妊娠中の咳に効果的な飲み物とは?安全で効果抜群の10のドリンクを紹介
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妊娠中の咳に効果的な飲み物とは?安全で効果抜群の10のドリンクを紹介

はじめに

妊娠中はホルモンバランスや体内環境が大きく変化するため、体の抵抗力が低下しやすく、咳や風邪などの呼吸器症状にかかりやすい状態になります。特に「薬を飲むと胎児に影響があるのでは?」と心配して、できるだけ薬を避けたいと考える方も多いでしょう。そこで本記事では、妊娠中の咳をやわらげるといわれる10種類の飲み物を中心にご紹介します。いずれも家庭で比較的手軽に試せるものですが、個人差や体調によっては症状が改善しにくい場合もあります。深刻な症状や高熱、呼吸困難などを伴うときは早めに受診してください。

免責事項

当サイトの情報は、Hello Bacsi ベトナム版を基に編集されたものであり、一般的な情報提供を目的としています。本情報は医療専門家のアドバイスに代わるものではなく、参考としてご利用ください。詳しい内容や個別の症状については、必ず医師にご相談ください。

以下で紹介する飲み物は「咳をやわらげるとされる民間的・伝統的な療法」に基づくものですが、医薬品ではないため、妊娠中のすべての方に対して必ず安全・有効とは限りません。自己判断だけで進めず、必要に応じて専門家の助言を受けるようにしましょう。

専門家への相談

本記事は、主に伝統的な知見や一般的に知られる自然食品の効果に基づいてまとめた情報です。なお、咳の原因や症状は多岐にわたり、重症化すると母体・胎児ともに影響が及ぶ可能性があるため、疑わしい症状が出たら早めに産科医や内科医にご相談ください。本記事作成にあたり、医療の専門家としてBác sĩ CKI Võ Thị Nhung(Y học cổ truyền · Quân Y Viện 7A)による助言が参照されましたが、実際の治療方針や服薬に関しては、必ず担当医へ確認するようにしてください。

妊娠中の咳はなぜ起こりやすいのか

妊娠すると体内のホルモンバランスが変動し、鼻や喉の粘膜が敏感になりやすいとされています。また、胎児を優先的に守るために身体の免疫バランスも変化し、外からのウイルスや細菌への抵抗力が弱まることがあります。その結果、ちょっとした刺激や感染でも咳が出やすくなるのです。さらに、妊娠初期にはつわりなどで栄養・水分補給が十分に行き届かず、喉の乾燥や免疫力の低下が進むと、咳が長引くことにもつながります。

1. ハチミツ入りカラマンシー(タック)蒸し

なぜおすすめ?

日本ではあまり馴染みがないかもしれませんが、ベトナムや一部アジア圏でよく知られるカラマンシー(いわゆるタックやライムの仲間)は、ビタミンCや独特の精油成分が豊富で、喉の不快感を和らげたり、風邪に伴う症状を緩和すると言われています。加えて、ハチミツには殺菌作用や抗炎症作用があるため、喉の刺激による咳をやわらげる効果が期待できます。

材料

  • カラマンシー(タック) 5個
  • ハチミツ 約20ミリリットル

作り方

  1. カラマンシーを洗い、半分に切ります(皮・種はそのまま)。
  2. 耐熱容器に入れ、ハチミツをかけて全体になじませます。
  3. 鍋や蒸し器を使って容器ごと15分ほど蒸します。
  4. 蒸し上がったら少し冷まし、そのままスプーンなどで果汁とハチミツを混ぜ合わせます。

飲み方・ポイント

  • 温かい状態で、カラマンシーの果肉ごとスプーンで少しずつすくって食べるようにすると喉に広がりやすく効果的です。
  • 1日2~3回を目安に、3~4日続けてみましょう。
  • ハチミツには抗菌作用があるとされていますが、重篤な感染症を起こすほどの効き目を保証するものではありません。不安な方は医師の判断を仰ぐと安心です。

※なお、1歳未満の乳児がいる家庭ではハチミツの取り扱いに注意が必要ですが、妊婦自身が摂る分には通常問題ありません。

ハチミツに関する研究補足

2022年に Pediatrics Infectious Disease Journal に掲載されたメタアナリシス(doi:10.1097/INF.0000000000003300)では、小児の咳症状を緩和する手段としてハチミツの有用性が示唆されています。妊娠中に直接の比較研究は少ないものの、喉の保護や殺菌効果への期待は専門家の間でも一定の評価があります。ただし、体質によって合う合わないがあるため、症状が長引く際は必ず受診しましょう。

2. ターメリックミルク(ウコン入りミルク)

なぜおすすめ?

いわゆる「ゴールデンミルク」として海外でも知られており、ウコンに含まれるクルクミンが抗酸化作用や抗炎症作用を持つとされています。妊娠中は免疫バランスが崩れやすいことから、身体を温めたり感染を抑えるサポートとして用いられることがあります。

材料

  • ウコンパウダー 小さじ1/2(約2~3グラム)
  • ミルク 200ミリリットル(無糖または好みの種類でOK)

作り方

  1. 小鍋に牛乳を入れて弱火で温めます。
  2. 牛乳が軽くフツフツするくらいになったらウコンパウダーを加え、よくかき混ぜます。
  3. 沸騰寸前で火を止め、少し冷ましてから飲みやすい温度でいただきます。

飲み方・ポイント

  • 朝と寝る前など、1日2回を目安に3日ほど継続してみると咳の緩和を期待できます。
  • 糖尿病や妊娠糖尿病の疑いがある場合、砂糖や加糖ミルクは避けましょう。

ウコンに関する研究補足

抗炎症効果が期待されるウコンですが、濃度が高すぎると胃腸へ刺激となる可能性があります。短期間の利用は比較的安全とされる一方、長期・過剰摂取は推奨されません。必ず適量を守り、症状が重い場合は医師のアドバイスを受けましょう。

3. 大根のしぼり汁+生姜+ハチミツ

なぜおすすめ?

大根は古くから東洋医学で「肺を潤し、咳を鎮める」食材とされてきました。実際、ビタミンCや酵素が多く含まれ、喉の粘膜を保護すると考えられています。これに、抗炎症作用が期待できる生姜、そしてハチミツを合わせることで、さらに効果的な飲み物に仕上がります。

材料

  • 大根 1本(中サイズ)
  • ハチミツ 大さじ2
  • 生姜 1かけ

作り方

  1. 大根を洗って皮をむき、小さめにカットしてジューサーなどでしぼり汁を作ります。
  2. 生姜は皮をむいてみじん切り、またはすりおろします。
  3. 小鍋に大根のしぼり汁と生姜を入れて弱火で加熱します。
  4. ふつふつしてきたら火を止め、ハチミツを加えて混ぜます。
  5. 茶こしなどで生姜のかすを漉し、保存容器に入れて冷蔵庫で保管します。

飲み方・ポイント

  • 1回あたり5~10ミリリットル程度をお湯で薄めて、1日2回ほど飲みます。
  • 3日ほど続けると咳の軽減を感じやすいでしょう。
  • 胃腸が弱い方は生姜の量を控えめにし、刺激が強いと感じたら服用を中止することも検討してください。

4. オレンジピールティー(みかんの皮を使う場合も可)

なぜおすすめ?

柑橘類の皮にはビタミンCやフラボノイドが含まれ、喉の腫れや炎症を抑えると考えられています。加えて、みかんやオレンジの皮には独特の香り成分があり、リラックス効果も期待できます。妊娠中はストレスがかかりやすい時期なので、リラックスしながら咳を和らげるにはぴったりです。

材料

  • オレンジまたはみかんの皮 適量
  • ハチミツまたはレモン汁(お好みで)

作り方

  1. 皮をむいたオレンジやみかんの外皮をしっかり洗い、塩や重曹を使って表面をこすり、農薬や汚れを念入りに落とします。
  2. 皮をオーブンまたはフライパンなどで焦がさないように軽く加熱・乾燥させます。
  3. 細かく刻み、ティーポットに入れます。
  4. 熱湯を注いで7分ほど蒸らしたら完成です。

飲み方・ポイント

  • 仕上げにハチミツを加えると、味がまろやかになり飲みやすいです。
  • ビタミンCを補給したい場合は、レモン汁を少量加えてもOK。
  • 柑橘類の皮には残留農薬が付着しやすいので、必ず信頼できるところで買ったものを十分に洗浄して使いましょう。

5. レモン湯(レモン+お湯+ハチミツ)

なぜおすすめ?

ビタミンCとハチミツの組み合わせは、喉の炎症を和らげながら免疫機能の底上げを図る伝統的な方法として知られています。また、レモンの酸味が唾液の分泌を促し、乾燥気味の喉を潤す効果も期待できます。

材料

  • レモン 1個
  • ハチミツ 小さじ1~2
  • お湯 約100ミリリットル

作り方

  1. レモンをよく洗い、水気を拭いてから輪切りまたは絞りやすいようにカットします。
  2. カップにお湯を注ぎ、レモン汁を加え、ハチミツを溶かします。
  3. レモンの皮ごと使う場合は、必ずワックスや農薬がないものを選び、よく洗浄してください。

飲み方・ポイント

  • レモンの酸で胃が刺激されることがあるため、空腹時の摂取には注意しましょう。
  • 1日1~2杯を目安に継続することで、咳の軽減をサポートします。

6. ナシのコンポート(氷砂糖または砂糖を少量使用)

なぜおすすめ?

ナシは「肺を潤す」食材として漢方でも頻繁に登場し、咳を鎮める働きがあると古くから伝えられています。ビタミンやミネラル、食物繊維が豊富なため、妊娠中の栄養補給としても優秀です。

材料

  • ナシ 1個
  • 氷砂糖または砂糖 小さじ1弱

作り方

  1. ナシを洗い、皮をむいて角切りにします。
  2. 耐熱容器にナシと砂糖を入れ、蒸し器または電子レンジでナシがしんなりするまで加熱します。
  3. ナシの果汁がたっぷり出たら、そのままスプーンで食べてもよいですし、果汁を飲んでもOKです。

飲み方・ポイント

  • 1日3回ほど、温かいうちに少量ずつ食べたり汁を飲んだりしてください。
  • 寒気が強い咳(冷えによる咳)の場合は、生姜を少量加えて蒸しても良いでしょう。
  • 下痢気味の場合は一時的に控えるほうが無難です。

7. 生姜湯(ジンジャーティー)

なぜおすすめ?

生姜にはジンゲロールやショウガオールといった成分が含まれ、身体を温め、抗炎症作用があると考えられています。妊娠中の冷えと喉の痛みを同時にケアしやすい手段として、多くの国で利用されています。

材料

  • 生姜 1かけ(2センチ程度)
  • お湯 150ミリリットル

作り方

  1. 生姜の皮をむき、薄切りやすりおろしにします。
  2. カップに生姜を入れ、熱湯を注いで10分ほど蒸らします。

飲み方・ポイント

  • 飲む直前にハチミツやレモン汁を足すと、さらに喉への効果を感じやすいです。
  • 妊娠中の胃が弱い方は、量を控えめに。刺激を感じる場合は摂取を中断してください。

生姜に関する研究補足

2021年に The Journal of the American Board of Family Medicine に掲載されたメタアナリシス(doi:10.3122/jabfm.2021.01.200261)によれば、妊婦の悪心・嘔吐軽減を目的に生姜を使うと一定の有効性が認められると報告されています。咳への直接的な研究は限定的ですが、抗炎症作用や血行促進作用を考慮すると、身体を温めることで咳が出にくくなる可能性も示唆されています。

8. ドクダミ科ハーブ(ベトナムで「ディエップカー」と呼ばれる)のお茶

なぜおすすめ?

日本でもドクダミやシソなど、呼吸器や皮膚トラブルを軽減するとされるハーブは存在します。ここではベトナムで古くから伝統医療に用いられているディエップカー(英名:Houttuynia cordata)を例に挙げます。抗菌・抗炎症作用が期待され、咳や喉の腫れを緩和する民間療法としても知られています。

材料

  • ディエップカーの葉 ひとつかみ
  • 米のとぎ汁(2回目のもの)1カップ

作り方

  1. ディエップカーの葉を水で洗い、ミキサーやすり鉢でペースト状にします。
  2. 鍋に米のとぎ汁とディエップカーを入れ、弱火で煮ます。
  3. 沸騰後、漉して液体のみを取り出します。

飲み方・ポイント

  • あたたかい状態を1日2回に分けて飲むのがおすすめです。
  • 1週間程度続けると咳の出方が軽くなることが多いですが、味や香りが苦手な方もいるため無理は禁物です。

9. こまめな白湯の摂取

なぜおすすめ?

一番シンプルながら意外と見逃されがちなのが、白湯をこまめに飲む方法です。妊娠中は何かと水分不足を起こしやすく、喉が乾燥すると咳が出やすくなります。白湯を飲むことで喉を適度に潤し、粘膜の乾燥を防ぎながら、体のめぐりをよくする効果も期待できます。

飲み方・ポイント

  • 大きめのコップを用意し、少量ずつ頻回に飲む習慣をつけましょう。
  • 冷たい水より温かい水のほうが粘膜への刺激が少なく、体を冷やしにくいのでおすすめです。
  • もし白湯だけでは味気ないと感じる場合は、レモンの薄切りを浮かべたり、ごく少量のハチミツを入れたりしても構いません。

10. 韮(ニラ)に似た「ハイアム」(ハーブ)と氷砂糖の蒸し煮

なぜおすすめ?

東南アジアでは「韮(にら)に似た強い香りを持つハーブ(hẹと呼ばれることもある)」が使われることがあります。抗菌・消炎作用が期待され、特に喉から来る痰の絡む咳に良いとされてきました。加熱によりクセが多少やわらぎ、苦手な方でも飲みやすいといわれています。

材料

  • ハイアム(または韮に近いハーブ) ひとつかみ
  • 氷砂糖 小さじ1~2

作り方

  1. ハーブを洗って短めに切ります。
  2. 耐熱容器に入れ、氷砂糖を加えます。
  3. 蒸し器や湯せんで10分ほど蒸し、柔らかくなったら完成です。

飲み方・ポイント

  • 蒸し上がった液をスプーンで少量ずつすくって飲むほか、葉の部分を一緒に食べても構いません。
  • 1日3回程度を数日間続けると、痰の切れがよくなるといわれています。
  • 匂いが気になる方は生姜やレモン汁を少し加えると飲みやすくなります。

まとめ・症状がひどい場合は早めに受診を

上記で紹介した10種類の飲み物は、いずれも民間や伝統的な知識に基づいて「喉や気管支をやわらげる」効果が期待されるものばかりです。実際に妊娠中の軽度の咳であれば、これらの方法を試すことで症状が緩和する方も多いでしょう。ただし、次のような場合には自己判断をせず、必ず医師に相談してください。

  • 高熱がある、強い倦怠感がある
  • 咳が長期化し、夜間に眠れない
  • 痰に血液が混ざる、息苦しさがひどい
  • 胸の痛みやその他の呼吸器症状が強い

特に妊娠初期や妊娠後期は、母体だけでなく胎児への影響も大きくなりがちです。重大な感染症などを見逃さないためにも、異変を感じたら受診を優先するようにしましょう。

咳が出るときに気をつけたいこと

  • 十分な休息と睡眠
    妊娠中は体力が低下しやすいため、免疫力を保つうえでしっかりと睡眠時間を確保することが重要です。
  • バランスのとれた食事
    タンパク質、ビタミン、ミネラルをバランスよく摂取し、免疫機能をサポートしましょう。
  • マスクの着用や手洗いの徹底
    呼吸器症状の悪化や他のウイルス感染を防ぐためにも、外出時はマスクを活用し、帰宅後は手指衛生を徹底します。
  • 部屋の湿度を適切に保つ
    乾燥した環境は咳を悪化させる要因になるため、加湿器を使うなどして湿度を保ちましょう。

妊娠中の咳に関する追加アドバイス

  • 中期~後期になるとお腹が大きくなるため、横になるだけでも苦しく、咳が出るとさらに辛いことがあります。夜間の咳がひどいときは、枕やクッションで上半身を少し起こした姿勢にして眠ると、喉と気管支への圧迫が減り楽になる場合があります。
  • 「薬を一切避ける」のではなく、症状の程度によっては産科医と相談のうえ、妊娠中でも比較的安全とされる咳止めや去痰薬を処方してもらうことも選択肢の一つです。

参考文献

免責事項

本記事は情報提供を目的としたものであり、医療従事者による診断・治療の代替ではありません。症状の原因や重症度は個々によって異なり、妊娠中は特に慎重な判断が求められます。ご自身の状態に不安がある場合は、早めに医師に相談してください。

最後に

妊娠中に咳が続くと体力的・精神的につらいだけでなく、胎児への負担を心配する方も少なくありません。今回ご紹介した飲み物は、あくまで民間療法・伝統的な知見に基づくもので、軽度の咳に対する対処法として検討の余地があります。一方で、発熱や呼吸困難などの重い症状があれば、一刻も早く産科もしくは内科を受診してください。

本記事の内容はあくまで参考情報としてご利用いただき、最終的な判断や治療は必ず専門家とご相談ください。

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