喉の乾燥と痰、その原因を徹底解説。最新治療とセルフケアの完全ガイド
耳鼻咽喉科疾患

喉の乾燥と痰、その原因を徹底解説。最新治療とセルフケアの完全ガイド

喉の乾燥によるイガイガ感、絶え間なく絡みつく痰の不快感。多くの人が経験するありふれた症状ですが、その背後には、私たちの体を守るための複雑な生理学的メカニズムと、時には注意すべき病気のサインが隠されています。なぜ喉は乾燥し、痰が生成されるのでしょうか。どうすればこの不快な症状を効果的に和らげることができるのでしょうか。この記事は、JAPANESEHEALTH.ORG編集部が、最新の科学的根拠と専門家の知見を徹底的に分析し、皆様の切実な悩みに応えるために作成した包括的なガイドです。単なる対症療法の紹介に留まらず、症状の根本原因を科学的に解明し、ご自身で実践できる効果的なセルフケアから、医療機関での専門的な治療に至るまで、信頼できる情報を網羅的にお届けします。この記事を読み終える頃には、ご自身の症状を正しく理解し、自信を持って最善の行動を選択できるようになっていることをお約束します。

この記事の科学的根拠

この記事は、引用元として明示された最高品質の医学的証拠にのみ基づいて作成されています。以下は、参照された情報源と、提示された医学的指導との直接的な関連性を示すリストです。

  • Bhattacharya S, et al. (科学論文): 本記事における、乾燥した空気が気道に炎症を引き起こすメカニズムに関する解説は、この研究で明らかにされた科学的知見に基づいています。
  • Kesimer M, et al. (科学論文): 痰(呼吸器粘液)が気道の保湿と病原体防御に果たす重要な役割についての記述は、この論文の知見を引用しています。
  • 米国感染症学会 (IDSA) (臨床ガイドライン): 細菌性咽頭炎が疑われる場合の治療法に関する推奨は、IDSAが発行した公式ガイドラインに基づいています。
  • 環境再生保全機構 (ERCA) (公的機関資料): 効果的かつ安全な痰の出し方(排痰法)に関する具体的な指導は、日本の公的機関であるERCAが提供する資料を基にしています。
  • 米国疾病予防管理センター (CDC) (公的機関資料): A群溶連菌性咽頭炎に関する一般情報や公衆衛生上の注意点は、CDCのガイダンスを参考にしています。

要点まとめ

  • 喉の乾燥は、空気の乾燥や口呼吸により気道粘膜の水分が失われ、炎症を引き起こす「浸透圧ストレス」が主な原因です。
  • 痰は、異物や病原体を捕らえて体外へ排出するための重要な防御機能であり、その色や性状は健康状態を知る手がかりになります。
  • セルフケアの基本は「水分補給」と「加湿」です。十分な水分は痰を排出しやすくし、適切な湿度は喉の粘膜を保護します。
  • 市販薬を選ぶ際は、症状に応じて去痰薬、鎮咳薬、抗炎症薬の成分を理解し、使い分けることが重要です。漢方薬も有効な選択肢となり得ます。
  • 呼吸困難、血痰、3週間以上続く咳などの「危険なサイン」が見られる場合は、自己判断せず速やかに医療機関を受診する必要があります。

第1章:喉の乾燥と痰の科学的メカニズム

不快な症状の根本を理解するために、まずは私たちの体の中で何が起きているのか、その科学的な仕組みから見ていきましょう。

痰(たん)とは何か? 体を守る防御反応の最前線

一般的に厄介者と見なされがちな痰ですが、実は体にとって不可欠な存在です。気管支の内壁は「粘液」と呼ばれる液体で常に覆われており、これが痰の正体です。米国ノースカロライナ大学の研究者、Kesimer氏らの論文によると、この粘液は二つの重要な役割を担っています1。第一に、吸い込んだ空気の湿度と温度を調節し、肺の繊細な組織を守ること。第二に、ウイルス、細菌、ホコリ、花粉といった異物を粘着させて捕らえることです2。捕らえられた異物は、気道表面にある「線毛」という無数の細かい毛の波のような運動によって、喉の方向へと運び出されます2。これが、私たちが痰を体外に排出するメカニズムです。つまり、痰が作られること自体は、体をクリーンに保つための正常な防御反応なのです。

なぜ喉は乾燥するのか? 気道潤滑を失う「浸透圧ストレス」

喉の乾燥感は、この粘液による潤滑システムがうまく機能していないサインです。特に、乾燥した空気の吸入や口呼吸は、気道表面から直接水分を奪います。2023年に発表されたBhattacharya氏らの研究では、このプロセスが細胞レベルで「浸透圧ストレス」を引き起こすことが明らかにされています3。粘膜細胞から水分が失われると、細胞内外の塩分などの濃度バランスが崩れ、これが引き金となって炎症反応が活性化し、粘液の過剰な産生や神経経路への刺激が生じます3。これが、喉のイガイガ感、痛み、そして痰が絡む感覚の直接的な原因となるのです。

咳はなぜ出るのか? 異物を排除する複雑な反射

咳は、痰などの異物を体外へ強力に排出するための、極めて重要な反射運動です。米国胸部疾患学会(ATS)の臨床ガイドラインによると、この反射は喉や気管に分布する咳受容体が刺激されることで始まります4。この刺激信号は、求心路である迷走神経を通って脳の延髄にある咳中枢へと伝達されます5。そして、咳中枢からの指令が、遠心路である横隔神経や脊髄運動神経を介して呼吸筋群に伝わり、爆発的な呼気を引き起こすのです5。この一連の複雑な神経経路の働きによって、私たちは気道を浄化しています。


第2章:あなたの症状はどれ?原因セルフチェックリスト

喉の乾燥と痰には様々な原因が考えられます。自身の状況を客観的に評価し、適切な対処法を見つけるためのセルフチェックを行いましょう。

日常的な原因:空気の乾燥から生活習慣まで

多くの場合、喉の不快感は日常生活の中に原因が潜んでいます。

  • 空気の乾燥: 特に冬場や、エアコンが効いた室内は空気が乾燥しがちです。これにより気道粘膜の水分が奪われ、乾燥や痛みを引き起こします6
  • 口呼吸: 鼻呼吸は吸気を加湿・加温する機能がありますが、鼻詰まりや習慣によって口呼吸になると、乾燥した冷たい空気が直接喉に当たり、負担をかけます7
  • 水分摂取不足: 体内の水分が不足すると、痰の粘性が高まり、排出しにくくなります。結果として喉に絡みつく不快感が増します8
  • 声の使いすぎ: 教師、歌手、コールセンターのオペレーターなど、声を酷使する職業では、声帯の物理的な摩擦や乾燥が炎症を引き起こすことがあります。
  • 喫煙: タバコの煙は、気道の線毛機能を低下させ、有害物質が粘膜を直接刺激するため、慢性的な咳や痰の主要な原因となります9

感染症によるもの:風邪から細菌感染まで

ウイルスや細菌の感染は、急性の喉の症状の最も一般的な原因です。

  • ウイルス性咽頭炎(風邪症候群): 喉の痛みや痰のほとんどは、ライノウイルスやコロナウイルスなどのウイルス感染によるものです。通常、発熱や鼻水などの他の症状を伴います。
  • 細菌性咽頭炎: 高熱や激しい喉の痛み、扁桃腺の白い膿(白苔)が見られる場合、A群溶血性レンサ球菌(溶連菌)などの細菌感染が疑われます。米国疾病予防管理センター(CDC)によると、この場合は抗菌薬による治療が必要となります10。放置するとリウマチ熱などの合併症を引き起こす可能性があるため、注意が必要です。

注意すべき他の疾患:アレルギー、喘息、逆流性食道炎

症状が3週間以上続く場合は、単なる風邪ではない他の疾患の可能性を考える必要があります11

  • 後鼻漏(上気道咳症候群, UACS): アレルギー性鼻炎や副鼻腔炎により、鼻水が喉の奥に流れ落ちる状態です。これにより喉が刺激され、慢性的な咳や痰が絡む感覚を引き起こします12。仰向けに寝ると症状が悪化しやすいのが特徴です。
  • 咳喘息: 気管支喘息の前段階とも言われ、呼吸困難(ゼーゼー、ヒューヒュー)はないものの、乾いた咳だけが長期間続きます。特に夜間や早朝、寒暖差、会話などで咳が出やすくなります。
  • 胃食道逆流症(GERD): 胃酸が食道に逆流することで、食道だけでなく喉や気管を刺激し、慢性的な咳や声枯れ、喉の違和感を引き起こします。胸焼けや呑酸(酸っぱいものが上がってくる感覚)を伴うことが多いですが、これらの症状がない場合もあります12

【重要】痰の色と性状でわかること

痰の色は、気道で何が起きているかを知るための重要な手がかりとなります。ただし、これはあくまで目安であり、確定診断は医師が行うことを念頭に置いてください。

表1:痰の色と主な原因
痰の色 考えられる状態 解説
透明・白色 正常、または非感染性の炎症 健康な人でも見られる正常な粘液です。ただし、量が多い場合は、気管支喘息やアレルギー性鼻炎の可能性も考えられます13
黄色・緑色 細菌・ウイルス感染 気道で病原体と戦った白血球(好中球)の死骸が含まれると、黄色や緑色を呈します。一般的に細菌感染を示唆すると言われますが、ウイルス感染でも見られることがあります14
赤色・茶色(血痰) 気道からの出血 無理な咳払いで喉の毛細血管が切れた軽微なものから、気管支拡張症、肺炎、肺結核、肺がんといった重篤な疾患まで原因は様々です。血痰が出た場合は、量にかかわらず速やかに医療機関を受診してください14

第3章:今日からできる!科学的根拠に基づくセルフケア完全ガイド

医療機関を受診する前に、ご自身でできる効果的な対処法は数多く存在します。ここでは科学的な裏付けのあるセルフケアを網羅的にご紹介します。

1. 水分補給:粘液の粘度を下げる

最も基本的かつ重要なセルフケアは、十分な水分補給です。水分を摂ることで痰の粘り気が弱まり、気道の線毛運動によって排出しやすくなります8。冷たい飲み物は喉への刺激となることがあるため、常温または温かい飲み物が推奨されます。特に、温かい飲み物から立ち上る蒸気は、直接気道を潤す効果も期待でき、一石二鳥です15

2. 加湿とマスク:気道の最前線を守る

気道の乾燥を防ぐためには、周囲の環境を整えることが不可欠です。専門家は室内の湿度を40~60%に保つことを推奨しています16。加湿器の使用が最も効果的ですが、ない場合は洗濯物を室内に干したり、濡れたタオルを置いたりすることでも湿度を上げることができます7
また、日本で一般的なマスクの着用は、喉の乾燥対策として非常に理にかなっています。これは、自身の呼気に含まれる水分によってマスク内部の湿度が保たれ、乾燥した外気の直接的な吸入を防ぐためです。科学的には、これにより気道粘膜からの水分蒸発が抑制され、炎症を引き起こす一因となる浸透圧ストレスが緩和されると考えられます3

3. 排痰(はいたん)テクニック:専門家が教える効果的な痰の出し方

痰が絡んで苦しい時、強く咳払いをするのは逆効果です。喉の粘膜を傷つけ、さらなる炎症を招く可能性があります14。日本の公的機関である環境再生保全機構(ERCA)は、体に負担が少なく効果的な排痰法を推奨しています17

  • ハッフィング法:
    1. 楽な姿勢で座り、ゆっくりと深呼吸をします。
    2. 息を軽く吸い込んだ後、口を「ハッ」と開けたまま、短く強く息を吐き出します。これは、胸の奥から声を出すようなイメージです。
    3. これを数回繰り返すことで、気道深部の痰が喉の近くまで移動し、軽い咳で排出できるようになります。
  • 体位ドレナージ:重力を利用して痰を排出しやすくする方法です。痰が溜まっていると思われる肺の部分を上にして、クッションなどで体勢を整え、10~15分ほどその姿勢を保ちます。その後、ハッフィング法を組み合わせるとより効果的です。

注意: これらの方法は、あくまで痰を出しやすくするための補助的な手段です。無理に行わず、痛みや苦しさが増す場合は中止してください。

4. 食事と飲み物:喉をいたわる選択

伝統的に喉に良いとされる食材には、科学的な観点からも利点が見られるものがあります。

  • はちみつ: 抗菌作用と保湿作用があり、喉の炎症を和らげ、咳を鎮める効果が研究で示されています。特に、お湯に溶かして飲むのがおすすめです15。(※1歳未満の乳児には与えないでください)
  • 生姜や大根: これらには抗炎症作用や血行促進作用があり、喉の痛みを和らげる助けとなります。

一方で、アルコール飲料、カフェイン、香辛料の強い食べ物、極端に熱いまたは冷たいものは、喉の粘膜を刺激し、脱水を引き起こす可能性があるため、症状がある間は避けるのが賢明です18

5. 日本の知恵:唾液腺マッサージとツボ

日本のセルフケアとして、唾液の分泌を促す方法も知られています。唾液には自浄作用や抗菌作用があり、喉を潤すのに役立ちます7

  • 唾液腺マッサージ: 耳の下(耳下腺)、顎の骨の内側(顎下腺)、顎の真下(舌下腺)を指で優しくマッサージすることで、唾液の分泌が促されます。

また、東洋医学では咳を和らげるとされるツボ(例:鎖骨の中央のくぼみにある「天突(てんとつ)」)も知られています15。これらは補助的なケアとして試す価値はありますが、科学的根拠は限定的であることを理解しておく必要があります。


第4章:医療による治療:市販薬・漢方薬・処方薬の選び方

セルフケアで改善しない場合は、薬による治療を検討します。ここでは、薬の選び方について専門的な視点から解説します。

市販薬(OTC医薬品)の賢い選び方

薬局で購入できる市販薬は、症状に合わせて成分を選ぶことが重要です。主な成分は3つのカテゴリーに分類されます8

表2:市販薬の主な成分と作用
カテゴリー 代表的な成分名 作用 注意点
去痰薬 L-カルボシステイン、ブロムヘキシン塩酸塩、アンブロキソール塩酸塩 痰の粘り気を下げたり、気道粘液の分泌を促したりして、痰を排出しやすくする。 痰の量を一時的に増やすことがある。
鎮咳薬 デキストロメトルファン臭化水素酸塩水和物、ジヒドロコデインリン酸塩 脳の咳中枢に作用して咳反射を抑える。 痰の排出を妨げる可能性があるため、痰が多い咳には慎重に使用する。眠気を催すことがある。
抗炎症薬 トラネキサム酸、イブプロフェン、アズレンスルホン酸ナトリウム 喉の炎症を抑え、痛みや腫れを和らげる。 根本的な原因治療ではなく対症療法。長期連用は避ける。

専門家からの助言: 痰が絡む咳の場合、安易に鎮咳薬で咳を止めると、痰の排出が妨げられ症状が悪化することがあります。まずは去痰薬で痰を出しやすくすることを優先し、それでも咳が辛くて眠れない場合に鎮咳薬を検討するのが良いでしょう。判断に迷う場合は、必ず薬剤師に相談してください。

漢方薬という選択肢:体質と症状に合わせたアプローチ

漢方医学では、個々の体質(証)と症状のバランスを重視します。喉の症状に用いられる代表的な漢方薬には以下のようなものがあります。

表3:症状別の代表的な漢方薬
症状 代表的な漢方薬 解説
乾いた咳、切れにくい痰、喉の乾燥感 麦門冬湯(ばくもんどうとう) 体に潤いを与え、気道の粘膜を湿らせることで、こみ上げるような乾いた咳を鎮めます15
喉の強い痛み、腫れ、痰が絡む 桔梗湯(ききょうとう)/ 桔梗石膏(ききょうせっこう) 炎症を鎮め、膿を排出する作用があり、扁桃炎のような症状に用いられます18
痰が多く、色のついた湿った咳 竹筎温胆湯(ちくじょうんたんとう) 熱を冷まし、痰を取り除く作用があり、風邪の後期などで体力が落ちている場合にも使われます15

漢方薬は、その人の体質に合って初めて効果を発揮します。自己判断せず、漢方に詳しい医師や薬剤師に相談することが、適切な処方への近道です。

処方薬による治療

細菌感染が疑われる場合や、市販薬で改善しない場合は、医師による診断と処方薬が必要です。特に、A群溶連菌性咽頭炎と診断された場合、米国感染症学会(IDSA)のガイドラインでは、ペニシリン系の抗菌薬を10日間服用することが強く推奨されています19。抗菌薬はウイルスには全く効果がなく、不必要な使用は薬剤耐性菌を生む原因となります10。症状が改善しても、処方された日数を必ず飲み切ることが、再発や合併症を防ぐ上で極めて重要です。


第5章:専門医への相談:病院を受診すべき危険なサイン

ほとんどの喉の症状はセルフケアで改善しますが、中には重篤な病気が隠れている可能性もあります。以下のサインが見られる場合は、ためらわずに医療機関を受診してください。

この症状が出たらすぐに医療機関へ

以下のいずれかの症状が見られる場合は、緊急性が高い可能性があります。

  • 呼吸が苦しい、息切れがする、喘鳴(ゼーゼー、ヒューヒュー)がある20
  • 血痰(赤色や茶色の痰)が出る14
  • 38℃以上の高熱が3日以上続く、または一度下がってから再び上昇する9
  • 咳や痰が3週間以上続いている(慢性咳嗽)11
  • 胸に強い痛みを伴う
  • 水分や食事が全く摂れないほどの激しい喉の痛み21

何科を受診すればよいか?内科・呼吸器内科・耳鼻咽喉科の役割分担

どの診療科を受診すればよいか迷う場合は、以下のガイドラインを参考にしてください。

  • 内科・総合診療科: 発熱や全身の倦怠感など、風邪のような一般的な症状の場合、まず相談するのに適しています。かかりつけ医がいる場合は、まずそちらに相談しましょう20
  • 呼吸器内科: 咳や痰が主症状で、特に3週間以上続く場合や、息苦しさを伴う場合に専門となります14。咳喘息や気管支炎などが疑われる場合に適しています。日本の呼吸器診療をリードする順天堂大学の専門家らも、慢性咳嗽の鑑別診断の重要性を指摘しています22
  • 耳鼻咽喉科: 喉の痛みが特に強い場合や、鼻水・鼻詰まり、耳の痛みなど、鼻や耳の症状を伴う場合に専門となります20。後鼻漏や扁桃炎などが疑われる場合に適しています。

よくある質問

Q1: 痰は無理に出し切った方がいいですか?

A1: いいえ、無理に強く咳を繰り返すと喉の粘膜を傷つけ、炎症を悪化させる可能性があります15。痰が絡んで不快な場合は、水分を十分に摂って痰を柔らかくし、第3章で紹介したハッフィング法のような、体に負担の少ないテクニックを試してみてください14

Q2: 熱はないのに咳と痰だけが続きます。コロナの可能性はありますか?

A2: 発熱がなくても新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の可能性は否定できません。しかし、咳喘息、アレルギー性の後鼻漏、胃食道逆流症(GERD)など、他の多くの原因も考えられます11。特に症状が3週間以上と長引く場合は、自己判断せずに医療機関を受診し、正確な診断を受けることを強くお勧めします。

Q3: 禁煙したら逆に痰が増えたのですが、大丈夫でしょうか?

A3: はい、それは「好転反応」と呼ばれる良い兆候である可能性が高いです。禁煙によって、タバコの煙で傷んでいた気道の線毛機能が回復し始めると、これまで気道に溜まっていた有害物質を含んだ痰を体外に排出しようとする働きが活発になります14。そのため、一時的に痰の量が増えることがありますが、通常は数週間から数ヶ月で落ち着きます。ただし、血痰が出たり、症状が長く続いてご心配な場合は、医師にご相談ください。


結論

喉の乾燥と痰は、私たちの体を守るための重要なシグナルです。その多くは、加湿や水分補給といった適切なセルフケアによって改善が見込めます。しかし、その背景には感染症から生活習慣病まで、様々な原因が潜んでいる可能性があることを理解することが重要です。この記事で提供した科学的根拠に基づく知識を活用し、ご自身の症状を正しく見極め、市販薬や漢方薬を賢く選択し、そして何よりも、危険なサインを見逃さず専門医へ相談するタイミングを判断するための一助となれば幸いです。自己判断に頼りすぎることなく、不安な症状が続く場合は、かかりつけの医師やお近くの薬剤師といった専門家と協力し、健康的な毎日を取り戻しましょう。

免責事項本記事は情報提供のみを目的としており、専門的な医学的アドバイスを構成するものではありません。健康に関する懸念がある場合、またはご自身の健康や治療に関する決定を下す前には、必ず資格のある医療専門家にご相談ください。

参考文献

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