【2025年版】下肢静脈瘤の治療法を徹底比較|レーザー・グルー治療・手術の費用・効果・痛みを専門家が解説
心血管疾患

【2025年版】下肢静脈瘤の治療法を徹底比較|レーザー・グルー治療・手術の費用・効果・痛みを専門家が解説

足の血管が浮き出て見える、夕方になると足がだるくて重い、夜中にこむら返りで目が覚める――。もし、このような症状に心当たりがあるなら、それは「下肢静脈瘤(かしじょうみゃくりゅう)」かもしれません。日本の疫学調査によれば、潜在的な患者数は1000万人以上にのぼると推定されています1。しかし、メドトロニックジャパンが2021年に実施した意識調査によると、この病気の認知度はわずか22.4%に留まり、症状がありながらも「病気だと思わなかった」あるいは治療への不安から医療機関を受診していない方が非常に多いのが現状です2。この記事は、JHO(JAPANESEHEALTH.ORG)編集委員会が、最新の科学的根拠と日本のトップ専門家の知見に基づき、下肢静脈瘤に関する信頼できる情報を提供するために作成されました。本稿では、下肢静脈瘤の根本的な原因から、ご自身でできる症状の確認方法、そして最も重要な各種治療法の選択肢について、2025年時点での最新情報を基に徹底的に比較・解説します。特に、手術、レーザー治療、そして「痛くない治療」として注目される最新のグルー(接着剤)治療について、それぞれの費用、効果、そして患者様が最も懸念される「痛み」の観点から、客観的かつ詳細な情報をお届けし、皆様がご自身の健康のために最善の決断を下すための一助となることを目指します。


この記事の科学的根拠

この記事は、入力された研究報告書で明示的に引用されている最高品質の医学的根拠にのみ基づいています。以下のリストには、実際に参照された情報源と、提示された医学的ガイダンスへの直接的な関連性のみが含まれています。

  • 日本静脈学会: この記事におけるレーザー治療や高周波治療(血管内焼灼術)の標準的な手順や適応に関する指針は、日本静脈学会が公表した「下肢静脈瘤に対する血管内焼灼術のガイドライン2019」3 および「下肢静脈瘤に対するシアノアクリレート系接着材による血管内治療のガイドライン」4 に基づいています。
  • 英国国立医療技術評価機構(NICE): 治療法の選択における国際的な推奨事項、特に血管内治療が従来の手術よりも優先されるべきであるという指針は、NICEが発行したガイドライン「Varicose veins: diagnosis and management (CG168)」5 に依拠しています。
  • 米国血管外科学会(SVS)/米国静脈フォーラム(AVF): 診断や治療に関する詳細な推奨事項の多くは、米国の主要な血管関連学会が共同で策定した最新の臨床診療ガイドライン6 に基づいており、記事の信頼性を国際的な基準で補強しています。
  • メドトロニックジャパンによる意識調査(2021): 日本の患者様が抱える具体的な悩み(見た目の問題、痛みへの恐怖)や、疾患に対する認知度の低さ(22.4%)、受診率の低さ(24.7%)といったデータは、この記事が読者の「痛み」に寄り添うための根拠として、メドトロニックジャパンの2021年の調査結果2 を参照しています。

要点まとめ

  • 下肢静脈瘤は、日本の成人における有病率が高い一般的な疾患ですが、治療可能な病気です。
  • 原因は静脈の弁の機能不全による血液の逆流であり、遺伝、加齢、性別(特に女性)、妊娠・出産、立ち仕事などが主な危険因子です。
  • 治療法は大きく進化しており、現在ではレーザーや高周波を用いた低侵襲な血管内治療が標準となっています。
  • 最新のグルー(接着剤)治療(ベナシール)は、熱を使わないため神経損傷の危険性がなく、局所麻酔も最小限で済むため、「痛みが少ない」画期的な選択肢として注目されています。
  • 治療法の選択には、専門医による正確な診断が不可欠です。血管外科医に相談し、自身の症状やライフスタイルに最適な方法を決定することが重要です。

下肢静脈瘤とは?足の血管がボコボコになる仕組み

下肢静脈瘤を理解するためには、まず足の静脈がどのように機能しているかを知ることが重要です。

 正常な静脈と弁の働き

足の静脈の主な役割は、重力に逆らって血液を心臓へと送り返すことです。この重要な働きを助けているのが、「筋肉のポンプ作用」と静脈内にある「弁」です。特に、ふくらはぎの筋肉は「第二の心臓」とも呼ばれ、歩行などで収縮する際に静脈を圧迫し、血液を力強く心臓の方向へ押し上げます7。そして、静脈内に数センチ間隔で存在する「弁」は、血液が心臓に向かって流れるときだけ開き、流れが止まると閉じて、血液が足の方向へ逆流するのを防ぐ逆流防止弁の役割を果たしています。

 なぜ静脈瘤ができるのか?血液の逆流が原因

下肢静脈瘤は、この逆流防止弁が何らかの原因で壊れたり、正常に機能しなくなったりすることで発症します。弁がうまく閉じなくなると、心臓へ戻るべき血液が足の方向へ逆流してしまいます(血液の逆流)8。逆流した血液は足の下の方に溜まり、静脈内の圧力が高まります。この高い圧力が長期間続くことで、静脈の壁が引き伸ばされて太くなり、ヘビのように蛇行したり、こぶのように膨らんだりするのです。これが、皮膚の上から血管がボコボコと浮き出て見える下肢静脈瘤の正体です。


これって静脈瘤?自分でできる症状チェックリスト

下肢静脈瘤の症状は多岐にわたり、見た目の変化だけでなく、様々な不快な感覚を伴います。以下は、ご自身で確認できる代表的な症状のチェックリストです。当てはまる項目が多いほど、下肢静脈瘤の可能性が高まります。

  • 足の表面に、青色や紫色の細かい血管がクモの巣のように見える(クモの巣状静脈瘤)。
  • 少し太い血管が網目のように広がって見える(網目状静脈瘤)。
  • 足の血管が、こぶのようにボコボコと浮き出ている、または蛇行しているのが見える(伏在型・側枝型静脈瘤)。
  • 特に夕方になると、足が重く感じる、だるい、疲れやすい。
  • 足に痛みを感じる、または熱っぽく感じる(灼熱感)。
  • 夜、寝ている間に足がつる(こむら返り)。
  • 足首やふくらはぎ、足の甲がむくむ(浮腫)。
  • 静脈瘤がある周辺の皮膚がかゆい。
  • 皮膚の色が茶色っぽく変化してきた(色素沈着)。
  • 皮膚が硬くなったり、湿疹ができたりする(うっ滞性皮膚炎)。
  • (最も重症なケースでは)皮膚に治りにくい潰瘍ができる(皮膚潰瘍)。

これらの症状は、英国国立医療技術評価機構(NICE)のガイドラインでも診断の際の重要な指標とされています5


下肢静脈瘤の主な原因と危険因子

なぜ、ある人は下肢静脈瘤になり、他の人はならないのでしょうか。その発症には、いくつかの明確な原因と危険因子が関わっています。

  • 遺伝(遺伝的素因): 最も強い危険因子とされています。近親者(特に両親)に下肢静脈瘤の方がいる場合、発症する可能性が著しく高まります。ある報告では、両親ともに下肢静脈瘤の場合、子供の発症率は約90%にものぼるとされています9
  • 加齢: 年齢とともに静脈の壁や弁が弱くなり、弾力性を失うため、機能不全に陥りやすくなります。日本の調査でも、60代から70代で有病率が高くなることが示されています10
  • 性別(女性であること): 女性は男性の約3倍発症しやすいとされています10。これは、女性ホルモン(特に黄体ホルモン)が静脈の壁を柔らかくし、拡張させる作用があるためと考えられています。
  • 妊娠・出産: 妊娠中は、ホルモンの変化に加えて、増大した子宮が骨盤内の太い静脈を圧迫し、足からの血液の戻りを妨げます。また、循環血液量が増加することも静脈への負担を大きくします。出産を経験した女性の約半数に何らかの静脈瘤が見られるというデータもあります7
  • 職業(長時間の立ち仕事・座り仕事): 美容師、調理師、販売員、教師、あるいはデスクワーク中心の事務職など、長時間同じ姿勢でいることは、ふくらはぎの筋肉ポンプ作用が十分に働かず、血液が足にうっ滞する原因となります7
  • 肥満: 体重が増加すると、腹部の内臓脂肪が腹腔内の圧力を高め、足の静脈への負担が増大します8
  • 生活習慣: 運動不足は筋ポンプ作用の低下を招きます。また、慢性的な便秘は排便時のいきみによって腹圧を高め、静脈還流を妨げます。日本の生活習慣に関連する因子として、長時間の正座は血流を悪化させる可能性があるため、避けるか頻繁に姿勢を変えることが推奨されます11

専門医による正確な診断が重要な理由

「足の血管が浮き出ているから、きっと静脈瘤だろう」と自己判断してしまうのは危険です。正確な治療方針を立てるためには、専門医による診断が不可欠です。下肢静脈瘤の診療を専門とするのは、主に「血管外科医」または「心臓血管外科医」です。

専門医は、まず視診や触診で静脈瘤の状態を確認し、詳しい問診を行います。そして、診断を確定し治療計画を立てる上で最も重要な検査が「カラードップラー超音波(エコー)検査」です512

この検査は、体に無害な超音波を使って、痛みもなくリアルタイムで血管の状態を観察できる非常に優れた方法です。超音波検査によって、以下の重要な情報が得られます。

  • どの静脈で血液の逆流が起きているか。
  • 逆流の程度はどれくらいか。
  • 血管の太さや深さはどうか。
  • 血栓(血の塊)ができていないか。

これらの情報に基づいて、医師は「血管の地図(マッピング)」を作成し、患者一人ひとりの状態に合わせた最適な治療法を決定します。適切な診断なしに治療を始めると、効果が不十分であったり、再発の原因となったりする可能性があるため、このステップは極めて重要です。


【徹底比較】あなたに最適な治療法は?5つの選択肢を解説

下肢静脈瘤の治療は、ここ10年で劇的に進歩しました。かつては入院と全身麻酔が必要な手術が主流でしたが、現在では日帰りで体への負担が少ない治療が中心となっています。ここでは、主要な5つの治療法を、それぞれの特徴、費用、効果、痛みの観点から徹底的に比較します。

比較表:あなたに合う治療法が一目でわかる

| 項目 | ① 保存的治療(弾性ストッキング) | ② 硬化療法 | ③ ストリッピング手術 | ④ 血管内焼灼術(レーザー/高周波) | ⑤ 血管内塞栓術(グルー治療) |
| :— | :— | :— | :— | :— | :— |
| 治療の目的 | 症状の緩和・進行予防 | 細い静脈瘤の治療 | 逆流している静脈の除去 | 逆流している静脈を熱で閉塞 | 逆流している静脈を接着剤で閉塞 |
| 痛みの程度 | なし | 軽度(注射の痛み) | 中〜強度 | 軽〜中度(麻酔注射の痛み) | 軽微(麻酔注射は1回のみ) |
| 麻酔の種類 | 不要 | 不要 | 全身麻酔または脊椎麻酔 | TLA局所麻酔 | TLA不要・局所麻酔 |
| 回復期間 | なし | ほぼなし | 2〜4週間 | 数日〜1週間 | ほぼなし(即時) |
| 術後の弾性ストッキング | 継続的に着用 | 必要(数日〜数週間) | 必要(数週間) | 必要(数週間) | 原則不要 |
| 保険適用 | あり | あり | あり | あり | あり(2019年12月〜) |
| 費用目安(3割負担) | 数千円 | 約1万円 | 約10〜15万円(入院費含む) | 約3〜5万円 | 約4〜6万円 |
| 長期成績 | 根本治療ではない | 再発の可能性あり | 良好だが侵襲大 | 良好(5年後再発率5%程度)13 | 良好(欧米データに基づく) |
| 主な対象 | 全ての患者、妊娠中 | クモの巣状・網目状 | 現在は限定的 | 中等症〜重症の伏在型 | 中等症〜重症の伏在型 |

選択肢1:保存的治療(弾性ストッキング)

これは、特殊な編み方で作られた医療用の着圧ソックスやストッキングを用いて、足首からふくらはぎにかけて段階的に圧力を加える方法です。外からの圧力で筋肉のポンプ作用を助け、血液のうっ滞を軽減し、むくみやだるさといった症状を和らげます5

ただし、これはあくまで症状を緩和し、病気の進行を遅らせるための対症療法であり、壊れた弁や静脈瘤そのものを治すものではありません。根本的な治療を望まない方、妊娠中の方、または他の治療法の適応がない場合に選択されます。使用する際は、自己判断で市販のものを購入するのではなく、必ず医師の診察を受け、適切な圧迫圧のものを処方してもらうことが重要です。

選択肢2:硬化療法(Sclerotherapy)

硬化療法は、静脈瘤に「硬化剤」と呼ばれる薬剤を直接注射し、血管の内側を刺激して炎症を起こさせ、血管を閉塞・退縮させる治療法です14

主に、クモの巣状静脈瘤や網目状静脈瘤といった細い血管が対象となります。治療は外来で短時間に行え、体への負担は非常に少ないですが、太い静脈瘤には効果が限定的です。また、治療後に色素沈着が起きることがあります。レーザー治療などの後、補助的に行われることも多い治療法です。

### 選択肢3:ストリッピング手術(従来の手術)

これは、弁が壊れて逆流の原因となっている太い静脈(主に大伏在静脈や小伏在静脈)を、手術によって根こそぎ引き抜いてしまう(ストリッピング)方法です。かつては標準的な治療法でしたが、以下のような欠点があります。

  • 全身麻酔または下半身麻酔(脊椎麻酔)が必要で、入院が必須。
  • 足の付け根や膝の内側など、数カ所の皮膚を切開するため、傷跡が残る。
  • 術後の痛みや皮下出血が強く、回復に数週間を要する。
  • 神経損傷のリスクが他の治療法より高い。

2011年のメイヨークリニックによる系統的レビューでもその有効性は確認されていますが15、侵襲が大きいため、日本静脈学会やNICEのガイドラインでは、後述する血管内治療が可能な場合はそちらを優先することが推奨されており35、現在では選択されるケースは限定的です。

選択肢4:血管内焼灼術(レーザー・高周波)

血管内焼灼術は、現在の日本の下肢静脈瘤治療における「ゴールドスタンダード(標準治療)」と位置づけられています3。レーザーファイバー(血管内レーザー治療、EVLA)または高周波カテーテル(血管内高周波治療、RFA)を、超音波ガイド下に膝の内側などから静脈内に挿入し、熱エネルギーで血管の内側から焼灼して完全に閉塞させる治療法です。

この治療の鍵となるのが「TLA(Tumescent Local Anesthesia)麻酔」です。これは、生理食塩水と麻酔薬、血管収縮薬を混ぜた多量の麻酔液を、治療する血管の周囲に注射する麻酔法です。これにより、①痛みをなくす、②熱から周囲の組織(皮膚や神経)を守る、③血管を圧迫して細くし、焼灼効果を高める、という3つの重要な役割を果たします12

手術に比べて傷が小さく(注射の穴のみ)、日帰りが可能で、長期成績も手術と同等に良好であることが複数の研究で示されています13

選択肢5:血管内塞栓術(グルー治療・ベナシール)- 最新の「痛くない」選択肢

グルー治療は、2019年12月に日本で保険適用となった最も新しい治療法で、医療用の瞬間接着剤(シアノアクリレート)を用いて逆流している静脈を内側から塞いでしまう画期的な方法です。代表的な製品名から「ベナシール(VenaSeal)」治療とも呼ばれます。

この治療法が注目される最大の理由は、患者の「痛み」に対する恐怖を劇的に軽減した点にあります。日本静脈学会のガイドライン策定や、日本での臨床試験にも関わった白杉望医師などの専門家もその低侵襲性を高く評価しています416。レーザー治療との最大の違いと利点は以下の通りです。

  • 非熱・非TLA: 熱を使わないため、熱による神経損傷のリスクが理論上ありません。これにより、レーザー治療では必須だった多量のTLA麻酔が不要となり、麻酔のための注射は最初の1回だけで済みます17
  • 痛みが極めて少ない: 治療中の痛みも、術後の痛みも非常に少ないのが特徴です。
  • 術後の弾性ストッキングが不要: レーザー治療では術後に必須だった弾性ストッキングの着用が、グルー治療では原則として必要ありません。これは患者にとって大きな解放感となります。
  • 即時の社会復帰: 治療直後から普段通りの生活が可能で、回復期間はほぼゼロです。

費用はレーザー治療よりやや高めですが、これらのメリットから、特に痛みへの不安が強い方や、術後すぐに活動したい方にとって非常に魅力的な選択肢となっています18


科学的根拠に基づく予防とセルフケア

下肢静脈瘤を完全に予防することは困難ですが、危険因子を減らし、症状を悪化させないためのセルフケアは非常に重要です。以下に、科学的根拠に基づいた実践的なアドバイスを挙げます。

  • 適度な運動: 特にウォーキングは、ふくらはぎの筋ポンプ作用を活性化させる最も効果的な運動です。1日20〜30分を目安に続けましょう。また、かかとの上げ下ろし運動(カーフレイズ)も、デスクワークや立ち仕事の合間に簡単に行える有効なエクササイズです8
  • 長時間の同一姿勢を避ける: 30分〜1時間ごとに、少し歩いたり、足首を回したり、姿勢を変えたりして、血流を促しましょう。
  • 足を高くして休む: 就寝時や休憩時に、クッションや座布団を使って心臓より10〜15cm高く足を挙げることで、足に溜まった血液が心臓に戻りやすくなります。
  • 適切な服装: 体を締め付けるガードルやきつい下着、ハイヒールは血行を妨げる可能性があるため、なるべく避けましょう。
  • 食生活の改善: 慢性的な便秘は腹圧を高めるため、食物繊維が豊富な野菜、果物、海藻などを積極的に摂取し、水分を十分に摂ることが大切です。また、ポリフェノールやフラボノイドといった抗酸化物質を多く含む食品も、血管の健康維持に役立つとされています。
  • 体重管理: 肥満は足への負担を増やすため、適正体重を維持することが重要です8

よくある質問(FAQ)

Q1: 治療は痛いですか?

治療に伴う痛みは、選択する方法によって大きく異なります。ストリッピング手術は麻酔下で行われますが、術後の痛みが最も強い傾向にあります。レーザーや高周波治療は、TLA局所麻酔を行う際の注射にチクチクとした痛みを伴いますが、治療中の痛みはほとんどありません。そして、最新のグルー治療(ベナシール)は、麻酔の注射が最初の1カ所のみで済むため、治療全体を通しての痛みが最も少ない選択肢と言えます。痛みへの不安が最も強い方には、グルー治療が最適な選択肢となる可能性が高いです17

Q2: 治療後、再発しますか?

残念ながら、どの治療法を選択しても再発のリスクはゼロではありません。しかし、レーザーや高周波、グルー治療といった現代的な治療法では、適切に行われた場合の5年以内の再発率は5%程度と報告されており、非常に良好な成績です13。再発の主な原因は、治療した血管とは別の血管が新たに悪くなることです。そのため、治療後も定期的な検診を受け、予防のためのセルフケアを継続することが、長期的に良好な状態を保つ鍵となります。

Q3: 下肢静脈瘤があっても温泉に入れますか?

基本的には、下肢静脈瘤があっても温泉に入ることは可能です。しかし、いくつかの注意点があります。長時間の入浴や熱すぎるお湯は血管を過度に拡張させ、症状を悪化させる可能性があります。また、静脈瘤のある部分を強くこすることも避けるべきです19。温泉療法医も、基本的には問題ないとしつつも、血栓性静脈炎などの急性症状がある場合は禁忌としています。見た目が気になって温泉を楽しめない、という心理的な側面も大きい問題です。根本的な治療を行うことで、このような心配なく心からリラックスして温泉を楽しむことができるようになるでしょう。

Q4: 費用はどのくらいかかりますか?保険は適用されますか?

現在、日本で行われている主要な治療法(弾性ストッキング、硬化療法、ストリッピング手術、血管内焼灼術、グルー治療)は、すべて公的医療保険の適用対象です。自己負担額(3割負担の場合)の目安は以下の通りです。レーザーや高周波治療は約3〜5万円、最新のグルー治療は約4〜6万円程度です(片足の場合。医療機関により多少異なります)18。ストリッピング手術は入院が必要なため、総額では高くなる傾向にあります。また、高額療養費制度の対象となる場合もありますので、詳しくは医療機関にご相談ください。

Q5: どの専門医に相談すればよいですか?

下肢静脈瘤の診断と治療は、血管、特に静脈を専門とする医師に相談することが最も重要です。診療科としては、「血管外科」または「心臓血管外科」が専門となります。近年では、「下肢静脈瘤」を専門に掲げるクリニックも増えています。病院やクリニックを選ぶ際は、カラードップラー超音波検査をきちんと行い、すべての治療選択肢(特にレーザーやグルー治療などの最新治療)について説明してくれる医療機関を選ぶことをお勧めします。


結論

下肢静脈瘤は、見た目の問題だけでなく、痛みやだるさ、むくみといった不快な症状を引き起こし、生活の質(QOL)を著しく低下させる可能性のある病気です。しかし、本稿で詳述したように、その治療法は大きく進歩しており、もはや「痛くて怖い手術」を受ける必要はほとんどありません。

レーザーや高周波による血管内焼灼術は、体への負担が少ない標準治療として確立されています。さらに、最新のグルー治療(ベナシール)は、痛みや術後のケアに対する患者様の負担を極限まで減らした画期的な選択肢として登場しました。

最も重要なことは、症状を「歳のせい」や「体質だから」と諦めて放置せず、勇気を出して専門医の診察を受けることです。正確な診断に基づき、ご自身の症状、ライフスタイル、そして価値観に最も合った治療法を医師と相談して決定することが、健康で快適な毎日を取り戻すための第一歩です。もし足に気になる症状があれば、ぜひお近くの血管外科へご相談ください。

免責事項この記事は情報提供のみを目的としており、専門的な医療アドバイスを構成するものではありません。健康に関する懸念がある場合や、ご自身の健康や治療に関する決定を下す前には、必ず資格のある医療専門家にご相談ください。

参考文献

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  2. メドトロニックジャパン株式会社. 足の不調と疾患/下肢静脈瘤に関する意識調査2021. 2021年9月15日 [引用日: 2025年7月25日]. Available from: https://www.think-vein.jp/release2109.html
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