「検査では異常がないと言われたのに、痛みやだるさが続いてつらい」「何度病院に行っても原因がはっきりせず、不安ばかりが大きくなってしまう」――このような悩みを抱えていませんか。
身体症状症(しんたいしょうじょうしょう:Somatic Symptom Disorder)は、痛みや疲労感、息苦しさなどの身体の症状そのものに加えて、その症状に対する強い不安や心配、考えすぎによって、日常生活に大きな支障が出てしまう心の病気です。症状の原因となる身体の病気がある場合もあれば、検査をしてもはっきりした異常が見つからない場合もあります。
いずれの場合でも、本人にとっては症状が非常にリアルでつらく、「気のせい」「仮病」などでは決してありません。適切な説明と心理的サポート、必要に応じた薬物療法などにより、症状との付き合い方を身につけていくことで、生活の質を改善できることがわかっています。
この記事では、日本語の公的情報や専門学会の資料、国際的なガイドラインなどにもとづいて、身体症状症の特徴、原因、治療、日常生活でできる工夫、受診の目安までをわかりやすく整理します。ご自身やご家族の状況を振り返るヒントとして、最後までゆっくり読み進めてみてください。
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要点まとめ
- 身体症状症は、痛み・だるさ・息苦しさなどの身体の症状と、その症状に対する強い不安や心配・考えすぎが長く続き、生活に支障をきたす精神疾患です。
- 検査で異常が見つかる場合もあれば、はっきりした身体の病気が見つからない場合もありますが、いずれにしても本人のつらさは「気のせい」ではなく現実であり、「仮病」ではありません。
- 発症には、ストレスやトラウマなどの心理社会的要因、痛みに敏感になりやすい体質、過去の病気体験、不安やうつなどの精神症状、性格傾向など、さまざまな要因が組み合わさって関わるとされています。
- 治療の中心は、かかりつけ医や総合診療医・心療内科・精神科などとの継続的な信頼関係と、認知行動療法などの心理療法です。必要に応じて抗うつ薬などの薬物療法が併用されます。
- 日常生活では、症状にばかり意識を向けすぎない工夫、ストレスマネジメント、家族や職場とのコミュニケーション調整、受診の頻度を適切に保つことなどが役立つとされています。
- 息苦しさの急な悪化、突然の強い胸痛・頭痛、意識がもうろうとする、死にたい気持ちが強い――といった場合は、身体症状症かどうかに関わらず、迷わず救急受診や119番通報を検討すべき緊急サインです。
- 「何科に行けばいいかわからない」「これ以上受診しても無駄では?」と感じている場合こそ、この記事を参考にしながら、信頼できる医療機関や相談先を一緒に検討していきましょう。
「この痛みは大きな病気のサインではないか」「検査で異常がないと言われても、どうしても納得できない」。身体症状症の方は、こうした不安を誰にも言えず、一人で抱え込んでしまうことが少なくありません。
本記事では、まず「身体症状症とは何か」という基本から、生活習慣やストレスとの関係、似ている病気との違い、病院で行われる検査や診断の流れ、専門的な治療の内容までを、段階的に解説していきます。
あわせて、今日からできるセルフチェックや日常生活の工夫、周囲の人ができるサポート、医療機関に相談するときに役立つ準備の仕方なども具体的に紹介します。
この記事を読み進めることで、「自分の症状や不安をどのように理解すればよいか」「いつ・どこで・誰に相談すべきか」が少しずつクリアになり、必要以上に自分を責めず、一歩踏み出すためのヒントが見つかることを目指しています。
第1部:身体症状症の基本と日常生活の見直し
このセクションでは、身体症状症とはどのような状態なのか、その基本的な考え方と、まず最初に見直したい日常生活のポイントを解説します。いきなり専門的な病名を心配する前に、「生活リズム・ストレス・情報との付き合い方」など、誰にでも当てはまりやすい要因を整理しておくことが大切です。
1.1. 身体症状症とは?基本的なメカニズム
身体症状症は、「痛み」「疲労感」「動悸」「息苦しさ」「胃腸の不快感」などの身体症状が続き、それに対して過剰な不安や心配、繰り返しの受診や検査などの行動が生じている状態を指します。国際的な診断基準であるDSM-5では、 「1つ以上の身体症状があり、日常生活に支障を与える」「その症状に対して、強い不安や心配、症状にとらわれた行動が6か月以上続く」といった点が特徴として挙げられています。
大事なポイントは、「症状が本物である」ということです。検査で重大な病気が見つからなかったとしても、痛みやだるさ、不快感はたしかに存在し、本人にとっては仕事や家事、育児に影響するほどつらいことが少なくありません。
一方で、症状そのものだけでなく、「この症状は大きな病気のサインではないか」「将来寝たきりになるのでは」「家族に迷惑をかけるのでは」といった考え方や不安の強さが、症状の感じ方を強めてしまうこともわかっています。脳の中で、痛みや不調の信号を処理するシステムと、不安・恐怖を感じるシステムが互いに影響し合い、悪循環を作ってしまうイメージです。
1.2. 症状を悪化させやすいNG習慣
身体症状症の背景には、ストレスや生活習慣、情報との付き合い方など、日々の行動パターンが少なからず関わっています。次のような習慣は、結果的に不安や症状を強めてしまうことが多いとされています。
- 症状を何度もネット検索してしまう:検索するたびに重篤な病気の記事が目に入り、「自分もそうかもしれない」と不安が増幅しやすくなります。
- 一日に何度も同じ部位を触って確認する:しこりや痛みの有無を頻繁にチェックすることで、かえって感覚に敏感になり、違和感を強く感じるようになります。
- 複数の医療機関を転々とする:短期間に多くの医療機関を受診すると、医師との関係性が深まらず、説明への信頼感が得られにくくなります。「まだ何か見逃されているのでは」という不安が続きがちです。
- 不安な情報だけを選んでしまう:ニュースやSNSで「若くして重い病気になった人」の話ばかり目にすると、「自分もそうなりそうだ」と感じやすくなります。
- ストレス発散の時間がほとんどない:仕事や家事に追われ、自分のための時間が取れない状態が続くと、心身ともに疲れが蓄積し、症状への耐性が下がってしまいます。
これらの習慣は、どれも「不安を少しでも減らしたい」という善意から始まっていることが多いものです。ただし短期的には安心できても、長期的には不安と症状の悪循環を強めてしまうことが少なくありません。
| こんな症状・行動はありませんか? | 考えられる背景・原因カテゴリ |
|---|---|
| 軽い違和感でも「重大な病気では?」とすぐに考えてしまう | 不安傾向の強さ、過去の病気体験、ストレスの蓄積 |
| 同じ症状について、短期間に何件も医療機関を受診してしまう | 説明への不信感、十分な情報共有ができていない、安心感の不足 |
| 一日に何度もネット検索を繰り返し、夜眠れなくなる | 情報過多、恐怖をあおる記事に偏った接触、睡眠不足 |
| 症状が気になって、趣味や外出の回数が大きく減っている | 活動量の低下に伴う筋力・体力低下、気分の落ち込み |
第2部:身体の内部要因 ― ストレス・ホルモン・こころの状態
生活習慣を見直しても症状や不安が続く場合、背景には「ストレスに対する脆弱性」や「ホルモンバランスの変動」「不安・うつなどのメンタルヘルスの問題」「過去のトラウマ的体験」など、身体の内側と心の状態が密接に関わっていることが少なくありません。
2.1. ストレスと神経・ホルモンのバランス
強いストレスが続くと、自律神経やホルモンのバランスが乱れ、筋肉の緊張、動悸、発汗、胃腸の不調、頭痛、めまいなど、さまざまな身体症状が出やすくなることが知られています。これは、ストレスに反応して「闘うか逃げるか」のモードに入った身体が、長時間緊張状態のままになっているイメージです。
もともと痛みや体調の変化に敏感な体質を持っている人や、過去に大きな病気を経験したことがある人は、「小さな変化=大きな危険のサイン」と感じやすくなることがあります。また、家族に重い病気の方がいる場合、「自分も同じようになるのでは」という不安が強まりやすいことも報告されています。
2.2. 【特に女性】ライフステージとホルモンバランス
女性の場合、月経周期、妊娠・出産、更年期など、ライフステージごとにホルモンの分泌が大きく変化します。この変化に伴って、頭痛、めまい、動悸、ほてり、関節痛、だるさなどが出やすくなり、身体症状症のような状態が目立つことがあります。
例えば、更年期にはエストロゲンの低下により自律神経のバランスが乱れ、「検査では異常がないと言われるのに、体があちこちつらい」「眠れない」「気分が落ち込みやすい」といった症状が重なりやすくなります。そのとき、「年齢のせい」と我慢し続けると、症状と不安の悪循環が強まり、身体症状症につながる場合もあります。
「女性だから仕方ない」「忙しいから我慢しないと」と自分に言い聞かせるだけでなく、婦人科や心療内科に相談し、ホルモンの変化と症状の関係について説明を受けることで、安心感が高まり、適切な対処法を一緒に考えることができます。
2.3. 不安・うつ・過去のトラウマとの関わり
身体症状症の方の多くは、不安症やうつ病などの精神疾患を同時に抱えていることが報告されています。気分の落ち込みや意欲の低下、不眠、食欲低下などが重なると、痛みや疲労感の感じ方が強まり、治りにくさも増してしまいます。
また、過去に虐待や交通事故、災害などのトラウマ体験がある場合、「体の痛みや不調」が当時の恐怖を思い出させるきっかけになり、無意識のうちに強い不安反応が起きることもあります。このような場合、身体症状の裏側にある記憶や感情にゆっくりと向き合う心理療法が役立つことがあります。
2.4. 「性格のせい」ではなく、傾向として理解する
身体症状症の人には、「完璧主義」「責任感が強い」「人に迷惑をかけたくない」「健康であることを強く求める」といった傾向が見られることがあります。しかし、これは「悪い性格」というよりも、「これまでの人生で身につけてきた生き方のクセ」と考えることができます。
たとえば、「多少無理をしてでも仕事をやり遂げることが大切」という価値観は、社会人としては長所にもなりますが、体調を崩したときに「こんなことで休んではいけない」と自分を追い込み、症状を悪化させてしまうことがあります。
治療では、「性格を変える」ことが目標ではなく、「自分の傾向を理解し、その特徴とうまく付き合う方法を身につける」ことが目指されます。
第3部:専門的な診断が必要な疾患と、似た病気との違い
セルフケアや生活習慣の調整だけでは改善が見込めない場合は、専門的な検査や診断が必要となる段階です。このセクションでは、身体症状症そのものに加えて、似ている病気や、緊急性の高い病気のサインについて整理します。
3.1. 身体症状症の診断のポイント
医療機関では、まず重大な身体疾患が隠れていないかを確認するために、必要に応じて血液検査や画像検査などが行われます。そのうえで、以下のような点を総合的に見ていきます。
- 1つ以上の身体症状(痛み・だるさ・息苦しさ・胃腸症状など)があり、日常生活に支障をきたしている
- 症状に対する不安や心配が非常に強く、症状の重さを繰り返し考え続けてしまう
- 症状や健康に関する不安のために、多くの時間やエネルギーを費やしている(頻繁な受診・検査、ネット検索など)
- これらの状態が6か月以上続いている、あるいは症状は変化しながらも不安やとらわれが続いている
重要なのは、「本当に身体症状症かどうか」を、患者さん本人が自分で判断する必要はないということです。不安な症状が続いているときは、「身体の病気がないか」と同時に、「心身のバランスの崩れがないか」も含めて、医師と一緒に整理していくことが大切です。
3.2. 病気不安症(Illness Anxiety Disorder)との違い
身体症状症とよく混同される病気として、「病気不安症(旧:心気症)」があります。病気不安症では、実際の身体症状は軽い、あるいはほとんどないにもかかわらず、「重い病気にかかっているのでは」「これから重い病気になるのでは」という病気そのものへの不安が非常に強くなります。
一方、身体症状症では、痛みやだるさなど身体症状自体がはっきり存在し、症状そのものへのとらわれが中心になります。どちらも日常生活に大きな影響を及ぼしますが、症状の中心が「体の感覚」か「病気というイメージ」か――という点に違いがあります。
3.3. 他の疾患や緊急性の高い病気を見逃さないために
身体症状症が疑われる場合でも、次のような症状があるときは、緊急の身体疾患が隠れている可能性があるため、すぐに医療機関を受診することが勧められます。
- 突然の激しい胸の痛み、締め付けられるような胸の圧迫感
- 突然の激しい頭痛(今までに経験したことのない痛み)、ろれつが回らない、片方の手足が動かしにくい・しびれる
- 息ができないほどの息苦しさ、寝ていても呼吸がつらい
- 黒い便や鮮血を伴う便、止まらない下血・吐血
- 高熱が続く、意識がもうろうとする、強い脱水症状がある
- 死にたい気持ちが強くなっている、自傷行為をしてしまいそうで怖い
これらは、心筋梗塞や脳卒中、重い感染症など、救急対応が必要な病気のサインである可能性があります。「これは身体症状症だから大丈夫だろう」と自己判断せず、迷ったら救急外来の受診や119番通報をためらわないでください。
第4部:今日から始める改善アクションプラン
身体症状症の改善には時間がかかりますが、小さな一歩を積み重ねることで、少しずつ「症状とうまく付き合える時間」を増やしていくことができます。このセクションでは、「今すぐできること」「今週から少しずつ試したいこと」「中長期的に取り組みたいこと」を段階別に整理します。
| ステップ | アクション | 具体例 |
|---|---|---|
| Level 1:今夜からできること | 症状に関する情報の取り入れ方を整える | ネット検索の時間を1日〇分までに決める/「不安になりやすいサイト」は開かないルールをつくる |
| 体の感覚から少し意識を離す練習をする | ゆっくりとした腹式呼吸を1〜2分行う/部屋の中で見える色や音に意識を向ける「グラウンディング」を試す | |
| Level 2:今週から試したいこと | 症状と行動の記録をつける | 日付・症状の強さ・そのときの出来事や気分を書き留め、医師と共有する |
| 無理のない範囲で活動量を維持する | 家の近くを10分だけ散歩する/できる日だけ軽いストレッチを行う | |
| Level 3:長期的に続けたいこと | 信頼できる医療者との継続的な関係を築く | 受診先を必要以上に変えず、定期的なフォローアップを受ける/疑問点はメモにして相談する |
| ストレスマネジメントと心理療法への参加 | 認知行動療法や集団プログラムへの参加を検討する/カウンセリングで不安やストレスの背景を整理する |
「全部やらなければ」と考えると苦しくなってしまいます。まずは、自分にとって取り組みやすいものを1つだけ選び、「1週間試してみる」くらいの気持ちで始めてみましょう。
第5部:専門家への相談 ― いつ・どこで・どのように?
「これ以上検査をしても意味がないのでは」「何科に行けばいいかわからない」と感じている方も多いかもしれません。このセクションでは、受診を検討すべきタイミングや診療科の選び方、診察時に役立つ情報のまとめ方などを整理します。
5.1. 受診を検討すべき危険なサイン
- 前述のような、突然の強い胸痛・頭痛・呼吸困難・意識障害などの症状が出たとき
- 短期間で体重が大きく減っている、血の混じった便や尿が続くなど、客観的に明らかな異常があるとき
- 不安や憂うつで仕事や家事がほとんどできない/学校に行けない状態が続いているとき
- 死にたい気持ち、自分を傷つけたい気持ちが強くなっているとき
これらは、身体症状症かどうかに関わらず、医療機関の受診が必要なサインです。「様子を見よう」と先延ばしにせず、早めに相談することが大切です。
5.2. 症状に応じた診療科の選び方
- まず相談しやすい窓口:かかりつけの内科、総合診療科、地域のクリニックなど。全身の状態を一度整理し、必要な検査や専門科への紹介の有無を判断してもらいます。
- 心と体の両方を一緒にみる診療科:心療内科・精神科では、身体症状とストレス・不安・うつとの関わりを含めて診察してもらえます。身体症状症や病気不安症を含めた「身体症状症及び関連症群」に詳しい医師もいます。
- 女性特有の症状が中心の場合:婦人科や更年期外来、女性外来などで、ホルモンバランスの評価を含めた相談ができます。
- 子どもの場合:小児科や小児心療内科、小児精神科など、子どもの発達や学校生活を含めて診てもらえる環境が適しています。
どの診療科を受診すべきか迷う場合は、自治体の健康相談窓口や、勤務先の産業医、学校のスクールカウンセラーなどに相談してみるのも一つの方法です。
5.3. 診察時に持参すると役立つものと費用の目安
- 症状日誌・メモ:いつから、どのような症状が、どのくらいの頻度・強さで出ているかを簡単にメモしておくと、診察がスムーズになります。
- お薬手帳・これまでの検査結果:すでに他院で検査を受けている場合は、その結果を持参することで、同じ検査を繰り返さずにすむことがあります。
- 質問リスト:「この症状はどの病気の可能性があるか」「今後どのように様子を見ればよいか」など、聞きたいことを事前に書いておくと安心です。
- 費用の目安:日本の公的医療保険(3割負担)では、一般的な初診で数千円程度+検査費用がかかることが多いです。心療内科・精神科の通院も同様に保険の対象となり、自治体によっては自立支援医療制度などの助成が受けられる場合があります。詳しくは受診先の窓口で確認しましょう。
よくある質問
Q1: 身体症状症は「仮病」や「気のせい」なのでしょうか?
A1: いいえ、身体症状症は仮病でも気のせいでもありません。痛みやだるさなどの身体症状は実際に存在し、本人にとって非常につらいものです。検査で重大な病気が見つからない場合でも、脳や神経の働き方、ストレス、不安などが影響して症状が長引くことがあります。重要なのは、「症状そのもの」と「それに対する不安や考えすぎ」が互いに影響し合っている、という視点で捉えることです。
Q2: どのくらい症状や不安が続いたら、身体症状症を疑うべきですか?
A2: 一般的には、6か月以上にわたって身体症状が続き、その症状に対する不安や心配、症状にとらわれた行動(頻繁な受診・検査、過度なセルフチェックなど)が生活に支障を与えている場合に、身体症状症として検討されます。ただし、期間や症状の強さには個人差があり、ご自身で判断する必要はありません。「不安が強くて生活がつらい」と感じた時点で、遠慮なく医療機関に相談してください。
Q3: 何度も検査を受けていますが、原因が見つかりません。それでも受診し続けるべきでしょうか?
A3: 重大な病気が否定された後も、症状や不安が続く場合は、「これ以上同じ検査を繰り返す」よりも、「症状との付き合い方を一緒に考えてくれる医師」を見つけることが大切です。かかりつけ医や総合診療医、心療内科・精神科などで、検査結果も含めて状況を整理し、どのような治療やサポートが必要かを相談してみましょう。
Q4: 身体症状症は薬で治りますか?
A4: 身体症状症の治療では、薬だけで完全に症状がなくなるというよりも、「症状とうまく付き合えるようになる」ことを目指します。不安やうつが強い場合には、抗うつ薬や抗不安薬が役立つことがありますが、薬物療法はあくまで一つの手段です。認知行動療法などの心理療法や、生活習慣の調整、ストレスマネジメントなどと組み合わせて、総合的に取り組むことが大切です。
Q5: 家族や周囲の人は、どのように接すればよいですか?
A5: 家族や周囲の人は、「気にしすぎ」「考えすぎ」と否定するのではなく、「つらさは本物なのだ」と理解し、共感的な態度を示すことが大切です。そのうえで、「一緒に病院に行ってみようか」「どんな説明を受けたか教えてほしい」といったかたちで、医療者との橋渡し役になってもらえると心強く感じる方が多いです。介護や家事の負担を一部サポートすることも、症状悪化の予防につながる場合があります。
Q6: 自分は「心の病気」と言われるのが嫌で、精神科や心療内科に行くのをためらってしまいます。
A6: 「精神科に行く=重い心の病気」というイメージから、受診をためらう方は少なくありません。しかし、心療内科や精神科は、「心」と「体」が影響し合っている状態を専門的に診る診療科です。身体症状症はまさにその代表的な例であり、症状の背景にあるストレスや不安、生活状況を含めて相談できる場所でもあります。不安が強い場合は、まずかかりつけ医に相談し、必要に応じて紹介状を書いてもらうと安心です。
Q7: 身体症状症は一生治らないのでしょうか?
A7: 身体症状症は、慢性的に続きやすい傾向はありますが、「一生このまま」というわけではありません。症状の波を理解し、悪化しやすいタイミングや状況を把握し、ストレスマネジメントや心理療法、必要な薬物療法を組み合わせることで、「症状に振り回される時間」を少しずつ減らしていくことができます。改善までの道のりは人それぞれですが、あきらめずに医療者や家族と協力しながら取り組むことが大切です。
結論:この記事から持ち帰ってほしいこと
身体症状症は、痛みやだるさなどの身体症状と、それに対する強い不安や心配が重なり、生活に大きな影響を及ぼす病気です。検査で重大な病気が見つからない場合でも、症状のつらさは現実のものであり、「気のせい」や「仮病」ではありません。
この記事で見てきたように、ストレスやホルモンバランス、こころの状態、これまでの人生経験、性格傾向など、さまざまな要因が絡み合って症状が続いていることが多く、一人で原因を特定するのは簡単ではありません。だからこそ、「自分を責める」のではなく、「信頼できる医療者と一緒に整理していく」というスタンスが重要です。
今日からできる小さな一歩として、症状と生活の記録をつけてみること、ネット検索の時間を少し減らしてみること、家族や友人に打ち明けてみること、かかりつけ医や心療内科に相談してみることなど、できそうなものを一つだけ選んでみてください。
Japanese Health(JHO)編集部は、今後も信頼できる公的情報源や査読付き論文にもとづきながら、身体症状症を含むメンタルヘルスのテーマについて、わかりやすく丁寧な情報提供を続けていきます。あなたが一人で悩みを抱え込まず、必要なサポートにたどり着ける一助となれば幸いです。
この記事の編集体制と情報の取り扱いについて
Japanese Health(JHO)は、信頼できる公的情報源と査読付き研究に基づいて、健康・医療・美容に関する情報をわかりやすくお届けすることを目指しています。
本記事の原稿は、最新のAI技術を活用して下調べと構成案を作成したうえで、JHO編集部が一次資料(ガイドライン・論文・公的サイトなど)と照合しながら、内容・表現・数値・URLの妥当性を人の目で一つひとつ確認しています。最終的な掲載判断はすべてJHO編集部が行っています。
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参考文献
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