【脇の黒ずみ】レーザーで改善できる?原因・効果・リスクと安全な選び方
皮膚科疾患

【脇の黒ずみ】レーザーで改善できる?原因・効果・リスクと安全な選び方

脇の黒ずみ(腋窩の色素沈着)は、摩擦や自己処理(剃毛・毛抜き)などの刺激をきっかけに起こる「炎症後色素沈着」が関与することが多く、原因を見極めたうえで対策を選ぶのが安全です(NCBI Bookshelf/StatPearlsの解説)6

レーザーや光治療は、メラニンにアプローチして改善を狙う選択肢の一つですが、研究数はまだ多くなく、肌質や照射条件によっては「逆に濃くなる(色素沈着)」などのリスクもあります(Vahabiらの系統的レビュー、日本皮膚科学会の診療指針)14

また、厚生労働省は美容医療について、効果だけでなくリスクや副作用、使用する医薬品・医療機器が薬機法で承認されていない場合がある点などを、施術前に確認するよう注意喚起しています(厚生労働省「その美容医療、ちょっと待って!」)2

この記事では、脇の黒ずみの主な原因をセルフチェックし、レーザー治療の「期待できること・期待しすぎないほうがよいこと」、安全性、受診の目安までを、Japanese Health(JHO)編集部が公的情報と査読付き文献に基づいて整理します。

Japanese Health(JHO)編集部とこの記事の根拠について

Japanese Health(JHO)は、健康と美容に関する情報を提供するオンラインプラットフォームです。医療機関の代わりに診断や治療を行うものではありませんが、読者が「正しい判断材料」を持てるよう、一次情報源をもとに要点を整理します。

本記事は、厚生労働省の注意喚起ページ、日本皮膚科学会の診療指針、査読付き論文(系統的レビュー等)に基づいて、JHO編集部がAIツールの補助を活用しつつ、最終的には人の目で原典と照合して作成しました124

  • 厚生労働省:美容医療のリスクやチェック項目、無資格施術の違法性などを参照します23
  • 日本皮膚科学会:美容医療におけるレーザー等の注意点(色素沈着など)を参照します4
  • 査読付き文献:脇の色素沈着治療に関する系統的レビュー、炎症後色素沈着やアカントーシス・ニグリカンスの医学的解説を参照します169

運営ポリシーと編集体制の詳細は、JHO(JapaneseHealth.org)編集委員会をご覧ください。

要点まとめ

  • 脇の黒ずみは「摩擦・自己処理・かぶれ」などによる炎症後色素沈着が関与しやすく、まず原因を減らすことが基本です(NCBI Bookshelf/StatPearls)6
  • レーザー(QスイッチNd:YAGなど)やIPLは改善が報告されていますが、研究数は少なく、効果は個人差が大きいです(Vahabiらの系統的レビュー)1
  • Vahabiらのレビューでは、1064nm QスイッチNd:YAGの小規模研究で「優れた改善」33.3%、「有意な改善」55.5%と報告されています(n=9)1
  • 肌質や照射条件によっては、炎症後色素沈着などの副作用が起こり得ます(日本皮膚科学会の診療指針、NCBI Bookshelf/StatPearls)46
  • 脇の黒ずみが「急に濃くなった」「ベルベット状に厚くなった」「首や鼠径部にも広がる」場合は、アカントーシス・ニグリカンスなど全身状態の確認が重要です(NCBI Bookshelf/StatPearls)9
  • 厚生労働省は、美容医療の施術前にリスク説明、使用機器・薬剤の承認状況、代替手段の有無などを確認するよう呼びかけています2

第1部:脇の黒ずみの基本と日常生活の見直し

脇は「汗・摩擦・剃毛刺激」が重なりやすい場所です。そのため、黒ずみが気になる場合は、最初に生活習慣とスキンケアの“刺激”を減らすことが基本になります(NCBI Bookshelf/StatPearls)6

1.1. 基本的なメカニズム・体の仕組み

黒ずみの多くは、皮膚に炎症や刺激が加わった後にメラニンが増え、色が残る「炎症後色素沈着」によって説明できます。NCBI Bookshelf/StatPearlsは、炎症性サイトカインなどがメラノサイトを刺激し、表皮や真皮にメラニンが沈着して色が残る仕組みを解説しています6

ここで大切なのは、黒ずみが「汚れ」ではなく、皮膚が刺激から身を守ろうとした結果であることです。こすり洗いや強いピーリングを重ねると、かえって炎症が増え、色素沈着が長引くことがあります(NCBI Bookshelf/StatPearls)6

また、脇の黒ずみは「単一の原因」ではなく、摩擦・自己処理・接触皮膚炎・体質(インスリン抵抗性など)が重なっていることもあります(Vahabiらの系統的レビュー、アカントーシス・ニグリカンスの解説)19

1.2. 悪化させてしまうNG習慣

炎症後色素沈着は「炎症を繰り返すほど」起こりやすいとされます(NCBI Bookshelf/StatPearls)6。脇で炎症を繰り返しやすいNG習慣を、具体的な場面とセットで整理します。

  • 強くこする・スクラブで磨く:入浴時に「落としたい」気持ちでこすると微細な炎症が続きやすく、色が残る要因になります(NCBI Bookshelf/StatPearls)6
  • 切れ味の落ちたカミソリでの剃毛:皮膚表面を削りやすく、赤み・ヒリつき→色素沈着の流れになりやすいです(炎症後色素沈着の一般的機序としてStatPearlsが解説)6
  • 毛抜き・ワックスでの反復刺激:毛包周囲の炎症を起こしやすく、毛穴の点状の黒ずみが残ることがあります(炎症後色素沈着の誘因として「外傷・処置」が挙げられています)6
  • 合わない制汗剤・香料でのかぶれ:接触皮膚炎は炎症後色素沈着の原因になり得ます(StatPearlsは接触皮膚炎をPIHの原因として列挙)6
  • きつい衣類での慢性的摩擦:摩擦そのものが色素沈着の背景になり得ることは、古い報告ですが摩擦による色素沈着(摩擦黒皮症)としてJ-STAGEの皮膚科領域文献にも記載があります10

代わりに、まずは「刺激を減らす」方向に寄せます。具体的には、摩擦が少ない素材・サイズの衣類、低刺激の洗浄、剃毛頻度の見直し、制汗剤のパッチテストなどです(炎症後色素沈着の予防として“刺激回避”が重要である点はStatPearlsの患者教育に沿います)6

表1:セルフチェックリスト(脇の黒ずみの背景を推測する目安)
こんな症状・状況はありませんか? 考えられる主な背景・原因カテゴリ
剃った翌日に赤みやヒリつきが出て、その後に色が残る 自己処理刺激→炎症後色素沈着(NCBI Bookshelf/StatPearls)6
制汗剤を変えた時期から、かゆみ・赤み→黒ずみが増えた 接触皮膚炎→炎症後色素沈着(NCBI Bookshelf/StatPearls)6
ベルベット状に厚く、首・鼠径部にも似た黒ずみがある アカントーシス・ニグリカンス(インスリン抵抗性など)(NCBI Bookshelf/StatPearls)9
締め付ける下着・運動で擦れると濃くなる 慢性摩擦による色素沈着(摩擦黒皮症など)(J-STAGE)10
短期間で急に濃くなった/しこり・出血・潰瘍がある 皮膚科受診を優先(鑑別が必要。判断に迷う場合は受診)

第2部:身体の内部要因 — ホルモン・体質・隠れた不調

生活習慣の見直しをしても改善しにくい場合、体質や内科的背景が関与していることがあります。特に「皮膚のしわの部分がベルベット状に厚く黒ずむ」場合は、アカントーシス・ニグリカンスの可能性も考えます(NCBI Bookshelf/StatPearls)9

2.1. 【特に女性】ライフステージとホルモンバランス

女性は月経周期・妊娠・産後などで皮膚の反応が変わり、刺激に敏感になったり、摩擦やかぶれが起きやすくなることがあります。その結果、炎症後色素沈着が長引くこともあり得ます(炎症後色素沈着が“炎症の程度”に左右される点はNCBI Bookshelf/StatPearlsの説明に沿います)6

ただし、妊娠中・授乳中に美容医療を受けるべきかは個別判断です。緊急性が低い施術は、まず産婦人科または施術医と相談し、リスクと代替策を確認してください(厚生労働省は美容医療でリスク説明と選択肢比較を求めています)2

2.2. 体質・代謝(インスリン抵抗性など)と脇の黒ずみ

NCBI Bookshelf/StatPearlsは、アカントーシス・ニグリカンスが首・腋窩・鼠径部などの皮膚のしわに、境界が不明瞭なベルベット状の色素沈着として現れ、糖尿病やインスリン抵抗性と関連しやすいと説明しています9

このタイプの黒ずみは、レーザーだけで「見た目」だけを追うより、体重・生活習慣・血糖関連指標の確認など、背景因子に目を向けるほうが合理的な場合があります。まずは皮膚科で鑑別し、必要に応じて内科で検査を相談するのが現実的です(NCBI Bookshelf/StatPearlsは“基礎疾患の評価”の重要性を前提にしています)9

第3部:専門的な診断が必要な疾患

脇の黒ずみは多くが良性で、生活習慣とスキンケアで改善することもあります。ただし、背景に疾患が隠れている場合や、誤ったセルフケアで悪化する場合もあるため、受診が必要なパターンを知っておくことが重要です(NCBI Bookshelf/StatPearls、厚生労働省の注意喚起)26

3.1. アカントーシス・ニグリカンス(代謝・内分泌のサイン)

脇が「黒い」だけでなく「厚い」「触るとベルベットのよう」「皮膚のしわ全体が広がって濃い」と感じる場合、アカントーシス・ニグリカンスを疑います。NCBI Bookshelf/StatPearlsは、最も一般的に糖尿病・インスリン抵抗性と関連し、まれに悪性腫瘍に関連することがあると説明しています9

この場合は、皮膚科での診断(見た目の評価、必要に応じて検査)と、内科的評価(血糖や体重関連など)を組み合わせて考えるのが安全です(NCBI Bookshelf/StatPearls)9

3.2. かぶれ・湿疹・感染症など(炎症→色素沈着の流れ)

NCBI Bookshelf/StatPearlsは、炎症後色素沈着の原因として接触皮膚炎や感染症、皮膚処置(レーザー・ピーリング等)などを列挙しています6。脇は汗や摩擦で皮膚炎が起こりやすく、赤み・かゆみ・ジュクジュクが治まった後に色だけが残ることがあります。

このパターンでは、「黒ずみを消す」より先に「炎症の原因を止める」ことが最優先です。原因(制汗剤・衣類・自己処理・真菌など)が残る状態でレーザーを行うと、刺激が増えて逆に色素沈着が長引く可能性があるため、まず皮膚科での診断を推奨します(NCBI Bookshelf/StatPearls)6

第4部:今日から始める改善アクションプラン

脇の黒ずみは「原因を減らす」「肌を落ち着かせる」「必要なら医療で上乗せする」の順で考えると、遠回りに見えて結果が安定しやすいです(炎症後色素沈着は刺激の継続で長引く点がStatPearlsに沿う)6

表2:改善アクションプラン(脇の黒ずみ)
ステップ アクション 具体例
Level 1:今日からできること 刺激(摩擦・こすり洗い)を減らす ボディタオルで強くこすらない、締め付けの少ない素材にする、入浴後に保湿して摩擦に強い状態を作る(刺激回避の重要性はStatPearls)6
Level 2:今週〜今月で整える 自己処理・制汗剤を見直し、炎症を止める カミソリの刃を新しくする/頻度を下げる、肌に合わない制汗剤は中止しパッチテスト、赤みやかゆみがあるなら皮膚科へ(接触皮膚炎がPIHの原因になり得る点はStatPearls)6
Level 3:医療で上乗せする 原因が落ち着いた後に、治療を検討 皮膚科で鑑別(アカントーシス等を除外)後に、外用・ピーリング・レーザー/IPLなどを比較して選ぶ(厚生労働省は代替手段とリスク説明の確認を推奨)2

医療での「上乗せ」を考える際、まず知っておきたいのは、厚生労働省が美容医療に対して「効果だけでなくリスクや副作用、使用機器・薬剤の承認状況を理解すること」を求めている点です2。急かされる契約や、説明が曖昧なままの施術は避け、納得できるまで質問しましょう。

4.1. レーザー・IPLで何ができるのか(エビデンスの現状)

Vahabiらの系統的レビューは、腋窩の色素沈着(Axillary Hyperpigmentation: AH)に対して、外用、光治療、レーザー治療など複数の方法が報告されている一方、研究数が少なくサンプルサイズも小さいため、標準治療が確立していないと述べています1

同レビューでは、QスイッチNd:YAG(1064nm)をAHに用いた観察研究が複数報告され、9人の研究では「excellent(優れた結果)」33.3%、「significant enhancement(有意な改善)」55.5%とされています(小規模である点が重要)1

また、17人の女性を対象とした観察研究では、低フルエンスのQスイッチ1064nm Nd:YAGが「少なくとも3回の施術」で良好〜優れた改善が得られる可能性が示され、回数増加とアウトカムが単純に比例しない可能性も述べられています1

IPL(Intense Pulsed Light)については、22人の比較研究でQスイッチNd:YAGとIPLの結果に有意差がなく、IPLのほうが痛みが少なかったと報告されています。一方で、IPLの重い副作用として色素沈着が挙げられ、とくに肌が濃い人で問題になり得るが「まれ」とされています(Vahabiらのレビュー)1

さらに、20人を対象にIPLとAHA(40%)を比較した研究では、IPLが「白さ(whiteness)85%」「滑らかさ(smoothness)30%」で優位だった一方、高濃度・低pHのAHAのほうが副作用が重かったと報告されています1

ここから言える現実的な結論は、「レーザーやIPLは改善が期待できるが、研究の質と量は十分ではなく、個人差と副作用リスクを前提に、医師と計画を立てる必要がある」ということです(Vahabiらのレビュー、厚生労働省の注意喚起)12

4.2. “逆に濃くなる”を防ぐための安全設計

炎症後色素沈着は、炎症が強いほど・繰り返すほど長引きやすいとされ、レーザーやピーリング自体も誘因になり得ます(NCBI Bookshelf/StatPearlsは「laser/light therapy」をPIHの原因として列挙)6

日本皮膚科学会の「美容医療診療指針(第2版)」でも、たとえば色素性病変に対する高フルエンスのQスイッチレーザーなどで強い炎症が起きると、炎症後色素沈着を引き起こすことがあり、肌のタイプ(Fitzpatrick分類)によっては色素脱失や色素沈着に注意が必要である旨が述べられています4

したがって、脇の黒ずみ治療で大切なのは「出力を上げて一撃で取る」発想ではなく、肌質・炎症の起こりやすさ・日常の摩擦状況に合わせて、安全側に倒した照射設計とアフターケアを組むことです(日本皮膚科学会、厚生労働省)24

4.3. 医療脱毛と“黒ずみレーザー”は別物(ただし関係はある)

厚生労働省の通知は、レーザーなど強力なエネルギー光を毛根部に照射して毛乳頭などを破壊する行為は、医師でなければ保健衛生上危害が生ずるおそれがあり、無資格者が業として行えば医師法違反になり得ると明確にしています3

医療脱毛は「毛」に、黒ずみレーザー(しみ治療系のレーザーやIPL)は「色素」に主に狙いを置きます。しかし実際には、脱毛の自己処理が減ることで炎症が減り、結果として黒ずみが落ち着く人もいます。逆に、出力や肌質が合わないと、やけどや炎症後色素沈着が起きることもあるため、施術者の説明と安全管理が重要です(厚生労働省の注意喚起、日本皮膚科学会の指針)24

第5部:専門家への相談 — いつ・どこで・どのように?

脇の黒ずみは緊急性が低いことが多い一方、「背景疾患のサイン」である場合や、「誤った施術で被害が出る」こともあります。厚生労働省は、美容医療を受ける前に説明不足や無資格施術などのトラブルがあることを示し、納得できない場合は相談窓口の活用も推奨しています2

5.1. 受診を検討すべき危険なサイン

  • 短期間で急に濃くなった、急速に広がった
  • しこり、出血、潰瘍、強い痛みがある
  • かゆみ・赤み・ジュクジュクが続き、治っても繰り返す(接触皮膚炎などが疑われる)
  • ベルベット状に厚く、首・鼠径部など他部位にも同様の変化がある(アカントーシス・ニグリカンスの可能性)9
  • セルフケアや自己処理の見直しをしても、数か月単位で改善が乏しい(鑑別と治療計画が必要)

特にアカントーシス・ニグリカンスは、糖尿病・インスリン抵抗性との関連が説明されているため、見た目の悩みとして放置せず、医療機関での評価を検討してください(NCBI Bookshelf/StatPearls)9

5.2. 症状に応じた診療科の選び方

  • まずは皮膚科:炎症後色素沈着、接触皮膚炎、感染症、アカントーシスなどの鑑別と、治療の優先順位づけができます(NCBI Bookshelf/StatPearls)69
  • 内科(必要に応じて):首や脇などの黒ずみが広範囲で、体重増加や血糖が気になる場合は、インスリン抵抗性などの評価を相談します(NCBI Bookshelf/StatPearls)9

「迷惑をかけたくない」「大したことではないかも」と我慢しがちですが、医療機関で原因を整理できると、遠回りなセルフケアを減らせます。特にレーザーを検討する場合は、原因が落ち着いてから施術計画を立てるほうが安全です(NCBI Bookshelf/StatPearls、日本皮膚科学会)46

5.3. 診察時に持参すると役立つものと確認したいポイント

  • 黒ずみが気になり始めた時期、自己処理方法(剃毛・毛抜き・ワックス・脱毛)
  • 制汗剤・香料・衣類素材の変更歴、かゆみや赤みの有無
  • 体重変化、家族歴(糖尿病など)、首や他部位の黒ずみの有無(アカントーシスの確認)9
  • レーザーやIPLを検討する場合:リスク・副作用、承認状況、代替手段、費用、アフターケア(厚生労働省のチェック項目に沿って確認)2

また、無資格者による施術は違法となり得ることが厚生労働省通知で示されています。施術を受ける場所が医療機関であるか、医師の関与があるかを必ず確認してください3

万が一トラブルが起きた場合の相談先として、厚生労働省の注意喚起ページは消費者ホットライン「188」や医療安全支援センター等を案内しています2

よくある質問

Q1: 脇の黒ずみはレーザーでどのくらい改善しますか?

研究はまだ多くありませんが、Vahabiらの系統的レビューでは、1064nm QスイッチNd:YAGの観察研究(n=9)で「優れた結果」33.3%、「有意な改善」55.5%が報告されています1

ただし小規模研究であり、原因(摩擦・かぶれ・アカントーシス等)や日常の刺激が残っていると再発・長期化の可能性もあります。まずは原因の整理と、炎症を止めることを優先するのが安全です(NCBI Bookshelf/StatPearls)6

Q2: 何回くらい通う必要がありますか?

Vahabiらのレビューに含まれる観察研究では、低フルエンスQスイッチ1064nm Nd:YAGで「最低3回の施術」で良好〜優れた改善が得られる可能性が示されています(n=17)1

ただし回数と結果が単純に比例しない可能性も述べられており、肌質・原因・照射条件で変わります。厚生労働省が推奨するように、複数の選択肢とリスク・費用を比較したうえで、自分に合う計画を医師と決めてください2

Q3: 痛みはありますか?麻酔は必要ですか?

Vahabiらのレビューでは、QスイッチNd:YAGとIPLを比較した研究で、IPLのほうが痛みが少なかったと報告されています(n=22)1

痛みは機器・出力・照射範囲で変わります。痛みの強さは安全性(出力過多による炎症)とも関係し得るため、我慢前提で進めず、施術者に遠慮なく伝え、設定や冷却・麻酔の選択肢を相談してください(厚生労働省はリスク説明と納得を重視)2

Q4: 医療脱毛と“黒ずみレーザー”は同じですか?

目的が異なります。医療脱毛は毛根に作用させる施術であり、厚生労働省通知はレーザー等の強力光線を毛根部に照射して組織を破壊する行為は医師でなければ危害のおそれがあると示しています3

黒ずみ治療は色素(メラニン)や皮膚の状態にアプローチする設計になります。ただし自己処理が減ることで炎症が減り、結果として黒ずみが落ち着く場合もあるため、皮膚科で原因を整理したうえで目的に合った施術を選ぶのが合理的です(NCBI Bookshelf/StatPearls)6

Q5: レーザーやIPLで逆に濃くなることはありますか?

あり得ます。NCBI Bookshelf/StatPearlsは、レーザー/光治療が炎症後色素沈着の誘因になり得ることを挙げています6

また、日本皮膚科学会の診療指針でも、強い炎症により炎症後色素沈着が生じる可能性や、肌のタイプによる色素異常への注意が述べられています4。原因となる炎症(摩擦・かぶれ)が残っているとリスクが上がるため、まず炎症を止めてから検討するのが安全です6

Q6: 妊娠中・授乳中でも受けられますか?

一律の答えは難しく、まずは産婦人科または施術医に相談してください。緊急性が低い美容医療は「今すぐ必要か」を確認し、効果とリスクのバランスに納得して選ぶことが重要だと厚生労働省は注意喚起しています2

妊娠・授乳の状況、肌の敏感さ、使用する薬剤(外用麻酔など)によって判断が変わるため、自己判断で予約を進めず、事前に確認するのが安全です2

Q7: 保険は使えますか?

脇の黒ずみの多くは美容目的として扱われ、自由診療となるケースが一般的です。厚生労働省も、美容目的の自由診療では医薬品・機器が承認されていない場合があり得る点や、費用・保険適用の有無を含めて比較検討するよう促しています2

一方、アカントーシス・ニグリカンスなど基礎疾患の評価が必要な場合は、診察・検査が保険診療の枠で行われることもあります。まずは皮膚科での鑑別を優先し、費用の内訳を確認してください(NCBI Bookshelf/StatPearls)9

Q8: 受診するなら何科がよいですか?

基本は皮膚科です。炎症後色素沈着、接触皮膚炎、感染症、アカントーシスなどを鑑別し、治療の優先順位を立てられます(NCBI Bookshelf/StatPearls)69

首や脇など複数部位でベルベット状の黒ずみがあり、体重や血糖が気になる場合は内科の評価も検討します(NCBI Bookshelf/StatPearls)9

結論:この記事から持ち帰ってほしいこと

脇の黒ずみは、摩擦・自己処理・かぶれなどの炎症が関与することが多く、まずは刺激を減らして皮膚を落ち着かせることが最優先です(NCBI Bookshelf/StatPearls)6

レーザーやIPLは改善が報告されている一方、研究数は限られ、肌質や照射条件によっては炎症後色素沈着などのリスクもあります(Vahabiらの系統的レビュー、日本皮膚科学会の診療指針)14

安全に近道をするコツは、「原因の鑑別→炎症の停止→医療で上乗せ」の順で考えることです。厚生労働省が示すチェック項目(リスク説明、承認状況、代替手段、費用、相談先)を使い、納得できる形で選んでください2

この記事の編集体制と情報の取り扱いについて

Japanese Health(JHO)は、信頼できる公的情報源と査読付き研究に基づいて、健康・医療・美容に関する情報をわかりやすくお届けすることを目指しています。

本記事は、厚生労働省の注意喚起、日本皮膚科学会の診療指針、査読付き論文(系統的レビュー、医学的解説)をもとに、AIツールを下調べと構成補助に利用しつつ、JHO編集部が一次資料と照合して内容・数値・URLの妥当性を確認しました1246

ただし、本記事は一般的な情報提供を目的としており、個々の症状に対する診断や治療の決定を直接行うものではありません。気になる症状がある場合や、治療の変更を検討される際は、必ず医師などの医療専門家にご相談ください。

運営方針の詳細は運営者情報(JapaneseHealth.org)をご覧ください。

免責事項 本記事は情報提供のみを目的としており、専門的な医学的助言や診断、治療に代わるものではありません。健康上の懸念がある場合や、治療内容の変更・中止等を検討される際には、必ず資格のある医療専門家にご相談ください。

参考文献

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  2. 厚生労働省. その美容医療、ちょっと待って!. https://aesthetic-medicine-caution.mhlw.go.jp/(最終アクセス日:2025-12-23)

  3. 厚生労働省. 医師免許を有しない者による脱毛行為等の取扱いについて(平成13年11月08日 医政医発第105号). https://www.mhlw.go.jp/web/t_doc?dataId=00ta6731&dataType=1&pageNo=1(最終アクセス日:2025-12-23)

  4. 日本皮膚科学会. 美容医療診療指針(第2版). https://www.dermatol.or.jp/medical/biyo/biyo2v.pdf(最終アクセス日:2025-12-23)

  5. 日本皮膚科学会. なくならない脱毛施術による危害(資料). https://www.dermatol.or.jp/dermatol/wp-content/uploads/xoops/files/news/G20170515_%20datsumokigai.pdf(最終アクセス日:2025-12-23)

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  10. J-STAGE. 摩擦黒皮症に関する報告(皮膚科領域文献). 1984. https://www.jstage.jst.go.jp/article/skinresearch1959/26/2/26_2_139/_article/-char/ja/(最終アクセス日:2025-12-23)

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