ランニングをしていると、腕時計やスマートウォッチに表示される心拍数が一気に上がり、「この数字は大丈夫なのかな?」「ドキドキして苦しいけれど、走り続けても平気?」と不安になることはありませんか。
心拍数は、1分間に心臓が拍動する回数を示す指標で、どれくらい体に負荷がかかっているかを知る目安になります。健康な成人の安静時心拍数はおおよそ60〜100回/分とされており、運動をすると一時的にこの数値が大きく上昇します。ただし、年齢や体力、持病の有無などによって「安全な上限」や「ちょうど良い運動強度」は人それぞれ異なります。
この記事では、日本の公的機関や専門家の情報をもとに、ランニング中の心拍数の目安、年齢別の簡単な計算方法、心拍数を抑えながら効率よく走るコツ、そして「ここまで来たら無理をせず受診した方がいい」という危険なサインまで、段階的に整理して解説します。
「記録を伸ばしたいランナー」だけではなく、「健康のために軽く走りたい」「ダイエット目的でジョギングを始めたい」という方にも役立つよう、医学的な情報を日常のイメージに落とし込みながらご紹介しますので、自分のペースを大切にしながら、安全にランニングを続けるヒントとしてご活用ください。
Japanese Health(JHO)編集部とこの記事の根拠について
Japanese Health(JHO)は、健康と美容に関する情報を提供するオンラインプラットフォームです。膨大な医学文献や公的ガイドラインを整理し、日常生活で活用しやすい形でお届けすることを目指しています。
本記事の内容は、厚生労働省のe-ヘルスネットや「健康づくりのための身体活動・運動ガイド2023」、公益財団法人長寿科学振興財団「健康長寿ネット」、自治体の健康情報サイト、海外では米国疾病予防管理センター(CDC)や主要医療機関の解説ページなど、信頼性の高い一次情報源に基づいて、JHO編集部がAIツールのサポートを受けつつ、最終的には人の目で一つひとつ確認しながら作成しています。
- 厚生労働省・自治体・公的研究機関:身体活動ガイドや心拍数に関する解説、統計資料など、日本人向けの公式情報を優先して参照しています。
- 国内外の医学会ガイドライン・査読付き論文:日本の関連学会やWHO、Cochraneレビュー、海外心臓病専門機関など、科学的に検証されたエビデンスをもとに要点を整理しています。
- 教育機関・医療機関による一次資料:運動処方、目標心拍数の設定、安全なトレーニング方法に関する実務的な情報として利用します。
AIツールは、文献の要約や構成案作成の「アシスタント」として活用していますが、公開前には必ずJHO編集部が原著資料と照合し、重要な記述を一つひとつ確認しながら、事実関係・数値・URLの妥当性を検証しています。
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要点まとめ
- 健康な成人の安静時心拍数はおおよそ60〜100回/分が目安とされており、安静時にこの範囲から大きく外れる場合は医療機関で相談した方がよい場合があります1。
- 一般的な最大心拍数は「220-年齢」からおおよそ推定でき、ランニング中はその50〜70%程度を目安にすると、多くの人にとって安全かつ有酸素運動として効果的な強度になります12。
- 「息が弾むが会話は続けられる程度」の強度が、中等度の有酸素運動の目安とされており、心拍数と自覚的なきつさ(ややきつい)を組み合わせて判断することが推奨されています23。
- 心臓病、高血圧、糖尿病などの慢性疾患がある方や、β遮断薬など心拍数に影響する薬を内服している方は、心拍数だけを目安にせず、必ず主治医の指示や自覚的運動強度を参考にする必要があります3。
- 胸の痛みや締めつけ感、ひどい息切れ、めまい・失神、動悸が急に強くなるなどの症状が出た場合は、すぐに運動を中止し、必要に応じて救急受診(119番)を含めた医療機関への相談が重要です。
「心拍数が高いのは心臓が弱いから?」「数値が高いと突然死のリスクが上がるのでは?」――ランニング中の心拍数について、このような強い不安を抱えながらも、誰に相談すべきか分からず一人で悩んでいる方は少なくありません。
本記事では、まず安静時心拍数や最大心拍数など基本的な概念を整理し、そのうえで「健康づくりのための目安」と「競技レベルでのトレーニング」の違い、年齢別の心拍数ゾーンの考え方、日常生活や睡眠・ストレスが心拍数に与える影響などを、順を追って解説します。
さらに、心臓病や不整脈など、専門的な検査が必要になる可能性があるケースについても触れ、「どのような症状があれば受診を考えるべきか」「どの診療科に相談すればよいか」といった実務的な視点もご紹介します。
必要に応じて、関連する総合ガイドや、詳細解説記事など、JHO内の関連記事に自然な文脈で橋渡しを行います。
この記事を読み進めることで、「自分の心拍数がどの範囲なら安全と考えられるか」「どのようにトレーニングを組み立てればよいか」「いつ専門家に相談すべきか」が具体的にイメージできるようになることを目指します。
第1部:ランニングと心拍数の基本と、日常生活の見直し
まずは、心拍数の基礎知識と、ランニング中に「心拍数が上がりやすくなる日常の要因」について整理しておきましょう。専門的な病気の心配をする前に、多くの人に当てはまりやすい生活習慣や環境の影響を振り返ることで、自分の状態を客観的に捉えやすくなります。
1.1. 心拍数の基本メカニズムとランニングとの関係
心拍数とは、1分間に心臓が拍動する回数のことです1。安静に座っているときは、体があまり酸素を必要としないため、心臓はゆっくりと拍動し、健康な成人では1分間に約60〜100回が目安とされています1。
ランニングを始めると、脚や体幹の筋肉がたくさん酸素を必要とするため、心臓はより多くの血液を送り出そうとします。その結果、心拍数は安静時より大きく上昇します。強度の高いランニングでは、最大心拍数(その人が出せる限界の心拍数)に近づくこともあります。
最大心拍数は、厳密には運動負荷試験などで測定しますが、日常的な目安として「220-年齢」という簡易式がよく用いられています12。たとえば30歳の人であれば「220−30=190」で、最大心拍数の目安は約190回/分となります。同じ年齢であれば、心拍数と運動強度の関係はおおむね似ているとされており、トレーニングの強さを考えるときの参考になります12。
ただし、最大心拍数には個人差があり、実際の限界値は±10〜20拍程度ずれることもあります。また、高齢者では「207−(年齢×0.7)」という式の方が現実的な値に近いとされることもあります2。あくまでも「目安」として利用し、自分の体調や主治医の指示を優先することが大切です。
1.2. ランニング中の「NG習慣」と心拍数が上がりすぎる理由
病気がなくても、次のような生活習慣やランニングの仕方によって、心拍数が必要以上に上がりやすくなったり、苦しさを感じやすくなったりします。
- ウォーミングアップをせず、いきなり速く走り出す
筋肉や血管が十分に温まる前に急にペースを上げると、心臓は急激にたくさんの血液を送り出さなければならず、心拍数が一気に上昇します。その結果、呼吸も荒くなり、「すぐ苦しくなる→運動嫌いになる」という悪循環につながりやすくなります。 - 日中の水分不足・アルコールの影響
脱水気味の状態でランニングをすると、血液の流れが悪くなり、酸素を運ぶ効率が低下するため、心拍数が高くなりやすくなります。また、前日に大量の飲酒をしていると、自律神経のバランスや睡眠の質が乱れ、翌日の心拍数にも影響が出ることがあります。 - 睡眠不足・ストレスの蓄積
慢性的な睡眠不足や仕事・家庭のストレスは、自律神経のバランスを乱し、安静時から心拍数が高めになりやすいことが知られています。心拍数が高い状態でランニングを始めると、少しの負荷でもすぐに上限に近づいてしまうことがあります。 - 高温多湿の環境での無理なペース設定
夏場の高温多湿な環境では、体温調節のために皮膚の血流が増え、心臓にかかる負担が大きくなります。普段と同じペースでも心拍数が高くなりやすいため、「いつものペースだから大丈夫」と決めつけず、気温や湿度に応じてスピードを調整する必要があります。
こうした要因は、簡単な工夫で改善できることが多い一方で、「自分の体力がないからだ」と思い込んで無理を続けてしまうと、ケガや体調不良、運動嫌いの原因になります。第4部では、心拍数を抑えながらランニングを続ける具体的な工夫を詳しく解説します。
| こんな症状・状況はありませんか? | 考えられる主な背景・原因カテゴリ |
|---|---|
| 走り始めて数分で、心拍数が一気に上がって息が苦しくなる | ウォーミングアップ不足、ペース設定が速すぎる、急な上り坂など環境要因 |
| いつもより同じペースなのに、心拍数が高く疲れやすい | 睡眠不足・ストレス・軽い脱水・風邪のひきはじめなど、体調の乱れ |
| 安静時から心拍数が高め(100回/分を超えることが多い) | 貧血・甲状腺機能異常・不整脈などの可能性、または薬の影響など |
| 胸の痛みや締めつけ感、強い動悸、めまいを伴う | 心疾患や重い不整脈など、専門的な評価が必要な状態の可能性 |
第2部:身体の内部要因 ― 体力・ホルモン・持病・薬の影響
生活習慣や環境を調整しても心拍数が高くなりやすい場合、背景には体力や心肺機能の差、ホルモンバランス、隠れた病気、内服薬の影響など、身体の内側の要因が関わっていることがあります。
2.1. 体力・心肺機能と安静時心拍数の関係
一般に、持久力トレーニングを継続している人は、安静時心拍数が低く、運動時も同じペースで走っていても心拍数が上がりにくい傾向があります。反対に、長く運動習慣がなかった場合、少しの負荷でも心拍数が高くなりやすく、「すぐにゼーゼーする」「数値がすぐ上限に近づく」と感じやすくなります。
厚生労働省のe-ヘルスネットでは、VO2max(最大酸素摂取量)が心肺体力の重要な指標であり、全身持久力や健康状態と強く関連することが示されています4。VO2maxが高い人ほど、同じスピードで走っても心拍数の上昇が抑えられやすくなります。
2.2. ホルモンバランスや貧血など、隠れた背景要因
特に女性では、月経周期、妊娠・産後、更年期などライフステージによってホルモンバランスが変化し、体温や心拍数、疲労感に影響することがあります。また、男女を問わず、鉄欠乏性貧血や甲状腺機能亢進症などがあると、安静時から心拍数が高くなったり、少しの運動で動悸や息切れを感じやすくなったりします。
「以前と同じペースで走っているのに心拍数が明らかに高くなった」「安静時でもドキドキを感じる」「階段を上がるだけでつらい」といった変化が続く場合は、単なる体力不足と決めつけず、内科や循環器内科で一度相談してみると安心です。
2.3. 持病と薬の影響 ― β遮断薬などを飲んでいる場合
高血圧や心臓病、不整脈、糖尿病などの治療薬の中には、心拍数に直接影響を与えるものがあります。健康づくりのための身体活動・運動ガイド2023に付随する情報シートでは、高血圧に対するカルシウム拮抗薬、α遮断薬、β遮断薬などが心拍数に影響を与えるため、「心拍数だけで運動強度を評価するのは適切でない場合がある」とされています3。
このような薬を服用している場合、スマートウォッチの心拍数があまり上がらなくても、実際にはかなり負荷がかかっていることがあります。そのため、自覚的運動強度(「ややきつい」「きつい」と感じる程度)や、息の弾み具合、会話ができるかどうかなども含めて総合的に判断し、必ず主治医の指示を優先することが重要です。
第3部:ランニング中の心拍数から考えられる疾患と受診の目安
セルフケアや生活習慣の調整だけでは説明できない症状がある場合、背景に心臓や血管の病気、不整脈、貧血などが隠れている可能性があります。このセクションでは、「どんな症状があれば要注意か」「どのような病気が考えられるか」の一例と、受診の目安を整理します。
3.1. 心臓・血管の病気に関連するサイン
次のような症状は、心臓や冠動脈の病気、不整脈などと関連している可能性があるため、早めの受診が推奨されます。
- 胸の中央〜左側の痛み・締めつけ感・圧迫感が、ランニング中や直後に繰り返し起こる
- 心拍数が急に速くなったり遅くなったりする、脈が飛ぶ感じが頻繁にある
- 少しの運動でも強い息切れが出るようになった、階段が急につらくなった
- ランニング中や直後にめまい・ふらつき・一瞬意識が遠のくような感じがする
- 足のむくみがひどい、夜間に息苦しくて起きる、といった症状がある
これらの症状があるからといって必ず重い病気というわけではありませんが、自己判断で運動を続けるよりも、早めに循環器内科や総合内科で評価を受けることで安心につながります。
3.2. 貧血やホルモン異常など、全身状態の影響
鉄欠乏性貧血があると、酸素を運ぶ赤血球が不足するため、同じ運動強度でも心臓がより多くの血液を送り出さなければならず、心拍数が高くなりやすくなります。特に月経量が多い方、偏った食事が続いている方、急なダイエットをしている方は注意が必要です。
また、甲状腺ホルモンが過剰になる甲状腺機能亢進症では、安静時から心拍数が高く、手の震えや汗の増加、体重減少などを伴うことがあります。このような症状が心拍数の変化と同時にみられる場合は、内科や内分泌内科での検査が有用です。
3.3. 緊急性が高い危険なサイン
次のような症状がランニング中または直後に出現した場合は、運動を直ちに中止し、迷わず救急受診や119番通報を検討してください。
- 胸の痛みや圧迫感が数分以上続く、または治まっても繰り返す
- 冷や汗を伴う強い胸部不快感・息切れ
- 意識が遠のく、倒れそうになる、実際に倒れてしまう
- 片側の手足の力が入らない、言葉が出にくいなど、脳卒中を疑う神経症状
こうした状況では、心拍数の数字を確認している余裕はありません。安全を最優先にし、「少し休めば大丈夫だろう」と自己判断で様子を見すぎないことが大切です。
第4部:今日からできる、心拍数を意識したランニングのアクションプラン
ここからは、「具体的にどう走ればよいか」を、今夜からできること、週末から取り組めること、少し長い目で続けたいことの3つのレベルに分けて整理します。厚生労働省のガイドや日本の解説サイトでは、中等度の有酸素運動を週に合計60分以上(できれば150分程度)行うことが推奨されていますが35、最初から完璧を目指す必要はありません。まずは「心拍数の目安」を知り、無理のない範囲で一歩を踏み出すことが大切です。
4.1. 自分の目標心拍数ゾーンを計算してみる
目標心拍数(トレーニングゾーン)の考え方として、健康長寿ネットや各種解説では、最大心拍数の50〜70%程度を中等度の有酸素運動の目安とする方法が紹介されています12。ここでは簡略化した方法をご紹介します。
- ステップ1:年齢から最大心拍数を推定
最大心拍数 ≒ 220 − 年齢
例)30歳の方:220 − 30 = 190(回/分) - ステップ2:目標心拍数ゾーンを計算
目標心拍数(中等度)≒ 最大心拍数 × 0.5〜0.7
例)30歳の方:190 × 0.5 = 95、190 × 0.7 = 133
→ 中等度の目安:95〜133回/分程度
スマートウォッチや心拍計があれば、この範囲におおよそ収まるようにペースを調整してみましょう。ただし、これはあくまで一般的な目安です。持病がある方や高齢の方、薬を服用している方は、主治医からより低めの目標が示されることもあります。
また、CDCや米国心臓協会などの国際的なガイドラインでも、最大心拍数の50〜70%程度を中等度、70〜85%程度を高強度の目安としています56。競技志向のランナーがインターバルトレーニングなどを行う場合には、こうしたゾーンを参考にしつつ、オーバートレーニングにならないよう注意が必要です。
4.2. 「会話ができる強度」を目安にする
厚生労働省の情報シートでは、薬の影響などで心拍数が運動強度の指標になりにくい場合、「自覚的運動強度」や「会話ができるかどうか」を参考にすることが推奨されています3。これは、心拍計がなくても今すぐ使えるシンプルで実用的な方法です。
- 楽に会話できる:軽い運動(ウォーキング〜ごくゆっくりのジョギング)
- 息が弾むが短い文なら会話できる:中等度の運動(多くの人にとって健康づくりに最適)
- 会話がほとんどできない:高強度の運動(初心者や持病のある方には負担が大きい)
「いつも心拍数の数字ばかり見て不安になる」という方は、あえて画面を頻繁に見すぎず、「会話のしやすさ」や「自分の体感」に意識を向けてみるのも一つの方法です。
4.3. ウォーミングアップとクールダウンの徹底
心拍数の急な上昇を防ぐためには、ウォーミングアップとクールダウンを丁寧に行うことがとても重要です。厚生労働省の資料でも、運動前後の体調確認や徐々に負荷を上げ下げすることが安全対策として強調されています3。
- 走り始めの5〜10分は、歩き〜早歩き〜ごくゆっくりのジョグと、段階的にスピードを上げる
- ペース走やインターバルを行った後は、5〜10分かけてゆっくり歩き、呼吸と心拍数を落ち着かせる
- ランニング後は、ふくらはぎや太もも、股関節周りのストレッチを行い、筋肉のこわばりを和らげる
これだけでも、トレーニング後の疲れ方や翌日の回復具合が大きく変わり、「心臓がドキドキしっぱなし」という感覚も軽減しやすくなります。
| ステップ | アクション | 具体例 |
|---|---|---|
| Level 1:今夜からできること | ウォームアップとペースの見直し | 最初の5〜10分は早歩き〜ゆっくりジョグにし、「会話ができる強度」を守る |
| Level 2:今週から始める習慣 | 週3日程度の中等度ランニング | 週3日、20〜30分程度を目安に、最大心拍数の50〜70%ゾーンで走る |
| Level 3:1〜3ヶ月かけて目指すこと | 体力アップと安静時心拍数の改善 | 運動習慣を継続し、徐々に距離や時間を伸ばすことで、安静時心拍数が少しずつ下がっていくか記録する |
第5部:専門家への相談 ― いつ・どこで・どのように?
最後に、「どのタイミングで受診を考えるべきか」「どの診療科を選べばよいか」「診察の際にどんな情報を持っていくと役立つか」を整理します。心拍数の情報は、上手に整理すれば診察時の大きな手がかりになります。
5.1. 受診を検討すべき危険なサイン
- 安静時心拍数が100回/分を超える状態が続く、または50回/分以下でめまいなどの症状がある
- ランニング中や直後に胸の痛み・締めつけ感・強い息切れが繰り返し起こる
- 心拍数が急に200近くまで上昇し、動悸や息苦しさ、めまいを伴う
- 脈のリズムが明らかに乱れている、脈が飛ぶ感じが頻繁にある
- 意識が遠のく、ふらつきで転倒しそうになる、実際に倒れてしまう
このような症状がある場合は、運動を続ける前に必ず医療機関で相談しましょう。特に、症状が急激で強い場合や、冷や汗・顔面蒼白を伴う場合は、迷わず救急外来や119番通報を検討してください。
5.2. 症状に応じた診療科の選び方
- 胸の痛み・息切れ・動悸が主な症状:循環器内科、総合内科
- 貧血が疑われる(疲れやすい・顔色が悪い・息切れ):内科、血液内科
- 体重変化や発汗の変化、手の震えなどを伴う場合:内科、内分泌内科(甲状腺など)
- ランニングフォームの問題や関節痛も大きい場合:整形外科、スポーツ整形外科
かかりつけ医がいる場合は、まずそこで相談し、必要に応じて専門科を紹介してもらうのも良い方法です。
5.3. 診察時に持参すると役立つものと情報
- スマートウォッチやアプリで記録したランニングデータ(心拍数の推移、走行距離、ペースなど)
- 安静時心拍数や血圧を自宅で測定した記録
- 症状が出た日時・状況(どのくらい走ったときか、気温や体調など)をメモしたノート
- 現在服用している薬の一覧(お薬手帳など)
こうした情報があると、医師はより短時間で状況を把握しやすくなり、必要な検査や運動に関するアドバイスを行いやすくなります。
よくある質問
Q1: ランニング中に心拍数が180回/分を超えたら危険ですか?
A1: 危険かどうかは年齢や体力、持病の有無によって大きく異なります。たとえば20代〜30代の健康な人であれば、最大心拍数の目安は190〜200回/分前後になるため、一時的に180回/分に達する場面があっても、必ずしも異常とは限りません12。
一方で、同じ180回/分でも50代〜60代の方、心臓病や高血圧がある方、胸の痛みやめまいを伴う場合などは負担が大きく、危険な状態のサインである可能性もあります。「年齢のわりに数値が高すぎる」と感じる場合は無理をせず、まずはペースを落として様子を見て、それでも不安が残るときは医療機関に相談してください。
Q2: スマートウォッチの心拍数はどの程度信頼できますか?
A2: 最近のスマートウォッチや心拍計は性能が向上しており、健康づくりレベルの運動では、目安として十分に役立つことが多いとされています。ただし、手首の装着位置が緩すぎる・きつすぎる、汗や冷えで血流が変化している、激しい腕振りがある、といった条件では誤差が大きくなることがあります。
ランニング中の心拍数をより正確に把握したい場合は、胸部ベルト型心拍計の方が信頼性が高いとされます。また、心拍数が極端に高い・低い表示になった場合は、一旦立ち止まって測り直す、自分の脈を指で触れて確認するなど、複数の方法で確認するのがおすすめです7。
Q3: β遮断薬を飲んでいても、心拍数を目安に運動してよいですか?
A3: β遮断薬や一部の高血圧治療薬は心拍数を下げる作用があるため、服用中は「心拍数があまり上がらない=負荷が軽い」とは限りません。厚生労働省の情報シートでも、こういった薬剤を使用している場合は、心拍数だけで運動強度を評価しないよう注意喚起されています3。
このような薬を飲んでいる方は、主治医に「どの程度の運動なら安全か」「自覚的運動強度やペースの目安はどのくらいか」などを具体的に相談し、その指示に従うことが重要です。数字よりも、「息が弾むが会話できるレベル」かどうかといった体感を重視しましょう。
Q4: ダイエット目的の場合、どの心拍数ゾーンで走るのがよいですか?
A4: 脂肪燃焼を効率よく狙いたい場合も、基本は中等度の有酸素運動ゾーン(最大心拍数の50〜70%程度)が推奨されています25。この範囲では長時間継続しやすく、息が弾みつつも会話ができるため、習慣化しやすいというメリットがあります。
高強度インターバルトレーニング(HIIT)など、短時間で心拍数を大きく上げる方法もありますが、心臓や血管への負担が大きく、初心者や持病のある方には向きません。まずは中等度の強度でのランニングを習慣化し、体力がついてきたら、医療者やトレーナーと相談しながら強度を調整していくのが安全です。
Q5: 安静時心拍数が高めでも、ランニングをして大丈夫ですか?
A5: 安静時心拍数がやや高め(例:80〜90回/分)でも、自覚症状がなく、医療機関の検査で特に異常が見つかっていない場合には、医師の許可のもとで適切な強度のランニングを続けることで、むしろ心肺機能の改善が期待できることがあります7。
ただし、安静時心拍数が100回/分を超える、休んでいても動悸を強く感じる、胸の不快感や息切れを伴う、といった場合は、まず原因となる病気がないかを確認することが優先です。自己判断で激しいランニングを始めるのではなく、一度医療機関で相談してから運動計画を立てるようにしましょう。
Q6: 心拍数が高くなりやすい日は、走らない方がいいですか?
A6: 睡眠不足やストレス、軽い脱水、風邪のひきはじめなどで、一時的に心拍数が高くなりやすい日があります。そのような日は、いつも通りのペースで無理に走るよりも、ウォーキングやゆっくりジョグに切り替える、距離を短くする、完全休養にするなど、体調に合わせた調整が大切です。
「走らないと罪悪感がある」という方も多いですが、長く運動を続けるためには、体調の波に合わせて柔軟にメニューを変えることが結果的にプラスになります。特に、胸の違和感や強いだるさを感じる場合は、無理をせず休息を優先しましょう。
Q7: 高齢になってからランニングを始めても大丈夫ですか?
A7: 年齢に関わらず、適切な強度と方法で行えば、ウォーキングや軽いジョギングなどの有酸素運動は、血圧や血糖、体力の維持・改善に役立つことが多く報告されています37。ただし、高齢者では心血管疾患や整形外科的な問題、薬の影響などにより、若年者よりもリスクが高くなる場合があります。
高齢になってからランニングを始める場合は、まず医療機関で健康状態を確認し、「歩き+短時間のゆっくりジョグ」からスタートするのがおすすめです。最大心拍数の計算も、一般式(220−年齢)より「207−(年齢×0.7)」など高齢者向けの式の方が現実的な場合がありますので、専門家と相談しながら安全な範囲を決めていきましょう2。
結論:この記事から持ち帰ってほしいこと
ランニング中の心拍数は、「高い=危険」「低い=安全」といった単純なものではなく、年齢や体力、持病、薬、当日の体調など、さまざまな要素によって変化します。重要なのは、「自分にとっての適切な範囲」を知り、その範囲を少しずつ広げていくことです。
健康づくりを目的としたランニングであれば、多くの人にとって、最大心拍数の50〜70%程度、つまり「息が弾むが会話はできる」レベルの強度が、安全かつ効果的な目安になります125。一方で、胸の痛みや強い息切れ、めまいなどの危険なサインがある場合は、数字にこだわらず、すぐに運動を中止し、医療機関に相談することが何よりも大切です。
心拍数は、あなたの体の状態を教えてくれる「生体のメッセージ」です。数字に振り回されるのではなく、数字と体感の両方を手がかりにしながら、自分のペースでランニングを楽しみ、長く続けていけるスタイルを一緒に探していきましょう。
この記事の編集体制と情報の取り扱いについて
Japanese Health(JHO)は、信頼できる公的情報源と査読付き研究に基づいて、健康・医療・美容に関する情報をわかりやすくお届けすることを目指しています。
本記事の原稿は、最新のAI技術を活用して下調べと構成案を作成したうえで、JHO編集部が一次資料(ガイドライン・論文・公的サイトなど)と照合しながら、内容・表現・数値・URLの妥当性を人の目で一つひとつ確認しています。最終的な掲載判断はすべてJHO編集部が行っています。
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参考文献
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