双極性障害とは何か?診断に役立つ2つの代表的テスト
精神・心理疾患

双極性障害とは何か?診断に役立つ2つの代表的テスト

はじめに

こんにちは、JHO編集部です。今回は、双極性障害に関する非常に興味深いテーマについてお話しします。双極性障害は、感情や気分に大きな影響を及ぼし、時には自殺のリスクをも高める可能性があるため、社会的に重要な課題とされています。しかし、その具体的な症状の識別や診断に至るまでのプロセスについては、まだ多くの人々が深く理解していないのが現状です。本記事では、双極性障害とは何か、その診断に役立つテストについて詳しくご紹介します。特に、GoldbergテストTABSテストという二つの自己評価ツールについて深掘りしていきますので、ぜひ参考にしてみてください。

免責事項

当サイトの情報は、Hello Bacsi ベトナム版を基に編集されたものであり、一般的な情報提供を目的としています。本情報は医療専門家のアドバイスに代わるものではなく、参考としてご利用ください。詳しい内容や個別の症状については、必ず医師にご相談ください。

双極性障害とは?

**双極性障害(Bipolar disorder)**とは、感情が大きく変動することで知られる精神的な疾患です。この変動の範囲は非常に極端であり、主に「躁状態」や「軽躁状態」と「うつ状態」を行き来することが特徴です。躁状態では、エネルギーが急激に高まり、活動的になるのに対して、うつ状態では感情が落ち込み、無気力感が強くなります。

躁状態にある人は、非常に幸せに感じたり、過剰な自信を持ったり、急速に物事に取り組むことがあります。このため、周囲の人々には一見ポジティブに見えることもありますが、行動が過激になりすぎることが多く、仕事や人間関係に問題が生じることも少なくありません。一方、うつ状態では、強い悲しみや無気力、過度の疲労感を感じ、普段楽しんでいた活動への興味が失われることがよくあります。このような状態では、何をするにもエネルギーがなく、日常生活が大きく妨げられることがあります。

この二つの状態間の移行は急激に起こることもあれば、ゆっくりとした変化を経ることもありますが、いずれの場合も日常生活や人間関係に深刻な影響を及ぼす可能性があります。また、これらの状態の変動を理解し、コントロールすることは容易ではなく、専門的なサポートが必要です。

双極性障害テストの目的

双極性障害の診断にはいくつかの重要な目的があります。その主な目的について、以下で詳しく見ていきましょう。

識別と診断の補助

双極性障害テストは、現在または過去における躁状態またはうつ状態の症状があるかどうかを確認するために使用されます。このテストにより、診断に必要な情報を提供し、患者が双極性障害の診断基準に該当するかどうかを判断するための重要な補助的役割を果たします。

たとえば、突然興奮しすぎて、周囲の反応を気にせずに行動してしまうといった躁状態の特徴的な行動や、深刻な絶望感に苛まれ、通常の活動が困難になるようなうつ状態のエピソードを持つ場合、これを正確に識別することが診断の鍵となります。この識別が適切に行われることで、治療の方向性を決めることができます。

病状の評価と管理

テストを用いることで、現在の病期の重症度を特定し、それが生活にどのような影響を与えているかを評価することができます。また、治療の効果を評価し、必要に応じて治療プランを調整するための指針ともなります。

たとえば、躁状態が強く現れている場合には、通常の活動や社会生活に戻るためにはどのような治療が有効かを判断する必要があります。また、うつ状態が続いている場合は、その状態がどのように生活の質を下げているかを理解し、それに基づいて適切なサポートや薬物治療が行われるべきです。

双極性障害はその性質上、定期的な評価と管理が必要な疾患です。テストを受けることで、自分自身の状態をより深く理解し、治療計画を適切に続けるためのサポートを得ることができます。症状の理解を深めることで、日常生活での問題にどう対処するか、どうやって周囲の人たちと良好な関係を保つかについても具体的なアドバイスを受けることができます。

双極性障害テストはいつ行うべきか?

双極性障害のテストを行うべきタイミングについても理解しておくことが重要です。以下のような症状が見られる場合には、双極性障害のテストを行うことを強く推奨します。

躁状態または軽躁状態の症状がある場合

  • 活力に満ち、異常に興奮している状態が少なくとも4日以上続く場合。
  • 急速に多くの計画や考えが浮かんでくる場合。
  • 普段以上に弁舌が巧みになる、あるいは制御が効かない活動的な衝動がある場合。

具体例としては、「突然夜通し部屋の掃除を始めて、その後仕事に行っても全く疲れを感じない」といった状態です。普段の自分とは違いすぎる行動に自分でも気づくが、止められないことがよくあります。

うつ症状がある場合

  • 長期にわたって無気力感、不快感を感じる場合。
  • 自己評価の低下を経験することがある場合。
  • 集中力が欠けたり、絶望感を感じたり、時には自殺念慮が兆しとして見える場合。

例えば、「普段好きだった趣味にも全く興味が湧かず、ベッドから起き上がることすら難しい」といった経験があるなら、それはテストを受けるべき時期かもしれません。このような状態は、ただの疲労とは異なり、深刻な精神的負担を伴います。

両方の症状が交互に現れる場合

  • 躁状態とうつ状態が交互に現れ、日常生活に著しい影響を与えている場合。

こうした急激な感情の変動は、仕事や対人関係などに悪影響を及ぼすため、早期の評価が必要です。たとえば、ある日には非常に前向きであらゆることに積極的に取り組むものの、次の日には急に何もかもが無意味に感じ、動くことすら困難になる、といった症状です。このような状態の変動は、周囲から見ると非常に理解しにくいこともあり、当事者も苦しむことが多いです。

専門家への相談

双極性障害に関して、診断や治療のためには専門家の相談を受けることが不可欠です。例えば、Bipolar Lifeや**Psychiatry Associates, P.C.**といった信頼性の高い情報源のリソースを利用することも有用です。医療機関や精神科の専門家による診断を受けることで、正確な状態把握と適切な治療を受けることができます。

専門家に相談する際には、自分の経験した症状について詳細に説明することが重要です。例えば、「突然のエネルギーの高まりとその後の急な落ち込み」といった具体的なエピソードを話すことで、医師はより的確にあなたの状態を理解し、診断に役立てることができます。また、家族や友人の意見も有用です。彼らがあなたの行動の変化に気づいている場合、それを伝えることが診断の助けとなります。

テスト1 – Goldberg双極性障害テスト

Goldberg Bipolar Spectrum Screening Quizは、心理学者Ivan K. Goldbergによって開発された自己評価ツールです。このテストは、18歳以上の成人で過去に少なくとも一度うつ状態を経験したことがある人を対象に、双極性障害の兆候や症状を評価するために設けられた12の質問で構成されています。

評価の方法

テストの質問に対する回答は、以下のようなポイントで評価されます。

  • 不定:0ポイント
  • 少し:1ポイント
  • 時々:2ポイント
  • 適度に:3ポイント
  • かなり:4ポイント
  • 非常に多く:5ポイント

この評価方法は、自分の感情や行動の程度を客観的に捉えるために重要です。例えば、「普段と違う感情の高まりが突然現れることがある」と感じた場合、その頻度や強さに応じてポイントを付けることで、現在の状態をより正確に知ることができます。

クイズの内容

クイズの中には、「突然、非常に多く話し始めることがありますか?」や「普段よりも活動的な時期がありますか?」といった質問が含まれます。このような質問に答えることで、現在の症状の有無とその重症度を測定することができます。

例えば、「普段は内向的であるのに、急に人前で大量に話し始めた」というような場合、これは躁状態の兆候である可能性があります。このような質問に対して正直に回答することが、自己理解と適切な診断につながります。

テスト結果の評価

  • 0–15点:単極性うつの可能性があります。
  • 16–24点:主なうつ障害または双極性障害の可能性があります。
  • 25点以上:双極性障害の可能性が高いです。

このスクリーニングはあくまでも初期評価のためのものであり、最終的な診断には精神科医の相談が必要です。テスト結果をもとに医師と話し合い、治療の計画を立てることが重要です。

テスト2 – TABSテスト (三軸双極性スペクトルスクリーニングクイズ)

TABSテストは、尼崎精神保健研究所のGreg Mulhauser医師によって開発され、19の質問からなるテストです。このテストは、双極性障害の特定に役立つ以下の三つの症状に着目しています。

  • 躁状態の症状
  • うつ状態の症状
  • 両状態の混合症状

評価基準

  • ほとんどない:0点
  • 時折少し:1点
  • 中程度:2点
  • 頻繁:3点

各質問に対して、上記の基準に従って回答することで、症状の頻度や重症度を評価します。例えば、「突然気分が高揚し、何時間も休まずに活動を続けることがあるか?」という質問に対し、過去数か月間で何度も経験した場合は「頻繁」と回答し、3点を付けます。

テスト結果の評価

テストの最後には、17–19番の質問は評価から除外されます。総得点が高いほど、双極性障害の可能性が高いことを示唆しています。ただし、これはあくまでも自己評価であり、正式な診断を下すものではないことに注意が必要です。

注意点

TABSテストはあくまでも初期のスクリーニングツールであり、双極性障害の診断を代替するものではありません。正式な診断には、精神科医の診察を受けることが不可欠です。

このテストの結果を参考にして、自分の状態を見極めることは重要ですが、自己判断のみで決定を下すことは避けるべきです。専門家に相談し、正確な診断を受けることが最も安全で確実な方法です。

テストの結果後に何をすべきか?

テストの結果、双極性障害の可能性が高いと示唆された場合は、速やかに専門家の指導を仰ぐことが重要です。以下ではその後にできることを具体的に説明します。

病状についての理解を深める

双極性障害について深く理解することは、自身の症状を正しく認識し、適切な対応をするための第一歩です。知識を深めることで、周囲からのサポートを得やすくし、症状に対処する力を身に付けることができます。

例えば、症状が現れたときにどのように対処するかを学ぶことが重要です。躁状態の場合は、自分を落ち着かせる方法として呼吸法や瞑想を実践することが効果的です。一方、うつ状態の場合には、無理に何かをしようとせず、ゆっくりとリラックスできる環境を作ることが推奨されます。

支援とサポートを求める

家族や友人、信頼できる人からのサポートを受けることは、精神的な健康を維持する上で非常に重要です。また、地域の支援グループなどに参加することも効果的です。他者とのつながりを持つことで、孤立感を軽減し、精神的な安定を図ることができます。

具体的な例として、支援グループに参加することで、同じような経験を持つ人たちと交流し、自分の経験を共有することで孤独感が和らぎます。また、家族には自身の症状を理解してもらい、必要な時にはサポートしてもらえるように協力をお願いすることが大切です。

専門家の相談を受ける

精神科医や心理療法士に相談することは、適切な診断と治療のために不可欠です。診断に基づいて、治療プランが策定され、それに従うことで病状の悪化を防ぎ、回復を目指すことができます。

例えば、カウンセリングを通して自分の感情のパターンを理解し、ストレスの対処法を学ぶことができます。また、適切な薬物治療により症状をコントロールしやすくなります。これにより、日常生活の質が向上し、生活の中での充実感が得られるようになります。

治療計画に従う

治療には多くの場合、医薬品の服用や心理カウンセリングが含まれます。医師の指導を受けて、適切に治療計画を守ることが症状の管理に繋がります。服薬治療やカウンセリングを通じて、症状の緩和や生活の質の向上を図ることができます。

治療計画を守るには、自分が服用している薬の効果や副作用を正しく理解し、疑問があればすぐに医師に相談することが重要です。また、カウンセリングの内容を実生活に応用し、日々のストレスの軽減に努めることも大切です。

ライフスタイルの改善

ストレスを軽減し、健康的なライフスタイルを維持することは、精神的な健康の維持に大きく寄与します。定期的な運動、バランスの取れた食事、十分な睡眠を心掛けることで、精神的な安定を促進することが可能です。

具体的には、ウォーキングやヨガといった軽い運動を取り入れることが推奨されます。また、オメガ3脂肪酸を含む魚類や新鮮な野菜を積極的に摂取し、体内の栄養バランスを整えることも、精神的な安定に寄与します。睡眠に関しては、毎日同じ時間に寝起きすることで、体内時計を整え、より質の高い睡眠を得ることができます。

結論と提言

結論として、双極性障害の可能性を早期に評価し、その結果に基づいて適切な専門家のサポートを受けることが重要です。健康的なライフスタイルを実践し、精神的な安定を保つためには、周囲のサポートを得て、専門的な医療機関と連携を取ることが不可欠です。自分自身の健康を守るために、正しい知識を持ち、行動することが求められます。

また、家族や友人の支援を受けながら、自分の症状を理解し、適切な治療を続けることで、生活の質を向上させることができます。双極性障害は治療可能な病気であり、適切なサポートと治療を受けることで、より良い生活を送ることができるのです。

参考文献