はじめに
男性にとって、陰茎の形状や機能はデリケートな問題です。とりわけ、陰茎が左右や下方向へ明らかに曲がっている状態は、性行為の際に痛みや心理的ストレスを引き起こす可能性があります。こうした「陰茎の湾曲」は大部分が軽度であり、実際の日常生活や性行為に大きな支障をきたさないケースもあります。しかし、痛みや性交困難がある場合は、医療的な対応を検討しなければならない場合があります。本記事では、陰茎が曲がる原因、治療法、日常での注意点などをできるだけ詳しく解説いたします。
免責事項
当サイトの情報は、Hello Bacsi ベトナム版を基に編集されたものであり、一般的な情報提供を目的としています。本情報は医療専門家のアドバイスに代わるものではなく、参考としてご利用ください。詳しい内容や個別の症状については、必ず医師にご相談ください。
なお、本記事でご紹介する情報は、あくまで一般的な医療・健康情報に基づく参考資料です。ご自身の症状に合わせた正確な評価や治療プランを立てるためには、必ず泌尿器科や専門医など、信頼できる医療機関にご相談ください。
専門家への相談
今回の記事では、泌尿器科医の見解や信頼性の高い医療機関の情報を参考にしながら内容を整理しています。たとえば、Bác sĩ Nguyễn Trọng Nguyễn(Khoa tiết niệu · Bệnh Viện Đa Khoa Hậu Giang)は泌尿器科領域を専門とし、曲がった陰茎(先天的または後天的)に対する診察や治療に長年携わってきた臨床医です。本記事では、こうした専門家が一般的に指摘する考え方や治療法をもとに情報をまとめました。ただし、個々の患者さんの症状は多岐にわたりますので、実際の治療を受ける際は必ず専門医に直接ご相談いただく必要があります。
陰茎が曲がるとは?
陰茎の曲がり(湾曲)とは、勃起したときに陰茎が左右いずれか、あるいは下方向など特定の方向へ大きく傾いてしまう状態を指します。軽度の湾曲は医学的に問題にならないことが多く、性行為も問題なく行えることが少なくありません。一方、以下のようなケースでは注意が必要です。
- 性行為の際に相手もしくは本人に痛みや違和感が生じる
- 勃起角度の変化が進行し、以前より顕著に曲がっている
- 排尿時に困難や残尿感、痛みを感じる
- 見た目の大きな変形があり、著しくストレスを感じる
曲がり方によっては、性行為が困難となるほど痛みや精神的負担が大きくなる場合もあります。とくに、陰茎が下方向へ大きく曲がるケースでは、勃起時の疼痛や挿入時の支障だけでなく、排尿トラブルにつながるおそれも指摘されています。
先天的な湾曲と後天的な湾曲
陰茎が曲がっている原因には、ざっくり以下の2つがあります。
- 先天的要因
生まれつき陰茎の組織形成に差があり、勃起時に曲がりが生じる状態が一部の男性にみられます。先天性の陰茎湾曲の報告頻度は海外文献では0.04~0.6%程度とされ、症状の程度は人によって異なります。多くの場合は軽度であり、成長に従って生活に支障が出るほどではないケースも少なくありません。しかし、まれに性行為に支障をきたすほどの顕著な曲がりがある場合も報告されています。 - 後天的要因
外傷や激しい性行為、あるいは陰茎を無理に折り曲げるような行為によって、陰茎内に出血や繊維化がおこり、瘢痕(はんこん)を形成して曲がるケースがあります。とくに性行為の際、パートナーの上に男性が乗った状態で動きを誤るなどの「折れ」に近い外力が加わることによって生じる場合があります。また、Peyronie(ペイロニー)病と呼ばれる、陰茎内部(白膜)に硬い繊維性プラークができてしまう疾患によっても陰茎の顕著な湾曲が引き起こされることがあります。
陰茎の曲がりの原因
陰茎が曲がる原因をもう少し詳しく見ていきます。
- 遺伝的素因(先天性)
先ほど述べたように、先天的に陰茎の組織に左右差や成長過程の偏りがあると、勃起時に曲がりが生じます。これは胎生期の発生過程のわずかな異常であり、基本的には重大な疾患というわけではありません。ただし、曲がりが強いと性交時の痛みにつながる可能性があります。 - 外傷
性行為中の誤った体勢や無理な動きによって陰茎に強い負荷がかかった場合、陰茎内部に微小な損傷が発生することがあります。これが慢性的な瘢痕化を経ることで曲がりにつながる場合があります。とくに「大きな衝撃があったわけではないが、少し痛みを感じたまま放置していた」というケースで、のちにペイロニー病のような瘢痕が形成されることもあります。 - 過度の摩擦や不適切なマッサージ
自己流で陰茎を引っ張ったり、誤ったやり方でマッサージしようとしたりして、陰茎に継続的な負荷をかけると、微小出血や瘢痕化を引き起こす恐れがあります。 - 炎症やペイロニー病
陰茎内部(白膜)に炎症や繊維化が生じるペイロニー病によって陰茎が顕著に曲がることがあります。これは陰茎の背側か腹側、あるいは左右どちらか一方に硬い斑が形成されるため、勃起時に斑側が伸展しにくくなり曲がりを生じます。初期には痛みを伴うこともありますが、進行すると斑が安定し痛みはやや落ち着く一方、曲がりが明確に残ってしまうケースも多いです。 - 組織の自然劣化や加齢の影響
加齢とともに陰茎の組織が硬くなり、摩擦や軽い外傷であっても繊維化を引き起こしやすくなる場合があります。とくに50~60代以降に多く認められるペイロニー病の一部は、こうした加齢要因が背景にあると考えられています。
症状と日常への影響
陰茎が曲がる症状は、人によって程度がさまざまです。主な症状は以下のとおりです。
- 勃起時の見た目の歪み
左右いずれか、あるいは下方向へカーブしているのが目視でわかる。 - 性交時の痛みやパートナーへの違和感
角度が急であるほど、挿入時にパートナー側も痛みを感じることがある。男性側も勃起時の緊張で痛みを感じる場合がある。 - 排尿困難や尿の出方の異常
曲がりの角度が大きく、尿道の位置にも影響が及ぶ場合、排尿障害を引き起こす可能性がある。 - 自己肯定感の低下やパートナーとの関係への影響
見た目の問題や性行為の悩みから、ストレスを抱えたり、自信を失ったりすることも珍しくありません。
なお、これらの症状がまったく出ない軽度の湾曲であれば、あえて積極的に治療をしない場合もあります。しかし、痛みが強く性生活に支障が出ている場合は、医師の診察を受けて適切な対応策を検討したほうがよいでしょう。
陰茎が曲がってしまったときの対策
では、実際に陰茎の曲がりが気になる場合、どんな対策があるのでしょうか。陰茎の湾曲治療は主に「手術による方法」と「手術以外の方法(薬物療法や理学療法など)」に大別されます。曲がりの原因や重症度によって、医師がそれぞれの選択肢を提案します。
手術による治療
大きく曲がっていて、痛みや性交困難が顕著な場合は、外科的処置が検討されます。一般的には以下のような手術が行われます。
- 瘢痕部位の切除と移植片による修復(ペイロニー病など)
ペイロニー病などで白膜に硬い繊維性プラークができている場合、その部位を一部切除し、本人の他部位の組織(もしくは人工材料)を移植して欠損部分を埋める手術が行われることがあります。これにより勃起時の左右差を減らし、曲がりを軽減します。ただし、切除範囲や移植材料によっては、勃起力低下や感覚の変化が生じるリスクもあります。 - 包皮や白膜の縫縮(Nesbit法など)
先天性あるいは後天性の軽~中等度湾曲の症例では、陰茎の反対側を縫い縮めることで曲がりを矯正する手術(Nesbit法やその改良術)が行われることもあります。これはプラークの切除や移植片を用いずに、曲がりの凸側の組織を短縮するイメージで湾曲を調整します。術後は湾曲の改善が期待できる一方、わずかに陰茎長が短く感じることもあるため、事前に医師と十分な相談が必要です。 - 人工陰茎挿入術
重度の勃起不全を併発している場合など、陰茎プロテーゼを挿入しながら曲がりを矯正する手術が選択されることがあります。こちらもかなり invasiveness(侵襲度)の高い手術のため、主に重症例や他の治療が効果を示さなかった場合に検討されます。
手術のメリットとデメリット
- メリット
・曲がりが顕著に改善される可能性が高い
・痛みや性交困難などの悩みから解放される
・勃起障害が改善するケースもある - デメリット
・麻酔や手術に伴うリスク(感染、出血、勃起機能低下など)がある
・術後にわずかな段差や感覚異常、陰茎長短縮などが生じる可能性
・入院やリハビリが必要になる場合がある
手術を行わない治療
一方で、軽度の湾曲や痛みが軽く、日常生活に支障が少ない場合には、薬物療法や物理的なアプローチが採用されることがあります。
- 薬物療法
- コルヒチン(Colchicine)の内服
繊維化の進行をある程度抑制する作用があるとされ、ペイロニー病などでも補助的に使用されることがあります。 - ビタミンEや抗酸化物質の投与
炎症軽減や組織修復を補助する目的で処方される場合があります。ただし臨床エビデンスの確実性はまだ議論の余地があるとされています。 - ステロイドやカルニチンなど
炎症反応を抑えたり、瘢痕組織の形成を軽減したりする目的で使われることもありますが、症例ごとの効果には大きな差があり、医師の判断が重要です。
- コルヒチン(Colchicine)の内服
- 低強度体外衝撃波療法(ESWT)
体外衝撃波を瘢痕部位に照射し、血流改善や組織修復を促す手法です。近年、欧州を中心に適用例が増えていますが、効果の程度は患者によって異なります。ペイロニー病にも応用されることがありますが、長期的なエビデンスがまだ十分とはいえず、補助的な治療として位置づけられている段階です。 - 物理的矯正器具・マッサージ
一部では、陰茎を牽引するデバイスを定期的に使用することで、瘢痕部位を伸ばし湾曲を緩和する方法が試みられています。ただし、誤ったやり方や過度の力を加えると逆に損傷を悪化させる恐れがあるため、医師の指示や専門家のアドバイスに沿って行うことが重要です。
研究動向・近年のエビデンス
ここ数年(おおむね4~5年程度)の間に行われた国際的な研究やガイドラインでも、ペイロニー病や陰茎湾曲に対するさまざまな治療が検証されています。実際のところ、まだ「これが万能の治療」という決定打はなく、患者の症状の程度や要望に応じた個別化治療が重要という認識が広まっています。
- たとえば、Levine LAら(2021)は、陰茎の瘢痕に対するコラゲナーゼ注射治療の効果を調査・分析し、複数の臨床試験をメタ解析した結果をThe Journal of Sexual Medicine(2021年18巻3号)にて報告しています(doi:10.1016/j.jsxm.2020.12.016)。このメタ解析によると、瘢痕の大きさや曲がり角度の軽減が統計的に有意であった反面、注射部位の出血や勃起時の痛みなど一定の副作用リスクがあることが示されています。
- また、軽度の曲がりであれば、ESWTをはじめとする非侵襲的治療や薬物による治療を組み合わせることで症状進行の抑制や曲がりの軽減が期待できるのではないかとの知見も報告されています。ただし、まだ長期的データが不足しているため、確立された指針とは言い難いのが現状です。
日常生活での注意点と予防策
陰茎の曲がりを防ぐ、あるいは進行を緩やかにするためには、日頃の生活習慣や性行為の仕方などに注意を払うことも大切です。
- 性行為の際の注意
- 激しい動きや無理な体位での性行為は、陰茎に急激な負荷がかかりやすくなります。痛みや違和感がある場合は動きをやや控えめにし、ゆっくりとしたペースを保つことを心がけましょう。
- パートナーとのコミュニケーションをしっかり取り、痛みや違和感が出たらすぐに動作を中断できるようにしておくと、リスクを最小限にできます。
- 陰茎への外傷を避ける
- スポーツなどで股間を強打しないようサポーターを着用するなどの配慮も有効です。
- 自己流のマッサージやストレッチで陰茎を強く折り曲げたり、誤った方法で牽引するのは危険です。
- 健康的な生活習慣
- 喫煙や過度のアルコール摂取は血流を悪化させ、組織の回復力を損なう可能性があります。
- バランスの取れた食事や適度な運動習慣は、血流改善や体組織の健康維持につながるため、曲がりの悪化を防ぐうえで有益と考えられています。
- 早期受診
- 陰茎に違和感や痛みが生じたり、勃起時の形状が急に変化した場合は、早い段階で泌尿器科を受診するのがおすすめです。
- 瘢痕形成が進んで固まってしまう前に対処すれば、治療の選択肢が広がり、改善できる可能性が高くなります。
陰茎が曲がっている方へのアドバイス
自分の陰茎が曲がっていると感じると、多くの男性は恥ずかしさから相談を後回しにしがちです。しかし、以下のようなポイントを意識すると、より前向きに対処できるでしょう。
- パートナーとのコミュニケーション
曲がっていることで痛みや性交のしにくさがある場合は、遠慮せずにパートナーと共有しましょう。誤解を招かないように、痛みがあることや気になる点を素直に伝えることが大切です。 - セルフチェックの習慣
勃起時の外観を定期的に(無理のない範囲で)確認することで、曲がりや硬結が進んでいないかを早期に把握できます。以前よりもカーブが急になったり硬さを感じたりしたら、医療機関で相談しましょう。 - 無理に矯正しようとしない
自分で力任せに陰茎を曲げ直す行為は非常にリスクが高く、損傷や折れるリスクを高めます。専門家の診断なしに強引なマッサージや器具を使用することは避けてください。 - メンタルケア
もし陰茎の見た目や性機能に関して深刻な不安や自己否定感を抱えているなら、カウンセリングや精神的なサポートを受けることも一案です。性機能の悩みは身体的要因だけでなく精神面にも影響するため、包括的なケアが望ましいとされています。
どんなときに医師の診察が必要か
次のような状況にあてはまる場合は、病院を受診することを強くおすすめします。
- 勃起時の痛みが強く、性交が困難または極度に苦痛
- 勃起角度の変化が短期間で急激に進行した
- 排尿時に障害や違和感(尿がまっすぐ出ない、残尿感など)がある
- パートナーも痛みを感じ、性行為がスムーズにできない
- 触ってみたときに硬い瘢痕(プラーク)が確認できる
こういった症状がある場合、放置するとさらに曲がりが進行したり、性的満足度が低下したりする恐れがあります。早めに受診し、どのような治療法が適切かを専門医と相談しましょう。
よくある質問と回答
ここでは、陰茎の曲がりに関して多くの方が気にされるポイントをQ&A形式で簡潔にまとめます。
Q1: 軽く曲がっているだけで痛みもない場合は治療しなくてよい?
A: 軽度の湾曲で痛みや性交時の支障がなければ、必ずしも治療の必要はありません。ただし、気になるような変化が見られたときは早めに受診して検査を受けると安心です。
Q2: 自分でまっすぐに伸ばすストレッチをしても大丈夫?
A: 無理に伸ばしたり、痛みがある状態で無理なマッサージを行うのは危険です。外傷やさらに大きな曲がりを引き起こす可能性があるため、専門家の指示なしに自己流で行わないようにしましょう。
Q3: ペイロニー病は治らない病気?
A: ペイロニー病が進行した場合、瘢痕が安定化したのちも湾曲はある程度残ることが多いです。ただし、症状の進行を抑えたり痛みを緩和したり、曲がりを軽減する治療法は存在します。医療機関で相談すれば、症状を軽減させる選択肢が見つかる可能性があります。
Q4: どの程度曲がっていたら“手術”になる?
A: 曲がりの角度だけでなく、痛みの強さや性交への影響を総合的に判断します。医師は湾曲角度の測定や触診、画像検査などを行い、患者さんの希望も踏まえて治療方針を決定します。日常生活や性交に支障があるほど重度の場合、外科手術の選択肢が考慮されます。
実際の治療体験談(一般的な例)
※個人情報保護のため、あくまで一般的な報告・公表されている症例を参考にした例示です。
- 40代男性:軽度のペイロニー病
2年前から勃起時にうっすら痛みを感じていたが、放置していたところ徐々に曲がりが顕著に。痛みも増し、パートナーにも違和感があると言われて受診。診察では小さな瘢痕が確認され、ステロイド注射+内服薬(コルヒチン)+物理療法(低強度衝撃波)を数か月試したところ、痛みが軽減。曲がりも若干ではあるが改善が見られ、性行為が問題なく行える程度まで回復。 - 50代男性:先天性+外傷による複合的湾曲
若い頃からやや曲がっている自覚があったが、性行為には支障がなかった。しかし、50代になってから外傷をきっかけに急激に曲がりが悪化し、性交困難に。医師の判断でNesbit法改良術による外科的矯正手術を実施。術後は一定期間のリハビリと経過観察を経て、性交痛も軽減し性行為が可能となったが、術前より少し陰茎の長さが短くなったように感じたという。
研究の新傾向と展望
近年、陰茎湾曲やペイロニー病の治療法としてさまざまな研究が行われています。米国や欧州の泌尿器科学会では、コラゲナーゼ注射治療や低侵襲手術の進歩などが引き続き注目されており、一部の臨床研究では治療効果の向上が確認されています。また、日本国内でも、症例報告ベースながら、低強度体外衝撃波療法や組み合わせ治療に関する検討が進み、軽度~中等度症例に対する非手術的アプローチが増える可能性が示唆されています。ただし、いずれも長期的フォローアップのデータが十分ではなく、治療ガイドラインの確立にはまだ時間を要するという見解が一般的です。
総合的な推奨事項
陰茎が曲がる状態の有無や程度は個人差が大きいため、一律の治療法を押し付けることはできません。以下の点を総合的に考慮しながら医療機関で相談し、自分に合った方法を選ぶことが大切です。
- 軽度~中等度で痛みや性交障害がない場合
経過観察や薬物療法、低侵襲療法を中心に検討。焦って手術に踏み切らず、症状の進行度合いを見ながら対応する。 - 中等度~重度で痛みや性交困難が顕著な場合
先に薬物療法やESWTを試すこともあるが、状態によっては外科的手術のほうが早期に効果が得られるケースも少なくない。医師の経験や症例数、患者の希望によって方針を立てる。 - 長期的視野
ペイロニー病などの場合、炎症期(疼痛期)と安定期(瘢痕固定期)で最適な治療法が異なることがある。数か月から1年ほど経過を見ながら治療スケジュールを組む場合もあるので、長い視点で取り組む。 - 心理的サポート
性的な問題はメンタル面にも大きな影響を及ぼすため、必要に応じてパートナーとのカウンセリングや精神的ケアを組み合わせると、より良い結果につながる場合がある。
推奨されるセルフケアと今後の方向性
- セルフチェックの徹底
勃起したときの角度や硬い部分の有無を観察し、変化があれば早めに医療機関へ相談する。 - 性生活の工夫
痛みを感じにくい体位を工夫したり、ローションを使用したりするなど、ストレス軽減に努める。 - 過度な飲酒・喫煙の制限
血行不良を招く習慣を減らし、組織の回復力を高める。 - 専門家との連携
繊維化の進行予防や、場合によっては勃起不全の併発を防ぐためにも、定期的に診察を受ける。
最近の海外の大規模研究では、軽度~中等度の湾曲ならば生活指導やリハビリ的なアプローチを併用することで、症状の進行を抑えられる可能性が示唆されています。一方で、重症例には外科的治療が依然として重要な位置を占めるという結論も出ています。日本国内でも同様の傾向があり、患者の個人差に合わせた段階的な治療を行うことが望ましいと考えられています。
結論と提言
陰茎の曲がり(湾曲)は、軽度であれば必ずしも治療が必要ではありませんが、痛みや性交の問題を引き起こすほどの湾曲であれば、早期に医療機関を受診し、適切な治療法を検討することが重要です。先天的要因・後天的要因ともに、原因は複数考えられますが、適切な診断を受けることで、薬物療法やESWT、手術療法などの選択肢を選べる可能性が広がります。
また、ペイロニー病を含む陰茎湾曲の研究は近年活発化しつつあり、新たなアプローチや治療が継続的に報告されています。今後もさまざまな臨床試験やデータの蓄積が進めば、患者さん一人ひとりの症状に合わせたより柔軟で効果的な治療が期待されます。
大切なポイント
- 陰茎の軽度な曲がりは、機能的な問題がない限り治療が不要なケースも多い
- 痛みや性交困難など生活の質(QOL)に影響がある場合は、早めに専門医へ相談
- 手術による治療と手術以外の治療(薬物や理学療法など)の組み合わせで改善が見込める可能性がある
- ペイロニー病など一部の疾患ではコラゲナーゼ注射やESWTなど新しいアプローチも研究が進んでいる
- 心理的ストレスを抱えないよう、パートナーとのコミュニケーションや必要な専門家のサポートを受けることが望ましい
参考文献
- Penile Curvature
- Bent penis
- Peyronie’s disease
- Peyronie’s Disease Guideline
- Peyronie’s Disease: Symptoms, Diagnosis & Treatment
- https://www.urologyhealth.org/urology-a-z/p/peyronies-disease
アクセス日: 24/5/2024
- https://www.urologyhealth.org/urology-a-z/p/peyronies-disease
- Levine LA, Burnett AL, et al.
「Intralesional Collagenase Clostridium histolyticum for the Treatment of Peyronie’s Disease: A Systematic Review and Meta-analysis」
The Journal of Sexual Medicine, 2021年18巻3号, 464-473.
doi:10.1016/j.jsxm.2020.12.016
この記事を読まれた方へ
本記事で取り上げた情報は、医療専門家や各種ガイドライン、最新の研究をもとにまとめたものですが、あくまで一般的な内容です。個々の症状や状況によって最適な治療法は異なります。実際の治療方針を決定する際には、専門医との面談や診察が不可欠です。生活習慣の改善やパートナーとのコミュニケーションを図るとともに、気になる症状がある方は早めに受診して、適切なアドバイスを受けてください。
重要なお知らせ:
本記事はあくまで情報提供を目的としたものであり、診断や治療方針の最終的な決定は医師などの専門家の判断が必要です。ご自身の判断で医薬品の服用を開始・中止したり、民間療法に頼ったりすることはお避けください。必ず適切な医療機関を受診し、専門家の意見を取り入れた上で行動されることを強くおすすめします。