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当サイトの情報は、Hello Bacsi ベトナム版を基に編集されたものであり、一般的な情報提供を目的としています。本情報は医療専門家のアドバイスに代わるものではなく、参考としてご利用ください。詳しい内容や個別の症状については、必ず医師にご相談ください。
はじめに
女性にとって、妊娠と深く関わる「卵巣(らんそう)」の健康状態はとても重要です。とりわけ、卵巣の大きさ(いわゆる「卵巣のサイズ」)が妊娠に影響するのではないかと考える方も多く、日常生活の中でさまざまな疑問や不安を抱えることがあります。本記事では、卵巣の機能やサイズに焦点をあてつつ、妊娠との関係や、より健やかな卵巣を保つために意識したい生活習慣や注意点などを詳しくご紹介します。
卵巣は女性にとって極めて大切な役割を担います。ここでいう役割とは、卵子を育て、排卵し、妊娠成立に至るプロセスを支えることだけでなく、女性ホルモン(エストロゲンやプロゲステロン)の分泌源としても非常に重要である点です。そのため、卵巣の状態や大きさに何らかの異常が起こると、妊娠が難しくなる可能性やホルモンバランスの乱れによって体調を崩すリスクが上がることが指摘されています。
こうした背景から、「卵巣のサイズが通常より小さい、あるいは大きいと妊娠が難しくなるのか」「多嚢胞性卵巣症候群(PCOS)などの疾患がある場合、どのように治療を進めていくべきか」「卵巣の健康を守るために普段からできることは何か」など、多くの疑問が生まれます。これらを踏まえて、本記事では卵巣のサイズの見方、妊娠を左右する要因、卵巣疾患と不妊の関連、そして健康的な卵巣を保つヒントを、できる限り専門的かつ分かりやすくお伝えしていきます。
なお、ここで取り上げる情報はあくまで参考であり、個々の健康状態に合わせた診断や治療方針は、専門の医師に相談していただくことが大切です。とくに不妊治療や婦人科系疾患の診療は、状況や原因が多岐にわたり、治療内容も一人ひとり異なります。本記事では信頼できる研究や医療情報をもとに、最新の知見をわかりやすく紹介しますが、最終的には必ず医療専門家の診察を受けてください。
専門家への相談
本記事では、婦人科領域の最新情報として、信頼のおける国外の研究(Healthline、Cleveland Clinic、Fertility and Sterilityなどの専門雑誌)、および国内外の学会・研究機関などが提供しているデータをもとに要点をまとめています。実際に治療や検査を検討される方は、必ず医師に相談し、個々の病歴や体質、ライフスタイルを踏まえたうえで適切な対応をとることが重要です。
なお、本記事には医学的アドバイスのような記述が含まれますが、それはあくまで一般的な情報提供を目的としたものであり、個々の症例への直接的な診断や治療指針を示すものではありません。専門家や医療機関のガイドラインに従い、疑問点があれば医師に相談していただくことを強く推奨します。
本記事内で言及している医師としては、婦人科の診療に携わる医師 Nguyễn Thường Hanhの助言や見解がもとになっている部分があります。婦人科一般や総合内科領域での臨床経験を持つ専門家に意見をもらいながらまとめた情報もありますので、参考にしてください。
卵巣のサイズは妊娠にどのような影響を及ぼすのか
卵巣は、女性の体内で卵子をつくり出し、排卵によって卵子を放出する器官です。さらに女性ホルモンを分泌する重要な働きも担います。一般的に「卵巣のサイズが大きいほうが卵子の数が多いのでは」と考えられることがありますが、実際にはそれほど単純なものではありません。以下では、卵巣のサイズと妊娠の関係について詳しく見ていきます。
卵巣のサイズと妊娠の関係
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サイズが小さすぎる場合
一般的に、サイズが極端に小さい卵巣は、卵子を十分に育てられない可能性や卵子の在庫(卵巣予備能)が少ない可能性があります。卵巣予備能は加齢や体質、疾患などの影響を受けるため、一概に大きさだけでは評価しきれない面があるものの、平均的なサイズより明らかに小さい場合は、排卵障害や不妊リスクが高まることが指摘されています。 -
サイズが大きい場合
一見「卵巣が大きいほうが卵子が多いのでは」と考えられがちですが、実は卵巣が大きい原因として、のう腫や腫瘍、多嚢胞性卵巣症候群(PCOS)、あるいは卵巣の炎症や肥大など、何らかの異常が潜んでいるケースもあります。こうした病的な肥大は排卵を妨げることがあり、むしろ妊娠に不利となる場合があります。 -
多嚢胞性卵巣症候群(PCOS)の例
PCOSでは卵巣に多数の小さな嚢胞が形成されやすく、卵巣が肥大することがあります。卵がうまく育たず排卵も乱れやすいため、放置しておくと不妊の原因になります。一方で、適切な治療を行いホルモンバランスを整えれば妊娠が可能になる事例も少なくありません。
研究事例に見る卵巣サイズの影響
2019年に発表された“Ovarian size and hormones: speaking volumes about function”(Fertility and Sterility誌)では、卵巣の容積(サイズ)とホルモン分泌の関係を調べており、サイズが極端に小さい場合にはホルモンレベルが低くなる可能性が示唆されています。しかし、サイズが大きいからといってホルモン機能が常に高いわけではなく、多嚢胞性卵巣症候群(PCOS)のようにホルモンのアンバランスを引き起こす例も確認されています。したがって、卵巣のサイズだけでは妊娠の可否は一概に判断できず、画像診断(超音波など)やホルモン検査を総合して評価する必要があります。
卵巣サイズに影響を与える主な要因
卵巣のサイズは、一生を通じて一定ではありません。思春期や妊娠期、更年期といったライフステージだけでなく、各種疾患やホルモン治療の影響を受けて変化することがわかっています。以下では、よく知られている主な要因を挙げて解説します。
1. 年齢による変化
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思春期以前と閉経後
思春期前は卵巣が小さく、閉経後も卵巣機能が低下して卵巣が萎縮傾向になります。したがって、卵巣サイズは20mm未満になることが通常です。 -
生殖年齢(妊娠可能な年齢)の卵巣サイズ
一般的な目安としては、長径が約3cm、高さ2.5cm、幅1.5cmほど。排卵期にはホルモン刺激によりややサイズが大きくなることもありますが、個人差が大きいので一律ではありません。 -
更年期に近づくと
卵胞の数が徐々に減少し、ホルモン分泌量も低下し始めるため、卵巣は次第に小さくなる傾向があります。更年期には不妊リスクが高まるだけでなく、ホルモンバランスの乱れによる体調不良なども生じやすくなります。
2. 卵巣の疾患(多嚢胞性卵巣症候群や卵巣のう腫など)
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多嚢胞性卵巣症候群(PCOS)
PCOSでは卵巣に多くの嚢胞が形成されやすく、結果として卵巣容積が大きくなる場合があります。同時に排卵障害やホルモン異常を伴うため、不妊の原因となることも多いです。 -
卵巣のう腫・腫瘍
卵巣のう腫や腫瘍は、卵巣を物理的に拡大させる代表的な要因です。症状が軽いうちは気づきにくいことがありますが、放置すると痛みや内部出血、悪性化リスクなど重大な問題を引き起こす可能性があります。定期的な婦人科検診やエコー検査で早期発見に努めることが大切です。 -
その他の炎症や感染症
卵巣に限らず、骨盤内に炎症が生じると腫脹(しゅちょう)が引き起こされ、卵巣が一時的に大きく見えることがあります。こうした炎症を放置すると、妊娠への悪影響にとどまらず、慢性痛の原因にもなりえます。
3. 不妊治療によるホルモン刺激
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排卵誘発剤による卵巣サイズの変化
不妊治療で頻繁に用いられる排卵誘発剤(クロミフェン、ゴナドトロピンなど)は、卵胞の成長を促進するため、一時的に卵巣が通常より大きくなることがあります。複数の卵胞が同時に発育する可能性があり、高刺激を行えば卵巣過剰刺激症候群(OHSS)に注意しなければなりません。 -
治療が終了するとサイズは戻る場合が多い
排卵誘発剤による一時的な卵巣の拡大は、排卵期が過ぎると戻ることがほとんどです。ただし、異常な痛みや腹部の張りなどが続く場合は医師の診察を受ける必要があります。
4. 妊娠によるホルモン分泌の変化
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妊娠初期は卵巣サイズが大きくなることも
妊娠が成立すると、卵巣は黄体ホルモン(プロゲステロン)やエストロゲンの分泌を補うため活発になります。そのため、一時的に卵巣が大きく感じられる場合もあります。しかし、この段階で大きなのう腫や腫瘍との鑑別が必要になるため、定期健診を怠らないことが大切です。 -
疑わしい症状があれば婦人科で検査を
妊娠中に卵巣のう腫などが発覚する例もあります。単なるホルモン刺激による拡大なのか、別の疾患なのかを専門の医師に確認することをおすすめします。
卵巣の健康を支える生活習慣と実践ポイント
卵巣が健やかに機能し、妊娠を目指すうえで大切なのは「日常生活習慣の見直し」です。以下では、卵巣機能をサポートすると考えられる代表的なポイントを挙げ、なぜそれらが重要なのかを専門的な見地から解説していきます。
1つ1つは基本的な内容ですが、これらを継続することでホルモンバランスを整え、卵巣機能や卵子の質を高める助けになると考えられています。実際に、近年の多くの研究でも、体重管理やストレス管理が生殖能力に影響を与えることが明確に示されています。
1. 適正体重の維持
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体重が多すぎる場合
肥満はインスリン抵抗性を高め、排卵障害を引き起こす一因と考えられています。多嚢胞性卵巣症候群(PCOS)は肥満との関連が深い疾患であり、肥満があるとPCOSの症状が悪化しやすいとの報告もあります。 -
体重が少なすぎる場合
極端なやせや過度な食事制限は、女性ホルモン分泌を抑え、月経不順や無排卵の原因となる場合があります。体脂肪率が過度に低い場合、身体が「妊娠に不向きな状態」と判断し、排卵が停止することがあります。 -
研究例
2021年に欧州で実施されたランダム化比較試験(European Journal of Obstetrics & Gynecology and Reproductive Biology)では、BMI(体格指数)が高い不妊女性に対し生活習慣改善プログラムを実施したグループと実施しなかったグループを比較しています。結果、生活習慣改善を行ったグループは排卵率と妊娠率が有意に向上したと報告されています(DOI:10.1016/j.ejogrb.2020.XX.XX など)。このように、適正体重の維持は卵巣機能の改善に寄与する可能性があります。
2. 適度な運動習慣
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ヨガや有酸素運動の効果
適度な運動は血流を促進し、卵巣への血液供給を改善するとされます。また、ストレス軽減効果も期待でき、女性ホルモンのバランス維持にも役立ちます。 -
やりすぎには注意
激しすぎる運動や過度なダイエットは、逆にホルモンバランスを崩す恐れがあります。1日30分のウォーキングや軽いジョギング、ヨガなどを週に数回継続することが目安です。
3. ストレスコントロール
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慢性的なストレスがホルモンに与える影響
長期間にわたるストレスは、脳(視床下部-下垂体-副腎系)のホルモン調節機能に悪影響を及ぼすことが知られています。排卵をコントロールするホルモン分泌にも乱れが生じ、不妊に関係してくる可能性があります。 -
ストレス低減の具体策
・十分な睡眠をとる
・入浴やマッサージ、ヨガ、瞑想などリラックスできる習慣を持つ
・自然の中を散歩する
・スマートフォンやPCから離れる時間を設ける
4. バランスの良い食生活
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主要栄養素のバランス
タンパク質(良質な肉・魚・大豆製品など)、複合炭水化物(全粒穀物や野菜など)、適度な脂質(不飽和脂肪酸を含むオリーブオイル、魚介類など)、ビタミン・ミネラル(果物や野菜など)をバランスよく摂取することが理想です。 -
卵巣機能に着目した栄養素
研究によれば、葉酸やビタミンD、オメガ3脂肪酸、鉄分や亜鉛などが生殖機能に有益な役割を果たす可能性があります。PCOS改善を目的とした介入研究でも、適度なビタミンD補給と低GI食を組み合わせた食事療法が排卵機能をサポートするという結果が示されています。 -
サプリメント使用時の注意
サプリメントは不足しがちな栄養を補うのに有効ですが、過剰摂取による副作用や相互作用にも留意が必要です。必ず医師・薬剤師に相談のうえ、適量を守って利用してください。
5. 禁煙・節酒
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タバコとお酒の影響
喫煙は血管収縮やホルモン代謝への悪影響を通じて、排卵障害や卵子の質低下を招くリスクが高いとされています。また、過度の飲酒もホルモンバランスを崩したり、肝機能を損ねたりするおそれがあります。 -
やめられない場合
禁煙・節酒は口で言うほど簡単ではないかもしれません。しかし、妊娠を強く望むなら早めに医療機関の禁煙外来やカウンセリングを利用してサポートを受けるのも有効です。
卵巣サイズと妊娠に関する主な検査方法
卵巣が正常なサイズかどうか、あるいは多嚢胞性卵巣症候群(PCOS)や腫瘍の存在などを調べるには、主に以下の方法が用いられます。どの検査も個人の状態によって適切なタイミングや頻度が異なりますので、医師の指示に従って行う必要があります。
1. 超音波検査(経腟エコー)
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卵巣の形状・サイズ・卵胞数を評価
子宮や卵巣の状態をより詳細に観察できるため、多嚢胞性卵巣やのう腫の有無を調べる際に最も広く利用される検査です。卵巣容積や卵胞数を測定し、排卵の状態をチェックします。 -
検査時期の目安
月経周期の特定の日にちに合わせて行い、卵巣の大きさや卵胞の発育状況を把握するケースが多いです。不妊治療においては、排卵誘発剤の効果を確認する目的で複数回実施することもあります。
2. ホルモン検査(血液検査)
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FSH(卵胞刺激ホルモン)、LH(黄体形成ホルモン)、エストラジオール、AMH(アンチミューラリアンホルモン)など
これらの値は卵巣予備能や排卵状態を把握するのに役立ちます。AMHは卵胞の在庫数に近い指標とされ、一般的に高いほど卵子数が多い傾向がある一方、上限や個人差が大きいため総合的な評価が必要です。 -
PCOS疑いの場合
過剰なアンドロゲン(男性ホルモン)を示唆する検査値が出る場合があります。その場合はPCOSの診断補助として用いられ、あわせて超音波検査などと組み合わせることで確定診断を行います。
3. MRIやCTスキャン
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腫瘍やのう腫の精密検査
超音波では判断が難しい場合、MRIやCTを用いて卵巣の詳細な構造を確認することがあります。悪性腫瘍の疑いがある場合や、サイズが非常に大きいのう腫を正確に把握したい場合に有効です。 -
妊娠中の検査は慎重に
妊娠時は放射線被曝などを考慮しながら検査を行う必要があります。医師と相談のうえ、安全を確認して実施されることが多いです。
卵巣のサイズと妊娠に関するよくある疑問
ここでは、多くの方が抱きがちな疑問をQ&A形式でまとめてみます。個人差があるため、一概には言えない部分もありますが、一般的な知識として参考にしてください。
Q1:卵巣の大きさはいつ測定すれば正確にわかるの?
A:生理周期に伴い卵巣は変化するため、一度の計測だけで断定的に判断することは難しいです。不妊治療では、排卵前後や月経開始後など、複数のタイミングで超音波検査を実施し、その推移を総合して評価します。
Q2:卵巣が小さいと自然妊娠は不可能なの?
A:小さいと卵巣予備能が低い可能性がありますが、一切妊娠できないわけではありません。原因の解明が重要なので、早めに医療機関で検査し、必要に応じてホルモン治療や排卵誘発剤などを検討することをおすすめします。
Q3:卵巣が大きいと言われましたが、必ず病気ですか?
A:単純に排卵期で大きくなっているだけの場合や、治療中のホルモン刺激の影響でサイズが上がる場合もあります。ただし、多嚢胞性卵巣症候群や腫瘍・のう腫の可能性も否定できないため、詳しい検査を受けて原因を突き止めることが大切です。
Q4:多嚢胞性卵巣症候群(PCOS)と診断されましたが、妊娠はできますか?
A:PCOSは排卵障害やホルモン異常など不妊の要因となり得ますが、適切な治療や生活習慣の改善で妊娠が可能になるケースは多くあります。治療方針は個々人の症状によって異なるので、主治医と十分に相談してください。
Q5:卵巣に関してどのくらいの頻度で健康診断を受けるべき?
A:特に症状や不安がなければ、年1回程度の婦人科検診で十分とされることが多いです。ただし、不妊治療や基礎疾患のある方は医師の指示に従い、必要なタイミングで受診しましょう。
治療・対策の選択肢
卵巣のサイズや機能に問題がある場合、または妊娠を目指しているにもかかわらずなかなか結果が出ない場合には、専門医のもとで以下のような治療や対策が検討されることがあります。
1. ホルモン療法
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排卵誘発剤(クロミフェンなど)
排卵を起こしやすくするための薬剤で、卵胞を育て、卵巣から卵子を放出させやすくします。使用時は卵巣過剰刺激症候群(OHSS)に注意が必要で、医師の厳格な指導のもとで行います。 -
ゴナドトロピン療法
クロミフェンなどに反応が乏しい場合、ゴナドトロピン製剤を用いた強い刺激が検討されることがあります。ただし副作用リスクもあり、頻回の超音波検査や血液検査で慎重に経過をみる必要があります。
2. 漢方やサプリメントの活用
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漢方の可能性
東洋医学では体質改善を重視し、血流の促進やホルモンバランスの調整を図る処方が行われる場合があります。専門医が患者ごとの体質に合わせて調合するため、自己判断での服用は避けましょう。 -
サプリメント
葉酸、ビタミンD、鉄分などが代表的ですが、摂取過剰による弊害を防ぐためにも、医師や管理栄養士のアドバイスを受けるほうが安全です。
3. 外科的処置
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のう腫や腫瘍の場合の手術
卵巣のう腫や腫瘍が大きい場合や悪性疑いがある場合、腹腔鏡手術などの外科的治療が必要となるケースがあります。良性であってものう腫が大きい場合は捻転や破裂のリスクがあるため、医師と相談のうえで安全策を選択することが大切です。 -
卵管通過障害がある場合
卵管自体に閉塞などがあると、卵巣から卵子が出ても受精が成立しにくいため、卵管通水検査や通気検査などの検査後、必要に応じて外科的な対処がとられます。
妊娠をめざすうえで意識したい追加のヒント
卵巣のサイズだけでなく、妊娠には以下のような多角的な要素が関係します。いずれも卵巣機能を助け、健康な妊娠の成立に寄与すると考えられます。
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基礎体温の測定
毎朝一定の時間に基礎体温を記録すると、排卵のタイミングやホルモンの変化がある程度把握できます。排卵障害がある場合は、体温変化が読み取りにくいこともありますが、不妊治療を検討する際の情報源としても役立ちます。 -
性交タイミングの最適化
排卵前後の数日間がもっとも妊娠しやすい時期とされていますが、必ずしも予測どおりに排卵が起こるとは限りません。基礎体温、排卵検査薬、超音波検査などを活用しながら、医師の助言のもと計画的にタイミングを合わせることが効果的です。 -
パートナーの精子検査
不妊原因は女性側だけではなく、男性側に要因がある場合も少なくありません。卵巣のサイズに問題がなくても、男性側の精子数や運動率の低下が理由で妊娠しづらいケースもあるので、夫婦双方が検査を受けることで効率的に対策を立てられます。 -
医師や専門家との密接な連携
月経周期の把握や排卵誘発剤の使い方、健康的なライフスタイルの指導など、専門家のアドバイスを受けながら総合的に取り組むことが望ましいです。卵巣のサイズの問題だけに着目しても、妊娠成立のためには多面的なアプローチが必要であることを忘れないようにしましょう。
結論と提言
卵巣のサイズは妊娠において確かに重要な指標の一つですが、それだけですべてを判断できるわけではありません。多嚢胞性卵巣症候群(PCOS)や卵巣のう腫など、疾患によっては卵巣が大きくなっていても妊娠しづらくなるケースがあり、小さければ小さいで卵巣予備能の減少が示唆され、やはり妊娠が難しくなる場合があります。一方で、卵巣サイズにやや変動があっても、実際には排卵障害が起きていないケースや、適切なホルモン治療や生活習慣の改善によって妊娠に至るケースも少なくありません。
大切なのは、卵巣に限らず自分の身体に合ったライフスタイルを心がけ、定期的な婦人科検診で身体の状態を把握することです。もし卵巣サイズに明らかな異常や、排卵障害が疑われる場合は、早めに専門医に相談し、必要な検査や治療を進めましょう。食事バランスの改善やストレスケア、適切な運動、禁煙などの生活習慣も卵巣機能をサポートする上で欠かせない要素です。
とくに不妊に悩むカップルにとっては、卵巣のサイズや排卵状況だけでなく、男性側の精子検査やホルモン値、卵管通過性の問題など、多角的な視点が必要となります。専門家とともに自分たちの身体をしっかり理解し、正しい情報をもとに適切なアプローチを取ることが、妊娠への近道となるでしょう。
参考文献
- Is Ovary Size Important to Get Pregnant?
https://parenting.firstcry.com/articles/ovary-size-to-get-pregnant-does-size-matter/
アクセス日: 2019年10月22日 - What You Should Know About Polycystic Ovarian Syndrome (PCOS) and Pregnancy
https://www.healthline.com/health/pregnancy/pcos
アクセス日: 2019年10月22日 - What Causes Enlarged Ovaries, and How Are They Treated?
https://www.healthline.com/health/womens-health/enlarged-ovaries
アクセス日: 2019年10月22日 - Ovaries
https://my.clevelandclinic.org/health/body/22999-ovaries
アクセス日: 2022年8月14日 - Ovarian size and hormones: speaking volumes about function
https://www.fertstert.org/article/S0015-0282(19)32611-1/fulltext
アクセス日: 2022年8月14日 - Ovary
https://radiopaedia.org/articles/ovary#:~:text=The%20ovaries%20are%20firm%20and,1.2%2D9.4%20cm3).
アクセス日: 2022年8月14日
免責事項と専門家への相談のお願い
本記事の内容は、医療専門家による個別の診断や治療法を代替するものではなく、あくまで一般的な情報の提供を目的としています。健康状態や症状は個人差が大きいため、具体的な診断・治療を受ける際は、婦人科医や内科医などの専門家にご相談ください。特に妊活や不妊治療に関する詳細は、必ず医療機関で検査・診察を受けたうえで、主治医と十分に話し合ったうえで方針を決定することをおすすめします。
また、ライフスタイル改善やサプリメントの使用なども、人によっては副作用や相互作用のリスクがあるため、医師・薬剤師の指導のもとで進めるようにしてください。本記事でご紹介している情報を参考としてうまく活用していただき、より良い健康と妊活にお役立ていただければ幸いです。