要点まとめ
- CRE感染症は、「最後の切り札」であるカルバペネム系抗菌薬が効かない多剤耐性菌による感染症で、WHOによって最高レベルの脅威とされています。
- 主なリスク群は、集中治療室(ICU)の患者、医療デバイス使用者、長期抗菌薬使用者など、医療環境下にいる免疫力が低下した人々です。健康な人が発症するリスクは極めて低いです。
- 治療は近年、セフィデロコルなどの新規抗菌薬の登場により大きく進歩しましたが、耐性遺伝子の種類に応じた薬剤選択が必要なため、感染症専門医との連携が不可欠です。
- 予防の鍵は、病院内での徹底した感染制御策(手指衛生、接触予防策など)と、社会全体での抗菌薬の適正使用(AMS)、そして「ワンヘルス」の視点に立った包括的な対策です。
第1部:はじめに – 「悪夢の耐性菌」という静かなるパンデミック
1.1. カルバペネム耐性腸内細菌目細菌(CRE)感染症とは?
カルバペネム耐性腸内細菌目細菌(Carbapenem-Resistant Enterobacterales、以下CRE)感染症とは、通常はヒトの腸内に存在する腸内細菌目細菌という細菌群が、「最後の切り札」とも呼ばれる強力なカルバペネム系抗菌薬に対して耐性(薬が効かなくなること)を獲得したことにより引き起こされる感染症の総称です1。
この問題の深刻さを理解するために、次のような例えを考えてみてください。「最も危険な火災に対して、消防署が持つ最強の放水ホースが突然機能しなくなった状況」。これが、医療現場がCREと対峙する際に直面している危機です。CREには、大腸菌(Escherichia coli)や肺炎桿菌(Klebsiella pneumoniae)など、一般にも比較的知られた細菌が含まれます2。これらの日常的な細菌が、最強クラスの武器であるカルバペネム系抗菌薬を無力化する能力を身につけたことで、治療は極めて困難となり、しばしば「悪夢の耐性菌」(悪夢の耐性菌)と称されるようになりました5。
1.2. なぜCREは国内および世界的な健康危機なのか
CREは単なる一地域の感染症問題ではなく、国境を越えた深刻な公衆衛生上の脅威と認識されています。世界保健機関(WHO)は、新規抗菌薬が緊急に必要とされる病原体のリストにおいて、カルバペネム耐性腸内細菌目細菌を「優先度1:クリティカル」という最高レベルの脅威に分類しています6。同様に、米国疾病予防管理センター(CDC)もCREを「緊急の脅威」と位置づけています8。
この深刻さの背景には、その高い致死率があります。特に血液中に菌が侵入して敗血症を引き起こした場合、一部の研究では患者の半数が死亡する可能性があると報告されており、その脅威の大きさを物語っています9。この問題は、日本、米国、欧州、アジアを含む全世界的な課題であり、国際社会が連携して対策を講じる必要性が叫ばれています9。
第2部:内なる敵 – CREの微生物学的深層
2.1. 加害者:腸内細菌目細菌科の主要な細菌
「腸内細菌目細菌」とは、ヒトの腸内に常在する多種多様な細菌群を指す言葉です2。これらの多くは腸内にいる限り無害ですが、尿路、肺、血流といった他の部位に侵入すると、重篤な感染症を引き起こすことがあります2。
日本国内のCRE感染症において、臨床的に特に重要視されているのは以下の菌種です13:
- クレブシエラ・アエロゲネス(Klebsiella aerogenes):近年、国内で最も多く報告される菌種となっており、その割合は増加傾向にあります。
- エンテロバクター・クロアカ・コンプレックス(Enterobacter cloacae complex)
- 肺炎桿菌(Klebsiella pneumoniae)
- 大腸菌(Escherichia coli)
これらに加え、セラチア・マルセッセンス(Serratia marcescens)なども原因菌として報告されています。また、一部の地域では、通常食中毒の原因となるサルモネラ菌や赤痢菌がカルバペネム耐性を獲得した事例も確認されており、耐性菌の広がりは多様化しています9。
2.2. 耐性のメカニズム:細菌はいかにして抵抗力を身につけるか
CREがカルバペネム系抗菌薬に耐性を持つメカニズムを理解することは、この脅威の本質と治療戦略を把握する上で極めて重要です。耐性獲得には、主に二つの異なる戦略が存在します15。
メカニズム1:カルバペネマーゼ産生(「超兵器」の獲得)
一部の細菌は、カルバペネム系抗菌薬を直接分解・無力化する「カルバペネマーゼ」という強力な酵素を産生する能力を獲得します。これらの細菌はカルバペネマーゼ産生腸内細菌目細菌(Carbapenemase-Producing Enterobacterales、CPE)と呼ばれます15。
このメカニズムの最も危険な点は、カルバペネマーゼを産生するための遺伝子が、プラスミドと呼ばれる移動性の遺伝因子上に存在することです。これにより、耐性遺伝子が細菌から細菌へ、さらには異なる菌種間でも容易に伝播します16。この水平伝播能力こそが、CPEが世界的に急速に拡大している最大の要因です。
メカニズム2:複合防御(「要塞」の構築)
もう一方の細菌は、より威力の低い酵素(基質拡張型$\beta$-ラクタマーゼ:ESBLやAmpC型$\beta$-ラクタマーゼなど)を大量に産生すると同時に、細菌自身の外膜構造を変化させ(ポリンの欠損)、抗菌薬が菌体内に侵入するのを防ぎます15。これは、城壁を厚くし、城内に兵士を配置するような複合的な防御戦略に例えられます。これらは、カルバペネマーゼを産生しないCRE(non-CP-CRE)です。
日本国内の状況を見ると、報告されるCRE感染症の約82-85%が、この「要塞」型のnon-CP-CREによるものです。一方で、より危険な「超兵器」型のCPEが占める割合は15-18%程度ですが、その伝播力と治療の困難さから、公衆衛生上最も警戒されています15。
2.3. 酵素の悪役名鑑:KPC、NDM、IMP、VIM、OXA-48
カルバペネマーゼには多くの種類が存在し、それぞれが異なる地域で優勢となる「疫学的な指紋」のような特徴を持っています。これは、グローバル化、人の移動、医療システムの連携が、耐性菌の伝播にいかに深く関わっているかを示しています。日本国内でIMP型に加え、NDM型やOXA-48型といった海外由来の「指紋」が検出されることは、日本がこの世界的な危機と無縁ではないことの直接的な証拠です。これらの酵素の種類によって有効な治療薬が異なるため、その特定は極めて重要です9。主要なカルバペネマーゼを以下の表にまとめます。
酵素ファミリー (Ambler分類) | 主要な型 | 主な流行地域 | 日本での状況と特徴 |
---|---|---|---|
KPC型 (Class A) | KPC | 米国、欧州の一部、中国、イスラエル | 米国CDCが急増に警鐘を鳴らした代表的な型。近年、日本でも院内アウトブレイクが報告されている9。 |
メタロ-β-ラクタマーゼ (MBL) (Class B) | IMP | 日本、世界各地 | かつて日本で最も優勢だったCPEの型。現在も広く存在するが、相対的な割合は減少しつつある9。 |
NDM | インド亜大陸発祥、現在世界的に拡大 | 最も警戒される型の一つ。海外渡航歴のない国内感染例が増加しており、国内での伝播拡大が強く懸念されている9。 | |
VIM | 欧州 | 欧州を中心に流行しているMBL型9。 | |
OXA-48-like型 (Class D) | OXA-48 | 欧州、中東、北アフリカ | 欧州で急速に拡大している型。日本国内の下水からも検出されており、国内への侵入と定着が懸念される9。 |
第3部:人的被害 – CRE感染症の臨床的現実
3.1. 誰が危険に晒されるのか?脆弱な集団の特定
CREは、誰にでも感染するわけではありません。そのリスクは、特定の条件下にある人々に集中しています。複数の信頼できる情報源(厚生労働省、CDC、学術論文など)から一貫して示されるリスク要因は、CREが主に医療システム内で、医学的に脆弱な状態にある人々に影響を及ぼす問題であることを明確に示しています1。
あるメタアナリシス研究では、医療デバイスの使用がCRE獲得の最大のリスク(オッズ比5.09)、次いでカルバペネム系抗菌薬の使用(オッズ比4.71)であることが示されており、現代の高度医療そのものがCRE発生の土壌となっていることがうかがえます18。
主なリスク要因:
- 医療への曝露:病院、特に集中治療室(ICU)への入院、または介護施設への長期入所4。
- 侵襲的デバイスの使用:人工呼吸器、中心静脈カテーテル、尿道カテーテルなどの医療機器の留置1。
- 抗菌薬の使用歴:特定の抗菌薬、特にカルバペネム系抗菌薬の長期使用4。
- 宿主側の要因:免疫機能の低下、糖尿病や慢性肺疾患などの基礎疾患の存在、外科手術後1。
- 海外渡航歴:海外の医療機関で治療を受けた経験は、日本ではまだ稀な耐性菌を保菌する重要なリスクとなる1。
一方で、健康な人がCRE感染症を発症する心配はほとんどありません1。この点を明確に伝えることは、一般市民の過度な不安を和らげる上で重要です。
3.2. 症状と感染症の種類:尿路から血流まで
CRE感染症の症状は、CRE菌に特有のものではなく、菌が感染した部位によって決まります2。日本のサーベイランスデータに基づくと、主な感染症の種類と割合は以下の通りです24。
- 尿路感染症(UTI):国内症例の約32%。排尿時痛、頻尿、発熱などの症状が現れます。
- 血流感染症(BSI)/敗血症:国内症例の約24%。発熱、悪寒、頻脈、低血圧、意識混濁、全身倦怠感などを呈し、最も生命を脅かす病態です1。
- 肺炎(呼吸器感染症):国内症例の約20%。咳、発熱、呼吸困難、胸痛などがみられます。
- 創部・手術部位感染症:傷口の発赤、腫脹、疼痛、膿の排出などが特徴です2。
- その他:髄膜炎や腹腔内感染症など、多岐にわたる感染症を引き起こす可能性があります12。
3.3. 静かなる保菌者:無症候性保菌の理解
CREの問題を複雑にしているのが、「無症候性保菌」という状態の存在です。これは、感染症と保菌の違いを理解することから始まります。
- 感染(Infection):細菌が体内で増殖し、発熱や痛みなどの症状を引き起こしている状態。
- 保菌(Colonization):細菌が体内(主に腸管)に定着しているものの、症状を引き起こしていない状態1。
この保菌状態が公衆衛生上、極めて重要な意味を持ちます。その理由は、公式に報告される感染者数(日本では年間約2,000人)は、水面上に見える「氷山の一角」に過ぎないからです。水面下には、はるかに多くの無症候性保菌者が存在し、この巨大な「氷山の本体」が、しばしば無自覚のうちに他者への伝播源(リザーバー)となっています22。保菌者自身も、将来的に免疫力が低下した際に感染症を発症するリスクが高まります22。
患者や家族から「保菌しているだけで治療は必要か?」という質問がよく寄せられますが、現在の医学的コンセンサスでは、無症候性保菌に対する除菌目的の抗菌薬投与は推奨されていません。不要な抗菌薬使用は、さらなる薬剤耐性を助長するリスクがあるためです9。
また、日本の感染症法では、症状のある感染症患者のみが届出義務の対象であり、無症候性の保菌者は対象外です1。この事実は、公式統計だけではCREの蔓延の実態を完全には把握できないことを示唆しており、感染制御の難しさの一因となっています。
第4部:脅威のマッピング – 日本と世界におけるCREの疫学
4.1. 日本の状況:国内データの概観
日本の国立感染症研究所(NIID)が管轄する感染症発生動向調査(NESID)は、国内のCREの状況を把握するための重要な基盤です。
- 発生動向:2014年9月に5類感染症(全数把握対象)に指定された後、報告数は2017年頃には年間約1,600例、2018-2019年に約2,200例でピークに達し、2020年以降は年間約2,000例前後で推移しています13。
- 人口動態:感染者は高齢者に偏っており、報告の約80%を65歳以上が占めています14。
- 地理的分布:感染報告は主要な大都市圏に集中しています。東京都、大阪府、神奈川県、愛知県、福岡県の上位5都府県で、全国の報告数の約40%を占めています14。この地理的集中は、単なる人口密度を反映しているだけではありません。むしろ、ハイリスクな患者が集まり、施設間での転院が頻繁に行われる大規模な高度医療機関や長期療養施設がこれらの都市部に集積していることの現れであり、CRE伝播の効率的なネットワークが形成されやすい医療インフラの構造を映し出しています。
- 菌種の変遷:2017年以降、K. aerogenesが最も報告数の多い菌種となり、全体の約40%を占めるという顕著な変化が見られます13。
- カルバペネマーゼの動向:危険なCPE株の中では、従来優勢だったIMP型が減少し、代わりにNDM型が増加傾向にあります。これは、国内の脅威プロファイルが海外の動向と連動して変化していることを示唆しています14。なお、新型コロナウイルス感染症(COVID-19)のパンデミックが、サーベイランスのための菌株収集に影響を与えた可能性も指摘されています28。
4.2. 世界的な広がり:繋がった危機
CREの脅威は国境を知りません。各地域で異なるカルバペネマーゼが流行の主役となっており、その分布はグローバルな人の移動と医療の連携を映し出しています。
- 米国:CDCは、KPC産生肺炎桿菌を中心に、CREが10年間で4倍に増加したことに強い警戒感を示しました。近年ではNDM型やOXA-48型の院内アウトブレイクも発生しており、脅威が多様化しています9。
- 欧州:一部では米国よりも深刻な状況とされ、VIM型、NDM型、KPC型、OXA-48型が複雑に混在し、各地でアウトブレイクを引き起こしています9。欧州疾病予防管理センター(ECDC)の報告では、カルバペネム耐性肺炎桿菌による血流感染症の発生率は、2019年から2023年の間に57.5%も増加するという憂慮すべき傾向が示されています11。
- アジア・中東:インド、中国、ギリシャなどではNDM型やKPC型が大きな問題となっており、これらの地域からの帰国者や渡航者を通じて、日本を含む他国へ耐性菌が持ち込まれる主要なルートとなっています9。
このように、CREは個別の国の問題の集合体ではなく、地域ごとの特徴を持ちながらも相互に繋がった、一つの世界的なパンデミックとして捉える必要があります。
第5部:臨床の最前線 – 診断と現代的治療
5.1. 医師によるCREの診断法:培養から遺伝子検査まで
CREの診断は、患者の適切な治療と院内感染対策の開始を決定するための重要な第一歩です。日本の厚生労働省の基準に基づき、診断は通常、二段階のプロセスで行われます12。
- ステップ1:表現型検査(薬剤感受性試験):患者から分離された細菌(大腸菌など)を、メロペネムやイミペネムといったカルバペネム系抗菌薬と共に培養します。薬の増殖を阻止できる最低濃度(最小発育阻止濃度:MIC)を測定し、その値が一定の基準(例:メロペネムでMIC≥2μg/mL)を超えた場合に、CREであると判定されます12。これは「その菌が耐性を持っているか?」を判定する最初のステップです。
- ステップ2:カルバペネマーゼ産生能の確認:CREと判定された後、次に「どのように耐性なのか?危険なカルバペネマーゼを産生しているか(CPEか)?」を調べます。このステップは、より高度な治療法の選択と公衆衛生上の対応を決定するために不可欠です。
診断した医師は、感染症法に基づき、症状のある「患者」を7日以内に最寄りの保健所に届け出る義務があります1。
5.2. 進化する武器庫:希望をもたらす新規抗菌薬
CRE治療は、近年大きな転換期を迎えています。かつてはコリスチンなど、効果が不確実で副作用の強い古い薬に頼らざるを得ない状況でしたが7、2023年以降、日本でもCPEに対して高い効果を示す新世代の$\beta$-ラクタム系薬剤が承認され始め、治療の選択肢が大きく広がりました14。
この分野の研究を牽引する日本の専門家として、藤田医科大学の土井洋平教授らの功績は特筆に値します12。彼らの研究は、これらの新しい薬をいかに効果的に使うかという、現代のCRE治療の根幹をなす知見を提供しています。
新しい治療薬の登場により、CRE治療は「どの耐性遺伝子を持つか」に基づいて最適な薬を選択する「精密医療」の時代に入りました。これは、もはや耐性遺伝子の特定が学術的な興味にとどまらず、患者の生命を救うための必須情報となったことを意味します。以下の表は、主要な新規抗菌薬とその特徴をまとめたものです。
薬剤名(製品名) | 作用機序 | 主な標的カルバペネマーゼ | 日本での重要性 |
---|---|---|---|
セフタジジム/アビバクタム (ザビセフタ) | β-ラクタマーゼ阻害薬配合剤 | KPC、OXA-48 | KPC型やOXA-48型に有効。しかし、日本で最も多いMBL型には単独では無効15。 |
イミペネム/シラスタチン/レレバクタム (レカルブリオ) | β-ラクタマーゼ阻害薬配合剤 | KPC | 主にKPC産生菌が標的33。 |
セフィデロコル (フェトロージャ) | シデロフォアセファロスポリン | KPC、OXA-48、MBL (IMP, NDM, VIM) | 鉄トランスポーターを利用する「トロイの木馬」戦略で菌内に侵入。日本のCPEの90%以上を占めるMBL産生菌に有効なため、国内の治療戦略において極めて重要な薬剤33。 |
アズトレオナム+アビバクタム (併用療法) | モノバクタム系+β-ラクタマーゼ阻害薬 | MBL (IMP, NDM, VIM) | アビバクタムが他の$\beta$-ラクタマーゼを阻害し、アズトレオナムをMBLから守る併用療法。MBL産生菌に対する強力な選択肢15。 |
5.3. 専門家の役割:なぜ専門医への相談が不可欠なのか
CRE感染症の診断と治療は、耐性メカニズムの複雑さ、そして新規薬剤の登場により、高度な専門知識を要します。そのため、治療方針の決定は必ず感染症専門医との相談のもとで行われるべきです26。
日本には、この困難な課題に取り組む優れた専門家が多数存在します。本稿で参照した研究にも、藤田医科大学の土井洋平教授、元国立国際医療研究センターで現東京科学大学の具芳明教授、名古屋大学名誉教授の荒川宜親博士といった、この分野の第一人者たちの名前が見られます12。こうした国内の専門家コミュニティの存在は、日本のCRE対策の大きな支えとなっています。
第6部:防御の構築 – 予防と管理のための実践ガイド
6.1. 病院内での対策:感染制御の基本原則
病院内でのCRE伝播を防ぐためには、単一の対策ではなく、「感染対策バンドル」と呼ばれる複数の介入を組み合わせた体系的なアプローチが不可欠です。この防御システムは、どれか一つが欠けても機能不全に陥る可能性があります9。
- 標準予防策:すべての患者に対して適用される基本策。体液に触れる可能性がある場合の個人防護具(PPE)の着用や、手指衛生が含まれます。
- 接触予防策:CREの感染または保菌が確認・疑われる患者に適用される追加策。
- 手指衛生:最も重要かつ効果的な単一の対策。手が目に見えて汚れていない限り、アルコールベースの手指消毒剤の使用が推奨されます22。
- 環境清掃:患者の病室や使用した医療機器、特にベッド柵やドアノブ、ナースコールといった高頻度接触面を、承認された消毒薬で徹底的に清掃・消毒します22。
- スクリーニングと情報共有:他施設からの転院患者や海外での入院歴がある患者など、ハイリスクな患者に対しては、入院時に保菌スクリーニングを実施します。また、患者を他の施設へ転院させる際には、CREの情報を確実に伝達することが極めて重要です9。
6.2. 患者・家族・面会者の皆様へ:感染拡大を防ぐためのあなたの役割
病院における感染対策は、医療従事者だけのものではありません。患者さんやご家族、面会者の皆様も、感染制御の重要なパートナーです。無力感を抱くのではなく、以下の簡単な行動を実践することで、愛する人や他の患者さんを守ることに繋がります1。
- 手指衛生の徹底:病室に入る前と出た後には、必ず石けんと流水による手洗い、またはアルコール手指消毒剤で手をきれいにしてください。
- 医療スタッフの指示に従う:ガウンや手袋の着用など、病院スタッフからの指示には必ず従ってください。
- 質問することをためらわない:「手を消毒されましたか?」と医療従事者に尋ねることは、患者安全を守るための正当な権利です43。
- 情報を伝える:過去にCREと診断されたことや、最近他の病院(特に海外)に入院した経験があれば、必ず医師や看護師に伝えてください9。
- 在宅介護での注意点:ご自宅でCRE保菌者の介護をする場合、痰や便などの体液を処理する際には手袋を使用し、処置後は石けんで丁寧に手を洗ってください1。
6.3. より大きな視点:抗菌薬の適正使用と「ワンヘルス」
CREという病院内での問題の根源をたどると、社会全体の抗菌薬の使用方法に行き着きます。この課題に対処するため、日本政府は「薬剤耐性(AMR)アクションプラン」を策定し、国を挙げた対策を進めています44。
その中核をなすのが抗菌薬適正使用(Antimicrobial Stewardship: AMS)という考え方です。これは、抗菌薬を本当に必要な場合にのみ、適切な種類、量、期間で使用することを推進する組織的な取り組みです14。厚生労働省やAMR臨床リファレンスセンターが国民に向けて発信している核心的なメッセージは以下の通りです44。
- 風邪やインフルエンザのようなウイルス性疾患に、抗菌薬は効きません。
- 抗菌薬は、医師が必要と判断した場合にのみ服用してください。
- 処方された抗菌薬は、指示通りに全量飲み切ってください。途中でやめたり、後で使うために取っておいたり、他人に譲ったりしないでください。
さらに、この問題は「ワンヘルス」という、より広い概念で捉える必要があります。これは、人の健康、動物の健康、そして環境の健康がすべて相互に繋がっているという考え方です。畜産や水産分野での抗菌薬使用も、環境中に耐性菌を拡散させ、最終的に人の健康に影響を及ぼす可能性があるため、分野横断的な対策が不可欠です48。地域社会での風邪に対する抗菌薬の不適切な要求を控えるといった個人の行動が、最終的にICUでの深刻な感染症問題の解決に貢献するのです。
第7部:未来への闘い – 研究の最前線
7.1. ファージ療法:ウイルスを利用して細菌を殺す
抗菌薬とは全く異なるアプローチとして、「ファージ療法」が再び注目を集めています。バクテリオファージ(ファージ)とは、細菌にのみ感染して増殖し、最終的にその細菌を破壊する自然界に存在するウイルスです50。
このファージを「生きた薬」として利用し、多剤耐性菌感染症を治療しようというのがファージ療法です。特に、日本国内で流行しているIMP-6型カルバペネマーゼ産生肺炎桿菌を標的としたファージを探索し、治療に応用するための研究が国内でも進められています21。
この治療法は、特定の細菌のみを狙い撃ちできるという利点がありますが、細菌側もファージに対する耐性を獲得する可能性があるため、複数のファージを組み合わせた「ファージカクテル」の使用など、さらなる研究開発が続けられています21。
7.2. モノクローナル抗体と抗毒力療法
今後の治療戦略は、従来の「広範囲爆撃」型の抗菌薬から、より精密なアプローチへと移行しつつあります。
- モノクローナル抗体(mAbs):特定のCREの表面構造(例えば、莢膜多糖)を狙い撃ちするように設計された、実験室製の抗体です。この抗体は、患者自身の免疫細胞が細菌を認識し、貪食・殺菌するのを助けます(オプソニン化)52。自身の免疫応答が弱い患者にとって、特に有望な治療法と考えられています52。
- 抗毒力療法(Anti-virulence Strategies):これは、細菌を直接殺すのではなく、「武装解除」することを目的とした画期的なアプローチです。細菌が病気を引き起こすために使用する毒素や接着因子といった「病原性因子」の働きを阻害します55。これにより、細菌は病原性を失い、患者の免疫システムが容易に排除できるようになります。この戦略の大きな利点は、細菌を殺さないため、耐性を誘導する選択圧が低いと考えられている点です。
これらの次世代治療法は、病原体を単に毒殺するのではなく、宿主の免疫システムと協調したり、その働きを補ったりするという、感染症治療の新たなパラダイムシフトを象徴しています。
よくある質問 (FAQ)
健康な人がCREに感染する心配はありますか?
「感染」と「保菌」の違いは何ですか?
CREの保菌者と診断されましたが、治療は必要ですか?
いいえ、現在の医学的コンセンサスでは、症状のない「無症候性保菌」に対して、除菌を目的とした抗菌薬の投与は推奨されていません9。不要な抗菌薬の使用は、かえってさらなる薬剤耐性を生み出すリスクがあるためです。ただし、入院中などは、感染拡大を防ぐための予防策(接触予防策など)が取られます。
面会者として、感染を広げないために何ができますか?
面会者の方々も感染対策の重要なパートナーです。最も大切なことは、病室に入る前と出た後に、必ず石けんと流水またはアルコール手指消毒剤で手を清潔にすることです。また、病院スタッフからガウンや手袋の着用を指示された場合は、必ずその指示に従ってください。これらの簡単な行動が、患者さんや他の人々を守ることに繋がります1。
風邪をひいたときに抗菌薬をもらうのはなぜ良くないのですか?
風邪やインフルエンザのほとんどはウイルスが原因であり、細菌を殺すための抗菌薬は全く効果がありません44。不必要に抗菌薬を使用することは、体内にいる細菌に耐性を獲得する機会を与えてしまうことに繋がります。この小さな行動の積み重ねが、CREのような薬剤耐性菌問題の大きな原因の一つとなっています。抗菌薬は、医師が細菌感染症と診断した場合にのみ、指示通りに服用することが極めて重要です。
結論
カルバペネム耐性腸内細菌目細菌(CRE)感染症は、抗菌薬の過剰使用とグローバルな人々の繋がりによって増幅された、現代医療が直面する手ごわい脅威です。その進化する耐性メカニズムと高い致死率は、私たちに深刻な課題を突きつけています。
しかし、絶望だけではありません。本稿で詳述したように、希望の光は明確に存在します。病院における徹底した感染制御策、社会全体での賢明な抗菌薬適正使用、そしてファージ療法やモノクローナル抗体といった革新的な研究開発の組み合わせは、この脅威を克服するための確かな道筋を示しています。
患者のベッドサイドから研究室まで、診療所から家庭に至るまで、CREとの闘いは私たち全員が共有する責任です。「ワンヘルス」の原則が示すように、私たちの行動は相互に繋がっています。清潔に保たれた一つひとつの手、適切に行われた一つひとつの処方、そして科学への一つひとつの投資が、未来においても私たちの薬が効果を発揮し続ける社会を確保するための一歩となるのです。
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