妊娠中の尿酸値が高いと言われたら?原因・リスク・対策を専門医が徹底解説
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妊娠中の尿酸値が高いと言われたら?原因・リスク・対策を専門医が徹底解説

妊婦健診で「尿酸値が高いですね」と指摘され、不安に感じている方もいらっしゃるかもしれません。一般的に「尿酸」と聞くと、多くの人が「痛風」を連想し、中高年男性の健康問題というイメージを持つのではないでしょうか。しかし、妊娠中の尿酸値は、痛風とは全く異なる文脈で、お母さんと赤ちゃんの健康状態を知るための非常に重要な指標となります。本稿は、JapaneseHealth.org編集委員会が産婦人科、内科、栄養学の専門家の知見を結集し、妊娠中の高尿酸血症について、現在得られている最新の科学的根拠に基づき、網羅的かつ詳細に解説します。なぜ妊娠中に尿酸値が注目されるのか、その背景にある生理学的な変化から、高尿酸血症がもたらす可能性のある危険性、そして日本の医療現場で行われている実際の管理方法、さらにはご自身でできる安全な対策まで、専門的な内容を分かりやすく、丁寧に紐解いていきます。この記事が、不安を抱える妊婦さんとそのご家族にとって、正確な知識を得て、安心して医療チームと連携するための確かな一助となることを心から願っています。

この記事の科学的根拠

本記事は、明示的に引用された最高品質の医学的根拠にのみ基づいて作成されています。以下は、提示された医学的指導に直接関連する実際の情報源のみを一覧にしたものです。

  • 日本妊娠高血圧学会および日本産科婦人科学会: 本記事における妊娠高血圧症候群の管理、重症度判断、および予後予測マーカーとしての尿酸値の活用に関する記述は、これらの学会が発行する「妊娠高血圧症候群の診療指針」1921および「産婦人科診療ガイドライン」2223に基づいています。
  • 国際的な研究論文 (PMC, PubMed等掲載): 妊娠高血圧腎症(Preeclampsia)や胎児発育不全(FGR)のリスク予測因子としての尿酸値の具体的な数値(例:5.2 mg/dL)4や、妊娠初期の尿酸値と将来の合併症との関連性518に関する記述は、査読済みの国際的な学術論文を情報源としています。
  • 米国産科婦人科学会 (ACOG): 日本の診療方針との比較のために言及されている米国のガイドラインに関する情報は、ACOGが公表している公式診療指針2526に基づいています。

要点まとめ

  • 妊娠中の高尿酸血症は「痛風」ではなく、妊娠高血圧症候群などの合併症を示唆する母子からの重要な「警告サイン」です。
  • 尿酸値の上昇は、高血圧や蛋白尿より早く現れることがあり、病態の早期発見に繋がります。
  • 治療の目的は尿酸値を直接下げることではなく、根本原因である妊娠高血圧症候群などを適切に管理し、安全な分娩時期を見極めることです。
  • 痛風の薬は胎児への安全性が未確立のため、妊娠中は絶対に使用してはいけません。自己判断での服用は極めて危険です。
  • 安全な対策として、十分な水分補給、乳製品や野菜中心のバランスの取れた食事、適度な運動が推奨されます。
  • 持続する頭痛、目の異常、上腹部痛などは危険な兆候です。すぐに産院へ連絡してください。

尿酸とは何か?痛風の原因だけではないその役割

まず、尿酸(にょうさん)そのものについて理解を深めることが重要です。尿酸とは、私たちの体内で「プリン体」という物質が分解されてできる最終産物です1。プリン体は、細胞の核にある遺伝情報(DNAやRNA)の主成分であり、細胞が新しく作られたり、エネルギーを生み出したりする際に不可欠な物質です。食品では、特に細胞数の多いレバーや魚の干物などに多く含まれていますが、体内で作られるプリン体の方が食事から摂取するものよりずっと多いことも知られています2
通常、体内で生成された尿酸は血液に溶け込み、主に腎臓から尿として排泄されることで、体内の尿酸値は一定の均衡に保たれています。しかし、何らかの理由で尿酸が過剰に作られたり、排泄がうまくいかなくなったりすると、血液中の尿酸濃度が高くなります。これが「高尿酸血症」です。
ここで重要なのは、尿酸の持つ二面性です。血中の尿酸値が極端に高くなると、溶けきれなくなった尿酸が結晶化し、関節に沈着して激しい痛みを引き起こす「痛風発作」の原因となります。これが、尿酸に対する一般的な否定的な印象の源でしょう。しかし、その一方で、尿酸は体内において非常に強力な「抗酸化物質」として機能するという、生命維持に不可欠な役割も担っています1。抗酸化物質は、細胞を傷つけ、老化や様々な病気の原因となる活性酸素から体を守る働きをします。
この「痛風の原因」と「生命維持に必要な抗酸化物質」という二つの顔を理解することが、妊娠中の尿酸値の変動とその意味を正しく捉えるための第一歩となります。妊娠中に尿酸値を測定するのは、痛風の危険性を評価するためではありません。それは、妊娠という特殊な環境下で、母体と胎盤、そして胎児の間で何が起きているかを探るための、重要な「信号」を読み取るためなのです3

正常妊娠における尿酸値の自然な推移

妊娠期間中、女性の体は動的に変化します。ホルモンバランス、血液量、腎臓の働きなど、あらゆる機能が胎児を育むために最適化されていきます。血清尿酸値も、この劇的な変化の影響を受け、妊娠週数に応じて特徴的な様式で変動します。この生理的な変動を理解することは、異常値を正しく判断するための大前提となります。

妊娠初期の低下:なぜ尿酸値は下がるのか

妊娠が成立すると、まず最初に観察されるのが血清尿酸値の顕著な低下です4。非妊娠時の女性の正常値は様々ですが、妊娠初期にはしばしば3.0 mg/dL 以下にまで下がることが報告されています4。日本の研究でも、妊娠初期の平均値が3.16 mg/dLであったという報告があり、この現象は日本人妊婦においても同様であることが確認されています6
この尿酸値の低下は、主に二つの生理的な変化によって引き起こされます。

  • 女性ホルモン(エストロゲン)の尿酸排泄促進効果:妊娠によって急増するエストロゲンには、腎臓での尿酸の排泄を促す作用(尿酸排泄促進作用)があります4
  • 腎血流量と糸球体濾過量(GFR)の増加:妊娠中は胎児への栄養供給と老廃物処理のため、全身の血液量が増加します。それに伴い、腎臓を流れる血液の量(腎血流量)と、腎臓が血液をろ過する能力(糸球体濾過量、GFR)が、非妊娠時に比べて最大で50%も増加します7。これにより、尿酸がより効率的に体外へ排泄されるようになります4

この初期の低下は、母体が妊娠に適応している健全な徴候の一つと捉えることができます。

妊娠中期から後期にかけての上昇

妊娠初期に低下した尿酸値は、妊娠中期(17週頃)から安定し、その後、妊娠後期から臨月にかけて徐々に上昇に転じます5。分娩時には4.0 mg/dL から 5.0 mg/dL、あるいはそれ以上の値に達することも珍しくありません4
この後期の上昇にも明確な理由があります。

  • 相対的な腎クリアランスの低下:妊娠初期に亢進した腎臓の尿酸排泄能力が、後期になると相対的に落ち着いてくるためです6
  • 胎児および胎盤由来の尿酸産生増加:胎児が大きく成長し、胎盤の代謝が活発になるにつれて、胎児側で産生されるプリン体と、その代謝産物である尿酸の量が増加します。胎盤は尿酸を活発に輸送する機能を持っており、胎児由来の尿酸が母体血中へと移行することも、母体の尿酸値上昇の一因と考えられています8

そして分娩直後には一時的に頂点を迎え、その後、産褥期(分娩後の回復期間)を経て徐々に非妊娠時の水準へと戻っていきます10
このように、妊娠中の尿酸値は一本の線で「正常・異常」を判断できるものではなく、妊娠週数という時間軸の中で動的に変動する「動く基準値」であることを理解することが極めて重要です。この生理的変動こそが、過去の研究で尿酸値の臨床的有用性について議論が分かれた一因でもあります。妊娠週数を考慮せずにデータを解析した研究では、後期に自然に上昇した値を「異常」と誤認し、結果として尿酸値は信頼性の低い指標であると結論付けてしまう可能性があったのです4。現代の産科医療では、この週数ごとの変動を前提として、個々の妊婦さんの値を評価しています。

表1: 妊娠中の血清尿酸値の週数別参考基準範囲

以下の表は、複数の研究報告4を基に作成した、正常妊娠における血清尿酸値の週数ごとの大まかな参考範囲です。これはあくまで目安であり、個々の値の解釈は必ず主治医の判断を仰いでください。

妊娠期間 血清尿酸値の参考範囲 (mg/dL) 主な生理的背景
妊娠初期 (~16週頃) 2.0−4.0 エストロゲンの影響と腎血流量の増加により、尿酸排泄が亢進し、値は最も低くなる。
妊娠中期 (17~28週頃) 2.5−4.5 尿酸値は安定期に入るが、徐々に上昇傾向が見られ始める。
妊娠後期 (29週~臨月) 3.5−5.5 (あるいはそれ以上) 胎児・胎盤からの尿酸産生増加と、相対的な腎排泄能の低下により、値は上昇を続ける。

妊娠高尿酸血症:尿酸値が高いとはどういう状態か

妊婦健診で「尿酸値が高い」と指摘された場合、それは具体的にどのような状態を指すのでしょうか。この節では、妊娠高尿酸血症の定義とその原因について掘り下げます。

妊娠における「高尿酸血症」の定義の難しさ

まず理解しておくべき重要な点は、妊娠中の高尿酸血症には、世界的に統一された明確な定義が存在しないということです11
一般的に、痛風や生活習慣病の文脈で使われる高尿酸血症の診断基準は、血清尿酸値が 7.0 mg/dL を超える場合です12。この7.0 mg/dL という数値は、血液中で尿酸が飽和し、結晶化しやすくなる物理化学的な限界値(溶解度)に由来しており、痛風発作の危険性管理を目的として設定されています13
しかし、妊娠中においては、この基準は必ずしも適切ではありません。なぜなら、前述の通り、妊娠中の尿酸値は、痛風の危険性としてではなく、母体や胎児の合併症の危険性を予測する指標として注目されているからです。そのため、臨床研究や実際の医療現場では、合併症の危険性が上昇し始めるとされる、より低い値が境界値として用いられることが多くあります。
具体的には、以下のような様々な基準値が研究で用いられています。

  • 妊娠高血圧腎症の危険性予測として 5.2 mg/dL4
  • 妊娠糖尿病合併例での母児合併症予測として 5.0 mg/dL11
  • 妊娠初期(第1三半期)における将来の妊娠高血圧腎症の危険性予測として 3.56 mg/dL を超える場合5

このように、どの合併症の危険性を、どの妊娠週数で評価するかによって、臨床的に意味を持つ「高い」の基準値が変わってくるのです。この複雑さが、妊娠中の尿酸値管理の専門性を物語っています。
この現象の背景には、根本的な考え方の転換があります。妊娠中の高尿酸血症で懸念されるのは、尿酸が「結晶」となって関節に害を及ぼすことではなく、血液中に溶けている「可溶性尿酸」そのものが、より低い濃度で血管や胎盤に損傷を与える「危険信号」として機能するという考え方です。この視点の転換によって、「なぜ父の痛風は尿酸値8.0で治療開始なのに、私は5.5で『高い』と言われるのか?」という妊婦さんの素朴な疑問に、科学的な答えが与えられます。

妊娠中に尿酸値が上昇する主な原因

では、なぜ一部の妊婦さんで尿酸値が基準を超えて上昇するのでしょうか。その原因は、プリン体の多い食事の摂りすぎではなく、主に妊娠特有の病態生理に関連しています。

  • 腎臓からの排泄低下(最も重要な原因): 妊娠高尿酸血症の最も主要な機序は、腎臓からの尿酸排泄能力の低下です9。これは、後述する「妊娠高血圧腎症」の病態の非常に早い段階で現れる腎機能障害の兆候の一つと考えられています。胎盤の機能不全などによって引き起こされる全身の血管の異常が腎臓にも及び、尿酸を効率的にろ過・排泄できなくなるのです。
  • 体内での産生増加: 胎盤の形成不全に伴う組織の低酸素状態や炎症、酸化ストレスなどにより、体内の細胞が損傷を受けると、細胞の分解(新陳代謝の亢進)が進み、結果としてプリン体の分解産物である尿酸の産生量が増加します9。また、胎盤そのものも尿酸の産生源であり、胎盤機能に問題が生じると尿酸産生が亢進する可能性も指摘されています8

このように、妊娠中の高尿酸血症は、食生活の問題というよりは、むしろ水面下で進行している可能性のある胎盤や腎臓の機能不全を反映した「結果」であることが多いのです。だからこそ、産科医はこの数値を注意深く監視するのです。

重大な関連性:高尿酸血症と妊娠合併症

妊娠中の高尿酸血症がなぜこれほどまでに重要視されるのか。その最大の理由は、母体と胎児の健康を脅かす可能性のある、いくつかの重大な妊娠合併症と極めて強い関連があることが、数多くの研究によって明らかになっているからです。この節では、その科学的根拠を詳しく解説します。

4.1. 妊娠高血圧症候群(HDP)と妊娠高血圧腎症(Preeclampsia)

妊娠中の高尿酸血症と最も密接に関連するのが、妊娠高血圧症候群(Hypertensive Disorders of Pregnancy: HDP)、特にその重症型である妊娠高血圧腎症(Preeclampsia: PE)です。

強力な予測指標としての役割

高尿酸血症は、妊娠高血圧腎症(PE)において最も一貫して認められる血液検査異常の一つです14。日本の研究でも、血清尿酸値がPEの重症度や予後を予測するための有用な指標であることが確認されています15
海外の質の高い研究では、さらに踏み込んだ結果が示されています。例えば、初産婦で妊娠中に高血圧を発症した高危険群を対象とした研究では、血清尿酸値が高いと、その後に蛋白尿などを伴う本格的なPEへと進行する危険性が8倍から9倍にまで跳ね上がることが報告されています4。この研究では、血清尿酸値 5.2 mg/dL を境界値とすると、非常に高い感度と特異度でPEの発症を予測できたと結論付けています416

早期の警告サインとしての価値

高尿酸血症の臨床的な価値をさらに高めているのが、その出現時期です。多くの場合、血清尿酸値の上昇は、高血圧や蛋白尿といったPEの典型的な臨床症状が現れるよりも数週間早く、時には妊娠初期の段階から認められることがあります5。ある研究では、妊娠第1三半期(妊娠初期)の血清尿酸値が 3.56 mg/dL を超えていた女性は、そうでない女性に比べて、妊娠後期にPEを発症する危険性が約1.8倍高かったと報告されています5。これは、高尿酸血症が単なるPEの「結果」ではなく、病態の始まりを告げる「早期警告サイン」であることを強く示唆しています。

病態への積極的な関与(指標か、媒介物質か)

かつて、高尿酸血症はPEによって引き起こされる単なる「結果(指標)」と考えられていました。しかし近年の研究では、尿酸そのものがPEの病態に積極的に関与している「原因物質(媒介物質)」である可能性が強く示唆されています。尿酸には、血管の内側を覆う内皮細胞の機能を障害し、炎症を引き起こす作用があります4。この「血管内皮障害」はPEの根源的な病態そのものであり、尿酸がその引き金の一部を担っている可能性があるのです。

4.2. 胎児の健康:胎児発育不全(FGR)と低出生体重児(SGA)

母体の尿酸値が高いことは、お腹の赤ちゃんの成長にも深刻な影響を及ぼす可能性があります。

科学的根拠

複数の研究が、母体の高尿酸血症と胎児発育不全(Fetal Growth Restriction: FGR)や、在胎週数に比して体が小さい低出生体重児(Small for Gestational Age: SGA)の出産との間に強い関連があることを示しています4。その危険性は、尿酸値が正常な妊婦に比べて約1.6倍から1.7倍に増加すると報告されています417

作用機序

なぜ母体の尿酸値が胎児の発育に影響するのでしょうか。その機序として、以下の仮説が提唱されています。尿酸は胎盤を自由に通過し、胎児の血中にも移行します4。実験室段階の研究では、高濃度の尿酸が、

  • 血管新生を阻害する:血管内皮増殖因子(VEGF)という、新しい血管を作るために必須の物質の働きを阻害し、胎盤での健全な血管網の形成を妨げる4
  • 栄養膜細胞の浸潤を阻害する:胎盤が子宮の壁に深く根を張り、母体から十分な血液供給を受けるための「栄養膜細胞の浸潤」という過程を妨げる4

これらの作用により、胎盤の機能が直接的に損なわれ、胎児へ十分な酸素や栄養を供給できなくなる結果、発育不全につながると考えられています。

4.3. 妊娠糖尿病(GDM)

意外に思われるかもしれませんが、高尿酸血症は妊娠糖尿病(Gestational Diabetes Mellitus: GDM)の発症とも関連しています。

関連性

特に注目すべきは、妊娠初期の血清尿酸値が高いと、その後の妊娠期間中にGDMを発症する危険性が有意に高まるという報告です18。ある大規模な研究では、妊娠初期の尿酸値が最も高い集団(3.57 mg/dL 超)の女性は、最も低い集団に比べて、肥満度(BMI)とは無関係に、GDMを発症する危険性が3.25倍も高かったとされています18

作用機序

この関連性の背景には、尿酸が体内でインスリン抵抗性(血糖値を下げるホルモンであるインスリンが効きにくくなる状態)を引き起こす作用があることが知られています4。インスリン抵抗性はGDMの根源的な病態であり、尿酸がその一因となっている可能性が考えられます。

4.4. その他の関連リスク

高尿酸血症は、早産の危険性とも関連しています。特に、妊娠高血圧に高尿酸血症が合併した場合(HU)、尿酸値が正常な妊娠高血圧の女性に比べて、早産の危険性が有意に高まることが報告されています9
このように、高尿酸血症は単一の問題ではなく、PE、FGR、GDMといった妊娠中の主要な合併症の根底に共通して存在する、一種の「ハブ」のような役割を果たしている可能性があります。これらの合併症は、それぞれが独立しているのではなく、「尿酸が引き起こす血管内皮障害、炎症、インスリン抵抗性」という共通の病態生理学的な機序によって相互に関連している、という「害の統一理論」で説明できるかもしれません。この視点は、なぜ一つの検査値異常が、これほど多様な合併症の危険信号となり得るのかを理解する上で非常に重要です。

日本における管理:臨床指針と実際の診療

血清尿酸値が妊娠合併症の重要な指標であることが分かりましたが、日本の医療現場では、具体的にどのように評価され、管理されているのでしょうか。この節では、日本の主要な診療指針に触れながら、妊婦さんが実際に受けるであろう診療の流れを解説します。これにより、ご自身の状況を客観的に理解し、医療チームとの対話を円滑にすることができます。

日本の診療における尿酸値の位置づけ

日本の産科診療において、血清尿酸値は妊娠高血圧症候群(HDP)そのものを診断するための必須の診断基準ではありません。しかし、HDPと診断された、あるいはその疑いがある場合に、その重症度を判断し、母体や胎児の予後を予測するための極めて重要な予後予測指標として広く用いられています15
高血圧が認められた妊婦さんに対して行われる血液検査の項目には、通常、血清尿酸値が含まれており、その後の管理方針を決定する上での重要な判断材料の一つとなります19

根拠となる主要な診療指針

日本の産科医がHDPの診療を行う際に主として参照するのが、以下の二つの指針です。これらの権威ある指針に沿って、全国で標準的な医療が提供されています。

  • 日本妊娠高血圧学会「妊娠高血圧症候群の診療指針2021」192021
  • 日本産科婦人科学会「産婦人科診療ガイドライン―産科編」2223

これらの指針は、最新の科学的根拠に基づいて定期的に改訂されており、日本の医療の質を担保する上で中心的な役割を担っています。

実際の管理方針:尿酸値を下げるのではなく、根本原因を管理する

ここで最も重要な要点は、高尿酸血症と診断されても、治療の主目的は尿酸値そのものを直接下げることではない、という点です。治療の焦点は、高尿酸血症の背景にある根本的な病態、すなわち妊娠高血圧症候群(HDP)の管理に置かれます。
尿酸値は、いわばHDPという病態の「体温計」や「警報機」のようなものです。熱が出た時に解熱剤で熱を下げる対症療法も重要ですが、より根本的なのは熱の原因となっている感染症を治療することです。同様に、高尿酸血症という「警報」に対して、産科医は警報を鳴らしている「火元」、つまりHDPの進行度を慎重に見極め、母体と胎児にとって最適な管理を行うのです。
具体的な管理内容は、HDPの重症度に応じて以下のように進められます。

  • 厳重な監視:定期的な血圧測定、尿蛋白検査、そして血清尿酸値、肝機能(AST, ALT)、腎機能(クレアチニン)、血小板数などを含む血液検査を繰り返し行い、病状の変化を注意深く追跡します23
  • 胎児の健康状態の評価:超音波検査による胎児の発育評価(FGRの有無)や、胎児心拍数監視(NST)などを行い、お腹の赤ちゃんが元気であるかを確認します。
  • 入院による管理:重症のHDPと判断された場合や、合併症が見られる場合には、入院管理が原則となります。入院中は、安静を保ち、血圧管理のための降圧薬投与や、けいれん発作(子癇)予防のための硫酸マグネシウム投与などが行われることがあります24
  • 分娩時期の決定:HDPの唯一の根本的な治療法は、妊娠を終了させること、すなわち「分娩」です。薬物療法などで母体の状態を管理しつつ、胎児が子宮外の生活に耐えられる週数まで可及的に妊娠を継続します。しかし、母体の状態が悪化した場合や、胎児の発育が停止したり危険な状態(胎児機能不全)に陥ったりした場合には、妊娠週数に関わらず、緊急に分娩(帝王切開など)を決定する必要があります。

この「いつ分娩に踏み切るか」という極めて重要な臨床判断を下す際に、血清尿酸値の推移は、血圧や蛋白尿、胎児の状態と並んで、非常に重要な情報となるのです。

なぜ痛風の薬は使わないのか?

「尿酸値が高いなら、痛風の薬を飲めば下がるのではないか?」と考えるのは自然な疑問です。しかし、痛風の治療に用いられる尿酸降下薬(アロプリノール、フェブキソスタット、コルヒチンなど)は、妊娠中には原則として使用されません。
その理由は、これらの薬剤の胎児に対する安全性が確立されていないためです2。特にコルヒチンについては、服用した父親から生まれた子どもに先天異常が報告された例もあり、妊娠を計画している段階から男女ともに注意が必要とされる薬剤です2。妊婦さん自身の服用は言うまでもありません。薬剤による危険性が、高尿酸血症を放置する危険性を上回る可能性があるため、産科領域では使用が避けられるのです。この事実は、患者さんの期待を管理し、なぜ医師が薬を処方しないのかを理解してもらう上で、非常に重要な情報です。

国際的な視点:米国産科婦人科学会(ACOG)との比較

日本の診療方針を理解した上で、世界の産科医療を主導する米国産科婦人科学会(ACOG)の指針と比較することで、妊娠高尿酸血症に対する考え方の普遍性と地域による差異をより深く理解することができます。このような国際的な視点を持つことは、提供される医療の背景を理解し、納得して治療を受けるために役立ちます。

ACOG指針における尿酸値の位置づけ

ACOGの最新の診療指針では、血清尿酸値(高尿酸血症)は、妊娠高血圧腎症(Preeclampsia)の診断基準からは明確に除外されています25。ACOGの定義では、PEは「高血圧」に加えて、「蛋白尿」または「蛋白尿がない場合には、血小板減少、肝機能障害、腎機能障害などの重症所見」のいずれかが存在する場合に診断されます25

ACOGが認めるその役割

診断基準から外された一方で、ACOGもまた、高尿酸血症が母体および胎児の有害事象に対する重要な危険因子であることを明確に認めています25。具体的には、高尿酸血症は低出生体重児(SGA)や早産、その他の母体合併症の危険性増加と関連していると指摘しています。
さらに、慢性高血圧の妊婦にPEが上乗せされた場合など、診断が困難な場合(diagnostic dilemmas)においては、尿酸値の測定が有用である可能性があるとも述べています2627

日本の診療との微妙な違い

ここから見えてくるのは、日本と米国での取り組み方の微妙な、しかし重要な違いです。

  • ACOGは、尿酸値を病気の「定義」からは外し、客観的な診断基準をより厳密にしようとしています。
  • 日本の診療は、尿酸値を診断基準そのものには含めないものの、病態の進行度や予後を判断するための「臨床指標」として、より積極的に活用していると言えます。

ただし、これはどちらかが正しくてどちらかが間違っているという話ではありません。実臨床における最終的な成果は非常に似ています。つまり、日米どちらの体制においても、「妊娠中の高血圧に高尿酸血症が合併した場合は、危険な兆候であり、より厳重な管理が必要である」という認識は共通しているのです。この形式的な分類の違いよりも、臨床現場での共通認識の方が、妊婦さんにとってはるかに重要と言えるでしょう。

表2: 妊娠高血圧における血清尿酸値の臨床的意義:日本と米国(ACOG)の視点の比較

視点 日本の診療における位置づけ 米国ACOG指針における位置づけ
診断における役割 妊娠高血圧症候群の診断基準には含まれないが、鑑別診断や病態把握に活用される。 妊娠高血圧腎症(Preeclampsia)の診断基準には含まれないことが明確にされている25
重症度・予後予測 重症度判定や母児の予後予測における重要な指標として広く臨床応用されている15 母体・胎児の有害事象の危険因子として重要であると認識されている25
臨床での活用 妊娠高血圧症候群の管理において、病状の推移を見るために経時的に測定されることが多い。 診断が困難な場合(Diagnostic dilemmas)での補助的な情報として有用な場合があるとされる26
総括 予後予測指標としての臨床的価値を重視。 危険因子としての重要性を認めつつ、診断定義からは分離。

この比較分析は、医療情報が国や学会によって微妙に異なる場合があることを示しています。しかし、その根底にある「母子を守る」という目的と、高尿酸血症を危険な徴候と捉える基本的な考え方は、世界共通であることを示しています。

妊婦さんができること:安全な食事と生活習慣の工夫

「尿酸値が高い」と指摘されたとき、薬物治療が基本とならない以上、食事や生活習慣で何かできることはないかと考えるのは当然のことです。ここでは、妊娠中でも安全に、かつ効果的に取り組める食事と生活習慣の要点を、科学的根拠に基づいて具体的に解説します。

1. 最も安全で効果的な基本:十分な水分補給

まず、誰でも安全に始められる最も重要な対策は、十分な水分を摂ることです。尿酸は尿とともに排泄されるため、尿量を増やすことが尿酸値を下げるための最も直接的な方法の一つです28

  • 目標量:1日に合計2リットル程度の水分摂取を目安にしましょう2。食事に含まれる水分以外に、1.2リットルから1.5リットルを意識して飲むのが良いとされています29
  • 飲み物の種類:基本は水やお茶(麦茶などカフェインの少ないもの)が最適です。糖分の多いジュースや清涼飲料水は、果糖が尿酸値を上げる可能性があるため、水分補給の目的では避けましょう30
  • 飲み方:一度に大量に飲むのではなく、コップ1杯程度を1日の中でこまめに飲むのが効果的です。

2. 妊娠中の食事:制限から均衡へ

一般的な痛風の食事指導では、プリン体を多く含む肉や魚を厳しく制限することが推奨されます。しかし、妊娠中はそのような厳しい制限は適切ではありません。タンパク質は胎児の体を作るための必須栄養素であり、良質なタンパク質源である肉や魚を過度に避けることは、かえって栄養不足を招く危険性があります32
妊娠中の食事で目指すべきは「制限」ではなく、賢い「均衡(バランス)」です。

積極的に摂りたい食品

  • 低脂肪の乳製品(牛乳、ヨーグルト、チーズ):これらは妊娠中の尿酸値対策として最も推奨される食品群です。プリン体が非常に少ない上に、牛乳に含まれるカゼインやホエイといったタンパク質には、腎臓からの尿酸の排泄を促す作用があることが分かっています34。カルシウム補給にもなり、一石二鳥です。
  • 野菜や海藻類:これらの食品は、尿をアルカリ性に傾ける働きがあります。尿が酸性だと尿酸は溶けにくく排泄されにくいのですが、アルカリ性に近づくと尿酸が溶けやすくなり、体外へ排出しやすくなります2。また、豊富なビタミン、ミネラル、食物繊維は、妊娠中の健康維持に不可欠です33
  • ビタミンCが豊富な食品:ビタミンCには、腎臓での尿酸の再吸収を抑え、排泄を助ける効果が期待できます31。パプリカ、ブロッコリー、キウイフルーツなどを食事に取り入れましょう。

上手に付き合いたい食品(適量を守る)

  • プリン体を多く含む食品:完全に断つ必要はありませんが、特にプリン体含有量が「極めて多い」とされる食品は、食べる頻度や量を控えめにすると良いでしょう(下の表を参照)。レバー類、あん肝、白子、イワシやアジの干物などがこれに該当します2。一般的な肉(牛、豚、鶏)や魚は、均衡の取れた食事の一部として、適量を摂取することが推奨されます35
  • 果糖や砂糖を多く含む飲料・食品:果糖(フルクトース)の過剰摂取は、体内で尿酸の産生を促進することが知られています30。果物そのものにはビタミンや食物繊維が含まれるため適量なら問題ありませんが、果糖が濃縮されたジュースや加糖された清涼飲料水、お菓子などの摂りすぎには注意が必要です3637

表3: 妊婦さんのためのプリン体食品の手引き

この表は、一般的なプリン体含有量リスト2を、妊娠中の栄養バランスを考慮して分かりやすく再構成したものです。「避ける」のではなく「上手に選ぶ」ための目安としてご活用ください。

カテゴリー 具体的な食品例 妊娠中の付き合い方
積極的に摂りたい食品 牛乳・ヨーグルト等の乳製品、卵、豆腐、米、パン、麺類、いも類、ほとんどの野菜(ほうれん草、カリフラワーは少量)、海藻類 栄養バランスの基本として、安心して毎日の食事に取り入れましょう。特に乳製品は尿酸排泄を助けるのでおすすめです。
均衡を考えて適量に 牛肉、豚肉、鶏肉、ほとんどの魚(カツオ、マグロ、エビなど)、ハム、ベーコン、ほうれん草、カリフラワー 良質なタンパク質源として重要です。特定の食品に偏らず、様々な種類を均衡良く、通常の1人前程度の量で摂りましょう。
時々、控えめに楽しむ レバー(鶏・豚・牛)、あん肝、白子(イサキ・タラ)、マイワシの干物、煮干し、かつお節、干し椎茸 プリン体含有量が特に多い食品です。妊娠中は栄養価が高いものもありますが、食べるとしてもごく少量、頻度を少なくするのが賢明です。

3. 適度な運動と体重管理

妊娠中の体重管理と適度な運動は、妊娠高血圧症候群の予防にもつながり、結果として尿酸値の安定にも寄与します。

  • 適切な体重増加:主治医や助産師の指導に従い、妊娠前の体格(BMI)に応じた適切な体重増加を目指しましょう。急激な体重増加は体に負担をかけます。
  • 運動の種類:ウォーキングやマタニティスイミング、ヨガなどの軽度な有酸素運動が推奨されます38。これらは血行を改善し、ストレス解消にも役立ちます。
  • 避けるべき運動:息が切れるような激しい運動や無酸素運動(短距離走や筋力トレーニングなど)は、一時的に体内で乳酸が増え、尿酸の排泄を妨げて尿酸値を上昇させる可能性があるため、避けましょう30。運動中は脱水を防ぐため、こまめな水分補給が必須です。

これらの対策は、尿酸値を下げることだけを目的とするのではなく、あくまでも「健康的な妊娠生活を送る」という大きな目標の一部として捉えることが大切です。

よくある質問

Q1: 「血圧は正常なのに、尿酸値だけが高いと言われました。どういうことでしょうか?」
A: これは非常に重要なサインであり、決して軽視できません。高尿酸血症は、高血圧や蛋白尿といった妊娠高血圧腎症(PE)の典型的な症状が現れるよりも数週間早く出現することがあります5。つまり、血圧が正常な段階での高尿酸血症は、水面下でPEの病態が始まっている可能性を示す「早期警告サイン」であると考えられます。パニックになる必要はありませんが、今後、血圧が上昇してくる可能性を念頭に置き、主治医は通常よりも慎重にあなたの血圧や尿検査、赤ちゃんの状態を監視していくことになるでしょう。これは、病気を早期に発見し、適切な対応をとるための重要な機会と捉えるべきです。
Q2: 「出産すれば、尿酸値は元に戻りますか?」
A: はい、ほとんどの場合、出産後には正常値に戻ります。妊娠中の高尿酸血症や妊娠高血圧症候群の根本的な原因は、胎盤にあると考えられています。そのため、出産によって胎盤が体外に排出されると、原因が取り除かれ、母体の状態は急速に改善に向かいます。尿酸値も産褥期を経て、徐々に妊娠前の水準に戻っていくのが一般的です39。ただし、一度でも妊娠高血圧症候群を発症した方は、将来的に慢性的な高血圧や心血管疾患を発症する危険性が、経験しなかった方に比べて高いことが知られています。産後も定期的な健康診断を受け、長期的な視点でご自身の健康管理を意識することが大切です。
Q3: 「夫が飲んでいる痛風の薬を飲んでもいいですか?」
A: 絶対にやめてください。 これは極めて危険な行為です。痛風の治療に使われる尿酸降下薬は、妊娠中の胎児に対する安全性が確立されていません。中には、胎児に悪影響を及ぼす可能性が指摘されている薬剤もあります2。自己判断でいかなる薬を服用することも、お腹の赤ちゃんを危険に晒すことになりかねません。妊娠中に使用できる薬は非常に限られています。必ず、産婦人科の主治医に処方された薬のみを、指示通りに服用してください。
Q4: 「尿酸値が高い場合、どんな自覚症状に気をつければよいですか?」
A: 高尿酸血症そのものには、自覚症状はほとんどありません。注意すべきなのは、高尿酸血症が危険因子となっている妊娠高血圧腎症(PE)の症状です。以下の症状は、PEが悪化している可能性を示す危険なサインです。一つでも当てはまる場合は、次の健診を待たず、すぐに産院に連絡してください2140

  • 持続する強い頭痛
  • 目の前がチカチカする、物が見えにくくなるなどの視覚の異常
  • 右の上腹部(みぞおちのあたり)の痛み
  • 急な顔や手のむくみ
  • 吐き気や嘔吐

これらの症状は、母体や胎児の状態が急変する前触れである可能性があります。早期の連絡が、母子ともに安全な結果につながります。

Q5: 「夫の尿酸値が高いのですが、妊娠に影響はありますか?」
A: これは比較的新しい研究分野ですが、近年、男性側の高尿酸血症が、不妊治療の成績に影響を与える可能性が指摘されています。特に体外受精(IVF)において、男性パートナーの尿酸値が高いと、精子の質(酸化ストレスの増加など)に影響し、受精率の低下や初期の流産率の上昇と関連があるという報告が出てきています41。ただし、これはまだ研究が進められている段階であり、すべてのカップルに当てはまるわけではありません。もし不妊治療中であったり、なかなか妊娠に至らなかったりする場合で、ご主人の健康診断などで高尿酸血症を指摘されているようであれば、一度、不妊治療の専門医や泌尿器科医に相談してみる価値はあるかもしれません。

結論

本稿では、妊娠中の高尿酸血症について、その生理的な意味から、関連する危険性、そして国内外の管理方針、さらにはご自身でできる対策まで、多角的に詳しく解説してきました。最後に、健やかな妊娠・出産を迎えるために、ぜひ心に留めておいていただきたい重要な要点をまとめます。

  • 認識の転換:痛風ではなく、母子からの「サイン」と捉える
    妊娠中の高尿酸血症は、痛風とは全く異なる病態です。それは、お母さんと赤ちゃんの体内で起きている変化を知らせる重要な「警告サイン」であり、特に妊娠高血圧症候群や胎児発育不全といった重大な合併症の危険性を予測する上で、極めて価値のある指標です。
  • 監視の重要性:数値を直接治療するのではなく、病態を管理する
    医師は、尿酸値そのものを下げるために薬を使うわけではありません。血圧や他の検査値、胎児の状態と合わせて尿酸値の推移を注意深く監視することで、根本にある病態(主に妊娠高血圧症候群)の進行度を正確に把握し、母子にとって最も安全な分娩の時期を見極めようとしています。この「監視」こそが、最善の治療なのです。
  • 最も大切な行動:健診、観察、そして対話
    妊婦さんご自身ができる最も重要なことは、以下の3点に集約されます。
    1. 定期的な妊婦健診を必ず受けること。自覚症状のない異常を早期に発見するための唯一の手段です。
    2. ご自身の体の変化を注意深く観察すること。特に、頭痛や目のチカチカ、上腹部痛といった妊娠高血圧症候群の危険な徴候を見逃さないでください。
    3. 不安や疑問、体調の変化があれば、些細なことでも医療チームに伝えること。医師、助産師との率直な対話が、信頼関係を築き、最良の医療へとつながります。

「尿酸値が高い」という言葉は、不安をかき立てるかもしれません。しかし、その意味を正しく理解することは、皆さんを無力な患者から、ご自身の健康管理における積極的で、知識を持った協力者へと変えてくれます。知識は力です。この情報が、皆さんが安心して妊娠期間を過ごし、元気な赤ちゃんを迎えるための一助となることを、専門家チーム一同、心より願っております。

免責事項
本記事は情報提供のみを目的としており、専門的な医学的助言に代わるものではありません。健康に関する懸念や、ご自身の健康または治療に関する決定を下す前には、必ず資格のある医療専門家にご相談ください。

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