【赤ちゃんの免疫力】母乳と粉ミルクの違いと、免疫サポート成分入り粉ミルクの選び方
小児科

【赤ちゃんの免疫力】母乳と粉ミルクの違いと、免疫サポート成分入り粉ミルクの選び方

生後まもない赤ちゃんは、風邪や胃腸炎などの感染症にかかりやすく、「免疫力が弱いのでは?」と不安になる保護者の方も多いのではないでしょうか。特に、生後6か月を過ぎると、妊娠中にお母さんからもらった免疫(移行抗体)が少しずつ減っていく一方で、自分自身の免疫システムはまだ発達途中のため、「免疫の空白期間」と呼ばれる時期を迎えます。

この時期の赤ちゃんを支えるうえで、母乳や粉ミルクなどの栄養は非常に大切です。母乳には分泌型IgA(sIgA)やラクトフェリン、ヒトミルクオリゴ糖(HMO)など、多くの免疫関連成分が含まれており、人工的には完全に再現できないとされています。一方で、日本で販売されている育児用粉ミルクは厳しい基準のもとで安全性・栄養バランスが管理されており、最近ではラクトフェリン、オリゴ糖、プロバイオティクスなど、免疫をサポートする成分を配合した製品も増えています。

本記事では、赤ちゃんの免疫の基本から、母乳と粉ミルクの役割、よく見かける「免疫サポート成分」の意味、そして代表的な粉ミルクブランド(森永、明治、NAN、Friso、Aptamil)の特徴まで、順を追ってやさしく解説します。最後に、受診の目安やよくある質問もまとめていますので、「自分の子どもに合ったミルクの選び方が知りたい」「免疫力を高めてあげたいけれど、何から始めたらよいか分からない」という方は、ぜひ最後まで読み進めてみてください。

Japanese Health(JHO)編集部とこの記事の根拠について

Japanese Health(JHO)は、健康と美容に関する情報を提供するオンラインプラットフォームです。膨大な医学文献や公的ガイドラインを整理し、日常生活で活用しやすい形でお届けすることを目指しています。

本記事の内容は、日本財団母乳バンクや厚生労働省、日本の小児科領域の専門情報、さらに査読付き論文などの一次情報に基づいて、JHO編集部がAIツールのサポートを受けつつ、最終的には人の目で一つひとつ確認しながら作成しています。

  • 厚生労働省・自治体・公的研究機関:乳幼児の栄養と母乳・粉ミルクに関する資料、感染症やワクチンの情報、統計資料など、日本人向けの公式情報を優先して参照しています。
  • 国内外の医学会ガイドライン・査読付き論文:ヒトミルクオリゴ糖(HMO)、ラクトフェリン、乳児の免疫発達に関するレビュー論文など、科学的に検証されたエビデンスをもとに要点を整理しています。
  • 教育機関・医療機関・NPOによる一次資料:母乳バンクや小児科関連団体による資料を参考に、母乳の免疫物質や赤ちゃんの腸内細菌叢に関する知見を紹介します。

AIツールは、文献の要約や構成案作成の「アシスタント」として活用していますが、公開前には必ずJHO編集部が原著資料と照合し、重要な記述を一つひとつ確認しながら、事実関係・数値・URLの妥当性を検証しています。

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要点まとめ

  • 赤ちゃんの免疫は生まれつき未熟で、妊娠中にもらった免疫が減っていく生後6か月〜3歳頃は、感染症にかかりやすい時期です。
  • 母乳には分泌型IgA(sIgA)、ラクトフェリン、ヒトミルクオリゴ糖(HMO)など、多くの免疫関連成分が含まれており、腸内環境を整えながら赤ちゃんを感染から守る働きがあります。
  • 日本で販売されている育児用粉ミルクは、厚生労働省などの基準を満たしており、どの商品でも基本的な栄養はしっかりと摂取できます。「免疫サポート」の表示は、特定成分を強調したものであり、魔法のような効果を保証するものではありません。
  • ラクトフェリン、オリゴ糖(HMO様成分・ガラクトオリゴ糖など)、プロバイオティクス・プレバイオティクス、ヌクレオチド、ビタミンC・Dなどは、腸のバリア機能や免疫応答を支える成分として研究されています。
  • 森永、明治、NAN、Friso、Aptamilなどのブランドは、それぞれラクトフェリンやビフィズス菌、HMO、オリゴ糖などの配合を工夫しており、「赤ちゃんの体質」「飲みやすさ」「便の状態」などを見ながら選ぶことが大切です。
  • どのミルクを選んだとしても、用量・用法を守って安全に調乳し、ワクチン接種や生活リズムの整え方など、総合的なケアと組み合わせることが「免疫力を育てる」近道になります。

第1部:赤ちゃんの免疫力の基本と日常生活の見直し

最初に、赤ちゃんの免疫システムがどのように働き、どのような日常の習慣が免疫力に影響しやすいのかを整理しておきましょう。「免疫が弱いのでは?」という不安の多くは、免疫の仕組みを知ることで、過度な心配を減らすことができます。

1.1. 赤ちゃんの免疫システムの基本

人の免疫システムは、大きく「生まれつき備わっている自然免疫」と「経験を重ねて育つ獲得免疫」に分けられます。赤ちゃんはお腹の中にいる間に、お母さんから胎盤を通してIgGという抗体を受け取っていますが、生後数か月で少しずつ減っていきます。一方で、自分自身の免疫は、生後の感染症やワクチン接種、腸内細菌との付き合いを通してゆっくり育っていきます。

日本財団母乳バンクの解説では、母乳には分泌型IgA(sIgA)、ラクトフェリン、ヒトミルクオリゴ糖(HMO)などの免疫物質が含まれ、腸管粘膜での感染防御や腸内細菌叢の形成に重要な役割を果たすとされています1。こうした成分は、赤ちゃん自身の未熟な免疫を「外側から支える」大切なサポート役といえます。

1.2. 「免疫の空白期間」とよくある不安

生後6か月頃から3歳頃にかけては、妊娠中にもらった抗体が減り、保育園や外出などでウイルスや細菌に触れる機会が増えるため、風邪や中耳炎、胃腸炎などの感染症にかかりやすくなります。この時期は「免疫の空白期間」と呼ばれることもありますが、何度か感染を経験すること自体が、将来の免疫の土台づくりに役立つ側面もあります。

もちろん、高熱が続いたり、ぐったりしている、呼吸が苦しそうなどのサインがあれば、早めに小児科や救急外来を受診することが大切です。後半の「受診の目安」の章で、危険なサインについても具体的にまとめます。

1.3. 悪化させてしまうNG習慣と、日常生活でできる工夫

赤ちゃんの免疫を支えるうえで、栄養だけでなく、睡眠・環境・スキンシップなどの日常要因も重要です。次のような点は、無意識のうちに「免疫力を下げる方向」に働いてしまうことがあります。

  • エアコンや暖房を強くしすぎて、室内が乾燥しすぎている(鼻や喉の粘膜が乾燥し、ウイルスが入りやすくなる)。
  • 保護者が強いストレスや睡眠不足で、育児の余裕がなくなり、授乳やミルク、離乳食のリズムが乱れがちになる。
  • 「菌が怖いから」と消毒をしすぎて、必要以上に外遊びや人との接触を制限してしまう。

一方で、以下のような工夫は、免疫システムが育つ土台づくりにつながります。

  • 適度な湿度(40〜60%)と室温を保ち、こまめな換気を心がける。
  • 授乳やミルクの時間を、赤ちゃんと保護者のペースに合わせつつ、大きく崩れないように・無理しすぎないように工夫する。
  • 生後の月齢や体調に応じて、短時間の散歩や外気浴など、外の空気に触れる機会を少しずつ増やしていく。
表1:赤ちゃんの免疫と生活習慣セルフチェック
こんな状況はありませんか? 考えられる主な背景・見直したいポイント
風邪をひくたびに「免疫が弱いのでは」と不安になり、育児がつらく感じる 免疫発達のプロセスへの理解不足。不安な点は健診や小児科で相談し、ひとりで抱え込まない。
1日の授乳・ミルク・離乳食の時間が毎日大きくバラバラで、保護者もヘトヘト 生活リズムの乱れは、赤ちゃん・保護者双方の睡眠不足につながる。できる範囲で「ゆるい目安時間」を決める。
「菌が心配」だからと、必要以上に家から出ず、祖父母や友人とも会えていない 感染予防は大切だが、保護者の孤立やストレスは別のリスクになる。オンライン相談や子育て支援も活用する。

第2部:母乳・粉ミルクと免疫 — 栄養・腸内環境・免疫サポート成分

ここでは、母乳と粉ミルクそれぞれの特徴と、免疫をサポートするとされる成分について整理します。どちらが「絶対に優れている」というよりも、「それぞれの良さを理解し、自分の家庭に合った選択をする」ことが大切です。

2.1. 母乳が持つ免疫物質:sIgA・ラクトフェリン・HMO など

母乳には、エネルギー源となるたんぱく質・脂質・炭水化物に加えて、分泌型IgA(sIgA)、ラクトフェリン、ヒトミルクオリゴ糖(HMO)など、多くの免疫関連成分が含まれます1。分泌型IgAは、腸や呼吸器の粘膜表面に膜のように張り付き、ウイルスや細菌が細胞に付着するのを防ぐ働きがあるとされます。

ラクトフェリンは鉄と結合しやすい性質を持つたんぱく質で、病原菌が増えるのに必要な鉄を奪うことで、感染防御に役立つと報告されています1。また、ヒトミルクオリゴ糖(HMO)は、乳児の腸内でビフィズス菌などの有益な細菌のエサとなり、腸内環境を整えつつ、病原菌の付着を妨げる働きを持つとするレビューもあります23

こうした成分は、母乳ならではの特徴であり、人工的に完全に再現することは現時点では難しいとされています。そのため、可能であれば母乳育児を続けることには多くのメリットがありますが、様々な事情で母乳だけにこだわることが難しい家庭も少なくありません。

2.2. 粉ミルクの役割と安全性

日本で販売されている育児用粉ミルクは、厚生労働省の基準に基づいて、赤ちゃんの成長に必要なエネルギーやたんぱく質、脂質、ビタミン・ミネラルがバランスよく含まれるよう設計されています。市販の粉ミルク間で栄養バランスに大きな差はなく、「どの商品でも基本的な栄養はしっかり摂れる」と紹介する解説もあります6

そのうえで、各メーカーはラクトフェリンやオリゴ糖、プロバイオティクス(生きた善玉菌)、ヌクレオチド、DHA・ARAなど、母乳に含まれる成分や免疫・発達をサポートする成分を組み合わせることで、特徴を打ち出しています234。ただし、「特定の成分が入っている=他より免疫力が圧倒的に高くなる」という意味ではありません。

厚生労働省の資料でも、母乳栄養は胃腸感染症の減少などの利点がある一方で、アレルギー予防効果については限定的であると報告されており、粉ミルクも適切に使用すれば十分安全であると整理されています5。大切なのは、広告のキャッチコピーだけでなく、全体の栄養バランスや赤ちゃんの飲みやすさ、体調の変化などを総合的に見て選ぶことです。

2.3. 免疫サポート成分の代表例

粉ミルクのパッケージには、「ラクトフェリン配合」「オリゴ糖入り」「プロバイオティクス配合」など、さまざまな表示があります。それぞれのおおまかな役割を整理しておきましょう。

  • ラクトフェリン:母乳、特に初乳に多く含まれるたんぱく質で、鉄と結合することで細菌やウイルスの増殖を抑える働きがあるとされています1。一部の粉ミルクでは、母乳に近づける目的でラクトフェリンが添加されています8
  • オリゴ糖・ヒトミルクオリゴ糖様成分:母乳中のHMOやガラクトオリゴ糖などは、ビフィズス菌を増やし、腸内環境を整えることで免疫に間接的に関わるとされます234
  • プロバイオティクス・プレバイオティクス:プロバイオティクスはビフィズス菌などの「善玉菌」そのもの、プレバイオティクスはそれらのエサとなる成分(オリゴ糖など)を指します。腸内細菌叢を整えることで、全身の免疫応答を支える役割が期待されています7
  • ヌクレオチド:DNAやRNAの構成要素で、免疫細胞の増殖や腸管の発達を支える可能性が指摘されています。一部の粉ミルクでは、ヌクレオチドを添加している商品があります9
  • ビタミンC・Dなど:ビタミンCやDは、免疫細胞の働きを支える栄養素として知られており、粉ミルクにも基準量が配合されています11

これらの成分は、「免疫力を一気に高める魔法の成分」ではなく、「腸内環境や栄養状態を整えることで、赤ちゃん本来の免疫機能が働きやすい環境をつくる」ためのサポート役と考えるとイメージしやすいでしょう。

2.4. 免疫サポート成分入り粉ミルクの代表的なブランド例

ここでは、日本でもよく知られている5つのブランドを例に挙げ、それぞれの特徴的な成分や考え方を整理します。いずれも、個別の商品を推奨・保証するものではなく、「こうした違いがある」と理解するための参考情報です。

森永(Morinaga)

森永乳業のフォローアップミルク「チルミル」などでは、ラクトフェリンとビフィズス菌BB536を組み合わせ、「初乳に多いラクトフェリンが赤ちゃんを守る」というコンセプトが紹介されています8。BB536は乳児から成人まで幅広く用いられているビフィズス菌の一種で、腸内環境を整えるはたらきが期待されています。

明治(Meiji)

明治の「ほほえみ」「ステップ」などでは、母乳に含まれるオリゴ糖に着目し、フラクトオリゴ糖を配合することで腸内のビフィズス菌を増やす工夫がされています7。また、同社の情報サイトでは、「お母さんからもらった免疫が生後6か月頃から減っていく」ことや、腸内環境を整える重要性についても説明されています7

NAN(Nestlé NAN)

ネスレのNANシリーズの一部商品では、部分加水分解たんぱく質(Optiproなど)を採用し、消化しやすさやアレルギーリスクへの配慮を前面に出しています10。海外向け製品ではHMOやプロバイオティクスを配合した商品もあり、乳児の免疫とアレルギーに関する研究に基づいた開発が行われています12

Friso(Friso Gold / Frisolac)

Friso Gold(Frisolacなどを含むシリーズ)は、GOS(ガラクトオリゴ糖)やヌクレオチド、ビフィドバクテリウム属の菌などを配合し、「腸内環境と免疫のサポート」をコンセプトのひとつとしています9。一部の商品ではスクロース(砂糖)を用いず、乳糖を中心としたやさしい甘さを特徴としています。

Aptamil(アプタミル)

Aptamilはヨーロッパやオセアニアなどで広く用いられているブランドで、GOS/FOS(プレバイオティクス)、特定の乳酸菌(例:B. breve M-16V)やHMO(3’GLなど)を組み合わせた「バイオティクスブレンド」によって、腸内細菌叢と免疫の発達をサポートするコンセプトが紹介されています11

このように、各ブランドはそれぞれ異なる成分や研究背景をアピールしていますが、「どれが一番免疫によいミルクか」というよりも、「自分の子どもが飲みやすいか」「便や肌の調子はどうか」「家計や調達のしやすさも含めて続けやすいか」といった総合的な視点で選ぶことが大切です6

第3部:免疫の問題が隠れていることも — 専門的な診断が必要なケース

多くの赤ちゃんは、風邪や胃腸炎などの感染症を何度か繰り返しながら、少しずつ免疫を育てていきます。一方で、まれに「原発性免疫不全症」など、免疫システムの先天的な異常が背景にある場合もあります。こうした病気は早期発見・早期治療が大切です。

3.1. 受診を急いだほうがよい「危険なサイン」

次のような場合は、「ただの風邪」ではなく、免疫や臓器の病気が隠れている可能性もあります。すぐに小児科、場合によっては救急外来への受診を検討してください。

  • 生後3か月未満で38℃以上の発熱がある。
  • 呼吸が速い、胸がペコペコとへこむ、顔色が悪い・唇が紫色っぽい。
  • 1歳未満で同じ部位の肺炎や中耳炎を何度も繰り返し、治りが悪い。
  • 成長曲線が大きく落ち込む、体重が増えない、いつもぐったりしている。
  • 膿のたまり方が異常に強い、傷や湿疹が治りにくいなど、皮膚症状が強い。

気になる症状がある場合は、「何回目の感染か」「どのくらいの期間続いているか」「どの薬をどのくらい使ったか」をメモしておくと、診察時に役立ちます。

3.2. ミルクだけで解決しようとしないことが大切

「免疫サポート」と書かれたミルクを飲めば、こうした病気が防げる、あるいは治るわけではありません。免疫の土台づくりに栄養は重要ですが、「ミルクだけで何とかしよう」とするのは危険です。気になる症状があるときは、早めに小児科などの医療機関に相談し、必要な検査や治療を受けることが何より大切です。

第4部:今日から始める免疫サポート — 栄養と生活のアクションプラン

ここでは、「赤ちゃんの免疫を育てる」ために、今日からできる具体的なアクションをレベル別に整理します。ミルク選びだけでなく、ワクチン、生活リズム、保護者自身の健康も含めて考えてみましょう。

表2:免疫サポート・アクションプラン
ステップ アクション 具体例
Level 1:今夜からできること 調乳と授乳の基本を見直す 粉ミルクのスプーンのすり切り方・お湯の温度・哺乳びんの消毒方法を、説明書どおりに再確認する。泣き方や飲む勢いを観察し、無理に飲ませすぎない。
Level 1:今夜からできること 寝室環境の調整 室温と湿度を確認し、加湿器や洗濯物の室内干しで適度な湿度を保つ。煙草の煙や強い香料など、刺激物を遠ざける。
Level 2:今週から意識したいこと ミルク・離乳食のリズムづくり 授乳・ミルク・離乳食の「だいたいの時間帯」を決めて、赤ちゃんと保護者の生活リズムを徐々に整えていく。
Level 2:今週から意識したいこと ワクチンスケジュールの確認 母子健康手帳を見ながら、定期接種のスケジュールを確認し、かかりつけの小児科で相談・予約を行う。
Level 3:長期的に続けたいこと 家庭全体の生活習慣の見直し 保護者自身の睡眠・食事・ストレスケアにも目を向け、「大人も元気でいられる暮らし方」を一緒に考える。

4.1. ミルクの切り替えやブランド比較のポイント

「免疫サポート」と書かれたミルクに興味があっても、いきなり頻繁にブランドを変えると、赤ちゃんの腸内環境が落ち着かず、便の状態が不安定になることもあります。ミルクの切り替えを考えるときは、次のポイントを意識するとよいでしょう。

  • 今のミルクで「飲み残しが多い」「便の状態や肌荒れが気になる」など、具体的な理由があるかどうかを整理する。
  • 成分表示を見て、「ラクトフェリン」「オリゴ糖」「プロバイオティクス」「ヌクレオチド」など、何を重視したいのか優先順位を決める。
  • 切り替える場合は、数日〜1週間ほどかけて徐々に混合しながら行い、便の状態や機嫌の変化を観察する。
  • アレルギーや消化不良が疑われる場合は、自己判断で特殊ミルクに切り替えず、小児科医と相談して決める。

4.2. 母乳とミルクの混合育児で意識したいこと

仕事復帰や体調、心理的な負担などの理由から、母乳とミルクを併用する「混合育児」を選ぶ家庭も多くあります。混合育児は、「母乳の免疫成分」と「粉ミルクの安定した栄養」を両方活用できる柔軟な選択肢です。

混合育児を行うときは、「母乳が出ている時間帯はなるべく直接授乳する」「夜間は保護者の休息を優先してミルクに頼る」「保育園入園後は日中ミルク・帰宅後は母乳」など、家庭に合ったバランスを探していきましょう。どのバランスが「正解」というわけではなく、「赤ちゃんと保護者が無理なく続けられる形」がいちばんの大切なポイントです。

第5部:専門家への相談 — いつ・どこで・どのように?

最後に、「どのタイミングで医療機関を受診するべきか」「どの診療科を選べばよいか」「診察時にどんな情報を伝えればよいか」について整理します。ミルク選びと並行して、信頼できる相談先を持っておくことは、赤ちゃんの免疫を守るうえで大きな安心につながります。

5.1. 受診を検討すべき危険なサイン

  • 生後3か月未満で38℃以上の発熱がある。
  • 水分がほとんどとれず、おしっこが半日以上出ていない。
  • 呼吸が速く、肩で息をしている・胸が大きくへこむなど、呼吸困難が疑われる。
  • けいれんが起きた、あるいは意識がもうろうとしている。
  • 繰り返す肺炎・中耳炎・副鼻腔炎など、感染症が異常に多く、治りが非常に悪い。

上記のような症状がある場合は、ためらわずに小児科や救急外来に相談し、必要であれば119番通報も検討してください。日本の救急医療体制では、乳幼児の急変時には早めの受診が推奨されています。

5.2. 症状に応じた診療科の選び方

  • 発熱・咳・鼻水・下痢・嘔吐など、全身の症状:まずは小児科を受診。
  • 湿疹・アトピー・食物アレルギーが疑われる:小児科または小児皮膚科・アレルギー科。
  • 哺乳不良・体重増加不良・慢性的な下痢などが続く:小児科の中でも消化器を得意とする医師や、小児消化器内科がある施設に相談。

5.3. 診察時に持参すると役立つものと費用の目安

  • 母子健康手帳:出生時からの成長曲線やワクチン接種歴を確認できます。
  • お薬手帳:これまでに使った薬やアレルギー歴が分かると、処方に役立ちます。
  • 症状メモ:いつから、どのような症状が、どのくらい続いているか。ミルクや離乳食の種類・量、体温の変化などを簡単にメモしておくと便利です。

日本の公的医療保険制度では、多くの自治体で子どもの医療費助成制度があり、自己負担額が抑えられている場合がほとんどです。地域の制度については自治体の窓口やホームページで確認してみましょう。

よくある質問

Q1: 「免疫力アップ」と書かれた粉ミルクを飲めば、病気にかかりにくくなりますか?

A1: ラクトフェリンやオリゴ糖、プロバイオティクスなどの成分は、腸内環境を整えたり、感染防御をサポートする役割が期待されていますが、「病気にかからなくなる」「免疫力が劇的に上がる」といった効果を保証するものではありません123。日本で販売されている育児用粉ミルクは、どのブランドでも基本的な栄養は満たしています6。ミルクの成分だけでなく、ワクチン接種や生活リズム、睡眠、保護者のサポート体制など、総合的なケアが大切です。

Q2: 母乳とミルクを混合しても、母乳の免疫成分のメリットはありますか?

A2: はい、あります。母乳に含まれる分泌型IgAやラクトフェリン、HMOなどの免疫関連成分は、どれくらいの量を飲むかによって差はありますが、混合育児であっても母乳を飲んでいるかぎり、一定の恩恵が期待できます12。一方で、粉ミルクも栄養面でしっかり赤ちゃんを支えてくれますので、「母乳が減ってしまったからダメ」ということはありません。家庭に合ったバランスで続けることが、赤ちゃんと保護者双方の健康につながります。

Q3: 便秘や下痢が気になるとき、ミルクを変えたほうがよいですか?

A3: 便の回数や固さには個人差があり、ミルクの種類やオリゴ糖・プロバイオティクスの有無によっても変化します478。突然の水のような下痢や血便、高熱を伴う場合は、まず感染症を疑って小児科を受診しましょう。慢性的な便秘や、軽い便のゆるさが続く場合は、ミルクの成分や飲ませ方を見直すことで改善することもありますが、自己判断で何度もミルクを変える前に、一度かかりつけ医に相談することをおすすめします。

Q4: 免疫サポート成分入りのミルクは、アレルギー予防にも効果がありますか?

A4: 母乳栄養や一部の加水分解たんぱく質を用いたミルクが、アレルギーリスクに与える影響については多くの研究がありますが、その結果は一様ではなく、「完全な予防効果がある」とまでは言えません510。アレルギーの家族歴がある場合や、すでに湿疹や食物アレルギーが疑われる場合は、自己判断でミルクを変えるのではなく、小児科やアレルギー専門医と相談しながら方針を決めることが大切です。

Q5: 海外ブランドの粉ミルク(Aptamil や Friso など)を選んでも大丈夫ですか?

A5: 海外ブランドの粉ミルクでも、正規のルートで輸入された製品であれば、多くは各国の基準に基づいて安全に製造されています。ただし、日本国内で販売されている製品と比べて、成分バランスや表示基準が異なる場合があります911。個人輸入品や並行輸入品を使用する場合は、賞味期限や保管状態、調乳指示などに十分注意し、不安があれば医療者や自治体の窓口に相談してください。

Q6: ミルクで免疫をサポートしていれば、ワクチンを打たなくてもよいですか?

A6: いいえ、ワクチンは別の役割を持つ、とても重要な予防手段です。ミルクや母乳は全身の免疫の土台づくりや感染防御をサポートしますが、特定の病気に対する「獲得免疫」を育てる役割はありません。ワクチンは、重症化しやすい感染症に対する免疫を獲得するためのものであり、母乳・ミルクとは別のレイヤーで赤ちゃんを守ってくれます。母子健康手帳のスケジュールを確認し、適切なタイミングで接種を進めましょう。

Q7: すぐに仕事復帰する予定ですが、母乳が減ると免疫面で不利になりますか?

A7: 仕事復帰によって母乳量が減ることを不安に感じる方は多いですが、「完全母乳でなければいけない」というルールはありません。母乳を与えられる時間帯は母乳を、日中はミルクを、といった混合育児でも、赤ちゃんは十分に成長・発達していきます。母乳の免疫成分はもちろん大切ですが、保護者自身の睡眠・メンタルヘルス・家庭の経済的・時間的なゆとりも、子どもの健康にとって非常に重要な要素です。無理をして体調を崩す前に、保育園や家族、職場と相談しながら、現実的に続けられるスタイルを一緒に考えていきましょう。

結論:この記事から持ち帰ってほしいこと

赤ちゃんの免疫システムは、生まれた瞬間から完成されているわけではなく、母乳に含まれる免疫物質や、粉ミルク・離乳食からの栄養、腸内細菌との付き合い、ワクチン接種、日々の生活習慣など、さまざまな要素によって少しずつ育っていきます。

母乳には分泌型IgAやラクトフェリン、HMOなどの豊富な免疫関連成分が含まれており、可能であれば続ける価値があります。一方で、日本で販売されている育児用粉ミルクは、厳しい基準のもとで安全性と栄養バランスが管理されており、ラクトフェリンやオリゴ糖、プロバイオティクスなどを配合した製品も増えています。特定の成分だけにこだわりすぎず、「赤ちゃんが飲みやすいか」「体調は安定しているか」「保護者が無理なく続けられるか」を重視して選ぶことが、結果的に赤ちゃんの免疫を支える近道です。

「免疫力」という言葉だけが一人歩きすると、不安ばかりが膨らんでしまいます。大切なのは、信頼できる情報源をもとに、赤ちゃんと家族に合ったペースでケアを積み重ねていくことです。気になる症状があるときや、ミルク選びで悩んだときは、一人で抱え込まずに、小児科や地域の子育て支援窓口などに相談してみてください。

この記事の編集体制と情報の取り扱いについて

Japanese Health(JHO)は、信頼できる公的情報源と査読付き研究に基づいて、健康・医療・美容に関する情報をわかりやすくお届けすることを目指しています。

本記事の原稿は、最新のAI技術を活用して下調べと構成案を作成したうえで、JHO編集部が一次資料(ガイドライン・論文・公的サイトなど)と照合しながら、内容・表現・数値・URLの妥当性を人の目で一つひとつ確認しています。最終的な掲載判断はすべてJHO編集部が行っています。

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免責事項 本記事は情報提供のみを目的としており、専門的な医学的助言や診断、治療に代わるものではありません。健康上の懸念がある場合や、治療内容の変更・中止等を検討される際には、必ず資格のある医療専門家にご相談ください。

参考文献

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  10. Nestlé. NAN PRO infant formula 製品情報. https://www.nestle.com.hk/en/brands/allbrands/nan(最終アクセス日:2025-11-26)

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