はじめに
一日の終わりにトレーニングをすると、仕事や家事のあとの自由時間を有効に使えるため、「夜に運動すると本当に体に良いのか?」と気になっている方は多いかもしれません。本記事では、夜に体を動かすメリットや注意点、実践しやすいエクササイズの例などについて、日頃の生活習慣にも取り入れやすい形で詳しく解説します。夜にトレーニングをする際のポイントを押さえれば、忙しい日々の中でも効率よく健康管理や体力づくりを進められます。ぜひ最後までお読みいただき、ご自身の生活リズムに合わせて無理なく続けてみてください。
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当サイトの情報は、Hello Bacsi ベトナム版を基に編集されたものであり、一般的な情報提供を目的としています。本情報は医療専門家のアドバイスに代わるものではなく、参考としてご利用ください。詳しい内容や個別の症状については、必ず医師にご相談ください。
専門家への相談
本記事では、夜に運動することに関する国内外の情報や、さまざまな研究結果を踏まえて解説しています。また、文中で引用している研究・情報源の一部は海外機関や論文も含まれています。夜の運動と睡眠の関係については、専門家による研究や公衆衛生関連機関(たとえば米国の公的機関など)が長年にわたり調査してきた分野です。しかしながら、実際の運動方法や睡眠の個人差は非常に大きいため、本記事の内容はあくまで一般的な情報としてお役立てください。体調に不安を感じていたり、持病があったりする場合は、必ず医師や専門家に相談してから運動を始めるようにしてください。
夜に運動するメリットとは?
1. 運動効果を高めやすい
夜に運動すると、高いパフォーマンスを発揮できる場合があるといわれています。イギリスの大学(University of Birmingham)で行われた研究の一例によると、夜のトレーニングでは運動時間が朝に比べて約20%長くなり、高負荷のトレーニングでも持続しやすい傾向が見られました。これは、夜の時間帯は身体が温まっているため柔軟性が上がり、筋温や体温が日中より高めに維持されていることが背景にあると考えられています。また、テキサスA&M大学のHeather Webb氏の報告によれば、朝はストレスホルモンとされるコルチゾールが活発になるため筋肉の発達をやや抑えやすい一方で、夜はテストステロンが相対的に高まりやすく、筋肉に刺激を与える際には有利になる可能性があると示唆されています。これらの要因が重なり、夜の運動が筋力アップや筋肉量増加に寄与しやすいと考えられています。
さらに、2022年にJournal of Sports Sciencesに掲載されたThomasらの研究(“Evening high-intensity interval exercise does not disrupt sleep or alter daily energy intake, but does reduce next-morning performance in physically active men and women”, 40(15):1695-1704, doi:10.1080/02640414.2022.2036302)では、夜に高強度インターバルトレーニングを行っても、睡眠の質が著しく低下したり翌日の食欲が大きく変化したりするリスクは必ずしも高くないと報告されています(ただし翌朝のパフォーマンスは若干落ちる可能性がある点も言及)。こうした研究からも、夜間の運動は「睡眠を阻害しない場合が多い」「トレーニング効果や身体能力の向上に寄与し得る」との見解が示唆されており、適切な時間帯と負荷を調整すれば十分に有用と考えられています。
2. 質の良い睡眠につながる可能性
「夜運動すると寝つきが悪くなる」というイメージを持つ方も少なくありません。しかし、実際には寝る直前の激しい運動を避けることを前提にすれば、夜の軽め~中程度の運動はむしろ睡眠の質を上げるケースがあると多くの専門家が指摘しています。実際に、夜に運動するグループと全く運動しないグループを比較した調査では、夜にある程度体を動かした人たちの方が寝つきやすく、睡眠が深くなる傾向が見られました。適度な運動によって体内の血行が改善され、昼間のストレスが緩和されることでリラックスしやすくなり、自然にスムーズな睡眠へ移行しやすくなると考えられます。
3. ダイエットや体重管理にも期待
夜に運動を取り入れると、体脂肪の燃焼や体重管理にも役立ちます。特に夕方から夜にかけて体温が上昇している時間帯はエネルギー消費が高まる傾向があります。実際に、学術誌Experimental Physiologyの論文では、夜の運動が空腹感を誘発する「グレリン」というホルモンの分泌をやや抑え、結果として食欲コントロールや体重管理に良い影響をもたらす可能性があると報告されています。もちろん、体脂肪を効果的に落としたり体重を維持したりするには、適度な運動だけでなく食習慣の見直しや生活リズムの調整も不可欠です。バランスのとれた食事や適正なカロリー摂取を意識しながら、夜の運動を継続していくことが大切です。
夜のトレーニングは本当におすすめ?
「最適な運動時間帯は人によって異なる」というのが多くの専門家の共通見解です。大学の研究員であるPaige Brooker氏(University of Queensland)の言葉を借りれば、「一日のうち運動しやすいと思う時間帯が、その人にとってベストタイミング」という考え方もあります。朝の方がやる気が出る人もいれば、夜の方が体が動きやすく感じる人もいるものです。大切なのは、自分の生活リズムに合わせて「無理なく続けられるかどうか」。もし夜に運動することで睡眠リズムを整えたり、ストレス解消効果を得たりできるのであれば、夜間トレーニングは十分におすすめできる選択肢といえます。
なお、夜の運動がどうしても合わないという方は、朝や昼に取り組む方が良い場合もあります。たとえば、朝一番のウォーキングで代謝を高め、日中は集中力を維持しやすくするなど、自分のライフスタイルに合わせて時間帯を選ぶのも効果的です。
関連トピック
- 運動後はどれくらい間をおいてから入浴すればよいのか?
- 運動中の水分補給:タイミングや量のコツ
- 脂肪燃焼をねらうなら何時ごろ運動するのが最適?
- 朝に運動するメリットと注意点
夜におすすめの5つのエクササイズ
夜の運動は、ハードなものばかりが良いわけではありません。むしろ無理のない負荷から始め、慣れてきたら徐々に強度を上げていく方が安全で長続きしやすいでしょう。以下は夜に取り組みやすい代表的なエクササイズの例です。
1. スクワット
ヒップアップや下半身の引き締めに役立つ基本エクササイズ
- 足を肩幅に開いて立ち、両腕は軽く前へ伸ばします。
- ゆっくりと腰を落とし、太ももが床と平行になるくらいまで沈めます。
- 背中を丸めないように気をつけ、体重はかかととお尻に乗せるイメージ。
- そのままかかとで地面を押し、元の姿勢に戻します。
2. クランチ(腹筋運動)
ウエスト周りの筋肉を効率的に鍛える
- 仰向けに寝た状態で、両膝を90度程度に曲げ、手は頭の後ろに添えます。
- 息を吐きながらお腹の筋肉を意識して上体を起こし、肩甲骨が床から離れるくらいまで持ち上げます。
- 上体を下ろすときも腹筋の緊張を解かないようにゆっくり戻します。
- 腰を反りすぎないよう注意してください。
3. プランク
体幹(コア)を鍛えるためのシンプルな動き
- うつぶせになり、前腕(ひじから先)を床につけ、足先を立てます。
- 頭からかかとまでが一直線になるよう意識して体を浮かせ、腹筋と背筋を同時に使います。
- お尻が下がりすぎたり上がりすぎたりしないように注意しましょう。
- 30秒~1分ほどキープし、慣れてきたら時間を延ばすなど工夫をしてみてください。
4. プッシュアップ(腕立て伏せ)
上半身全体、とくに胸や腕の筋力アップに有効
- 両手を肩幅程度に開いて床に置き、つま先を床につけます。
- 頭、肩、腰、かかとが一直線になるよう姿勢を維持しながら、ひじを曲げて胸を床に近づけます。
- できる範囲で深く下ろし、息を吐きながら元に戻します。
- ひじを開きすぎず、体がぶれないようにするのがポイントです。
5. シザーキック(足の交差運動)
下腹や腸腰筋を中心に刺激し、体幹の強化やぽっこりお腹の解消に期待
- 仰向けになり、腰を床にしっかりつけて両脚を伸ばします。
- 両腕は床に置いたまま、またはお尻の横あたりに添えます。
- 両脚を床から20cmほど浮かせ、片脚ずつ交互に上下・左右へ動かすイメージで交差させます。
- 腰が浮きやすい人は、ほんの少し脚を高めにキープしても構いません。
上記のほか、ヨガやストレッチ、軽いジョギング、エアロビクスなども夜の運動として適しています。仕事終わりや夕食後に取り組みやすい種目を選び、疲労度合いに合わせて調整しましょう。
夜に運動するときの3つの注意点
夜に運動すること自体は多くのメリットが報告されていますが、間違ったやり方だと寝つきが悪くなったり、疲労を翌日まで持ち越したりするリスクがあります。以下のポイントを守って、夜のエクササイズを安全かつ効果的に続けましょう。
1. 就寝直前の激しい運動は避ける
一般的に、就寝前1~2時間を目安に激しい運動を避けるほうが眠りに入りやすいといわれています。運動によって体温や心拍数が上がると、交感神経が活発になり、脳が覚醒状態に近づくことがあります。22時に就寝予定の場合は、遅くとも20時までには運動を終えておくのが望ましいでしょう。
実際、ハーバード大学(Harvard Health)などの情報によると、夜遅くに行う運動は、必ずしも睡眠に悪影響を及ぼすわけではなく、むしろ深い睡眠につながるケースもあると報告されています。しかし、それは個人差や運動強度に左右されることが大きく、深夜の高強度トレーニング(たとえば寝る1時間前のHIITなど)は、かえって入眠を妨げる可能性もあるので注意が必要です。
2. 適度な軽食でエネルギーを補給する
夜に運動をするときは、トレーニングの30分前くらいに軽く食事をとるか、消化の良いスナックなどを摂ると、エネルギー不足を防ぎやすくなります。空腹状態で激しい運動を行うと、低血糖のリスクや集中力の低下が起こりやすく、けがにもつながりかねません。また、運動後にも適度な栄養補給をすることで筋肉の回復を促し、翌日に疲れを残さないようにする効果が期待できます。
ただし、運動前後に過度に食べ過ぎると消化に負担がかかり、体脂肪が増えやすくなる可能性があるので要注意です。
3. すぐに入浴しない
運動後は交感神経が高まっており、心拍数も上がっています。運動直後に冷水シャワーなどを浴びると、急激な体温変化による血圧の変動や、体内リズムの乱れで体調を崩すリスクがあります。激しい運動後は少なくとも15~20分程度クールダウンと休息をとり、呼吸や心拍が落ち着いてから入浴するようにしてください。
入浴する際は、温度差が激しすぎないよう、ぬるめ~適温(38~40度前後)の湯船にゆっくり浸かるとリラックス効果を得やすく、就寝への流れがスムーズになります。
一日に複数回の運動は可能か?
もし一度に高い負荷をかけ続ける体力がない場合や、忙しくてまとまった時間が取れない場合は、運動を複数回に分割して行うのも一つの方法です。たとえば朝に軽めのウォーミングアップをしておき、夜にメインのトレーニングを実施するなど、自分に合ったやり方を考えてみてください。重要なのは、週に数回以上のペースで継続し、合計の運動量を確保することです。
ただし、トレーニングを細かく分けすぎると休息時間が不十分になる可能性もあるため、疲労が抜け切らないうちに次の運動を行わないよう、体調管理を徹底しましょう。
結論と提言
夜に運動する習慣を取り入れることで、筋肉の成長をサポートしたり、ストレスを軽減して睡眠の質を高めたり、ダイエットや体重管理を効率よく行ったりする効果が期待できます。ただし、夜の時間帯はどうしても疲れが蓄積しがちですし、就寝リズムにも影響が出やすいので、無理のない時間帯に適切な負荷で行うことが肝心です。
運動後は心身が活性化して交感神経が優位になりやすいため、遅い時間に激しい運動をすると入眠しにくくなる人もいます。一方で、軽度~中度の運動ならかえって体の緊張をほぐし、寝つきや深い睡眠を促す助けになることも示唆されています。すべては個人差が大きいので、ご自身の体調、就寝時間、翌日のスケジュールなどに合わせた調整を行いましょう。
参考までに:
- 夜に運動するメリット:筋力アップ、睡眠の質向上、ストレス解消、ダイエット効果など
- 注意点:寝る直前の過度な刺激や、十分なクールダウンをせずに入浴をすると睡眠が乱れるリスクがある
- 食事との関係:軽い食事で適度にエネルギーを補給しつつ、食べ過ぎには注意
- 複数回に分ける:無理に一度に多く運動できなくても、朝と夜に分けるなど工夫ができる
最後に大切なこと
本記事の内容は、さまざまな研究・情報源をもとにした一般的なアドバイスです。夜間の運動が自分の体質や生活リズムに合っているかどうかは、人によって異なります。体調不良や睡眠トラブルが続く場合は、医師や運動指導の専門家に相談しましょう。また、持病があったり服薬中だったりする方も、必ず医療の専門家と相談の上で運動プランを立てるようにしてください。
本記事はあくまで情報提供を目的としたものであり、医師や専門家による正式な診断や治療に代わるものではありません。気になる症状や疑問がある方は、必ず医療機関での受診・専門家への相談をおすすめします。
参考文献
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アクセス日: 2024/5/16 -
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Exercising for better sleep – Johns Hopkins Medicine
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How to Start Exercising and Stick to It – helpguide.org
アクセス日: 2024/5/16 - Thomas M, Apolloni G, Müller T, et al. (2022) “Evening high-intensity interval exercise does not disrupt sleep or alter daily energy intake, but does reduce next-morning performance in physically active men and women.” Journal of Sports Sciences, 40(15): 1695–1704. doi: 10.1080/02640414.2022.2036302
本記事が、夜の運動を取り入れるかどうか迷っている方にとって、有益な参考情報となれば幸いです。適切な方法で夜間のエクササイズを行えば、健康増進や体力アップ、ダイエットやメンタルヘルス面でも前向きな変化を実感できるかもしれません。ぜひ無理のない範囲で実践し、疑問点や不安がある場合は専門家に相談してみてください。しっかりと継続しながら、自分に合った運動習慣を築いていきましょう。