【科学的根拠に基づく】肝臓がんのステージ別解説|進行度と治療法の全貌
がん・腫瘍疾患

【科学的根拠に基づく】肝臓がんのステージ別解説|進行度と治療法の全貌

肝臓がんは、日本において依然として大きな健康課題の一つであり、その診断と治療は日々進化を続けています。かつては治療が難しいとされたこの疾患も、近年の医学の目覚ましい進歩、特に新しい薬物療法の登場により、治療の選択肢は大きく広がりました。しかし、治療法の多様化は、患者さんやご家族にとって、どの治療が自分にとって最適なのかを理解することをより複雑にしています。この記事は、JAPANESEHEALTH.ORG編集委員会が、最新かつ信頼性の高い科学的根拠に基づき、肝臓がんの進行度(ステージ)分類から、各ステージに応じた標準的な治療法、そして最先端の治療法までを、包括的かつ分かりやすく解説することを目的としています。皆様が病状を正しく理解し、医師との対話を深め、納得のいく治療を選択するための一助となることを心より願っております。

この記事の科学的根拠

この記事は、入力された研究報告書で明示的に引用されている最高品質の医学的根拠にのみ基づいています。以下に示すリストは、実際に参照された情報源のみを含み、提示された医学的指導との直接的な関連性を示しています。

  • 肝癌診療ガイドライン 2021年版 (日本肝臓学会): 本記事における治療法の選択、ステージ分類の解釈、および各治療法の推奨事項に関する指針は、日本における最も権威ある本ガイドラインに基づいています。
  • 国立がん研究センター がん情報サービス: 日本国内の罹患数、死亡数、生存率などの最新の統計データは、この公的機関の発表に基づいています。
  • 国際的な臨床試験 (IMbrave150, HIMALAYAなど): 進行肝がんに対する最新の全身薬物療法に関する情報は、これらの画期的な国際共同試験の結果に基づいています。
  • 専門家の功績に関する報告: ラジオ波焼灼療法(RFA)に関する記述の一部は、日本の第一人者である椎名秀一朗医師の実績と貢献に関する報告に基づいています。

要点まとめ

  • 日本では、肝臓がんは依然として主要ながんの一つですが、C型肝炎治療の進歩により死亡者数は減少傾向にあります。しかし、非ウイルス性の原因、特に非アルコール性脂肪性肝疾患(NAFLD)による肝がんが増加しています45
  • 肝臓がんの治療方針を決定する上で最も重要なのが「BCLC(バルセロナ臨床肝がん)分類」です。この分類は、がんの状態だけでなく、肝機能(チャイルド・ピュー分類)と全身状態(ECOG-PS)を総合的に評価し、治療法を推奨します1516
  • 早期段階(BCLCステージ0・A)では、肝切除やラジオ波焼灼療法(RFA)などの根治を目指す治療が中心となります11
  • 中間期(BCLCステージB)では、肝動脈化学塞栓療法(TACE)が標準治療ですが、近年では全身薬物療法との併用も期待されています828
  • 進行期(BCLCステージC)の治療は近年大きく進歩し、免疫療法と分子標的薬を組み合わせた全身薬物療法が新たな標準治療となっています2932

第1章: 肝臓がんとは?

肝臓がんとは、肝臓の細胞ががん化して悪性の腫瘍となったものです。その大半(約90%以上)は、肝臓の主要な細胞である肝細胞ががん化する「肝細胞がん(Hepatocellular Carcinoma – HCC)」です12。この記事では、主にこの肝細胞がんについて解説します。

1.1 日本における肝臓がんの現状:なぜ重要な健康問題なのか

肝臓がんは、日本における最も深刻な医学的課題の一つです。公式な統計データは、この問題の規模を明確に示しています。

  • 罹患数: 2021年のデータによると、日本国内で新たに34,675人が肝臓がんと診断されました。特に男性は女性の2倍以上となる23,677人で、顕著な性差が見られます1
  • 死亡数: 2023年には22,908人の方が肝臓がんにより亡くなっており、依然としてがんによる死亡原因の上位を占めています1
  • 生存率: 治療法の進歩にもかかわらず、肝臓がん全体の予後は依然として厳しいものがあります。2011年から2013年に診断された症例の10年相対生存率は17.6%であり2、これは大腸がん(76.8%)や胃がん(75.4%)と比較して著しく低い数値です2。この背景には、肝臓がんの多くが、がんそのものだけでなく、背景にある慢性肝炎や肝硬変といった肝機能の低下を伴うことが大きく影響しています。

一方で、日本の公衆衛生における大きな成功事例として、肝臓がんによる死亡者数が2000年代初頭のピーク時(約34,000人)から着実に減少している点が挙げられます6。これは、過去の主要な原因であったC型肝炎ウイルス(HCV)に対する画期的な治療薬の開発と普及によるものです4。しかし、生存率が依然として低いという事実は、ひとたび肝がんが発生した場合の治療の難しさを物語っており、より効果的な治療法の開発が急務であることを示しています。

1.2 原因と危険因子:変化する病気の姿

日本の肝臓がんの歴史は、B型肝炎ウイルス(HBV)およびC型肝炎ウイルス(HCV)との闘いの歴史でした。これらウイルス性肝炎は、かつて全肝がん症例の80~90%を占める主要な原因でした5。しかし、現在、その原因の構図は劇的に変化しています。
近年のデータ分析によると、ウイルス感染を伴わない「非B非C型肝がん」の割合が急速に増加しており、2015年には新規症例の32.5%に達しました4。この中で新たな主役として浮上しているのが、非アルコール性脂肪性肝疾患(NAFLD)および、その重症型である非アルコール性脂肪肝炎(NASH)です。これらは肥満、2型糖尿病、脂質異常症といった現代の生活習慣病と密接に関連しています5
「非ウイルス性肝がん」の台頭は、新たな公衆衛生上の脅威です。日本の成人人口の約30%、すなわち約2300万人がNAFLDを有していると推定されています4。さらに、肝硬変や肝がんへと進行する危険性の高いNASH患者は、2030年には430万人に増加すると予測されています4。特に懸念されるのは、このタイプの肝がんは、患者自身のリスク認識が低いことなどから、より進行した段階で発見される傾向があることです4。これは、肝がんのリスクがもはやウイルス性肝炎の患者さんだけのものではないことを意味します。生活習慣病のリスクを持つ人々もまた、この「静かなる脅威」を認識し、適切なスクリーニングを受ける必要があるという、極めて重要なメッセージを本記事は強調します。

1.3 診断とスクリーニングの重要性:「沈黙の臓器」と機会の窓

肝臓は「沈黙の臓器(沈黙の臓器)」と称されます。その理由は、初期の肝臓がんは自覚症状をほとんど引き起こさないためです7。倦怠感、食欲不振、体重減少、腹部の痛みや黄疸といった症状が現れる頃には、がんは既に大きく進行しているか、背景にある肝硬変が悪化している場合がほとんどです8
この「沈黙」こそが、定期的なスクリーニング(監視検査)を不可欠なものにしています。がんが小さく、転移していない早期の段階で発見することが、治療の成功と患者さんの生命予後を左右する最大の鍵となります。
主な診断・スクリーニング方法は以下の通りです。

  • 血液検査: 肝機能の状態や、AFP(アルファ・フェトプロテイン)などの腫瘍マーカーを測定します。ただし、AFP単独での診断は困難であり、あくまで補助的な指標です10
  • 腹部超音波(エコー)検査: スクリーニングの第一選択となる検査で、非侵襲的かつ簡便に肝臓内の小さな腫瘍を発見できます8
  • 高度な画像診断: 超音波検査で異常が疑われた場合、ダイナミックCTやダイナミックMRIといった、造影剤を用いた精密検査が行われます。これらは腫瘍の性質、大きさ、数、そして主要な血管との関係を詳細に評価するための「ゴールドスタンダード(標準的診断法)」です8

重要な点は、肝がんのスクリーニングは全人口に推奨されるものではなく、高リスク群に焦点を当てて行われるということです12。日本の診療ガイドラインに基づき、以下のような方が定期的な検査の対象となります。

  • B型慢性肝炎の患者さん
  • C型慢性肝炎の患者さん
  • 原因を問わず肝硬変と診断された患者さん(アルコール性、NASHを含む)
  • NAFLD/NASHで肝臓の線維化が進んでいると判断された患者さん

この対象を絞ったスクリーニング戦略を強調することで、読者が自身の健康を守るために何をすべきかを具体的に理解し、早期発見という「機会の窓」を最大限に活用することの重要性を伝えます。

第2章: 進行度の分類(ステージング)

ステージングとは、がんの広がり具合を評価するプロセスです。肝臓がんにおいては、単に病状を記述するだけでなく、最適な治療戦略を選択するための羅針盤となる、極めて重要なステップです。複数の分類法が存在しますが、ここでは臨床現場で最も重視されるシステムを解説します。

2.1 なぜBCLC分類が「標準」なのか

肝がんのステージ分類には、主に日本の「臨床・病理 原発性肝癌取扱い規約」に基づく分類(UICCのTNM分類を統合)と、世界的に広く用いられるBCLC(バルセロナ臨床肝がん)分類があります1115。前者は腫瘍の解剖学的な特徴(大きさ、個数、血管への広がり、転移の有無)に主眼を置いていますが、近年の臨床現場ではBCLC分類が治療方針決定の「ゴールドスタンダード」として推奨されています16
BCLC分類が優れている理由は、その包括的なアプローチにあります。このシステムは、患者さんの予後を左右する3つの重要な柱を統合的に評価します15

  1. 腫瘍の状態: 大きさ、個数、血管浸潤、肝外転移の有無。
  2. 肝機能の予備能: ほとんどの肝がんは肝硬変を背景に発生するため、残された肝臓がどの程度治療に耐えられるかを示す、チャイルド・ピュー分類による評価。
  3. 全身状態 (Performance Status – PS): 患者さんが日常生活をどの程度行えるかを示す、ECOG(米国東部癌共同研究グループ)によるスコア。

この多角的な評価により、BCLC分類は極めて実践的な治療指針を提供します。例えば、非常に小さな腫瘍(日本の分類ではステージI)があっても、肝機能が極端に悪い(チャイルド・ピューC)患者さんがいたとします。腫瘍だけを見れば早期ですが、実際には手術などの積極的な治療には耐えられません。BCLC分類では、このような患者さんを正確にステージD(末期)と判断し、緩和ケアを推奨します。これは、臨床的に最も合理的かつ人間的な判断です。このように、BCLC分類は単にがんを「分類」するだけでなく、個々の患者さんに合わせた治療を「導く」ための優れたツールなのです。

【重要用語解説】チャイルド・ピュー分類とは?

チャイルド・ピュー分類(Child-Pugh分類)は、肝硬変などによる肝機能の低下度を評価するための世界共通の指標です。以下の5項目を点数化し、その合計点で肝臓の予備能をA、B、Cの3段階に分類します16

  • 血液中のビリルビン値:黄疸の程度
  • 血液中のアルブミン値:肝臓で作られるタンパク質の量
  • プロトロンビン時間(INR):血液の固まりやすさ(肝臓で作られる凝固因子の働き)
  • 腹水の有無と程度
  • 肝性脳症の有無と程度:肝臓で処理できない有害物質による意識障害

分類:

  • Child-Pugh A (5-6点): 代償性肝硬変。肝機能は比較的良好に保たれている状態。
  • Child-Pugh B (7-9点): 非代償性肝硬変(中等度)。肝機能が中程度に低下している状態。
  • Child-Pugh C (10-15点): 非代償性肝硬変(高度)。肝機能が著しく低下している状態。

この分類は、治療法の選択において極めて重要です。例えば、Child-Pugh Aであれば多くの治療に耐えられますが、Cになると積極的な治療は困難となり、緩和ケアが中心となります。

2.2 BCLC分類の各ステージ

BCLC分類は、肝がんを以下の5つのステージに分け、それぞれに推奨される治療アルゴリズムが関連付けられています15

  • ステージ0 (Very Early – 超早期): 腫瘍が1つで2cm以下。肝機能、全身状態ともに良好(Child-Pugh A, ECOG-PS 0)。
  • ステージA (Early – 早期): 腫瘍が1つ、または3cm以下のものが3個以内。肝機能、全身状態ともに良好(Child-Pugh A-B, ECOG-PS 0)。
  • ステージB (Intermediate – 中間期): ステージAの基準を超える多発・大きな腫瘍。ただし、血管浸潤や肝外転移はない。肝機能、全身状態は良好(Child-Pugh A-B, ECOG-PS 0)。
  • ステージC (Advanced – 進行期): 門脈などの主要な血管への浸潤、またはリンパ節や肺、骨など他の臓器への転移がある。全身状態がやや低下している場合も含む(ECOG-PS 1-2)。肝機能は比較的保たれている(Child-Pugh A-B)。
  • ステージD (End-stage – 末期): 肝機能が極めて悪い(Child-Pugh C)、または全身状態が極めて不良(ECOG-PS > 2)で、積極的ながん治療の対象とならない。

表1: 主な肝がんステージ分類システムの比較
比較項目 日本の分類 (臨床・病理 原発性肝癌取扱い規約) BCLC分類 (Barcelona Clinic Liver Cancer)
主要目的 腫瘍の解剖学的な特徴と広がりの記述 治療戦略の決定と予後予測
評価因子 – 腫瘍の大きさと数 (T)
– リンパ節転移 (N)
– 遠隔転移 (M)
– 腫瘍の状態 (大きさと数、血管浸潤、転移)
– 肝機能 (チャイルド・ピュー分類)
– 全身状態 (ECOG-PS)
ステージ ステージ I, II, III, IV ステージ 0, A, B, C, D
長所 解剖学的な詳細な記述が可能 ステージと治療選択が強く結びついており、臨床的実用性が非常に高い
短所 肝機能などの患者背景を反映しにくいため、治療選択に直結しづらい 初見ではやや複雑に感じられることがある

第3章: ステージ別の治療法

この章では、各BCLCステージに対応する具体的な治療法を、「肝癌診療ガイドライン 2021年版」19を基に詳しく解説します。これは本記事の核となる部分です。

表2: BCLCステージと日本のガイドラインに基づく治療アルゴリズム概要
BCLCステージ 患者/腫瘍の主な特徴 推奨される第一選択治療 次善の選択肢/次のステップ 主な治療目標
0 (超早期) & A (早期) 1-3個の小さな腫瘍、良好な肝機能 (Child-Pugh A)、良好な全身状態 肝切除 または ラジオ波焼灼療法 (RFA)11 肝移植 (肝機能が切除に耐えられない場合)11 根治 (治癒)
B (中間期) 多発腫瘍、血管浸潤/遠隔転移なし、良好な肝機能、良好な全身状態 肝動脈化学塞栓療法 (TACE)8 全身薬物療法 (TACE不応/不適の場合)、放射線治療 (SBRT) 病勢コントロール、生存期間の延長
C (進行期) 血管浸潤または遠隔転移あり、肝機能は維持、全身状態は比較的良好 全身薬物療法:
– アテゾリズマブ + ベバシズマブ
– デュルバルマブ + トレメリムマブ
– レンバチニブ or ソラフェニブ16
二次治療以降の薬物療法 (レゴラフェニブ等)、症状緩和のための放射線治療 生存期間の延長、生活の質の改善
D (末期) 極端に悪い肝機能 (Child-Pugh C) または極めて不良な全身状態 (ECOG-PS > 2) 緩和ケア9 症状 (痛み、腹水等) の管理、精神的・栄養的サポート 症状緩和、尊厳と生活の質の維持

3.1 BCLCステージ 0 & A (超早期・早期): 根治を目指す機会

このステージは、病気を完全に治癒させる「根治」を最大の目標とする段階です。患者さんにとって最も高い治癒のチャンスがあります。

  • 肝切除: 最も根治的な治療法の一つで、腫瘍を含む肝臓の一部を外科的に切除します11。特に単発の腫瘍で、肝機能が良好な(Child-Pugh A)患者さんが最も良い適応となります10
  • 穿刺局所療法(ラジオ波焼灼療法 – RFA): 体への負担が少ない低侵襲治療です。超音波で腫瘍の位置を確認しながら、皮膚を通して特殊な針を腫瘍の中心に刺し、ラジオ波の電流で発生する熱によってがん細胞を「焼き切る」治療法です11。日本の2021年版ガイドラインでは、3cm以下の単発性腫瘍に対しては、肝切除と同等の推奨度で示されており、非常に高い治療効果が認められています21
  • 肝移植: 腫瘍が一定の基準(ミラノ基準など)内に収まっているものの、肝機能が悪すぎて切除が不可能な患者さんにとって、最良の選択肢です16。がんを取り除くと同時に、病んだ肝臓そのものを置き換えるため、肝硬変という根本的な問題も解決します。ただし、日本においては脳死ドナーからの肝臓提供が非常に少ないため、生体肝移植が主流です11

この段階での5年相対生存率は最も高く、日本のデータではステージI(BCLC 0/Aに相当)で59%から64%と報告されています24

【日本の誇る専門技術】ラジオ波焼灼療法(RFA)の第一人者

日本の医療が世界に誇る分野の一つに、RFAの高度な技術が挙げられます。順天堂大学医学部附属順天堂医院の椎名秀一朗医師は、この分野における世界的権威として知られています。同医師は1999年に日本にRFA技術を導入し、以来13,000件以上という世界最多の治療実績を誇ります26。椎名医師らのチームは、RFA専用の手術台や超音波装置を独自に開発するなど、技術革新を牽引してきました。これにより、通常は治療が難しいとされる、血管の近くなどアクセス困難な部位にある腫瘍に対しても、安全かつ効果的な治療を可能にしています26。このような専門家の存在は、日本で最高水準のRFA治療が受けられることを示しており、患者さんにとって大きな希望となります。

3.2 BCLCステージB (中間期): 局所での制御戦略

腫瘍が多発していたり、大きいために切除やRFAの適応にはならないものの、病変がまだ肝臓内にとどまっている患者さんでは、治療目標は「根治」から「病勢コントロール」と「生存期間の延長」へと移行します。

  • 肝動脈化学塞栓療法 (Transarterial Chemoembolization – TACE): このステージにおける標準的治療法です8。足の付け根の動脈から細いカテーテルを挿入し、がんを栄養している肝臓の動脈まで進めます。そこから、抗がん剤と塞栓物質(血管を詰まらせる微小な粒子)を注入します。これにより、(1)高濃度の抗がん剤をがんに直接届け、(2)がんへの血流を遮断して「兵糧攻め」にする、という二重の効果でがんを攻撃します28

しかし、TACEの効果は永続的ではなく、多くの場合はいずれ病状が再燃します。この課題を克服するため、現在、ステージBの治療は大きな変革期にあります。LEAP-012やEMERALD-1といった近年の大規模臨床試験では、TACEに免疫療法や分子標的薬といった全身薬物療法を組み合わせることで、TACE単独よりも病状の進行を遅らせる期間が大幅に延長されるという、非常に有望な結果が示されています28。これらの併用療法は、近い将来、このステージの新たな標準治療となることが期待されており、治療の進歩を象徴する動きです。

3.3 BCLCステージC (進行期): 全身薬物療法の革命

このステージは、ここ数年で最も劇的な進歩を遂げた領域です。かつては予後が極めて不良で治療選択肢が限られていましたが、免疫療法と新世代の分子標的薬の登場により、治療体系は一変しました。
治療のパラダイムは、単に腫瘍の増殖を抑える分子標的薬(チロシンキナーゼ阻害薬 – TKI)から、患者さん自身の免疫システムを再活性化させてがんと戦わせる免疫療法、特にそれらを組み合わせた併用療法へと大きくシフトしています。
現在、第一選択(一次治療)となる主な全身薬物療法は以下の通りです。

  • アテゾリズマブ(免疫療法)+ ベバシズマブ(分子標的薬): 国際共同臨床試験であるIMbrave150試験の画期的な結果に基づき、日本を含む多くの国で新たな標準治療となりました29。この併用療法は、従来の標準薬であったソラフェニブと比較して、全生存期間(OS)と無増悪生存期間(PFS)の両方で優越性を示しました30
  • デュルバルマブ + トレメリムマブ(共に免疫療法 – STRIDE療法): HIMALAYA試験の結果を基に承認された、2種類の免疫チェックポイント阻害薬を組み合わせた治療法です32。こちらもソラフェニブに対する全生存期間の優越性が示されています。特に、初回にトレメリムマブを単回投与し、その後デュルバルマブを維持するこのレジメンは、長期的な免疫効果をもたらす可能性が期待されています16
  • 分子標的薬単剤(レンバチニブ または ソラフェニブ): 免疫療法が適さない、あるいは禁忌となる患者さんに対しては、これらの薬剤も依然として有効な一次治療の選択肢です22

一次治療が効かなくなった後も、レゴラフェニブ、カボザンチニブ、ラムシルマブといった二次治療の選択肢が存在します22。この治療パラダイムの転換は、単に「新しい薬が増えた」ということではなく、進行期の患者さんに意味のある生存期間の延長と希望をもたらす、治療哲学そのものの変革なのです。

3.4 BCLCステージD (末期): 生活の質を最優先に

肝機能が著しく低下(Child-Pugh C)した、あるいは全身状態が極めて不良となった末期においては、治療の目標が根本的に変わります。がんを攻撃する積極的な治療は、利益よりも不利益が上回る可能性が高くなります。

  • 緩和ケア(Palliative Care): 治療の中心となります。これは「治療の放棄」では決してなく、患者さんの苦痛な症状を和らげ、可能な限り質の高い生活を維持し、患者さんとご家族の心理的・社会的・精神的な側面を支えるための積極的な医療です9

具体的なケアには、効果的な痛みのコントロール、腹水を抜いて腹部の張りを和らげる処置、吐き気や食欲不振、倦怠感といった症状の管理、そして栄養サポートなどが含まれます。骨転移による痛みを和らげる目的で放射線治療が用いられることもあります9。カウンセリングなどを通じた精神的なサポートも、非常に重要な役割を果たします。

第4章: 最新の治療法を詳しく解説

ここでは、主要な治療法がどのような仕組みで効果を発揮するのかを、より深く掘り下げて解説します。

4.1 局所療法と領域療法

  • 肝切除: 残存する肝機能が十分にあることが前提となる大手術です。切除後、残った肝臓は再生する能力がありますが、術後の出血、感染、胆汁漏、肝不全といったリスクも伴います11
  • ラジオ波焼灼療法 (RFA) / マイクロ波焼灼療法 (MWA): どちらも熱を利用して腫瘍を破壊する治療法です。体への負担が少なく、入院期間も短く、健常な肝組織を最大限温存できるため、肝機能への影響が少ないのが大きな利点です11
  • 肝動脈化学塞栓療法 (TACE): 肝細胞がんは、その栄養の大部分を肝動脈から得ているという特徴があります。一方で、正常な肝細胞は主に門脈から栄養供給を受けています。TACEはこの違いを利用し、肝動脈を選択的に塞栓することで、腫瘍を標的として攻撃する効果的な領域療法です8
  • 体幹部定位放射線治療 (SBRT): 「ピンポイント照射」とも呼ばれる高精度な放射線治療です。周囲の正常な肝組織への影響を最小限に抑えながら、腫瘍に対して非常に高い線量の放射線を集中させることができます16。切除や焼灼が困難な位置にある腫瘍に対して、その有用性が高まっています。

4.2 全身薬物療法: 新たな時代の幕開け

全身薬物療法の進歩は、進行肝がん患者さんの予後を塗り替えました。

  • 分子標的薬 (Targeted Therapy): ソラフェニブやレンバチニブなどのマルチTKIは、がん細胞が増殖・生存するために利用する特定のシグナル伝達経路を妨害します。主な作用の一つは、腫瘍に栄養を供給する新しい血管の形成(血管新生)を阻害することです9
  • 免疫療法 (Immunotherapy): 免疫チェックポイント阻害薬は全く異なる機序で作用します。がん細胞は、免疫細胞(T細胞)上にあるPD-1やCTLA-4といった「ブレーキ役」の分子に結合することで、免疫システムからの攻撃を巧みに回避します。免疫療法は、この結合をブロックすることで免疫の「ブレーキを解除」し、T細胞ががん細胞を再び認識・攻撃できるようにします9

表3: 進行肝がんに対する主な一次全身薬物療法の比較
治療法 作用機序 主要な臨床試験 主な有効性の結果 (vs ソラフェニブ) 注意すべき主な副作用
アテゾリズマブ + ベバシズマブ 免疫療法 (抗PD-L1抗体) + 血管新生阻害薬 (抗VEGF抗体) IMbrave15030 全生存期間で統計学的に有意に優越。死亡リスクを42%低減35 高血圧、蛋白尿 (ベバシズマブ関連)、免疫関連の有害事象 (肝炎、肺炎、大腸炎など)22
デュルバルマブ + トレメリムマブ 免疫療法 (抗PD-L1抗体) + 免疫療法 (抗CTLA-4抗体) HIMALAYA32 全生存期間で統計学的に有意に優越。4年時点でも4人に1人が生存36 免疫関連の有害事象。ベバシズマブを含むレジメンより出血リスクは低い傾向16
レンバチニブ 分子標的薬 (マルチTKI) REFLECT 全生存期間で非劣性。無増悪生存期間と奏効率は改善22 高血圧、疲労、下痢、食欲不振、手足症候群。

第5章: 予後と生存率

予後や生存率のデータは、患者さんやご家族にとって最も関心の高い情報の一つですが、慎重に解釈する必要があります。以下に示すのは、日本の大規模な統計データですが、これらはあくまで平均値であり、個々の患者さんの経過は、年齢、合併症の有無、治療への反応性、がんの生物学的特性など多くの要因によって大きく異なります。

表4: 日本における肝がんのステージ別5年相対生存率 (UICC分類)
ステージ 5年相対生存率
ステージ I 64.0%
ステージ II 40.8%
ステージ III 15.2%
ステージ IV 3.7%
出典: 全国がんセンター協議会(全がん協)加盟施設における診断症例(2011-2013年)25
注: このデータはUICC分類に基づくものであり、BCLC分類とは異なります。また、近年の新しい薬物療法が登場する前のデータであるため、現在の生存率は改善している可能性があります。

これらの数字は過去の統計ですが、治療法の進歩は、未来の数字をより良いものへと変えていく力を持っています。希望を持って治療に臨むことが大切です。

よくある質問

肝臓がんは遺伝しますか?
一般的に、肝臓がんそのものが直接的に遺伝することは稀です。しかし、肝がんの主要なリスク因子であるB型肝炎ウイルス感染は母子感染などで家族内に集積することがあります。また、生活習慣病であるNAFLD/NASHも食生活や体質など家族内で似た傾向が見られることがあります。そのため、ご家族に肝臓がんの方がいる場合は、ご自身の肝炎ウイルス感染の有無や肝臓の状態を一度調べておくことが推奨されます。
治療の副作用が心配です。どのような対策がありますか?
全ての治療法には副作用の可能性がありますが、近年は副作用を管理する「支持療法」が大きく進歩しています。例えば、薬物療法の副作用である吐き気には効果的な制吐剤が、皮膚障害には保湿剤やステロイド外用薬が用いられます。免疫療法特有の副作用に対しても、早期発見と適切な対応(ステロイド治療など)が重要です。治療開始前に、予想される副作用とその対策について医師や看護師、薬剤師から十分な説明を受け、治療中はどんな些細な体調の変化でも遠慮なく相談することが、副作用を乗り越える鍵となります。
治療法について、主治医以外の意見も聞いた方が良いでしょうか?
はい、セカンドオピニオンを求めることは患者さんの正当な権利であり、多くの医療機関で推奨されています。特に肝臓がんのように治療法が多岐にわたる疾患では、別の専門医の意見を聞くことで、提示された治療方針への理解が深まったり、新たな選択肢が見つかったりすることがあります。主治医との良好な関係を保ちながらセカンドオピニオンを受けたい旨を伝えれば、多くの医師は必要な情報(紹介状や検査データなど)を提供してくれます。納得して治療に臨むために、セカンドオピニオンは非常に有効な手段です。

結論

本記事では、科学的根拠に基づき、肝臓がんのステージ分類と最新の治療法について包括的に解説しました。肝臓がんの治療は、ウイルス性肝炎の克服から、生活習慣病に関連するがんへの対策、そして免疫療法を中心とした薬物療法の革命まで、大きな変遷を遂げています。早期発見が根治への鍵である一方、進行した場合でも、新たな治療法が次々と登場し、希望の光はかつてなく明るくなっています。
患者さんとご家族にとって最も大切なことは、ご自身の病状を正しく理解し、主治医と信頼関係を築き、治療チームと一丸となって病気に立ち向かうことです。分からないことや不安なことは遠慮なく質問し、提示された治療法について十分に納得した上で、共に治療方針を決定していくプロセスが重要です。本記事が、そのための確かな知識と、前に進むための勇気の一助となることを、JAPANESEHEALTH.ORG編集委員会一同、心から願っています。

免責事項
本記事は、情報提供のみを目的としており、専門的な医学的アドバイスを構成するものではありません。健康に関する懸念や、ご自身の健康や治療に関する決定を下す前には、必ず資格のある医療専門家にご相談ください。

参考文献

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