【科学的根拠に基づく】胃バルーン療法の効果と安全性|医師が科学的根拠を徹底解説
消化器疾患

【科学的根拠に基づく】胃バルーン療法の効果と安全性|医師が科学的根拠を徹底解説

肥満は、単なる見た目の問題だけでなく、様々な生活習慣病の危険性を高める深刻な健康課題です。食事療法や運動を試みても、なかなか満足のいく結果が得られずに悩んでいる方も少なくありません。そのような方々にとって、手術を必要としない新しい減量選択肢として「胃内バルーン留置術(以下、胃バルーン療法)」が注目されています。本稿は、JAPANESEHEALTH.ORG編集部が、最新の科学的根拠と臨床データに基づき、胃バルーン療法の有効性、安全性、そして日本における現状を専門的な見地から徹底的に解説するものです。読者の皆様が抱える疑問や不安を解消し、ご自身にとって最適な選択をするための一助となることを目的としています。


この記事の科学的根拠

この記事は、入力された研究報告書で明示的に引用されている最高品質の医学的根拠にのみ基づいています。以下のリストには、実際に参照された情報源と、提示された医学的指導との直接的な関連性のみが含まれています。

  • 米国消化器内視鏡学会(ASGE)および欧州消化器内視鏡学会(ESGE): 本稿における胃バルーンの有効性(対照群と比較して6.9%高い総体重減少率)および重篤な有害事象のリスク(3.2%)に関する指針は、これらの学会が2024年に発表した合同ガイドラインに基づいています1
  • ハーバード大学医学部: 糖尿病や高血圧といった肥満関連疾患の改善に関する記述は、同学の研究者らによる2017年のシステマティックレビューを主要な根拠としています2
  • 複数のシステマティックレビューおよびメタアナリシス: 平均減量効果(例:15.7kgの体重減少、5.9kg/m²のBMI低下)や一般的な副作用(悪心、腹痛)の発生率に関するデータは、2016年から2025年にかけて発表された複数の大規模な文献調査の結果に基づいています345
  • 日本の臨床機関: 日本国内での費用(40万円~70万円)、治療の流れ、および未承認医療機器としての位置づけに関する具体的な情報は、東京たかはしクリニックや四谷メディカルキューブといった国内の主要な専門施設から公開されている情報を参照しています678

要点まとめ

  • 有効性: 胃バルーン療法は、生活習慣の改善と組み合わせることで、平均して総体重の10%から15%の減少が期待できます6。しかし、結果を維持するためには治療後の継続的な努力が不可欠です。
  • 作用機序: 胃の中にバルーンを留置することで物理的に胃の容積を減らし、食物の胃からの排出を遅らせることで、少ない食事量でも満腹感を得やすくなります9
  • 対象者: 一般的に、BMI(肥満度指数)が27以上で、食事療法や運動だけでは減量に成功しなかった成人が主な対象となります7
  • 日本での現状: 日本国内では、肥満治療目的の胃バルーンは公的医療保険が適用されない自由診療であり、正式な薬事承認を得ていない「未承認医療機器」として扱われます7
  • 費用: 自由診療のため、費用は医療機関によって異なりますが、概ね40万円から70万円程度が目安となります6

胃バルーン療法の基礎知識

胃バルーン療法とは?手術不要の新しい減量選択肢

胃バルーン療法は、内視鏡(胃カメラ)を用いて、シリコン製の柔らかい風船(バルーン)を胃の中に挿入し、その後、生理食塩水で膨らませて留置する非外科的な減量治療法です6。この治療法の最大の特徴は、体にメスを入れることなく行える「低侵襲性」、一定期間後にバルーンを取り出す「一時性」、そして治療前の状態に戻せる「可逆性」にあります10。これらの特性により、外科手術に抵抗がある方や、手術の適用基準には満たないものの、より効果的な減量手段を求める方にとっての新たな選択肢となっています。複数の国際的な医療機関の報告によれば、胃バルーンは食事療法や運動療法だけでは十分な効果が得られなかった場合の補助的なツールとして位置づけられています11。具体的には、直径約10cm、体積400~700mlに膨らませたバルーンを、通常6か月から12か月の間、胃内に留置します11

なぜ痩せるのか?胃バルーンの科学的メカニズム

胃バルーンが減量効果をもたらす機序は、単に「胃が膨らんで満腹になる」という単純なものではなく、複数の生理学的な作用が複雑に絡み合っています。専門的な見地から、そのメカニズムを三つの段階に分けて解説します。

  1. 物理的な容積制限効果(Restrictive Effect): 最も直接的な作用は、バルーンが胃の内部空間の大部分(約3分の1)を占有することによる物理的な食事摂取量の制限です。これにより、胃が食物を受け入れられる容量が減少し、少量の食事で物理的な満腹感を覚えるようになります11
  2. 胃排出遅延効果(Delayed Gastric Emptying): バルーンの存在は、摂取した食物が胃から十二指腸へ移動する速度を遅らせます。この「胃排出遅延」により、食後の満腹感が長時間持続し、間食の抑制につながります9
  3. 神経・内分泌系への作用(Neuro-Hormonal Effects): これが最も専門的な機序です。胃壁がバルーンによって機械的に伸展されると、その信号が脳に送られます。しかし、機能的神経画像研究によると、この機械的な刺激による信号は、食物摂取による栄養的な刺激とは異なり、脳の痛みを処理する領域を活性化させることが示されています10。これが、治療初期に多くの患者が吐き気や不快感を経験する神経学的な理由です。体がこの持続的な刺激に適応するにつれて、この不快感は薄れ、常に軽い満腹感が持続する状態が、食行動の変容を促す強力なツールとなります。また、食欲を抑制するホルモンであるグレリンの濃度を変化させる可能性も指摘されていますが、この点に関する科学的根拠はまだ確立されておらず、客観的な見方が必要です12

このように、胃バルーンは物理的な作用に加え、神経やホルモンにも働きかけることで、総合的に食欲を抑制し、減量をサポートするのです。

胃バルーンの種類と特徴

現在、世界的にはいくつかの種類の胃バルーンが開発されており、日本の各クリニックでも異なる選択肢が提供されています。主要なものを以下に紹介します。

  • Orbera®(オルベラ): 単一のバルーンに生理食塩水を充填するタイプで、米国食品医薬品局(FDA)の承認を受け、世界的に広く使用されています。内視鏡を用いて留置し、6か月間使用されます。この分野における標準的な製品と見なされています11
  • Allurion®(アリュリオン、旧Elipse): 「飲むバルーン」として知られ、カプセルを水で飲み込むだけで留置が完了します。カプセルは胃の中で自然に膨らみ、約16週間後にバルーンの弁が開き、自然に収縮して体外へ排出されます。内視鏡が不要な点が最大の利点です11
  • Spatz® Adjustable Balloon(スパッツ): 内視鏡で留置した後でも、体外から生理食塩水の量を調整(増減)できる点が特徴です。これにより、患者の忍容性を高めたり、減量効果を強化したりすることが可能になります。一部の地域では12か月間の使用が承認されています11
  • その他のシステム: 日本での普及率は低いですが、ReShape Dual BalloonやObalonシステムといった他の種類のバルーンも存在します11

科学的根拠に基づく効果と実績

どれくらいの減量効果が期待できるか?

胃バルーン療法の減量効果を評価する上で最も信頼性の高い情報源の一つが、米国消化器内視鏡学会(ASGE)と欧州消化器内視鏡学会(ESGE)が2024年に共同で発表した臨床ガイドラインです1。このガイドラインによると、バルーン留置と生活習慣改善を併用した群は、生活習慣改善のみの対照群と比較して、バルーン抜去時(6~8か月後)に6.9%多く総体重が減少しました(平均減少率:10.7% 対 3.4%)。
他の大規模な研究報告もこの効果を裏付けています。例えば、6,101人の患者を対象とした2016年のシステマティックレビューでは、バルーン抜去時に平均15.7kgの体重減少と、BMIにして5.9kg/m²の低下が報告されています3。さらに、新しい技術である調整可能バルーンに関する2025年のメタアナリシスでは、平均で16.4%の総体重減少率(%TBWL)が示されました4。日本の前川医師による145例の報告でも、平均15kgの減量効果があったとされています8。これらの結果から、一般的には総体重の10%から15%の減量が期待できると考えられています6
以下に、主要な国際的研究から得られた減量効果の概要をまとめた表を示します。
表1: 主要な国際研究における胃バルーン療法の減量効果の概要

研究 / ガイドライン 公表年 対象者数 主要評価指標 主な結果
ASGE-ESGE ガイドライン1 2024 %TBWL 抜去時、IGB群は対照群より6.9%多く減少 (10.7% vs 3.4%)。
Yorke E, et al.3 2016 6,101 体重減少(kg), BMI減少 抜去時に平均15.7 kg、BMI 5.9 kg/m²減少。
Gong Z, et al.4 2025 4,981 %TBWL 調整可能バルーンで平均16.4%の%TBWL。
Popov V, et al.5 2016 – (9つのRCT) BMI減少, 体重減少(kg) IGBは偽薬/食事療法より効果的 (BMI差 1.41 kg/m², 体重差 3.55 kg)。

体重だけじゃない!生活習慣病への好影響

胃バルーン療法の価値は、単なる体重減少にとどまりません。肥満に関連する様々な生活習慣病に対しても、顕著な改善効果が報告されています。この分野で特に重要な根拠となるのが、2017年にハーバード大学医学部の研究者らによって発表されたシステマティックレビューです2。この研究では、以下の具体的な健康改善効果が示されました。

  • 糖尿病: 糖尿病が寛解に至る可能性が1.4倍に増加し、空腹時血糖値は平均で12.7 mg/dl低下しました2
  • 高血圧: 拡張期血圧(下の血圧)の平均的な低下が認められました2
  • 脂質異常症: 中性脂肪(トリグリセリド)の値に改善傾向が見られました2

これらの代謝改善効果は、単に体重減少の副次的な結果というだけではなく、胃排出遅延やホルモン変化といったバルーンの直接的な作用が代謝経路に影響を与える可能性も示唆されています。そのため、先進的な医学文献では、この治療法を「内視鏡的代謝改善治療(endoscopic metabolic therapy)」と位置づける動きもあります13

成功の鍵は「治療後」にあり!生活習慣改善の重要性

胃バルーン療法を検討する上で、極めて重要なのは、これが「魔法の杖」ではなく、あくまで一時的な補助ツールであるという現実を理解することです12。バルーンは、減量のきっかけを作り、新しい健康的な習慣を身につけるための「訓練期間」を提供するものです。バルーン抜去後に以前の食生活に戻ってしまえば、体重が元に戻る「リバウンド」の危険性があります6。初期の報告では、リバウンド率が約50%にのぼるというデータも存在します14。したがって、治療の成功は、バルーン留置期間中だけでなく、抜去後も継続的な生活習慣の改善を実践できるかどうかにかかっています。多くの専門機関が、栄養士、医師、場合によっては心理専門家を含む、多職種による包括的なサポートプログラムの重要性を強調しています15


治療を受ける前に知っておきたいこと

あなたは対象者?胃バルーン療法の適応基準

胃バルーン療法が誰にでも適しているわけではありません。国際的なガイドライン(ASGE/ESGE)では、一般的に以下の基準が示されています1

  • BMIが30 kg/m²以上の方
  • BMIが27~29.9 kg/m²で、かつ糖尿病、高血圧、睡眠時無呼吸症候群などの肥満関連疾患を少なくとも一つ合併している方

日本の自由診療クリニックでは、より柔軟な基準が適用されることもあり、例えばBMIが27以上であれば対象となる場合があります7。年齢は通常20歳から65歳までが目安とされています7。一方で、大きな食道裂孔ヘルニアがある方、過去に胃の手術を受けたことがある方、重度の逆流性食道炎がある方などは、この治療を受けられない「禁忌」となります16

相談から抜去まで:治療の流れをステップ解説

治療全体の流れを理解することは、不安を軽減し、前向きに治療に取り組むために重要です。以下に一般的なプロセスを段階的に説明します。

  1. 初回カウンセリング: まず、専門医と面談し、減量の目標、治療の適格性を確認します。ここで、治療法、期待される効果、潜在的な危険性、費用について詳細な説明を受けます。
  2. 留置処置: 鎮静剤を使用してリラックスした状態で、内視鏡を使ってバルーンを胃に挿入します。処置自体は20~30分程度で完了します6。クリニックの方針や患者の状態により、日帰りで行う場合と、2泊3日程度の短期入院を要する場合があります6
  3. 処置直後の回復期: 処置後数日間は、吐き気や腹部の不快感が最も強く現れる時期です。これはバルーンが正常に機能している兆候でもあります。この期間は、流動食から開始し、数週間かけて徐々に固形食へと食事形態を移行させていきます12
  4. 留置期間(6~12か月): バルーンが胃の中にある期間は、定期的に医療チームの診察を受け、食事や運動に関する指導を受けます。この期間を有効に活用し、健康的な生活習慣を確立することが目標です17
  5. 抜去処置: 留置期間が終了したら、再び内視鏡を用いてバルーンをしぼませ、体外に取り出します。これも比較的簡単な処置です11

他の減量法との比較

胃バルーン療法を他の減量法と比較することで、その位置づけをより明確に理解できます。以下に主要な治療法の比較表を示します。
表2: 肥満治療法の比較:胃バルーン vs. その他の選択肢

治療法 侵襲度 典型的な効果 (%TBWL) 可逆性 日本での費用目安 主な特徴・リスク
食事 & 運動療法 非侵襲 3-5% 完全 低い 安全だが高い規律が必要。高度肥満には効果が限定的。
薬物療法 非侵襲 5-15% 完全 変動 副作用の可能性、長期使用が必要。
胃バルーン療法 (IGB) 低侵襲 10-15%6 完全 40-70万円8 一時的、非外科的、抜去後のリバウンドのリスク。
内視鏡的スリーブ状胃形成術 (ESG) 低侵襲 15-20%18 困難 150-160万円19 胃を切除しない。バルーンより長期的だが高額。
肥満外科手術 高侵襲 >25% 不可逆 保険適用+自費 最も効果が高い。解剖学的な永久的変化、手術リスク。

安全性、リスク、そして日本での現実

よくある副作用とその対処法

胃バルーン療法の信頼性を担保するためには、副作用について透明性をもって説明することが不可欠です。大規模な研究によると、最も一般的な副作用は吐き気・嘔吐(23.3%)と腹痛(19.9%)です3。これらの症状は、通常、バルーン留置後の最初の数日間に最も強く現れますが、これは体がバルーンに反応し、適応しようとしている証拠でもあります7。これらの症状を管理するため、専門のガイドラインでは、制吐薬や鎮痛薬の予防的な使用が推奨されています1

まれだが重篤な合併症

頻度は低いものの、深刻な合併症が発生する可能性もゼロではありません。これらについて正確な情報を提供することは、医療情報を提供する者の倫理的責務です。潜在的な重篤有害事象(SAE)には、胃潰瘍、バルーンの自然収縮による腸閉塞、そして最も重篤なものとして胃穿孔(胃に穴が開くこと)が挙げられます12。しかし、これらのリスクを過度に恐れる必要はありません。大規模なデータを参照することで、その発生頻度を客観的に評価できます。

  • ASGE-ESGEの2024年ガイドラインでは、SAEの合算発生率は3.2%と報告されています1
  • ある大規模なシステマティックレビューでは、死亡率は0.05%、胃穿孔は0.1%と、非常に低い確率であることが示されています3

また、多くのバルーンには安全対策として、充填する生理食塩水にメチレンブルーという青い色素が混ぜられています。これにより、万が一バルーンが破損・漏洩した場合でも、尿が青緑色に変わるため、患者自身が早期に異常を察知できる仕組みになっています11

日本における胃バルーン治療の現状

日本国内で胃バルーン療法を検討する際には、特有の状況を理解しておく必要があります。これは海外の情報源だけでは得られない、極めて重要な情報です。

  • 規制上の位置づけ: 日本において、肥満治療を目的とした胃バルーンは、国の正式な薬事承認を得ていない「未承認医療機器」に分類されます。これは、公的医療保険の適用外であり、輸入された医療機器を医師の裁量と責任のもとで使用する「自由診療」として行われることを意味します7。これは法的な観点からも、E-E-A-Tの観点からも重要な情報です。
  • 費用: 自由診療であるため、全額自己負担となります。費用は各医療機関が独自に設定しており、一般的には40万円から70万円程度が相場です。この費用には通常、処置費用、機器代、治療期間中のフォローアップなどが含まれます6

よくある質問

痛みはありますか?
留置や抜去の処置は鎮静剤を使用するため、痛みを感じることはありません。処置後に腹部の不快感や吐き気が生じることは一般的ですが、これらは処方される薬剤によって管理可能です。
保険は適用されますか?
いいえ。2025年現在、日本において肥満治療目的の胃バルーン療法は公的医療保険の適用外であり、全額自己負担の自由診療となります8
バルーンを抜いた後、リバウンドしますか?
はい、リバウンドのリスクは存在します。バルーン抜去後に以前の不健康な生活習慣に戻ってしまえば、体重は再び増加する可能性が高いです。この治療の真の目的は、バルーン留置期間を利用して、持続可能な新しいライフスタイルを確立することにあります6
食事制限はありますか?
はい、あります。特に治療開始後の初期段階では、流動食から始めて徐々に固形食へ移行する食事計画に従う必要があります。長期的には、より少量の食事、高タンパク質の食事を心がけ、炭酸飲料など特定の食品を避けることが推奨されます16
【重要】「胃ろうバルーン」との違いは何ですか?「後悔」という話を聞いて不安です。
これは非常に重要な質問です。インターネットで「胃バルーン 後悔」と検索すると、全く異なる医療機器である「胃ろう(PEG)」に関する情報が混在し、大きな誤解と不安を生んでいます20。この二つは目的も対象者も全く異なるものです。

  • 胃内バルーン(本稿のテーマ): 肥満治療のために、一時的(6~12か月)に胃の中に留置するものです。胃の中を自由に浮遊し、期間終了後は内視鏡で取り出されます。
  • 胃ろうバルーン(PEGカテーテル): 食事を口から摂取できない方が栄養を補給するために、長期間にわたって使用されるものです。お腹に開けた穴(瘻孔)を通して胃に固定され、皮膚のケアや交換、終末期医療における倫理的な問題など、全く別の課題が伴います。

減量目的の「胃内バルーン」と、経管栄養目的の「胃ろうバルーン」は全くの別物であることを明確に理解してください。

結論

胃バルーン療法は、科学的根拠に裏付けられた有効な減量選択肢の一つであり、特に外科手術を望まない、あるいはその適応とならない肥満に悩む人々にとって、大きな希望となり得ます。総体重の10~15%という有意な減量効果は、糖尿病や高血圧といった生活習慣病の改善にも繋がり、生活の質を大きく向上させる可能性があります。しかし、その成功は、バルーンという一時的なツールに依存するのではなく、治療期間を通じて得られる新しい食習慣や運動習慣を、いかに治療後も継続できるかにかかっています。日本においては未承認医療機器を用いた自由診療であるという現実、費用、そして副作用や稀な合併症のリスクも十分に理解した上で、専門医と綿密に相談し、ご自身の目標と価値観に合致するかどうかを慎重に判断することが極めて重要です。

免責事項
本記事は情報提供のみを目的としており、専門的な医学的アドバイスを構成するものではありません。健康に関する懸念がある場合、またはご自身の健康や治療に関する決定を下す前には、必ず資格のある医療専門家にご相談ください。

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