【科学的根拠に基づく】不倫の7つの意外な真実：遺伝的素質から突然死リスクまでを徹底解説

事実1：「不倫遺伝子」の神話と現実：遺伝的素質の科学

メディアで時折使われる「不倫遺伝子」という言葉は、科学的な現実を過度に単純化したものです。特定の遺伝子、特にバソプレシン受容体遺伝子（AVPR1A）やドーパミン受容体遺伝子（DRD4）の変異が、不倫に関連する行動への「素質」と関連付けられているのは事実ですが、これらが人の運命を決定づけるわけではありません。最終的には、環境や個人の価値観、そして選択が極めて重要な役割を果たします。
科学的探求の物語は、まず「一つの遺伝子が不倫を決める」という神話を否定することから始まります。遺伝子は、パートナーとの絆の形成（ペアボンディング）、リスクを取る傾向、そして報酬を求める欲求といった、より基本的な特性に影響を与えます。そして、これらの特性が結果として、パートナーに対して誠実であるかどうかの行動に影響を及ぼしうる、というのがより正確な科学的見解です。
AVPR1A遺伝子に関する研究の歴史は、科学が自己修正しながら進歩する過程を示す好例です。2004年に行われた1600組以上の女性双生児を対象とした影響力のある研究では、不倫行動の遺伝率は41%と推定されたものの、AVPR1A遺伝子との明確な関連は見出されませんでした。⁵ しかし、2015年に発表された、より進んだ手法を用いた研究では、7400人以上の双生児とその兄弟姉妹を対象に調査が行われ、AVPR1Aのある特定の変異と、女性のみにおける不倫行動との間に有意な関連が発見されました。² この「関連なし」から「女性において関連あり」へと至る研究の変遷は、科学的探求の正直な姿であり、この記事の信頼性を高めるものです。
日本の脳科学者である中野信子氏は、AVPR1Aの多型が共感性や他者への優しさに関わることから、分かりやすく「貞淑型」「不倫型」といった言葉で説明しており、日本の読者にとって理解しやすい視点を提供しています。⁶
さらに、脳の報酬系（快感や満足感を司るシステム）に関連するDRD4遺伝子も重要な役割を果たします。ある研究では、この遺伝子の特定の変異（7R+と呼ばれる）を持つ人々は、持たない人々と比較して、より多くの性的パートナー数を報告し、性的不貞を報告する可能性が50%も高いことが示されました。⁷ この変異は、新奇な体験を求める傾向やリスクを厭わない行動と関連しています。
しかし、このセクションで最も重要な結論は、これらの遺伝子はあくまで「傾向」を作り出すに過ぎないという事実です。不倫に対する価値観や態度は遺伝によって決まるのではなく、主に育った環境やその後の人生経験によって形成されます。² この科学的情報を責任ある形で提供することは、読者が「遺伝だから仕方がない」といった安易な運命論に陥るのを防ぐために不可欠です。

事実2：男女差は縮まるも、動機は別世界

歴史的に、男性の方が女性よりも高い不倫率を報告してきましたが、その差は特に若い世代で縮小しています。しかし、その行動の背後にある根本的な動機は、依然として男女間で大きく異なっているのが現実です。男性はしばしば性的な新奇性を求めるのに対し、女性は関係における感情的な不満が引き金となることが多いのです。
米国の総合的社会調査（GSS）によると、生涯で不倫経験があると答えたのは男性が20%、女性が13%でした。⁸ しかし、この数字には注意が必要です。同じ調査で18歳から29歳の若年層に限定すると、女性の方が男性よりもわずかに不倫率が高く（11%対10%）、この差が逆転しつつある可能性を示唆しています。⁹

その「なぜ」を掘り下げると、動機の違いが鮮明になります。株式会社Liamが実施した日本の調査では、男性が不倫をする最大の理由は「性欲を満たしたかった」であったのに対し、女性の最大の理由は「夫婦関係が悪かった」でした。¹ これは世界的な傾向とも一致しており、女性は感情的なニーズ、例えばパートナーから無視されている感覚や、自己肯定感の確認を主な動機として挙げています。⁸
この動機の違いは、パートナーに裏切られた際の反応にも明確に表れます。研究によれば、男性はパートナーの「性的な不貞」に対してより強い苦痛を感じるのに対し、女性は「感情的な不貞」に対してより強く苦痛を感じる傾向があります。¹¹ これは、進化の過程で男性が直面してきた「父性の不確かさ」と、女性が直面してきた「資源やコミットメントの喪失」という、それぞれ異なる適応課題を反映していると考えられています。
これらの事実を統合すると、より深い洞察が生まれます。社会の変化が「誰が」「どれくらいの頻度で」不倫をするかを変えつつある一方で、その根本的な「なぜ」は、依然として性別に特有な心理的ニーズに深く根ざしているのです。これは、現代社会学と深層心理学が交差する、興味深い物語と言えるでしょう。

事実3：エモーショナル・インフィデリティ：触れずして起こる裏切り

不倫は、肉体的な行為に限定されるものではありません。「エモーショナル・インフィデデリティ（感情的な不倫）」とは、主要なパートナーシップの外で、第三者と深く、秘密の、親密な感情的絆を形成することです。これは、信頼関係に対して肉体的な不倫と同等、あるいはそれ以上に破壊的な影響を及ぼす可能性があります。¹¹
この概念の主要な特徴は、(1)感情的な親密さ、(2)秘密主義と欺瞞、(3)パートナーに向けられるべき感情の不適切な投資、という3つの要素に集約されます。¹² 心理学者シャーリー・グラス博士が提唱した「壁と窓」の比喩は、この現象を理解する上で非常に強力です。健全な関係では、パートナー間には透明な「窓」があり、外部の人間との間にはプライバシーを守る「壁」が存在します。しかし、感情的な不倫ではこれが逆転し、第三者との間に「窓」が作られ、本来のパートナーに対して「壁」が築かれてしまうのです。⁴
多くの人が抱く「親しい友情と感情的な不倫の違いは何か？」という疑問に答える鍵は、秘密主義と、パートナーに向けられるべき感情的エネルギーの転換にあります。¹³ 例えば、「人生で最も大きなニュースや深い悩みを、まず誰に打ち明けるか？」という問いは、その関係性を測る一つの指標となります。¹⁴

デジタルコミュニケーションの台頭は、この感情的な不倫の境界線をさらに曖昧にしています。LINEやSNS、メッセージングアプリは、場所に関係なく、絶え間ない秘密の親密なコミュニケーションを可能にし、感情的な不倫が育つ肥沃な土壌を提供しています。¹⁵ これは抽象的な概念ではなく、私たちの日常生活の中で、日々起きている現実なのです。

事実4：職場：日本における不倫の主要舞台

マッチングアプリやSNSが普及した現代においても、職場は依然として不倫が始まる最も一般的な場所です。これは世界的な傾向であると同時に、日本においても同様の事実が確認されています。
2024年に株式会社Liamが実施した日本の調査によれば、男女ともに不倫相手と出会う場所の第1位は「職場」でした。¹ なぜ職場が不倫の温床となりやすいのでしょうか。その要因は、物理的な近さ、共通の目標や経験、そして共に過ごす時間の長さにあります。これらが自然と親密さを育む環境を作り出すのです。¹⁰
ある情報源は、婚外恋愛の実に85%が職場で始まると主張しています。¹⁶ また、米フォーブス誌の調査では、職場恋愛を経験した人の40%が、その時点で既に別のパートナーがいたと回答しています。¹⁷
職場不倫がもたらすリスクは、当事者の関係性にとどまりません。生産性の低下、えこひいき、ゴシップ、そしてセクシャルハラスメントの訴訟リスクなど、組織全体に悪影響を及ぼす可能性があります。¹⁸ 特に、上司と部下といった階層的な関係における恋愛は、組織の秩序を最も乱す可能性があると見なされています。¹⁸
この現象の背後には、プロフェッショナルな環境と人間の根源的な心理との間の葛藤が存在します。高ストレスで協力的な環境において、人間が生来持つ「つながりへの欲求」を1日8時間以上も抑制し続けることは、非常に困難な課題です。この生来の緊張関係を理解することは、この問題を単なる個人の倫理の問題としてではなく、現代の労働環境における人間性の本質についての考察へと深めることにつながります。

事実5：オーガズムのパラドックス：絶頂のフリは、感じないことより危険なサイン

直感に反するかもしれませんが、研究によれば、女性が実際にオーガズムを感じる頻度と、彼女が不倫をする可能性との間に、統計的に有意な関連は見出されません。しかし、驚くべきことに、オーガズムの「フリをする」頻度と不倫との間には、強い相関関係が存在することが示されています。¹⁹
これは、問題の根本が性的な不満そのものではなく、より深刻な「コミュニケーションの崩壊」にあることを示唆しています。オーガズムのフリをすることは、一種の劣悪なコミュニケーションです。それは、「気持ちよくない」「そういう気分ではない」といった、自身の本当のニーズや不満について、パートナーと率直で正直な会話ができない状態の表れなのです。²⁰
したがって、オーガズムのフリと不倫は、直接的な原因と結果の関係にあるのではなく、同じ根源的な病、すなわち「コミュニケーション不全と関係への不満」という二つの異なる症状として捉えるべきです。²⁰ 性的なニーズについて正直になれない人は、感情的なニーズについても正直になれない可能性が高いのです。
この発見は、特定の私的な行動が、より大きな関係性の問題を示す診断指標となりうるという、強力で具体的な例を提供します。この記事が読者に提供すべき真のメッセージは、「オーガズムのフリをする女性は不倫をする」という短絡的なものではありません。真のメッセージは、「セックスを含むあらゆる事柄についての、たとえ気まずくても正直なコミュニケーションこそが、信頼関係の基盤である」ということです。これは、読者にとって非常に価値があり、力づけられる洞察となるでしょう。

事実6：デジタルの亡霊：SNSはいかにして昔の恋人を蘇らせ、新たなリスクを生むか

FacebookやInstagramといったソーシャルメディア（SNS）は、不倫への欲求を新たに生み出すわけではありません。しかし、過去のパートナー、いわゆる「昔の恋人」と再会する障壁を劇的に下げ、秘密の感情的に親密なオンライン関係を育むことで、不倫の強力な触媒となっています。²¹
特に注目すべきは、「昔の恋人」現象です。この分野の第一人者であるナンシー・カリシュ博士の研究によると、インターネットが普及する以前の再会は主に独身者同士のものでしたが、インターネットを介した再会では、参加者の3分の2が既婚者でした。²² そして驚くべきことに、既婚者によるこれらの「無邪気な」再会のうち、実に62%が本格的な不倫関係に発展したのです。たとえ当初の意図が純粋な好奇心からであったとしてもです。²²
SNSの危険性は、単に接続が容易であることだけではありません。それが提供する「無邪気さの枠組み」にこそ、真の罠があります。物理的な世界では明らかな境界線違反と見なされる行動（例：元恋人と秘密で会うこと）が、「オンラインで旧交を温めているだけ」として合理化されやすいのです。この心理的な罠により、幸せな結婚生活を送っている人でさえ、無害な好奇心を装って接触を開始し、プライベートなメッセージのやり取りを通じて、対面では起こりえなかったであろう親密さの段階的エスカレーションを許してしまいます。
この現象はエモーショナル・インフィデリティと密接に関連しており、その結果は現実世界にも及びます。ある調査では、米国の離婚弁護士の81%が、訴訟でSNSから得た証拠を利用した経験があると報告しています。²³ この記事を読んでいるあなたに、一つの問いを投げかけたいと思います。「あなたがその『旧友』に送っている全てのメッセージを、あなたのパートナーが見ても平気ですか？」この問いは、抽象的なリスクを現実のものとして突きつけるでしょう。

事実7：究極のリスク：婚外恋愛と突然死の恐るべき関連性

これは、本稿で取り上げる7つの事実の中で最も衝撃的なものかもしれません。法医学的な剖検研究により、性行為中の心臓突然死は全体としては稀であるものの、それが起こる場合、不釣り合いなほど高い割合で「婚外恋愛」の最中に発生していることが明らかになっています。
まず強調すべきは、性行為中の心臓突然死自体が非常に稀な事象であるという点です。米シダーズ・サイナイ医療センターの研究では、心臓突然死全体のうち性行為に関連するものは1%未満でした。²⁴ 英国の大規模研究でも、全症例のわずか0.2%に過ぎませんでした。²⁵
しかし、その稀な事例を詳しく分析すると、驚くべきパターンが浮かび上がります。2006年に発表された画期的なドイツの法医学研究（Parzeller et al.）は、33年間にわたる調査で性行為中に死亡した事例を分析し、「記録されたケースのほとんどは、愛人や売春婦との間、あるいは自慰行為中に発生した」と結論づけました。そして、「性交死の大部分は婚外恋愛中に発生する」と断定しています。³ アジアを含む他の地域の研究でも、男性が婚外関係の文脈で突然死の犠牲者となることが多いという点で、この発見と一致しています。²⁶
なぜこのようなリスクの増加が起こるのでしょうか。単なる身体的運動だけが原因ではありません。研究者たちは、罪悪感、発覚への恐怖、慣れない環境、そしてパートナーとの間に存在する可能性のある大きな年齢差といった、付加的な心理的ストレスが、配偶者との安定した関係における性行為時よりも血圧や心拍数を急激に上昇させる主要因であると理論づけています。²⁷
この法医学的データは、道徳や感情で語られがちな行動に対して、厳然たる生物学的な結末を提示します。人間の身体は、欺瞞や罪悪感といった心理的ストレスに対して、測定可能で、時には致命的な生理学的反応を示すのです。性行為という身体活動そのものよりも、それが行われる「婚外」という文脈がリスクを急増させるという事実は、この問題の重みを確固たるものにします。

よくある質問

結論

不倫という現象は、単純な善悪の二元論では到底語り尽くせない、人間の複雑な側面を映し出す鏡です。本稿で探求した7つの事実は、遺伝的素質という生物学的な基盤から、男女間の心理的な動機の違い、職場という社会的環境、そしてSNSという現代技術がもたらす新たな関係性の力学まで、いかに多くの要因が絡み合っているかを示しています。特に、オーガズムのフリがコミュニケーション不全の兆候であることや、婚外恋愛が突然死のリスクを高めるという法医学的知見は、目に見えない心理状態が具体的な行動や身体的結末にまで影響を及ぼすことを教えてくれます。
JHO（JAPANESEHEALTH.ORG）編集委員会として私たちが目指したのは、非難や審判ではなく、科学的根拠に基づいた「理解」の提供です。これらの知識は、私たち自身の行動や人間関係を、より深く、よりニュアンスに富んだ視点から見つめ直すための強力なツールとなり得ます。最終的に、信頼に基づいた健全な関係を築く上で最も重要なのは、たとえ困難であっても、正直でオープンなコミュニケーションであるという普遍的な真実を、これらの科学的知見は改めて浮き彫りにしていると言えるでしょう。