿は、最新のAI技術を活用して下調べと構成案を作成したうえで、JHO編集部が一次資料(ガイドライン・論文・公的サイトなど)と照合しながら、内容・表現・数値・URLの妥当性を人の目で一つひとつ確認しています。 最終的な掲載判断はすべてJHO編集部が行っています。

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参考文献

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  2. 公益財団法人長寿科学振興財団 健康長寿ネット. 心拍数と運動強度. https://www.tyojyu.or.jp/net/kenkou-tyoju/undou-kiso/shinpaku.html (最終アクセス日:2025-11-26)

  3. オムロン ヘルスケア. 徐脈とは|症状・原因・種類・検査・関連疾患をわかりやすく解説. https://www.healthcare.omron.co.jp/cardiovascular-health/arrhythmia/column/what-is-bradycardia.html (最終アクセス日:2025-11-26)

  4. 東京ハートリズムクリニック. 徐脈の主な原因と危険性についての解説. 心臓律動クリニックサイト. https://heart.superdoctor.or.jp/arrhythmia/main/cause/ (最終アクセス日:2025-11-26)

  5. 心臓血管研究所付属病院. 脈の遅い不整脈「徐脈」の原因とペースメーカーを使った治療を解説. https://www.cvi.or.jp/9d/798/ (最終アクセス日:2025-11-26)

  6. カーサファミリークリニック. 脈が遅い疾患の症状や治療法を循環器内科専門医が解説. https://casa-familyclinic.com/%E8%84%88%E3%81%8C%E9%81%85%E3%81%84 (最終アクセス日:2025-11-26)

  7. 日本循環器学会. 2020年改訂版 不整脈薬物治療ガイドライン(JCS2020). https://www.j-circ.or.jp/cms/wp-content/uploads/2020/01/JCS2020_Ono.pdf (最終アクセス日:2025-11-26)

  8. Kusumoto FM, Schoenfeld MH, Barrett C, et al. 2018 ACC/AHA/HRS Guideline on the Evaluation and Management of Patients With Bradycardia and Cardiac Conduction Delay. J Am Coll Cardiol. 2019;74(7):e51–e156. https://www.jacc.org/doi/10.1016/j.jacc.2018.10.044 (最終アクセス日:2025-11-26)

  9. Dinallo S, Waseem M. Cushing Reflex. StatPearls [Internet]. Treasure Island (FL): StatPearls Publishing; 2023. https://www.ncbi.nlm.nih.gov/books/NBK549801/ (最終アクセス日:2025-11-26)

  10. 厚生労働省. 健康づくりのための身体活動・運動ガイド2023. https://www.mhlw.go.jp/content/10904750/001171393.pdf (最終アクセス日:2025-11-26)

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