【理想のヘアカット頻度】髪を美しく保つ目安と決め方
皮膚科疾患

【理想のヘアカット頻度】髪を美しく保つ目安と決め方

「髪をきれいに保つには、どのくらいの頻度で切ればいいの?」という疑問は、とても自然です。結論からいうと、“正解の回数”は一人ひとり違います。なぜなら、ヘアカットには大きく分けて①スタイル(形)を維持する目的と、②毛先のダメージ(枝毛・切れ毛)をコントロールする目的があり、どちらを優先するかで最適な間隔が変わるからです。

目安を作るうえで役立つのが、髪が伸びるスピードです。公益社団法人日本皮膚科学会の情報では、頭髪は平均的に1日約0.4mm伸び、成長期が2〜6年続くと説明されています1。この数字を土台に、「どれくらい伸びると形が崩れるか」「毛先がどれくらい傷みやすいか」を考えると、あなたに合う頻度が見えやすくなります。

この記事では、Japanese Health(JHO)編集部が、日本皮膚科学会査読付き論文米国皮膚科学会(AAD)などの信頼できる一次情報をもとに、理想のヘアカット頻度の考え方と、髪を美しく保つための具体策を整理します。美容室に行くべきタイミングだけでなく、「それって病気のサイン?」と不安になりやすい抜け毛の話も、受診の目安まで丁寧に解説します12

Japanese Health(JHO)編集部とこの記事の根拠について

Japanese Health(JHO)は、健康と美容に関する情報を提供するオンラインプラットフォームです。膨大な医学文献や公的ガイドラインを整理し、日常生活で活用しやすい形でお届けすることを目指しています。

本記事は、公益社団法人日本皮膚科学会の公開情報12345米国皮膚科学会(AAD)の一般向け解説678、および査読付き論文(PMCID掲載を含む)10111213を参照し、JHO編集部が内容を整理しました。

AIツールは文献の整理や構成補助に活用しますが、公開前には必ずJHO編集部が一次資料と照合し、重要な記述を確認しながら作成しています。運営方針の詳細は、運営者情報(JapaneseHealth.org)をご覧ください。

要点まとめ

  • ヘアカット頻度は「スタイル維持」と「毛先ダメージ管理」のどちらを優先するかで決まります。
  • 日本皮膚科学会によると、頭髪は平均的に1日約0.4mm伸びます1。この伸びを基準に「崩れやすい長さ」を逆算すると判断が楽になります。
  • 枝毛(毛先の裂け)は、髪の“表面”の損傷が進んだ状態で、放置すると裂けが進むことがあります。力学的にも「割れ(クラック)が進展する」現象として説明されています10
  • ダメージを悪化させやすい習慣(熱・摩擦・強い薬剤・強い牽引)を減らすことが、カット間隔を無理なく延ばすコツです613
  • 抜け毛が急に増えた、円形に抜けた、頭皮が赤い・痛いなどは、脱毛症や皮膚疾患が隠れていることがあります。日本皮膚科学会は、脱毛症が感染症や甲状腺疾患などと関連する可能性にも触れています24
  • くせ毛・カーリーは乾燥しやすく摩擦に弱い傾向があるため、洗い方・乾かし方・コーミングの工夫が重要です8

第1部:理想のヘアカット頻度を決める基本

「どれくらい伸びると困るか」「どれくらい傷むと困るか」の2軸で考えると、ヘアカット頻度は決めやすくなります。まずは髪の伸び方と、ダメージが起こりやすい場所(毛先)を理解しましょう。

1.1. 基本的なメカニズム:髪は“根元で作られ、毛先で傷みやすい”

髪は頭皮の中にある毛包(毛を作る器官)で作られ、外に出てきた毛は伸び続けます。日本皮膚科学会によると、頭髪は成長期が2〜6年続き、平均的に1日約0.4mm伸びます1。単純計算では1か月で約1.2cm前後(0.4mm×30日)です。

この「約1.2cm」が、頻度を決める基準になります。たとえば、短髪で襟足やもみあげの“線”が命のスタイルは、1〜2cm伸びるだけで形が崩れやすいでしょう。一方でロングの場合、1〜2cm伸びても見た目の変化は小さいかもしれません。その代わり、ロングは毛先までの距離が長く、日々の摩擦や熱で毛先が傷みやすくなります。査読付き論文では、髪の損傷は主にグルーミング(ブラッシング等)や化学処理など外的要因により起こりやすいことが述べられています13

つまり、短髪ほど「形のため」に頻度が上がり、長髪ほど「毛先のため」に頻度を考える、という整理が実用的です。

1.2. 枝毛・切れ毛が増える“しくみ”をイメージする

枝毛(毛先の裂け)は、髪の表面(キューティクル)や内部の繊維構造が傷み、毛先から縦方向に割れていく状態です。2024年の研究では、髪の「分裂(スプリット)」は亀裂が入り、力が加わることで亀裂が進展する“破壊力学”として説明され、もつれやコーミング時の力学環境を模した試験系が提案されています10

ここで大切なのは、枝毛が一度できると、表面の状態が乱れて絡まりやすくなり、絡まりをほどく過程でさらに力が加わり、ダメージの連鎖が起こりやすい点です。毛先が「引っかかる」「白い点が増えた」「触るとザラつく」などは、ヘアカットで負担をリセットするサインになりえます。毛髪損傷の臨床的・病態的側面をまとめたレビューでも、日常の摩擦・熱・化学処理が損傷に関与することが整理されています9

1.3. 悪化させてしまうNG習慣:頻度を上げる前に“損傷の原因”を減らす

ヘアカットの頻度を上げても、日々の損傷が大きいままだと「切っても切っても毛先が荒れる」状態になりがちです。米国皮膚科学会(AAD)は、髪を傷めやすい習慣として、強い熱、過度なブラッシング、強い化学処理、濡れた髪への強い力などを挙げ、具体的な回避策を提示しています6

  • 高温の熱:ヘアアイロンやドライヤーを高温で長時間当て続ける(AADは熱・化学処理の工夫を推奨)6
  • 摩擦:濡れた髪をタオルで強くこする、細かい櫛で無理にとかす(“ほどく力”が毛先に集中しやすい)1013
  • 強い薬剤:頻回のブリーチ、縮毛矯正、パーマの繰り返し(AADは処理の間隔やダメージ低減策に言及)6
  • 強い牽引:きついポニーテールや編み込みを毎日続ける(牽引性脱毛症のリスク)3
表1:セルフチェックリスト(ヘアカット頻度を決める目安)
こんな症状・状況はありませんか? 考えられる主な背景・原因カテゴリ
前髪が目にかかって視界が気になる/セットが決まらない 伸びによるスタイル崩れ(伸びのスピード:日本皮膚科学会の説明を基準に逆算)1
毛先が絡まりやすく、ほどくときにプチプチ切れる 枝毛・切れ毛、摩擦ダメージ(もつれと力学的負荷の関係)109
毛先が白っぽい点状に見える/触るとザラつく キューティクル損傷・毛髪の風化(グルーミングや化学処理の影響)139
頭皮がかゆい、フケが多い、赤みが続く 頭皮コンディションの乱れ(頭皮状態が毛の成長・保持に影響しうる)12
きつい結び方を続けていて、生え際や分け目が薄く感じる 牽引性脱毛症の可能性(ヘアスタイルと脱毛の関係)3
急に抜け毛が増えた/円形に抜けた/眉毛や体毛も抜ける 脱毛症の可能性(感染症・内科疾患・自己免疫なども含む)24

1.4. まず作りたい“あなたの基準”:崩れラインと毛先ライン

頻度を決めるために、次の2つを自分の言葉で決めてみてください。

  • 崩れライン:髪が何cm伸びたら「扱いにくい」「似合わない」と感じるか(短髪は1〜2cmでも崩れやすいことが多い)1
  • 毛先ライン:毛先にどのサインが出たらカットでリセットしたいか(絡まり、白点、裂け、手触り)109

この2本の“線”が決まると、ヘアカットは「なんとなく行く」から「根拠を持って行く」に変わります。

第2部:髪の内側の要因 — 頭皮・ホルモン・隠れた不調を見落とさない

スタイルや毛先の問題と思っていても、背景に脱毛症や内科的な要因が隠れていることがあります。日本皮膚科学会は、脱毛症が毛包の障害や毛周期の乱れで起こり、感染症、甲状腺疾患、膠原病、薬剤、放射線治療の副作用などとも関連しうると説明しています24。ここでは「美容室の範囲」と「医療で確認したい範囲」を分ける視点を持ちましょう。

2.1. 【特に女性】ライフステージの変化を“毛周期の視点”で見る

毛は成長期・退行期・休止期を経て生え替わります1。このサイクルが乱れると、見た目としては「抜け毛が増えた」「ボリュームが落ちた」と感じます。ライフステージの変化で体調が変わると不安になりやすいですが、まずは“急激さ”“他の症状の有無”で判断してください。

たとえば、抜け毛に加えて動悸、極端な体重変化、強い疲労感、皮膚症状などがある場合、背景に内科的疾患が隠れることがあります。日本皮膚科学会は甲状腺疾患や膠原病などが脱毛と関連しうることに触れています2。この場合はセルフケアで粘らず、医療機関で評価を受けるほうが安心です。

2.2. 栄養・生活習慣:頻度を延ばすための“土台づくり”

「頻繁に切らないと維持できない」と感じるとき、実はカットの問題ではなく、髪や頭皮のコンディションが落ちていて“崩れやすい”可能性があります。日本皮膚科学会は、抜け毛予防の生活上の注意点として、生活習慣や食生活などを含めた視点での説明を提供しています5。極端な制限ではなく、日常で続く範囲で整えることが大切です。

また、頭皮環境も無視できません。頭皮状態が毛の成長と保持に影響しうることを論じたレビューでは、頭皮の不健康(酸化ストレスなど)が毛の品質に影響する可能性が示されています12。頭皮のかゆみ・赤み・フケが続く場合は、ヘアカット頻度より先に「頭皮を整える」ほうが結果的に髪が扱いやすくなることがあります。

2.3. “頭皮ケア”と“毛先ケア”は別物:役割を分けると迷わない

髪のケアは大きく、頭皮(毛が作られる場所)と毛幹(見えている髪)に分かれます。毛幹に使う製品(シャンプー、コンディショナー、整髪料など)は、髪の表面状態や手触りに影響します。毛髪化粧品を概説したレビューでは、シャンプーやコンディショナー、染毛剤などが毛幹の性状に作用し得ること、また安全性や処方の視点が整理されています11

「頭皮はさっぱりさせたいけど毛先は乾く」「くせ毛で広がりやすい」など、悩みが混在するときは、頭皮=清潔と炎症を抑える毛先=摩擦と乾燥を抑える、と役割を分けて考えると選択が簡単になります1112

第3部:専門的な診断が必要な脱毛・頭皮トラブル

ヘアカット頻度の相談だと思っていても、実際には脱毛症や頭皮疾患の評価が必要なケースがあります。日本皮膚科学会は、脱毛症が一つの病名ではなく、免疫(円形脱毛症)、男性ホルモン(男性型脱毛症)、感染症、内科疾患、薬剤など多様な背景で起こり得ると説明しています2。ここでは「受診を考えたいサイン」を整理します。

3.1. 代表的な疾患:円形脱毛症・男性型脱毛症など

たとえば円形脱毛症は、免疫が毛包を攻撃することで毛が抜けると説明されています2。また男性型脱毛症は、男性ホルモンの影響で毛の生えかわりが加速し、毛が細く目立たなくなっていくことで薄毛になるとされています2。これらは「ヘアカットの工夫」だけでは本質的に解決しないことが多く、医療的な評価が役立ちます。

また、脱毛が頭髪だけでなく眉毛・まつ毛・ひげ・体毛にも及ぶことがある点も、日本皮膚科学会は言及しています2。範囲が広い、急に進む場合は早めの相談が安全です。

3.2. 牽引性脱毛症:ヘアスタイルが原因になることがある

「結ぶスタイルが多い」「同じ分け目を固定している」「エクステや強い編み込みが習慣」。こうした場合、髪を引っ張る力が継続して加わり、牽引性脱毛症につながる可能性があります。日本皮膚科学会はヘアスタイルと脱毛症の関係について情報を提供しています3

ポイントは、痛みがなくても起こりうることです。「髪型を変えたら改善する余地がある」タイプの薄毛もあるため、早い段階で気づくほど対策はシンプルになります。

3.3. 他の病気と関連する脱毛:見逃したくない背景

日本皮膚科学会は、脱毛が内科的な病気(甲状腺疾患、膠原病など)や感染症、薬剤・放射線治療の副作用などとも関連しうると説明しています2。さらに、他の病気と関連する脱毛についても情報を提示しています4

「最近の体調変化」「皮膚の他の症状」「服薬内容の変化」がある場合は、美容室での相談と並行して、医療機関で原因を確認しておくと安心です。

3.4. 受診を検討したい“危険なサイン(レッドフラッグ)”

次のような状態がある場合は、ヘアカット頻度を調整する前に、皮膚科などで評価を受けることをおすすめします(緊急性が高い症状が強い場合は救急の利用も検討してください)。

  • 円形またはまだらに急に抜けた、短期間で範囲が広がる2
  • 頭皮に強い赤み、痛み、腫れ、膿、発熱などがある(感染症や炎症の可能性)2
  • 眉毛・まつ毛・体毛にも抜けが及ぶ2
  • 強い倦怠感、動悸、体重変化など体調の異常が同時にある(内科疾患が隠れる可能性)24

第4部:今日から始める改善アクションプラン

ヘアカット頻度を「我慢」ではなく「設計」に変えるために、今日からできる行動をレベル別に整理します。頻度を増やす前に損傷を減らせると、結果的に毛先が落ち着き、次のカットまでの期間を無理なく延ばしやすくなります691013

表2:改善アクションプラン(ヘアカット頻度を“自分最適化”する)
ステップ アクション 具体例
Level 1:今夜からできること 摩擦を減らして“絡まり連鎖”を断つ 濡れた髪は強くこすらず押さえて水分を取る/絡まりは毛先から少しずつほどく(もつれと力学負荷の視点)10
Level 1:今夜からできること 熱ダメージを最小化する ドライヤーを近づけすぎない/同じ場所に当て続けない(AADの注意点)6
Level 2:今週からできること “崩れライン”を数値化して、予約の迷いを減らす 日本皮膚科学会の「1日約0.4mm」を基準に、4週間で約1.2cm伸びると仮定し、あなたのスタイルが何cmで崩れるかを記録する1
Level 2:今週からできること 髪質に合う洗い方・扱い方に寄せる カーリー・くせ毛は乾燥と絡まりを想定し、皮膚科学会・AADの推奨に沿って“優しく扱う”方針に統一する86
Level 3:1〜3か月で整えること “毛先ライン”でメンテナンスを設計する 白点・裂け・絡まりが増えたら毛先を数mm〜1cm整えるなど、枝毛の進展(亀裂の進展)の視点で早めにリセットする109
Level 3:1〜3か月で整えること 頭皮コンディションを整える フケ・かゆみ・赤みが続く場合は自己判断で放置せず、頭皮状態が毛の成長・保持に影響しうるという知見も踏まえ相談を検討する12

4.1. “頻度の目安”をあなた用に変換する:実用的な考え方

頻度を「○週間ごと」と固定すると、生活が変わったときに破綻します。おすすめは、次の3つの質問で“あなた用の周期”を作る方法です。

  1. どれくらい伸びたら形が崩れる?(基準:日本皮膚科学会の伸びの目安1
  2. 毛先のダメージサインは何?(絡まり・裂け・白点など。裂けの力学的進展の視点も参考に10
  3. 日常の損傷要因を減らせている?(AADが示すダメージ習慣の回避6、毛髪損傷の外因性の整理13

この3つが揃うと、「短髪は形のために間隔が短くなる」「ロングは毛先のサインで整える」という判断が自然にできます。

第5部:専門家への相談 — いつ・どこで・どのように?

ヘアカット頻度は美容の話に見えますが、抜け毛や頭皮症状が絡むと医療の視点も必要になります。日本皮膚科学会は、脱毛症が多様な原因で起こり得ることを示しています2。ここでは「美容室でよい相談」と「医療機関のほうがよい相談」を切り分けます。

5.1. 受診を検討すべき危険なサイン

  • 短期間で抜け毛が急増した、円形・まだらに抜けた2
  • 頭皮の赤み・痛み・腫れ・膿、発熱などがある(感染症や炎症が疑われる)2
  • 眉毛・まつ毛・体毛にも抜けが及ぶ2
  • 体調変化が同時にある(甲状腺疾患、膠原病などとの関連が示されている)24

5.2. 症状に応じた相談先の選び方

  • 美容室・理美容師:スタイル維持、毛先の扱い、絡まり対策、熱・薬剤の使い方など(AADの注意点を共有すると話が早い)6
  • 皮膚科:抜け毛が主訴、頭皮症状が強い、円形脱毛が疑われる、内科疾患や薬剤の影響が心配など(脱毛症の多様な原因)24

5.3. 診察や相談の前に準備すると役立つもの

  • いつから増えたか、どんな抜け方か(急増・円形・全体的など)をメモする2
  • ヘアカラー、パーマ、縮毛矯正、ブリーチ、熱機器の頻度(外因性ダメージの整理)613
  • きつい結び方や同じ分け目の固定など、牽引がかかる習慣の有無3
  • 服薬・治療歴(薬剤や放射線治療の副作用の可能性)2

よくある質問

Q1: 理想のヘアカット頻度は結局、何週間ごとですか?

「何週間ごと」と一律に決めるより、髪がどれだけ伸びると困るか毛先がどれだけ傷むと困るかで決めるのが現実的です。日本皮膚科学会は頭髪が1日約0.4mm伸びると説明しています1。この伸びを基準に、あなたのスタイルが何cmで崩れるかを逆算してみてください。

毛先の絡まりや裂け(枝毛)が目立つなら、裂けが進展する力学的な観点も踏まえ、サインが出た段階で早めに整えるほうが結果的に扱いやすくなります109

Q2: 髪を切ると早く伸びるって本当ですか?

一般に、髪は毛包(根元)で作られて伸びるため、毛先を切っても「毛包の活動」が直接高まるわけではありません。米国皮膚科学会(AAD)は、子ども向け解説の中で髪の成長の仕組みを説明しています7

ただし、枝毛や切れ毛が多いと「伸びているのに長さが増えない」ように感じることがあります。ダメージを減らし、必要に応じて毛先を整えることは“見た目の伸び”には役立つ可能性があります913

Q3: 枝毛はトリートメントで治せますか?

トリートメントやコンディショナーは、毛幹(見えている髪)の手触りや表面状態を整える目的で用いられ、処方や作用は整理されています11。ただし、裂けた毛先そのものを“元通りに一体化”させることは簡単ではありません。

枝毛は力学的には亀裂が進展する現象として説明されており10、放置すると裂けが進むこともあります。見た目と扱いやすさを戻す最も確実な方法は、傷んだ部分をカットして負担をリセットし、日々の損傷要因を減らすことです69

Q4: 前髪だけ自分で切っても大丈夫?

前髪は伸びると視界や印象に直結しやすいため、こまめに整えたくなる部位です(伸びの目安は日本皮膚科学会の数値を基準に逆算)1。ただし、濡れた状態で一気に切る、強く引っ張って切るなどは、仕上がりの崩れや不均一につながりやすいです。

「少しずつ」「乾いた状態で」「引っ張らずに」を基本にし、失敗しやすい方は無理をせずプロに任せるのが安全です。

Q5: くせ毛・カーリーヘアはヘアカット頻度を変えるべき?

くせ毛・カーリーは、乾燥や絡まりが悩みになりやすく、扱い方の工夫が重要です。AADはカーリーヘア向けに、洗い方や保湿、扱い方のコツを紹介しています8

頻度そのものは「形が崩れるタイミング」と「毛先のダメージサイン」で決めてよいですが、絡まりが増えるなら、カットの前に摩擦・熱・強い処理を減らすほうが効果的なことがあります610

Q6: 抜け毛が気になるときは、美容室と皮膚科どちらに行くべき?

スタイルや毛先の扱いが主な悩みで、頭皮症状や急な抜け毛がないなら美容室での相談が有用です。一方で、短期間で抜け毛が増えた、円形に抜けた、頭皮が赤い・痛いなどがある場合は、脱毛症の評価が必要になることがあります。日本皮膚科学会は脱毛症の原因が多様であることを示しています24

迷う場合は、まず皮膚科で原因を確認し、そのうえで美容室でスタイル設計をする流れが安心です。

Q7: きつく結ぶと本当に薄毛になりますか?

きつい結び方や牽引が続くと、牽引性脱毛症につながる可能性があります。日本皮膚科学会はヘアスタイルと脱毛症の関係について情報を提供しています3

「分け目の固定をやめる」「結ぶ位置を変える」「締め付けを弱める」など、負担を分散する工夫は、早いほど効果が期待しやすいと考えられます。

Q8: 短髪(メンズ含む)はどのくらいで切りたくなるのが普通?

短髪は、1〜2cmの伸びでも輪郭が変わりやすく、清潔感や印象に影響しやすいスタイルです。日本皮膚科学会の「1日約0.4mm」という伸びの目安を基準にすると、4週間前後で約1.2cm伸びる計算になります1

「どれくらいで襟足・もみあげが気になるか」をあなたの“崩れライン”として決めると、必要以上に頻繁に切りすぎることも、放置して扱いにくくなることも減らせます。

結論:この記事から持ち帰ってほしいこと

理想のヘアカット頻度は、「○週間ごと」という一律の答えではなく、髪の伸び(平均1日約0.4mm)と、あなたの“崩れライン”・“毛先ライン”で決まります1。枝毛や切れ毛は、もつれや熱・摩擦・化学処理などの負荷が積み重なることで起こり、裂けが進展する現象としても説明されています10。だからこそ、頻度だけで解決しようとせず、ダメージ要因を減らすことが最短ルートです613

そして、抜け毛が急に増えた、円形に抜けた、頭皮が赤い・痛いなどがある場合は、脱毛症や別の病気が隠れている可能性があります。日本皮膚科学会が示すように原因は多様です24。不安を一人で抱えず、必要なときは皮膚科など専門家に相談してください。

この記事の編集体制と情報の取り扱いについて

Japanese Health(JHO)は、信頼できる公的情報源と査読付き研究に基づいて、健康・医療・美容に関する情報をわかりやすくお届けすることを目指しています。

本記事は、JHO編集部が一次資料(公益社団法人日本皮膚科学会、米国皮膚科学会(AAD)、査読付き論文など)と照合しながら作成しました。運営者情報と編集方針の詳細は、運営者情報(JapaneseHealth.org)をご覧ください。

ただし、本サイトの情報は一般的な情報提供を目的としており、個々の症状に対する診断や治療の決定を直接行うものではありません。気になる症状がある場合や、治療の変更を検討される際は、必ず医師などの医療専門家にご相談ください。

免責事項 本記事は情報提供のみを目的としており、専門的な医学的助言や診断、治療に代わるものではありません。健康上の懸念がある場合や、治療内容の変更・中止等を検討される際には、必ず資格のある医療専門家にご相談ください。

参考文献

  1. 公益社団法人日本皮膚科学会. 皮膚科Q&A:脱毛症 Q1「毛が伸びる、または生えかわる仕組みはどのようになっているのでしょうか?」. https://qa.dermatol.or.jp/qa11/q01.html(最終アクセス日:2025-12-23)

  2. 公益社団法人日本皮膚科学会. 皮膚科Q&A:脱毛症 Q4「『脱毛症』はどのような病気なのでしょうか?」. https://qa.dermatol.or.jp/qa11/q04.html(最終アクセス日:2025-12-23)

  3. 公益社団法人日本皮膚科学会. 皮膚科Q&A:脱毛症 Q16「ヘアスタイルと脱毛症の関係はありますか?」. https://qa.dermatol.or.jp/qa11/q16.html(最終アクセス日:2025-12-23)

  4. 公益社団法人日本皮膚科学会. 皮膚科Q&A:脱毛症 Q17「他の病気と関連する脱毛はありますか?」. https://qa.dermatol.or.jp/qa11/q17.html(最終アクセス日:2025-12-23)

  5. 公益社団法人日本皮膚科学会. 皮膚科Q&A:脱毛症 Q18「抜け毛を防ぐ生活上の注意点はあるでしょうか?」. https://qa.dermatol.or.jp/qa11/q18.html(最終アクセス日:2025-12-23)

  6. American Academy of Dermatology Association. 10 hair care habits that can damage your hair. https://www.aad.org/public/everyday-care/hair-scalp-care/hair-care/habits-damage-hair(最終アクセス日:2025-12-23)

  7. American Academy of Dermatology Association. What kids should know about how hair grows. https://www.aad.org/public/parents-kids/healthy-habits/parents/kids/hair-grows(最終アクセス日:2025-12-23)

  8. American Academy of Dermatology Association. 6 curly hair care tips from dermatologists. https://www.aad.org/public/everyday-care/hair-scalp-care/hair/curly-hair-care-tips(最終アクセス日:2025-12-23)

  9. Osório F, Tosti A. Hair weathering: Part 2: Clinical and pathophysiological aspects. Cosmetic Dermatology. 2011. https://cdn.mdedge.com/files/s3fs-public/Document/September-2017/CT094060272.pdf(最終アクセス日:2025-12-23)

  10. Taylor D, et al. The biomechanics of splitting hairs. Royal Society Open Science. 2024. https://pmc.ncbi.nlm.nih.gov/articles/PMC11285785/(最終アクセス日:2025-12-23)

  11. Dias MFRG, et al. Hair Cosmetics: An Overview. International Journal of Trichology. 2015. https://pmc.ncbi.nlm.nih.gov/articles/PMC4387693/(最終アクセス日:2025-12-23)

  12. Trüeb RM, Henry JP, Davis MG, Schwartz JR. Scalp Condition Impacts Hair Growth and Retention via Oxidative Stress. International Journal of Trichology. 2018. https://pmc.ncbi.nlm.nih.gov/articles/PMC6369642/(最終アクセス日:2025-12-23)

  13. Draelos ZD. The biology of hair care. 2000. PubMed. https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/11059373/(最終アクセス日:2025-12-23)

この記事はお役に立ちましたか?
はいいいえ