ステント留置とは?手順とよくある合併症
心血管疾患

ステント留置とは?手順とよくある合併症

はじめに

皆さん、こんにちは。今日は、医療の中で非常に重要な役割を担う「ステント」について詳しくお話ししたいと思います。ステントと聞くと専門的に感じるかもしれませんが、実は私たちの日常生活や健康状態に深く関連している医療器具のひとつです。小さな金属やポリマーでできた管状の装置が、閉塞や狭窄が疑われる血管・管腔を拡張し、血液やその他の体液の流れを確保することで、重篤な病気を予防したり改善したりする手助けをしています。
しかし、実際にステントを配置するにはどのような手順を踏むのでしょうか。また、合併症やリスク、副作用にはどのようなものがあるのでしょうか。本記事では、ステントの基本情報から配置手順、術後の生活管理まで幅広く解説し、その利点と注意点をわかりやすくお伝えしていきます。

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ステントに関する基本情報

ステントとは、主に金属メッシュやポリマー素材でできた管状(チューブ状)の医療器具です。血管内治療に多用され、たとえば心臓の冠動脈大動脈、あるいは尿管気道など、さまざまな狭窄や閉塞が起こりうる管腔組織に挿入されます。ステントは狭まった血管の内壁を機械的に広げ、血流や液体の流れを改善する「支え」となるため、重篤な疾患や合併症の予防に役立ちます。
特に冠動脈が狭窄して血流が低下すると、狭心症心筋梗塞など生命に関わる疾患を引き起こすリスクが高まります。しかし、ステントを血管内に配置し、血液の流れを回復させることで、症状の軽減や予後の改善が期待できます。こうした心血管疾患だけでなく、さまざまな部位の管状組織に応用できる点が、ステント治療の大きな特長です。

ステントの種類

ステントにはいくつかの種類があり、構造や塗布薬剤が異なることで、それぞれに利点と注意点があります。以下に代表的な3種類を挙げます。

  • 裸金属ステント(Bare Metal Stent:BMS)
    金属メッシュから構成されるステントです。急性期の冠動脈閉塞など、速やかに血流を改善したい場合に用いられることが多い一方、再狭窄のリスクが比較的高いとされています。配置後は定期的な通院や画像検査などのモニタリングが必要になり、食事や運動療法などの生活習慣改善も重要です。
  • 薬剤溶出ステント(Drug-Eluting Stent:DES)
    ステント表面に薬剤が塗布されており、血管内壁の過剰増殖を抑える薬理作用があります。これにより再狭窄のリスクが大幅に下がる反面、術後に抗血小板薬などの内服を比較的長期にわたって継続する必要があります。服薬管理がしっかりできる方にとっては、長期安定性が高く有用な選択肢です。
  • 生分解性ステント(Biodegradable Stent)
    一定期間が経過すると体内で自然分解される素材から作られるステントです。永久的に体内に残さなくて良い点で注目されていますが、比較的新しい技術でもあり、長期的な追跡データが十分に蓄積されていない部分があります。将来的には、慢性的な異物反応を低減する治療選択肢として普及が期待されています。

これらのステントの種類は患者さんの病態や血管の状態、合併症の有無などによって適切に使い分けられます。医師は複数の検査結果を総合し、患者さんごとのメリット・デメリットを踏まえて最適なステントを選択します。

ステントが必要とされる場面

ステントの主な役割は、血管や管状構造の狭窄・閉塞を解消または緩和することです。特に以下のような疾患で有用とされます。

  • 冠動脈疾患
    狭心症や心筋梗塞など、心臓への血流低下が重大な問題となる場合に、ステントによって血管を拡張し血流を回復させます。心臓カテーテル検査によって狭窄部位が確認されたら、急性期には速やかにステント留置が検討されることがあります。
  • 末梢動脈疾患
    手足への血流が低下することで痛みや潰瘍を引き起こし、進行すると重度の合併症(壊疽など)に至るリスクがあります。ステントで血流を改善することで、下肢の虚血症状や潰瘍悪化を防止できます。
  • 腎動脈狭窄
    腎臓に血液を送る動脈が狭くなると、高血圧や腎不全リスクが高まります。ステントを配置することで腎血流を増加させ、腎機能の悪化を防ぐことが期待されます。
  • 大動脈瘤や大動脈解離
    大動脈の一部が拡張または剥離している場合、ステントで壁を補強し、破裂やさらなる剥離を抑える治療を行うことがあります。

また、泌尿器系(尿管)や胆管、気道などの閉塞・狭窄にもステントが使われる場合があります。たとえば、尿路結石や腫瘍などで尿管が閉塞した際、ステントを挿入することで尿の流れを確保し、腎機能を維持することができます。

ステント配置の前に知っておくべきこと

ステント配置は比較的短時間で行われることが多いですが、以下のような状況では別の治療法を検討する場合があります。

  • 軽度の症状や病気
    生活習慣の改善や薬物療法で十分に管理できるケースでは、あえて体への侵襲がある処置を避けることがあります。
  • 多部位にわたる動脈狭窄
    複数の動脈が狭くなっていると、ステントよりもバイパス手術のほうが適応となる場合も少なくありません。特に三本以上の冠動脈が重度に狭窄している場合、バイパス手術のほうが長期成績が良いとされる報告もあります。
  • 他の合併症やリスク因子が高い場合
    慢性腎臓病や重度の糖尿病など、カテーテル治療がかえってリスクを高める可能性があるケースです。たとえば腎機能が低下している患者さんは、造影剤がさらに腎臓を傷める恐れがあるため、処置の必要性を慎重に判断します。
  • 高齢や中風リスクが高い場合
    高齢になるほど手術負担や合併症リスクが増します。血管内治療では術中・術後に血栓が形成される可能性があり、脳梗塞などを引き起こすリスクも考慮しなければなりません。こうしたリスクを十分に精査した上で、他の手段も含めた選択が行われます。

さらに、ステント配置後の合併症としては再狭窄や血栓形成、感染症などがあり、なかでも再狭窄はBMS(裸金属ステント)で起きやすいとされています。そのため、術後に薬剤や食事・運動療法を組み合わせることで再狭窄リスクを抑える努力が求められます。

術後の考慮点と合併症

ステント配置後に起こりうる合併症には以下のようなものがあります。

  • 血栓形成
    ステント内に血栓ができてしまうと、再度血流が途絶する危険があります。そのため、術後は抗血小板薬を処方されることが一般的です。服薬を怠ると急性血栓が生じ、深刻な症状を引き起こす可能性があります。
  • アレルギー反応
    ステントの素材(金属やポリマー)あるいは薬剤(DESに含まれる成分)に対するアレルギーが疑われる場合、手術前に医師と綿密な相談が必要です。アレルギーの既往歴がある患者さんには、代替素材や別の治療法が選択される場合があります。
  • 出血や痛み
    カテーテルを挿入した部位(多くは手首や足の付け根)が出血したり、術後に痛みがしばらく続くことがあります。出血が止まらない場合や痛みが長引く場合は、直ちに医療機関へ連絡してください。
  • 感染症
    手術部位やステント留置部位で感染症が生じる可能性があります。発熱や患部の腫れ・発赤、膿のような分泌物がある場合は早めの診察が必要です。

こうした合併症は頻度としては高くないものの、起こった場合には重篤化するおそれもあるため、術後の経過観察はとても重要です。

ステントの配置手順

ステント配置の流れは、血管の種類や病変部位によって多少異なりますが、多くの場合は以下の手順を踏みます。

  1. 準備段階
    • 手術数日前から血液検査や画像検査(造影CT、心臓カテーテル検査など)を行い、ステントを留置する部位を特定します。
    • 患者さんは手術の6〜8時間前から絶食するよう指示されることが一般的です。
    • 術前から抗血小板薬を服用する場合があり、これは術中・術後の血栓リスクを抑えるためです。
  2. 配置過程
    • 局所麻酔を行い、手首や足の付け根からカテーテルと呼ばれる細い管を血管内に挿入します。
    • カテーテルの先端にステントを装着し、狭窄部位まで移動させます。
    • 風船(バルーン)を膨らませ、狭窄部位を広げつつステントを血管壁に押し当てることで定着させます。
    • 手術自体は1時間程度で終了することが多いですが、狭窄の程度や患者さんの全身状態により変動します。
  3. 術後管理
    • 術後は合併症を防ぐため、数時間から一晩は病院で安静に過ごすことが多いです。
    • 血栓予防のために抗血小板薬が処方され、数ヶ月から数年単位での服用が続く場合があります。
    • 術後の定期検査(血液検査、画像検査など)でステントの状態や血流を確認します。異常を早期に発見して対処することが重要です。

ステント配置後の生活

ステントを配置した後、より良い予後を得るためには生活習慣の改善が欠かせません。特に以下のポイントに注意してください。

  • 体重管理
    過度な肥満は心臓や血管に大きな負担をかけます。バランスの良い食事や有酸素運動を組み合わせ、適正体重を維持しましょう。
  • 適度な運動
    ウォーキングや軽いジョギング、水泳などの有酸素運動は、血液循環を促進し心血管系の健康を維持するのに有効です。ただし、いきなり激しい運動を始めるのではなく、医師と相談しながら少しずつ運動強度を上げていきましょう。
  • 健康的な食事
    野菜、果物、魚を中心とした食生活を心がけ、塩分や飽和脂肪酸の摂取を控えるとよいとされています。特にオメガ3脂肪酸を含む青魚やナッツ類は、心臓病の予防に効果的といわれています。
  • ストレスの軽減
    ストレスホルモンは血圧や心拍数を上げ、血管に負荷を与えます。リラクゼーション法、マインドフルネス、軽い呼吸法など、日常に取り入れやすいストレス対処法を見つけましょう。
  • 禁煙
    喫煙は動脈硬化の大きな要因とされ、血管内皮へのダメージを加速させる恐れがあります。禁煙外来やニコチンパッチなどを利用してでもタバコをやめることは、再狭窄リスクを大幅に下げる効果があります。

医師との連携

ステント手術後は、定期的な通院が必要です。特に手術後数ヶ月間は短い間隔で検査や診察が行われ、ステントの状態や血液の流れが正常に保たれているかを確認します。もし動脈の再狭窄や合併症が起きていれば、早期発見・早期対応が可能になります。
また、抗血小板薬の服用スケジュールなどについて、医師の指示を厳守することが欠かせません。自己判断で薬を中止したり、用量を変えたりすることは非常に危険です。少しでも気になる症状があれば、すぐに医療機関へ連絡し、適切なアドバイスを受けてください。

経過観察と症状の監視

術後の生活において、以下のような症状がみられた場合は、ただちに医療機関を受診しましょう。

  • 咳を伴う出血
    手術部位やカテーテル挿入部位の出血が止まらない場合、感染症や重度の合併症が進行している可能性があります。
  • 高熱
    手術創部や体内に感染症が起きている疑いがあります。発熱が続く場合は早めの相談が必要です。
  • 呼吸困難
    血栓形成や心不全の兆候である恐れがあります。呼吸が苦しくなるなどの異変を感じたら、すぐに受診してください。
  • 胸痛
    新たな狭窄や心筋梗塞の前兆、あるいはステントに何らかのトラブルが起きた可能性があります。
  • 脈の乱れ
    不整脈の兆候であり、心臓への負担や血行動態の異常が疑われます。

これらの症状はいずれも放置すると重大な状態に陥るリスクがあるため、少しでも異変を感じたら速やかに医師の診察を受けましょう。

結論と提言

ステントの配置は、血管の狭窄や閉塞を改善する有効な手段です。特に心臓病や重度の末梢動脈疾患など、血流不全が生命に影響を及ぼす可能性がある場合に大きなメリットをもたらします。ただし、ステント留置自体がゴールではありません。再狭窄を防ぐための薬物療法や生活習慣の改善、定期的な通院を組み合わせてこそ、長期的な健康と良好な予後が得られます。
また、複数の血管が狭窄している場合にはバイパス手術が適切な場合もあり、治療方針は個々の状態によって大きく異なります。担当医から提案される選択肢のメリット・デメリットを理解し、自分の症状と照らし合わせながら納得のいく決断を下すことが重要です。
さらに近年は、抗血小板薬の投与期間や薬剤選択について新たな研究やガイドラインの更新が相次いでおり、治療の最適化が進んでいます。例えば、Valgimigli M ら(2020年、The Lancet、doi:10.1016/S0140-6736(20)30740-4)の大規模メタ分析では、冠動脈疾患のステント留置後の抗血小板療法に関して、治療期間の長さと薬剤選択のリスク・ベネフィットが詳細に検討されています。患者さん個々のリスク因子に合わせて、服薬期間の調整が可能であることも示唆されています。
また、Holmes DR ら(2020年、JAMA Cardiology、doi:10.1001/jamacardio.2020.2873)の研究では、左主幹部冠動脈病変に対するステント治療とバイパス手術を比較したメタ解析が行われ、患者背景や合併症の有無によって結果に差が見られることが報告されています。日本人を含むアジア圏でも治療成績を検証する研究が増え、個別化医療の重要性が強調されています。
要するに、ステント治療は現代医療において欠かせない選択肢ですが、術後の管理や治療方針の再検討も含め、医療チームとの継続的な連携が何より重要です。本記事で紹介した情報はあくまでも一般的な知識であり、最終的な判断や具体的な治療法の選択は医師と十分に相談しながら進めるようにしてください。

注意: 本記事は一般的な情報提供を目的としており、医療専門家による直接の診断や治療アドバイスに代わるものではありません。各個人の病状やリスクに応じた最適な治療方針は、必ず専門の医師にご相談ください。

参考文献

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