【皮膚科医が解説】専科パーフェクトホイップの全成分を徹底分析|効果・口コミの真相と肌質別選び方
皮膚科疾患

【皮膚科医が解説】専科パーフェクトホイップの全成分を徹底分析|効果・口コミの真相と肌質別選び方

日本のドラッグストアに足を踏み入れれば、必ずと言っていいほど目にする青いチューブの洗顔料、資生堂の「専科 パーフェクトホイップ」。発売以来、その人気は衰えることを知らず、大手口コミサイトでは常にランキング上位に名を連ね、膨大な数のレビューがその実力を物語っています12。多くの人々にとって、それは単なる洗顔料ではなく、スキンケアの「定番」であり、日本の洗顔文化を象徴する存在とさえ言えるでしょう。しかし、その圧倒的な人気の裏で、「洗い上がりがつっぱる」「自分の肌には合わなかった」という声も散見されます。なぜこれほどまでに評価が分かれるのでしょうか?その秘密は、製品のマーケティングイメージや口コミだけでは見えてこない、成分レベルでの科学的特性に隠されています。本記事では、その国民的人気の理由と評価の分かれる真相を解き明かすため、単なる製品レビューの枠を超え、皮膚科学および成分科学の観点から「専科 パーフェクトホイップa」を徹底的に解剖します。洗浄成分の働きから、資生堂独自の保湿技術、肌のpHに与える影響、そして潜在的なリスクまでを網羅的に分析。最終的に、読者一人ひとりが「自分の肌にとって、この製品は本当に最適な選択なのか?」を科学的根拠に基づいて判断できるよう、専門的かつ中立的な情報を提供することを目指します。

この記事の科学的根拠

この記事は、ご提供いただいた研究報告書に明示的に引用されている、最高品質の医学的根拠にのみ基づいています。以下は、参照された実際の情報源と、本記事で提示される医学的ガイダンスとの直接的な関連性を示したものです。

  • 日本皮膚科学会 (Japanese Dermatological Association): ニキビケアにおける「低刺激性の洗顔料」の使用推奨に関する記述は、情報源に引用されている「尋常性痤瘡・酒皶治療ガイドライン 2023」に基づいています16
  • 資生堂 (Shiseido Company, Limited): 保湿技術(アクアインプール技術、新浸透促進技術など)に関する分析は、同社が発表した複数の公式ニュースリリースに基づいています20222425
  • セーレン株式会社 (Seiren Co., Ltd.): 保湿成分セリシンのバリア機能サポートに関する記述は、同社が発表した研究開発ニュースを参照しています18
  • 広島大学 加藤範久教授ら (Research by Professor Norihisa Kato, Hiroshima University): セリシンの抗酸化作用や美白作用に関する言及は、農林水産技術研究ジャーナルに掲載された論文に基づいています19

要点まとめ

  • 「専科 パーフェクトホイップ」の洗浄力の主成分は「石けん」であり、豊かな泡立ちと高い洗浄力を実現しますが、その性質上「弱アルカリ性」です。
  • 弱アルカリ性の性質が、皮脂汚れを効果的に落とす「さっぱり感」の理由ですが、乾燥肌や敏感肌の方が「つっぱり感」を感じる原因にもなり得ます。
  • 保湿成分として、天然由来の「セリシン」と2種類のヒアルロン酸「Wヒアルロン酸」を配合。これらは資生堂独自の「うるおい導入技術」に支えられています。
  • 肌質別では、脂性肌・普通肌には推奨できますが、乾燥肌・敏感肌の方は使用に注意が必要であり、特に炎症性ニキビがある場合はより慎重な判断が求められます。
  • 圧倒的なコストパフォーマンスと「濃密泡」体験が最大の魅力であり、洗浄力を重視するユーザーにとっては優れた選択肢です。

【全成分リスト】あなたの使う「パーフェクトホイップa」の中身

分析を始める前に、まずは製品の構成要素を正確に把握することが不可欠です。以下に「専科 パーフェクトホイップa」の全成分を、その主な役割と共に一覧で示します3。このリストが、後続の科学的解説を理解するための基礎となります。

成分名(日本語) 主な配合目的 備考
基剤 製品のベースとなる成分。
グリセリン 保湿剤 肌に潤いを与え、保持する代表的な保湿成分。
ミリスチン酸 洗浄剤(脂肪酸) 豊かな泡立ちと高い洗浄力を生み出す石けんの主原料。
パルミチン酸 洗浄剤(脂肪酸) 石けんの基剤となり、洗浄力を補助する。
水酸化K pH調整剤(アルカリ剤) 脂肪酸と反応(けん化)して石けんを生成し、製品を弱アルカリ性にする。
ジステアリン酸グリコール 感触向上剤、パール化剤 製品に真珠のような光沢を与え、クリーム状のテクスチャーを作る。
DPG 保湿剤、溶剤 成分を溶かし、保湿効果を高める。
ソルビトール 保湿剤 肌に潤いを与え、乾燥を防ぐ。
ステアリン酸 洗浄剤(脂肪酸)、乳化剤 安定した泡を作り、製品のテクスチャーを整える。
ラウリン酸 洗浄剤(脂肪酸) 優れた泡立ちと抗菌性を持つ石けんの原料。
ラウリルベタイン 洗浄剤(両性界面活性剤) マイルドな洗浄剤。泡質を向上させる。
ポリクオタニウム-7 コンディショニング剤 洗い上がりの肌の感触を滑らかにする。
塩化Na 増粘剤 製品の粘度を調整する。
ポリクオタニウム-6 コンディショニング剤 肌表面に保護膜を形成し、感触を良くする。
アセチルヒアルロン酸Na 保湿剤 「スーパーヒアルロン酸」とも呼ばれ、高い水分保持力を持つ。
セリシン 保湿剤、保護剤 蚕の繭から得られるタンパク質。高い保湿力とバリア機能サポート効果。
ヒアルロン酸Na 保湿剤 1gで6Lの水を保持するとされる代表的な保湿成分。
ステアリン酸グリセリル(SE) 乳化剤 水と油を混ぜ合わせ、製品を安定させる。
合成ワックス 感触向上剤 製品の硬さやテクスチャーを調整する。
ミリスチルベタイン 洗浄剤(両性界面活性剤) マイルドな洗浄剤。泡質を向上させる。
EDTA-2Na キレート剤 金属イオンを封鎖し、製品の品質を安定させる。
ピロ亜硫酸Na 酸化防止剤 製品の酸化を防ぎ、品質を保持する。
香料 香料 製品に心地よい香り(ホワイトフローラル)を付与する。

第1部:洗浄力の科学 -「濃密泡」と「さっぱり感」の正体

パーフェクトホイップの最大の魅力は、多くのユーザーが絶賛する「濃密でヘタらない泡」と、その泡がもたらす「さっぱりとした洗い上がり」にあります。この体験は、主成分である「石けん」の化学的特性によって生み出されています。

主役は「石けん」:ミリスチン酸・ステアリン酸・ラウリン酸の働き

製品の洗浄力の核となっているのは、古くから使われている洗浄成分「石けん」です。これは、成分リストにあるミリスチン酸、ステアリン酸、ラウリン酸といった「脂肪酸」と、水酸化カリウム(水酸化K)という「アルカリ剤」が化学反応(けん化)することで生成されます6。パーフェクトホイップは、これらの脂肪酸を巧みに組み合わせることで、その特徴的な泡質と洗浄力を実現しています。

  • ミリスチン酸: この脂肪酸は、キメが細かくクリーミーで、安定性の高い泡を生成する能力に非常に優れています7。パーフェクトホイップの代名詞である「ホイップクリームのような泡」の立役者と言える成分です。
  • ステアリン酸: 皮膚表面の水分蒸発を防ぎ、肌の保護バリアをサポートする働きも持つ脂肪酸です8。洗浄剤としてだけでなく、製品の乳化を助け、安定したテクスチャーを作り出す役割も担っています9
  • ラウリン酸: 非常に優れた泡立ちを持ち、洗浄力を高める効果があります10。また、近年の研究では、アクネ菌に対する抗菌作用も示唆されており、ニキビ予防への効果も期待されています1112

これらの脂肪酸が組み合わさることで、少量でもリッチに泡立ち、毛穴の奥の皮脂汚れまでしっかりと洗浄する高い能力が生まれるのです。

なぜ弱アルカリ性?pHが肌に与える影響と潜在的リスク

前述の通り、石けんは脂肪酸と水酸化Kのようなアルカリ剤の反応によって作られます13。その結果、パーフェクトホイップを含む多くの石けん系洗顔料は弱アルカリ性の性質を持ちます。このpH特性が、洗浄力の高さと、一部のユーザーが感じる「つっぱり感」の根本的な理由です。
健康な肌の表面は、皮脂膜や汗によってpH4.5~6.0程度の「弱酸性」に保たれています。この弱酸性の環境が、皮膚のバリア機能を維持し、悪玉菌の増殖を抑える役割を果たしています。弱アルカリ性の洗顔料は、酸性の皮脂汚れや古い角質を効果的に中和し、分解して洗い流すため、高い洗浄力を発揮します。これが「さっぱり」「すっきり」とした洗い上がりの正体です。しかしその一方で、洗顔直後の肌は一時的にアルカリ性に傾きます。
幸い、私たちの肌には「アルカリ中和能」という、アルカリ性を弱酸性に戻す自己回復能力が備わっています15。そのため、健康な普通肌や脂性肌の方であれば、多くの場合問題にはなりません。しかし、乾燥肌や敏感肌のように、もともと皮膚のバリア機能が低下している方や、アルカリ中和能が弱い方にとっては、この一時的なpHの変化が刺激となり、肌の保湿因子(NMF)を必要以上に洗い流してしまう可能性があります15。これが、一部のユーザーが報告する「洗顔後のつっぱり感」や「乾燥」の主な原因と考えられます。この点は、日本皮膚科学会がニキビケアにおいて「低刺激性」の洗顔料を推奨している背景とも関連しており、後ほど詳しく考察します16

第2部:保湿力の科学 – 資生堂の技術と伝統成分の融合

パーフェクトホイップは、高い洗浄力を持つ一方で、洗い上がりの乾燥感をいかに抑えるかという課題にも取り組んでいます。その鍵を握るのが、伝統的な天然成分と、資生堂が長年培ってきた先進の皮膚科学技術の融合です。

天然由来シルクエッセンス:セリシンと加水分解シルクの真価

製品のパッケージで謳われる「天然由来シルクエッセンス」は、マーケティング上の呼称ですが、その中核をなすのはセリシンと加水分解シルクという、蚕の繭から得られる2つのタンパク質成分です。これらは単なる保湿成分以上の、注目すべき機能を持っています。

  • セリシン (Sericin): 古くから製糸工場で働く人々の手はすべすべであると言われてきましたが、その理由とされるのがこのセリシンです。セリシンは人間の肌が持つ天然保湿因子(NMF)とアミノ酸組成が非常に似ており、極めて親和性が高い保湿成分です17。近年の研究では、さらに高度な機能が明らかになっています。素材メーカーのセーレン株式会社の研究によると、同社開発の「ピュアセリシン™」には、肌のバリア機能の根幹をなす角質層の「ラメラ構造」を正常な状態に整える機能があることが示唆されています18。さらに、広島大学の加藤範久教授らの研究では、セリシンがビタミンCに匹敵するほどの高い抗酸化作用や、シミの原因となるチロシナーゼの働きを阻害する作用を持つことも報告されており、多角的な美肌効果が期待される成分です19
  • 加水分解シルク (Hydrolyzed Silk): 絹繊維そのものであるフィブロインを、より肌に浸透しやすくするために低分子化した成分です。資生堂自身の研究においても、同社の高級ライン「クレ・ド・ポー ボーテ」の美容液に、肌に輝きを与える保湿コンプレックスの一部として加水分解シルク液が採用されており、同社がこの成分の保湿・美肌効果を高く評価していることがうかがえます20

Wヒアルロン酸と独自技術:うるおいを守るための二重の砦

パーフェクトホイップの保湿設計のもう一つの柱が、「Wヒアルロン酸」とそれを支える資生堂の独自技術です。

  • Wヒアルロン酸: これは、2種類のヒアルロン酸、すなわち「ヒアルロン酸Na」と「アセチルヒアルロン酸Na」を組み合わせたものです5。ヒアルロン酸Naは、1gで6リットルもの水分を抱え込む能力で知られる、最も代表的な保湿成分です21。アセチルヒアルロン酸Naは、「スーパーヒアルロン酸」とも呼ばれ、通常のヒアルロン酸Naよりもさらに水分保持力が高く、肌へのなじみも良いとされています。2019年の報告では、ヒアルロン酸Naがヒアルロン酸よりも高い保湿効果を発揮することが示されています42。この2つを組み合わせることで、肌の表面と角質層で水分を強力に捉え、洗い上がりの潤いを守ります。
  • 資生堂の独自技術: これらの保湿成分の効果を最大限に引き出す背景には、資生堂の先進技術があります。例えば、同社が開発した「うるおい導入技術」や「アクアインプール技術」は、洗浄によって失われがちな保湿成分を肌に留めたり、乾燥した環境下で肌が自ら潤いを生み出す力(天然保湿因子NMFの産生)をサポートしたりする技術です22。パーフェクトホイップは、こうした目に見えない最先端の皮膚科学研究の成果に支えられ、ただ汚れを落とすだけでなく、「うるおいを守りながら洗う」という付加価値を実現しているのです。

第3部:【結論】あなたの肌にパーフェクトホイップは合うのか?

これまで洗浄力と保湿力の両面から科学的に分析してきました。その結果を踏まえ、本製品がどのような肌質に適しているのか、そして市場の競合製品と比較してどのような立ち位置にあるのかを明確にします。

肌質別適性診断:脂性肌・乾燥肌・混合肌・敏感肌

本製品の「石けん系・弱アルカリ性」という特性は、肌質によってメリットにもデメリットにもなり得ます。

  • 脂性肌・普通肌の方:【推奨】
    過剰な皮脂や毛穴の汚れをすっきりと洗い流したい方には、本製品の高い洗浄力とさっぱりとした使用感は非常に適しています。アルカリ中和能も正常に働くため、つっぱり感を感じにくく、快適に使用できる可能性が高いでしょう。
  • 混合肌の方:【条件付きで推奨】
    Tゾーンは脂性だがUゾーンは乾燥しがちな混合肌の方は、Tゾーンを中心に使い、乾燥しやすい頬などは泡を乗せる時間を短くするなどの工夫が必要です。洗顔後の保湿ケアは必須となります。
  • 乾燥肌の方:【注意が必要】
    もともと皮脂分泌が少なく、バリア機能が低下しがちな乾燥肌の方にとって、本製品の高い洗浄力は必要な皮脂まで奪ってしまい、つっぱり感やさらなる乾燥を招くリスクがあります。もし使用する場合は、洗顔時間を短くし、直後に高保湿の化粧水やクリームで徹底的に保湿することが絶対条件です。
  • 敏感肌・ニキビ肌(炎症性)の方:【慎重な判断を要する】
    このタイプの方が最も注意が必要です。日本皮膚科学会は、「尋常性痤瘡(ニキビ)治療ガイドライン」において、1日2回の洗顔を推奨する一方で、「低刺激性の洗顔料」の使用を推奨しています16。弱アルカリ性の石けん系洗顔料は、人によっては刺激となり、肌のバリア機能をさらに低下させたり、炎症を悪化させたりする可能性があります。特に赤く腫れた炎症性ニキビがある場合は、よりマイルドなアミノ酸系洗浄成分を主とした弱酸性の洗顔料を検討するか、皮膚科専門医に相談することを強く推奨します。

競合製品との徹底比較:本当に「買い」の選択肢か?

パーフェクトホイップの価値を客観的に評価するため、ドラッグストアで人気のある主要な競合製品と比較します2630。洗顔料選びは「何を最優先するか」で最適解が変わります。

製品名 主要洗浄成分 アピールポイント 分類 主なターゲット 価格帯(目安) pH(推定) 科学的根拠
専科 パーフェクトホイップa 石けん系(ミリスチン酸等) 濃密なミクロ美容泡、Wヒアルロン酸、シルクエッセンス 化粧品 10代~30代、普通肌~脂性肌 低価格帯(約500円/120g) 弱アルカリ性 3
メラノCC ディープクリア酵素洗顔 石けん系+酵素(プロテアーゼ) 酵素×ビタミンC×クレイによる毛穴ケア 化粧品 毛穴の黒ずみ・ざらつきが気になる層 中価格帯(約715円/130g) 弱アルカリ性 27
KANEBO スクラビング マッド ウォッシュ 石けん系+クレイ(モロッコ溶岩クレイ) 吸着磨き上げ洗顔、3段階の質感変化 化粧品 毛穴汚れ・皮脂をしっかり落としたい層 高価格帯(約3,080円/130g) 弱アルカリ性 31
d プログラム エッセンスイン クレンジングフォーム 石けん系+両性界面活性剤 低刺激設計、美肌菌に着目、肌荒れ予防 医薬部外品 敏感肌、肌荒れを繰り返す層 中~高価格帯(約2,090円/120g) 弱アルカリ性 36

この比較から、パーフェクトホイップの独自の立ち位置が明らかになります。

  • 「圧倒的な泡体験」と「コストパフォーマンス」を最優先するなら: パーフェクトホイップが依然として最適な選択肢です。
  • 毛穴の黒ずみや角栓ケアに特化したいなら: 酵素やクレイを配合した「メラノCC」や「KANEBO」がより高い効果を期待できます。
  • 肌へのやさしさと肌荒れ予防を最優先するなら: 低刺激設計で有効成分を配合した医薬部外品の「d プログラム」が適しています。

パーフェクトホイップの成功は、特定の機能で頂点を極めるのではなく、「心地よい泡」「十分な洗浄力」「信頼のブランド」「圧倒的な入手しやすさと価格」という複数の要素を高次元でバランスさせている点にあると言えるでしょう。

第4部:効果を最大化する専門的な使い方

どのような優れた製品も、使い方を誤ればその効果を十分に発揮できません。ここでは、パーフェクトホイップのポテンシャルを最大限に引き出すための専門的な使用法を解説します。

泡立ての極意:なぜ「泡」が重要なのか?

洗顔において「泡」は極めて重要です。その役割は主に2つあります。

  1. クッション効果: 豊かで弾力のある泡は、手と顔の間のクッションとなり、物理的な摩擦を最小限に抑えます。肌をゴシゴシこすることは、バリア機能を損ない、乾燥や炎症、さらには色素沈着の原因にもなり得ます。
  2. 吸着効果: 細かい泡は、表面積が大きいため、毛穴の奥の汚れや皮脂を効率的に吸着し、浮き上がらせます。

パーフェクトホイップの真価は、この「摩擦レス洗顔」を容易に実現できる点にあります。泡立てネットを使えば、レモン1個分ほどの大きさの、逆さにしても落ちないくらい弾力のある泡を作ることを目指してください。この泡を肌の上で転がすように洗うのが理想です。

洗顔の正しい手順と注意点

日本皮膚科学会が推奨する基本的な洗顔方法を基に、以下の手順を推奨します38

  1. 準備: まず手をきれいに洗います。手が汚れていては、泡立ちが悪くなるだけでなく、雑菌を顔に広げることになります。
  2. 泡立て: 手のひらに適量(約2cm)をとり、少量のぬるま湯を加えながら、空気を含ませるようにして十分に泡立てます。
  3. 洗顔: できた泡を、皮脂の多いTゾーン(額、鼻)から先にのせ、顔全体に広げます。指が直接肌に触れないように、泡のクッションで優しく円を描くように洗います。洗顔時間は1分以内を目安にしてください。
  4. すすぎ: 30~32℃程度のぬるま湯で、最低でも20回以上は丁寧にすすぎます。熱いお湯は肌の乾燥を招き、冷水は皮脂を固まらせてしまいます。髪の生え際やフェイスラインは、すすぎ残しが多い部分なので特に注意してください。
  5. 保湿: 清潔なタオルで、押さえるように優しく水分を拭き取ります。そして、間髪を入れずに化粧水や保湿剤で肌に潤いを補給します。洗顔後の肌は最も乾燥しやすい状態にあるため、この「即時保湿」がスキンケア全体の鍵を握ります。

よくある質問(FAQ)

Q1:毎日使っても大丈夫ですか?
A1:脂性肌や普通肌の方であれば、毎日使用しても問題ない場合がほとんどです。しかし、本稿で解説した通り、乾燥肌や敏感肌の方は、肌のつっぱり感や乾燥のサインに注意してください。もし違和感があれば、使用頻度を夜のみに減らす、または他のマイルドな洗顔料と併用するなどの調整を検討してください。
Q2:W洗顔は不要ですか?
A2:いいえ、W洗顔は必要です。本製品はあくまで「洗顔料」であり、ファンデーションや日焼け止めなどの「メイクアップ料」を落とすためのクレンジング機能は十分に備えていません。メイクをした日は、必ず先に専用のクレンジング料でメイクを落とし、その後にパーフェクトホイップを使用してください。
Q3:ニキビは悪化しますか?
A3:ニキビの種類と肌質によります。過剰な皮脂や毛穴の詰まりが原因の非炎症性ニキビ(白ニキビ・黒ニキビ)に対しては、高い洗浄力が有効に働く可能性があります。しかし、すでに赤く腫れて痛みのある炎症性ニキビに対しては、弱アルカリ性の刺激が炎症を助長するリスクも否定できません。日本皮膚科学会のガイドラインでも、ニキビ肌には「低刺激性」の製品が推奨されているため16、不安な場合は使用を中止し、皮膚科専門医に相談することが最も安全な選択です。

総括:専門家から見たパーフェクトホイップの評価

「専科 パーフェクトホイップ」は、科学的観点から評価すると、非常に巧みに設計された製品です。その核心は、「石けん」という伝統的で強力な洗浄メカニズムを基盤に置きながら、セリシンやWヒアルロン酸といった保湿成分と、資生堂の先進技術を組み合わせることで、洗浄力と保湿感の絶妙なバランスを追求している点にあります。
この製品は、多くの人々、特に皮脂分泌が活発な若年層や脂性肌の人々にとって、「心地よいリッチな泡で、汚れをすっきりと洗い流す」という洗顔の根源的な欲求を、驚異的なコストパフォーマンスで満たしてくれる画期的な存在です。これが、国民的洗顔料として長年愛され続ける最大の理由でしょう。
しかし、その成功の鍵である「弱アルカリ性の高い洗浄力」は、諸刃の剣でもあります。肌のバリア機能が低下している乾燥肌や敏感肌の人々にとっては、その特性が刺激となり、肌トラブルの一因となる可能性も内包しています。
結論として、「専科 パーフェクトホイップ」は万人にとっての「完璧な」洗顔料ではありません。しかし、それは欠陥ではなく、製品の明確な「個性」です。自身の肌質を正しく理解し、洗顔に何を最も求めるのか(洗浄力か、マイルドさか、あるいは特定の機能か)を明確にした上で、本記事で提供した科学的情報を基に選択することが、賢いスキンケアの第一歩と言えるでしょう。

免責事項
この記事は情報提供のみを目的としており、専門的な医学的アドバイスに代わるものではありません。健康上の懸念がある場合、または健康や治療に関する決定を下す前には、必ず資格のある医療専門家にご相談ください。

参考文献

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  4. mybest. (n.d.). 専科 パーフェクトホイップをレビュー!クチコミ・評判をもとに徹底検証. Available from: https://my-best.com/products/270088
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