【痔瘻(あな痔)・肛門周囲膿瘍】原因・症状・検査・手術と術後ケアまで徹底解説
消化器疾患

【痔瘻(あな痔)・肛門周囲膿瘍】原因・症状・検査・手術と術後ケアまで徹底解説

おしりの周りが腫れてとても痛かったのに、膿が出て少し楽になった。そのあとも下着がじっとり濡れてしまい、なんとなく嫌なにおいがする——。こんな経験をしているのに、「恥ずかしくて誰にも相談できない」「市販薬でごまかしている」という方は、日本では決して少なくありません。

このような症状の背景にある代表的な病気が、痔瘻(じろう、あな痔)と肛門周囲膿瘍です。ほとんどの場合、肛門のすぐ内側にある小さなくぼみ(肛門陰窩)から細菌が入り込み、肛門腺が炎症を起こすことで膿がたまり(肛門周囲膿瘍)、それがトンネル状に残ってしまった状態が痔瘻だと、日本大腸肛門病学会の解説で説明されています1

痔瘻は、いわゆる「痔」の3大疾患(痔核・裂肛・痔瘻)のひとつで、比較的まれな病気ではありますが、放置すると慢性化して再発を繰り返したり、手術が複雑になったり、まれに肛門のがん(痔瘻癌)につながることも報告されています1,3,4。一方で、適切なタイミングで専門的な治療を受けることで、痛みや日常生活の支障を大きく減らせる病気でもあります。

本記事では、日本大腸肛門病学会のガイドラインや総説、日本の専門病院・大学病院の情報、さらにCochraneレビューや欧米のガイドラインなどの国際的なエビデンスに基づき、痔瘻・肛門周囲膿瘍について、原因・症状・検査・手術・術後ケア・再発予防までを、できるだけわかりやすく整理してお伝えします2,3,4,5,8,22,23

「本当に手術しなければいけないの?」「手術後に便が漏れてしまわないか不安」「仕事や子育てにどのくらい影響するのか知りたい」といった切実な疑問にもできるだけ丁寧にお答えし、受診のタイミングや、今日からできるセルフケアのポイントも具体的に解説していきます。

Japanese Health(JHO)編集部とこの記事の根拠について

Japanese Health(JHO)は、健康と美容に関する情報を提供するオンラインプラットフォームです。膨大な医学文献や公的ガイドラインを整理し、日常生活で活用しやすい形でお届けすることを目指しています。

本記事の内容は、日本大腸肛門病学会の「肛門疾患(痔核・痔瘻・裂肛)・直腸脱診療ガイドライン」や関連する総説、日本の大学病院・専門クリニックの解説ページ、さらにCochraneレビューやAmerican Society of Colon and Rectal Surgeons(ASCRS)、European Society of Coloproctology(ESCP)などの海外ガイドラインといった一次情報源に基づいて、JHO編集部がAIツールのサポートを受けつつ、人の目で一つひとつ内容を確認しながら作成しています2,3,4,5,8,22,23,24

  • 日本の公的機関・専門学会:日本大腸肛門病学会のガイドラインや市民向け解説ページ、学会誌に掲載された総説・疫学研究を中心に参照しています1,2,3,7,8,15,21
  • 国内医療機関・教育機関:東邦大学医療センター大森病院や兵庫医科大学病院、専門クリニックの患者向け情報を通じて、日本の診療現場で一般的に行われている検査・治療の流れを確認しています6,10,17,18,19,36
  • 海外ガイドライン・査読付き論文:ASCRS・ESCPガイドライン、Cochraneレビュー、系統的レビュー・メタ解析、症例対照研究などを用いて、手術法ごとの効果や再発・便失禁リスクに関する科学的な知見を整理しています4,5,9,11,22,23,24,26,27,29,30,35

AIツールは、文献の要約や構成案の作成といった面で「アシスタント」として活用していますが、公開前には必ずJHO編集部が原著資料と照合し、重要な記述や数値、URLなどを確認しています。

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要点まとめ

  • 痔瘻(じろう、あな痔)は、肛門の内側と皮膚がトンネル状につながった状態で、多くは肛門周囲膿瘍(おしりの周りの膿)が治りきらずに残ることで生じると日本大腸肛門病学会は説明しています1,2
  • 日本や欧州の調査では、痔瘻の有病率は人口10万人あたり約5.6〜20.8人、欧州では平均18.4人と報告されており、30〜50代の男性に多い傾向があります2,7,10,13,27
  • 痔瘻の主な原因は肛門腺への感染(cryptoglandular theory)で、肥満や喫煙、糖尿病、長時間の座位などがリスク要因として報告されています。また、クローン病や結核、HIVなどが背景にある二次性痔瘻もあります1,4,11,12,32
  • 症状としては、肛門周囲のしこり・痛み・腫れ・発熱に続き、膿や分泌物が出続けることが特徴です。放置するとトンネルが複雑化し、再発しやすくなったり、手術後の便失禁などのリスクが高まるとされています1,6,10,14
  • 治療の基本は手術であり、単純な低位痔瘻には瘻管開放術(fistulotomy)が標準的とされる一方で、高位・複雑痔瘻にはセトン法やLIFT法、粘膜弁移動術など括約筋をできるだけ温存する術式が選択されます2,4,5,8,9,14,26
  • 手術後は、痛みのコントロールや排便調整、創部の清潔を保つことが重要で、数週間〜数か月にわたる通院とセルフケアが必要になります。多くの人はデスクワークなら1〜2週間程度で復帰できるとする専門クリニックの解説もあります10,15,36
  • 高熱や急速な腫れの悪化、広い範囲の赤み・痛み、排尿困難などの症状がある場合は、壊死性筋膜炎(フォルニエ壊疽)など命にかかわる状態の可能性もあるため、すぐに救急受診が必要と国内外のガイドラインは注意喚起しています4,5,32
  • クローン病や乳幼児の痔瘻など、背景や経過が大人の一般的な痔瘻と異なるケースもあり、自己判断せず、専門診療科で相談することが勧められています4,12,28

第1部:痔瘻・肛門周囲膿瘍の基本と日常生活の見直し

最初のセクションでは、「そもそも痔瘻・肛門周囲膿瘍とはどのような病気なのか」「どのくらいの人が悩んでいるのか」「どんな生活習慣や体質が関係しているのか」といった基本を整理します。難しい専門用語はできるだけかみ砕き、日常生活の場面をイメージしながら読めるように解説していきます。

1.1. 痔瘻・肛門周囲膿瘍とは?——「穴」と「膿」の正体

痔瘻(じろう、あな痔)とは、肛門の内側と肛門周囲の皮膚が、トンネル状の細い管(瘻管)でつながってしまった状態を指します。日本大腸肛門病学会の市民向けページでは、肛門の内側にある小さなくぼみ(肛門陰窩)から細菌が肛門腺に入り込み、炎症が広がって膿がたまることで、まず肛門周囲膿瘍(こうもんしゅういのうよう)が生じると説明されています1

この「膿がたまった状態」が肛門周囲膿瘍で、強い痛みや腫れ、発熱を伴います。その後、膿が皮膚の表面へ破れて出てくる、あるいは医療機関で切開して排膿しても、肛門の内側と皮膚の間にトンネル状の通り道が残ると、それが慢性化して痔瘻になります1,6,31。一度トンネルの内側が皮膚のような組織で覆われてしまうと、自然に塞がることはほとんどなく、何度も膿がたまったり、分泌物が続く原因になります。

イメージとしては、「肛門の内側にある小さな穴と、皮膚の表面の小さな穴が、細いトンネルでつながっている」状態です。このトンネルが浅くまっすぐな場合もあれば、何本にも枝分かれして複雑に広がることもあります。トンネルが肛門括約筋(便を我慢する筋肉)のどのあたりを通っているかによって、治療の難しさや手術後の便失禁リスクが変わるため、日本のガイドラインでは位置や走行に応じた分類が詳しく整理されています2,3,7

1.2. 痔の3大疾患の中での痔瘻の位置づけ

「痔」と一口に言っても、代表的なものは痔核(いぼ痔)、裂肛(切れ痔)、痔瘻の3つです。このうち痔核が最も多く、次いで裂肛、痔瘻は3大痔疾患の中では少数派とされています。日本の専門クリニックのコラムによると、痔瘻は良性肛門疾患全体のうち約6〜7%程度を占めるとされていますが、痛みや膿、再発のしやすさなどから、生活の質(QOL)への影響は小さくありません11,14,15

痔核や裂肛は、生活習慣の見直しや外用薬などである程度改善することもありますが、痔瘻は基本的に手術が必要な病気です。日本大腸肛門病学会の患者向け情報でも、「痔瘻は自然に治ることはほとんどなく、多くの場合、外科的治療が必要です」と明記されています1,2。そのため、「痔だから市販薬で様子を見る」という感覚で長期間放置してしまうと、病状が進行してしまうおそれがあります。

1.3. どれくらい多い病気?——日本と世界の有病率

「珍しい病気なのか」「自分だけがなっているのではないか」と不安になる方も多いかもしれません。臨床雑誌『外科』に掲載された総説では、日本大腸肛門病学会のガイドラインをもとに、痔瘻の推定有病率は人口10万人あたり5.6〜20.8人とされています7。日本の専門クリニックのQ&Aでも、一般的な目安として「0.01〜0.02%(10〜20人/10万人)」といった数値が紹介されています19

一方、欧州の系統的レビューでは、6つの人口ベース研究のデータから、痔瘻の有病率は平均18.4人/10万人(95%信頼区間18.2〜18.6)と報告されており、国によってはイタリアのように23.2人/10万人とやや高い地域もあります27。ただし、これらの研究はほとんど欧州のデータであり、アジアや日本の大規模な疫学調査は少ないのが現状です。

また、日本医事新報社のコラムでは、痔核・裂肛・痔瘻などの良性肛門疾患を合わせると、日本人の約26〜28%(約3,000万人)に達する可能性があると推計されていますが、そのうち医療機関を受診しているのはおよそ4人に1人程度にとどまると指摘されています14,15。つまり、「恥ずかしくて受診していないだけで、実は悩んでいる人はとても多い」といえます。

1.4. 性別・年齢と痔瘻のなりやすさ

痔瘻は、男性に多い病気として知られています。日本のガイドラインやクリニックの解説では、男性:女性の比率がおおよそ2.2〜5.7:1と報告されており、30〜50代の働き盛りの男性で特に多いとされています2,7,11,19。欧州の研究でも、男性の有病率が約12.3人/10万人、女性が5.6人/10万人と、男性に多い傾向が確認されています13,29

年齢別では、20代後半〜40代にピークがあり、日本の解説でも30〜40代や30〜50代といった表現で「比較的若い成人〜中年に多い」とされています2,7,19。一方で、乳幼児の男児にみられる痔瘻(fistula-in-ano)が別のパターンとして存在し、母親の分娩回数や子どもの下痢・おむつかぶれなどがリスク要因として報告されています12,28。高齢者では、筋力低下や基礎疾患の影響で、手術後の回復や便失禁リスクに注意が必要となります。

1.5. 悪化させてしまう生活習慣・体質——リスク因子のセルフチェック

痔瘻は「感染症」であるため、誰にでも起こりうる病気ですが、いくつかの生活習慣や体質がリスクを高めることが、症例対照研究などで示されています。テクニックス・イン・コロプロクトロジー誌に掲載された症例対照研究では、BMI25以上の肥満、糖尿病や脂質異常症、皮膚疾患、肛門手術歴、喫煙、飲酒、運動不足、トイレで長時間いきむ習慣、塩分の多い食事や辛い物・揚げ物の多い食生活などが独立した危険因子として挙げられています11

乳幼児の痔瘻に関する中国の症例対照研究では、1日の排便回数が多いことや軟便・下痢が続くこと、おしりを水ではなくウェットティッシュで繰り返し拭くことなどが痔瘻のリスクを高める要因として報告されています12,28。これは、日本の育児環境にも当てはまりやすいポイントです。

以下のセルフチェック表を参考に、自分の生活や体質にどのくらい当てはまるか振り返ってみてください。

表1:痔瘻・肛門周囲膿瘍リスクのセルフチェック
こんな習慣・特徴はありませんか? 考えられる背景・リスクカテゴリ
デスクワークや車の運転などで、1日中ほとんど座りっぱなしで過ごすことが多い 長時間の座位による肛門周囲の血流悪化・圧迫、汗・蒸れによる皮膚環境の悪化
トイレにスマホを持ち込み、10分以上座っていることがよくある いきみの持続・肛門周囲のうっ血、便秘や排便習慣の乱れ
BMIが25以上(いわゆる肥満気味)と言われたことがある 肥満に伴う炎症反応や血流の変化、糖尿病などの合併症リスクの増加11
糖尿病・脂質異常症・皮膚疾患などを指摘されている 感染への抵抗力低下や創傷治癒の遅れ、皮膚バリア機能の低下11
日常的に喫煙している、または飲酒量が多い 血流・免疫への影響、炎症の長期化や再発リスクの増加11
辛い物や揚げ物、塩分の多い食事が続き、便が硬い・下痢気味を繰り返す 排便トラブルに伴う肛門陰窩への負担増大、感染リスクの変化11
(乳幼児)おむつかぶれを繰り返し、軟便・下痢が多く、ウェットティッシュで強く拭くことが多い 肛門周囲皮膚の刺激・バリア破綻、細菌侵入のリスク増加12,28

これらに複数当てはまるからといって必ず痔瘻になるわけではありませんが、「肛門周囲の腫れや痛み」「膿や分泌物」が出てきた場合には、リスク因子を背景に持つ一人ひとりのケースとして、早めの受診を検討する目安になります。

第2部:身体の内部要因と病気のメカニズム——なぜ痔瘻ができるのか

続いて、「なぜ痔瘻ができるのか」「どのように悪化していくのか」といった身体の内部のメカニズムをもう少し詳しく見ていきます。また、クローン病などの持病が関係するタイプや、子どもや女性にみられる特別なケースについても触れていきます。

2.1. cryptoglandular theory——肛門腺から始まる感染のシナリオ

痔瘻の多くは、cryptoglandular theory(クリプトグランドラー理論)と呼ばれる仕組みで説明されています。日本大腸肛門病学会の解説によると、肛門の内側にある「肛門陰窩」という小さなくぼみには、肛門腺の出口が存在します。この場所は便や細菌がたまりやすく、ときに小さな傷や炎症が起こることで、細菌が肛門腺の奥へと入り込んでしまうことがあります1,2

細菌が入り込んだ肛門腺は炎症を起こし、その周囲の脂肪組織へ炎症が広がると、膿がたまって肛門周囲膿瘍になります。膿がたまる場所は、肛門のすぐ周りの皮下だけとは限らず、肛門括約筋の間(筋間)、骨盤直腸窩など、深い場所に及ぶこともあります3,32。膿が皮膚のほうへ破れてきたとき、肛門の内側にある「内口」と皮膚側の「外口」をつなぐ通り道ができ、この通り道が慢性的に残ってしまうと痔瘻になります。

つまり、痔瘻とは「肛門腺から始まった感染が、膿瘍を経てトンネル状に残った状態」と言い換えることができます。このメカニズムを理解しておくと、「なぜ膿が出て少し楽になっても治ったわけではないのか」「なぜ手術でトンネルを処理する必要があるのか」がイメージしやすくなります。

2.2. 二次性痔瘻——クローン病・結核・がんなどが背景にある場合

すべての痔瘻がcryptoglandular theoryだけで説明できるわけではありません。ASCRSやESCPなどのガイドラインでは、潰瘍性大腸炎・クローン病などの炎症性腸疾患、結核やHIVなどの感染症、直腸癌・肛門癌などの悪性腫瘍、hidradenitis suppurativa(化膿性汗腺炎)といった皮膚・全身疾患が、痔瘻の背景に存在する「二次性痔瘻」としてまとめられています4,5,32

とくにクローン病に伴う痔瘻は、複数のトンネルが複雑に走行しやすく、しばしば直腸の炎症や肛門狭窄を伴います。ASCRSのガイドラインによると、クローン病患者の約20〜30%が病気の経過中に肛門周囲の瘻孔や膿瘍を経験するとされています4。このような場合、通常の痔瘻とは治療方針が大きく異なり、抗TNF抗体製剤やその他の生物学的製剤といった内科的治療と、セトンによる長期ドレナージなどを組み合わせて慎重に対応する必要があります。

また、長年にわたって痔瘻が続いている場合、とくに複雑なトンネルが何本もあるケースでは、その瘻管から稀に癌が発生する「痔瘻癌」が報告されています32。頻度は非常に低いものの、「長期間続く痔瘻」「性状の変化(出血が増えた、固いしこりが目立ってきたなど)」「全身の体重減少や倦怠感」などがある場合には、専門医による評価と必要に応じて生検(組織検査)が重要になります。

2.3. 女性・妊娠・出産と痔瘻の関係

痔瘻は男性に多い病気ですが、女性特有の問題も存在します。日本の総説や海外ガイドラインでは、女性の前方痔瘻(膣側に近い位置の痔瘻)において、分娩歴や会陰裂傷、器械分娩などとの関連が指摘されています4,5,15。出産時の産道損傷や会陰切開、鉗子・吸引分娩などによって、肛門括約筋や周囲組織が損傷されると、その部位が弱点となり、感染や瘻孔形成が起こりやすくなることがあります。

妊娠中は、子宮の増大による骨盤内圧の上昇や便秘・痔核の悪化など、肛門周囲への負担が増える時期です。多くの場合、痔瘻の根治手術は妊娠・授乳期を避け、症状のコントロールや感染管理を優先する方針が一般的とされていますが、急性の膿瘍や重症感染がある場合は、安全性を考慮しながら早期の外科的処置が必要になることもあります4,5

出産後の女性では、「おしりのトラブル=恥ずかしいもの」として我慢してしまう傾向がありますが、痛みや膿、分泌物が続く場合は、育児や家事に支障が出る前に一度専門医に相談することが大切です。とくに、膣に近い前方の痔瘻は、将来的な性機能や尿・便のコントロールにも影響しうるため、早めの評価が勧められます。

2.4. 乳幼児の痔瘻——大人とは違う特徴

1〜2歳前後の男児にみられる痔瘻は、大人の痔瘻とはやや違う特徴があります。BMC Pediatrics誌に掲載された症例対照研究では、乳幼児の痔瘻(fistula-in-ano)に関して、頻回の排便や軟便・下痢、ウェットティッシュでの強い拭き取り、母親の経産回数などがリスク要因として挙げられています12,28

この研究によると、排便回数が多いこと(defecation frequency score)や軟便であること(stool consistency score)は、それぞれオッズ比(odds ratio: OR)5.35と5.02とされ、痔瘻のリスクを有意に高めていました。また、ウェットティッシュでの拭き取り頻度が高いこともOR8.09と強い関連を示しています12。これは、おむつ内の湿潤環境と皮膚バリアの破綻が、細菌の侵入にとって好条件になってしまうことを示唆しています。

一方で、乳幼児の痔瘻は、大人と違って自然に治る例も一定数あると報告されています。そのため、すべてのケースで即座に大きな手術が必要になるわけではなく、下痢やおむつかぶれの改善、スキンケア、経過観察をしながら、必要に応じて専門医と相談することが大切です4,12。ただし、長期間改善しない場合や膿瘍を繰り返す場合、発熱など全身状態の悪化がある場合には、早めの精査が必要になります。

2.5. 痔瘻が進行するとどうなる?——トンネルの複雑化と合併症

痔瘻を放置すると、症状は一時的に軽くなったり悪化したりを繰り返しながら、トンネルが徐々に複雑になっていくことがあります。日本の総説では、再発痔瘻の治療において、トンネルが枝分かれして多発・複雑痔瘻になったり、より深い位置(高位痔瘻)に伸びていくことで、手術の難易度や術後の便失禁リスクが高まると指摘されています6,14,15

トンネルが肛門括約筋を大きく横切るようになると、瘻管をすべて切り開いてしまうと括約筋の機能が損なわれ、便やガスを我慢しにくくなる可能性があります。そのため、高位・複雑痔瘻では、括約筋を温存するための手術法(LIFTや粘膜弁移動術、セトン法など)が選択されることが多くなります4,5,9,26

また、膿瘍が骨盤内の深い部分まで広がると、発熱や倦怠感、重い下腹部痛、排尿障害など、全身状態にかかわる症状が出ることもあります。まれではありますが、肛門周囲の感染が急速に広がり、フォルニエ壊疽と呼ばれる重篤な壊死性筋膜炎に進展することも報告されており、この場合は命にかかわるため、早急な入院・全身管理が必要です4,5,32

第3部:症状・診断・検査・分類——病院では何をしているのか

ここでは、痔瘻や肛門周囲膿瘍の具体的な症状や、放置した場合の経過、病院で行われる診察や検査、どのように分類されて治療方針が決まるのかを詳しく見ていきます。「受診したらどこまで診られるのか」「どんな検査が待っているのか」がイメージできると、不安も少し軽くなります。

3.1. 痔瘻・肛門周囲膿瘍の典型的な症状

日本の大学病院や専門クリニックの解説によると、肛門周囲膿瘍の典型的な症状は、次のようなものです6,10,17,31

  • 肛門の周りに急にできた強い痛み腫れ(しこり)
  • 座ったり歩いたりするだけで痛みが増す、眠れないほどの痛み
  • 発熱、悪寒、全身のだるさ
  • 触ると熱を持っているように感じる

膿瘍が自然に破れて皮膚から膿が出てくる、または医療機関で切開排膿を受けると、痛みは一時的に楽になります。しかし、そのあと「小さな穴から膿や分泌物が少しずつ出続ける」「下着がいつも湿っている」「においが気になる」「皮膚がかぶれてかゆい」といった症状が続く場合、痔瘻になっている可能性が高いとされています1,6,31

痔瘻の外口(皮膚側の穴)は、肛門のすぐ近くに小さな点のように開いていることもあれば、少し離れた場所に複数の穴として現れることもあります。指で触れると、皮膚の下に細い管状の硬い部分(瘻管)を触れることがあり、それが肛門の方向に向かっている場合、痔瘻を強く疑います。

3.2. 放置するとどうなる?——「痛みが弱くなった=治った」ではない

「膿が出て痛みが軽くなったから、もう大丈夫だろう」と考えてしまうのは自然なことですが、これは痔瘻に関しては危険な誤解になりえます。日本の専門クリニックの解説では、膿が抜けて痛みが和らいでも、肛門の内側と外側をつなぐトンネルが残っていれば、それは慢性化した痔瘻であり、自然に塞がることは少ないとされています1,11,31

トンネルが残ったままだと、そこに再び細菌がたまりやすくなります。その結果、「痛みが出るほどの膿瘍」と「じわじわ出る膿」が交互に現れるような状態が続くことがあります。こうした状態を繰り返すうちに、トンネルが枝分かれして複雑化し、より深い位置に伸びてしまうと、手術での完全な処理が難しくなったり、括約筋への影響を最小限に抑えるための工夫が必要になったりします6,14,15

また、長期間にわたって痔瘻を放置すると、稀ではありますが瘻管から癌が発生する「痔瘻癌」のリスクが指摘されています32。とくに、10年以上続く複雑痔瘻、出血や痛みの性状が変化した痔瘻、硬いしこりが目立つケースでは、専門医による精査と必要に応じた生検が重要です。

3.3. すぐ受診すべき危険なサイン(赤信号)

次のような症状がある場合は、自己判断で様子を見るのではなく、早急に医療機関を受診する必要があります。ASCRSやESCPのガイドライン、日本の解説記事では、特に以下のような「赤信号」が挙げられています4,5,10,32

  • 突然の高熱(38度以上)と悪寒、全身のだるさが強い
  • 肛門周囲の腫れや痛みが短時間で急速に悪化し、座れない・歩けないほどになっている
  • 赤みや腫れが肛門だけでなく、おしり全体や陰部、太ももの付け根にまで広がってきている
  • 排尿がしにくい、全く出ない、激しい痛みを伴う排尿困難がある
  • 糖尿病や免疫不全、ステロイド内服など、感染症に弱い状態がある

これらは、膿瘍が深い場所に広がっていたり、壊死性筋膜炎(フォルニエ壊疽)など重篤な感染症に進行している可能性があるサインです4,32。平日であれば、できるだけ早く肛門科・消化器外科・肛門外科などを受診し、時間帯や症状によっては救急外来の受診や119番通報が必要になる場合もあります。

3.4. 病院での診察の流れ——視診・触診・肛門鏡

「受診したら、どこまで見られるのか」「恥ずかしさが心配」という声はとても多く、日本医事新報社のコラムでも「恥ずかしさが受診の最大のハードル」と指摘されています14。しかし、診察の流れを事前に知っておくと、少しハードルが下がるかもしれません。

日本大腸肛門病学会の総説によると、痔瘻の診断では、まず問診で症状の経過(いつから痛いのか、膿が出たか、発熱の有無など)を確認し、そのうえで視診(見た目の確認)、触診(肛門周囲や肛門内をやさしく触って硬さや痛みをチェック)、肛門鏡検査(小さな筒を肛門に入れて内部を観察)などが行われます3

痛みが強い場合や複雑な痔瘻が疑われる場合には、局所麻酔や全身麻酔下での診察(麻酔下診察)を行い、内口の位置や瘻管の走行をより正確に把握します3,32。診察体位は、横向きに寝て膝を軽く曲げる姿勢(左側臥位)や、膝胸位(うつ伏せで膝を曲げた姿勢)になることが多いですが、痛みや体調に応じて調整されます。

3.5. 画像検査——超音波・MRI・内視鏡で見えること

単純な低位痔瘻では、視診・触診・肛門鏡と麻酔下診察で十分な情報が得られることも多いですが、高位・複雑痔瘻や再発痔瘻、クローン病関連痔瘻などでは、画像検査が治療方針を決めるうえで重要になります。

  • 経肛門的超音波検査(endorectal US):肛門から小さな超音波プローブを挿入し、肛門括約筋や瘻管の位置関係を確認する検査です。瘻管が括約筋のどの層を通っているか、膿瘍がどこにあるかを比較的簡便に把握できます3
  • MRI(磁気共鳴画像):骨盤内全体を立体的に描出できるため、特に複雑・高位痔瘻や再発例、クローン病関連痔瘻ではゴールドスタンダードとされています。ESCPのガイドラインでも、複雑痔瘻ではMRIによる評価が推奨されています5
  • 大腸内視鏡検査:痔瘻そのものを診断するためというよりも、クローン病などの炎症性腸疾患や直腸癌・肛門癌といった背景疾患を評価する目的で行われます4,32

これらの検査結果と、診察所見(内口・外口の位置、瘻管の硬さや走行など)を組み合わせて、痔瘻のタイプや重症度が評価されます。

3.6. 痔瘻の分類——Parks分類と日本の分類

痔瘻の分類としてよく引用されるのが、Parks分類と日本の痔瘻分類です。Parks分類では、瘻管が肛門括約筋のどこを通るかによって、次のように分類されます2,3,7

  • 皮下痔瘻(subcutaneous):皮膚のすぐ下を通る浅い瘻管
  • 筋間痔瘻(intersphincteric):内括約筋と外括約筋の間(筋間)を通る瘻管
  • 経括約筋痔瘻(trans-sphincteric):外括約筋を貫いて通る瘻管
  • 超括約筋痔瘻(suprasphincteric):括約筋の上方を大きく迂回する瘻管
  • 外括約筋痔瘻(extrasphincteric):括約筋の外側から肛門管に向かう瘻管

日本のガイドラインでは、これらをもとに、瘻管の高さ(低位/高位)や単純/複雑、男性/女性前方などを加味した分類が用いられています2,7。この分類によって、「単純痔瘻であれば標準的な瘻管開放術(fistulotomy)を行う」「高位・複雑痔瘻であれば括約筋温存術式を検討する」といった治療方針が決まっていきます。

第4部:治療の選択肢と術後ケア——再発と便失禁リスクをどう減らすか

ここからは、多くの方が最も気になる「治療」「手術」「術後の生活」について詳しく見ていきます。痔瘻は基本的に手術が必要な病気ですが、手術にはさまざまな方法があり、それぞれにメリット・デメリットがあります。自分に合った選択をするための視点と、術後の過ごし方のポイントを整理します。

4.1. 治療の大原則——膿瘍にはドレナージ、痔瘻には手術

日本大腸肛門病学会のガイドラインやASCRSガイドラインでは、肛門周囲膿瘍の治療の基本は「早期の切開排膿(incision & drainage: I&D)」であり、痔瘻の治療の基本は「外科的に瘻管を処理すること」であるとされています2,4,8。抗生物質だけで膿瘍を治そうとしても、膿が十分に外に出なければ効果は限定的であり、かえって治療を遅らせてしまうことがあります4

Cochraneレビューによると、低位の単純痔瘻が疑われる肛門周囲膿瘍に対して、切開排膿と同時に瘻管に対する手術を行った場合、切開排膿のみの場合と比べて、再発する膿瘍や痔瘻、追加手術のリスクが有意に減少したと報告されています(再発などのリスク比は0.13、95%信頼区間0.07〜0.24)22。一方で、括約筋への影響が大きくなる高位・複雑痔瘻やクローン病関連痔瘻では、段階的な治療(まずドレナージとセトン留置、その後に根治術)を行うほうが安全とされることが多いです2,4,5

このように、「今ある膿を確実に外に出すこと」と、「残ったトンネルをどう処理するか」は、病状や瘻管の位置によって組み合わせやタイミングが変わります。診察や画像検査で得られた情報をもとに、医師と一緒に方針を決めていくことが大切です。

4.2. 単純痔瘻に対する標準治療:瘻管開放術(fistulotomy)

低位の単純痔瘻(括約筋をほとんどまたがない、あるいはごく一部のみを通る痔瘻)に対して、日本や欧米のガイドラインが「標準的な治療」として挙げているのが瘻管開放術(fistulotomy)です2,4,8,14。これは、肛門の内側にある内口から皮膚側の外口までの瘻管を、上から切り開いて一つの溝(みぞ)のようにし、その溝の底を肉芽組織として開放しながら徐々に治していく方法です。

多くの観察研究やガイドラインでは、適切に適応を選んだ低位単純痔瘻に対する瘻管開放術の治癒率は90〜95%以上と高く、再発率は比較的低いとされています2,4,9。一方で、瘻管が括約筋の大部分を通っているような高位痔瘻に対して無理に瘻管開放術を行うと、肛門括約筋の切除量が増え、便やガスを我慢しにくくなる「便失禁」のリスクが高まるため注意が必要です4,5

4.3. 瘻管切除術(fistulectomy)との違い

瘻管切除術(fistulectomy)は、瘻管を上から開放するのではなく、瘻管を筒状のまま周囲の組織と一緒に切除してしまう方法です。Annals of Medicine and Surgery誌などに掲載されたランダム化比較試験では、単純痔瘻に対するfistulotomyとfistulectomyを比較した結果、再発率や最終的な治癒率に大きな差はなかったものの、fistulectomyは創面が大きく、治癒までに時間がかかる傾向があると報告されています30

そのため、多くのガイドラインでは、単純痔瘻に対しては侵襲が少なく治癒も早い瘻管開放術が第一選択となることが多く、瘻管切除術は特別な理由がある場合や施設の方針に応じて選択されることが一般的です2,4,9

4.4. セトン法——高位・複雑痔瘻やクローン病で活躍する「糸のドレナージ」

セトン法(seton)は、瘻管にゴム紐や糸を通して長期間留置し、膿をためにくくするためのドレナージと、段階的なトンネル処理を行うための方法です。日本の総説では、セトン法には主に2つのタイプがあると説明されています6,15

  • ドレナージセトン(loose seton):締め付けずに瘻管に紐を通しておき、膿がたまりにくい状態を維持しながら、炎症を落ち着かせたり、後日の括約筋温存術(LIFTや粘膜弁移動術など)に備える方法。
  • 切開セトン(cutting seton):定期的に紐を徐々に締めていき、少しずつ瘻管とともに括約筋を切りながら傷を治していく方法。

ASCRSや日本のガイドラインでは、高位・複雑痔瘻やクローン病関連痔瘻など、括約筋温存が特に重要なケースでは、まずドレナージセトンで炎症をコントロールし、その後に根治術を検討する方針が推奨されています2,4,5,8。切開セトンは強力な治療法である一方、括約筋を徐々に切断していく性質上、便失禁リスクにも注意が必要とされています。

日常生活では、セトンが入っている間は違和感や分泌物が続くことがありますが、専門クリニックの解説では、多くの人が仕事や家事を続けながら通院しているとされています15,36。シャワーや座浴で清潔を保ち、排便時の痛みを軽くする工夫が重要です。

4.5. 括約筋温存術式:粘膜弁移動術(advancement flap)とLIFT法

括約筋の機能をできるだけ温存しながら痔瘻を治すために、さまざまな術式が開発されています。その代表例が粘膜弁移動術(mucosal advancement flap)とLIFT(ligation of intersphincteric fistula tract)法です。

粘膜弁移動術では、内口の周囲の瘻管を処理したあと、直腸や肛門管の粘膜とその下の筋層からなる「有茎弁(血流を保った皮弁)」をつくり、それを内口にかぶせるようにして縫合します。これにより、内口を閉鎖しつつ括約筋そのものの切除を最小限に抑えることができます。Cochraneレビューや各種観察研究では、粘膜弁移動術の治癒率は60〜80%程度、再発率は20〜40%程度と報告されています9,23

LIFT法は、内括約筋と外括約筋の間にある「筋間空間」に小さな切開を置き、その部位で瘻管を確認して結紮・切断することで、括約筋の貫通部分を断ち切る術式です。瘻管の残りの部分は掻爬(かくは)などにより処理されます。系統的レビューによると、LIFT法の治癒率はおおよそ70〜80%、再発率は20〜30%であり、便失禁のリスクは非常に低いとされています26。そのため、多くのガイドラインで「括約筋温存が重要な経括約筋痔瘻に対する有望な術式」と位置づけられています4,5,9

4.6. VAAFT・レーザー・プラグ・フィブリングルーなどの新しい治療

近年、痔瘻の治療にはより低侵襲で括約筋温存性の高い新しい術式も取り入れられつつあります。その代表がVAAFT(Video-Assisted Anal Fistula Treatment)、FiLaC(fistula laser closure)など、内視鏡やレーザーを用いた方法です。

VAAFTは、細い内視鏡を瘻管内に挿入し、内部から瘻管の走行と内口を直接観察しながら、瘻管内を掻爬・凝固し、内口を閉鎖する手術です。系統的レビューでは、VAAFTの治癒率は50〜80%、再発率は20〜40%程度と報告されており、便失禁のリスクは非常に低い一方で、長期成績や標準的な適応については今後の研究が必要とされています13,34

FiLaCは、瘻管内にレーザーファイバーを挿入し、内側から瘻管壁を焼灼しながら徐々に引き抜くことで瘻管を閉鎖する方法です。いくつかの観察研究や総説では、治癒率が60〜70%前後と報告されていますが、症例数が限られており、明確な結論を出すにはさらなる研究が必要とされています34

また、瘻管を塞ぐための「プラグ」(collagen plugなど)やフィブリングルー(fibrin glue)も試みられており、侵襲が少なく便失禁リスクも低い一方で、単独では治癒率がやや低いとする報告もあります9,23。これらの新しい術式は、主に高位・複雑痔瘻や再発痔瘻に対する選択肢として、専門施設で慎重に適応が検討されています。

4.7. 生物学的製剤・幹細胞治療(MSC)——難治性痔瘻への新たなアプローチ

特にクローン病に伴う複雑痔瘻では、従来の外科手術だけでは治癒が難しいケースも多く、近年は生物学的製剤や幹細胞治療が選択肢として検討されています。ADMIRE-CD試験などのランダム化比較試験および系統的レビューによると、脂肪由来の間葉系幹細胞(mesenchymal stem cells: MSC)を瘻管内に注入する治療は、プラセボと比較して臨床的治癒率を15〜20%程度上昇させることが示されています35

こうした治療は、主に欧州を中心とした専門施設で行われており、日本でも一部の施設で研究的に導入が検討されています。費用や適応、副作用、長期成績などの点でまだ課題も多く、すべての痔瘻に対して利用できるわけではありませんが、難治性痔瘻に対する新たな選択肢として今後の発展が期待されています24,35

4.8. 手術前に知っておきたいこと——診療科の選び方・費用の目安

「どの診療科に行けば良いのか」「どの程度の費用がかかるのか」は、多くの人が不安に思うポイントです。日本大腸肛門病学会や各種クリニックの情報によると、痔瘻・肛門周囲膿瘍の診療は、一般外科や消化器外科のほか、「大腸肛門外科」「肛門科」などを専門とする医療機関が担当していることが多いとされています1,2,6,10

費用については、手術の種類や入院の有無、保険診療かどうかによって大きく異なりますが、多くの痔瘻手術は公的医療保険の適用となります。3割負担の場合、日帰り手術で数万円程度、入院を伴う複雑な手術で十数万円以上かかるケースもありますが、高額療養費制度などを利用することで自己負担を抑えられる場合もあります。具体的な見積もりは、診察時に医療機関で確認しましょう。

4.9. 術後の痛み・排便・通院——日々の過ごし方

痔瘻手術のあと、多くの人が気にするのが「どれくらい痛いのか」「いつから仕事に戻れるのか」という点です。日本の専門クリニックの解説や術後指導によると、術後1〜3日は座ったり立ったりするたびに痛みを感じることが多いものの、適切な鎮痛薬の使用や座浴、排便コントロールによって徐々に和らいでいくとされています10,15,31,36

排便は、創部に直接刺激が加わるため、多くの人にとって心理的なハードルになります。術後は便が硬くなりすぎないよう、十分な水分摂取と食物繊維のバランスを意識し、医師の判断で便軟化剤や緩下剤を併用することもあります10。逆に激しい下痢も創部を刺激してしまうため、腸の動きや食事内容を調整しながら「やわらかい普通便」を目指すことが重要です。

創部のケアとしては、シャワーや座浴でやさしく洗浄し、清潔を保つことが基本です。専門クリニックの資料では、「毎日1〜2回の座浴で温めて血流を良くし、排便後はぬるま湯で洗い流してから清潔なガーゼを当てる」といった具体的な指導が紹介されています10,15,31。創部の深さによっては、完全に肉が盛り上がるまで数週間〜数か月かかることもあるため、定期的な通院で治癒の進み具合を確認します。

仕事への復帰時期は、手術の内容や仕事の種類によって大きく異なりますが、デスクワーク中心であれば1〜2週間程度で復帰する人が多いとする報告がある一方、肉体労働や長時間の座位・立位が必要な仕事では、もう少し長めの休養や配置転換が必要になる場合もあります10,15,36。主治医と相談しながら、自分の仕事の内容に合った復帰プランを立てることが大切です。

4.10. 再発予防とセルフケア——排便習慣・生活習慣・メンタルケア

痔瘻の手術を終えたあとも、「また再発するのではないか」「仕事や家族に迷惑をかけたくない」と不安を感じる方は少なくありません。完全に再発をゼロにすることは難しいものの、再発リスクを減らすために日常生活でできる工夫はいくつもあります。

  • 排便習慣の見直し:便秘や下痢を繰り返さないよう、食物繊維や水分を十分に摂り、トイレに長時間こもらない習慣をつくる。
  • 長時間座位の工夫:デスクワークやドライブの途中でこまめに立ち上がり、ストレッチや短い散歩を取り入れる。
  • 嗜好品のコントロール:喫煙や多量の飲酒は、感染や創傷治癒に悪影響を与えると報告されており、減量・禁煙を検討する11
  • 体重管理と基礎疾患の治療:肥満や糖尿病、脂質異常症は痔瘻のリスク因子とされているため、生活習慣病の治療を通じて全身状態を整える11
  • メンタルケア:何度も再発した経験や便失禁への不安から、人前に出るのを避けたり、仕事や人間関係に支障をきたすこともあります。必要に応じて、心理的なサポートやカウンセリングを受けることも選択肢の一つです。

日本医事新報社のコラムでは、「たかが痔、されど痔」として、肛門の病気が人の生活の質や自己評価に大きな影響を与えることが指摘されています14。痔瘻や肛門周囲膿瘍をきっかけに、自分の生活習慣や働き方、体のサインとの向き合い方を見直すことは、長い目で見れば健康全体にとってプラスになるはずです。

第5部:専門家への相談 — いつ・どこで・どのように?

最後のセクションでは、「どのタイミングで受診すべきか」「どの診療科を選べば良いか」「診察時に伝えておくと役立つ情報」について整理します。恥ずかしさや忙しさから受診を先送りにしている方が、一歩踏み出すきっかけになれば幸いです。

5.1. 受診を検討すべきサインとタイミング

  • 肛門周囲の痛み・腫れ・熱感が数日以上続いている、または突然悪化している
  • 膿や血の混じった分泌物が下着につく、においが気になる状態が続いている
  • 過去に肛門周囲膿瘍で切開排膿を受けたことがあり、その後も同じ場所から分泌物が出続けている
  • 発熱や全身のだるさがある、糖尿病や免疫不全など感染に弱い持病を抱えている
  • 痔瘻が何年も続いており、最近になって出血量が増えた、硬いしこりが大きくなったなどの変化がある

これらの症状がある場合は、できるだけ早く肛門科・大腸肛門外科・消化器外科などを受診することが勧められます。夜間や休日に高熱や急激な痛みの悪化がある場合には、迷わず救急外来や119番通報を検討してください4,5,10,32

5.2. 症状に応じた診療科の選び方

  • まず相談しやすい窓口:かかりつけの内科や総合診療科でも、初期の評価や専門医への紹介を行ってくれる場合があります。
  • 専門的な治療が必要な場合:大腸肛門外科・肛門科・消化器外科など、肛門疾患を専門に扱う医療機関が適切です1,2,6,10
  • クローン病や潰瘍性大腸炎などの持病がある場合:消化器内科・炎症性腸疾患専門の外来と連携しながら、大腸肛門外科で治療を進めることが望ましいとされています4,5
  • 小児の痔瘻:小児科や小児外科、小児も診療対象とする大腸肛門外科などに相談し、自然経過と手術のバランスを検討します4,12,28

5.3. 診察時に伝えておくと役立つ情報と準備

  • 症状が始まった時期と経過(いつ・どのように痛みや腫れが出てきたか、膿が出たタイミングなど)
  • 発熱の有無や体重の変化、倦怠感などの全身症状
  • 過去の肛門疾患の治療歴(痔核の手術、切れ痔の治療、肛門周囲膿瘍の切開排膿など)
  • 糖尿病や炎症性腸疾患、結核、HIVなどの持病や治療内容
  • 日常の排便状況(便秘・下痢の頻度、トイレにかかる時間、便の硬さなど)
  • 妊娠・出産歴、とくに会陰裂傷や器械分娩の有無(女性の場合)

事前にメモを用意しておくと、診察時に緊張してしまっても必要な情報を漏れなく伝えやすくなります。また、現在服用している薬やサプリメント、お薬手帳も持参するとスムーズです。

よくある質問

Q1: 痔瘻は自然に治りますか?

A1: 一般的に、痔瘻が自然に治ることはほとんどありません。日本大腸肛門病学会の市民向け解説でも、痔瘻は肛門の内側と皮膚をつなぐトンネルができた状態であり、一度トンネルの内側が皮膚のように固まってしまうと自然に塞がることは少ないと説明されています1,2。膿が出て一時的に痛みが軽くなっても、トンネルが残っていれば痔瘻は続いていると考えられます。

ただし、乳幼児に見られる痔瘻では、下痢やおむつかぶれの改善とともに自然軽快する例も一定数あると報告されています12,28。とはいえ、大人の場合や症状が続く場合は、自己判断で様子を見続けるのではなく、専門医による評価と治療が推奨されます。

Q2: 痔瘻の手術はどれくらい痛いですか?どのくらいで楽になりますか?

A2: 手術直後1〜3日は、座ったり立ったりするたびに強い痛みを感じることが多いとされていますが、多くの場合、痛み止めの内服や座薬でコントロールが可能です10,15,31。痛みのピークを過ぎると徐々に落ち着き、1〜2週間ほどで「日常生活はこなせるが、まだ違和感がある」程度まで回復するケースが多いと専門クリニックの術後案内に記載されています10,36

創部の完全な治癒には数週間〜数か月かかることもあり、その間は排便時の痛みや出血、分泌物が続くことがあります。痛みの程度や回復スピードは、手術の種類や痔瘻の位置、個人の痛みの感じ方によって大きく違うため、術前に主治医から具体的な説明を受け、不安な点は遠慮なく質問しておくと安心です。

Q3: 手術後、どれくらいで仕事に復帰できますか?

A3: デスクワーク中心の場合、多くの人が1〜2週間程度で仕事に復帰しているとする専門クリニックの報告があります10,15,36。ただし、長時間座りっぱなしになる仕事や、重い荷物を持つ肉体労働、現場作業などでは、創部への負担や痛みの程度を考慮し、もう少し長めの休養が必要になることもあります。

復帰時期は、痔瘻のタイプ(低位か高位か、単純か複雑か)、手術法(瘻管開放術か括約筋温存術か)、個人の回復スピードによって大きく異なります。診察時に、自分の仕事の内容(長時間座る・立つ・歩く、重い物を持つなど)を具体的に伝えたうえで、主治医と相談して復帰プランを立てることが大切です。

Q4: 痔瘻の手術後、便失禁になる可能性はどのくらいありますか?

A4: 便失禁(便やガスを我慢できず漏れてしまう状態)のリスクは、多くの人が不安に感じるポイントです。Cochraneレビューや各種ガイドラインによると、低位の単純痔瘻に対して適切に行われた瘻管開放術では、重い便失禁は比較的まれであり、一時的なガス失禁など軽微な症状にとどまることが多いとされています4,9,22,23

一方で、高位・複雑痔瘻やクローン病関連痔瘻など、括約筋を大きくまたぐ瘻管に対して無理に瘻管開放術を行うと、便失禁リスクが高まる可能性があります。そのため、ASCRSやESCPのガイドラインでは、こうした症例に対して粘膜弁移動術やLIFT法、セトン法など括約筋温存術式を検討することが推奨されています4,5,26。自分の痔瘻が「どのタイプに当たるのか」「どれくらい括約筋にかかっているのか」を、主治医に具体的に説明してもらうことが安心につながります。

Q5: 痔瘻はがんになりますか?

A5: 痔瘻そのものががんになる頻度は非常に低いものの、長期間(10年以上)続く複雑痔瘻やクローン病関連痔瘻などでは、「痔瘻癌」と呼ばれるがんが発生するケースが報告されています4,32。日本や海外の総説では、痔瘻癌は稀な疾患ですが、発見が遅れると治療が難しくなるため、長年続く痔瘻のある人には注意が必要だとされています。

具体的には、「これまでと違うタイプの痛みや出血」「硬いしこりが大きくなってきた」「体重減少や全身のだるさが続く」などの変化がある場合には、早めに専門医を受診し、必要に応じて画像検査や生検(組織検査)を受けることが大切です。日頃から定期的な診察を受けておくことで、変化に気付きやすくなります。

Q6: 肛門周囲膿瘍と痔瘻の違いは何ですか?

A6: 肛門周囲膿瘍は、肛門の周りに膿がたまった「急性の状態」であり、強い痛みや腫れ、発熱を伴います。一方、痔瘻は、膿瘍のあとに肛門の内側と皮膚がトンネル状につながった「慢性的な状態」を指します1,31。イメージとしては、膿瘍は「膿の袋」、痔瘻は「袋が破れたあとに残ったトンネル」と考えると分かりやすいかもしれません。

肛門周囲膿瘍の治療の基本は、早期の切開排膿で膿を外に出すことです。膿瘍の段階で適切な治療を受けても、30〜50%程度の人が痔瘻に移行するとされており11,31、膿が出たあとも分泌物が続く場合には痔瘻の有無を評価することが大切です。

Q7: セトン治療中の生活はどのような感じですか?

A7: セトン(ゴムや糸)が瘻管に通っている間は、違和感や軽い痛み、分泌物が続くことがありますが、多くの人は仕事や家事を続けながら通院していると専門クリニックのコラムに記載されています15,36。座ったときに異物感を感じることもありますが、時間とともに慣れてくるケースが多いようです。

生活上では、創部を清潔に保つことが何より重要です。排便後はシャワーや座浴でやさしく洗浄し、清潔なガーゼを当てておくことで、臭いと皮膚のかぶれを軽減できます。また、定期的な通院でセトンの状態をチェックしてもらい、締め方や抜去のタイミングを主治医と相談します。

Q8: LIFTやVAAFTなどの新しい手術は、日本でも受けられますか?効果はどのくらいですか?

A8: LIFT法やVAAFT、レーザー治療(FiLaC)などの新しい術式は、日本でも一部の大腸肛門外科専門施設で導入されつつありますが、すべての医療機関で受けられるわけではありません。系統的レビューによると、LIFT法の治癒率は70〜80%、再発率は20〜30%程度で、便失禁のリスクが低い点が大きな利点とされています26

VAAFTやFiLaCについては、治癒率が50〜80%程度と報告されているものの、研究の質や症例数が限られており、長期的な成績や標準的な適応は今後の研究を待つ必要があります13,34。新しい術式が必ずしも「魔法の治療」というわけではなく、痔瘻の位置や複雑さ、施設の経験などを踏まえて選択されるべきです。希望する場合は、対応可能な施設かどうかを事前に確認し、主治医とよく相談しましょう。

Q9: クローン病がある場合、痔瘻の治療はどう変わりますか?

A9: クローン病に伴う痔瘻は、一般的なcryptoglandular痔瘻よりも複雑で再発しやすく、治療方針も異なります。ASCRSやESCPのガイドラインでは、クローン病関連痔瘻では、まずセトンによる長期ドレナージで感染をコントロールし、その上で抗TNF抗体製剤などの生物学的製剤を用いた内科的治療を併用することが推奨されています4,5,24

括約筋を切開するような根治術は、炎症が強い時期にはかえって悪化を招く可能性があるため、病勢や直腸炎の有無、全身状態を見ながら慎重に判断されます。クローン病が疑われる場合や既に診断されている場合は、消化器内科と大腸肛門外科が連携した医療機関で相談することが重要です。

Q10: 子どもの痔瘻は大人と違いますか?いつ手術が必要ですか?

A10: 乳幼児(とくに男児)にみられる痔瘻は、大人の痔瘻と発症の背景や経過が異なる場合が多く、自然軽快する例もあると報告されています12,28。BMC Pediatricsの症例対照研究では、頻回の排便や軟便・下痢、ウェットティッシュでの強い拭き取りなどがリスク要因として挙げられており、まずはこれらの要因を見直すことが重要です。

一方で、膿瘍を繰り返す、発熱や全身状態の悪化を伴う、瘻管が複雑で自然治癒が見込みにくいと判断される場合には、小児外科や大腸肛門外科での手術が検討されます4,12。大人と同じように「いつまで様子を見てよいか」「どの段階で手術を考えるべきか」は個々のケースによって異なるため、早めに専門医に相談し、親子で納得できる方針を一緒に決めていくことが大切です。

結論:早めの相談で、「恥ずかしさ」と「不安」を少し軽く

痔瘻や肛門周囲膿瘍は、「恥ずかしい」「仕事を休めない」「手術が怖い」といった理由から受診が遅れやすい病気です。しかし、日本大腸肛門病学会のデータや海外の研究が示すように、決して珍しい病気ではなく、多くの人が同じ悩みを抱えています1,2,7,10,14,27

痔瘻の多くは、肛門腺への感染から始まり、膿瘍を経てトンネル状に残った状態であり、自然に完全に治ることは少ないとされています1,2,31。放置するとトンネルが複雑化し、治療が難しくなったり、まれに癌化のリスクも指摘されています6,14,32。一方で、適切なタイミングで専門的な治療を受けることで、痛みや分泌物、再発の不安を大きく軽減し、日常生活や仕事への影響を最小限に抑えられる可能性があります。

本記事で紹介したように、治療には瘻管開放術やセトン法、括約筋温存術式、内視鏡・レーザー治療、生物学的製剤・幹細胞治療などさまざまな選択肢があり、それぞれにメリット・デメリットがあります2,4,5,9,13,22,26,34,35。どの方法が自分に最も適しているかは、痔瘻の位置や複雑さ、持病、年齢、仕事や生活の状況などによって変わるため、信頼できる医療機関でじっくり相談することが大切です。

もし今、「おしりの痛みや膿が気になっているのに、恥ずかしくて誰にも言えない」と感じているなら、あなたは決して一人ではありません。症状の具体的な様子や生活の事情を伝えることは確かに勇気が要りますが、その一歩が将来の自分の生活や健康を守ることにつながります。気になる症状がある場合は、本記事で紹介した受診の目安を参考に、早めに医療機関へ相談してみてください。

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