妊娠しづらい6つの原因とは?あなたも該当しているかも
妊娠準備

妊娠しづらい6つの原因とは?あなたも該当しているかも

はじめに

赤ちゃんを望むカップルにとって、なかなか妊娠の兆しが見られないとき、その原因がどこにあるのか悩まれることは多いでしょう。健康診断でも夫婦ともに問題なく、避妊もしておらず、夫婦仲も良いのになぜ妊娠しないのか――実は、妊娠を妨げる背景には、日常生活や体調管理、そして思いもよらない要因が潜んでいる可能性があります。本記事では、それらの要因を幅広く取り上げ、さらに妊娠の可能性を高める工夫や知識についても解説していきます。読者の皆さんが「自分たちに当てはまるものはあるのか」「もし当てはまるならば、どのように対処すればいいのか」を検討するきっかけになれば幸いです。

免責事項

当サイトの情報は、Hello Bacsi ベトナム版を基に編集されたものであり、一般的な情報提供を目的としています。本情報は医療専門家のアドバイスに代わるものではなく、参考としてご利用ください。詳しい内容や個別の症状については、必ず医師にご相談ください。

専門家への相談

本記事では、婦人科領域の臨床経験を有する医師として挙げられているBác sĩ Nguyễn Thường Hanh(内科・総合内科、Bệnh Viện Đa Khoa Tỉnh Bắc Ninh)からのアドバイスを参考にするとともに、医療情報の信頼性を確保するために複数の研究・文献を参照しています。記事の内容は一般的な情報としてまとめたものであり、個々の症状や状況により最適なアプローチは異なります。特に妊娠に関わる検査や治療は専門的な判断が必要ですので、疑問点がある場合は産婦人科や不妊治療専門医、または総合病院の受診をおすすめします。

妊娠しにくい原因として考えられる要素

1. 排卵日を正確に把握できていない

妊娠を望むうえで、排卵日を見極めることは極めて重要です。一般的には生理周期が一定であればある程度の予測が可能ですが、ストレスや体重変動、ライフスタイルの変化などによって生理周期は簡単に乱れることがあります。周期が安定しない場合は、排卵日を正確につかむのが難しくなり、最適なタイミングで性交渉を行えない恐れがあります。

近年はスマートフォン向けの排卵日・生理日予測アプリが多数登場しており、基礎体温や生理日を記録していくことで、自動的に排卵日を予測してくれます。とくに排卵検査薬を併用すると、実際のLHサージ(排卵前に急上昇する黄体形成ホルモン)を測定できるため、より精度の高い推定が可能です。もし正確に排卵日を把握できていないと感じるのであれば、こうしたテクノロジーや医師のアドバイスを積極的に活用すると良いでしょう。

2. 潤滑ゼリー(潤滑剤)の選択が適切でない

性交渉の際に潤滑ゼリーを使うことは珍しくありませんが、その成分によっては精子の運動性を損なうものがあります。精子が元気に子宮頸管を通り抜け、卵管へ到達するにはある程度の粘度やpH環境が大切であり、市販の潤滑剤の中にはその環境を悪化させる可能性があるものも存在します。とくに酸性度が高い潤滑剤や、殺菌成分が強いタイプは要注意といわれます。

一方で、精子への影響が少ないとされる潤滑剤もあります。pHが7.2~8程度で、体内のイオンバランス(マグネシウムやカルシウムなど)に近い成分を使っている商品であれば、精子に悪影響を与えにくいと考えられています。また、天然由来のオリーブオイルやベビーオイルを代用する方もおり、摩擦を和らげる程度なら大きな問題は生じにくいとされています。

3. パートナー(夫)のストレスが大きい

妊娠の成立には女性の体調だけでなく、パートナーの健康やメンタル状態も大きく影響します。男性は仕事や人間関係などで強いストレスを抱えると、ホルモンバランスが乱れたり、精子の質が低下したりする可能性があることが報告されています。実際、慢性的な精神的ストレスが男性不妊に結びつく例は少なくありません。

日々の仕事量を適切に調整し、適度な休息や睡眠を確保することが大切です。夫婦でコミュニケーションを取り、お互いが抱えている悩みや負担を軽減するように心がけましょう。また、レジャーや旅行などで環境を変えてリフレッシュする方法も有効です。2021年に米国で行われた大規模な前向き研究では、ストレスが高い男性のグループは、1年間の妊娠率がストレスの低い男性グループよりも有意に低いという結果が出たと報告されています(Wesselink, A. K. ら 2021, American Journal of Epidemiology, 190(12), 2720–2730, doi:10.1093/aje/kwab152)。

4. 体重不足(痩せすぎ)

体重が極端に少ない、あるいはBMI(体格指数)が極端に低い場合、ホルモンバランスの乱れや排卵障害につながりやすく、妊娠が難しくなることがあります。体重が足りない原因としては過度なダイエットや摂食障害などが考えられ、月経不順や無月経を引き起こす恐れもあるため要注意です。

痩せすぎによる排卵障害を早期に改善するためには、栄養バランスの良い食事や適度な運動が必要ですが、摂食障害の疑いがある場合は専門医への相談が必須となります。医師や管理栄養士の指導のもとで段階的に食習慣を整え、ストレスを軽減しつつ適正体重へ近づけていくことが大切です。

5. 過剰な運動

運動習慣は健康維持に不可欠ですが、過度な運動は月経周期やホルモンバランスに悪影響を及ぼし、不妊の原因になりうるといわれています。特にマラソンや高負荷のトレーニングを連日行うような場合、エネルギー消費量が大きすぎて体の生殖機能が後回しにされてしまい、排卵が抑制されるリスクが高まります。

ノルウェーの大学による研究でも、一日あたり長時間の激しい運動を続けている女性は、適度な運動を行っている女性に比べて妊娠率が下がる傾向があると報告されています。健康維持を目的とした運動であれば、週3~4回程度の中強度トレーニングが勧められるでしょう。これくらいであれば体重やホルモンバランスの維持にプラスに働き、妊娠しやすい体作りにも役立ちます。

6. トランス脂肪酸の過剰摂取

ファストフード、スナック菓子、菓子パン、揚げ物などに含まれるトランス脂肪酸を過度に摂取すると、排卵の乱れを引き起こす可能性があります。トランス脂肪酸の過剰摂取はインスリン抵抗性の悪化や慢性的な炎症を促進し、結果的に妊娠成立を妨げるリスクを高めると考えられます。

とくに炭水化物を健康的な穀物(全粒粉など)に置き換えるのではなく、トランス脂肪酸を多く含む食品ばかり選んでいる場合、卵巣機能に悪影響が出やすいと指摘されています。「どうしても揚げ物やスナックを食べたい」というときは、オーブンで焼く料理に変える、植物由来の良質な油(オリーブオイルなど)を使用する、あるいは果物・ヨーグルト・ナッツ類など、より健康的なおやつを取り入れることを検討してみましょう。

妊娠力を高めるためのポイント

1. 男性に推奨される対策

  • 喫煙・飲酒・薬物の制限
    男性の喫煙や過度な飲酒は、精子の数や運動率を低下させる可能性があります。薬物乱用はさらに深刻な影響を及ぼすため、避けることが望ましいとされています。
  • 熱による精巣へのダメージを避ける
    精子は体温より少し低い温度環境で最適に生成されます。長時間の熱いお風呂やサウナ、ノートPCを膝の上に置く習慣は、精巣温度の上昇につながりやすいため注意が必要です。
  • 栄養摂取と受診の重要性
    精子の質を高める食品として、亜鉛を多く含む牡蠣、サーモンやマグロなどの魚類、クルミ、フルーツなどがよく挙げられます。もし何らかの異常を疑う場合は、泌尿器科や不妊外来などで「精液検査」を受けることを検討しましょう。早めに検査を受けることで、精子数や運動率を確認でき、対策を立てやすくなります。

2. 女性に推奨される対策

  • 排卵日を把握する
    排卵日は生理開始日からおおむね14日前後とされますが、体調や生活習慣によって変動します。排卵検査薬を使う、基礎体温を測定する、スマホアプリで記録管理するなど、より正確に排卵日をつかむ工夫をしましょう。
  • 体重管理
    過度な肥満も痩せすぎと同様、ホルモンバランスを乱しやすくなります。BMIが高すぎたり低すぎたりする場合は、医師や管理栄養士と相談しながら適正体重へ近づくことが望ましいです。妊娠を望んでいる方は、極端なダイエットではなく、栄養バランスを考えた食事と適度な運動による健康的な体重コントロールを心がけましょう。
  • 異常を感じたら早めに受診
    1年間以上避妊なしで性交渉を続けても妊娠しない場合、不妊の可能性があると考えられます。年齢や健康状態によってはさらに早めに相談したほうが良いケースもあります。婦人科や不妊専門クリニックで血液検査や超音波検査、卵管通水検査などを行い、障害となる原因を迅速に特定することが大切です。

研究データから見る不妊の実態と留意点

世界保健機関(WHO)が2023年に公表した大規模な解析レポート(Infertility prevalence estimates, 1990–2021: a systematic review and meta-analysis)によると、世界的に見ても不妊に悩むカップルの割合は依然として高く、先進国・途上国問わず多くの夫婦がこの問題に直面しています。日本国内でも晩婚化やライフスタイルの変化と相まって、不妊治療を行う人が増加傾向にあります。このレポートでは「早期の検査と医療相談が妊孕性低下の進行を防ぐうえでカギとなる」と示されています。

さらに2021年に発表された前向き研究(Wesselink, A. K. ら 2021, American Journal of Epidemiology, 190(12), 2720–2730)では、「精神的ストレスが高いグループほど受胎率が低下する」という実証データが得られました。こうした研究結果は、ストレスケアと日常生活管理が妊娠を望む人々にとって非常に重要な課題であることを裏づけています。

妊娠を望む方への推奨事項

  • 生活習慣を整える
    食事・睡眠・運動のバランスを見直し、BMIが極端に高くも低くもならないように心がけましょう。トランス脂肪酸の摂取を控え、野菜・果物・魚などの栄養バランスに優れた食品を積極的に取り入れるのがおすすめです。
  • メンタルヘルスの維持
    過度なプレッシャーやストレスは男女ともに妊娠率を下げる要因となります。カウンセリングやリラクゼーション法(深呼吸、瞑想、軽いストレッチなど)も取り入れ、自分に合ったストレス解消法を見つけましょう。
  • 適度な運動
    運動がまったくないのも問題ですが、過度な運動はホルモンバランスを崩しかねません。週3~4回程度の適度な有酸素運動やストレッチなど、無理のない範囲で継続しましょう。
  • 受診タイミングの検討
    1年を目安に自然妊娠が成立しない場合、早めに夫婦そろって検査を受けることを検討してください。年齢が高いほど妊娠の確率は下がる傾向にあるため、特に35歳を超える方は半年程度で成果が出ないようなら受診を検討することが推奨される場合もあります。

結論と提言

妊娠しにくい原因は、排卵日把握のずれや日常でのストレス、体重管理、運動のしすぎ、不適切な潤滑剤の使用、トランス脂肪酸の過剰摂取など、多岐にわたります。男性側の要因としてはストレスや生活習慣、精子の生成に影響する要素があり、女性側の要因としてはホルモンバランスや体重、運動量、食事内容などが深く関係してきます。

大切なのは、「どの要素が自分たちの妊娠を妨げているか」を早めに見極めることです。1年以上妊娠に至らない場合や年齢的なリスクが高まっている場合は、産婦人科や不妊治療専門のクリニックを受診し、原因を客観的に把握する必要があります。生活習慣の改善を試みてもなかなか妊娠に至らない場合は、医療的アプローチが有効な可能性が高いです。

また、「仕事が忙しい」「情報が多すぎて混乱する」などの理由で自己流に走ると、かえって時間を失う結果にもなりかねません。医師や専門家のサポートを受け、パートナーと協力しながら着実に原因を潰していくことが近道です。

留意事項

  • 本記事の内容は参考情報であり、医療専門家による診断や治療方針の代替にはなりません。
  • 体調や既往症によっては本記事で取り上げた内容が当てはまらない場合もあります。必ず担当医や専門家にご相談ください。
  • 妊娠を望む過程で生じる不安やストレスは決して軽視できない要素です。必要に応じてカウンセリングやメンタルヘルス専門家の支援を受けることをおすすめします。

参考文献

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