ニキビ後の「赤み」を消す方法【皮膚科専門医が徹底解説】原因からセルフケア、美容医療のすべて
皮膚科疾患

ニキビ後の「赤み」を消す方法【皮膚科専門医が徹底解説】原因からセルフケア、美容医療のすべて

こんにちは。美容皮膚科を専門とする医師です。長年にわたり、ニキビやニキビ跡に悩む多くの患者様の治療に携わってまいりました。ニキビの芯がなくなった後も、何か月も居座り続ける赤い「ニキビ跡」に悩まされていませんか?それは治りきっていない炎症ニキビだと思われるかもしれませんが、実は全く異なる状態である可能性があります。これらの赤い痕は、見た目の問題だけでなく、深刻な心理的ストレスの原因ともなり得ます。1 本稿では、日本皮膚科学会の治療ガイドラインや査読済みの国際的な研究論文など、最新の科学的根拠に基づき、最も信頼できる情報をお届けします。この記事の目的は、「ニキビ後の赤い痕」、専門的には炎症後紅斑(Post-Inflammatory Erythema, PIE)と呼ばれる状態の本質を解明することです。原因の完全な理解から、自宅でのセルフケア、そして先進的なクリニックでの治療法まで、日本の医療事情を考慮した包括的なロードマップを共に探っていきましょう。

要点まとめ

  • ニキビ後の「赤み」の正体は、多くの場合「炎症後紅斑(PIE)」と呼ばれる血管性の問題であり、色素沈着(PIH)とは根本的に異なります。
  • PIEに対する最も効果的で費用対効果の高い「治療法」は、保険診療でニキビの炎症自体を早期にしっかりと治療し、赤みの発生を「予防」することです。
  • セルフケアでは、徹底した紫外線対策と、アゼライン酸やナイアシンアミドなどの抗炎症・バリア機能サポート成分の使用が有効です。
  • 美容皮膚科では、Vビーム(色素レーザー)を第一選択とし、IPL(光治療)やポテンツァ(マイクロニードルRF)など、赤みの原因である血管に直接アプローチする効果的な治療法が存在します。
  • 重度の場合は、低用量のイソトレチノイン内服とレーザー治療を組み合わせる先進的なアプローチもありますが、専門医による厳格な管理が必須です。

第1章:ニキビ後の赤み「炎症後紅斑(PIE)」の科学

1-1. 炎症後紅斑(PIE)とは何か?

まず明確にすべきは、PIEは組織が失われたり(陥凹性瘢痕)、組織が増殖したり(肥厚性瘢痕)する真の「瘢痕」ではないという点です。これは血管に関わる問題です。PIEは、平坦で、ピンク色、赤色、あるいは時に紫色を帯びた斑点として現れます。1
より具体的にイメージするために、次のように考えてみてください。「もしニキビの炎症が『火事』だとしたら、炎症後紅斑はその後に残った『焼け跡』ではなく、『消火』のために動員された『水道管』(毛細血管)が、その場に留まって透けて見えている状態」です。
詳細な病態生理としては、C. acnes菌(アクネ菌)と戦う過程で、体はサイトカインやプロスタグランジンのような炎症性メディエーターを放出します。これらの物質は血管を拡張させ(血管拡張)、真皮にある微細な毛細血管にダメージを与えます。この損傷または拡張した血管が、治癒過程でしばしば薄くなった皮膚を通して透けて見えることで、私たちが目にする赤い痕となるのです。4

1-2. なぜできる人とできない人がいるのか?

PIEが形成されるかどうかは多くの要因に左右されますが、主に以下の原因が挙げられます。

  • 炎症の重症度: これが最も重要な要因です。炎症が重度で長引くほど(例えば、嚢胞性ざ瘡や結節性ざ瘡)、血管へのダメージリスクが高まり、PIEが形成されやすくなります。4
  • 物理的刺激: 重要な警告として、ニキビを潰したり、強くこすったりする行為は、炎症を悪化させるだけでなく、毛細血管を直接的に傷つけます。これにより、PIEのリスクと重症度が著しく高まります。1
  • 肌のタイプ(フォトタイプ): PIEはすべての肌トーンで起こり得ますが、肌の色が明るい人々(フィッツパトリック分類I-III型)でより顕著に見える傾向があります。これは、赤い痕と周囲の皮膚とのコントラストが高いためです。1 これは、茶色いシミである炎症後色素沈着(PIH)との大きな違いの一つです。

PIEの根本原因がアクネ菌そのものではなく、それに対する体の「炎症反応」であることを理解することは、治療の焦点を変えました。「菌を殺す」ことだけに集中するのではなく、主たる目標は「炎症を鎮める」ことになります。これが、早期に炎症段階をコントロールすることが、PIEにつながる血管ダメージを防ぐ最も直接的な方法であり、後述する「予防」の章全体の基盤となる理由です。

第2章:あなたのニキビ跡はどのタイプ?「赤み」と「茶色いシミ」の決定的違い

2-1. 炎症後紅斑(PIE) vs. 炎症後色素沈着(PIH)

この二つの状態を正確に鑑別診断することは極めて重要です。なぜなら、誤った治療は効果をもたらさないからです。

  • PIE(赤い痕): 損傷または拡張した毛細血管によって引き起こされる血管性の問題です。肌の色が明るい人に多く見られます。1
  • PIH(茶色いシミ): 炎症に反応してメラニンが過剰に生成されることによって引き起こされる色素性の問題です。肌の色が濃い人(フィッツパトリック分類IV-VI型)でより一般的です。1

多くの場合、これら二つの状態は同時に存在することもあり、専門的な診断の重要性を一層際立たせています。1 明確な比較ツールを提供することで、読者が自己評価の参考にし、なぜ治療法が異なるのかを理解し、不適切な製品への出費を避け、当ウェブサイトの専門性への信頼を築くことができます。

表1:炎症後紅斑(PIE)と炎症後色素沈着(PIH)の比較
項目 炎症後紅斑 (PIE) 炎症後色素沈着 (PIH)
見た目の色 ピンク、赤、時に紫がかる1 茶色、黒、または灰色6
主な原因 炎症による毛細血管の損傷・拡張1 炎症によるメラニンの過剰生成4
好発する肌の色 色白の肌で目立ちやすい (Fitzpatrick I-III)1 色黒の肌で一般的 (Fitzpatrick IV-VI)1
ガラス圧迫テスト 圧迫すると色が薄くなる、または消える16 圧迫しても色は変わらない16

2-2. 自宅でできる簡単セルフチェック:ガラス圧迫法

これはPIEとPIHを区別するためのシンプルかつ効果的な方法です。
ステップ・バイ・ステップガイド:
「透明なガラスのコップやプラスチックの定規を使い、気になる部分の皮膚を優しく圧迫してみてください。」
メカニズムの解説:
皮膚を圧迫すると、その圧力によって拡張した毛細血管から一時的に血液が押し出され、赤い色が薄くなるか消えます(blanching)。圧迫をやめた直後に赤みが素早く戻るなら、それはPIEです。もし色素による茶色が変化しないのであれば、それはPIHです。この解説は、実際のテストと基本的な病態生理を結びつけ、理解を深めるのに役立ちます。16

第3章:赤みを作らせない!「予防」こそが最重要の治療法

多くの人々が気づいていない重要な事実は、PIEに対処するための最も効果的で費用対効果の高い戦略は、高価な美容医療ではなく、保険適用で受けられる標準的なニキビの炎症治療であるということです。
日本において、PIEの治療法のほとんどは自費診療であり、非常に高額になる可能性があります。13 対照的に、尋常性痤瘡(ニキビ)の治療は病的治療と見なされ、国民健康保険が適用されます(保険診療)。ガイドラインに沿って早期かつ効果的にニキビを治療することで、PIEの根本原因である重度の炎症を防ぐことができます。したがって、最もアクセスしやすく、経済的に実行可能なPIEの「治療」法は、皮膚科医を受診し、保険診療でニキビケアを受けることなのです。

3-1. 皮膚科でのニキビ治療こそが、赤みに対する最善の予防策

これが本章の核心的なメッセージです。「たかがニキビ」という考えは非常に危険です。なぜなら、軽度のニキビでさえ後遺症を残す可能性があるからです。20
その確実性を強調するため、我々は日本皮膚科学会による「尋常性痤瘡・酒皶治療ガイドライン2023」を参照します。20 アダパレンや過酸化ベンゾイル(BPO)といった標準治療薬は、毛穴の正常化と炎症の軽減によって作用し、PIEの根本原因を断ち切ります。20 このような治療は、日本の現代的なニキビ治療法の確立に大きく貢献した林伸和医師のような専門家によって主導されています。25

3-2. 絶対にやってはいけないこと

  • ニキビを潰す・いじる: ニキビを潰す行為は、PIEを悪化させるだけでなく、永続的な陥凹性瘢痕(クレーター)を引き起こす可能性があることを強調する必要があります。1
  • 過度な洗顔・摩擦: 強力な洗浄剤の使用や肌を強くこすることは、皮膚のバリア機能を破壊し、炎症を長引かせ、悪化させる可能性があります。29

第4章:自宅で始めるセルフケア戦略

4-1. 紫外線対策は「治療」の一部

紫外線(UV)への曝露は、炎症を悪化させ、血管新生を刺激し、赤い痕をさらに悪化させる可能性があります。また、同じ炎症部位でメラニンの生成を活性化させ、PIEとPIHの両方が混在する状態を引き起こすこともあります。1
具体的な推奨事項: 屋内にいるときでさえ、SPF30、PA+++以上の広域スペクトラムの日焼け止めを毎日使用することをお勧めします。1

4-2. 「攻め」と「守り」のスキンケア成分

国際的な臨床試験で有効性が証明された強力な成分(アゼライン酸など)と、日本におけるその法的地位や入手しやすさとの間には、大きな隔たりがあります。例えば、国際的な研究では15%アゼライン酸ジェルがPIEを著しく減少させることが示されています。30 しかし、日本では高濃度のアゼライン酸は保険適用の処方薬ではなく、化粧品や医療機関専売品として販売されています。32 したがって、科学的根拠と、日本でこれらの製品にアクセスする現実的な方法の両方を提供することは、深い専門性の証となります。

  • アゼライン酸(Azelaic Acid):
    • 作用機序: 抗炎症、抗菌、抗角化という多面的な作用を持ちます。4 2024年のある研究では、15%アゼライン酸ジェルがプラセボと比較してPIE病変のヘモグロビン含有量を著しく減少させたと報告されています。30
    • 日本での状況: ロート製薬の「DRX AZAクリア」などがクリニックで入手可能であり、他のブランドもオンラインで販売されています。33
    • 使用法と副作用: 保湿後に少量から始めます。初期のピリピリ感について警告し、通常は1〜2週間で軽減することを説明します。隔日使用などの対処法も案内します。37
  • ナイアシンアミド(Niacinamide): 強力な抗炎症作用と皮膚バリア機能の改善効果があり、治癒過程において非常に重要です。4 この成分は日本のスキンケア製品に広く含まれています。
  • ビタミンC誘導体(Vitamin C Derivatives): 抗酸化作用があり、血管を保護し、炎症を軽減するのに役立ちます。日本での調査によると、これは一般的な治療法ですが、満足度は中程度であり、軽度のケースや補助的な手段として最も適している可能性を示唆しています。2
  • トラネキサム酸(Tranexamic Acid): 抗炎症作用とメラニン抑制作用の二重の効果があり、特にPIHも併発している場合に有用です。29
  • 保湿成分(Moisturizing Ingredients): 健康な皮膚バリアが治癒に重要であることを強調し、ツボクサエキス(CICA)やパンテノールなどの成分に言及します。7

4-3. 生活習慣の調整

健康な肌の基盤には、バランスの取れた食事(特にビタミンCとE)、質の高い睡眠、ストレス管理が含まれます。これらの要素は、皮膚の自然な治癒と再生プロセスをサポートします。29 日本皮膚科学会のガイドラインに従い、特定の食品がニキビを引き起こすという断定的な主張は避けるべきです。20

第5章:美容皮膚科での専門治療 – 選択肢の徹底比較

重要事項: 以下の治療法は自費診療であり、費用はクリニックによって大きく異なる場合があります。この点を明確に伝えることは、読者の期待を管理し、信頼を築く上で助けとなります。

5-1. 光・レーザー治療:赤みの原因となる血管に直接アプローチ

  • Vビーム(パルス色素レーザー/PDL):
    • 位置づけ: PIE治療の「ゴールドスタンダード(第一選択)」と見なされています。4
    • 作用機序: 585-595nmの波長が赤血球中のヘモグロビンに選択的に吸収され、周囲の組織を傷つけることなく、標的となる拡張した毛細血管を加熱・破壊します。13
    • 体験とダウンタイム: 一時的な紫斑(内出血)や赤みが生じることがあります。治療間隔は通常1ヶ月ごとで、5〜10回のセッションが必要です。47
    • 費用: 日本のクリニックのデータに基づいた現実的な価格帯を提示します(例:両頬で約44,000円、全顔で約66,000円/回)。50
  • IPL(光治療/フォトフェイシャル):
    • 作用機序: 単一波長ではなく、広範なスペクトルの光(例:400-1200nm)を使用します。フィルターを用いてヘモグロビンを標的にします。51
    • 長所と短所: 長所はダウンタイムが短いこと、PIH(茶色いシミ)も同時に改善できる可能性があること、肌全体の質感を改善できることです。短所は、PDLに比べて特異性が低く、深いまたは頑固な赤みに対しては効果が弱いことが多い点です。4
    • エビデンス: 中国人患者を対象とした研究では、特定のIPLプロトコルでPIE/PIHが81.7%改善したことが示されています。51 日本での研究でも有効性が報告されています。53
    • 費用と体験: 費用例(初回9,900円、全顔24,200円)54や、ユーザーの体験談(軽い痛み、一時的な赤み)55を記載します。
  • ロングパルスNd:YAGレーザー:
    • 位置づけ: 特に深い血管や併用療法において効果的な代替手段です。10 1064nmの波長は真皮のより深い層まで浸透します。12
    • エビデンス: 低用量イソトレチノインとの併用療法での役割が注目されています。10
    • 費用: 費用例(ジェントルマックスプロ 両頬 16,500円)。19

5-2. マイクロニードルRF(ポテンツァなど):肌再生と炎症鎮静の「二刀流」

  • 作用機序: 二重の作用があります。1) 微細な針が微小な傷を作り、コラーゲンの生成と皮膚の修復を刺激します。2) 高周波(RF)エネルギーが真皮深層に送達され、熱を発生させて血管を凝固させ、抗炎症作用をもたらします。60
  • エビデンス: 研究によると、フラクショナルマイクロニードルRF(FMR)は紅斑を有意に改善し、血管の兆候を減少させることが示されています。60
  • ダウンタイムと体験: ダウンタイムは通常1〜3日の赤みで、RFの止血効果により従来のマイクロニードリングよりも短いことが多いです。62
  • 費用: ポテンツァの費用例(マックームありのニキビ跡全顔治療で82,500円)。18

5-3. 内服薬と外用薬:炎症を根本からコントロール

低用量イソトレチノインとレーザー治療を組み合わせる提案は、高度な専門性を示し、基本的なコンテンツとは一線を画す専門的なトピックです。これは臨床実践における先進性を反映しています。重度で持続性のPIEを持つ患者は、しばしばコントロールが困難な潜在的な炎症性ニキビを抱えています。レーザーで赤みだけを治療するのは、蛇口が開いたまま床を拭いているようなものです。イソトレチノインは、皮脂と炎症を抑制することで、強力に「蛇口を閉め」ます。10 以前はレーザーとの併用は禁忌とされていましたが、新しいエビデンスは、専門家の監督下であれば、低用量レジメンは安全であり、非侵襲的レーザーと相乗効果を発揮することを示しています。10

  • イソトレチノイン内服:
    • 位置づけ: 重度で持続性のニキビおよび関連するPIEに対する強力な選択肢です。
    • 作用機序: TLR-2の調節を介した抗炎症作用と皮脂抑制作用。10
    • 上級トピック – 併用療法: 低用量イソトレチノイン(例:0.25mg/kg/日または10mg/日)が新たな炎症を抑え、その間にレーザーが既存の赤みを標的にします。これにより、総治療期間を短縮できる可能性があります。10
    • 重要な安全上の警告: これは、潜在的な副作用と慎重なモニタリング(血液検査、女性の場合は厳格な避妊措置)が必要なため、経験豊富な皮膚科医によって管理されなければならない高度な治療法です。12
  • 外用薬: 外用トレチノインは、皮膚の再生を促進し、抗炎症作用を助けることができるクリニックでの処方選択肢です。12
表2:ニキビ後の赤み治療法の総まとめ(セルフケアから専門治療まで)
治療法 作用機序 効果の目安 ダウンタイム 費用目安/回 保険適用 主な注意点
紫外線対策 UVによる炎症・血管新生を防ぐ 予防・悪化防止 なし 製品代 なし 毎日の徹底が必須
アゼライン酸 抗炎症、抗菌、抗角化 軽度~中等度の改善 初期の軽い刺激感 1,800~5,000円(製品) なし 初期にピリピリ感の可能性あり
ビタミンCなど 抗酸化、抗炎症 補助的、軽度の改善 なし 製品代 なし 効果は穏やか
Vビーム (PDL) 拡張毛細血管を選択的に破壊 非常に効果的 赤み、紫斑の可能性(1-2週間) 30,000~70,000円 なし 第一選択、複数回必要
IPL (光治療) 広域の光で血管を破壊 効果的 軽い赤み(数時間~1日) 10,000~30,000円 なし 痛みが少ない、Vビームより特異性は低い
マイクロニードルRF (Potenza) 微細針で肌再生+RFで血管凝固 非常に効果的 赤み(1-3日) 80,000~130,000円 なし 凹みにも有効、高コスト
イソトレチノイン内服 強力な皮脂抑制・抗炎症 高い効果(炎症ニキビ併発時) 皮膚・口唇の乾燥 月々の薬剤費 なし 医師による厳重な管理が必要

よくある質問(専門家によるQ&A)

Q1: 炎症後紅斑は自然に治りますか?どのくらいかかりますか?
A: 軽度のケースでは数ヶ月から1年以上かけて徐々に薄くなることがあります。しかし、重度の炎症や新たなニキビが絶えず出現する場合、永続的に見えることがあります。専門的に言えば永続的ではありませんが、治療しなければ非常にしつこく残る可能性があります。1
Q2: 自宅でダーマローラーやダーマペンを使っても良いですか?
A: 絶対に推奨しません(強く推奨しません)。不適切な使用は炎症を悪化させ、感染症を引き起こし、より重度のPIEや永続的な瘢痕につながる可能性があります。これらの施術は、無菌的な環境と施術者の専門知識を必要とします。12
Q3: どの治療から始めるべきですか?
A: 系統的なプロセスに従うことをお勧めします。1. まず、活動性の炎症ニキビがコントロールされていることを確認します。理想的には皮膚科医の助けを借りて(保険適用で)行います。2. 毎日の紫外線対策と穏やかなスキンケアを実践します。3. 軽度の赤みに対しては、アゼライン酸などの成分を含むセルフケアを3〜6ヶ月試します。4. 赤みが顕著または持続する場合は、VビームやIPLなどの専門的な治療について美容皮膚科医に相談します。12
Q4: 日本ではこれらの治療に健康保険は適用されますか?
A: ニキビ自体の治療は保険適用ですが、主に美容目的である炎症後紅斑の治療は、原則として保険適用外(自費診療)となります。これは日本の読者にとって非常に重要な情報です。
Q5: 日本の患者の満足度はどの程度ですか?
A: 2020年のある調査によると、PIEの心理的影響は非常に大きいとされています。医師の80%が治療に意欲的であるにもかかわらず、実際に治療を受けた患者は30〜40%に過ぎませんでした。ビタミンCなどの一般的な治療法の満足度は約50%にとどまり、これは第5章で議論したような、より効果的でエビデンスに基づいた治療法の必要性を浮き彫りにしています。2

結論:諦める前に、正しい知識で一歩前へ

結論として、覚えておくべき最も重要な3つのポイントがあります。

  1. あなたの「ニキビ後の赤み」は、茶色いシミであるPIHとは異なる血管の問題、PIEであること。
  2. 最善の戦略は、医師のケアのもとで炎症ニキビを早期かつ効果的に治療することによる「予防」であること。
  3. 現在では、アゼライン酸によるセルフケアから、Vビームのような先進的なレーザーまで、多くの効果的な治療法が存在すること。

最後の呼びかけは、自己判断で長期間過ごしたり、諦めたりしないでほしいということです。最も重要な一歩は、皮膚科専門医に相談することです。正確な診断こそが、効果的で個別化された治療計画の基盤となります。
正しい知識と専門的な指導があれば、大幅な改善は十分に可能です。あなたの肌は、もっと美しくなれるのです。

免責事項
本記事は情報提供のみを目的としており、専門的な医学的アドバイスを構成するものではありません。健康上の懸念や、ご自身の健康や治療に関する決定を下す前には、必ず資格のある医療専門家にご相談ください。

参考文献

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  43. ニキビ跡におすすめの化粧水ランキング2025年最新!プチプラで赤み・色素沈着予防ケア. Available from: https://beauty.portal.auone.jp/article/acne-scar-lotion
  44. ニキビ跡化粧水ランキング2025|【皮膚科医監修】ニキビ・ニキビ跡に効く市販薬と治療法 – hadato. Available from: https://hadato.jp/article/acne-scars-lotion
  45. 【2025年最新】ニキビ跡 赤み スキンケア特集!口コミで人気のおすすめ44アイテムを紹介!. Available from: https://lipscosme.com/themes/43956
  46. 赤みがあるニキビ跡の原因と治療方法を解説 | 千里中央花ふさ皮ふ科. Available from: https://hanafusa-hifuka-beauty.com/disease/vbeam/cure_red_pimple/
  47. Vビーム(ニキビ跡)症例 – あおば皮膚科・形成外科武蔵小杉. Available from: https://musashikosugi-derma.com/blog/v%E3%83%93%E3%83%BC%E3%83%A0%EF%BC%88%E3%83%8B%E3%82%AD%E3%83%93%E8%B7%A1%EF%BC%89%E7%97%87%E4%BE%8B/
  48. Vビームの効果は?ダウンタイム、ビフォーアフターを岡山の皮膚科が解説. Available from: https://www.fujita-hifuka.jp/2024/09/04/1087/
  49. ニキビ痕の赤みにVビームリジュビネーション | 形成外科・美容皮膚科みやびクリニックのブログ. Available from: https://ameblo.jp/miyabiclinic/entry-12857464445.html
  50. 料金一覧 | 美容皮膚科タカミクリニック(東京 表参道). Available from: https://takamiclinic.or.jp/pricelist/
  51. Intense Pulsed Light Therapy Improves Acne-Induced Post-inflammatory Erythema and Hyperpigmentation: A Retrospective Study in Chinese Patients – PMC – PubMed Central. Available from: https://pmc.ncbi.nlm.nih.gov/articles/PMC9110597/
  52. Intense Pulsed Light Therapy Improves Acne-Induced Post…. Available from: https://www.ncbi.nlm.nih.gov/pmc/articles/PMC9110597/
  53. 炎症後紅斑を伴った痤瘡後瘢痕に対するIPL(Intense Pulsed Light)治療の有効性 Efficacy of Intense Pulsed Light (IPL) therapy in the treatment of post-acne scars with post-inflammatory erythema – ResearchGate. Available from: https://www.researchgate.net/publication/373658368_yanzhenghouhongbanwobanttacuochuanghoubanhenniduisuruIPLIntense_Pulsed_Lightzhiliaonoyouxiaoxing_Efficacy_of_Intense_Pulsed_Light_IPL_therapy_in_the_treatment_of_post-acne_scars_with_post-inflammatory
  54. ニキビ跡(赤み)の料金表 – アイシークリニック. Available from: https://ic-clinic.com/prices/nikibiato-akami/
  55. 【IPL光治療(フォトフェイシャル)の口コミ・レビュー・効果】ニキビ跡が目立たなくなりました. Available from: https://kireireport.com/clinics/9779/reports/9779
  56. 光治療の効果は?リアルな口コミ多数 – キレイパス. Available from: https://kireipass.jp/treatments/566/reviews
  57. 光治療・IPL(ニキビ・ニキビ跡治療)の口コミ | 東京素肌クリニック 新宿院. Available from: https://clinic.beauty.hotpepper.jp/H000482561/reviews/TB007/TM005/
  58. ロングパルスヤグレーザーによるニキビ跡・酒さの赤み治療 – 肌のクリニック 高円寺院 麹町院. Available from: https://koenji.clinic/menu/acne_scar/hyperpigmentation
  59. Combined low-dose isotretinoin and long-pulsed nd: YAG laser in the treatment of post-acne erythema – ResearchGate. Available from: https://www.researchgate.net/publication/381260511_Combined_low-dose_isotretinoin_and_long-pulsed_nd_YAG_laser_in_the_treatment_of_post-acne_erythema
  60. Fractional Microneedling Radiofrequency Treatment for Acne-related Post-inflammatory Erythema. Available from: https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/26059315/
  61. Fractional Microneedling Radiofrequency Treatment for Acne-related Post-inflammatory Erythema | Acta Dermato-Venereologica – Springer Medicine. Available from: https://www.springermedicine.com/link?doi=10.2340/00015555-2164
  62. ポテンツァのダウンタイムの経過について解説します! – プライベートスキンクリニック. Available from: https://private-skin.clinic/blog/article-pimple/recovery-time-potenza/
  63. ポテンツァ | いしかわ皮ふ科・形成外科ブログ. Available from: https://www.ishikawa-dermatology.com/blog/%E3%82%B9%E3%82%BF%E3%83%83%E3%83%95%E7%BE%8E%E5%AE%B9/post-1341/
  64. ポテンツァ受けてみました! – 東京 渋谷 美容皮膚科 マグノリア皮膚科クリニック. Available from: https://www.mg-clinic.com/staff_blog/potenza-2/
  65. ニキビ跡・毛穴のお悩みにはポテンツァがおすすめ – いりなか駅前皮フ科ビューティークリニック. Available from: https://beauty-clinic.or.jp/blog/potenza
  66. The Effects of Oral Isotretinoin on Atrophic Acne Scars Measured by Shear-wave Elastography: An Observational, Single-center Study. Available from: https://jcadonline.com/oral-isotretinoin-atrophic-acne-scars/
  67. 炎症後色素沈着に対する患者の治療ニーズ及び治療実態に関するアンケート調査. Available from: https://cir.nii.ac.jp/crid/1390848647552492544
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