朝だけ血圧が高い、または「起きた直後の測定で数値が跳ね上がる」——それは珍しいことではありません。起床前後は体内時計(自律神経やホルモン)の働きで血圧が上がりやすく、そこに睡眠の質・寒さ・薬の影響・基礎疾患などが重なると、朝の血圧が“目立って高く”見えることがあります。日本高血圧学会の資料でも、家庭で測る血圧(家庭血圧)の重要性が繰り返し示されています12。
結論から言うと、「朝の家庭血圧が高い状態(早朝高血圧)」は放置しない方が安全です。とくに朝の血圧は脳卒中などの脳心血管イベントと関係が指摘されており、米国心臓協会(AHA)の解説でも「モーニングサージ(朝の血圧上昇)」がリスク要因として議論されています5。
一方で、朝の高血圧には測り方の誤差や生活のクセが関わるケースも多く、今日から改善できる点もあります。本記事では、早朝高血圧が起こる仕組み、意外に見落としがちな原因、セルフチェック、受診の目安、具体的な改善プランを、厚生労働省や学会資料、査読付き論文などの信頼できる情報に基づいて整理します245。
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- 厚生労働省・自治体・公的研究機関:e-ヘルスネット、各種ガイドライン、統計資料など、日本人向けの公式情報を優先して参照しています4。
- 国内外の医学会ガイドライン・査読付き論文:日本の学会やAHA、査読付き論文など、科学的に検証されたエビデンスをもとに要点を整理しています156。
- 教育機関・医療機関・NPOによる一次資料:家庭血圧測定の具体的方法など、実務的に役立つ一次資料として利用します3。
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要点まとめ
- 朝は生理的に血圧が上がりやすい時間帯です。過度な「モーニングサージ」は脳心血管リスクと関連が議論されています5。
- 「朝の家庭血圧」を正しく測ることが最初の一歩です。日本の一次資料では「起床後1時間以内・排尿後・朝食前・服薬前・座って安静後」などの条件が示されています23。
- 意外な原因として「部屋の寒さ」「薬の効き目が切れる(服薬タイミング)」「睡眠時無呼吸」「風邪薬や痛み止め」「内分泌性の二次性高血圧」などが重要です567891112。
- 生活で改善できる部分と医療機関で評価すべき部分を分けて考えると、必要以上に不安にならず行動できます41。
- 危険な症状(胸痛・麻痺・強い頭痛など)がある、または極端に高い数値が続く場合は、自己判断せず早めに受診・救急要請を検討してください1。
こんな不安はありませんか?「朝だけ血圧が高いのは病気のサイン?」「薬を飲んでいるのに朝が高い」「測るたびに数値が違って混乱する」——誰にも相談できず、一人で悩んでいる方も少なくありません。
この記事では、まず「朝の血圧が上がる体の仕組み」と「家庭血圧の正しい測り方」を押さえたうえで、身近な生活要因(寒さ・睡眠・ストレス・飲酒・塩分など)から、医療機関で確認したい原因(睡眠時無呼吸、薬剤性、二次性高血圧など)まで、段階的に整理します13569。
必要に応じて、高血圧に関する総合情報や、生活習慣の改善に関する解説など、JHO内の関連ページも参照してください。
読み終えるころには、「自分の状況をどう理解し、いつ誰に相談すべきか」「今日から何を変えればよいか」が具体的にイメージできることを目指します。
第1部:朝の高血圧の基本と日常生活の見直し
朝の血圧は“体の仕様”として上がりやすい一方で、測定条件や生活のクセが重なると過大に見えることがあります。ここでは「仕組み」と「まず見直せるポイント」を、現実の生活シーンに沿って確認します135。
1.1. 基本的なメカニズム・体の仕組み(なぜ朝は上がる?)
起床前後は交感神経が優位になり、血圧が上がりやすい時間帯です。簡単にいうと、体が「活動モード」に切り替わり、心臓の拍出や血管の収縮が強まりやすくなります。AHAの解説では、過度なモーニングサージが心臓の負荷や血管の硬さに関わり、脳心血管リスクと関連し得ることが議論されています5。
ここで重要なのは、「朝に上がる=すべて病気」ではない点です。生理的な上昇は多くの人に起こります。しかし、家庭で測る朝の血圧が高い状態が続く場合は、背景に生活要因や治療の調整不足、睡眠の問題、二次性高血圧などが隠れていることがあります169。
1.2. 「まずここ」:家庭血圧の正しい測り方(朝の数値を信頼できる形にする)
朝の高血圧を語る前に、測定条件を整えることが最重要です。日本の一次資料では、朝は「起床後1時間以内・排尿後・朝食前・(降圧薬を内服している場合は)服薬前・椅子に座って1〜2分安静にしてから」測り、2回測定して平均を記録する方法が示されています23。
たとえば、起きてすぐ階段を上り下りした後、寒い脱衣所で震えながら測った後、家族の支度で焦りながら測った後——こうした状況では、血圧が高めに出ても不思議ではありません。まずは「いつも同じ条件」で測れるように、測定の儀式を固定しましょう3。
家庭血圧の基準値として、一次資料では診察室血圧(例:140/90mmHg以上)と家庭血圧(例:135/85mmHg以上)の考え方が示されています3。ただし、あなたにとっての目標値は年齢・合併症・治療方針で変わるため、主治医の指示を優先してください1。
1.3. 悪化させてしまうNG習慣(「朝だけ高い」を作る、意外な落とし穴)
朝の血圧を押し上げる“地味な要因”は、積み重なると無視できません。厚生労働省の情報でも、高血圧の予防・改善には生活習慣(食塩、体重、運動、飲酒など)の調整が重要とされています4。
- 測定前に動き回る(トイレ以外の家事・スマホで緊張する連絡を読む・通勤準備で焦る)
- 起床直後の喫煙・濃いコーヒー(刺激が交感神経を後押ししやすい)
- 前夜の飲酒・塩分が多い食事(翌朝まで体液バランスに影響し得る)
- 冬場の冷え(寒さは血管収縮を促し、朝の上昇を強める可能性がある)1112
- 睡眠不足・不規則な勤務(体内時計が乱れると、朝の上昇が大きくなりやすい)13
- 風邪薬・痛み止めなどの服用(一部の薬剤は血圧を上げる方向に働くことがある)789
「全部やめなきゃ」と考える必要はありません。まずは測定条件の統一と、朝の行動の“最初の15分”を落ち着かせる工夫から始めると、数字の解釈が一気にクリアになります。
| こんな症状・状況はありませんか? | 考えられる主な背景・原因カテゴリ |
|---|---|
| 起床後すぐ家事や身支度をしてから血圧を測っている | 測定条件の影響(活動・緊張による一時上昇)3 |
| 冬の朝、脱衣所や寝室が寒い/手足が冷えている | 寒冷刺激(血管収縮)・室温の影響1112 |
| いびきが大きい/日中の眠気/夜間の呼吸が止まると言われる | 睡眠時無呼吸症候群(OSA)の可能性6 |
| 降圧薬を飲んでいるのに、朝だけ高い(夕方は落ち着く) | 薬の効果持続(24時間カバー)の不足、服薬タイミングの課題510 |
| 風邪薬(鼻づまり薬)や一部の市販薬、痛み止めをよく使う | 薬剤性高血圧(交感神経刺激薬、NSAIDs、ステロイドなど)789 |
| 夜勤・交代勤務がある/平日と休日で起床時間が大きく違う | 体内時計の乱れ、睡眠の質低下(交代勤務と血圧の関連)13 |
| 動悸・発汗・激しい頭痛が発作的に起こる/低カリウムを指摘された | 二次性高血圧(内分泌性:褐色細胞腫、原発性アルドステロン症など)9 |
第2部:身体の内部要因 — ホルモン・睡眠・「隠れた負担」
生活を整えても朝の血圧が高い場合、体の内側にある要因が関わっていることがあります。ここでは、朝の血圧に影響しやすい“内部要因”を、見落としやすい順に整理します569。
2.1. 【意外に多い】睡眠の質の低下・睡眠時無呼吸(OSA)
朝の高血圧の背景として、睡眠の問題は最重要クラスです。AHAの科学声明では、閉塞性睡眠時無呼吸(OSA)が高血圧を含む心血管疾患と関連し、評価・治療が重要であることが示されています6。
イメージとしては、睡眠中に呼吸が乱れると、体は「酸素が足りない」と判断して交感神経を強く働かせ、心拍や血管の緊張が高まりやすくなります。その結果、夜間〜早朝に血圧が高めで推移したり、起床前後の上昇が強くなったりします6。
「眠れているつもり」「年齢のせい」と我慢しがちですが、OSAは治療(例:CPAPなど)で改善が期待できる領域です。いびきや日中の眠気がある方は、内科や睡眠医療、耳鼻科で相談する価値があります6。
2.2. 【見落としがち】室温・寒さ(冬の朝の“血圧上昇スイッチ”)
寒さは血圧を上げる方向に働きやすいことが知られています。家庭血圧と室温の関係を検討した研究では、室温が低い環境で朝の血圧が高くなり得ることが報告されており、冬季の環境要因が血圧変動に影響し得るとされています1112。
日本の生活では、寝室・脱衣所・トイレなど「短時間だけ極端に寒い場所」を通ることが珍しくありません。起床後に急に寒い場所へ移動すると、体は熱を逃がさないために血管を収縮させやすく、それが血圧上昇として現れることがあります12。
対策の考え方はシンプルです。“起きて最初に行く場所”の寒さを減らすこと(寝室の暖房、トイレや脱衣所の局所暖房、衣類で保温)を検討すると、朝の数値が落ち着く人もいます。安全面(火災・換気・ヒートショック)には十分注意し、無理のない範囲で行ってください。
2.3. 【薬の影響】「朝だけ高い」は薬剤性・効果切れのサインかも
朝だけ高い場合、まず疑うべきは「薬の効果が朝まで十分に続いていない」可能性です。AHAの解説では、モーニングサージがリスクに関わる可能性が議論されており、24時間の血圧コントロールが重要という考え方につながります5。
一方で「薬は夜に飲むべき?」という疑問もよくあります。降圧薬の服用タイミングについては、英国の大規模ランダム化試験(TIME試験)で、朝服用と夜服用で主要な心血管アウトカムに差がないことが示され、患者は生活上続けやすい時間に服用できる可能性が示唆されています10。ただし、個々の薬剤・副作用(夜間頻尿やめまい等)・合併症で最適解は変わるため、自己判断で変更せず医療者と相談してください。
さらに重要なのが市販薬・処方薬による血圧上昇です。たとえば鼻づまり薬に含まれる交感神経刺激薬(例:プソイドエフェドリン)は、血圧・心拍数に影響し得ることがJAMAの解析で示されています7。また、AHAの声明でもNSAIDs(非ステロイド性抗炎症薬)が血圧を上げることがある点が議論されています8。日本内分泌学会の一般向け解説でも、薬剤誘発性高血圧としてNSAIDs、ステロイド、交感神経刺激薬などが挙げられています9。
「痛み止めは毎日ではない」「風邪薬は数日だけ」でも、体質や基礎疾患によっては影響が出ることがあります。服用した薬と血圧の変化をメモしておくと、受診時の判断材料になります。
2.4. 【勤務・生活リズム】交代勤務・“睡眠の分断”が朝の血圧に影響する
夜勤・交代勤務は体内時計を揺さぶり、血圧のリズムにも影響しやすいと考えられます。シフトワークと血圧の関係を検討した系統的レビュー/メタ解析では、夜勤や交代勤務が血圧上昇と関連する可能性が示されています13。
日本の働き方では「週の途中で勤務時間が変わる」「休日に寝だめする」など、睡眠が分断されやすい人も少なくありません。理想は難しくても、起床時刻の極端なブレを減らす、睡眠時間を確保する、カフェインや喫煙のタイミングを調整するなど、できる範囲で体内時計を守る工夫が現実的です。
第3部:専門的な診断が必要な疾患(放置しないための“見極め”)
朝の高血圧が続く場合、背景に治療が必要な疾患が隠れていることがあります。ここでは代表例と、受診・検査の流れを具体的に解説します。大切なのは「怖がる」ことではなく、危険を見落とさないことです169。
3.1. 代表的な疾患A:睡眠時無呼吸症候群(OSA)
いびき、無呼吸、日中の眠気がある人では、OSAが朝の高血圧に関与している可能性があります。AHAの科学声明では、OSAと高血圧を含む心血管疾患との関係が示され、適切な評価が推奨されています6。
受診の際は、家族に「寝ている間の呼吸」を観察してもらったメモ、日中の眠気、起床時頭痛、夜間頻尿などの情報が役立ちます。検査としては簡易検査や睡眠ポリグラフ検査(PSG)などが検討されます。治療(CPAP等)の適応は個別に判断されます。
3.2. 代表的な疾患B:二次性高血圧(内分泌性・腎性など)
高血圧の多くは本態性(原因が一つに絞れないタイプ)ですが、原因が特定できる二次性高血圧も存在します。日本内分泌学会の解説では、内分泌性高血圧として原発性アルドステロン症、褐色細胞腫、クッシング症候群などが挙げられています9。
二次性高血圧を疑う手がかりの例:
- 若い年齢から高血圧がある、急に悪化した
- 薬を複数飲んでもコントロールが難しい
- 低カリウム血症を指摘された(筋力低下、こむら返りが強いなど)
- 発作的な動悸・発汗・激しい頭痛がある(褐色細胞腫などを疑う状況)
検査は、血液・尿検査(ホルモンや腎機能など)、心電図、超音波、必要に応じて画像検査などが組み合わされます。ここで重要なのは、自己判断でサプリや漢方、市販薬を増やさないことです。日本内分泌学会の資料では、薬剤誘発性高血圧としてNSAIDsや甘草(グリチルリチン)などにも触れられており、原因探索の妨げになることがあります9。
3.3. 「仮面高血圧」:病院では正常でも、家庭では高い
診察室では正常に見えるのに、家庭では高い——このパターンは「仮面高血圧」として知られています。家庭血圧の測定が重要であることは、日本の一次資料でも強調されています3。忙しい人ほど、病院では落ち着いていても、日常のストレスや睡眠、寒さなどの影響が家庭で表れやすいことがあります。
「受診したのに異常なしと言われた」場合でも、朝の家庭血圧が高い記録が続くなら、記録を持参して再相談する価値があります。24時間自由行動下血圧測定(ABPM)が検討されることもあります514。
第4部:今日から始める改善アクションプラン
原因が何であれ、朝の血圧対策は「行動の設計」で進みます。厚生労働省の情報でも、生活習慣(食塩、体重、運動、飲酒など)の改善が重要とされています4。ここでは“今夜から”できることから、医療機関につなげる準備まで、レベル別に整理します。
| ステップ | アクション | 具体例 |
|---|---|---|
| Level 1:今夜からできること | 測定条件を固定し、朝の刺激を減らす | 血圧計を椅子の近くに置く/朝は「排尿→座って1〜2分→2回測定」をルーティン化/測定前の喫煙・濃いカフェインを避ける3 |
| Level 2:今週からできること | 寒さ・睡眠・薬の影響を点検する | 寝室・トイレの寒さ対策を検討(安全第一)1112/いびき・眠気があれば相談先を探す6/風邪薬・痛み止めの使用と血圧の関係をメモする789 |
| Level 3:1〜4週間の中期プラン | 「記録」と「受診準備」で原因を切り分ける | 朝・夜の家庭血圧を同条件で記録し、平均とばらつきを把握23/仕事(夜勤)・睡眠時間・飲酒・服薬のタイミングも併記13/主治医に「朝だけ高い」記録を共有し、薬の調整や検査の必要性を相談10 |
| Level 4:医療につなぐ | 疑わしい疾患を評価してもらう | OSAが疑わしければ睡眠評価6/二次性高血圧が疑わしければ内分泌・腎機能評価9/必要に応じてABPMを検討14 |
ポイントは、「全部を完璧にやる」ことではありません。朝の血圧が高い理由を“見える化”することが、最短ルートです。記録がそろうほど、医療者も判断しやすくなります。
第5部:専門家への相談 — いつ・どこで・どのように?
朝の血圧が高いという悩みは、相談してよいテーマです。「迷惑をかけたくない」と我慢しがちですが、早めに原因を整理することは、あなた自身と家族の安心につながります1。
5.1. 受診を検討すべき危険なサイン
- 胸の痛み、強い息切れ、冷汗がある
- 片側の手足のしびれ・麻痺、ろれつが回らない、急な視力障害がある
- 今までにない激しい頭痛、意識がもうろうとする
- 家庭血圧が非常に高い値を示し、安静にしても下がらない、または症状を伴う
これらは緊急性が高い可能性があります。迷ったときは救急相談や119番など、地域の案内に従ってください。高血圧は自覚症状が乏しいことがあるため、症状の有無を軽視しないことが大切です1。
5.2. 症状に応じた診療科の選び方
- まず相談しやすい窓口:かかりつけの内科・総合内科(家庭血圧の記録を持参)
- 睡眠の問題が疑わしい:睡眠外来、呼吸器内科、耳鼻咽喉科(いびき・無呼吸・眠気)6
- 腎臓が心配:腎臓内科(尿検査異常、腎機能低下の指摘など)
- ホルモンが関係しそう:内分泌内科(低カリウム、発作的動悸・発汗・頭痛など)9
- 薬の調整が主目的:循環器内科(治療中で朝だけ高い、24時間コントロールの相談)10
5.3. 診察時に持参すると役立つものと費用の目安
- 家庭血圧の記録(朝・夜、できれば2回測定の平均、測定条件)23
- お薬手帳(処方薬・市販薬・サプリ・漢方を含む)9
- 睡眠メモ(就寝・起床、夜間覚醒、いびき、日中の眠気)6
- 生活メモ(夜勤、飲酒、ストレスイベント、痛み止め使用など)13
費用は検査内容(血液検査、心電図、睡眠検査、ABPMなど)で異なります。日本では保険診療の範囲で行われることが多いものの、適用条件や自己負担割合によって変動します。受診先で事前に確認すると安心です。
よくある質問
Q1: 朝だけ血圧が高いのですが、夜が正常なら放置しても大丈夫?
A: 夜が正常でも、朝の家庭血圧が高い状態(早朝高血圧)は、背景に睡眠や薬剤、二次性高血圧などが隠れていることがあります569。まずは日本の一次資料に沿って「同じ条件での測定」を行い、記録が続く場合は相談を検討してください23。
A: ただし、胸痛や麻痺、強い頭痛などの症状がある場合は緊急性が高い可能性があるため、自己判断で様子見をせず医療機関に連絡してください1。
Q2: 朝の家庭血圧は、具体的にいつ測るのが正しい?
A: 一次資料では、朝は「起床後1時間以内・排尿後・朝食前・(降圧薬がある場合は)服薬前・座って1〜2分安静後」に測り、2回測定して平均を記録する方法が示されています23。条件が毎回違うと、原因の見極めが難しくなります。
Q3: 何mmHg以上なら受診の目安になりますか?
A: 家庭血圧の考え方として、一次資料では家庭血圧と診察室血圧で基準が異なることが示されています(例:家庭血圧135/85mmHg以上、診察室血圧140/90mmHg以上)3。ただし目標値は年齢や合併症で変わるため、主治医の指示が最優先です1。
A: 数値だけでなく、症状(胸痛、神経症状など)がある場合は緊急性を優先して対応してください1。
Q4: 血圧の薬は夜に飲むべき?朝に飲むべき?
A: 一律の正解はありません。大規模試験(TIME試験)では朝服用と夜服用で主要な心血管アウトカムに差がないことが示され、続けやすい時間に服用できる可能性が示唆されています10。ただし薬の種類、副作用、夜間頻尿、起立性低血圧などの状況で最適は変わります。
A: 自己判断で変更せず、家庭血圧の記録を持参して「朝だけ高い」状況を医療者に共有し、調整を相談してください105。
Q5: いびきと朝の高血圧は関係がありますか?
A: 関係する可能性があります。AHAの科学声明では、閉塞性睡眠時無呼吸(OSA)が高血圧を含む心血管疾患と関連し得ることが示されています6。いびき・無呼吸・日中の眠気がある場合は、睡眠の評価を検討してください。
Q6: 風邪薬や痛み止めで血圧が上がることはありますか?
A: あります。鼻づまり薬などに含まれる交感神経刺激薬(例:プソイドエフェドリン)は血圧に影響し得ることがJAMAの解析で示されています7。またAHAの声明ではNSAIDsが血圧を上げることがある点が議論されています8。日本内分泌学会の解説でも薬剤誘発性高血圧としてNSAIDs、ステロイド、交感神経刺激薬などが挙げられています9。
A: 「飲んだ日だけ上がる」「朝に飲むと上がる」など、パターンがあればメモして受診時に共有してください。
Q7: 冬の朝だけ血圧が高いのですが、季節のせい?
A: 寒さが影響している可能性はあります。家庭血圧と室温の関係を検討した研究では、室温が低い環境で朝の血圧が高くなり得ることが報告されています1112。ただし「季節のせい」で済ませず、測定条件の統一と記録を行い、必要に応じて相談しましょう3。
Q8: 朝、急にすごく高い数値が出たときはどうすれば?
A: まず座って落ち着き、深呼吸して数分後に再測定してください(測定条件が乱れると高めに出やすいため)3。ただし、胸痛・息切れ・麻痺・激しい頭痛などの症状がある場合は、緊急性が高い可能性があるため、自己判断で待たず医療機関に連絡してください1。
A: 症状がなくても、極端に高い数値が繰り返し出る場合は、記録を持って早めに相談するのが安全です12。
結論:この記事から持ち帰ってほしいこと
朝の血圧が高いのは「珍しいこと」ではありません。しかし、朝の家庭血圧が高い状態が続く場合は、測定条件の問題だけでなく、寒さ、睡眠時無呼吸、薬剤性、二次性高血圧など、見落としたくない要因が隠れていることがあります3691112。
まずは家庭血圧を正しい条件で記録し、次に生活の中の“朝のスイッチ”(寒さ・焦り・刺激・睡眠)を整え、それでも高値が続くなら医療者と一緒に原因を切り分ける——この順番が、最も現実的で安全です234。
あなたが一人で抱え込む必要はありません。記録と行動を少しずつ整えることで、次の一歩が見えやすくなります。
この記事の編集体制と情報の取り扱いについて
Japanese Health(JHO)は、信頼できる公的情報源と査読付き研究に基づいて、健康・医療・美容に関する情報をわかりやすくお届けすることを目指しています。
本記事の原稿は、最新のAI技術を活用して下調べと構成案を作成したうえで、JHO編集部が一次資料(ガイドライン・論文・公的サイトなど)と照合しながら、内容・表現・数値・URLの妥当性を人の目で一つひとつ確認しています。最終的な掲載判断はすべてJHO編集部が行っています。
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