はじめに
「JHO」の利用者の皆さま、こんにちは。秋から冬にかけて特に気になる症状の一つに、風邪やインフルエンザなどでよくみられる咳があります。「咳が続くと食事はどうしたらいいのか?」と悩む方は多いかもしれません。中でも、魚介類、特にエビのような食品を摂取した場合に咳がどう変化するのかという点について、民間療法や昔からの言い伝えでは「エビをはじめとした生臭いものを食べると咳がひどくなる」と言われることもあります。しかしそれは本当なのでしょうか。本稿では、専門家の意見や最新の知見を踏まえながら、エビを含む食事が咳に与える影響について詳しく解説していきます。皆さまの疑問や不安を少しでも解消できれば幸いです。
免責事項
当サイトの情報は、Hello Bacsi ベトナム版を基に編集されたものであり、一般的な情報提供を目的としています。本情報は医療専門家のアドバイスに代わるものではなく、参考としてご利用ください。詳しい内容や個別の症状については、必ず医師にご相談ください。
専門家への相談
本記事では、エビが咳に与える影響について検討し、そのうえで咳が続く時の食事選択をどのように考えればよいかを提示します。ここでは、Bác sĩ Nguyễn Thường Hanh(Nội khoa – Nội tổng quát · Bệnh Viện Đa Khoa Tỉnh Bắc Ninh)の見解を参考にしています。なお、本記事の情報はあくまでも参考情報であり、個々の症状には差がありますので、必要に応じて医療機関や専門家に相談することをおすすめします。
エビを食べても大丈夫なのか?
咳は、体内に侵入した異物を排除したり、呼吸器が炎症を起こした際の刺激反応として起こったりする自然な防御機能です。一般的な風邪やインフルエンザをはじめ、さまざまな呼吸器感染症で頻繁に見られます。では、咳をしている最中にエビを食べると悪化するかというと、必ずしもそうではありません。
エビには、体力が落ちた際に補給したいタンパク質やカルシウムなどの栄養素が豊富に含まれています。これらは免疫や筋力の維持に役立つため、エビを食べること自体が咳の直接的な原因になるというエビデンスはありません。一方で、エビの殻や足の部分などが喉に引っかかり、機械的刺激を引き起こして咳を誘発する可能性は否定できません。また、エビアレルギーのある方は、アレルゲン反応によって咳が悪化する場合があります。そのため、「エビを食べてはいけない」というより、エビを食べる際に調理法やアレルギーの有無など個々の状況に応じた注意が必要になるのです。
さらに近年、呼吸器症状と食品アレルギーの関連については多くの研究が行われており、その一部では甲殻類(エビやカニ)アレルギーが強い咳の原因になるケースが報告されています。たとえば、2020年に発表されたアジア太平洋地域の食物アレルギーに関する研究では(Thalayasingam, Lee, 2020, Asia Pacific Allergy, doi:10.5415/apallergy.2020.10.e22)、甲殻類を摂取したあとに咳や息苦しさなどの呼吸器症状を訴える患者の割合が一定数存在することが示されています。ただし、これらはあくまでアレルギーを持つ人に顕著な傾向であり、アレルギーがない方であれば過度に恐れる必要はないと考えられています。
咳が出る人のためのエビの食べ方
咳の症状がある時でも、エビを正しく調理すれば比較的安全に楽しむことができます。ポイントとしては、まずエビの頭や殻など、硬い部分を完全に取り除いて喉への刺激を少なくすることが大切です。殻付きの小さなエビや、殻を剥きづらいエビは避けたほうが無難でしょう。
さらに、やわらかく調理して消化しやすい形で摂取するのがおすすめです。具体的には、
- エビ入りのお粥
- スープや味噌汁
- やわらかい麺類(そうめんや柔らかく煮たうどん)
- お米の餅や団子の中に刻んだエビを混ぜる
といった料理法があります。これらはエビの栄養を取り入れつつも喉への刺激を最小限に抑えられるため、咳が続いているときにも比較的食べやすいでしょう。
咳をしているときに避けるべき食品
食事は免疫力や体力の維持に大きく影響し、病気の回復を促進する要素として重要視されています。咳が続く状況では、「エビがいけない」と一括りにするのではなく、まずは刺激となりやすい食品を知っておくことも大切です。以下に挙げるものは、喉の粘膜を刺激し、咳を悪化させる可能性があるとされています。
アルコールやカフェインを含む飲み物
アルコールやカフェインが多く含まれる飲み物(コーヒー、緑茶、紅茶、エナジードリンク、炭酸飲料など)は、体内の水分を奪いやすく、喉の乾燥を招く可能性があります。炭酸飲料に含まれる炭酸ガスは喉を直接刺激することもあり、咳をさらにひどくする場合があるため、できれば控えましょう。
咳が続くときは、一日を通じて水や白湯などをこまめに摂取することがおすすめです。のどが潤った状態を保つことで、咳の反射を起こしにくくし、炎症した粘膜の回復も促すことができるとされています。特に温かい飲み物は痰を出しやすくする効果も期待でき、はちみつやレモンを加えた飲み物などは喉をいたわるうえで役立ちます。
脂っこい食べ物
ファーストフードや天ぷらなど、油分の多い食べ物は喉への刺激を高め、咳や喉の痛みを強める恐れがあります。エビ自体は問題がないとしても、油で揚げたエビの天ぷら、あるいは揚げ焼きなど脂質の高い調理は避けたほうが安心です。代替としておすすめされているのは、
- 魚や皮を除いた鶏肉、豆類、ナッツなどの良質なたんぱく質
- ビタミンやミネラルが豊富な果物や野菜
- 低脂肪乳、豆乳、アーモンドミルクなど脂質を抑えた乳製品類
- オリーブオイルやひまわり油など比較的軽めの油脂
これらは栄養バランスを整えるのに役立つうえ、喉への刺激も比較的少なく、咳が続いている状態でも取り入れやすい食材です。
辛い食べ物
唐辛子、胡椒、マスタードなどの辛味の強い調味料は喉を刺激しやすいため、咳の症状を誘発・悪化させることがあります。専門家の多くは、咳が続くときにはできるだけまろやかな味付けややわらかい食感の料理を推奨しています。刺激を抑えた食事は、炎症を起こしている可能性のある気道や喉をやさしく保護するうえで重要です。
冷たい食品
アイスクリームや氷などの冷たい食品は、喉の粘膜を急激に冷やし、炎症を長引かせる可能性があります。特に、細菌やウイルスへの感染を伴っている場合、冷たい環境は病原体が増殖しやすい条件になることもあるため注意が必要です。冷蔵庫で保存している食品でも、食べる前に常温に近づける、あるいは電子レンジなどで少し温めるなど工夫することで、喉への負担を軽減しやすくなります。
アレルギーを引き起こす食品
食品アレルギーを持っている場合、その食品が咳を引き起こす直接的な要因となることがあります。エビに限らず、アレルギーを自覚している食品はできるだけ控えるようにしましょう。特にアナフィラキシー反応が疑われる場合は、早急に医療機関を受診し、医師の指示に従うことが重要です。
咳と食事の最新の知見
咳に対する総合的なガイドラインとしては、2020年に発表されたEuropean Respiratory Journalの報告(Morice et al., 2020, doi:10.1183/13993003.01136-2019)においても、食事の影響は完全には無視できないと示唆されています。主に慢性的な咳を対象としたガイドラインですが、食物アレルギーや喉への物理的刺激要因が咳を持続化させる一因になると考えられています。したがって、エビに代表される甲殻類を含む食品も、個々の体質や調理法、量などに配慮しながら摂取することが大切だといえます。
また、咳やインフルエンザ様症状などがあるときに「控えたほうがよい食品」については、Ohio State University Wexner Medical Centerが公開している資料(アクセス日: 28/07/2023)でも言及されています。脂肪分や糖分が高い食品、極端に辛いもの、カフェイン・アルコールなどは、回復を遅らせる要因になりやすいとされており、喉をいたわる観点からはできるだけ控えるほうが望ましいと解説されています。
結論
本記事では、咳が出ているときにエビを食べることの是非について、アレルギーや調理法を考慮に入れて総合的に検討しました。エビは高い栄養価を有し、正常な免疫機能や体力維持のために役立つ食品です。しかし、エビの殻や足などが喉を刺激して咳を誘発する可能性がある点、さらにはエビアレルギーの方にとっては呼吸器症状を悪化させる要因にもなり得る点には注意を払う必要があります。
一方で、咳が続くからといって一律にエビを避ける必要はなく、調理法を工夫し、やわらかく消化しやすい形で食べることで、比較的安全に栄養を取り入れることができます。また、本記事で挙げたように、冷たい食品や刺激物、脂っこいものなどは喉の炎症を助長し、咳を長引かせる可能性があります。これらを回避しつつ、消化にやさしい料理を中心に食事のバランスをとることが大切です。
咳が長引く場合や症状が重い場合の注意
咳が一時的で軽度なものであれば、自宅での食事療法や水分補給、十分な休養によって緩和できるケースも少なくありません。しかし、次のような場合はただちに医療専門家へ相談することをおすすめします。
- 咳が2週間以上続き、日常生活に支障をきたしている場合
- 呼吸困難、息苦しさ、胸の痛みなどが伴う場合
- 発熱が長期化し、倦怠感や体重減少が著しい場合
- アレルギー反応(呼吸困難、じんましん、めまいなど)が疑われる場合
このような症状が見られる場合、自己判断で市販薬を使用したり、特定の食品を極端に避けたりするだけでは対処できない可能性があります。早めに医療機関を受診し、専門的な検査や診断、治療方針の提案を受けるようにしてください。
専門家に相談する意義
咳はさまざまな要因で起こり得るため、原因の特定や適切な治療方針の決定には、医療専門家による総合的なアセスメントが不可欠です。特にアレルギーが疑われる場合は、皮膚テストや血液検査などで原因物質を特定する必要があります。また、咳を慢性的に引き起こす別の疾患(気管支喘息、慢性閉塞性肺疾患など)が隠れている可能性も否定できません。
一方、医師などの専門家の指導のもと、食生活や運動習慣を見直すだけで症状が改善することもあります。エビをはじめとする魚介類が原因ではないかと疑う場合でも、専門家にしっかり相談し、必要に応じて検査や食物除去試験などを実施した上で、正しい食事管理を行うことが望ましいでしょう。
日常生活での咳対策のポイント
- 定期的なうがいと手洗い
風邪やインフルエンザウイルスなどによる感染症の予防に有効です。外出先から帰宅した際や食事前など、こまめに実践しましょう。 - 適度な水分摂取
水や白湯、温かいハーブティーなどをこまめに飲むことで、喉の粘膜を潤し、咳の反射を起こしにくくします。 - 部屋の湿度を適切に保つ
暖房や冷房で空気が乾燥しやすい季節は、加湿器を使用したり、濡れタオルを干すなどして適度な湿度を保つとよいでしょう。 - 十分な睡眠と栄養バランス
体力や免疫機能を高めるためには、休息と栄養摂取が不可欠です。特にタンパク質、ビタミン、ミネラルをバランスよく補給しましょう。 - 喉のケア
のど飴などで喉を適度に保湿する、マスクを着用して外気の刺激を軽減するなど、粘膜を保護する工夫も大切です。
おわりに
咳が出ているときのエビの摂取については、一概に「食べてはいけない」と断定できるものではなく、調理法の工夫やアレルギーの有無などの個別事情を考慮して判断する必要があります。エビそのものは栄養価が高く、体力が落ちたときに有益なタンパク質源の一つであり、喉への物理的刺激を最小限に抑えれば上手に活用できる食材です。また、エビだけでなく、辛い食品や脂っこい食品、冷たいものなど、喉を刺激する可能性のあるものを控えることが咳の症状を和らげる一助となります。
ただし、咳が長引く場合や、呼吸困難や高熱などの深刻な症状を伴う場合には、必ず医療機関を受診して原因を特定することが最優先となります。自己判断で食事を大きく制限したり、偏った情報に振り回されたりするのではなく、専門家のアドバイスを受けながら日常生活を改善していくことが、安全かつ確実な方法です。
本記事が、咳が続くときの食事やエビの摂取についての理解を深める一助となれば幸いです。繰り返しになりますが、ここで述べた内容はあくまで一般的な情報であり、個々の状況によって異なりますので、気になる症状があれば医療専門家に相談するようにしてください。
参考文献
- Pulmonary illness as a consequence of occupational exposure to shrimp shell powder (アクセス日: 28/07/2023)
- BỊ HO – CÓ CẦN KIÊNG TÔM, THỊT GÀ? (アクセス日: 28/07/2023)
- Khi trẻ ho, có cần kiêng ăn thịt gà, tôm? (アクセス日: 28/07/2023)
- BÁC SĨ TẠI NHÀ: F0 VÀ HẬU COVID-19 NÊN KIÊNG ĂN TÔM? (アクセス日: 28/07/2023)
- Foods to avoid when you have the flu (アクセス日: 28/07/2023)
- Morice AH, Millqvist E, Bieksiene K, Birring SS, Dicpinigaitis PV, Ribas CD, et al.
「ERS guidelines on the diagnosis and treatment of chronic cough in adults and children」
European Respiratory Journal. 2020;55(1):1901136. doi: 10.1183/13993003.01136-2019 - Thalayasingam M, Lee BW.
「New insights into Food Allergy in Asia」
Asia Pacific Allergy. 2020;10(1):e22. doi: 10.5415/apallergy.2020.10.e22
免責事項
本記事は医療行為の代替を目的とするものではなく、あくまでも一般的な情報提供を目的としています。個々の症状や病状に応じた正確な診断・治療を行うためには、必ず医療機関や専門家の診察を受けてください。特に咳が長期化したり、強い痛みや呼吸困難、アナフィラキシーが疑われる場合には速やかに専門の医療機関を受診してください。