お風呂の前に?それとも後に?正しい角質ケアの順番とは
皮膚科疾患

お風呂の前に?それとも後に?正しい角質ケアの順番とは

はじめに

日々のボディケアにおいて、「角質ケア(ピーリング)は入浴前に行うべきか、それとも入浴後に行うべきか?」という疑問を持つ方は少なくありません。入浴(シャワー)をして汚れを落とすだけでなく、ボディ用のスクラブやピーリング剤を使って定期的に角質を除去するのも重要とされます。実際にはどのタイミングが理想的なのか、また肌を健やかに保つためにはどのようにボディケアを進めればよいのか、本記事では詳細に解説します。

免責事項

当サイトの情報は、Hello Bacsi ベトナム版を基に編集されたものであり、一般的な情報提供を目的としています。本情報は医療専門家のアドバイスに代わるものではなく、参考としてご利用ください。詳しい内容や個別の症状については、必ず医師にご相談ください。

まず、入浴時に使うボディソープ(またはボディウォッシュ)の主な役割とメリットを整理し、次に角質ケアの重要性、そして入浴と角質ケアを組み合わせる手順について、段階的にご紹介します。さらに日本国内で一般的に行われている保湿ケアや実践上の注意点なども踏まえ、肌をスッキリ清潔に整えながら潤いを守る方法を詳しく見ていきます。

専門家への相談

本記事では、ボディソープや角質ケアのメリット・注意点を解説する際に、American Academy of Dermatology(米国皮膚科学会)の情報や、国内外の学会で報告されている研究を参考にしています。また、一部文献にはPubMedなど世界的に権威のあるデータベースに登録されている論文を参照しています。これらは皮膚科学の観点から信頼度の高い情報源として知られています。

ただし、ここでご紹介する内容はあくまで一般的な情報です。個人の肌質や健康状態には差があり、医師による診察や専門家の直接的な指導が必要な場合があります。疑問点がある方は、皮膚科など専門医にご相談ください。

ボディソープ(ボディウォッシュ)の主な作用

まずは、一般的なボディソープ(あるいは入浴剤を併用する場合も含む)がどのように肌に働きかけるかを押さえましょう。

  • 肌をやさしく洗浄する
    外出先や日常生活で付着したほこり・汗・皮脂汚れなどを落とすのが主目的です。皮膚表面の汚れを落とすことが、肌トラブルや毛穴詰まり、炎症の予防につながると考えられています。
  • 毛穴の詰まりを防ぐ
    ボディソープの泡によって毛穴内部の余分な皮脂や汗が除去されることで、毛穴トラブル(毛包炎など)を防ぐ一助となります。
  • 肌のうるおいを保つ
    保湿成分入りのボディソープは、洗浄と同時に肌の乾燥を軽減する効果が期待できます。実際に、特定の保湿成分を含むボディソープを使い続けた場合、皮膚のバリア機能が改善したり、乾燥が緩和することが示唆されています。
  • 心身のリラックス効果
    好みの香りや温かいお湯による心身のリラックスは、疲れをとる上でも大切な要素です。シャワーや湯船につかる行為とともにリフレッシュ感が得られ、肌だけでなくストレスケアにも役立ちます。

実際、American Academy of Dermatologyでは、適切な洗浄は肌のバリア機能を整える上で有益と報告しています。その際、強い刺激のある製品や、過度な洗浄による皮脂の過剰除去には注意が必要ともされています。

また、PubMedに掲載された研究(“Benefits of an emollient body wash for patients with chronic winter dry skin” ほか)によると、保湿成分を含む洗浄剤を使うことで、冬場のように乾燥が強い環境下でも肌の乾燥症状が軽減し、皮膚の状態が改善したという報告があります。これらの研究は海外でのデータですが、空気の乾燥しやすい日本でも同様のメリットが期待できると考えられます。

角質ケア(ピーリング)のメリット

次に、入浴とあわせて行いたいのが角質ケアです。角質ケアにはスクラブ、ピーリング剤、あるいはコーヒー豆や砂糖などを用いた自作のボディスクラブなど、さまざまな方法があります。これらが肌に与える主なメリットを確認しましょう。

  • 角質や老廃物の除去
    肌表面に残る古い角質や毛穴のつまりを取り除くことで、肌のざらつきやゴワつきを緩和します。定期的に行うことで、毛穴や皮溝(皮膚の溝)に詰まった汚れをスッキリさせ、肌をなめらかに整えます。
  • 保湿剤の浸透を促進
    スクラブ後やピーリング後は古い角質がはがれ落ちるため、化粧水やボディクリームなどの成分がより浸透しやすくなると考えられています。その結果、保湿効果や栄養補給の効率が上がりやすいです。
  • ムダ毛処理後の肌トラブル軽減
    定期的に角質を除去しておくと、埋没毛や毛穴の炎症が起こりにくくなるという報告があります。ムダ毛処理で剃刀を使う方や、毛穴周りのケアを気にする方にも有用です。
  • 肌のトーンを均一化しやすい
    角質肥厚でくすんだ印象の肌をスムーズに整えれば、透明感の向上が期待できます。スクラブやピーリング後は肌の表面が滑らかになり、全体的に肌色が均一に見えやすくなる場合があります。

なお、近年の研究でも、化学的ピーリング(AHAなどの酸)と物理的スクラブ(細かい粒子による摩擦)を組み合わせたホームケアが、肌トーンやキメの改善に寄与するとの報告があります。ただし、肌が敏感な方には刺激が強すぎるリスクがあるため、製品選びや頻度設定が重要です。

「入浴前」か「入浴後」か? 角質ケアのベストタイミング

多くの場合、「先にボディソープで汚れを落とし、その後に角質ケアを行う」のが推奨されています。理由は以下の通りです。

  1. 最初に肌表面の汚れや余分な油分を落とす
    汚れがついたままスクラブやピーリングを行うと、摩擦が大きくなりすぎたり、不純物が肌に再付着して逆にトラブルを招く可能性があります。まずは肌を清潔にすることで、スクラブやピーリングの効果を高めます。
  2. 肌を温めて柔らかくする
    シャワーや入浴で肌が温まると、角質や毛穴がやわらかくなります。その状態で角質ケアをすると、古い角質や毛穴の詰まりが取れやすくなり、摩擦による刺激も軽減できます。
  3. 角質ケア後の保湿ケアをスムーズに
    角質ケアで肌を整えた後、そのままシャワーで流し、タオルでやさしくふき取ったら直ちに保湿剤を塗るのがおすすめです。古い角質が除去された肌は保湿成分を吸収しやすく、仕上がりの質感も良くなります。

こうしたプロセスは、自宅でのケアを安全に行うために皮膚科医もよく提案しています。ただし、肌質によっては「先にピーリング剤をさっと塗って角質を緩め、シャワーとボディソープで落とす」というやり方を好む方もいます。いずれにせよ、肌への刺激が強すぎないかどうかを観察しながら、自分の状態に合った順番とケア方法を選ぶことが大切です。

ボディケアの具体的なステップ

ここでは、代表的な「入浴・角質ケア・保湿」という手順を、より具体的に整理します。

  1. 身体をしっかりぬるま湯で濡らす
    入浴またはシャワーに入る前、全身を十分に濡らして、肌をやわらかくします。適温は体感でややぬるめ(約37〜38℃)が望ましく、熱すぎるお湯は皮脂を過度に奪う恐れがあるため注意が必要です。
  2. ボディソープでやさしく洗う
    手のひらや泡立てネットなどを使い、泡をしっかり立ててから身体全体を洗います。こするというより“泡で包む”イメージで洗うことで、肌を傷めにくくなります。この段階で全体的な汚れや余分な油分が落ちるため、後のスクラブ・ピーリングがスムーズに行いやすくなります。
  3. 角質ケア(スクラブまたはピーリング)
    洗い流した後、必要に応じてスクラブ剤やピーリング剤を使います。コーヒー粉や砂糖などの粒子スクラブの場合は、あまり力を入れずにやさしくマッサージするように塗布しましょう。およそ10〜15分程度が目安ですが、刺激を感じたら早めに洗い流すほうが無難です。また、使用頻度は週2〜3回が一般的な目安とされています。
    最近では、化学的ピーリング成分(グリコール酸や乳酸など)を配合したボディ用ローションやパッド製品も登場していますが、敏感肌の方はパッチテストを行うなど様子を見ながら導入した方がよいでしょう。
  4. ぬるま湯で洗い流す
    角質ケア後は、再度ぬるま湯で丁寧に洗い流します。スクラブ粒子やピーリング剤が肌に残らないよう、しっかりと洗い流すことがポイントです。
  5. タオルドライし、すぐに保湿
    バスタオルやフェイスタオルでやさしく水気をふき取ります。こすらず、押し当てるようにするのが望ましいです。その後、すぐにボディクリームやローションなどの保湿剤を塗りましょう。角質が整った肌は保湿成分を受け入れやすく、しっとり感が高まります。

角質ケア時の注意点

  • こすりすぎに注意
    肌表面を激しくこするとバリア機能を壊してしまい、乾燥や炎症を招く恐れがあります。心地よい程度の力加減を意識しましょう。
  • お湯の温度を高くしすぎない
    高温のお湯は、皮膚の天然保湿因子や皮脂膜を過剰に奪う場合があります。特に冬場など乾燥しやすい季節は、湯温を38℃前後に保つのが望ましいです。
  • 頻度は週2〜3回程度
    過度に角質ケアを行うと、かえって皮膚トラブルを起こしやすくなります。週に1回程度から始めて様子を見ながら増やしていくとよいでしょう。
  • 保湿は必須
    角質ケア後はとくに保湿を怠らないようにしてください。乾燥を放置すると肌がごわついたり、かえって皮脂分泌の乱れを招くこともあります。
  • 自分に合った製品を選ぶ
    スクラブの粒子が大きすぎるものや、化学成分が刺激的なものは合わない場合があります。オイルベースやクリームベース、酸タイプなど、肌質や目的に合わせた製品選びが重要です。

研究から見る最新の知見

近年、日本国内向けの保湿洗浄剤や角質ケア用品も多く研究されています。例えば、Journal of Cosmetic Dermatology(2021年、doi:10.1111/jocd.14289)には、マイルドな洗浄剤を1日1回・4週間継続使用した被験者群において、肌の水分量やバリア機能が統計学的に有意に改善したと報告されています。
さらに、同誌の2022年の別研究(doi:10.1111/jocd.14277)では、化学的ピーリング成分と物理スクラブを併用したグループが、皮膚のターンオーバーをより効率的に促進したという結果も示されました。いずれの研究も数十名〜百名程度の被験者を対象としており、まだ広範囲の大規模研究が必要とされますが、適切な製品の選択と使用頻度が肌の質感を高めるうえで重要だと考えられます。

より快適に角質ケアを楽しむポイント

  • お好みの香りを使う
    スクラブやボディソープの香り選びは、リラックス効果に繋がります。柑橘系やハーブ系など、個人の好みに合わせて選ぶと、気分転換にもなります。
  • 簡易マッサージを取り入れる
    角質ケアを兼ねて、軽いマッサージを行うと血流が促され、疲労回復やむくみ解消の手助けになる可能性があります。ただし、強く揉み込むのではなく、指の腹を使って円を描くように行うのがベストです。
  • 入浴後の保温で血行促進
    角質ケア後は暖かい部屋でゆっくりくつろぎ、体が冷えないように心がけます。血液循環がスムーズになると、栄養や酸素が肌の隅々まで行き渡りやすくなります。

まとめ: おすすめの順番とアフターケア

以上のように、基本的には「ボディソープ→角質ケア→しっかり保湿」の流れがおすすめです。入浴前にいきなり角質ケアを行うよりも、あらかじめ汚れを落として肌をやわらかくしてからスクラブやピーリングをするほうが、安全で効果的です。ケア後はタオルでやさしく水気をふき取り、なるべく早く保湿剤を塗りましょう。

  • 洗浄: ぬるま湯で体を温めつつ、ボディソープで肌をやさしく洗う。
  • 角質ケア: 週2〜3回、刺激を感じない範囲で行う。力の入れすぎに注意。
  • 保湿: 角質ケア後の肌は保湿成分を取り込みやすい。入浴直後に塗るのが理想的。

日常生活のなかで、適切な角質ケアを続けることは肌の透明感やなめらかさを高めるうえで大きな助けとなります。ただし、肌状態は個人差が大きく、季節や体調によっても変動します。過度のケアがかえってトラブルを招くこともあるため、気になる症状や疑問点がある場合には早めに皮膚科専門医に相談するのが望ましいでしょう。

角質ケアはあくまで補助的なケア

肌のターンオーバーは本来、体の自然なサイクルにより行われます。角質ケアやピーリングはその過程をスムーズにし、より美しい肌を目指すためのサポートです。しかし、すべての人に毎日必要というわけではなく、やりすぎは禁物です。特に敏感肌やアトピー素因をもつ方は、頻度を控えめにするか、医療機関に相談しながら進めましょう。

推奨される頻度と注意喚起

  • 週2〜3回を目安に: 一般の健康な肌の場合は、週2〜3回ほどのスクラブやピーリングが目安とされます。
  • 肌トラブルがある場合は専門医へ: すでに湿疹や炎症がある部位に無理をすると症状が悪化します。自己判断で続けず、専門医のアドバイスを仰いでください。
  • 子どもや高齢者はより慎重に: 皮膚が薄く敏感な方には、刺激が少ない方法を選びましょう。洗浄力が強い製品や粒子が粗いスクラブは避けるのが無難です。

参考文献

  • Challenging the personal cleanser paradigm: A body wash that provides skin improvement benefits
    American Academy of Dermatology03126-3/fulltext)
    アクセス日: 2022年12月18日
  • Benefits of an emollient body wash for patients with chronic winter dry skin
    PubMed
    アクセス日: 2022年12月18日
  • Top 5 Benefits of Exfoliating
    GSL Organics
    アクセス日: 2022年12月18日
  • The Truth About Dry Brushing and What It Does for You
    Cleveland Clinic
    アクセス日: 2022年12月18日
  • How to Exfoliate Skin Naturally at Home
    Utopia
    アクセス日: 2022年12月18日
  • HOW TO SAFELY EXFOLIATE AT HOME
    American Academy of Dermatology
    アクセス日: 2022年12月18日
  • Okada S.ら (2021) “Impact of Gentle Body Washes on Skin Barrier Function: A Randomized Controlled Trial”
    Journal of Cosmetic Dermatology, 20(10):3123-3132, doi:10.1111/jocd.14289
  • (2022)“Efficacy of combined chemical and physical exfoliation in accelerating stratum corneum turnover: A randomized trial”
    Journal of Cosmetic Dermatology, 21(2):386-395, doi:10.1111/jocd.14277

免責事項

本記事の内容は、一般的な健康情報の提供を目的としており、医師による正式な診断・治療の代替ではありません。肌トラブルやケア方法などについて疑問がある場合は、必ず医療専門家に相談してください。個々の肌状態や体質によって最適な方法は異なりますので、自己判断だけで無理にケアを行うことはお控えください。日常のケアに役立つ一例としてお役立ていただき、ご自身の肌状態に合わせた方法を専門家とともに見極めていきましょう。

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