はじめに
下痢(いわゆる「腹下し」)は、子どもから大人まで多くの人が一度は経験する症状です。食生活の乱れや新しい食材への慣れ、あるいは体質的な問題など、さまざまな要因で起こりうるため、日常的にも比較的なじみのある健康トラブルといえます。しかし「なぜ下痢になるのか」「どの経路で感染するのか」「そもそも感染するのかしないのか」といった疑問に対しては、意外と正確な情報を把握していないこともあります。本稿では、下痢が感染性かどうか、そして原因によって感染経路がどのように違うのかを詳しく解説していきます。
免責事項
当サイトの情報は、Hello Bacsi ベトナム版を基に編集されたものであり、一般的な情報提供を目的としています。本情報は医療専門家のアドバイスに代わるものではなく、参考としてご利用ください。詳しい内容や個別の症状については、必ず医師にご相談ください。
日常生活においては、衛生管理がしっかりしていると思っていても、ウイルスや細菌、寄生虫などの微生物に汚染された食べ物や水を口にしたり、感染者と直接もしくは間接的に接触したりすることで、気づかないうちに感染性の下痢を引き起こす可能性があります。さらに、感染性ではない原因による下痢も存在し、原因に応じて対処の仕方が異なります。この記事では、そうした下痢の基礎知識から、感染性か非感染性かを見分ける重要なポイント、感染しやすい経路や予防策などを幅広く紹介いたします。
専門家への相談
本記事の内容をより正確にするため、内科医・総合内科として臨床現場でさまざまな消化器症状に対応している Nguyen Thuong Hanh 医師(Bệnh Viện Đa Khoa Tỉnh Bắc Ninh)の見解も参考にまとめています。下痢は日常的な不調だからと軽んじがちですが、医師の視点から見れば、感染性かそうでないかによってアプローチが変わるため注意が必要であるとのことです。感染性の疑いがある場合には、家族や周囲の人にうつさないよう、衛生管理や手洗いの徹底を心がけることが強調されています。特にウイルス性の下痢では集団発生しやすく、予防と早期治療が重要になるといいます。
下痢とは何か?
下痢は、1日に通常よりも回数が増え、かつ便が水分を多く含んだ状態(軟便または水様便)で排泄されることを指します。医学的には、1日に3回以上の水様性便がある場合を下痢と定義することが多いです。下痢は急性(急に始まり短期間で治まる場合)と慢性(長期にわたって続く場合)に分類されます。
下痢の代表的な原因
- ウイルス:ノロウイルスやロタウイルス、アストロウイルスなどが代表的です。ウイルス性の下痢は感染力が強く、しばしば集団感染につながることが知られています。
- 細菌:サルモネラや大腸菌(特に病原性をもつ0157など)、シゲラ、カンピロバクター、ビブリオ、黄色ブドウ球菌、クロストリジウム・ディフィシルなど。汚染された食材や水による経口感染が多いです。
- 寄生虫・真菌:ジアルジアやアメーバ、クリプトスポリジウムなどが代表的で、水源が汚染されている地域や衛生状態が十分でない環境での感染が多いです。
- 非感染性の要因:過敏性腸症候群(IBS)や炎症性腸疾患(潰瘍性大腸炎・クローン病)、セリアック病などの自己免疫的な病気、乳糖不耐症などの食物不耐性、甲状腺機能亢進症など内分泌異常の一症状として発症する場合もあります。また、抗生物質など薬の副作用や、単純に「食べ慣れない食材を摂取して胃腸がびっくりした」という理由で起こる下痢も少なくありません。
このように、下痢そのものはさまざまな原因によって引き起こされますが、とくに「感染性かどうか」で周囲への影響や対策が大きく変わります。以下では、感染性下痢と非感染性下痢をそれぞれ掘り下げ、どのようなケースで周囲にうつりやすいのか、経路はどうかを詳しく見ていきます。
感染性下痢(感染力のある下痢)はどのように起こるのか
感染性下痢は主にウイルス・細菌・寄生虫や真菌(カビ)といった微生物によって引き起こされます。これらの微生物は多くの場合、汚染された水や食べ物を介して体内に入り、腸内で増殖して症状を引き起こします。ただし、ウイルスや細菌によっては、患者の排泄物や嘔吐物、あるいはそれに触れた手や物の表面を介して直接的・間接的にヒトからヒトへうつるケースも珍しくありません。以下に、それぞれの病原体に応じた下痢の特徴と感染のしやすさを解説します。
1. ウイルス性の下痢はうつるのか?
下痢のなかでも、ウイルスによって引き起こされるものは非常に一般的です。ウイルス性胃腸炎とも呼ばれますが、その主な原因として以下のウイルスが挙げられます。
- ノロウイルス:いわゆる「ノロ感染症」として冬季に大流行しやすいウイルスです。感染力がきわめて強く、わずかなウイルス量でも人にうつります。保育園や高齢者施設、学校やクルーズ船などで集団発生を引き起こすことがあるため要注意です。嘔吐物や便に含まれるウイルスが、ドアノブやトイレの取っ手などに付着し、それに触った手を介して二次感染が起きやすいのが特徴です。
- ロタウイルス:主に乳幼児の下痢の原因として知られています。ロタウイルスによる脱水症は重症化しやすいとされ、世界的には幼児の死亡原因として大きな割合を占めてきました。ワクチンの普及により、日本を含む多くの国では重症例が減少傾向にありますが、依然として集団生活をする場所(保育施設など)では要警戒とされています。
- アデノウイルス:50を超えるタイプが存在し、そのうち40番・41番の型が乳幼児の腸炎を引き起こしやすいといわれています。風邪のイメージが強いウイルスですが、胃腸炎を起こすタイプもあるため注意が必要です。
- アストロウイルス:幼児や高齢者、免疫力が低下している方が感染しやすいウイルスで、水様性の下痢が数日続くことがあります。大流行を起こすケースは多くありませんが、注意が必要です。
これらのウイルスが原因の下痢は、「飛沫や手指を介してヒトからヒトへ直接うつりやすい」という特徴があります。例えば、ウイルス性の下痢をしている人が手を十分に洗わずにドアノブや調理器具に触れ、それを別の人が触って口元に運んだ場合にも感染するおそれがあります。したがって、ウイルス性の下痢は一般的に「非常にうつりやすい」と考えられます。
2. 細菌性の下痢はうつるのか?
細菌による下痢も世界中で広くみられる感染症の一つです。細菌性胃腸炎とも呼ばれ、原因となる代表的な細菌には以下のようなものがあります。
- サルモネラ(Salmonella enteritidis):食肉や卵などが十分に加熱されていない場合や、調理の過程で二次汚染が起きた場合に感染しやすい細菌です。発熱や腹痛、下痢などが主症状となり、多くは数日から1週間ほどで回復します。
- 大腸菌(Escherichia coli 0157など):加熱不十分な牛肉や生野菜、または汚染された水などを介して広がります。0157のように特定の毒素を産生する病原性大腸菌の場合、重症化して腎障害などを引き起こすリスクがあるため要注意です。
- シゲラ(Shigella):赤痢菌とも呼ばれ、下痢便や血便を引き起こします。感染力が比較的強く、少量の菌で発症するとされ、衛生環境が不十分な地域で流行することがあります。
- カンピロバクター(Campylobacter):鶏肉などの食材に存在することが多く、加熱不足による食中毒が典型例です。腹痛や発熱が伴う場合があり、水様性から血性にまで進行する便が特徴とされます。
- ビブリオ(Vibrio):特にビブリオ・パラヘモリティクスやビブリオ・コレラなどが知られ、生の魚介類、特に夏場の貝類に含まれることがあります。発熱や嘔吐、激しい下痢が急に起こることが多いです。
- 黄色ブドウ球菌(Staphylococcus aureus):細菌そのものというよりは、その細菌が産生する毒素が原因で食品を摂取後、短時間で嘔吐や下痢を引き起こすと考えられています。
- クロストリジウム・ディフィシル(Clostridium difficile):抗生物質を長期あるいは多剤併用で使用しているとき、腸内の正常細菌叢が乱れてこの細菌が異常に繁殖しやすくなり、下痢などをもたらします。医療関連感染として問題になるケースもあります。
- エルシニア(Yersinia):牛乳など乳製品を介して感染することが報告されています。腸炎から重症化すると全身に影響を及ぼす場合もあります。
こうした細菌性の下痢は、多くの場合「汚染された食材を口にした」あるいは「調理や保存、加工の過程で十分に加熱や衛生対策が行われなかった」などが主な原因となります。ただし、一部の細菌の場合は排泄物を介して人にうつることもあり、トイレの後に手を洗わずに調理したり、周囲の人に接触してしまうと二次感染するリスクがあります。特に家族内など密に接触する環境では、細菌性の下痢も人から人へうつることがあります。
3. 寄生虫・真菌による下痢はうつるのか?
寄生虫や真菌(カビ)が原因の下痢は、細菌やウイルスほど頻度が高いわけではありませんが、地域や衛生環境によってはみられます。代表的なものとしては以下が挙げられます。
- ジアルジア(Giardia lamblia):汚染された食水や、患者の便を介して人に感染することが知られています。発症すると2日ほどの潜伏期間を経て水様便が続きやすく、ときに慢性化すると体重減少や栄養障害につながる場合があります。
- 赤痢アメーバ(Entamoeba histolytica):糞口感染(ふんこうかんせん)によって人から人へうつる場合があり、腸に侵入すると血便や潰瘍を引き起こすことがあります。
- クリプトスポリジウム(Cryptosporidium):免疫が弱い人や高齢者、幼児などにとっては重症化するリスクもあるとされます。こちらも糞口感染が中心で、衛生環境が整っていない場所での流行報告が多いです。
これらの寄生虫や真菌による下痢は、多くの場合「汚染された水の摂取」が主経路ですが、人から人へうつるものも一部存在します。特に便の取り扱いが不十分だったり、手洗いが徹底されていなかったりすると、家庭や施設内で二次感染が起こる可能性があります。
非感染性の下痢はうつるのか?
一方、下痢のすべてが感染性(伝染する)というわけではなく、非感染性の下痢も存在します。以下のような疾患や状態に起因する下痢であれば、周囲にうつることはありません。
- 過敏性腸症候群(IBS):ストレスや生活習慣の乱れなどによって腸が過剰に反応し、慢性的な下痢や便秘が交互に起きることがあります。感染力はありません。
- 炎症性腸疾患(IBD):潰瘍性大腸炎やクローン病など、自己免疫関連の慢性炎症が腸内で続く病気です。これらも症状として下痢や血便が出ますが、他人にうつることはありません。
- セリアック病:グルテン(小麦などに含まれるタンパク質)に対する免疫反応によって腸粘膜がダメージを受け、慢性的な下痢が起こります。感染性はありません。
- 甲状腺機能亢進症:ホルモンバランスの異常で腸管の動きが活発化し、下痢になりやすい場合があります。もちろん周囲に感染することはありません。
- 食物不耐症・アレルギー(乳糖不耐症など):乳製品を摂取すると下痢する「乳糖不耐症」をはじめ、特定の食品成分を分解できない体質の場合に下痢が起こります。これも感染力を持ちません。
- 薬の副作用:抗生物質や下剤などによって腸内環境が乱され、下痢が起こることがあります。こちらもウイルスや細菌性のような感染性はありません。
これら非感染性の下痢の場合は、本人の体質や基礎疾患による便通異常であり、人にうつる心配はありません。ただし、症状が急性に悪化するときには感染症との見極めが難しいこともあるため、特に強い腹痛や発熱を伴う場合は医療機関を受診することが望ましいです。
急性下痢はうつるのか?
下痢には、急性下痢と慢性下痢がありますが、その区分は「下痢症状がおおよそ2週間以内に治まるかどうか」によって分けられることが多いです。急性下痢の主な原因は、先述のとおりウイルスや細菌など病原体による感染性のものか、あるいは食あたりや薬剤性など非感染性のものに大きく分かれます。感染力については、特にウイルスや細菌が関与する急性下痢の場合は、周囲にうつるリスクが高いといえます。
一方、慢性下痢は主に過敏性腸症候群や炎症性腸疾患などの非感染性要因が多い傾向にあり、一般的には他人にうつることはありません。したがって「急に始まった」「強い吐き気や腹痛、下痢がある」「周囲にも同様の症状が出ている」という状況では、感染性下痢を疑う必要があります。
下痢はどんな経路で感染するのか?
感染性下痢が広がる際、最も注意すべき感染経路は糞口感染(ふんこうかんせん)です。具体的には、下痢をしている人の便や嘔吐物に含まれるウイルスや細菌、寄生虫などが、手指や周囲の物に付着し、それを別の人が触れたまま十分に手を洗わずに口や鼻に触れる、あるいは飲食物に触れてそのまま口に入れることで感染が成立します。また、便や嘔吐物の処理の際に飛沫が飛んで空気中に散った病原体を吸い込んでしまうことで感染するケースもあり、特にノロウイルスなどは微量なウイルスでも感染しやすいとされています。
主な感染経路の例
- 分娩後やおむつ交換時などに手を十分に洗わない
- 排泄物や嘔吐物の処理の際、手袋やマスクをしない
- 下痢症状のある人が十分に手を洗わずに食品を調理する
- 汚染された飲料水や井戸水を処理しないまま飲む
- ペットや家畜など、動物の糞便に含まれた病原体に接触する
- 生肉や魚介類を調理した道具を十分に洗浄しないで再利用する
このように、感染性下痢は周りの人に伝播しやすい一方、衛生対策を徹底すれば発生を防ぐことも可能です。特にノロウイルスなどはごく少量で発症してしまうため、調理場や施設などでは徹底した対策が不可欠です。
下痢は実際どのくらい感染しやすいのか?
ここまで紹介してきたように、下痢の原因となる病原体によって「非常に高い感染力」をもつもの(例:ノロウイルス)から「主に経口・糞口で感染するが、集団感染までには至りにくいもの」(例:一部の細菌性病原体)まで幅があります。一般的に、ウイルス性>細菌性>寄生虫性の順で感染力が強いといわれることもありますが、どの病原体も条件が整えば感染が拡大します。
特に高齢者施設や保育所など不特定多数が集まる場所、さらには一緒に暮らす家族内では、衛生管理の抜け漏れがあるとあっという間に複数人が同じ症状になることがあります。そのため、下痢を起こしている人が出た場合は、以下のような予防策を速やかに行うことが大切です。
- 下痢や嘔吐がある人は、食事を作る役割からできるだけ外れる
- 排泄物や嘔吐物の後始末は使い捨て手袋とマスクを着用し、手を十分に洗浄・消毒する
- トイレやドアノブ、洗面所など、多くの人が触れる場所をこまめに消毒する
- 調理器具やまな板、ふきんなどを徹底的に洗浄し、必要に応じて熱湯消毒を行う
- うがい・手洗いを念入りに行い、特に外出先から戻ったときやトイレの後、調理や食事の前は丁寧に洗う
また、感染予防と並行して、下痢の症状がひどい場合は早めに医療機関を受診し、脱水症や電解質異常を防ぐよう配慮しましょう。感染性の疑いが強いならば、ほかの人に広げないためにも安静にして十分に水分とミネラルを補給しつつ休養をとることが肝心です。
下痢と食事・生活習慣:気をつけたいポイント
下痢のとき、食事内容や生活習慣によっては症状が長引くことがあります。以下の点に注意すると、回復を早めたり、感染拡大を防止したりしやすくなります。
- 適切な水分補給
下痢では体内の水分・電解質が失われやすいため、経口補水液(ORS)やスポーツドリンクなどをこまめに取り入れて脱水症を防ぐことが重要です。激しい下痢で水分を受け付けない場合には、早めに医療機関で点滴治療を検討することが必要です。 - 脂っこいものや刺激物を控える
唐辛子やカフェイン、アルコールなど刺激の強い飲食物は、腸粘膜をさらに刺激して症状を悪化させる可能性があります。また、油っぽい食品も腸に負担がかかるため、できる限り避けましょう。 - 整腸作用のある食材を取り入れる
おかゆやうどんなど、胃腸にやさしい炭水化物や、加熱した野菜類などを中心に摂取すると、腸を保護しながらエネルギーを補給できます。ヨーグルトなど乳酸菌を含む食品も整腸に寄与しますが、体質的に乳糖不耐症がある場合は注意が必要です。 - 休養と睡眠を十分にとる
ウイルス性・細菌性に限らず、身体の免疫力が低下していると回復が遅れることがあります。仕事や学校のスケジュールがあっても、症状が強いときには無理をせず休むのが大切です。
これらの対応を行うことで、仮に感染性の下痢であったとしても周囲への二次感染リスクを下げられ、自身の回復も早められます。また、非感染性であっても腸をいたわる食事や休養を心がけることで、症状の長期化を防ぐことにつながります。
下痢への注意点と感染予防のヒント
下痢の症状は軽視しがちですが、ときに重症化し脱水症や体力低下を招くこともあります。感染予防と症状悪化の防止に向けた注意点を整理してみましょう。
- 手洗いの徹底
感染経路の大半は手を介しています。外出先から帰宅後、調理前、トイレの後などは最低20秒以上かけて石鹸で手を洗うことが推奨されています。 - トイレ周りの清掃・消毒
便座やドアノブ、洗面台の蛇口などにウイルスや細菌が付着しやすいため、適宜アルコールや塩素系消毒剤を使って清潔を保つことが大切です。ノロウイルスなど耐性の強いウイルスには塩素系漂白剤がより効果的とされます。 - 正しい食品の取り扱い
生肉や魚介類は他の食品と分けて保存し、調理器具を分ける、あるいは使用後はすぐに洗って熱湯消毒するなど、交差汚染を防ぎましょう。加熱の必要な食品は中心部まで十分に火を通すことも大切です。 - 飲料水の安全
井戸水を使う地域や、旅行先(特に海外)での生水の飲用は、地域によってはリスクが高い場合があります。煮沸して飲む、または信頼できる市販のミネラルウォーターを選ぶと安心です。 - 幼児や高齢者への配慮
免疫機能が未熟な子どもや、体力の衰えた高齢者は、感染性の下痢を発症すると重症化しやすい傾向があります。施設や家庭内で流行が疑われる場合は、隔離を含めた適切な対応を行い、二次感染を防ぎましょう。
下痢と受診のタイミング
下痢は多くの場合、数日程度で自然に治まりますが、以下のような場合には早期に医療機関を受診することを考慮してください。
- 激しい腹痛や血便、嘔吐を伴う場合
大腸菌0157などが疑われる重症例では、合併症に注意が必要です。 - 数日たっても症状が改善せず、水分すら摂れない場合
重度の脱水症や電解質異常を起こしている可能性があります。 - 高熱や強い倦怠感が続く場合
細菌性やウイルス性でも症状が重い例、または他の原因疾患が隠れている可能性があります。 - 免疫力が低下している人(抗がん剤治療中、ステロイド服用など)や高齢者・乳幼児が下痢を起こしている場合
重症化を防ぐためにも早い段階での診断・治療が望ましいです。
医療機関を受診した際には、いつからどんな症状が出ているのか、便の状態(回数、色、性状、血が混じるかなど)、発熱の有無や食事状況などを正確に伝えることで、より的確な診断や治療に役立ちます。
結論と提言
下痢は原因次第で「うつる」「うつらない」が決まる
- 感染性下痢(ウイルス・細菌・寄生虫など):ウイルス性の場合は接触や飛沫、手指を介して人に伝播しやすいのが特徴です。ノロウイルスなどは特に感染力が強く、家族や集団生活の場で一気に広まる恐れがあります。細菌性でも二次感染の可能性があり、寄生虫によるものも水や接触を介して広がることがあります。
- 非感染性下痢(過敏性腸症候群、炎症性腸疾患、甲状腺機能亢進症、薬の副作用など):原因は体質や基礎疾患にあり、周囲への感染リスクはありません。
感染性下痢を防ぐには衛生管理が不可欠
- 糞口感染を防ぐために、手洗いを徹底する
- 嘔吐物や排泄物の処理には手袋とマスクを使用し、処理後はアルコールや塩素系消毒薬などで周囲を徹底的に消毒する
- 調理器具の洗浄や食品の適切な加熱、冷蔵保存に注意する
- 共有スペース(ドアノブ、トイレ、洗面台など)はこまめに清掃・消毒する
症状が重い場合や長引く場合は早めに受診を
- 高熱や血便、激しい腹痛を伴う下痢や、脱水症状が進行している疑いがある場合は医師の診察が必要です
- 乳幼児や高齢者、基礎疾患を持つ方の下痢は重症化しやすいため、医療機関へ相談しましょう
まずは身近な予防策から
下痢を完全に防ぐことは難しいかもしれませんが、感染経路の多くは「手を介して」拡大するので、手洗いを中心とした衛生管理を普段から徹底するだけでも大きくリスクを下げられます。加えて、十分な加熱調理や正しい食品取り扱いなどを心がけ、もし自分が下痢をしているときは家族や周りの人への二次感染を防ぐためにも調理や外出を無理せず避け、体調が改善するまで休養しましょう。
同時に、下痢が感染性かどうか判断がつかない場合は、自己判断で周囲と接触を続けないよう留意することが大切です。自分自身だけでなく、大切な家族やコミュニティ全体を守る意味でも、少しでも疑わしい時には医療機関へ相談して早めのケアを受けるようにしましょう。
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注意事項(必ずお読みください)
本記事は、下痢についての一般的な情報をわかりやすくまとめたものであり、医師などの専門家の個別診療に代わるものではありません。症状が強い場合や長引く場合、また基礎疾患をお持ちの方や高齢者、免疫力が低下している方、乳幼児などは特に早めに医療機関を受診し、専門家の意見を仰いでください。ここで紹介している情報は参考材料であり、個人の状況や体質、既往歴によって最適な対応は変わる場合があります。必ず担当の医師に相談のうえ、適切な判断をお願いいたします。