「最近、ずっと肩が痛い」「湿布やマッサージをしても良くならない」「腕を上げづらいし、夜になると特にズキズキする」──そんなお悩みはありませんか。
多くの肩の痛みは、いわゆる「四十肩・五十肩」や筋肉の疲労、姿勢のくずれなどが原因で起こります。一方で、ごく一部ではありますが、肩周囲の骨にできるがん(骨肉腫などの原発性骨腫瘍や転移性骨腫瘍)が原因となっている場合もあります。
骨のがんは、日本国内でも年間の患者数が少ない「希少がん」に分類されます。しかし、初期には「成長痛」「スポーツによる痛み」「肩こり」などと勘違いされやすく、がまんしているうちに進行してしまうこともあります。特に、数週間〜数か月にわたり続く局所の痛みや腫れ、原因不明の骨折、体重減少などは、早めの受診が大切なサインです。
この記事では、日本の公的機関や専門学会、信頼できる海外の医療機関の情報にもとづき、肩の骨にできるがん(骨肉腫など)の基本、よくある症状、検査や治療の流れ、日常生活でできるセルフチェックや受診の目安について、できるだけわかりやすく解説します。自分やご家族の肩の痛みが気になっている方が、「どこまでが様子見でよいのか」「いつ・どこに相談すべきか」をイメージできるようになることが本記事のゴールです。
Japanese Health(JHO)編集部とこの記事の根拠について
Japanese Health(JHO)は、健康と美容に関する情報を提供するオンラインプラットフォームです。厚生労働省や国立がん研究センター、日本の専門学会などが発信する公的情報と、査読付き論文・国際ガイドラインをもとに、日常生活で活用しやすい知識を整理してお届けすることを目指しています。
本記事の内容は、国立がん研究センター希少がんセンター・がん情報サービス、日本整形外科学会の診療ガイドライン情報などの国内資料に加え、英国国民保健サービス(NHS)やがん専門団体の解説などの一次情報源をもとに、JHO編集部がAIツールのサポートを受けながら構成しました。最終的な内容については、人の目で原著資料と照合し、用語や数値、URLの妥当性を一つひとつ確認したうえで公開しています。
- 厚生労働省・国立がん研究センター・自治体・公的研究機関:がん統計や希少がん情報、患者向け解説など、日本人向け公式情報を優先して参照しています。
- 国内外の専門学会ガイドライン・査読付き論文:日本整形外科学会が作成した原発性悪性骨腫瘍診療ガイドラインや、小児・AYA世代の骨肉腫に関する資料、海外のがんセンターの解説をもとに、骨肉腫の診断・治療の考え方を整理しています。
- 教育機関・医療機関・NPOによる一次資料:骨腫瘍の症状や検査方法、がん治療と仕事・学校生活の両立支援など、実際の生活に直結する情報として参照しています。
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要点まとめ
- 肩の骨にできるがん(骨肉腫など)は非常にまれですが、数週間〜数か月続く局所の痛みや腫れ、原因が思い当たらない骨折などがサインになることがあります。
- 骨腫瘍の代表的な症状は、運動時だけでなく安静時・夜間にも続く痛みと、患部の腫れ・熱感です。肩周囲の痛みや腫れが長引く場合は、単なる肩こりや四十肩と決めつけず、整形外科などで相談することが大切です。
- 骨のがんが進行すると、軽い転倒やぶつけただけで骨が折れてしまう「病的骨折」や、体重減少、強いだるさ、微熱や夜間の寝汗といった全身症状が現れることもあります。
- 診断にはレントゲン、CT、MRI、骨シンチグラフィー、PETなどの画像検査に加え、生検(組織を一部採取して顕微鏡で調べる検査)が重要です。確定診断は必ず医療機関で行われます。
- 骨肉腫の標準的な治療は、手術による腫瘍の切除と術前・術後の抗がん剤治療(化学療法)を組み合わせた集学的治療です。治療法の進歩により、適切な治療を受けた場合の予後は以前より大きく改善しています。
- 「肩の痛みががんかどうか」を自分で判断することはできません。痛みが長く続く・夜間に悪化する・腫れやしこりがある・原因不明の骨折が起きたといった場合は、早めに整形外科やがん専門施設に相談しましょう。
「肩が痛い」と感じたとき、多くの方はまず「同じ姿勢が続いたせいかな」「年齢のせいかも」と考えるのではないでしょうか。実際、その多くは筋肉や腱、関節まわりのトラブルが原因であり、ストレッチや生活習慣の見直し、リハビリなどで改善していきます。
一方で、数週間〜数か月にわたり同じ場所の痛みが続く、夜になると特に強くなる、肩周囲にしこりや腫れがあるといった場合には、骨の腫瘍(骨肉腫など)や他の病気が隠れている可能性もゼロではありません。
この記事では、まず日常生活の中で見直せる姿勢や負担のかかり方から説明し、そのうえで栄養・ホルモン・慢性疾患といった体の内部要因、さらに専門的な診断が必要な骨腫瘍の可能性まで、段階的に理解できるよう構成しています。
途中では、Japanese Health(JHO)の総合ガイドや、関連する詳細解説ページへの橋渡しも行いながら、「自分の症状をどう整理し、いつ・どこで・誰に相談すべきか」をイメージしやすくすることを目指します。
「放置してはいけないサイン」と「生活改善で様子を見てもよいケース」の違いを知ることで、不安に振り回されすぎず、必要なときには迷わず専門家に相談できるようになりましょう。
第1部:肩の痛みの基本と日常生活の見直し
まずは、肩の痛みの原因として最も多い「生活習慣や肩まわりの使い方」の問題から整理していきます。骨のがんは非常にまれであり、肩の痛みの大部分は、筋肉・腱・関節・姿勢などのトラブルに由来します。最初から「がんかもしれない」と思い詰めるのではなく、「どのような原因の可能性があるのか」を順番に見ていくことが大切です。
1.1. 肩の構造と痛みが起こる基本的な仕組み
肩関節は、腕の骨(上腕骨)と肩甲骨、鎖骨などが組み合わさってできており、体の中でも特に動く範囲が広い関節です。上腕骨の頭が肩甲骨の受け皿のような部分にはまりこみ、その周りを筋肉や腱(ローテーターカフ)、靭帯が支えています。さらにその周囲を覆う筋肉や皮膚、神経や血管がまとまって走行しています。
この複雑な構造のおかげで、肩は腕を前後・左右・回転と自由に動かすことができますが、そのぶん負担もかかりやすく、次のような原因で痛みが起こることがよくあります。
- 長時間のデスクワークやスマートフォン操作による筋肉のこり
- 重い荷物を片側だけで持つ、同じ側でカバンをかけ続けるなどの偏った負担
- スポーツや筋トレでのオーバーユース(使いすぎ)
- 加齢にともなう腱板損傷・変形性関節症などの変化
このような原因では、姿勢を整える、ストレッチや体操を行う、負担のかかる動きを一時的に控える、適切なリハビリテーションを受けるなどで改善が期待できます。
1.2. 悪化させてしまうNG習慣
一見ささいに思える生活習慣が、肩まわりの負担を増やし、痛みを長引かせることがあります。「もともと肩こり持ち」「以前から少し痛かった」という方ほど、次のような習慣がないか振り返ってみましょう。
- 長時間の同じ姿勢:パソコンやスマートフォンを前かがみの姿勢で何時間も続けると、肩と首の筋肉が緊張し続け、血行も悪くなります。
- からだを冷やす習慣:薄着で長時間エアコンの風に当たる、湯船に入らずシャワーだけで済ませるなどは、筋肉のこわばりや痛みを悪化させることがあります。
- 片側にだけ負担をかける動き:いつも同じ側でカバンを持つ、赤ちゃんを抱っこする、重い荷物を一方の手だけで持ち上げるなどは、特定の筋肉や腱に負担を集中させます。
- 痛みを感じながらの無理なトレーニング:肩が痛いのに我慢して筋トレやスポーツを続けると、炎症が悪化したり、腱板損傷などのけがにつながる可能性もあります。
これらの習慣を見直すことで、多くの肩の痛みは改善していきます。しかし、生活を工夫しても痛みが数週間以上続く・日に日に強くなる・夜間にズキズキして眠れないといった場合には、骨や関節の病気を含めた専門的な評価が必要になります。
| こんな症状・状況はありませんか? | 考えられる主な背景・原因カテゴリ |
|---|---|
| デスクワークやスマホ使用の後に肩が重くなるが、休むと軽くなる | 筋肉のこり・姿勢の問題など、生活習慣による負担 |
| 腕を上げる・後ろに回すときだけ痛みが出る/引っかかる感じがある | 腱板損傷やインピンジメント症候群など、腱・関節まわりのトラブル |
| 動いていないときも同じ場所がズキズキ痛む/夜寝ているときが一番つらい | 骨や関節内部の炎症・骨折・骨腫瘍などの可能性を含めて要注意 |
| 肩の一部が腫れてきた・熱っぽい・触るとしこりのように硬い | 関節や骨の炎症、膿瘍、骨や軟部組織の腫瘍など、早めの受診が必要 |
| 軽くぶつけただけなのに肩の骨が折れたと言われた/以前から同じ場所が痛かった | 骨粗鬆症や病的骨折(骨のがん・転移性病変)の可能性もあり、精密検査が重要 |
第2部:身体の内部要因 ― 栄養・ホルモン・隠れた不調と骨への影響
生活習慣を見直しても痛みがなかなか改善しない場合、背景には栄養状態やホルモンバランス、慢性疾患など「からだの内側の要因」が関わっていることがあります。これらは必ずしも骨のがんとは限りませんが、骨の強さや修復力に影響し、肩の痛みや骨折のしやすさにつながることがあります。
2.1. 栄養不足・骨のもろさと肩の痛み
骨は、カルシウムやビタミンD、タンパク質などの栄養を材料に、常に古い部分を壊して新しい骨を作る「新陳代謝」をくり返しています。加齢や閉経、栄養不足、運動不足などが重なると、このバランスが崩れて骨がスカスカになる「骨粗鬆症」などの状態になり、軽い転倒やぶつけただけでも骨折しやすくなります。
肩周囲では、上腕骨の近位部(肩に近い部分)の骨折が起こりやすく、骨粗鬆症があると、ごく軽い外力でも骨折(脆弱性骨折)につながることがあります。こうした骨のもろさは、骨のがんとは別の問題ですが、「ちょっとぶつけただけで骨折した」「以前から同じ場所の骨が痛かった」という場合は、骨粗鬆症とともに、病的骨折(がんなどにより骨自体が弱くなったところに起こる骨折)の可能性も検討が必要になります。
2.2. ホルモンバランスや慢性疾患と骨・関節のトラブル
女性では、月経や妊娠・出産、更年期などライフステージに伴ってホルモンバランスが大きく変化します。女性ホルモン(エストロゲン)は骨を守る働きがあり、閉経後には骨量が減りやすくなります。さらに、糖尿病やリウマチ、長期のステロイド内服など、骨や関節に負担をかける病気・薬も少なくありません。
これらは直接「骨のがん」を引き起こすわけではありませんが、骨や関節のダメージを蓄積させ、「単なる肩こりだと思っていた痛み」がなかなか良くならない背景として関わることがあります。持病のある方や、複数の薬を飲んでいる方は、定期的な診察の際に骨や関節の状態についても相談しておくと安心です。
2.3. 転移性骨腫瘍と肩の痛み
すでに他の臓器のがん(乳がんや肺がん、腎がん、前立腺がんなど)の診断を受けている場合、がんが骨に転移して痛みや骨折の原因となることがあります。これを「転移性骨腫瘍」と呼びます。
肩周囲の骨(上腕骨や肩甲骨)に転移が起こると、局所の痛みや腫れ、動かしづらさ、軽い外力での骨折などが生じることがあります。もともとのがんの種類や治療歴によって状況はさまざまですが、がん治療中・治療後に新たな肩の痛みや骨折が出てきた場合は、すぐに主治医に相談することが重要です。
第3部:専門的な診断が必要な疾患 ― 肩の骨にできるがん(骨肉腫など)
ここからは、肩の骨にできるがん(骨肉腫など)の可能性について解説します。強調しておきたいのは、「肩が痛い = すぐに骨のがん」というわけでは決してない一方で、少数ながら骨の腫瘍が原因になっているケースも存在し、早期発見が治療に大きく影響するということです。
3.1. 骨肉腫とは何か ― 好発年齢と肩周囲で起こりやすい理由
骨肉腫は、骨に発生するがん(悪性骨腫瘍)の中で代表的な疾患のひとつで、「腫瘍性に骨や類骨(骨のもとになる組織)をつくる悪性腫瘍」と定義されています。日本では、原発性悪性骨腫瘍の中でも最も頻度が高い一方で、がん全体の中では非常にまれな病気にあたります。
国立がん研究センター・がん情報サービスによると、骨肉腫は10歳代の思春期に多くみられ、国内での年間患者数はおよそ200人程度とされています。患者の約6割は膝の上下部分に発生し、次いで上腕骨の肩に近い部分や股関節に近い部分など、骨がよく成長する部位で起こりやすいことが報告されています。このため、膝だけでなく肩周囲の痛みや腫れが初発症状になる人もいます。
3.2. 肩の骨肉腫にみられやすい症状
骨肉腫を含む骨腫瘍の症状として最も多いのは、「痛み」と「腫れ」です。肩周囲に発生した場合、次のようなサインが見られることがあります。
- 局所の痛み:最初は運動時や荷物を持ったときなどにだけ痛みを感じることが多いですが、進行するにつれて安静時や夜間もズキズキと痛むようになります。夜寝ているときに痛みで目が覚める、寝返りが打てない、といった訴えも少なくありません。
- 腫れ・しこり・熱感:肩の一部がふくらんで見えたり、触ると硬いしこりとして感じられることがあります。皮膚の表面からはっきり目立たない場合でも、押さえると痛い・熱っぽいといった所見が出ることがあります。
- 動かしづらさ:肩関節の近くに腫瘍ができると、可動域(動かせる範囲)が狭くなり、「腕が上がりきらない」「後ろに回しづらい」「服を脱ぎ着しにくい」などの日常生活上の困りごとにつながります。
- 病的骨折:腫瘍が骨を内側から破壊していると、軽い転倒やスポーツの接触など、通常なら骨折しないような力でも骨が折れてしまうことがあります。これを「病的骨折」と呼び、骨腫瘍が見つかるきっかけになることも少なくありません。
- 放散痛(はなれて感じる痛み):肩の骨の病変でも、首や腕、肩甲骨の周囲など、少し離れた部位に痛みを感じることがあります。マッサージをしても一時的にしか良くならない、場所を変えながら痛みが続く、といった場合は注意が必要です。
3.3. 全身症状 ― だるさ・体重減少・発熱・寝汗など
骨肉腫を含む骨のがんでは、局所症状に加えて、進行に伴い次のような全身症状が表れることもあります。
- はっきりした原因のない強いだるさ・疲労:十分な睡眠をとっても疲れが抜けない、いつもより動くのがおっくうに感じるなど。
- 意図しない体重減少:特にダイエットをしていないのに、短期間のうちに体重が減っていく場合は要注意です。
- 微熱・発熱、夜間の寝汗:低い熱が続いたり、夜中にシーツが湿るほどの寝汗が続くような場合は、感染症だけでなく、がんなどの全身性の病気が背景にあることもあります。
こうした全身症状は骨肉腫に特有のものではなく、さまざまな病気で起こり得ますが、肩の局所症状と組み合わさっている場合には、早めの精密検査が推奨されます。
3.4. 肩の骨のがんをどのように診断するか
骨肉腫などの骨腫瘍の診断は、問診と身体診察、各種画像検査、生検(組織検査)を組み合わせて慎重に行われます。
- 問診・診察:いつから・どのようなタイミングで痛みが出たか、夜間痛の有無、腫れやしこりの経過、過去のけがや持病、家族歴などを詳しく確認します。触診で腫れ・熱感・圧痛の範囲、関節の動き、神経症状などを評価します。
- 画像検査:レントゲン(単純X線)で骨の形の変化や破壊像、骨の新生像などを確認し、さらにCTやMRIで腫瘍の広がりや周囲の筋肉・神経との関係を詳細に評価します。骨シンチグラフィーやPET-CTが用いられることもあります。
- 生検(せいけん):画像検査で骨腫瘍が疑われる場合、最終的な確定診断のために、腫瘍の一部を採取し、病理医が顕微鏡で組織の性質を調べます。骨の肉腫が疑われる場合は、後の手術計画にも影響するため、経験のある専門施設で適切な方法で生検を行うことが推奨されています。
- 血液検査:炎症の程度や貧血の有無、腫瘍マーカーなどに加え、骨肉腫ではアルカリフォスファターゼ(ALP)の値が診断や治療効果の指標として参考にされることがあります。
これらの検査結果を総合して、「良性か悪性か」「どの種類の腫瘍か」「どこまで広がっているか」が判断され、治療方針が決まっていきます。検査の種類や順番は、年齢や症状、施設の設備によって異なりますので、詳しくは担当の医師に相談してください。
第4部:今日から始める改善アクションプラン
「がんかもしれない」と不安になっているときこそ、感情に振り回されるのではなく、「今日からできること」「受診までに準備しておくと良いこと」を一つずつ整理していくことが大切です。このセクションでは、原因が何であれ、肩の痛みと向き合ううえで役立つアクションプランをレベル別に紹介します。
| ステップ | アクション | 具体例 |
|---|---|---|
| Level 1:今夜からできること | 痛みのパターンを記録し、肩への負担を減らす | 就寝前1〜2時間はスマホやパソコンを控え、肩と首回りを軽く温める。痛みが出る動き・時間帯・強さをメモに残す。 |
| Level 2:今週から始める生活の見直し | 同じ姿勢を避け、肩周りのストレッチを取り入れる | 30分〜1時間ごとに席を立ち、肩を回したり、壁を使ったストレッチを行う。片側だけに荷物を持たないよう意識する。 |
| Level 3:受診前の準備 | 症状の経過を整理し、医師に伝えやすくしておく | 痛みが始まった時期、悪化してきたタイミング、夜間痛の有無、腫れやしこりの場所、体重変化、熱・寝汗の有無などをノートにまとめる。 |
| Level 4:医療機関での相談 | 整形外科やがん専門施設で検査・治療の選択肢を確認 | 「どのような病気の可能性があるのか」「骨腫瘍の専門施設を紹介してもらえるか」「検査や治療のスケジュールはどうなるか」などを質問する。 |
肩の痛みが骨のがんによるものであった場合、自己判断でストレッチやマッサージを続けると、かえって骨折のリスクが高まることもあります。「生活の工夫をしても痛みが続く」「骨がもろくなっていると言われたことがある」「以前から同じ場所を何度もけがしている」といった場合には、無理な運動は控え、早めに医療機関で相談してください。
第5部:専門家への相談 ― いつ・どこで・どのように?
「どのタイミングで受診すべきか」「何科にかかればよいのか」は、多くの方が悩むポイントです。ここでは、肩の骨のがんを念頭に置きながら、受診の目安と医療機関の選び方を整理します。
5.1. 受診を検討すべき危険なサイン
- 同じ場所の肩の痛みが数週間〜数か月続いている(特に、生活を見直しても良くならない場合)
- 夜間や安静時にも痛みが続き、眠れないほどつらい
- 肩周囲に腫れ・しこり・熱感がある、見た目が左右で明らかに違う
- 軽い転倒やぶつけただけで骨折と言われた/以前から同じ場所が痛かった
- 肩の痛みに加えて、原因不明の体重減少・強いだるさ・微熱・夜間の寝汗が続いている
- 痛みで腕がほとんど動かせない、しびれや筋力低下などの神経症状が急に出てきた
これらのサインがある場合、「年のせい」「肩こりだろう」と自己判断せず、できるだけ早く整形外科などを受診しましょう。転倒後に激しい痛みや変形がある場合、手がしびれて動かせない場合などは、救急外来や119番通報を検討する状況です。
5.2. 症状に応じた診療科の選び方
- まず相談しやすい窓口:かかりつけの内科や整形外科、地域の総合病院の整形外科外来など。
- 骨腫瘍が疑われた場合:大学病院やがんセンターなど、骨・軟部腫瘍の専門外来を持つ施設への紹介が検討されます。
- すでに他のがん治療中の方:主治医(腫瘍内科・外科・整形外科など)に肩の症状を詳しく伝え、必要に応じて画像検査や専門外来への紹介を相談します。
日本では、原発性悪性骨腫瘍を対象とした診療ガイドラインが整備されており、骨肉腫の診断・治療は骨腫瘍診療に習熟した専門医のもとで行うことが推奨されています。診療体制は地域によって異なるため、不安がある場合は、がん相談支援センターや自治体の相談窓口を利用するのも一つの方法です。
5.3. 診察時に持参すると役立つものと費用の目安
- 症状メモ・痛みの日記:いつから・どのような痛みが・どの程度続いているか、夜間痛や体重変化の有無などを、簡単でもよいのでメモにしておくと診察がスムーズになります。
- お薬手帳・これまでの検査結果:飲んでいる薬やサプリメント、過去のレントゲン・CT・MRIなどの結果があれば持参しましょう。
- 健康保険証・医療証:日本の公的医療保険に加入している場合、多くの検査・治療は保険適用となり、自己負担は通常3割(年齢や所得によって異なります)です。
骨肉腫の治療は手術や化学療法など長期におよぶことが多く、費用負担も小さくありません。ただし、高額療養費制度など、公的な支援制度が整えられています。治療方針が決まった段階で、医療ソーシャルワーカーや相談窓口に経済的な不安を早めに相談しておくと安心です。
よくある質問
Q1: 肩の痛みが続くと、すぐに骨肉腫などのがんを疑ったほうがよいのでしょうか?
A1: いいえ、肩の痛みの多くは筋肉や腱、関節の炎症など、いわゆる「肩こり」や「四十肩」「五十肩」などが原因です。骨肉腫などの骨のがんは非常にまれであり、多くの方にとっては優先的に疑う病気ではありません。
ただし、同じ場所の痛みが数週間〜数か月続く、夜間や安静時にもズキズキ痛む、肩周囲に腫れやしこりがある、軽いけがで骨折したなどの特徴がある場合は、早めに整形外科などで詳しく調べてもらうことが大切です。自己判断で「ただの肩こり」と決めつけず、必要な場合には専門家の目で確認してもらいましょう。
Q2: 肩こりと、骨のがんによる痛みはどのように違いますか?
A2: 一般的な肩こりでは、首から肩にかけて広い範囲が重く感じたり、こわばりを感じたりします。動かしたり、温めたり、ストレッチをしたりすると、ある程度楽になることが多いのが特徴です。
一方、骨のがんでは、骨の一部分に限局した痛みがあり、安静にしていても痛みが続く、夜になると痛みが強まるといった特徴がみられます。また、局所の腫れやしこり、皮膚の熱感がある場合もあります。これらの違いはあくまで目安であり、最終的な判断は画像検査や生検などを行ったうえで医師が行います。
Q3: 子どもや10代の肩の痛みで、特に注意したほうがよいポイントは?
A3: 成長期の子どもや10代では、スポーツや部活動によるけがや成長痛などで肩が痛くなることがよくあります。一方で、骨肉腫は10代に多いとされる病気でもあり、「運動のしすぎだろう」「そのうち治るだろう」と様子を見ているうちに進行してしまうケースも報告されています。
同じ場所の痛みが長期間続く、夜も痛みで眠れない、肩周囲に腫れやしこりがある、歩き方や姿勢が不自然になってきたなどの場合には、整形外科や小児科で早めに相談しましょう。学校生活や部活動を続けるうえでも、痛みの原因をはっきりさせておくことは大切です。
Q4: どのくらい痛みが続いたら、骨のがんを心配して受診すべきですか?
A4: 目安として、同じ場所の肩の痛みが2週間以上続き、次第に強くなっている場合や、夜間痛・安静時痛・腫れ・しこりがある場合には、一度医療機関で相談することをおすすめします。日常生活に支障をきたす強い痛みや、少しの負荷で骨折した場合などは、より早期の受診が必要です。
「いつ受診するか」を一人で悩み続けるよりも、「まず一度相談してみる」ことで、必要な検査や次のステップが見えてきます。不安な気持ち自体も、医師や看護師、相談員に共有してよいものです。
Q5: 骨肉腫と診断された場合、肩の骨は必ず切断(切断手術)になるのでしょうか?
A5: かつては骨肉腫の治療として、手足の切断が選択されることも多くありましたが、現在は診断・治療技術の進歩により、可能な限り手足や関節を残す「患肢温存手術」が行われることが増えています。腫瘍の場所や大きさ、周囲の神経や血管への広がり、全身の状態などにより、最適な手術方法は一人ひとり異なります。
治療計画を立てる際には、がん専門医・整形外科医・放射線科医・リハビリテーションスタッフなどがチームとなって、「がんをしっかり治すこと」と「機能や生活の質をできるだけ保つこと」のバランスを検討します。疑問や不安がある場合は、納得できるまで説明を受けたり、セカンドオピニオンを活用したりすることも重要です。
Q6: 骨肉腫は治る病気ですか? 5年生存率がどのくらいか気になります。
A6: 骨肉腫はかつて非常に予後の悪いがんとされていましたが、現在は手術と化学療法を組み合わせた集学的治療により、初診時に遠隔転移のない症例では5年生存率が7〜8割程度と報告されています。ただし、腫瘍の大きさや場所、転移の有無、治療への反応などによって予後は大きく変わります。
数字だけを見て不安になるのではなく、「自分のケースで考えられる選択肢は何か」「治療後の生活や仕事・学校への復帰をどう支えていくか」を、医療チームと一緒に考えていくことが大切です。
Q7: 肩の骨のがんが疑われたとき、どのような検査がどの順番で行われますか?
A7: 一般的には、まず問診と身体診察が行われ、その後、レントゲン撮影で骨の状態を確認します。レントゲンで骨腫瘍が疑われる場合には、より詳細に評価するためにCTやMRI、骨シンチグラフィー、PETなどの検査が追加されることがあります。
画像検査で骨肉腫などの悪性腫瘍が強く疑われる場合、確定診断のために生検(組織の一部を採取して顕微鏡で観察する検査)が行われます。生検は後の手術に影響するため、骨腫瘍診療に経験のある施設で実施されることが望ましいとされています。
Q8: 肩の痛みが不安ですが、受診するときにどのように症状を伝えればよいですか?
A8: 医師に相談するときは、次のようなポイントをメモにして持参すると役立ちます。
- いつから痛みがあるか(きっかけとなるけがや運動はあったか)
- どの場所が、どのように痛むか(ズキズキ、刺すような痛み、重だるさなど)
- 動かしたときと、じっとしているときの痛みの違い
- 夜間や朝方の痛みの有無、眠りへの影響
- 腫れやしこり、熱感、赤みの有無
- 最近の体重変化、だるさ、微熱や寝汗などの全身症状
「がんかもしれないと思って不安である」という気持ちも、遠慮せずそのまま伝えてかまいません。医師や医療スタッフは、不安を和らげながら必要な検査や対応を一緒に考えてくれる存在です。
結論:この記事から持ち帰ってほしいこと
肩の骨にできるがん(骨肉腫など)は、日本でも年間の患者数が限られた希少ながんです。多くの肩の痛みは、筋肉や腱、関節のトラブルによるものであり、生活習慣の見直しやリハビリで改善していきます。
それでも、同じ場所の痛みが長く続く・夜間や安静時にも痛い・腫れやしこりがある・軽いけがで骨折した・体重減少や強いだるさが続くといったサインがあるときには、骨のがんを含めた病気が隠れていないかを一度きちんと調べてもらうことが大切です。
骨肉腫などの骨腫瘍は、適切な時期に専門的な検査と治療を受けることで、以前よりも良好な予後が期待できるようになってきました。「自分だけがこんな痛みに悩んでいる」と抱え込まず、家族や友人、医療スタッフ、相談窓口などの力を借りながら、一歩ずつ情報を整理していきましょう。
この記事が、肩の痛みの背景にあるさまざまな可能性を知り、「いつ・どこで・誰に相談すべきか」を考えるきっかけになれば幸いです。
この記事の編集体制と情報の取り扱いについて
Japanese Health(JHO)は、信頼できる公的情報源と査読付き研究に基づいて、健康・医療・美容に関する情報をわかりやすくお届けすることを目指しています。本記事では、国立がん研究センター希少がんセンター・がん情報サービス、日本整形外科学会が作成した原発性悪性骨腫瘍診療ガイドライン、海外のがん専門機関による骨がんの解説などを参考に、肩の骨にできるがん(骨肉腫など)に関する情報を整理しました。
原稿の作成にあたっては、最新のAI技術を活用して文献の下調べや構成案の作成を行い、そのうえでJHO編集部が一次資料(ガイドライン・論文・公的サイトなど)と照合しながら、内容・表現・数値・URLの妥当性を人の目で一つひとつ確認しています。最終的な掲載判断および更新作業は、すべてJHO編集部が行っています。
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参考文献
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