「急に心臓のあたりがチクッと刺されたように痛んだ」「左胸がキューッと締めつけられて不安になった」という経験がある方は少なくありません。 とくに痛みが心臓の位置と重なると、「心筋梗塞では?」「放置したら突然倒れるのでは?」と強い不安を感じやすいものです。
一方で、数秒でおさまる軽い痛みの多くは、筋肉や肋骨まわり、ストレス・自律神経、胃食道など「心臓以外」が原因のこともあります。 それでも、中には命にかかわる病気のサインが紛れ込んでいることもあり、自己判断だけで「様子を見る」ことは危険です。
この記事では、Japanese Health(JHO)編集部が、公的機関や日本の循環器関連ガイドライン、査読付き論文などの信頼できる情報をもとに、 「胸がチクッと痛い」「心臓がズキッとする」症状について、考えられる原因と受診の目安、日常生活で気をつけたいポイントをわかりやすく解説します。
「自分の痛みは様子を見てもよいのか」「今すぐ119番すべき状態なのか」を見きわめるヒントや、受診の際に役立つ準備方法もまとめていますので、 一人で抱え込まずに、ご自身やご家族の状態を整理するつもりで読み進めてみてください。
Japanese Health(JHO)編集部とこの記事の根拠について
Japanese Health(JHO)は、健康と美容に関する情報を提供するオンラインプラットフォームです。 日本で生活する方々が、信頼できる公的情報や医学文献をもとに、自分や家族の健康について主体的に考えられるよう支援することを目指しています。
本記事は、 JHO(JapaneseHealth.org)編集委員会 が、厚生労働省、日本循環器学会などの国内ガイドライン、世界保健機関(WHO)、海外の査読付き論文などの一次情報源をもとに作成しました。 最新のAIツールは文献整理や構成案作成のアシスタントとして活用していますが、公開前には必ず編集部が原著資料を確認し、 重要な記述や数値、URL を一つひとつ目視でチェックしています。
- 厚生労働省・自治体・公的研究機関:救急受診の目安やトリアージに関する資料、心疾患に関する情報など、日本人向けの正式な情報を優先して参照しています。
- 日本循環器学会などの医学会ガイドライン:急性冠症候群(心筋梗塞・不安定狭心症)に対する診断・治療の指針や、「119番通報」のタイミングなどを示すガイドラインを参考にしています。
- 国内外の査読付き論文・総説:胸痛のうち心臓以外が原因となるケース(非心臓性胸痛)や、肋骨周囲の炎症(肋軟骨炎)などに関する研究データを参考に、一般の方向けに情報を整理しています。
なお、本記事の情報はあくまで一般的な情報提供を目的としたものであり、個々の症状に対する診断や治療方針の決定を行うものではありません。 気になる症状がある場合や、痛みが強い・長く続くなどの不安がある場合は、自己判断で放置せず、必ず医療機関に相談してください。
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要点まとめ
- 胸が「チクッ」「ズキッ」と一瞬痛む場合、多くは筋肉・肋骨まわり・ストレス・胃食道など心臓以外の原因によることが少なくありません。
- 一方で、胸の中央〜左側の強い圧迫感や締め付け感が数分以上続く、冷や汗・息苦しさ・吐き気などを伴う場合は、心筋梗塞など命にかかわる病気の可能性があり、すぐに119番通報を検討すべきサインです。
- 痛みが「動いたときだけ」「押さえると強くなる」などの場合は、肋骨や筋肉、肋軟骨炎などの可能性が高く、整形外科や内科での相談が役立ちます。
- 逆流性食道炎や胃の不調、パニック発作・不安障害、自律神経の乱れなどでも胸痛が起こることがあり、心臓の検査で異常がなくても「気のせい」と決めつけず、原因に応じた対処が必要です。
- 高血圧・糖尿病・喫煙・高コレステロール・家族に心疾患が多い方は、胸の違和感を軽く考えず、かかりつけ医や循環器内科で早めに相談することが、重い発作を防ぐうえで重要です。
- 「様子を見てよい胸痛」と「すぐ受診・救急要請が必要な胸痛」の違いを知っておくことで、いざというときに慌てず適切な行動を選びやすくなります。
「一瞬だから大丈夫だろう」と思いつつも、心臓のあたりが痛むと不安になります。 まずは、日常生活や姿勢、ストレスなど身近な要因から丁寧にふり返り、それでも説明できない強い痛みや、危険なサインがないかを順番に確認していくことが大切です。
この記事では、「生活習慣・姿勢などの要因」「身体の内部(心臓・血管・ホルモン・胃食道など)の要因」「すぐ専門的な診断が必要な病気」という3つの層に分けて、 胸痛の原因と対策を整理しています。
必要に応じて、 関連する総合ガイド や、 詳細解説記事 に橋渡ししながら、「自分の胸痛はどのタイプに近いのか」「今後どのように対処すればよいのか」をイメージしやすいように構成しています。
読み進めることで、「このまま様子を見てよいケース」と「すぐ119番や救急外来の受診を検討すべきケース」のイメージがクリアになり、 医療機関に相談するときにどんな情報を伝えればよいかも具体的にわかるようになるはずです。
第1部:胸がチクッと痛むときにまず見直したい日常生活と仕組みの基礎
「心臓が痛い」と感じても、実際には胸の骨(胸骨)や肋骨の関節、胸の筋肉、神経、胃や食道など、さまざまな場所からの痛みが「胸」に集約されて感じられます。 まずは、胸の構造と痛みの出かたの違いをイメージし、日常生活の中で悪化させている可能性がないか確認してみましょう。
1.1. 胸の痛みが起こる「そもそもの仕組み」
胸の中央には、ハート型のイメージよりやや左寄りに心臓があり、その前後を胸骨や肋骨、肺、筋肉、神経、血管などが取り囲んでいます。 どの部分に炎症や負担がかかっても、「胸が痛い」という共通の感覚として脳に伝わるため、体感だけで「心臓かどうか」を正確に区別することは困難です。
心臓由来の痛みは、締め付けられるような圧迫感や重苦しさとして感じられることが多く、数分以上続いたり、腕・背中・あご・首などに広がることがあります。 一方、肋骨や筋肉、肋軟骨(肋骨と胸骨をつなぐ軟骨)の炎症などの場合は、体をひねる・腕を大きく動かす・押さえると痛みが増すなど、動きに連動する特徴がみられます。
1.2. 悪化させてしまうNG習慣と身近な原因
一瞬チクッとする胸痛の中には、日常のちょっとした癖や生活習慣が背景にあるケースも少なくありません。 代表的な「NG習慣」と、その理由を具体的な場面とともに見ていきます。
- 長時間の同じ姿勢(デスクワーク・スマホ操作・ゲームなど)
肩や胸の筋肉がこわばり、肋骨まわりの筋肉・関節に負担がかかると、深呼吸や体のねじりでチクッとした痛みが走ることがあります。 特に、猫背や前かがみが続くと胸郭(胸のカゴ状の骨格)が狭まり、胸の前面に負担が集中します。 - 急な運動・重い荷物を持ち上げる動作
普段あまり使わない胸筋や肋間筋(肋骨の間の筋肉)を急に使うと、筋肉痛や軽い筋断裂が起こり、数日〜1週間ほど、特定の動きでチクリと痛むことがあります。 スポーツや引っ越し作業、子どもを抱きかかえる動作などがきっかけになることもあります。 - 過度なストレス・緊張
精神的なストレスが続くと、自律神経のバランスが乱れ、心拍数や血圧の変動、筋肉の緊張などを通じて胸の違和感や痛みを感じることがあります。 「ドキドキする」「息苦しい」「胸がぎゅっとする」といった感覚と組み合わさることも多く、不安がさらに痛みを増幅させてしまう悪循環に陥ることがあります。 - 食べすぎ・早食い・就寝前の飲食
胃や食道に負担がかかると、みぞおちから胸の中央にかけて焼けるような痛みや、重苦しさが出ることがあります。 特に脂っこい食事やアルコール、夜遅い時間の食事は逆流性食道炎を悪化させ、胸痛の原因になることがあります。 - 喫煙・大量飲酒
喫煙は冠動脈(心臓を栄養する血管)を狭めたり、動脈硬化を進める大きなリスク要因です。 大量のアルコールは不整脈や心筋への負担につながることもあり、「一瞬の痛み」しか出ていない段階でも、長期的には心疾患のリスクを高める可能性があります。
| こんな症状・状況はありませんか? | 考えられる主な背景・原因カテゴリ |
|---|---|
| 深呼吸したり体をひねったときだけ胸がチクッと痛む/押さえると痛みが強くなる | 肋骨・肋軟骨・筋肉などの胸壁由来の痛み(肋軟骨炎など) |
| 食後や横になるときに胸の中央〜みぞおちが焼けるように痛い・ムカムカする | 胃食道逆流症や胃炎など消化器系のトラブル |
| ストレスが強いときや人前で緊張したときに、ドキドキと胸の痛み・圧迫感・息苦しさが出る | 自律神経の乱れ、パニック発作・不安障害など心身のストレス反応 |
| 階段や坂道を上ると胸が締めつけられるように痛み、休むとおさまる | 狭心症など心臓由来の痛みの可能性(循環器内科の早めの受診が望ましい) |
| 突然、今までにない強い胸痛が出て、冷や汗・吐き気・強い息苦しさを伴う | 心筋梗塞や大動脈解離、肺塞栓症など命にかかわる病気の可能性(すぐに119番通報) |
第2部:身体の内部要因 — 心臓・血管・ホルモン・消化器の関わり
生活習慣を見直しても胸痛が続く場合や、負荷をかけると痛む・息切れを伴うといった場合は、心臓や血管、ホルモン、血液、消化器など「身体の内側」の問題が隠れている可能性があります。 ここでは、特に注意したい内部要因を整理します。
2.1. 心臓・血管に関連する原因
心臓やその周囲の病気が胸痛の原因となる場合は、放置すると重い後遺症や命にかかわる可能性があります。 以下のような代表的な疾患が知られています。
- 狭心症・急性冠症候群(心筋梗塞・不安定狭心症)
心臓を栄養する冠動脈が動脈硬化などで狭くなったり、血栓で詰まったりすることで、心筋に十分な血液が届かなくなり、胸の圧迫感や重苦しさ、締めつけ感が出ます。 急性心筋梗塞では、痛みが10分以上続くことが多く、冷や汗・吐き気・息苦しさ・意識が遠のくなどの症状を伴うことがあります。 - 心膜炎・心筋炎
心臓を包む膜(心膜)や心筋そのものに炎症が起こると、急な胸痛や発熱、動悸、息切れなどが出ることがあります。 ウイルス感染後や自己免疫疾患などが原因となることもあり、若い世代でも起こりえます。 - 心不全や重い不整脈
心臓のポンプ機能が低下したり、脈が極端に速く・遅くなると、胸の圧迫感や息切れ、むくみ、疲れやすさなどが徐々に現れることがあります。 胸痛そのものは目立たなくても、「息苦しくて横になれない」「少し動くだけで息が上がる」などの症状は要注意です。 - 大動脈解離
心臓から全身へ血液を送る太い血管(大動脈)の壁が裂ける病気で、突然の激しい胸背部の痛み(裂けるような痛み)を起こします。 すぐに命に関わる緊急疾患であり、疑われる場合はただちに救急要請が必要です。
2.2. 消化器・呼吸器・筋骨格など心臓以外の内部要因
胸に近い臓器は心臓だけではありません。食道・胃・肺・胸膜などの不調も胸痛として現れます。 心臓の検査で異常が見つからなかった場合でも、こうした臓器の状態を確認することで原因に近づけることがあります。
- 逆流性食道炎・食道けいれんなどの食道疾患
胃酸が食道に逆流すると、胸の中央が焼けるように痛んだり、飲み込みにくさや喉の違和感を伴うことがあります。 食後・就寝前・前かがみの姿勢で悪化し、制酸剤で軽くなる場合は、消化器内科での相談が役立ちます。 - 肺炎・気胸・肺血栓塞栓症などの呼吸器疾患
深呼吸や咳で悪化する片側の胸痛、発熱、息切れ、血痰などがある場合は、肺や胸膜の病気を考える必要があります。 特に、突然の息苦しさや、片脚のむくみ・痛みを伴う場合には肺血栓塞栓症など重い病気のサインの可能性があります。 - 肋軟骨炎・肋間神経痛などの筋骨格・神経のトラブル
肋骨と胸骨をつなぐ軟骨や周囲の関節、肋間神経が炎症を起こすと、体の動きや押さえたときに局所的な痛みが再現されます。 痛みは鋭くチクチクすることもありますが、心臓そのものが原因ではなく、多くは時間とともに軽快していきます。
2.3. ストレス・ホルモン・血液の状態
心臓や消化器などの明らかな異常が見つからない場合でも、ストレスやホルモン、血液の状態が胸痛に関わっていることがあります。
- パニック発作・不安障害・自律神経の乱れ
強い不安やプレッシャーの場面で、急に胸が苦しくなり、「死んでしまうのでは」と感じるほどの恐怖に襲われることがあります。 検査で心臓に異常が見つからない場合でも、「気のせい」と片づけず、心療内科や精神科での相談が症状改善につながることがあります。 - 貧血・甲状腺の病気など
血液の中のヘモグロビンが少なかったり、甲状腺ホルモンが多すぎる・少なすぎる状態では、動悸や息切れ、胸の違和感が起こりやすくなります。 健康診断の結果や、最近の体重変化・疲れやすさなどもあわせて確認することが大切です。 - ホルモンバランスの変化(特に女性)
月経前や更年期の時期には、自律神経やホルモンバランスの変動により、動悸や胸の違和感、不安感が強く出ることがあります。 婦人科や心療内科と連携しながら、ライフステージに合わせたケアを検討することが有効です。
第3部:すぐ専門的な診断が必要な胸痛 — 見逃してはいけないサイン
胸痛の中には、「時間を置いて様子を見る」ことが許されない、緊急性の高いものが含まれています。 ここでは、とくに注意したい代表的な病気と、受診の目安を整理します。
3.1. 心筋梗塞・不安定狭心症(急性冠症候群)
心筋梗塞や不安定狭心症は、冠動脈が血栓で急に詰まる・高度に狭くなることで、心筋の一部が壊死してしまう病気です。 典型的には、以下のような症状が見られます。
- 胸の中央〜左側の強い圧迫感・締めつけ感・重苦しさが数分以上続く
- 痛みが左腕・肩・背中・あご・歯・首などに広がる(放散痛)
- 冷や汗、吐き気、顔面蒼白、強い息苦しさ、動悸、めまい・意識が遠のく感じがある
- 安静にしても痛みがおさまらない、または良くなっては悪化する状態を繰り返す
こうした症状が出た場合、日本循環器学会の急性冠症候群ガイドラインでは、「自分で病院に向かうのではなく、ただちに119番通報して救急車を要請する」ことが推奨されています。
3.2. 大動脈解離・肺塞栓症・緊張性気胸など
心筋梗塞以外にも、次のような病気は突然の胸痛とともに命にかかわる状態を引き起こすことがあります。
- 大動脈解離
「今まで経験したことのない激しい痛み」「背中まで裂けるような痛み」と表現されることが多く、血圧の左右差や意識障害を伴うこともあります。 - 肺血栓塞栓症(エコノミークラス症候群など)
長時間の座位・術後・出産後などに、脚の静脈でできた血栓が肺の血管に詰まる病気です。 突然の息苦しさ、胸痛、動悸、血痰、片脚のむくみや痛みなどがサインとなります。 - 気胸(肺に穴があく病気)
若い痩せ型男性に多いと言われますが、誰にでも起こりえます。 片側の胸が急に痛くなり、息を吸うと強く痛み、息切れを伴うことがあります。
3.3. JTAS(日本版トリアージ)から見た「緊急度の高い胸痛」
日本の救急現場では、Japan Triage and Acuity Scale(JTAS)という緊急度判定システムが用いられています。 この中では、心臓が原因と疑われる胸痛は、10分以内に診察が必要な「緊急」に分類されており、自己判断での様子見は推奨されていません。
「いつもと違う」「これまでに経験したことがない」強い胸痛や、前述の冷や汗・息切れ・意識障害などを伴う場合は、 ためらわずに119番に電話し、オペレーターの指示に従うことが大切です。
第4部:今日から始める胸痛ケア — 軽症時のセルフケアと長期的な予防
危険なサインがなく、医師からも「命にかかわる病気は否定的」と説明された胸痛であっても、「痛い」「不安」という事実そのものは生活の質を下げてしまいます。 ここでは、比較的軽い症状のときに役立つセルフケアと、心臓病のリスクを減らすための長期的なアクションプランを整理します。
| ステップ | アクション | 具体例 |
|---|---|---|
| Level 1:今すぐできること(軽い痛み・一瞬の痛みの場合) | 姿勢と呼吸を整える・動きを一旦止めて様子を見る | 背もたれに深く座り直して肩の力を抜く/ゆっくり鼻から吸って口から吐く呼吸を数分続ける/ 体を大きくねじった姿勢を避け、痛みが変化するか確認する |
| Level 2:今週から始めたい生活習慣の見直し | 長時間同じ姿勢を避ける・軽い運動・睡眠リズムの調整 | 1時間に1回は立ち上がって肩回しやストレッチをする/息切れしない程度のウォーキングを週数回行う/ 平日と休日の起床時間の差を2時間以内におさえる |
| Level 3:数週間〜数カ月かけて取り組みたい心血管リスクの管理 | 禁煙・減塩・体重管理・定期的な健康診断の活用 | 禁煙外来やニコチンパッチの利用を検討する/加工食品や外食の塩分を意識する/ 健康診断の結果(血圧・コレステロール・血糖値など)をかかりつけ医と一緒に確認し、必要に応じて治療を受ける |
| Level 4:医師と一緒に考えるべき長期プラン | 基礎疾患(高血圧・糖尿病・脂質異常症など)の管理・薬物治療の継続 | 処方された薬は自己判断で中止せず、疑問があれば必ず医師・薬剤師に相談する/ 症状の変化や副作用をメモして診察時に共有する |
第5部:医療機関への相談 — いつ・どこで・どのように?
胸痛があるとき、「どのタイミングで」「どの診療科に」「何を準備して」受診すればよいか迷ってしまう方も多いでしょう。 ここでは、危険なサイン、診療科の選び方、受診時に役立つ情報整理のポイントをまとめます。
5.1. すぐに受診・救急要請を検討すべき危険なサイン
- 胸の中央〜左側を中心に、強い圧迫感・締めつけ感・焼けるような痛みが数分以上続く、または良くなったり悪くなったりを繰り返す
- 痛みが左腕・肩・背中・あご・歯・首に広がる
- 冷や汗、吐き気、めまい、意識が遠のく感じ、強い息苦しさを伴う
- 突然の息切れ・呼吸困難、片脚のむくみや痛み、血の混じった痰(血痰)などを伴う
- 今まで経験したことのない激しい胸背部の痛みが急に出た
- 新型コロナウイルス感染症の療養中・直後に、強い胸痛や息苦しさが出現した
これらのサインがある場合は、「様子を見る」よりも「すぐに医療機関へ相談する」ことが大切です。 自分で運転して病院に向かうのではなく、ためらわずに119番通報を検討してください。
5.2. 症状に応じた診療科の選び方
- 緊急性が高い・心臓の病気が強く疑われる場合
→ 迷わず救急車(119番)で救急外来へ。到着後は、救急科や循環器内科が中心となって診断・治療が行われます。 - 運動時の胸の圧迫感・息切れ・動悸が気になる場合
→ かかりつけの内科や循環器内科を受診し、心電図・心エコー・血液検査などを相談します。 - 押さえると痛い・体を動かすときだけチクッとする痛みが中心の場合
→ 整形外科や内科で、肋間筋・肋軟骨など胸壁由来の痛みかどうかの評価を受けることができます。 - 食後や横になるときの胸やけ・ムカムカ・みぞおちの痛みが強い場合
→ 消化器内科で、胃カメラや胃薬の調整などを相談します。 - 強い不安やパニックとともに胸の痛み・息苦しさが出る場合
→ まず内科で身体疾患がないかを確認し、そのうえで必要に応じて心療内科・精神科への紹介を受ける流れが一般的です。
5.3. 診察時に持参すると役立つものと費用の目安
- 健康保険証やマイナ保険証、お薬手帳
- 症状が出た日時・状況(何をしていたか、どれくらい続いたか、どこにどう痛んだか)を書いたメモ
- 最近の健康診断結果(血圧・コレステロール・血糖値・心電図など)
- これまでに診断された持病や、心臓・血管の病気の家族歴(家族が若くして心筋梗塞・脳卒中になったなど)
日本の公的医療保険に加入している場合、外来受診は原則として3割負担です。 心電図や採血、レントゲン、心エコーなどを組み合わせると数千円〜1万円前後になることもありますが、 症状や検査内容によって大きく異なるため、具体的な費用は受診先の医療機関に確認してください。
よくある質問
Q1: 一瞬だけチクッと胸が痛む程度なら、心筋梗塞ではありませんか?
心筋梗塞では、強い圧迫感や締めつけ感が数分以上続くことが多く、一瞬だけのチクッとした痛みだけというケースは一般的ではありません。 ただし、「痛みが短い=100%安全」とは言いきれないため、頻度が増える・息苦しさや冷や汗を伴う・運動時に再現されるなどの変化があれば、早めに内科や循環器内科で相談しましょう。
Q2: 若い人でも心臓の病気で胸が痛くなることはありますか?
はい、年齢が若くても心筋炎や先天性の心疾患、不整脈などが原因で胸痛が起こることがあります。 特に、運動中や直後の胸痛・息切れ・失神、風邪や感染症のあとに続く胸痛や動悸などは、年齢にかかわらず一度は医療機関で評価を受けることが大切です。
Q3: ストレスや不安だけで、本当に胸が痛くなるのでしょうか?
強い不安やストレスによって自律神経が乱れると、心拍数や血圧の変動、筋肉の緊張などが起こり、それが胸の痛みや圧迫感として感じられることがあります。 パニック発作では、「死んでしまうのでは」と感じるほどの胸痛や息苦しさが出ることもありますが、心臓の病気と見分けるためには、まず内科や循環器内科で身体のチェックを受けることが推奨されます。
身体疾患が否定的と判断されたうえで、症状が続く場合には、心療内科や精神科に相談することで、ストレスや不安への対処法が広がることがあります。
Q4: 検査で「異常なし」と言われたのに胸が痛みます。どうしたらよいですか?
心電図や血液検査、画像検査で重大な病気が否定された場合でも、肋骨・筋肉・肋軟骨・神経・食道などが原因となる胸痛は残ることがあります。 痛みの部位を押さえると再現されるか、体勢や呼吸で変化するか、食事との関係はどうかといった点をメモし、再度主治医と共有すると、追加の検査や治療方針の見直しにつながることがあります。
「気のせい」と決めつけず、痛みが生活に支障をきたしていることや不安の強さも含めて相談してみてください。
Q5: 新型コロナやワクチン接種のあとに胸が痛くなりました。受診したほうがよいですか?
新型コロナウイルス感染症の療養中・回復期や、一部のワクチン接種後に、胸痛や息切れがみられることがあり、心筋炎・心膜炎などとの関係が検討されているケースもあります。 強い胸痛や息苦しさ、動悸、発熱が続く場合は、自己判断で様子を見続けず、早めに医療機関に相談してください。
受診の際は、「いつ接種したか」「いつ頃からどのような胸痛があるか」「発熱や息切れ、動悸など他の症状」の有無を具体的に伝えることが大切です。
Q6: どのくらいの期間胸痛が続いたら、必ず受診すべきですか?
危険なサイン(強い圧迫感・息切れ・冷や汗など)がある場合は、「期間」に関係なくすぐに受診・救急要請を検討する必要があります。 一方、軽いチクチクした痛みが続く場合でも、数日〜1週間以上改善しない、頻度が増えている、日常生活に支障が出ているなどのときは、一度内科や循環器内科で相談することをおすすめします。
Q7: 市販薬で様子を見てもよい胸痛と、自己判断で薬を飲むべきでない胸痛は?
筋肉痛に近い軽い痛みで、動かしたときだけチクッとする程度であれば、市販の湿布や鎮痛薬で一時的に様子を見ることも考えられます。 しかし、胸の中央〜左側の締めつけ感や圧迫感、息苦しさ、冷や汗、めまいなどを伴う場合は、市販薬でごまかさずにすぐ医療機関を受診することが大切です。
心臓の血流に関わる病気では、時間との勝負になることが多いため、「薬を飲んで寝ていれば治るかも」と考えてしまう前に、危険なサインがないか確認しましょう。
結論:この記事から持ち帰ってほしいこと
胸がチクッと痛むと、「自分の心臓に何か問題があるのでは」と不安になるのは自然なことです。 実際には、筋肉や肋骨、胃食道、ストレスなど心臓以外の原因で起こる胸痛も多くありますが、その中に命にかかわるサインが紛れている可能性もゼロではありません。
本記事で紹介したように、「動きや押さえ方で変化する痛み」「食事や体勢と関係する痛み」「ストレスと結びつきやすい痛み」などは、比較的緊急度が低いことも多い一方で、 「強い圧迫感・締めつけ感が数分以上続く」「息苦しさ・冷や汗・吐き気・めまいを伴う」「今までにない激しい胸背部痛」などは、すぐに医療機関や119番へ相談すべきサインです。
「大したことないかもしれない」と我慢しすぎることも、「何かあるに違いない」とネット検索だけで不安を膨らませることも、どちらもご自身の負担になってしまいます。 気になる症状があるときは、この記事を参考にしつつ、かかりつけ医や専門医と一緒に原因と対策を整理していきましょう。
あなたの胸の痛みには、必ず何らかの理由があります。 一人で抱え込まず、信頼できる情報と医療者の力を借りながら、少しずつ不安を減らしていけることを願っています。
この記事の編集体制と情報の取り扱いについて
Japanese Health(JHO)は、信頼できる公的情報源と査読付き研究に基づいて、健康・医療・美容に関する情報をわかりやすくお届けすることを目指しています。 本記事では、胸痛や心疾患に関する日本のガイドラインや公的資料、国際的な総説論文などをもとに、胸がチクッと痛む症状について整理しました。
原稿の作成にあたっては、最新のAI技術を活用して下調べと構成案を作成したうえで、 JHO編集委員会 が一次資料(ガイドライン・論文・公的サイトなど)と照合しながら、内容・表現・数値・URLの妥当性を人の目で一つひとつ確認しています。 最終的な掲載判断はすべてJHO編集部が行っています。
ただし、本サイトの情報はあくまで一般的な情報提供を目的としており、個々の症状に対する診断や治療の決定を直接行うものではありません。 症状が急に悪化した場合や、記事の内容からご自身の状態について強い不安を感じる場合は、自己判断で治療を中断・変更せず、必ず医師などの医療専門家にご相談ください。
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