健康診断や人間ドックで「脾臓(ひぞう)が少し大きめですね」「脾腫(ひしゅ)が疑われます」と言われたものの、自覚症状もなく「放っておいて大丈夫なのだろうか」と不安になっている方は少なくありません。
脾臓は左上腹部にある握りこぶし大の臓器で、古くなった赤血球を壊したり、細菌やウイルスなどの異物を取り除いたり、免疫に関わる細胞をストックするなど、血液と免疫にとって重要な働きを担っています1。この脾臓が通常より大きくなる状態を「脾腫(splenomegaly:脾臓肥大)」と呼びますが、それ自体は病名ではなく、何らかの病気や体の変化に伴う「サイン」の一つです1。
多くの方は無症状のまま経過しますが、原因によっては、貧血や感染症が起こりやすくなったり、まれに脾臓が破裂して命に関わることもあります2。一方で、すぐに治療が必要ではなく、定期的な経過観察だけでよい場合もあります。
この記事では、日本や海外の公的機関・医学情報サイトの知見をもとに、脾腫の「しくみ・原因・代表的な症状・検査・治療・日常生活で気をつけたいこと・受診の目安」までを、日本で生活する方の立場からわかりやすく整理していきます。ご自身やご家族が脾臓の大きさを指摘されたとき、何から考え、どのように医療機関に相談すればよいかをイメージするためのガイドとしてお役立てください。
Japanese Health(JHO)編集部とこの記事の根拠について
Japanese Health(JHO)は、健康と美容に関する情報を提供するオンラインプラットフォームです。膨大な医学文献や公的ガイドラインを整理し、日常生活で活用しやすい形でお届けすることを目指しています。
本記事の内容は、脾腫(脾臓肥大・enlarged spleen)に関する日本語版MSDマニュアル、海外の医学情報サイト(Mayo Clinic、Cleveland Clinic、NHS、Better Health Channelなど)、および日本の専門家による解説記事など、信頼性の高い一次情報源をもとに、JHO編集部がAIツールのサポートを受けつつ、最終的には人の目で一つひとつ確認しながら作成しています1–7。
- 公的機関・研究機関・学会などの情報:厚生労働省関連資料、日本の専門学会・病院サイト、各国の保健当局・医療サービスの解説ページを優先的に参照しています。
- 国内外のガイドライン・査読付き論文:脾腫に関するレビュー、診療ガイドライン、血液・肝臓・感染症領域の専門資料などを用いて、原因・検査・治療に関する情報を整理しています。
- 教育・医療機関・NPOなどの一次資料:脾臓の役割や脾臓摘出後のワクチン接種など、実務的な情報の理解に役立つ資料も参考にしています。
AIツールは文献の要約や構成案の作成などをサポートする「アシスタント」として利用していますが、公開前には必ずJHO編集部が原著資料と照合し、重要な記述の事実関係・数値・URLの妥当性を人の目で確認しています。
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要点まとめ
- 脾腫(脾臓肥大)は「病名」ではなく、感染症、肝臓病、血液疾患、自己免疫疾患など、さまざまな背景に伴って脾臓が通常より大きくなった状態を指します1,2。
- 多くの場合は無症状で、健康診断や画像検査で偶然見つかりますが、左上腹部の痛み・圧迫感、少量で満腹になる、貧血、感染症にかかりやすい、あざ・出血が増えるといった症状が出ることもあります2,3。
- 原因としては、ウイルス・細菌・寄生虫などの感染症、肝硬変などの肝疾患と門脈圧亢進、白血病やリンパ腫などの血液がん、自己免疫疾患、代謝異常症、血栓症などが代表的です1,3,4,6。
- 診断には、問診・触診に加え、血液検査、超音波検査(エコー)、CTやMRIなどの画像検査が用いられ、必要に応じて骨髄検査や脾臓の生検などが行われます1,2,6。
- 治療は「脾腫そのもの」ではなく「原因疾患」の治療が基本です。脾臓そのものの摘出(脾摘)は、重い脾機能亢進や破裂のリスクが高い場合など、限られた状況で検討されます1,3。
- 脾臓が大きい状態では、外傷時に破裂しやすいため、激しい接触スポーツや腹部への強い衝撃は避け、突然の激しい左上腹部痛や冷や汗、意識が遠のく感じなどがあれば、迷わず救急要請(119番)を検討することが大切です2,3。
- 「自分で原因を決めつけて様子を見る」のではなく、血液検査の異常や症状の有無にかかわらず、脾腫を指摘されたら一度は内科などで原因精査を受けることが勧められます。
「左わき腹が張るような感じが続いている」「健康診断で脾臓が大きいと言われたが、どのくらい深刻なのかわからない」「がんや白血病だったらどうしよう…」。脾腫と聞いて、こうした不安を抱える方は珍しくありません。
本記事では、まず脾臓の役割や「なぜ大きくなるのか」という基本的な仕組みを押さえたうえで、日常生活でチェックしやすい症状やセルフチェックのポイントを整理します。そのうえで、感染症・肝臓病・血液の病気・自己免疫疾患など、背景に隠れやすい疾患ごとの特徴や、どのタイミングで医療機関を受診すべきかを段階的に解説します。
また、脾腫と診断されたあとに「今日からできる過ごし方」「長期的に付き合っていくためのポイント」や、脾臓を摘出した場合の感染症対策など、生活者の目線で知っておきたい情報もまとめていきます。必要に応じて、Japanese Healthトップページから、他の症状・検査・病気に関する記事もあわせてご覧ください。
一人で不安を抱え込まず、「今の自分の状態をどう理解し、いつどこで誰に相談するか」を具体的にイメージできるようになることが、このガイドのゴールです。
第1部:脾臓の基本と日常生活の見直し
まずは、脾臓がどこにあり、どんな働きをしているのか、そして脾臓が大きくなると何が起こりうるのかを整理します。そのうえで、生活習慣の中で注意しておきたい点を確認していきましょう。
1.1. 脾臓の役割と脾腫が起こるメカニズム
脾臓は、左のあばら骨の下あたり、胃のうしろ側(左上腹部)に位置する柔らかい臓器で、通常は握りこぶしほどの大きさです1,2。健康な人では、やせ型の方を除き、触ってもわからないことがほとんどです。
脾臓は主に次のような役割を担っています1,3。
- 古くなった血球の整理:寿命を迎えた赤血球や、壊れた血小板などを壊して回収する
- 免疫のコントロール:細菌やウイルスなどの異物をキャッチし、リンパ球などの免疫細胞を活性化する
- 血液の一時的な貯蔵:必要に応じて血液をためたり送り出したりする“血液の倉庫”としての役割
こうした働きが何らかの理由で過剰になったり、脾臓の中に異常な細胞や物質がたまったり、脾臓へ流れ込む血液の量や圧力が高くなったりすると、脾臓そのものが大きくなっていきます。これが「脾腫」です1,6。
脾腫は症状ではなく「所見」なので、「脾腫=必ず重い病気」というわけではありません。しかし、肝硬変や血液がんなど重い病気の手がかりになることもあるため、原因をきちんと調べることが大切です1,3,6。
1.2. 脾腫を悪化させかねないNG習慣
脾腫そのものは生活習慣だけで起こるものではなく、多くは別の病気に伴って現れます。ただし、次のような習慣は、肝臓や血液、免疫に負担をかけ、脾腫の背景となる病気を悪化させる可能性があります。
- アルコールの飲み過ぎ:長期にわたる多量飲酒は肝硬変や門脈圧亢進を招き、結果として脾腫のリスクを高めます3,4。
- 慢性的な感染症を「風邪だろう」と放置する:ウイルス性肝炎や結核、心内膜炎など、初期には症状がはっきりしない感染症もあり、放置すると脾腫や全身症状を悪化させることがあります3,4,6。
- 自己判断での薬の乱用:一部の薬は肝臓や血液に影響することがあり、持病や検査値によっては慎重な使用が必要です。
- 強い接触を伴うスポーツや腹部への衝撃:脾臓が大きくなっている状態では、柔らかい臓器である脾臓が破裂しやすくなるため、ラグビーや格闘技などは医師と相談のうえ慎重に判断する必要があります2,3。
生活習慣の見直しだけで脾腫の原因そのものが解消されるわけではありませんが、「肝臓に負担をかけない」「感染症を軽く見ない」「自己判断の薬・サプリ乱用を避ける」といった基本は、どの原因であっても共通して大切です。
| こんな症状・状況はありませんか? | 考えられる背景・原因カテゴリ |
|---|---|
| 左上腹部〜左肩にかけて重い感じや痛みが続く | 脾臓の腫大そのものによる圧迫、あるいは周囲の臓器・筋肉の緊張など1,2 |
| 少し食べただけですぐ満腹になり、胃のあたりが苦しい | 脾臓が大きくなって胃を圧迫している可能性2,3 |
| 疲れやすい、息切れ、顔色が悪いと言われる | 貧血(脾機能亢進や基礎疾患によるもの)など1,3 |
| 風邪や感染症にかかりやすく、治りにくい | 白血球の減少や免疫機能の変化を伴う病気の可能性1,3,6 |
| あざができやすい、鼻血や歯ぐきの出血が増えた | 血小板減少(脾機能亢進や血液疾患など)の可能性1,3 |
第2部:身体の内部要因 — 感染症・肝臓・血液・免疫の病気
生活習慣を整えても改善しない場合や、血液検査や画像検査で異常が見つかった場合、その背景には感染症、肝臓病、血液の病気、自己免疫疾患、代謝異常症など、身体の内側の問題が隠れていることがあります。ここでは、脾腫と関連の深い代表的な疾患のグループを整理します。
2.1. 感染症:ウイルス・細菌・寄生虫
脾臓は免疫の中枢の一つであるため、感染症に対して非常に敏感です。以下のような感染症は、脾臓への負担を増やし、脾腫の原因となることがあります1,3,4,6。
- ウイルス感染:伝染性単核球症(EBウイルス)、肝炎ウイルス(B型・C型など)、HIVなど
- 細菌感染:心内膜炎(心臓の弁の感染)、結核、梅毒など
- 寄生虫感染:マラリア、リーシュマニア症など、海外渡航歴がある場合に注意すべき感染症
これらの感染症では、脾臓が異物と戦うために免疫細胞を増やし、結果として大きくなることがあります。発熱、全身倦怠感、リンパ節の腫れ、体重減少など、全身症状を伴うことが多いため、長引く発熱や原因不明の倦怠感がある場合は、早めの受診が重要です。
2.2. 肝臓病と門脈圧亢進
肝硬変や慢性肝炎などの肝臓病に伴って、腸から肝臓・脾臓へ向かう「門脈」という血管の圧力が高くなる状態(門脈圧亢進)が起こることがあります3,4,6。このとき、脾臓の中に血液がうっ滞し、うっ血によって脾臓が大きくなることがあります。
肝臓病や門脈圧亢進があると、食道・胃の静脈瘤や腹水、黄疸などが現れることもあり、脾腫はその一部として見つかります。日本では、ウイルス性肝炎やアルコール性肝障害、非アルコール性脂肪性肝炎(NASH)などが原因となることが多いとされています。
2.3. 血液の病気・血液がん
脾臓は血液と密接に関わるため、血液そのものの病気や血液がんに伴って脾腫が起こることがあります1,3,6,7。
- 白血病・リンパ腫などの血液がん:白血病細胞やリンパ腫細胞などが脾臓の中に集まり、脾臓が大きくなることがあります。
- 骨髄増殖性腫瘍(真性多血症、骨髄線維症など):骨髄の機能異常に伴い、脾臓が血液の産生を肩代わりし、著明な脾腫をきたすことがあります。
- 溶血性貧血・サラセミアなど:赤血球が壊れやすい病気では、脾臓が壊れた赤血球を処理するために働きすぎ、脾腫や脾機能亢進につながることがあります。
これらの病気では、貧血(息切れ・動悸・顔色不良)、発熱や体重減少、寝汗、リンパ節の腫れなど、脾腫以外の症状も併せて見られることが多いため、「ただ脾臓が大きいだけ」と決めつけず、血液内科などでの精査が重要です。
2.4. 自己免疫疾患・代謝異常症・血栓症
脾腫の背景には、以下のような全身性の病気が隠れていることもあります3,4,6。
- 自己免疫疾患:全身性エリテマトーデス(SLE)、関節リウマチ、サルコイドーシスなど、免疫が自分の組織を攻撃してしまう病気
- 代謝異常症(蓄積症):ゴーシェ病など、特定の物質が脾臓や肝臓にたまる遺伝性の病気
- 血栓症:門脈や脾静脈に血栓(血の塊)が詰まり、脾臓への血流がうっ滞することで脾腫をきたすことがあります。
いずれも専門的な検査と継続的なフォローが必要な病気であり、「脾臓だけの問題」ではありません。全身の症状や既往歴を総合的に見て診断が進められます。
第3部:脾腫の症状・検査・診断の流れ
ここでは、脾腫でよくみられる症状、どのような検査で脾臓の大きさや原因を調べるのか、医療現場での診断の流れについて解説します。
3.1. 脾腫でみられやすい症状と「危険なサイン」
多くの人では、脾腫があっても自覚症状がほとんどなく、健康診断のエコーやCT検査などで偶然見つかります1,2。しかし、次のような症状が出ることもあります。
- 左上腹部(みぞおちの少し左)や左の背中の重い感じ・痛み、左肩への響くような痛み1,2,6
- 少量の食事で強い満腹感を覚える、胃のあたりが苦しい2,3
- 疲れやすい、息切れ、立ちくらみなどの貧血症状1,3
- 風邪や感染症にかかりやすく、治りにくい(白血球減少など)1,3
- 鼻血・歯ぐきの出血、あざが増える(血小板減少)1,3
- 発熱、寝汗、体重減少など、全身状態の悪化を示す症状6
特に次のような危険なサインがある場合は、脾臓の破裂や重い感染症など、命に関わる状態の可能性があるため、すぐに救急受診や119番通報を検討してください2,3,6。
- 突然の激しい左上腹部痛〜左肩への痛み
- 冷や汗、真っ青な顔色、脈が速い、息苦しいなどショック症状が疑われる状態
- 意識が遠のく感じ、立ち上がれないほどのふらつき
- 高熱と強い悪寒、意識もうろうなど重い感染症が疑われる状態
3.2. 診察で行われること:問診・触診・打診
医療機関では、まず問診と身体診察から始まります。問診では、症状の経過やこれまでの病歴、服用中の薬、海外渡航歴、家族歴(血液疾患や肝疾患、遺伝性疾患など)について詳しく確認されます。
身体診察では、医師が左上腹部を触ったり、軽くたたいたりして脾臓の大きさを推定します。やせ型の若い人では、正常な脾臓が触れることもあるため、「触れる=必ず異常」というわけではありませんが、健康な成人で明らかに脾臓が大きく触れる場合は、詳細な検査が勧められます1,6。
3.3. 検査:血液検査・画像検査・その他の検査
脾腫の評価には、次のような検査が組み合わせて行われます1,2,3,6,8。
- 血液検査:赤血球・白血球・血小板の数や形、肝機能、炎症反応、ウイルスや自己抗体の有無などを確認します。
- 超音波検査(腹部エコー):脾臓の大きさ(長径)、内部の構造、血流などを確認します。施設によって基準は異なりますが、最大径がおおよそ10〜12cmを超えると「脾腫」と評価されることが多いとされています8。
- CT・MRI検査:エコーだけでは見えにくい部分の評価や、周囲の臓器の状態、リンパ節の腫れ、血栓の有無など、より詳しい情報を得るために用いられます。
- 骨髄検査:血液がんや骨髄増殖性疾患が疑われる場合には、骨髄液や骨髄組織を採取して詳しく調べます。
- 脾臓の画像検査・シンチグラフィ:脾臓の機能や副脾(小さな脾臓が複数ある状態)の有無などを評価することもあります。
これらを総合して、脾腫の原因が「一時的な感染症によるものなのか」「慢性の肝疾患や血液疾患なのか」「早急な治療が必要な状態なのか」などを判断していきます。
第4部:今日から始める改善アクションプラン
脾腫の治療の主役はあくまで「原因となっている病気の治療」です。しかし、診断がつくまでの間や、治療を進めながらの毎日を少しでも安心して過ごすために、今日からできる工夫もあります。
| ステップ | アクション | 具体例 |
|---|---|---|
| Level 1:今夜からできること | 腹部への強い衝撃を避け、体調の変化を観察する | ラグビーや格闘技などの激しい接触スポーツをいったん控える/左上腹部の痛み・急な症状の変化がないかメモしておく2,3 |
| Level 2:今週〜今月中に行いたいこと | 内科・消化器内科・血液内科などで原因検査を受ける | 健康診断結果やこれまでの検査データ、服薬中の薬、お薬手帳を持参し、「どの程度の脾腫なのか」「原因の候補は何か」を医師に確認する |
| Level 3:中長期的に続けたいこと | 肝臓や血液に負担をかけない生活を意識する | 過度の飲酒をやめる/バランスの良い食事と適度な運動/感染症予防(手洗い・ワクチン接種の相談など)を習慣にする3,4 |
| Level 4:専門治療と連携して行うこと | 原因疾患の治療・フォローアップを継続する | 血液がんや慢性肝疾患などの場合は、専門医の指示に従い、定期的な血液検査・画像検査を受ける/薬の自己中断をしない |
なお、脾臓を摘出した場合や脾機能が著しく低下している場合には、肺炎球菌など特定の細菌に対する抵抗力が弱くなることが知られており、予防接種や早期の抗菌薬治療などが重要になります1,3。具体的なワクチンの種類やタイミングは年齢や基礎疾患によって異なるため、必ず主治医と相談してください。
第5部:専門家への相談 — いつ・どこで・どのように?
最後に、「どのタイミングで」「どの診療科に」「何を伝えて受診すればよいか」を整理します。日本の医療制度や健康保険を前提とした内容です。
5.1. 受診を検討すべき危険なサイン
- 突然の激しい左上腹部痛や左肩への痛み
- 冷や汗が出る、顔色が真っ青になる、脈が速くなる、立ち上がれないほどのふらつき
- 40℃近い高熱と強い悪寒、意識障害など重い感染症が疑われる状態
これらのサインがある場合は、脾臓の破裂や重度の敗血症など、命に関わる状態の可能性があります。ためらわずに119番で救急要請するか、救急外来への受診を検討してください2,3。
5.2. 症状に応じた診療科の選び方
- 健康診断で「脾臓が大きい」とだけ言われた人:まずは総合内科・一般内科で相談し、必要に応じて血液内科や消化器内科を紹介してもらうのがおすすめです。
- 肝機能異常や肝硬変を指摘されている人:消化器内科・肝臓内科が主な窓口になります。
- 貧血・出血傾向・リンパ節の腫れなどがある人:血液内科での精査が重要です。
- 発熱や感染症のサインが強い人:まずは内科で受診し、必要に応じて感染症内科などに紹介されます。
- 子どもの脾腫:小児科を受診し、小児血液・小児消化器分野の専門医と連携して診てもらいます。
5.3. 診察時に持参すると役立つものと費用の目安
- 健康診断やこれまでの検査結果(超音波・CT・MRIのレポートなど)
- お薬手帳、現在服用している薬・サプリの一覧
- 症状のメモ(いつから、どのくらいの頻度で、何をしたときに強くなるか など)
- 海外渡航歴・輸血歴・家族の病歴など、質問されそうな事項をメモにしておくとスムーズです。
日本の公的医療保険に加入している場合、原則として医療費の自己負担は3割(年齢や所得により異なる)で、初診料や一般的な血液検査・腹部超音波検査などで数千円〜1万円前後になることが多いとされています。CTやMRI、骨髄検査などより専門的な検査が追加されると費用は高くなりますが、高額療養費制度などの支援も利用可能です。詳しい費用は受診する医療機関で確認してください。
よくある質問
Q1: 脾腫と言われました。これは「がん」という意味ですか?
A1: 脾腫(脾臓肥大)は、それ自体は「がん」という病名ではなく、脾臓が大きくなっているという所見を表す言葉です。背景には、感染症や肝臓病、溶血性貧血など良性の病気から、白血病やリンパ腫などの血液がんまで、さまざまな原因があり得ます1,3,6。
つまり、「脾腫=がん」と決めつけることも、「脾腫=軽い病気だから心配ない」と言い切ることもできません。血液検査や画像検査、場合によっては骨髄検査などを組み合わせて、原因を一つずつ絞り込んでいくことが大切です。
Q2: 症状が何もない場合でも、脾腫は放置しない方がよいのでしょうか?
A2: 自覚症状がない軽度の脾腫の場合、すぐに治療が必要とは限らず、一定期間ごとの経過観察で様子を見ることもあります1,6,7。しかし、その判断は「原因をある程度評価したうえで」行われるべきものです。
健康診断などで初めて脾腫を指摘された場合は、一度は内科などで血液検査や追加の画像検査を受け、「何が原因の候補か」「どのくらいの頻度でフォローが必要か」を確認しましょう。自己判断で「問題ないだろう」と放置するのはおすすめできません。
Q3: 脾腫があると言われました。スポーツや運動はしても大丈夫ですか?
A3: 軽い散歩やストレッチなどの非接触型で負荷の少ない運動は、主治医から特別な制限がなければ、多くの場合問題ないとされています。一方、ラグビーや柔道、サッカーなど、腹部に強い衝撃が加わる可能性のある接触スポーツは、脾臓破裂のリスクを高めるため、脾腫の程度や原因によっては控えた方がよい場合があります2,3。
どの程度の運動までなら安全かは、脾臓の大きさや背景の病気によって異なります。必ず主治医に「どのくらいの運動ならしてよいか」「避けるべきスポーツは何か」を具体的に相談してください。
Q4: 妊娠中に脾臓が大きいと言われました。赤ちゃんへの影響が心配です。
A4: 妊娠中は血液量が増えるため、一時的な脾腫が見られることもありますが、背景に貧血や肝臓病、自己免疫疾患などが隠れている場合もあります1,3,6。脾腫そのものが直接赤ちゃんに影響するというよりも、「何が原因なのか」が重要です。
妊婦健診を担当している産婦人科と連携しながら、必要に応じて内科や血液内科で追加の検査を受けることで、母体と赤ちゃんの安全を確保しつつ、適切な管理が行われます。不安な点は、遠慮せず担当医に相談しましょう。
Q5: 子どもの脾臓が大きいと言われました。大人と考え方は同じですか?
A5: 子どもの場合、年齢や体格によって正常な脾臓の大きさの基準が違うため、「どこまでが正常で、どこからが脾腫か」の判断は小児科の専門的な視点が必要です1,6。感染症に伴う一過性の脾腫から、遺伝性の代謝異常症や血液疾患まで、原因の幅も大人以上に広いことがあります。
小児科を受診し、必要に応じて小児血液・小児消化器の専門医と連携しながら、慎重に評価してもらうことが大切です。大人同様、自己判断で様子を見るのではなく、医師の指示にしたがってフォローアップを受けましょう。
Q6: 脾臓を手術で摘出すると、どんなリスクがありますか?
A6: 脾臓摘出(脾摘)は、重い脾機能亢進や脾臓破裂のリスクが高い場合など、限られた状況で検討される治療法です1,3。脾臓を摘出すると、特定の細菌(肺炎球菌、髄膜炎菌、インフルエンザ菌など)による重篤な感染症のリスクが高くなることが知られており、ワクチン接種や発熱時の早期受診が非常に重要になります。
具体的なリスクや術後の生活上の注意点は、年齢や背景疾患によって変わります。術前・術後に主治医から詳しい説明を受け、わからない点はその都度確認するようにしましょう。
Q7: 食事やサプリで脾腫を治すことはできますか?
A7: 脾腫の直接の原因は、感染症や肝臓病、血液疾患などの医学的な病気であることが多く、「特定の食べ物やサプリだけで脾腫が治る」という科学的な証拠はありません1,3,6。むしろ、根拠のない健康食品やサプリを大量に摂取することで、肝臓に負担がかかる場合もあります。
バランスの良い食事や適度な運動は、全身の健康を支えるうえで大切ですが、「治療」そのものは医師のもとでの検査・診断・薬物療法などが中心となります。気になるサプリや健康法がある場合は、自己判断ではなく主治医に相談しましょう。
Q8: 健康診断で「少し大きいだけ」と言われました。本当に心配しなくていいのでしょうか?
A8: 健康診断の担当医が「今回は大きな問題はなさそうだが、念のため経過を見ましょう」といった説明をすることもあります。その場合でも、「次回いつ検査を受ければよいか」「どのような症状が出たらすぐ受診すべきか」をしっかり確認しておくことが重要です。
不安が強い場合や説明だけでは納得できない場合は、紹介状を書いてもらい、総合内科や専門科でセカンドオピニオンを受けることも選択肢です。脾腫は原因の幅が広いため、「よくわからないまま放置し続ける」状態を避けることが何より大切です。
結論:この記事から持ち帰ってほしいこと
脾腫(脾臓肥大)は、それ自体が病名ではなく、さまざまな病気や状態に伴って現れる「サイン」です。多くの場合、急を要する状態ではありませんが、背景には感染症、肝臓病、血液の病気、自己免疫疾患、代謝異常症など、見逃したくない疾患が隠れていることがあります。
左上腹部の痛みや圧迫感、少量での強い満腹感、貧血や感染症にかかりやすいといった症状がある場合はもちろん、症状がなくても健康診断で脾腫を指摘されたら、一度は内科などで原因精査を受けることをおすすめします。危険なサイン(激しい腹痛やショック症状、高熱など)がある場合は、迷わず救急受診や119番通報を検討してください。
Japanese Health(JHO)編集部は、厚生労働省や日本の専門学会、海外の公的機関・医学情報サイトなどの信頼できる情報に基づき、日本で生活する方の目線から健康情報をわかりやすく整理することを目指しています。本記事が、脾臓や脾腫についての不安を少しでも和らげ、「自分や家族の体とどう向き合うか」を考える手がかりになれば幸いです。
この記事の編集体制と情報の取り扱いについて
Japanese Health(JHO)は、信頼できる公的情報源と査読付き研究に基づいて、健康・医療・美容に関する情報をわかりやすくお届けすることを目指しています。
本記事の原稿は、最新のAI技術を活用して下調べと構成案を作成したうえで、JHO編集部が一次資料(ガイドライン・論文・公的サイトなど)と照合しながら、内容・表現・数値・URLの妥当性を人の目で一つひとつ確認しています。最終的な掲載判断はすべてJHO編集部が行っています。
ただし、本サイトの情報はあくまで一般的な情報提供を目的としており、個々の症状に対する診断や治療の決定を直接行うものではありません。気になる症状がある場合や、治療の変更を検討される際は、必ず医師などの医療専門家にご相談ください。
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