本記事では、日本の公的機関や専門ガイドライン1–8に基づき、骨のがん(骨肉腫など)が疑われるときに用いられる検査の種類と流れ、どのような症状が「受診のサイン」になるのか、どんなときにどの診療科を受診すべきかを、できるだけわかりやすく解説します。
「どの検査がどれくらい詳しいのか」「レントゲンだけで見つかるのか」「PET検査は必要なのか」など、検査にまつわる疑問にも触れながら、今日からできる自己チェックのポイントや、受診の準備の仕方も具体的にご紹介していきます。
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Japanese Health(JHO)編集部とこの記事の根拠について
Japanese Health(JHO)は、健康と美容に関する情報を提供するオンラインプラットフォームです。膨大な医学文献や公的ガイドラインを整理し、日常生活で活用しやすい形でお届けすることを目指しています。
本記事の内容は、国立がん研究センターの「がん情報サービス」1,2、厚生労働省や日本の専門学会による骨軟部腫瘍の診療ガイドライン4,5、NCCN(米国がん総合ネットワーク)やESMO(欧州臨床腫瘍学会)の骨肉腫・骨肉腫ガイドライン6–8などの一次情報に基づいて、JHO編集部がAIツールのサポートを受けつつ、最終的には人の目で一つひとつ確認しながら作成しています。
- 厚生労働省・国立がん研究センター・各自治体:がん検査全般に関する公式解説や統計資料1,2を優先して参照しています。
- 国内外の骨・軟部腫瘍ガイドライン・査読付き論文:骨肉腫やその他の骨の悪性腫瘍の診断・画像検査に関する推奨をまとめた文献4–8,10をもとに、検査の位置づけを整理しています。
- がん専門病院や大学病院の情報:国立がん研究センターや骨軟部腫瘍専門外来の解説1,9,11を参考に、日本の医療制度の中で実際にどのような検査が行われているかを確認しています。
AIツールは、文献の要約や構成案作成の「アシスタント」として活用していますが、公開前には必ずJHO編集部が原著資料と照合し、重要な記述を一つひとつ確認しながら、事実関係・数値・URLの妥当性を検証しています。
私たちの運営ポリシーや編集プロセスの詳細は、運営者情報(JapaneseHealth.org)をご覧ください。
要点まとめ
- 現在、日本では骨のがんを対象とした一般向けの定期検診(集団スクリーニング)は行われていません。気になる症状があるときに、早めに適切な検査につなげることが大切です。1,2,6
- 骨のがんが疑われるときは、問診・診察、X線検査(レントゲン)、CT、MRI、骨シンチグラフィ、PET検査などの画像検査、さらに生検(せいけん:組織検査)を組み合わせて診断します。1,3–5,8,9
- 画像だけでは「がんかどうか」を最終確定できないことも多く、骨や腫瘍の一部を採取して顕微鏡で調べる生検が、最終診断の決め手になります。生検は経験豊富な専門医が行うことが重要です。1,5,8,12
- 「成長痛」「スポーツによる疲労」などと紛らわしい症状も多いため、数週間以上続く局所の痛みや腫れ、夜間痛、原因不明の骨折などは、整形外科やがん専門医への相談のサインと考えましょう。1,3,7,10
- 骨のがんはまれな病気ですが、早期に専門施設へ紹介されれば、手術や薬物療法によって手足を残したまま治療できる可能性も高まります。一人で抱え込まず、気になる症状があれば早めに相談することが大切です。3,6–8
「骨が痛い=がん」とは限りませんが、なかには早めの検査や治療が必要な病気が隠れていることもあります。ここでは、読者が抱えがちな不安や「この痛みは様子を見て大丈夫なのか?」という疑問に寄り添いながら、記事全体の流れを簡単にご紹介します。
まずは、姿勢や運動量、仕事・部活動の内容など、生活習慣や環境による負担がないかを確認し、それでも改善しない場合に考えるべき骨の腫瘍や骨粗しょう症、感染症など、体の内部の問題まで段階的に理解できるように構成しています。
必要に応じて、骨や関節の不調に関する総合ガイドや、がん検査に関する詳細解説など、JHO内の関連記事に自然な文脈で橋渡しを行います。
この記事を読み進めることで、「自分の症状はどの程度心配すべきなのか」「どんな検査が行われるのか」「いつどこで誰に相談すべきか」が具体的にイメージできるようになることを目指します。
第1部:骨の痛みの基本と日常生活の見直し
骨のがんの検査について理解する前に、「骨の痛み」が必ずしもがんだけを意味するわけではないことを知っておくと安心です。多くの人が最初に感じるのは「痛み」ですが、その背景には、筋肉や関節の疲労、姿勢のくずれ、スポーツによる負担、加齢による変化などさまざまな原因が隠れています。
1.1. 骨の痛みはどうして起こる?基本的な仕組み
私たちの骨は、固い「石」のように見えて、実は生きた組織です。骨の内部では、古い骨を壊す細胞と新しい骨を作る細胞が24時間入れ替わっており、そのバランスが崩れたり、強い負荷がかかり続けたりすると痛みが生じます。
骨の表面や周囲には、神経や血管が豊富に走っており、次のような状況で痛みが出やすくなります。
- 転倒や打撲などのケガによる骨折・ひび(疲労骨折など)
- 関節や筋肉の炎症(関節炎、腱炎など)
- 骨粗しょう症による圧迫骨折
- 骨の感染症(骨髄炎など)
- 良性腫瘍(非がん性のしこり)や悪性腫瘍(骨肉腫など)
このうち、骨のがん(骨肉腫など)の場合は、じわじわと痛みが強くなっていく、夜間や安静時にも痛む、同じ場所が長期間痛むといった特徴がみられることがあります。国立がん研究センターの情報でも、骨肉腫ではこうした「持続する骨の痛み」が代表的な症状のひとつとされています。1
1.2. 「様子を見てしまいがち」なNG習慣と、その影響
骨のがんの早期発見を妨げてしまうのが、「忙しいから」「まだ我慢できるから」といった理由で痛みを放置してしまうことです。とくに日本では、仕事や部活動で無理をしてしまう文化もあり、次のようなNG習慣がよく見られます。
- 同じ場所の痛みが数週間〜数カ月続いているのに、「年齢のせい」「運動不足」と決めつけて放置する。
- 市販の鎮痛薬や湿布を長期間使い続け、医療機関にはかからない。
- 子どもの「足が痛い」という訴えを、成長痛や部活動による疲労と決めつけ、くり返し起きていても詳しく調べない。
- 痛みのために夜眠れない、びっこを引くほど痛いのに、忙しさを理由に受診を先延ばしにする。
もちろん、これらの状況すべてが骨のがんを意味するわけではありません。それでも、痛みが長く続く・徐々に強くなる・夜間も続くといった場合には、早めに整形外科などで相談し、必要な検査につなげることが、骨のがんを含む重い病気の見逃しを減らす一歩になります。1,3,7,10
| こんな症状・状況はありませんか? | 考えられる主な背景・原因カテゴリ |
|---|---|
| 同じ場所の骨の痛みが3週間以上続き、だんだん強くなっている | 骨の腫瘍(良性・悪性)、骨の感染症、慢性の炎症など |
| 夜になると痛みが強くなり、寝ているときも痛みで目が覚める | 骨や関節の炎症、骨の腫瘍、神経の圧迫など |
| 軽い力で骨折した/理由のはっきりしない骨折を起こした | 骨粗しょう症、多発性骨髄腫や骨転移など、骨を弱くする病気 |
| 同じ場所に目立つ腫れやしこりがあり、触ると痛い/熱っぽい | 骨や軟部組織の腫瘍、感染症、血腫(内出血)など |
| 発熱や体重減少、だるさなど全身症状も続いている | 全身性の感染症、血液のがん、多発性骨髄腫など |
第2部:骨のがんと関係する体の内部要因
生活習慣だけで骨のがんが決まるわけではなく、多くの場合は「なぜ自分が骨のがんになったのか、はっきりした原因はわからない」とされています。それでも、骨肉腫などの悪性骨腫瘍と関連が指摘されている内部要因がいくつか知られています。3,6–8
2.1. 遺伝的な背景や過去の治療歴
骨肉腫など一部の骨のがんでは、次のような要因が関係することが報告されています。3,6–8
- 特定の遺伝性疾患や体質(例:網膜芽細胞腫の既往、家族性がん症候群など)
- 小児がんの治療などで、過去に高線量の放射線治療を受けた部位
- 長期にわたる骨の病気(ページェット病など)
ただし、これらの要因があっても、すべての人が骨のがんになるわけではありません。また、これらの背景がない人でも骨のがんになることがあります。そのため、「自分に当てはまる項目がない=絶対に骨のがんではない」と考えることもできません。
2.2. 骨転移や血液のがんなど、ほかの病気との関係
骨にみられる「がん」の中には、骨そのものから発生するがん(原発性骨腫瘍)と、ほかの臓器のがんから骨に転移してくるがん(骨転移)があります。さらに、骨の中の「骨髄」という部分から発生する血液のがん(多発性骨髄腫など)も、骨の痛みや骨折を起こすことがあります。6,9,11
- 原発性骨腫瘍:骨肉腫、ユーイング肉腫、軟骨肉腫など。
- 骨転移:乳がん、前立腺がん、肺がん、腎がん、甲状腺がんなどから骨へ広がるがん。
- 多発性骨髄腫:骨髄中の形質細胞ががん化し、骨の痛みや骨折、貧血、腎障害などを起こす病気。9,11
骨のがんが疑われる場合、医師は「骨から発生したがんなのか」「ほかの臓器から転移したのか」「血液のがんなのか」などを区別するために、血液検査や画像検査、骨髄検査、生検などを組み合わせて評価します。これらは最終的な治療方針を決めるうえでも、非常に重要な情報になります。1,2,6,9,11,12
第3部:骨のがんを疑うときの検査の流れ
ここからは、実際に骨のがんが疑われた場合にどのような検査が行われるのか、その流れを順を追って解説します。国立がん研究センターや国際的なガイドラインでは、問診・診察、画像検査、生検を組み合わせた評価が推奨されています。1–3,5–8,10,12
3.1. 問診・身体診察:症状のパターンから手がかりを探す
まず行われるのが問診と身体診察です。医師は、以下のような点を詳しく確認します。1–3,8
- 痛みの場所・強さ・性質(ズキズキする、重い感じ、夜間に強いなど)
- 痛みが始まった時期と経過(いつから、どのくらいの期間、悪化しているか)
- ケガやスポーツ、重い荷物を持つ仕事など、負担のきっかけがあったか
- しこりや腫れ、熱感、赤みなど、見た目の変化がないか
- 歩き方が変わった、びっこを引くようになった、動かすときに制限があるなどの機能変化
- 発熱、体重減少、倦怠感などの全身症状
- 過去の病歴(がんの既往、放射線治療歴、遺伝性疾患など)や、家族の病歴
そのうえで、患部を触って硬さや圧痛の有無、腫れの大きさや位置、皮膚の変化などを確認し、必要に応じて関節や神経の機能も評価します。ここで得られた情報が、次に行う画像検査の種類を選ぶ手がかりになります。1–3,8
3.2. X線検査(レントゲン):最初に行われることが多い基本検査
骨のがんが疑われるとき、多くの場合、最初に行われる画像検査がX線検査(レントゲン)です。国立がん研究センターの骨肉腫の解説や、日本のガイドラインでも、X線検査が「簡便で、骨の病変を評価するうえで非常に重要な検査」とされています。0,1,3–5,8,10
X線検査では、以下のような所見が手がかりになります。
- 骨が一部溶けたように見える「骨破壊(骨透亮像)」
- 新しい骨が不規則に作られる「腫瘍性骨形成」
- 骨の表面の反応(骨膜反応:spicula、Codman三角など)
- 骨の変形や病的骨折の有無
- 骨の外側に広がる軟部腫瘍(筋肉や脂肪の中まで広がった部分)の存在
ただし、X線検査だけでは、「良性か悪性か」「どの種類の腫瘍か」を完全に判定できないことも多く、異常が見つかった場合は、追加のCTやMRIなどで詳しく調べることが一般的です。0,3–5,8,10,13
3.3. CT検査:骨の細かい構造や肺への転移を詳しく見る
CT(コンピュータ断層撮影)検査は、X線をさまざまな角度から照射し、体の断面を立体的に画像化する検査です。骨の細かい構造や、肺などへの転移の有無を調べるのに役立ちます。0,4,6,8–10,13
- 骨盤や脊椎のように、通常のX線写真では見えにくい部位の評価に有用。
- 数ミリ程度の小さな肺転移も検出できるため、病期(ステージ)を決めるうえで重要とされています。0,4,6,8,10
- 生検の際に、腫瘍のどの部分から組織を採取するかを決めるためのガイドとして使われることもあります。
3.4. MRI検査:腫瘍の広がりや周囲組織との関係を立体的に把握
MRI(磁気共鳴画像)検査は、磁場と電波を用いて体の内部を詳細に描き出す検査です。骨だけでなく、その周囲の筋肉や血管、神経などとの関係を立体的に把握できるため、骨のがんでは非常に重要な役割を担っています。0,4,5,8–10,13
- 腫瘍が骨の中でどこまで広がっているか、骨の外(軟部組織)へどれくらい飛び出しているかを詳しく確認できる。
- 手術の際に、どこまで切除すればよいかを決めるうえで重要な情報になる。
- 脊椎や骨盤など、神経や血管が入り組んでいる部位では、特に有用とされています。
ガイドラインでは、「持続する骨の痛みや腫れがあり、X線で明らかな原因が見つからない場合は、早期にMRI検査や骨肉腫などを扱う専門施設への紹介を検討すべき」とされています。2,4,7,8,10
3.5. 骨シンチグラフィ・PET検査:全身に広がりがないかをチェック
がんが骨のどこまで広がっているか、ほかの骨や臓器に転移していないかを調べるために、骨シンチグラフィ(骨シンチ)やPET(PET/CT)検査が行われることがあります。3,4,6–8,10,16
- 骨シンチグラフィ:骨に集まりやすい微量の放射性物質を注射し、数時間後に全身の骨の状態を撮影する検査。がんや骨折など、骨の代謝が活発になっている部分が「集積」として写ります。
- PET/CT検査:がん細胞が多く取り込むブドウ糖に放射性物質を付けた薬剤を使用し、全身のがんの有無や広がりを調べる検査。早期の遠隔転移の検出に役立つ場合がありますが、すべての骨腫瘍で必要になるわけではありません。6–8,10,16
骨シンチやPET検査は、「骨のどこに病変があるか」「全身にどの程度広がっているか」を把握するための補助的な検査であり、最終的な診断はX線やMRI、生検などとあわせて総合的に行われます。3,4,6–8,10
3.6. 血液検査:全身状態や特定の病気の手がかりに
骨のがんが疑われるときにも、血液検査は欠かせません。国立がん研究センターなどでは、次のような目的で血液検査が行われると説明されています。1,2,9,11
- 貧血の有無、白血球や血小板の数などの確認
- 炎症反応(CRP、白血球増加など)の評価
- 肝機能・腎機能、電解質の異常の有無
- 多発性骨髄腫などが疑われる場合のMタンパク、β2-ミクログロブリンなどの測定9,11
- アルカリホスファターゼ(ALP)やLDHなど、骨や腫瘍の活動性を反映することがある酵素の評価
血液検査だけで「骨のがんかどうか」を確定できるわけではありませんが、全身状態やほかの病気の可能性を評価するうえで重要な手がかりになります。
3.7. 生検(せいけん):最終診断を確定するための組織検査
画像検査などで骨のがんが疑われた場合、最終的に診断を確定するために行われるのが生検(せいけん:組織検査)です。国立がん研究センターや国際ガイドラインでは、生検は骨腫瘍の手術に熟練した専門医によって、手術計画も含めて慎重に行うべきとされています。1,3,5,8,12
生検には大きく分けて次の2種類があります。1,3,5,8,12
- 針生検(ニードルバイオプシー):太さの異なる専用の針を使って、腫瘍の一部を採取する方法です。局所麻酔で行われることが多く、体への負担が比較的少ないとされています。CTやエコーで位置を確認しながら針を進める「画像ガイド下生検」が行われることもあります。
- 切開生検・切除生検:皮膚を切開して腫瘍の一部(切開生検)または全体(切除生検)を採取する方法です。腫瘍の位置や大きさによって全身麻酔が必要になることもあります。
採取した組織は病理専門医によって顕微鏡で詳しく観察され、がん細胞の有無やタイプ(骨肉腫、ユーイング肉腫、軟骨肉腫など)、悪性度などが評価されます。これは治療法や予後を決めるうえで極めて重要なステップです。1,3,5,8,12
また、生検の傷の位置や切開の方向は、後の手術で腫瘍を安全に取り除けるかどうかにも大きく影響するため、「骨軟部腫瘍を専門とする医療機関で生検を行うこと」が強く推奨されています。3,4,5,8,12
第4部:今日から始める自己チェックと検査へのアクションプラン
骨のがんの検査は、医療機関を受診しなければ受けられませんが、自宅でできる準備や自己チェックがあります。ここでは、「今この瞬間からできること」「今週末から試せること」「長期的に続けたいこと」をレベル別に整理します。
| ステップ | アクション | 具体例 |
|---|---|---|
| Level 1:今夜からできること | 痛みの記録をつける | 痛む場所を図に描く、痛みの強さ(0〜10)、時間帯(朝・昼・夜)、きっかけ(歩く・階段・じっとしているときなど)をメモしておく。 |
| Level 1:今夜からできること | 無理を控え、患部を守る | 痛みのある部位に過度な負荷をかけないようにし、激しい運動や重い荷物をしばらく避ける。 |
| Level 2:数日以内にできること | 整形外科やかかりつけ医に相談する | 「○週間続く骨の痛みがある」「夜も痛くて眠れない」など、メモを持参して具体的に伝え、必要なら専門施設への紹介状をもらう。 |
| Level 2:数日以内にできること | 過去の検査結果やお薬手帳を整理する | 健康診断結果、がんの既往、放射線治療歴、お薬手帳などを一つのファイルにまとめ、診察時にすぐ出せるようにしておく。 |
| Level 3:数週間〜数カ月かけて取り組むこと | 定期的なフォローアップを継続する | X線やMRI、血液検査などの結果にもとづき、医師の指示どおりに再検査や経過観察の予定を守る。痛みや症状が変化したら、次の診察を待たずに相談する。 |
これらのステップを踏むことで、「何となく不安なまま様子を見る」状態から、「状況を整理し、必要な検査につなげる」状態へ一歩進むことができます。とくに、子どもの場合は本人がうまく説明できないことも多いため、保護者が歩き方や動き方、夜間の様子などをよく観察し、必要に応じてメモしておくと診察に役立ちます。1,3,8
第5部:専門家への相談 — いつ・どこで・どのように?
「いつ受診すべきか」「どの診療科に行けばよいか」は、多くの方が悩むポイントです。この章では、危険なサイン、受診先の選び方、日本の医療制度の中での相談の流れについてまとめます。
5.1. 受診を検討すべき危険なサイン
- 同じ場所の骨の痛みや腫れが3週間以上続いている、または日に日に強くなっている。
- 安静にしていても痛みが強く、夜間も痛みで目が覚める。
- 痛む部位に目立つしこりや腫れがあり、熱っぽい・赤いなどの変化がある。
- 軽い力で骨折した、理由のはっきりしない骨折が起きた。
- 発熱や体重減少、全身の倦怠感などが長く続き、骨の痛みもある。
- 痛みのために歩行や日常生活に支障が出ている。
これらのサインがある場合は、自己判断で様子を見続けるのではなく、できるだけ早く整形外科やかかりつけ医に相談しましょう。急激な激痛や高熱、手足のしびれ・麻痺、意識の変化などがある場合は、救急外来受診や119番通報を含め、緊急の対応が必要になることもあります。
5.2. 症状に応じた診療科の選び方
- まず相談しやすいのは整形外科:骨や関節、筋肉の痛みは、まず整形外科を受診することが一般的です。必要に応じてX線検査を行い、骨腫瘍が疑われる場合は、骨軟部腫瘍の専門施設へ紹介されます。1,3,4,13
- 小児の骨の痛みは小児科または小児整形外科、小児がん専門施設へ:子どもの骨肉腫などが疑われる場合、小児がん拠点病院や小児がん専門チームを有する施設への紹介が推奨されています。1,3,8
- 多発性骨髄腫などが疑われる場合:血液内科や血液腫瘍専門医での評価が必要になります。9,11
- すでにほかのがんの治療歴がある場合:フォロー中の主治医(がん専門医)や総合内科に相談し、骨転移の可能性を含めて評価してもらうことが大切です。6,9
5.3. 診察時に持参すると役立つものと費用の目安
- 症状メモ・痛みの記録:いつからどこが痛いのか、どのように変化してきたのかが一目でわかると、診察がスムーズになります。
- 健康診断結果や過去の検査データ:骨密度検査や血液検査の結果、過去に撮影したレントゲンやMRI、CTのCD-ROMなど。
- お薬手帳:現在飲んでいる薬やサプリメント、過去の治療歴を確認するために重要です。
- 費用の目安:検査内容や保険診療の有無によって異なりますが、日本の公的医療保険に加入している場合は、自己負担は通常3割(高齢者や条件により1〜2割)です。精密な画像検査や生検などを行う場合、1回の受診で数千〜数万円程度になることもあるため、事前に医療機関や窓口で確認すると安心です。
検査費用や受診先が不安なときは、地域のがん相談支援センターや自治体の健康相談窓口に相談する方法もあります。骨のがんかどうかにかかわらず、少しでも不安がある場合は一人で抱え込まず、専門家の力を借りることが大切です。
よくある質問
Q1: 骨のがんは健康診断や人間ドックで必ず見つかりますか?
A1: 一般的な健康診断や人間ドックでは、胸部X線や採血などは行われますが、全身の骨を詳しく調べる検査は含まれていないことがほとんどです。そのため、骨のがんのための定期スクリーニング検査は、現時点では一般向けには行われていません。2,6–8
骨のがんは比較的まれな病気であり、症状がない人全員に高度な画像検査を行うことは現実的ではありません。その代わり、長く続く局所の痛みや腫れ、原因不明の骨折などの症状がある場合に、早めに医療機関で相談し、必要な検査につなげることが重要とされています。1–3,6–8
Q2: レントゲンだけで骨肉腫かどうかはわかりますか?
A2: レントゲン(X線)検査は、骨のがんを疑ううえで非常に重要な検査で、多くの骨腫瘍では特徴的な変化が見られます。0,1,3–5,8,10,13しかし、レントゲンだけで「骨肉腫かどうか」を最終的に確定することはできません。
レントゲンで異常が見つかった場合、通常はCTやMRIなどの追加検査を行い、腫瘍の広がりや周囲の組織との関係を詳しく調べます。最終的な診断は、生検で採取した組織を病理専門医が顕微鏡で確認することで確定します。1,3,5,8,12
Q3: MRIとCTはどちらのほうが骨のがんに役立ちますか?
A3: どちらか一方が常に優れているというわけではなく、CTとMRIはそれぞれ得意分野が異なり、補い合う関係にあります。0,4–6,8–10,13
- CT検査:骨の細かい構造や肺転移の有無を確認するのに適しています。
- MRI検査:腫瘍の内部の性質や、骨の外に広がった部分、周囲の筋肉・神経・血管との関係を詳しく見るのに適しています。
ガイドラインでは、多くの場合、レントゲン → MRI → CTやその他の検査という流れで、必要に応じて組み合わせて使うことが推奨されています。0,4–6,8–10
Q4: PET検査を受ければ、骨のがんかどうかすぐにわかりますか?
A4: PET/CT検査は、がん細胞がブドウ糖を多く取り込む性質を利用して、全身のがんの有無や広がりを調べることができる検査です。ただし、PET検査だけで骨のがんの診断が確定するわけではありません。6–8,10,16
PET検査は、遠隔転移の評価や、治療効果の予測に役立つことがありますが、すべての骨腫瘍の症例で必須というわけではなく、症例ごとに必要性を判断して実施されます。最終的な診断には、やはり生検による組織診断が欠かせません。3,6–8,10,12
Q5: 血液検査だけで骨のがんかどうかを調べることはできますか?
A5: 血液検査は、全身状態やほかの病気の可能性を評価するうえで重要ですが、血液検査だけで「骨のがんかどうか」を確定することはできません。1,2,9,11
ただし、多発性骨髄腫など一部の病気では、血液や尿の特定のタンパク質(Mタンパクなど)を調べることで診断の手がかりになることがあります。9,11骨肉腫などの原発性骨腫瘍の場合は、主に画像検査と生検により診断が行われます。1,3,5,8,12
Q6: 骨のがんを疑っていることを、家族や職場にどう伝えればよいでしょうか?
A6: 「がんかもしれない」という不安を一人で抱えていると、精神的な負担が大きくなってしまいます。まずは、信頼できる家族やパートナーに、「長く続く骨の痛みがあり、検査を受ける必要があると言われた」と事実ベースで伝えてみるのも一つの方法です。
職場には、診断が確定していない段階では「骨の痛みがあり、専門の検査が必要になったため、通院の時間が必要」などと伝え、診断結果が出た段階で改めて相談する方も多いです。日本の職場ではまだ「がん」という言葉に驚かれることもありますが、治療を続けながら働いている方も少なくありません。必要に応じて、主治医や医療ソーシャルワーカー、がん相談支援センターに職場とのコミュニケーションの相談をすることもできます。
Q7: 子どもの足の痛みが続いています。成長痛と骨のがんはどう見分ければいいですか?
A7: いわゆる「成長痛」は、夜間に両足が痛むなどの特徴がありますが、一般的には翌日には軽くなっていたり、日常生活に大きな支障をきたさないことが多いとされています。一方で、骨肉腫などの骨のがんでは、片側の特定の部位に限局した痛みが続く、だんだん痛みが強くなる、腫れやしこりが目立ってくるといった特徴が見られることがあります。1,3,8
痛みのパターンだけで成長痛と骨のがんを完全に見分けることは難しいため、「同じ場所の痛みが続く」「びっこを引いている」「運動をやめてもよくならない」「夜眠れないほど痛い」といった場合は、早めに小児科や小児整形外科で相談することが大切です。必要に応じて、X線やMRIなどの検査が行われます。1,3,8
結論:この記事から持ち帰ってほしいこと
骨のがん(骨肉腫など)はまれな病気ですが、症状が進行してから見つかると、治療や手術の負担が大きくなってしまうことがあります。一方で、日本や国際的なガイドラインに沿って、適切なタイミングでX線やMRI、CT、骨シンチ、PET、生検などの検査を組み合わせることで、早期発見・早期治療につながる可能性も十分にあります。1–8,10,12
「骨が痛い」と感じたとき、すぐにがんを疑って不安になる必要はありませんが、数週間以上続く局所の痛みや腫れ、夜間痛、原因不明の骨折などがある場合は、自己判断で様子を見るのではなく、整形外科や小児科、かかりつけ医などに早めに相談してみてください。必要に応じて、骨軟部腫瘍の専門施設へ紹介され、検査や治療の選択肢が提示されます。1,3–8,10
本記事が、骨のがんの検査についての不安を少しでも整理し、「いつ・どこで・どの検査を受けるのか」を考える手がかりになれば幸いです。一人で悩まず、周囲の人や医療者、相談窓口の力を借りながら、納得のいく形で次の一歩を踏み出していきましょう。
この記事の編集体制と情報の取り扱いについて
Japanese Health(JHO)は、信頼できる公的情報源と査読付き研究に基づいて、健康・医療・美容に関する情報をわかりやすくお届けすることを目指しています。
本記事の原稿は、最新のAI技術を活用して下調べと構成案を作成したうえで、JHO編集部が一次資料(ガイドライン・論文・公的サイトなど)と照合しながら、内容・表現・数値・URLの妥当性を人の目で一つひとつ確認しています。最終的な掲載判断はすべてJHO編集部が行っています。
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参考文献
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