【末期がんの家族へ】大切な人を支える7つのポイントと心の準備
がん・腫瘍疾患

【末期がんの家族へ】大切な人を支える7つのポイントと心の準備

大切な家族が「末期がん」と告げられ、毎日つらそうな様子を目の前で見るのは、とても言葉にならない苦しみです。仕事や家事、育児をこなしながら介護を続け、「自分の選択は本当にこれでよかったのか」「もっと何かしてあげられることはないのか」と自分を責めてしまう方も少なくありません。

しかし、終末期のがん医療では「どれだけ長く生きるか」だけでなく、「その人らしく、できるだけ穏やかに過ごせるか」がとても大切だとされています。厚生労働省や日本のがん専門機関は、がんと診断された時から、痛みや苦しさを和らげる緩和ケアを早い段階から取り入れることを推奨しています12

本記事では、日本の公的機関や専門学会、海外の信頼できるがん情報サイトの資料をもとに、末期がんのご家族が知っておきたい「7つの視点」をまとめました。治療の選び方、痛みや息苦しさなどの症状への備え、在宅か病院かの選択、ご家族自身の心と体の守り方まで、できるだけ具体的にお伝えします。

この記事を読みながら、「完璧な介護」ではなく、「今の自分にできる精一杯」を一緒に整理していきましょう。あなたは決して一人ではありません。

Japanese Health(JHO)編集部とこの記事の根拠について

Japanese Health(JHO)は、健康と美容に関する情報を提供するオンラインプラットフォームです。膨大な医学文献や公的ガイドラインを整理し、日常生活で活用しやすい形でお届けすることを目指しています。

本記事の内容は、厚生労働省のがん・緩和ケア関連ページ1、国立がん研究センター「がん情報サービス」234、人生の最終段階における医療・ケアのガイドライン5、および海外の公的・専門機関によるエビデンスベースの情報678910を中心に参照し、JHO編集部がAIツールのサポートを受けつつ、一次資料と照合しながら作成しています。

  • 厚生労働省・自治体・公的研究機関:がん対策推進基本計画や緩和ケア関連資料、統計資料など、日本人向けの公式情報を優先して参照しています156
  • 国立がん研究センター・各医学会:「がんになったら手にとるガイド」「がん情報サービス」の解説、家族向けページなどをもとに、治療選択や家族支援のポイントを整理しています234
  • 海外の公的機関・専門サイト:米国国立がん研究所(NCI)やAmerican Cancer Society、Cancer.Netなどのエビデンスに基づく解説を補足的に参照しています678910

AIツールは、文献の要約や構成案作成の「アシスタント」として活用していますが、公開前には必ずJHO編集部が原著資料と照合し、重要な記述を一つひとつ確認しながら、事実関係・数値・URLの妥当性を検証しています。

私たちの運営ポリシーや編集プロセスの詳細は、運営者情報(JapaneseHealth.org)をご覧ください。

要点まとめ

  • 「末期がん」だからといって、治療か緩和ケアかの二者択一ではなく、本人の希望に沿って治療と緩和ケアを組み合わせることが重要です12
  • 抗がん剤や放射線治療は、完治を目指す段階を過ぎても痛みや出血を抑える目的で行われることがあり、その一方で副作用や通院負担も考える必要があります26
  • 緩和ケアやホスピスケアは「最後の数日だけ」のものではなく、がんと診断された時から利用できるサポートであり、痛み・息苦しさ・不安などを和らげる専門チームが関わります126
  • 家族が一人で抱え込み過ぎると、介護者自身が心身の不調やうつ状態に陥るリスクが高まることが研究で示されています10。早めに相談窓口や訪問看護、在宅緩和ケアなどを活用することが大切です46
  • 食欲低下、寝ている時間の増加、呼吸パターンの変化などは、がんの終末期によくみられる変化であり、多くの場合、本人はそれほど苦痛を感じていないとされています789
  • 「どこで最期を迎えたいか」「どこまで医療的な処置を望むか」といった希望は、一度きりでなく何度も話し合いながら更新していくプロセスが推奨されています5
  • 息苦しさの急激な悪化、強い意識障害、止まらない出血などの危険なサインでは、ためらわずに救急車(119)や主治医に連絡し、医療的なサポートを受けることが重要です67

第1部:末期がんと緩和ケアの基本を理解する

まずは、「末期がん」とは何を指すのか、そして終末期医療で重要な役割を果たす「緩和ケア」「ホスピスケア」とはどのようなものかを整理します。基本を理解することで、これからの選択肢や医療者との話し合いが具体的にイメージしやすくなります。

1.1. 末期がん・終末期医療・緩和ケアとは?

一般的に「末期がん」や「終末期」と呼ばれる段階は、がんが広がって根治を目的とした治療が難しくなり、余命が限られていると予測される時期を指します。ただし、いつからが「末期」なのかについては一律の線引きがあるわけではなく、病状や治療歴、体力や他の病気などを総合的に見て判断されます67

厚生労働省は、がん医療における緩和ケアを「がんと診断された時から、治療と並行して行われる、痛みや息苦しさなどの身体的な苦痛、気持ちのつらさや不安などを和らげるための包括的なケア」と位置づけています1。終末期だけのケアではなく、「がんと共に生きる」ことを支える考え方です6

緩和ケアには、次のような特徴があります。

  • 痛み・吐き気・息苦しさ・不眠などの身体症状を和らげるための薬物療法やケア
  • 不安・抑うつ・怒り・罪悪感などの心理的な苦痛へのサポート
  • 仕事や経済面、介護体制など、生活全体に関わる相談支援
  • 本人だけでなく家族も「ケアの対象」として支える姿勢23

国立がん研究センターの「がんになったら手にとるガイド」でも、緩和ケアは「がんの治療と一緒に受けるもの」であり、「痛みを我慢しないこと」が強調されています2。痛みを我慢すると、体力や気力がさらに消耗し、残された時間の生活の質(QOL)が大きく下がってしまうためです。

1.2. 本人の希望を尊重した治療選択と「やめる勇気」

末期がんの段階でも、以下のような選択肢が提示されることがあります。

  • 腫瘍を少しでも小さくして症状を抑えるための抗がん剤や放射線治療
  • 新しい薬の有効性や安全性を調べるための臨床試験への参加2
  • がんそのものを直接治療することより、痛みや苦痛の軽減を優先する緩和ケア中心の治療

がん情報サービスでは、治療法の選択にあたって「何を一番大切にしたいか(痛みをできる限り抑える、家で過ごしたい、できるだけ長く生きたい、家族と過ごす時間を優先したいなど)」を医療者と共有することが重要だとしています24。また、人生の最終段階に関する厚生労働省のガイドラインでも、本人の価値観や希望を踏まえたアドバンス・ケア・プランニング(ACP)が推奨されています5

一方で、治療がもたらす負担(通院・入院、強い副作用、頻回の検査など)が、ご本人の体力や生活の質に大きく影響することもあります。研究によれば、終末期に過度な積極的治療が続くと、本人だけでなく家族の心身の負担も増え、死別後の悲嘆(グリーフ)にも影響しうるとされています10

「やれることはすべてやってあげたい」という思いは当然のものですが、「つらい治療をこれ以上は望まない」という選択も、決してあきらめではなく、その人らしさを守る大切な決断です。迷ったときは、一人で抱え込まず、主治医や緩和ケアチーム、がん相談支援センターなどに率直な気持ちを相談してみましょう34

表1:今の状況を振り返るセルフチェック
こんな悩み・状況はありませんか? 考えられる主な背景・相談先の例
本人はとてもつらそうなのに、これ以上治療を続けるべきか決められない 治療の目的(延命か症状緩和か)があいまいになっている可能性。
主治医・緩和ケアチーム・がん相談支援センターでのカンファレンス相談
「家で過ごしたい」という本人の希望と、家族の介護負担との間で揺れている 在宅医療・訪問看護・ショートステイ・ホスピスなど複数の選択肢あり。
地域包括支援センター、ケアマネジャー、ソーシャルワーカーへの相談
痛みや息苦しさが強いのに、「我慢させているのでは」と不安になる 鎮痛薬やオピオイド調整、酸素・モルヒネなどの緩和ケア的介入で軽減できる可能性。
主治医・緩和ケア科・在宅医への早めの相談

第2部:家族と日常生活を守るための心とからだのケア

末期がんの家族は、本人のつらさを目の前で見続けながら、自分自身の仕事や家事、ほかの家族のケアも担うことが多く、「第二の患者」とも呼ばれるほど大きな負担を抱えています410。ここでは、本人と家族の生活を少しでも支えるための視点を整理します。

2.1. 家族のメンタルヘルス:罪悪感・怒り・疲れを抱え込まない

研究によると、終末期がん患者を支える家族介護者は、強い疲労感や睡眠障害、抑うつ、不安を抱えることが多く、死別後の悲嘆(グリーフ)にも長く影響することが示されています10。特に日本では、「家族だから自分が頑張らなければ」と一人で抱え込みやすい文化的背景もあり、支援を求めることに罪悪感を覚える人も少なくありません。

しかし、家族の健康を守ることは、結果的に本人にとっても大切なケアです。具体的には、次のようなサインが続く場合は、心療内科や精神科、緩和ケアチームへの相談も検討しましょう。

  • ほとんど眠れない、または逆に昼夜を問わず眠気が強い状態が2週間以上続く
  • 何をしても楽しいと感じられない、涙が止まらない、感情が麻痺したように感じる
  • 食欲が極端に落ちる、または過食気味になる
  • 「自分がいなくなったほうがいい」といった思いが頭をよぎる

日本各地のがん診療連携拠点病院には「がん相談支援センター」が設置されており、患者だけでなく家族のつらさや不安も無料で相談できます34。電話やオンライン相談を行っている施設もあるため、一度問い合わせてみることをおすすめします。

2.2. 日常生活の中でできる無理のない役割分担

介護が長期化すると、家族の誰か一人に負担が集中しやすくなります。特に、在宅での介護を選んだ場合は、次のようなポイントを意識すると、少し負担が軽くなることがあります。

  • 「すべてを家族だけでやる」のではなく、訪問看護・訪問介護・デイサービス・ショートステイなど外部のサービスも含めたチームで支える
  • 家族の中で役割を明確にし、「この曜日は兄弟」、「この時間帯は配偶者」など、シフト制に近い考え方を取り入れる
  • 近所の人や友人に「具体的なお願い」をする(例:ゴミ出し、買い物のついでに牛乳を買ってきてもらう、数時間だけ見守りをお願いする など)
  • 介護休暇制度や時短勤務、在宅勤務など、職場の制度を積極的に確認し、必要に応じて産業医や上司に相談する

「頼ること=弱さ」ではありません。地域包括支援センターやケアマネジャー、ソーシャルワーカーなどは、まさに「頼られること」が仕事です。少しだけ勇気を出して、「今とても疲れている」「どうしていいかわからない」と言葉にしてみましょう6

2.3. 本人とのコミュニケーション:何を話し、何を聞くか

終末期に近づくと、「本人に真実をどこまで伝えるか」「怖い気持ちや不安をどう受け止めればいいか」といった悩みも増えてきます。がん情報サービスでは、「本人が知りたいかどうか」「どこまで知りたいか」を確認しながら、段階的に情報を伝えていくことが大切だとしています34

会話の具体例としては、次のようなものがあります。

  • 「最近、どんなことが一番つらい?」「何か変わったことはある?」と、身体のつらさを具体的に聞く
  • 「これからの時間で、できたらやりたいことはある?」と、本人の希望や願いを引き出す
  • 「全部はできないかもしれないけど、一緒にどうしたいか考えたい」と、完璧に叶えられないかもしれないことも正直に共有する
  • 「怖いときは怖いって言ってね。私も不安だけど、一緒に聞いてくれる人(医療者や相談員)がいるからね」と、「一緒に支えてくれる第三者の存在」を伝える

すべてを上手に話そうとする必要はありません。ときには、ただそばに座って手を握るだけでも、大きな安心につながります79

第3部:医療的な選択肢と症状コントロールを理解する

末期がんのケアでは、「どこまで治療を続けるか」と同じくらい、「どのように症状を和らげるか」が重要になります。ここでは、臨床試験や緩和ケア病棟(ホスピス)、在宅緩和ケアなどの選択肢と、代表的な症状への対処法を整理します。

3.1. 臨床試験という選択肢:メリット・負担・注意点

がん治療の臨床試験では、新しい薬や治療法の有効性と安全性を調べます。標準治療が効かなくなった場合、臨床試験への参加が選択肢として提示されることがあります26

臨床試験のメリットとしては、次のような点が挙げられます。

  • 既存の治療では得られない可能性のある、新しい薬・治療にアクセスできる
  • 定期的な検査や診察が行われ、状態を細かくフォローしてもらえることが多い
  • 治療費の一部または全部が試験でカバーされる場合がある(詳細は試験ごとに異なる)

一方で、

  • 通院回数が増える、検査が多いなど、身体的・時間的な負担が大きくなる可能性
  • 有効性や副作用がまだ完全にはわかっていない治療であること
  • 試験途中で体調や検査結果によっては継続できなくなる可能性

参加するかどうか迷うときは、「期待できる効果」「予想される副作用」「通院・入院の頻度」「費用の負担」「途中でやめることはできるか」などを、主治医や試験担当医に遠慮なく質問しましょう2。家族だけで説明を聞く場を設けてもらうこともできます。

3.2. 痛み・息苦しさ・せん妄などの症状を和らげるケア

終末期のがんでは、痛み、息切れ、呼吸困難、吐き気、せん妄(意識がもうろうとして混乱する状態)、不眠など、さまざまな症状が現れることがあります6789。これらは「仕方がないもの」と思われがちですが、多くは薬物療法やケアの工夫によって軽減できるとされています。

  • 痛み:オピオイド(モルヒネなど)をはじめとした鎮痛薬を適切に使うことで、多くのケースで痛みをコントロールできると報告されています27。我慢せず、数字や例えを使って痛みの強さを伝えることが大切です。
  • 息苦しさ:酸素投与、体位の工夫(上半身を少し起こす、横向きにする)、扇風機で顔に風を当てるなどで軽減する場合があります。必要に応じて、モルヒネなどを少量用いて呼吸困難感を和らげることもあります67
  • せん妄・混乱:夜間の光や音を調整し、昼夜のメリハリをつけること、穏やかな声かけで時間や場所、家族の存在を繰り返し伝えることが役立つ場合があります。原因として感染症や薬の影響などが隠れていることもあるため、医療者に早めに相談しましょう9
  • 食欲低下:終末期には身体の代謝が変化し、食欲が自然に低下します。無理に食事を勧めることは、かえって苦痛を増やすこともあります78。少量を好きなときに口にできるようにし、口の中の乾燥を防ぐケア(うがい、口腔保湿など)に重点を置きましょう。

これらのケアは、病院だけでなく在宅でも、地域の緩和ケアチームや訪問看護と連携することで行うことができます614。家族だけで対処しようとせず、「この症状は緩和できないだろう」と決めつけないことが大切です。

3.3. ホスピス・緩和ケア病棟・在宅緩和ケアの違い

日本では、終末期がんの患者さんと家族を支える場所として、次のような選択肢があります614

  • 緩和ケア病棟(ホスピス):痛みや苦しさを和らげることに重点を置いた専門病棟で、多職種のチームが本人と家族を支えます。
  • 一般病棟での緩和ケア:がん診療連携拠点病院などでは、一般病棟でも緩和ケアチームが介入し、症状コントロールや心理的支援が行われます。
  • 在宅医療・在宅緩和ケア:在宅医や訪問看護ステーションと連携し、自宅での療養を支える形です。夜間・休日のオンコール体制がある地域も増えています。

厚生労働省の資料によると、多くの日本人は「家族の負担にならないこと」「体や心の苦痛が少ないこと」を最期の場所を考える際の重要な条件として挙げています6。どこが正解ということではなく、本人と家族が大切にしたいことを話し合いながら、地域の医療・介護資源と結びつけていくことが大切です。

第4部:今日から始める「7つの実践アクション」

ここまでの内容を踏まえて、末期がんのご家族が今日から少しずつ実践できる「7つのアクション」を整理します。すべてを一度に行う必要はありません。今の状況に合いそうなものから、少しずつ取り入れてみてください。

表2:家族ができる7つの実践アクションプラン
ステップ アクション 具体例
1. 今の望みを言葉にする 本人の「これからの時間で大事にしたいこと」を聞く 「一番つらいことは何?」「どこで過ごしたい?」「誰とどんな時間を持ちたい?」と、日を分けながら少しずつ聞き出す
2. 治療の目的を確認する 主治医と「今の治療は何のためか」を話し合う 「今の治療は、がんを小さくする目的ですか?」「症状を和らげるためですか?」「やめた場合と続けた場合の違いを教えてください」と質問する
3. 緩和ケアに早めに相談 痛みや息苦しさが強くなる前から緩和ケアチームにつなぐ 「緩和ケアの専門の先生や看護師さんと一度話したい」と主治医に依頼する。がん相談支援センターにも連絡する
4. 在宅・病院・ホスピスの情報収集 自宅近くの選択肢を早めに調べておく 地域包括支援センターやケアマネジャーに、「この地域で在宅緩和ケアや緩和ケア病棟はどこにありますか?」と尋ねる
5. 家族の役割分担を決める 一人に負担が集中しないようにする きょうだい・パートナー・子どもで、「平日の夜」「週末」「通院付き添い」など、できる範囲で役割を話し合う
6. 日々のケアをシンプルに 「できること」にフォーカスしたケアを選ぶ 無理に食事量を増やすより、口腔ケアや体位変換、やさしいマッサージなど、本人が気持ちよいと感じることを優先する789
7. 家族自身のケア時間を確保 自分の睡眠・食事・休息を「予定」に組み込む 1日10〜15分でも、自分だけの時間を確保する。週に1回は、訪問介護や親族に代わってもらい、外に出て散歩するなど

第5部:受診の目安と相談先 — いつ・どこで・どのように?

ここでは、「これは様子を見ていてよいのか」「すぐに受診や救急搬送を考えるべきか」の目安と、日本で利用できる主な相談先をまとめます。

5.1. すぐに医療機関への連絡を検討すべきサイン

  • 急に強い胸の痛みや息苦しさが出て、会話が難しいほど苦しそうなとき
  • 意識がほとんどなく呼びかけても反応がない、または突然のけいれんが起こったとき
  • 大量の吐血・下血、止まらない出血があるとき
  • 高熱が続き、悪寒や寒気が強いとき(感染症の可能性)
  • 痛みが薬でほとんどコントロールできず、本人が「耐えられない」と訴えているとき

これらの症状があるときは、時間帯にかかわらずためらわずに119番に連絡し、「末期がんで在宅療養中であること」「主治医や在宅医の有無」を伝えましょう。また、在宅医療や訪問看護を利用している場合は、事前に「夜間・休日の連絡先」を確認しておくと安心です67

5.2. 日中に相談・受診を考えたいサイン

  • 痛みや息苦しさが、以前より明らかに悪化している
  • せん妄や混乱が続き、本人や家族が不安を強く感じている
  • 食事や水分がほとんど取れず、脱水が疑われる
  • 家族の介護負担が限界に近づき、「もう続けられない」と感じ始めている

このような場合は、主治医の外来や緩和ケア外来、がん相談支援センター、地域包括支援センターなどに連絡し、状況を説明しましょう。「どの診療科にかかればいいかわからない」ときも、まずは相談窓口につなぐことで、適切な窓口を紹介してもらえます346

5.3. 相談先・サポート窓口の例

  • がん相談支援センター:全国のがん診療連携拠点病院などに設置されている無料相談窓口。治療・生活・お金・仕事・家族の悩みなどを幅広く相談できます34
  • 地域包括支援センター:高齢者やその家族の総合相談窓口。介護保険サービスや在宅医療との連携などについて相談可能です6
  • 在宅医療・訪問看護ステーション:自宅での医療処置や看取りも含めたサポートが可能な場合があります14
  • 患者会・家族会:同じ経験をした人同士が話せる場は、「自分だけではない」と感じられる大きな支えになります4

日本のがん対策は、「病院だけでなく地域全体でがんと共に生きる人と家族を支える」という方向で整備が進められています6。一人で抱え込まず、こうした仕組みを上手に活用していきましょう。

よくある質問

Q1: 末期がんと言われたら、すべての治療をやめて緩和ケアだけに切り替えるべきですか?

A1: 「末期がん=治療をしない」という意味ではありません。抗がん剤や放射線治療を、がんを完全になくす目的ではなく「痛みや出血などの症状を抑える目的」で行うこともあります26。一方で、副作用や通院・入院による負担が大きい場合は、緩和ケア中心に切り替える選択も十分に尊重されます15。大切なのは、本人が何を一番大切にしたいか(痛みの少なさ、家で過ごす時間、寿命の長さなど)を主治医や緩和ケアチームと共有し、それに合わせて治療方針を一緒に考えることです。

Q2: 食事をほとんど取らなくなりました。無理にでも食べさせた方がいいですか?

A2: がんの終末期には、身体の代謝が変化し、自然に食欲が低下していくことが多いとされています78。無理に量を増やそうとすると、吐き気や腹部の張りなど、かえって苦痛が強くなることがあります。本人が欲しがるものを少量ずつ口にできるようにすることや、口の中の乾燥を防ぐケア(うがい、氷やジェル状の保湿剤、リップクリームなど)を重視することが勧められています789。不安な場合は、主治医や栄養士、緩和ケアチームに「今の状態で、どの程度の栄養摂取が望ましいか」を相談しましょう。

Q3: 痛みが強いのに、モルヒネなどの強い薬を使うのが怖いです。

A3: モルヒネなどのオピオイドは、「依存性が心配」「寿命が縮むのでは」といったイメージを持たれがちですが、終末期がんの痛みのコントロールにおいては、適切に使うことでQOLを大きく改善できるとされています27。世界的なガイドラインでも、がん疼痛に対するオピオイドの使用は標準的な治療の一つです7。急に中止したり勝手に増量したりせず、医師や看護師と相談しながら、痛みの強さに合わせて調整していくことが重要です。

Q4: 在宅と病院、どちらで最期を迎えるのが良いのでしょうか?

A4: どちらが「正しい」という答えはありません。日本の調査では、「家族の負担にならないこと」「体や心の苦痛が少ないこと」が、最期の場所を考える際に重視されるポイントとして挙げられています6。在宅では、慣れ親しんだ環境で過ごせる一方、家族の介護負担が大きくなることがあります。病院や緩和ケア病棟では、医療スタッフが24時間近くにいる安心感がありますが、面会時間などの制限が生じることもあります。本人と家族が大切にしたいこと、利用できる在宅医療・介護サービスの有無などを踏まえて、主治医や地域包括支援センターと一緒に検討していくことをおすすめします614

Q5: 家族として「もう限界」と感じてしまうのですが、それでも頑張らなければいけないのでしょうか?

A5: 終末期の介護は、身体的にも精神的にも非常に大きな負担を伴います。研究では、介護者が追い詰められた状態のまま介護を続けると、死別後の悲嘆やうつ症状が重くなりやすいことが示されています10。決して「頑張りが足りない」わけではなく、むしろ、「限界」と感じるのは自然なサインです。がん相談支援センターや地域包括支援センター、在宅医療チーム、心療内科・精神科などに相談し、ショートステイやレスパイト入院、訪問介護などを組み合わせることで、家族が休める時間を意識的に確保することが大切です346

Q6: 子どもに「おじいちゃん(お母さん)がもうすぐ死んでしまうかもしれない」と、どこまで伝えるべきですか?

A6: 年齢や発達段階によって、理解できる内容や表現の仕方が異なりますが、多くの専門家は、子どもが「何かがおかしい」と感じているのに大人が何も説明しない状態は、かえって不安を強めると指摘しています47。例えば、「病気がとても重くて、お医者さんも頑張ってくれているけれど、前のように元気になるのは難しいかもしれない」「一緒にいられる時間を大事にしたい」といった形で、少しずつ状況を伝えていくことが勧められます。必要であれば、主治医や緩和ケアチーム、心理士などに同席してもらい、一緒に子どもへ説明する方法もあります。

Q7: 最期の数日〜数時間に、家族として何をしてあげられますか?

A7: 海外の公的機関やCancer.Netなどによると、最期に近づくと、呼吸のリズムが変化したり、手足が冷たくなったり、意識がはっきりしない時間が増えたりすることが多いとされています789。これらは身体の自然な変化であり、多くの場合、本人は強い苦痛を感じていないと考えられています。家族としてできることは、静かに手を握る、優しく声をかける、本人が好きだった音楽を小さな音で流す、部屋の明るさや温度を整えるなどです。痛みや息苦しさが強いように見える場合は、すぐに医療者に相談し、必要な薬やケアの調整を行ってもらいましょう789

結論:この記事から持ち帰ってほしいこと

大切な人が末期がんと向き合っているとき、家族は「何が正解なのか」わからないまま、苦しい選択を迫られる場面が続きます。完璧な選択や完璧な介護は、誰にもできません。それでも、本人の価値観や願いを一緒に確かめながら、痛みや苦しさをできるだけ和らげ、限られた時間の中で「その人らしさ」を守ろうとする姿勢こそが、何よりも尊いケアです。

緩和ケアは、あきらめの医療ではなく、「最後までその人らしく生きること」を支える医療とケアの総称です126。日本には、がん相談支援センターや地域包括支援センター、在宅医療・訪問看護など、家族を含めて支える仕組みが少しずつ整ってきています34614

どうか、一人で抱え込まず、「つらい」「不安だ」という気持ちを、身近な人や専門職に言葉にしてみてください。その一歩が、ご本人にとっても、あなた自身にとっても、より穏やかな時間につながっていくはずです。

この記事の編集体制と情報の取り扱いについて

Japanese Health(JHO)は、信頼できる公的情報源と査読付き研究に基づいて、健康・医療・美容に関する情報をわかりやすくお届けすることを目指しています。

本記事の原稿は、最新のAI技術を活用して下調べと構成案を作成したうえで、JHO編集部が一次資料(ガイドライン・論文・公的サイトなど)と照合しながら、内容・表現・数値・URLの妥当性を人の目で一つひとつ確認しています。最終的な掲載判断はすべてJHO編集部が行っています。

ただし、本サイトの情報はあくまで一般的な情報提供を目的としており、個々の症状に対する診断や治療の決定を直接行うものではありません。気になる症状がある場合や、治療の変更を検討される際は、必ず医師などの医療専門家にご相談ください。

記事内容に誤りや古い情報が含まれている可能性にお気づきの場合は、お手数ですが運営者情報ページ記載の連絡先までお知らせください。事実関係を確認のうえ、必要な訂正・更新を行います。

免責事項 本記事は情報提供のみを目的としており、専門的な医学的助言や診断、治療に代わるものではありません。健康上の懸念がある場合や、治療内容の変更・中止等を検討される際には、必ず資格のある医療専門家にご相談ください。

参考文献

  1. 厚生労働省. 緩和ケアとは. https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/kenkou_iryou/kenkou/gan/gan_kanwa.html(最終アクセス日:2025-11-26)

  2. 国立がん研究センター がん情報サービス. 患者必携 がんになったら手にとるガイド 第3部 がんのことで知っておくこと(緩和ケアについて理解する ほか). https://ganjoho.jp/public/qa_links/book/public/hikkei02.html(最終アクセス日:2025-11-26)

  3. 国立がん研究センター がん情報サービス. 家族ががんになったとき. https://ganjoho.jp/public/support/family/fam/index.html(最終アクセス日:2025-11-26)

  4. 国立がん研究センター がん情報サービス. 家族のがんが進行・再発したとき. https://ganjoho.jp/public/support/family/fam/fam04.html(最終アクセス日:2025-11-26)

  5. 厚生労働省. 人生の最終段階における医療・ケアの決定プロセスに関するガイドライン等(テーマ6資料). https://www.mhlw.go.jp/content/12300000/001099983.pdf(最終アクセス日:2025-11-26)

  6. 厚生労働省. がん対策における地域共生について(地域緩和ケアの提供体制の構築に向けて). https://www.mhlw.go.jp/content/12600000/001450381.pdf(最終アクセス日:2025-11-26)

  7. National Cancer Institute. End-of-Life Care for People Who Have Cancer. 2021. https://www.cancer.gov/about-cancer/advanced-cancer/care-choices/care-fact-sheet(最終アクセス日:2025-11-26)

  8. American Cancer Society. What to Expect When a Person With Cancer Is Nearing Death. https://www.cancer.org/treatment/end-of-life-care/nearing-the-end-of-life/death.html(最終アクセス日:2025-11-26)

  9. Cancer.Net (American Society of Clinical Oncology). Care Through the Final Days. https://www.cancer.net/navigating-cancer-care/advanced-cancer/care-through-final-days(最終アクセス日:2025-11-26)

  10. Oechsle K, Ullrich A, Marx G, et al. Psychological burden in family caregivers of patients with advanced cancer at initiation of specialist inpatient palliative care. BMC Palliative Care. 2019;18(102). https://doi.org/10.1186/s12904-019-0469-7(最終アクセス日:2025-11-26)

  11. 国立がん研究センター がん情報サービス. 患者必携 がんになったら手にとるガイド(在宅医療・在宅緩和ケア・終末期ケアの説明). https://ganjoho.jp/public/qa_links/book/public/pdf/0_all.pdf(最終アクセス日:2025-11-26)

この記事はお役に立ちましたか?
はいいいえ