はじめに
こんにちは、JHOです。本日は、多くの方が経験する可能性が高く、また非常に関心のあるテーマである「下痢の際にヨーグルトを食べるべきかどうか」について詳しくお話しします。下痢は、一日に3回以上の軟便を伴い、腹痛や吐き気、痙攣などの不快な症状を引き起こします。このような症状が起きたときに、何を食べるかは、症状を緩和させるか、あるいは逆に悪化させるかに大きく関わってきます。特に乳製品であるヨーグルトを摂取する際には、その選択がきわめて重要です。本記事では、下痢時にヨーグルトを摂るべきかどうかを検討し、症状を和らげるための最適なアプローチについて、可能な限り詳しく解説していきます。
免責事項
当サイトの情報は、Hello Bacsi ベトナム版を基に編集されたものであり、一般的な情報提供を目的としています。本情報は医療専門家のアドバイスに代わるものではなく、参考としてご利用ください。詳しい内容や個別の症状については、必ず医師にご相談ください。
専門家への相談
この記事は、さまざまな病院や学術機関で活動する医療専門家(特にプロバイオティクス研究に携わる方々)からの情報を参考にし、最新の科学的知見とともにまとめています。プロバイオティクスの有用性を研究する専門家からは、下痢時の食事内容について多くの実践的な見解や論文が提示されており、そうした知見をもとに下痢時のヨーグルト摂取がどのように役立ち得るかを分析しました。なお、本記事はあくまで参考情報として提供しており、医療現場の個々の診断・治療方針に代わるものではありません。症状が重い場合や心配がある場合には、医師の診察を受けてください。
下痢の際にヨーグルトを食べるべきか? 食べない方が良い場合は?
下痢は、感染症や食中毒、食事の不摂生など、さまざまな原因によって発生します。こうした状況でヨーグルトを食べることが良いのか悪いのかは、実は一概に言えません。なぜなら、ヨーグルト摂取が下痢の症状を和らげる場合もあれば、逆に悪化させる場合もあるからです。ここでは、どのような状況でヨーグルトを摂るべきか、または避けるべきかについて詳しく見ていきましょう。
1. 下痢の際に摂取すべきヨーグルトの特徴
ヨーグルトには、腸内環境を整える効果があるとされるプロバイオティクス(善玉菌)が含まれています。これらの善玉菌は腸内細菌のバランスを調整するため、下痢の症状を和らげる効果が期待できます。ただし、すべてのヨーグルトに豊富なプロバイオティクスが含まれているわけではありません。また、下痢の原因やタイミングによって、効果の度合いが変わる点にも注意が必要です。以下は、プロバイオティクスが豊富なヨーグルトが特に効果的だと考えられる状況です。
- 細菌、ウイルス、寄生虫による下痢
感染によって腸内環境が乱れた場合、善玉菌を補給することで腸内フローラ(腸内細菌叢)のバランスを再構築し、下痢の回復を早めることが期待できます。 - 抗生物質使用後の腸内細菌バランスの乱れ
抗生物質は有害な細菌を殺菌すると同時に、腸内の有益な細菌(善玉菌)も減少させてしまいます。そのため、抗生物質使用後には善玉菌の補給が極めて重要です。 - 過敏性腸症候群(IBS)や潰瘍性大腸炎などの慢性的な腸疾患による下痢
これらの疾患を持つ方は、腸粘膜の炎症や腸内細菌バランスの乱れが生じやすいため、プロバイオティクスを含むヨーグルトを摂ることで、症状を一定程度和らげる可能性が示唆されています。例えば、過敏性腸症候群の方がビフィズス菌や乳酸菌を含む製品を継続的に摂取することで、炎症や腹部の不快感を軽減できると報告されることがあります。
具体例
- プロバイオティクスを豊富に含むヨーグルト
乳酸菌やビフィズス菌などの善玉菌が入っている製品が代表的です。中でもビフィズス菌BB536が含まれたヨーグルトなどは、腸内の悪玉菌を減らし、消化管の健康を保つうえで高い有用性があると考えられています。
2. ヨーグルトを避けるべき下痢のケース
一方で、ヨーグルトを食べることで下痢の症状が悪化する場合もあるため、状況に応じて注意が必要です。特に、以下のケースではヨーグルトの摂取を慎重に検討する、あるいは避けた方がよいとされています。
- 乳糖不耐症(ラクターゼ不足)の方
乳糖不耐症の人がヨーグルトを食べると、乳糖を十分に分解できず、腹痛や下痢を引き起こすことがあります。ヨーグルトはチーズや牛乳ほど乳糖量が多くない場合もありますが、個々の体質によっては下痢を悪化させるリスクが残ります。 - プロバイオティクスが含まれていないヨーグルト
プロバイオティクスが含まれていない場合、腸内フローラを整える効果は期待できません。そうしたヨーグルトを摂取しても下痢の改善に直結しない可能性があります。 - 砂糖や添加物が過剰に含まれているヨーグルト
フレーバー付きのヨーグルトには糖分や人工甘味料、香料などが多く含まれていることがあります。糖分の過剰摂取は悪玉菌の増殖につながり、下痢が長引いたり悪化するケースがあるため注意が必要です。
具体例
- フレーバーヨーグルト
イチゴやブルーベリーなどの甘い味が付いたヨーグルトは、砂糖や人工甘味料が多めに含まれていることがあります。下痢時にはこうした過剰な糖分を避け、できるだけシンプルなプレーンタイプを選ぶことが望ましいとされています。
下痢時に選ぶべきヨーグルトの種類
ヨーグルトにはさまざまな種類がありますが、下痢の際に「どのヨーグルトでも良い」というわけではありません。以下のようなポイントを押さえることで、自分の体質や状況に合ったヨーグルトを選ぶことができます。
1. 天然素材のヨーグルトを選ぶ
天然素材で作られており、無香料・無着色のヨーグルトを選ぶのが基本です。添加物が多いほど、腸に負担がかかる可能性は高まります。無添加で自然な状態に近いヨーグルトは、下痢時でも比較的消化しやすく、腸に過剰な刺激を与えにくいと考えられています。
具体例
- プレーンヨーグルト
砂糖や香料、果物のシロップなどを含まない「プレーン」タイプ。成分表をしっかり確認し、余計な添加物が含まれていないか確認することが大切です。
2. プロバイオティクスが豊富なものを選ぶ
パッケージに「プロバイオティクス入り」や「生きた乳酸菌を含む」などの明確な表示があるヨーグルトを選ぶのがおすすめです。特に、1回の摂取あたり10億個以上のプロバイオティクスが含まれていることが望ましいとする専門家もいます。
具体例
- ビフィズス菌BB536が含まれるヨーグルト
ビフィズス菌BB536は胃酸や胆汁酸に強い性質を持ち、生きたまま大腸に到達しやすいと報告されています。腸内の有益な細菌を補うことで、下痢の症状を和らげる働きが期待できます。
3. 乳糖不耐症の方は乳糖フリーのヨーグルトを選ぶ
乳糖不耐症の人は、乳糖フリーもしくは乳糖を低減したヨーグルトが適しています。一般のヨーグルトよりも消化不良を起こしにくく、下痢や腹痛を悪化させる可能性を低減することにつながります。
具体例
- 乳糖ゼロヨーグルト
製品名やパッケージに「乳糖ゼロ」や「乳糖カット」といった記載があるヨーグルト。こうした製品はラクターゼ酵素を補ったり、加工工程で乳糖を分解したりしているため、乳糖不耐症の方でも比較的安心して摂取できます。
4. 砂糖が少ないヨーグルトを選ぶ
砂糖の過剰摂取は腸内の悪玉菌を増やし、下痢の症状を長引かせる可能性があります。そのため、できるだけ無糖または低糖のヨーグルトを選ぶことが重要です。どうしても甘みがほしい場合は、はちみつを少量加えるなど、糖質を極力抑えた工夫をするのがよいとされています。
具体例
- 無糖プレーンヨーグルト
添加物や糖分が含まれていないため、腸への負担が最小限に抑えられます。食感がシンプルすぎる場合は、少量の果物やはちみつで風味を整えるのも一案です。ただし、下痢時には果物の種類や食べる量にも気を配る必要があります。
下痢時の注意事項と食事のポイント
ヨーグルトをどうするかに加えて、下痢時の食事全体や生活習慣にも目を向けることが大切です。水分補給、食事の種類、休養のとり方などを適切に管理することで、回復を早め、症状の緩和に役立ちます。
1. 水分補給を徹底する
下痢になると、通常よりも多くの水分や電解質が排泄されてしまいます。特に、繰り返し下痢を起こすと脱水症状になるリスクが高まるため、意識的に水分を摂取しなければなりません。次のような飲み物が推奨されます。
- 常温の水
冷水は腸を刺激するおそれがあるため、常温またはやや温かい水を少量ずつこまめに飲むのが理想的です。 - 経口補水液やスポーツドリンク
ナトリウムやカリウムなどの電解質が補給できる飲み物は、体の電解質バランスを整えるために有用です。特に経口補水液は、医療現場でも推奨されることが多く、急性期の下痢による脱水の予防・改善に役立ちます。 - ハーブティー(カモミールティー、ペパーミントティーなど)
カフェインが少なく、胃腸に優しいため、下痢時でも飲みやすい飲み物です。香りによるリラックス効果も期待できます。
2. 消化に優しい食品を選ぶ
下痢時には、消化を助ける食事が回復に大きく寄与します。 腸への負担を減らしつつ、必要な栄養や水分を取り入れるよう工夫しましょう。
- おかゆ
日本では下痢時の定番食とも言えるほど一般的なおかゆは、米を軟らかく煮込んであり、消化が非常に良いです。塩分を少なめに調整しながら、梅干しや少量のだしなどで味を整える方法がよく行われます。 - 柔らかく煮た野菜
にんじん、かぼちゃ、じゃがいもなど、加熱すると甘みが引き出され、ビタミンやミネラルも摂取しやすくなります。下痢で食欲が落ちているときでも比較的食べやすく、腸への負担が少ないとされています。 - バナナ
カリウムが豊富で、下痢によって失われがちな電解質を補給できます。さらにバナナに含まれるペクチンは、腸内環境を整える働きが期待できるため、柔らかく熟したバナナは下痢時に相性が良い食材と言えます。 - プレーンなクラッカーやビスケット
油分や砂糖分が少ないものを選べば、軽いエネルギー補給として役立ちます。胃腸への負担が軽く、塩分過多にもなりにくいです。
3. 休息をしっかり取る
下痢が続くと体力や免疫力が低下しやすくなるため、十分な休息も回復の重要な要素です。体を温め、無理な運動は避け、ストレスを減らすよう心がけましょう。
- 深呼吸
短時間でもゆったりとした深呼吸を繰り返すと、腹部の緊張が和らぎ、自律神経のバランスが整いやすくなります。 - 軽いストレッチ
過度な運動は避けつつ、寝たままや座ったままでできるストレッチを行うと血行が促進され、疲労回復をサポートする効果が期待できます。 - 瞑想や軽いリラクゼーション法
瞑想や音楽鑑賞などはストレス軽減に役立ち、腸への過度な刺激を抑える可能性があります。
下痢時におけるヨーグルトの役割の再評価
以上のように、ヨーグルトは下痢を和らげる可能性を持つ一方で、下痢を悪化させる要因にもなり得ることがわかります。特にプロバイオティクスを豊富に含むヨーグルトは腸内環境をサポートする力が期待されますが、乳糖不耐症の方や添加物が多いタイプのヨーグルトでは逆効果になる場合があるため、選択には注意が必要です。
また、下痢の原因が細菌感染やウイルス感染であるか、ストレスや食生活の乱れによるものなのかによっても有効性は異なります。症状が長引く場合や激しい腹痛、血便などが見られる場合には、早めに専門医を受診することが大切です。適切な診断と治療を受けながら、必要に応じてヨーグルトを活用することで、回復をより効果的に進めることが期待できます。
さらに補足したい最新の研究動向
下痢時のプロバイオティクス摂取は、近年の研究でも注目度が高まっています。たとえば、Cochrane Database of Systematic Reviewsでは、抗生物質による腸内細菌バランスの乱れに対し、プロバイオティクスを併用することで、抗生物質関連下痢のリスクを有意に低減できる可能性があると報告されています(Goldenberg JZら、2020年発表)。このメタアナリシスによると、特定のプロバイオティクスを正しく利用することで、下痢症状の発現率を抑えられるとの見解が示されており、特に小児を対象とした研究から顕著な改善効果を認める傾向がありました。実際、こうした傾向は成人の下痢でも類似した可能性を示唆する報告もあります。
また、2023年にPediatric Clinics of North Americaで発表された研究(Freedman SBら)では、急性胃腸炎に関連する下痢症状の管理として、乳酸菌やビフィズス菌などのプロバイオティクスを短期的に使用することが有用であると示唆されました。ただし、すべての症例に万能ではなく、個々の体質や原因病原体との相性があるため、医療専門家のアドバイスを踏まえることが推奨されています。
これらの研究はいずれも海外の論文ですが、基本的な腸の生理機能やプロバイオティクスの特性は日本の人々にも多くの点で共通すると考えられ、海外の知見が国内においても一定の参考になる可能性があります。とはいえ、国によって食習慣や菌株の利用実態が異なるため、効果の程度や推奨方法には個人差が出る点を留意すべきでしょう。
症状が長引く場合の対応と専門家への受診
- 症状が3日以上続くとき
下痢は通常、1~2日程度で軽快に向かうことが多いですが、3日以上続く場合にはウイルスや細菌感染の可能性、あるいは何らかの炎症性疾患の悪化が考えられます。特に高熱や血便がある場合は早めに受診しましょう。 - 激しい脱水症状が疑われる場合
口渇やめまい、尿量の減少、強い倦怠感が続く場合は脱水症状が深刻化している恐れがあります。こうした状態では適切な補液や入院治療が必要になるケースもあります。 - 持病や慢性疾患(潰瘍性大腸炎、クローン病など)を抱えている場合
専門医の指導のもとでヨーグルトを含む食事療法を行うほうが安全です。一般的なヨーグルトでも、菌株や製法によっては炎症を誘発する可能性がゼロではないため、主治医と相談しながら導入することが望ましいです。
下痢を予防するライフスタイル
下痢の原因は多岐にわたるため、根本的な予防策を考えるときには、日常生活全般の見直しが重要となります。下痢のリスクを下げるために取り入れたい習慣をいくつか挙げます。
- 手洗いの徹底
細菌やウイルス感染による下痢を防ぐには、外出先から帰ったときや食事前、トイレ後などにしっかりと石けんで手を洗うことが基本です。 - 食品の衛生管理
食中毒を予防するために、生肉や生魚の取り扱いには注意し、適切な温度で保管・加熱を行いましょう。賞味期限切れや保存状態が悪いものを口にしないことも重要です。 - バランスの良い食事と規則正しい生活
過度なダイエットや偏食、アルコールの過剰摂取などは、腸内環境を乱す原因となります。炭水化物、タンパク質、脂質、ビタミン、ミネラルをバランスよく摂り、十分な睡眠をとることが腸の健康を保つ土台です。 - 定期的な軽い運動
ウォーキングや軽いヨガなどの運動は、腸の蠕動運動を活性化し、便通リズムを整える助けになります。激しすぎる運動は下痢時には控えるべきですが、日常的に適度な運動を取り入れることで腸内環境が整いやすくなると言われています。
下痢時の注意点まとめ
- ヨーグルトの選択に注意
プロバイオティクスを含む添加物の少ない製品を選ぶのがポイント。乳糖不耐症の方は乳糖フリーのヨーグルトを選択する。 - 水分補給を十分に
下痢による脱水を防ぐため、常温水や経口補水液、ハーブティーなどでこまめに水分を摂取する。 - 消化に優しい食事
おかゆ、煮野菜、バナナなど消化に良い食材を中心に摂り、胃腸への負担を軽くする。 - 休息とストレス軽減
腸の働きを整えるために、十分な睡眠とリラックスを心がける。必要に応じて軽いストレッチや瞑想などを取り入れる。 - 症状が長引く場合は医療機関へ
3日以上下痢が続く、激しい腹痛や血便があるときは、早期受診を。専門的な検査や治療が必要な可能性がある。
最後に:下痢時のヨーグルト摂取は慎重に
下痢が起きると、食事選びひとつで症状の変化を左右することがあります。ヨーグルトは腸内環境を整えるうえで魅力的な食品ですが、乳糖不耐症の人にとってはデメリットがあり得るなど、一様に「必ず良い」とも言い切れません。重要なのは、自分の体質や下痢の原因に合わせた選択をすることです。下痢が続いたり、症状が深刻化した場合は、医師や管理栄養士などの専門家に相談し、適切なケアを受けるようにしましょう。
情報提供の目的
本記事に記載した内容はあくまで一般的な情報をまとめたものであり、個別の症状や体質を考慮した医療行為そのものではありません。下痢の症状が重い、もしくは長期にわたる場合は、必ず医療機関へご相談ください。
参考文献
- Is Yogurt Good for Diarrhea? アクセス日: 2022年11月29日
- Mom’s Advice Is Still the Best for Treating Diarrhea アクセス日: 2022年11月29日
- Can probiotic yogurt prevent diarrhoea in children on antibiotics? A double-blind, randomised, placebo-controlled study アクセス日: 2022年11月29日
- Probiotics for Gastrointestinal Conditions: A Summary of the Evidence アクセス日: 2022年11月29日
- Eating, Diet, & Nutrition for Diarrhea – What should I eat if I have diarrhea? アクセス日: 2022年11月29日
(以下は研究本文中に言及したものを追加した参考文献)
- Goldenberg JZら (2020) “Probiotics for the prevention of pediatric antibiotic-associated diarrhea.” Cochrane Database of Systematic Reviews, Issue 4, Art. No.: CD004827, doi:10.1002/14651858.CD004827.pub5
- Freedman SBら (2023) “Pediatric acute gastroenteritis.” Pediatric Clinics of North America, 70(1): 75–90, doi:10.1016/j.pcl.2022.08.002
免責事項
本記事は健康や医療に関する一般的な情報を紹介したものであり、特定の疾患や症状に対する医療行為を推奨するものではありません。最終的な判断や治療方針は医療従事者と相談のうえ決定し、ご自身の健康状態に合わせたケアを受けるようにしてください。