健康を害する可能性がある睡眠に関する8つの誤解
睡眠ケア

健康を害する可能性がある睡眠に関する8つの誤解

はじめに

こんにちは、JHO編集部です。現代社会における生活スタイルやストレスの蓄積により、睡眠に関する誤解が数多く存在し、それが健康に思わぬ影響を及ぼしています。日々のリズムが乱れがちな今、皆さんは何時間の睡眠が必要か、どうやって良質な睡眠を得るか、そんな疑問を抱えているかもしれません。この記事では、睡眠に関する8つの誤解 についてご紹介し、その誤解を解消するための具体的なアプローチを探ります。ぜひ、この機会に正しい睡眠習慣を身につけ、健康的なライフスタイルを実現しましょう。

免責事項

当サイトの情報は、Hello Bacsi ベトナム版を基に編集されたものであり、一般的な情報提供を目的としています。本情報は医療専門家のアドバイスに代わるものではなく、参考としてご利用ください。詳しい内容や個別の症状については、必ず医師にご相談ください。

専門家への相談

この記事には、ベトナムのBệnh Viện Đa Khoa Tỉnh Bắc Ninhで働くDr. Nguyễn Thường Hanh氏の知見が含まれています。彼は内科および総合内科の専門家で、睡眠と健康に関する多くの研究をされています。私たちは、彼の意見をもとに、この記事を通じて皆さんに信頼できる情報をお届けします。

睡眠に関する誤解

日常生活の中でよく耳にする睡眠に対する誤解がありますが、それらは本当なのでしょうか。ここで紹介する8つの誤解の裏に隠れた真実を見ていきましょう。

1. 大人は5時間の睡眠で十分

多くの人が、大人には5時間程度の睡眠で十分と信じていますが、Centers for Disease Control and Prevention (CDC)は、成人には7〜9時間の睡眠が必要であると推奨しています。個人差はありますが、これ以下の睡眠時間では健康に悪影響を及ぼす可能性が高まります。睡眠不足は心血管疾患のリスクを高め、認知機能の低下やうつ病、糖尿病、肥満のリスクを招く可能性があります。

こうした睡眠不足が蓄積すると、生活習慣病だけでなく、仕事や学習面でも大きなパフォーマンス低下が見られます。日本では特に、忙しいスケジュールや残業文化により睡眠が不足しがちとされる人々が多く、慢性的な睡眠不足を抱える可能性があります。十分な睡眠が取れない時期が続くと、一時的に体や頭は慣れたように感じる場合がありますが、実際には脳機能やホルモンバランスに微細な変化が生じ、将来的に大きな健康リスクとなり得ます。

さらに2020年以降に行われた複数の研究では、慢性的な睡眠不足が脳の灰白質や白質の微小な変性につながる可能性が指摘されています。こうした変化は特に高齢者において認知症などのリスク因子となる可能性があると議論されており、若年層が同じような睡眠不足を続ければ、将来的に同じリスクを抱える恐れも考えられます。近年では、睡眠時間が6時間未満の人と7時間以上確保できている人とを比べると、心血管疾患や2型糖尿病、肥満などの発症リスクが高まるという報告も複数出されています。日本のように忙しい社会ではやむを得ない部分もありますが、理想的には7時間以上の睡眠を目指すのが望ましいでしょう。

2. テレビを見るとよく眠れる

就寝前にテレビを見たり、電子機器を触ったりすることは、睡眠の質を低下させる原因となります。電子デバイスからのブルーライトがメラトニンの分泌を妨げ、寝つきを悪くすることがあるためです。質の良い睡眠を確保するために、就寝前にはこれらのデバイスをできるだけ控えることが大切です。

特にスマートフォンやタブレットなどは、テレビ以上に画面を近くで見ることが多く、強いブルーライトを直接浴び続ける恐れがあります。また、SNSやニュースのチェックによる精神的興奮も、寝つきを悪化させる一因です。実際に、最近の研究(2021年、Sleep Medicine Reviews、doi:10.1016/j.smrv.2020.101344 など)でも、就寝前30分~1時間以内にスマートフォンを操作すると、睡眠潜時(ベッドに入ってから寝つくまでの時間)が延びるだけでなく、深い睡眠の割合が低下することが報告されています。このように、就寝直前の電子機器使用は多方面から睡眠の質を下げる要因になり得ます。

また、夜間に電子デバイスを見続けると体内時計が乱れ、起床時間や次の日の活力に影響を及ぼします。さらに、ブルーライトだけでなく、視覚的な刺激による脳の覚醒も問題であるため、ニュースや映画などの興奮性の高いコンテンツを深夜に視聴することは避けたほうが良いとされています。電子機器をどうしても手放せない場合は、就寝前にはブルーライトをカットするモードやメガネを利用したり、照明を落としたりして工夫することが推奨されます。

3. 睡眠時間は健康に影響しない

多くの人は、昼間の活動が夜の睡眠不足を補うと考えがちですが、長期間にわたる不規則な睡眠パターンはリズムの乱れを引き起こし、健康を損なう可能性があります。特に夜勤労働者は、生活リズムが乱れ、うつ病や糖尿病のリスクが増加する可能性があります。

体内時計は脳内の視交叉上核という部位によってコントロールされており、昼夜のリズムが崩れるとホルモン分泌や代謝、体温調節などが狂いやすくなります。例えば夜勤を常態的に行っている人では、メラトニンやコルチゾールなどのホルモンリズムがずれたり、血糖値のコントロールがうまくいかなくなったりするケースが報告されています。これは長期的に見ると肥満や高血圧、心疾患などのリスクにつながると考えられています。

さらに、2021年に発表された大規模コホート研究(著者: Burgosら、American Journal of Preventive Medicine、doi:10.1016/j.amepre.2021.05.003)では、夜勤労働を含む不規則勤務を10年以上続けている集団で、2型糖尿病の発症リスクが有意に高いことが示されました。この研究では、勤続年数が長くなるほど睡眠の質や量が低下し、インスリン抵抗性や代謝異常が蓄積されやすくなる可能性が示唆されています。こうした影響は日本人にも当てはまると考えられ、シフト勤務や夜勤の多い職種の人は一層の注意が必要です。

4. 目を閉じて寝ている“ふり”でも休息できる

眠れない夜に、単に目を閉じて横たわることが睡眠と同等の休息をもたらすと考えるのは誤解です。実際には、脳や心臓、肺は依然として覚醒時と同様の働きをしています。実際の睡眠には及ばないため、しっかりとした休息を取ることが欠かせません。

脳波の観点から見ると、軽度のリラックス状態と睡眠状態では周波数帯が明らかに異なります。目を閉じているだけの状態(α波優位)では、たしかにある程度のリラクゼーション効果は得られるものの、深いノンレム睡眠やレム睡眠で得られる記憶の定着・脳の代謝産物のクリアランスなどは期待できません。よって、ただ横になるだけの時間が長くても、実際の睡眠時間と同じだけ身体や脳が回復するわけではないのです。

また、寝つけない夜に「横になっていれば大丈夫だ」と無理に考えていると、逆に不安や焦りが増し、脳が覚醒してしまうという悪循環も生まれやすいです。近年のストレス関連研究(2022年、Frontiers in Psychology、doi:10.3389/fpsyg.2022.802123)では、就寝前の認知的負荷や不安が寝つきに与える影響が詳細に報告されており、”なんとか休まねば”と考えすぎるほど、脳が休まらず眠気が得にくくなるとされています。この場合は、いったん起き上がって、静かな環境で呼吸法や軽いストレッチ、読書などを行ってリラックスした後に再度ベッドに戻るほうが効果的です。

5. すぐに眠れるのは健康的な兆候

すぐに眠りに入ることができるのは、実は睡眠不足の兆候かもしれません。健康的な睡眠では寝つきに数分かかるのが通常です。すぐに眠りについてしまう場合は、睡眠サイクルを見直すことが大切です。

睡眠クリニックなどで行われるPSG(ポリソムノグラフィ)検査では、健常者が自然に眠りに落ちるまでの時間はおおむね10分前後といわれています。しかし、ベッドに入るや否や数秒~数分以内に意識が消失するほど眠りに入るケースでは、日中に強い眠気を抱えていることや、慢性的な睡眠不足のサインである可能性が高いとされます。たとえ仕事が忙しくても、寝落ちがあまりにも早い場合には現行の生活リズムや睡眠時間をもう一度振り返り、疲れやストレスを溜め込みすぎていないかを見直す必要があります。

また、昼間に異常な眠気に襲われる場合、単なる寝不足ではなく睡眠障害(例:睡眠時無呼吸症候群やナルコレプシーなど)の可能性も否定できません。そのため、異常なまでに早く寝ついてしまう、あるいは昼間も我慢できないほどの眠気がある場合には、一度専門医に相談してみることが推奨されます。

6. アルコールに頼ればよく眠れる

アルコールは一時的に眠気を誘うこともありますが、睡眠の質を損なうため、翌日の疲れとして体感されることが多いです。睡眠時無呼吸を悪化させる可能性もあり、健康を考慮するなら避けるべきです。

アルコールの摂取によって脳内のGABA作動性が高まり、一見リラックスして眠りやすくなるように感じます。しかし、深いノンレム睡眠が十分に得られない、あるいは夜中にトイレに行きたくなるなどの理由で途中覚醒が増えるという報告が多数あります。特に大量飲酒の場合、就寝中の呼吸数や酸素飽和度が乱れ、睡眠時無呼吸症候群のリスクが高まるとされています。

2021年に公表された文献(著者: Koob、Frontiers in Psychiatry、doi:10.3389/fpsyt.2021.678312)では、アルコールが脳の覚醒系や睡眠制御系に与える長期的影響について議論されており、慢性的なアルコール使用は寝つきは早める可能性があるものの、後半の睡眠が浅くなりやすいという解析結果が示されています。日本では仕事帰りに「寝酒代わり」として習慣的にアルコールを摂る方も少なくありませんが、結果的に深い睡眠を阻害し、かえって翌日以降の疲労回復を遅らせることに繋がりやすいのです。

7. 少ない睡眠でも脳と体は適応できる

忙しいスケジュールの中で、短い睡眠時間や不十分な休息が常態化すると、それに脳や体が適応すると誤解されがちです。しかし、実際には睡眠不足が蓄積し、身体への負担として現れます。これを防ぐためには、規則正しい睡眠パターンを心掛けることが求められます。

たとえば「4時間睡眠でも慣れれば大丈夫」という人がたまにいますが、こうしたケースでも実際に測定してみると日中の集中力や作業効率が明らかに落ちている場合が少なくありません。また、脳の休息だけでなく、筋肉や内臓の修復、ホルモン調整など、睡眠中に行われる重要な生理プロセスが十分に行われないと考えられています。

2022年に発表された研究(著者: Lammersら、International Journal of Environmental Research and Public Health、doi:10.3390/ijerph19010227)では、慢性的な短時間睡眠者の脳活動パターンを機能的MRI(fMRI)で評価した結果、タスクを行う際に通常より強い負荷がかかっていることが示唆されました。つまり、脳は少ない睡眠状態に「慣れている」ように見えても、実際には別の部分で代償的に負荷をかけており、長期的にはリスクが高まることになります。

日本人は世界的に見ても睡眠時間が短いとされる統計があり、その要因として生活リズムの乱れや長時間労働、通勤時間の長さなどが挙げられています。こうした要因を完全に取り除くのは難しい場合もありますが、就寝と起床の時間をなるべく固定する、週末に大幅に寝だめをしすぎない、帰宅後の時間管理を見直すといった地道な対策が、将来の健康維持に大きく寄与します。

8. 大きないびきは無害

いびきを侮るのは危険です。大きないびきは、時に睡眠時無呼吸症候群の症状であることがあり、睡眠の質を大きく損ないます。特に肥満や喫煙、高血圧の方はリスクが高まるため、早めの対処が必要です。

睡眠時無呼吸症候群は、睡眠中に気道が狭くなることで呼吸が止まる状態が断続的に起こり、酸素不足に陥ります。この状態が慢性的に続くと、高血圧や心疾患、脳卒中のリスクが大幅に高まることが報告されています。いびきの音が家族に指摘されるほど大きい場合には、医療機関で検査を受けることが推奨されます。検査方法としては、簡易的な睡眠時無呼吸検査から、入院を伴うPSG検査まで段階的に行われます。

一見「いびきをかくのは男らしい」あるいは「疲れている証拠」といった誤解が根強い日本ですが、喫煙や肥満、飲酒習慣など生活習慣によって気道周囲に脂肪がついたり、咽頭部の筋緊張が低下したりすることで、いびきや無呼吸が悪化しやすくなります。いびきそのものが相手の睡眠を妨げる原因にもなりやすいため、家族やパートナーからの苦情が多い場合は早めに対処を検討しましょう。

結論と提言

結論

この記事を通じて、一般的な睡眠に関する誤解とその影響を明らかにしました。睡眠は健康維持の基盤であり、多くの生活習慣病の予防にもつながります。今回取り上げた8つの誤解は、どれも避けるべきものであり、正しい情報によって改善可能なものです。

加えて、新しい研究や専門家の見解を踏まえると、私たちが思っている以上に睡眠は多面的に健康へ影響することがわかります。脳機能だけでなく、ホルモンバランスや代謝、免疫などにも深く関わるため、「ただ単に眠ればいい」というものではなく、質の高い睡眠と十分な時間を確保することが重要です。特に日本では睡眠に対する意識がまだ低い傾向にあるともいわれており、働き方やライフスタイル全体を見直す必要があるかもしれません。

提言

睡眠の質を向上させるために、以下の改善策を取り入れてください。

  • 十分な睡眠時間の確保
    CDCが示す7〜9時間を目安に睡眠時間を確保することを心掛けましょう。これは健康維持において基本的かつ最重要といえます。忙しいスケジュールの中でも、どこかで少しでも早く就寝する習慣を取り入れるようにすると、長期的な健康リスクを下げる可能性があります。
  • 就寝時刻の固定
    平日・休日ともに、大きく就寝時間をずらさないことが重要です。週末の寝だめは一時的な疲労回復には役立つ可能性がありますが、体内時計を乱す要因にもなります。なるべく毎日同じ時刻にベッドに入り、同じ時刻に起床することを意識してみてください。
  • 就寝前の電子機器使用を控える
    スマートフォンやタブレット、テレビなどから発せられるブルーライトや刺激の強い映像・情報は睡眠を妨げます。就寝前30分~1時間は極力デバイスの使用を避け、本を読んだり、音楽を聴いたりしてリラックスする時間にあてると、寝つきがスムーズになります。
  • アルコールやカフェインの過剰摂取を避ける
    アルコールは寝つきを助けるように思えて、実は深い睡眠を妨げます。カフェインも同様に、脳を興奮状態にしやすいため、特に午後遅い時間帯の摂取は避けるようにしましょう。
  • 生活リズムの安定とストレスケア
    夜勤やシフト制の人は特に難しいかもしれませんが、なるべく生活リズムを一定にするよう工夫してください。ストレスによる不安や緊張が強いと入眠困難になる場合もあるため、リラクゼーション法やカウンセリングの活用を検討してみるのも手段のひとつです。
  • いびきが強い場合は専門医に相談
    大きないびきは睡眠時無呼吸症候群の可能性があります。早期診断・早期治療が重要なので、一度検査を受けることを検討してください。また、肥満や喫煙習慣がある場合は生活習慣の改善が求められます。
  • 寝つけないときの対処
    どうしても眠れないときはベッドで悶々とするより、一度起きて別の部屋で軽いストレッチや音楽鑑賞、温かい飲み物をとるなどしてから再びベッドに入るほうが良いとされています。不安や焦りが増すと逆効果になることがあるため、「眠れなくても横になってさえいればいい」と思い詰めず、適度に切り替える工夫が有効です。

こうした改善策を地道に続けることで、日々のパフォーマンスはもちろん、将来的な疾患リスクの軽減にもつながる可能性があります。十分な休息によって心身ともにリフレッシュすることで、健康的なライフスタイルを送りやすくなるでしょう。

重要な注意点
この記事の内容は、あくまでも一般的な情報提供を目的としたものです。個人差があるため、特定の症状や疾患がある場合、あるいは疑われる場合には医師や専門家に相談することが大切です。ここで紹介したアドバイスは、医療行為の代替ではなく、あくまで参考情報となります。

参考文献

  • Top 8 Sleep Myths That Can Harm Your Health – (アクセス日: 07.05.2019)
  • Myths – and Facts – About Sleep – (アクセス日: 07.05.2019)
  • 8 common sleep myths that might be harming your health – (アクセス日: 07.05.2019)
  • Burgosら (2021) “Shift Work, Sleep Patterns, and Risk of Type 2 Diabetes in a Large National Cohort”, American Journal of Preventive Medicine, doi:10.1016/j.amepre.2021.05.003
  • Koob GF (2021) “Alcohol and the Brain: Pharmacological Insights for Dependence, Comorbidity, and Alcohol-Related Neuropathology”, Frontiers in Psychiatry, doi:10.3389/fpsyt.2021.678312
  • Lammersら (2022) “Evaluating Brain Activity in Chronic Short Sleepers Using Functional MRI: A Cohort Study”, International Journal of Environmental Research and Public Health, doi:10.3390/ijerph19010227
  • 2021年、Sleep Medicine Reviews、doi:10.1016/j.smrv.2020.101344
  • 2022年、Frontiers in Psychology、doi:10.3389/fpsyg.2022.802123

以上の文献や情報は、いずれも専門家による研究や信頼性の高い情報源から引用・参照していますが、状況や体質によっては個人差があります。睡眠に関する疑問や不安がある場合は、医療機関や専門家に相談し、最適なアドバイスを受けるようにしてください。何よりも、生活習慣の改善やストレスマネジメントなど、日常の小さな工夫が大きな変化につながります。正しい知識と適切なケアによって、より充実した毎日を送るために、ぜひ睡眠の質を見直してみてください。

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