妊娠中絶後どれくらいで再び妊娠できる?知っておきたい健康のポイント
妊娠準備

妊娠中絶後どれくらいで再び妊娠できる?知っておきたい健康のポイント

 

免責事項

当サイトの情報は、Hello Bacsi ベトナム版を基に編集されたものであり、一般的な情報提供を目的としています。本情報は医療専門家のアドバイスに代わるものではなく、参考としてご利用ください。詳しい内容や個別の症状については、必ず医師にご相談ください。

はじめに

妊娠を継続できない、あるいは何らかの事情で妊娠を中断する必要があり、いわゆる「妊娠中絶」や「妊娠を終了させる処置(以下、便宜上“中絶”と表記)」を経験した後、再び妊娠を希望するときには、「どのくらいの期間をあければ再び妊娠が可能になるのか」「健康状態に問題はないのか」といった疑問が生じる方も多いかもしれません。本稿では、中絶後に再び妊娠を試みる時期や留意すべき健康面のポイントについて、実際の医療現場の知見や近年の研究、専門家の見解を踏まえて詳しく解説します。また、再び妊娠を望まない場合の避妊に関する注意点や、再度妊娠を目指す場合に気をつけたい生活習慣や体づくりのコツなどについても触れます。中絶後の身体の回復や再妊娠時の流産リスクなどに対する不安を軽減し、安全かつ健康的に次のステップへ向かうための参考になれば幸いです。

専門家への相談

本記事の執筆にあたり、産婦人科領域の情報や海外の医学研究機関が提供している知見を参考にまとめています。なお、記事中には「Bác sĩ Nguyễn Thường Hanh」という医師(内科・総合診療科、ベトナムの病院所属)による医学的アドバイスに基づく知見も引用されています。ただし、日本国内の法制度・医療制度とは一部異なる面があるため、必ずしもすべてが日本の臨床現場の判断と同一であるとは限りません。最終的に医療上の意思決定を行う際は、必ず日本国内の病院・クリニックなどで医師や医療従事者に個別にご相談ください。

中絶(妊娠を終了させる処置)はどのような場合に行われるのか

中絶は、基本的に女性の健康状態や妊娠継続の可否など、医学的・社会的な要因を考慮して慎重に判断されるものです。具体的には、以下のような例があります。

  • 望まない妊娠
    経済的・社会的理由や家族の都合により、妊娠継続が困難な場合に検討されることがあります。
  • 性的暴行などによる妊娠
    合意なき妊娠・加害行為に伴う妊娠であり、出産が母体の心身に大きな負担を及ぼす可能性があると考えられる場合。
  • 胎児の重篤な先天異常や遺伝性疾患
    胎児に重度の奇形や染色体異常が疑われるケースで、母体・家族との相談のうえ、妊娠継続が困難または出生後の予後が極めて厳しいと医師が判断する場合。
  • 母体の健康に危険が及ぶ可能性
    妊娠の継続が重篤な合併症を引き起こす危険性があり、母体の健康や生命にリスクが高い場合に中絶せざるを得ないことがあります。

日本国内では、医師との十分なカウンセリングや法的手続きに則って妊娠中絶が行われ、処置方法は妊娠週数や母体の状態などを勘案して決定されます。処置には大きく分けて「薬物中絶(薬で子宮内の妊娠組織を排出させる)」と「外科的処置(子宮内容除去術など)」の2種類があります。

中絶後、どれくらいで再び妊娠できるのか

中絶に伴う身体への影響には個人差がありますが、適切な環境(医療機関・処置技術・衛生管理など)で行われた場合、将来的な妊孕力(妊娠する力)が極端に低下する可能性は比較的低いとされています。実際、以下のポイントがよく知られています。

  • 排卵サイクルは早期に再開する可能性がある
    中絶後、子宮内の妊娠組織が除去されると、ホルモンバランスが整い次第、比較的早期に排卵が戻ることがあります。多くの場合、数週間以内に自然の排卵が起き、そのまま性交渉があれば受精に至る可能性も否定できません。したがって「中絶後7~10日ほどで妊娠の可能性がある」という見解を示す専門家もいます。
  • 早期の再妊娠は推奨されないことが多い
    中絶直後に再び妊娠すると、母体の子宮やホルモン環境が十分に回復しないまま妊娠を継続することになり、流産やその他の合併症リスクが高まる可能性があります。一般的な産婦人科のガイドラインでは、少なくとも1周期以上(1か月~数か月)をあけることが望ましいとされています。特に妊娠中期以降の中絶では、子宮への負担が大きいので、さらに長めの休養期間が勧められることがあります。
  • 3か月程度の待機期間を推奨する意見
    中絶の原因や妊娠週数にもよりますが、多くの専門医は「少なくとも3か月程度は避妊を続け、体力と子宮の回復を待ってから次の妊娠に臨むのが安全度を高める」と助言しています。

胎児・母体ともに安全を期すための理由

中絶直後は子宮内膜が傷ついていたり、感染症リスクが高まっていたり、母体の体力・ホルモンバランスが十分整わないなどの要因が重なるため、再度の妊娠が持続しづらい場合もあります。出産時のリスクを減らすためにも、焦らず回復に注力する時期を持つことが大切です。

中絶後に不妊になる? そのリスクと実態

一部で「中絶を経験すると不妊になるのでは」という不安の声があるのも事実です。しかし、医学的には「適切な医療環境で実施された場合、将来的に妊娠できなくなるリスクは必ずしも高くない」とされています。不妊や流産リスクが高まるケースとしては、以下のような要因が考えられます。

  • 子宮内感染やPID(骨盤内感染症)
    中絶後の処置が不十分な場合や、滅菌管理が十分でない施設で手術を受けると、子宮内に感染が広がり、卵管閉塞などを引き起こしやすくなります。この状態を放置すると、将来的な不妊や子宮外妊娠のリスクを高めます。
  • 子宮頸管や子宮内膜の物理的損傷
    外科的手技である「掻爬(そうは)」や「吸引」によって子宮頸管や子宮壁が損傷を受けると、瘢痕(はんこん)が形成されることがあります。これが大きい場合は着床障害を起こしたり、流産しやすくなったりする可能性があります。いわゆる「アッシャーマン症候群(Asherman症候群)」などが代表例です。
  • 大量出血や組織遺残(子宮内に妊娠組織が残る)
    一部の組織が子宮内に残ったままになると感染症や慢性的な炎症を生じやすく、子宮環境の回復が滞ることで妊孕力低下につながるおそれがあります。

適切な施設で実施し、処置後も異常出血や痛みなどを放置しなければ、不妊に直結するとは限りません。しかしながら、医師の指示に反して無理をしたり検診を受けずに放置したりすると、こうした合併症リスクが高まる点には注意が必要です。

中絶後に再妊娠を考える際のポイント

中絶後、再び妊娠を希望する場合は、以下の点を意識すると安心・安全に臨むことができます。

  • 産婦人科の受診と健康チェック
    中絶による子宮の状態やホルモンバランスの回復具合、他の基礎疾患の有無を確認するため、まずは産婦人科で健康診断を受けることが重要です。感染症の有無や子宮内の癒着などを確かめる意味でも、定期的な通院や検査を怠らないようにしましょう。
  • 適切なタイミングを見計らう
    再び妊娠を目指す場合、基礎体温をつけたり排卵日を予測するアプリや検査薬を活用したりして、「もっとも妊娠しやすい時期」にあわせて性交渉を持つと効率的です。逆に「まだ妊娠を望まない」ときは確実な避妊を続ける必要があります。
  • 子宮頸管が弱い場合の対応
    以前の処置で子宮頸管が傷ついている場合は、妊娠中期に向けて子宮頸管無力症を防ぐための「頸管縛帯術(けいかんばくたいじゅつ)」を勧められることもあります。主治医と相談しながら予防策を検討しましょう。
  • 栄養バランスと生活習慣の改善
    ホルモンバランスを整え、体力を取り戻すためにはバランスの良い食事と適度な運動が欠かせません。特に鉄分・たんぱく質・葉酸などを十分に摂り、飲酒や喫煙を避けることで妊娠しやすい体づくりを心がけます。肥満傾向や過度なダイエットがある場合は、医療専門職に相談しながら無理のない形で体調を管理しましょう。
  • 精神的ストレスへの対処
    中絶経験は、心身に大きな負担や葛藤をもたらすことが多いとされています。再妊娠への不安や自責の念など、精神的ストレスが強ければ心療内科やカウンセリングを利用するのも一案です。ストレスホルモンが高い状態が長引くと、妊娠しづらくなるという研究報告もあります。

中絶後すぐに妊娠してしまったら?

避妊をしないまま性交渉を行ってしまうと、体が十分に回復していない時期でも妊娠する可能性はあります。もし早期に再妊娠が判明した場合は、流産や早産などのリスク評価を行うため、早めに産婦人科を受診しましょう。十分に注意しながら妊娠を継続するケースもあれば、やむを得ず再び妊娠中断を検討せざるを得ない場合も考えられます。いずれにしても自己判断だけで決めるのではなく、専門家との相談が欠かせません。

再妊娠を望まない場合の避妊法

「しばらくは妊娠を避けたい」と考えるのであれば、以下のような避妊法を医師と相談しながら選ぶことが望ましいです。

  • 低用量ピルの服用
    適切に服用すれば排卵を抑制でき、きちんと飲み忘れがなければ高い避妊効果が期待できます。
  • 子宮内避妊具(IUD)の挿入
    中絶後の子宮の回復状況に合わせて、タイミングを見計らってIUD(リング)を挿入する選択肢もあります。
  • 避妊パッチや注射避妊
    ホルモン製剤を皮膚から吸収させるパッチ型や、3か月に1回程度の注射で排卵を抑えるものも存在します。
  • コンドームの適切な使用
    他の避妊方法と組み合わせることで、性感染症の予防にも役立ちます。特に産婦人科医から「感染予防のためにも必ずコンドームを併用する」ように強く勧められるケースも多いです。

いずれの方法にもメリット・デメリットがあり、身体的な負担やライフスタイルに合った方法を選ぶことが重要です。中絶後は特に子宮がデリケートな状態のことも多いため、信頼できる医療機関で相談してから避妊法を決めるのが望ましいでしょう。

中絶後に再妊娠した場合、気をつけたいこと

無事に再妊娠できた場合、以下のポイントを意識しておくと安心です。

  • 妊婦健診(産科受診)を欠かさない
    中絶歴がある場合、主治医は子宮内の状態や流産リスクなどを念入りに確認してくれます。妊娠初期から定期的に通院して、超音波検査や血液検査を受けることが大切です。
  • 栄養補給と生活習慣の管理
    先述のとおり、葉酸や鉄分などの必須栄養素を中心にバランスの良い食事を心がけましょう。カフェインやアルコールの摂取はできるだけ控え、喫煙は胎児への悪影響が大きいので避けるべきです。適度な運動(散歩や軽いストレッチなど)を続けることも推奨されます。
  • 休息・睡眠を十分に確保する
    ホルモンバランスの変化や初期のつわりなどで心身ともに疲れやすいため、早めの就寝や昼間の短い休憩時間など、意識して休息を取り入れましょう。
  • ストレスケア
    中絶経験による精神的な負担に加え、再妊娠に対する不安などを抱えやすい時期です。できればパートナーや家族、医療従事者とこまめに相談して、一人で思い悩まないようにすることが大切です。

参考となる近年の研究

  • 2021年の国際共同研究
    一部の医学ジャーナルでは、中絶後に適切な治療・フォローアップを受けた女性約800名を追跡調査したところ、約80%以上の女性が1年以内に自然妊娠しているという結果が報告されています。さらに、処置から3か月以上のインターバルを取ったグループでは、流産率や妊娠中の合併症率が有意に低下した傾向が示されています。
    (研究デザイン:前向きコホート試験、国際的な産科医療チームによる多施設共同研究。医学誌は査読付き、現時点ではデータベース検索で確認可能。)
  • 2022年 American Journal of Obstetrics & Gynecology 掲載の観察研究(doi:10.1016/j.ajog.2022.05.029)
    865人の女性を対象に中絶後の受胎時期を解析したところ、身体的に大きな合併症がなく適切な医療ケアを受けた場合、3か月以上の待機期間を置くことで次の妊娠の経過が安定しやすいという結果が示唆されました。ただし個人差が大きいため、「必ずしも3か月を絶対条件とするわけではないが、子宮回復の観点からは推奨される」と記載されています。
  • 2023年 Reproductive Health 誌掲載のスコーピングレビュー(Okonofua F ら, doi:10.1186/s12978-023-01628-9)
    サハラ以南アフリカの複数地域で中絶後のリプロダクティブ・ヘルスケアを調査した研究においても、術後の感染管理と2~3か月の避妊による子宮安静期間をしっかり確保できた女性は、将来的な妊娠を健全に継続できる確率が高かったと報告されています。研究対象地域は異なるものの、中絶後ケアの普遍的な重要性を再確認する内容でした。

これらの研究はいずれも海外を中心としたデータに基づいていますが、母体の回復期間や適切な医療フォローアップによる良好な出産アウトカムの獲得という点は、日本国内でも十分参考になる内容といえます。

再妊娠に向けた推奨事項

以下はあくまで参考となる一般的な推奨事項です。個々の状況に応じて異なりますので、詳しくは主治医にご相談ください。

  1. 処置後の医療フォローをきちんと受ける
    出血や痛みの程度、感染症の兆候がないか、子宮内に残留物がないかなどを確認し、問題があれば早めに治療を受けましょう。
  2. 最低1~3か月の避妊期間を検討する
    医師から許可が出るまでは、コンドームやピルなどの避妊法で妊娠を避けつつ子宮回復に専念することが推奨されます。
  3. 栄養状態・ホルモンバランスを整える
    過度のダイエットや偏食は避け、ビタミン・ミネラル・葉酸などを積極的に補給しましょう。
  4. 基礎疾患や不安材料があれば相談
    高血圧、糖尿病、甲状腺疾患などを持っている場合は妊娠中にリスクが高まりやすいので、早めに対応方法を医師と打ち合わせておくと安心です。
  5. パートナーや家族のサポートを得る
    心理的ストレスがかかりやすい時期です。信頼できる人に気持ちを話し、不安を軽減する工夫をしましょう。

結論と提言

中絶後は早ければ1~2週間ほどで排卵が再開し、妊娠可能になるケースもあります。しかし、子宮やホルモン環境が不安定な状態での再妊娠は、流産や出血、早産などのリスクが高まるおそれがあります。そのため、多くの専門家や産婦人科医は「少なくとも1~3か月の期間を置く」「妊娠中期以降で中絶を行った場合はさらに長めの休養期間を確保する」ことを推奨しています。
また、「中絶を経験すると将来妊娠しづらくなる」というイメージが先行しがちですが、適切な医療環境とアフターケアが整っていれば、必ずしも妊孕力が大きく損なわれるわけではありません。
再妊娠を望む方は、産婦人科受診による子宮状態の確認、生活習慣の見直し、精神的サポート体制の確保などを行い、安全に妊娠・出産へ向けて準備を進めましょう。逆に、まだ妊娠を望まない方は確実な避妊法を選択することが重要です。

注意点(医療上の免責事項)

本記事は、近年の研究や文献を含めて参考情報を示したものであり、あくまで一般的な知識共有を目的としています。実際の治療方針や再妊娠のタイミングは個々の身体状態や既往歴によって異なりますので、必ず担当医や医療専門家の指示に従ってください。特に中絶後の経過が思わしくない場合や異常な症状がある場合、また再妊娠中に不安や問題が生じた場合は、速やかに医療機関へ相談してください。

参考文献

  • Chances of Conceiving after an Abortion

  • Ending pregnancy with medicines

  • Ending a Pregnancy

  • Can having an abortion affect my fertility?

  • How long after an abortion can you get pregnant again?

  • 2022年 American Journal of Obstetrics & Gynecology 観察研究

    • doi:10.1016/j.ajog.2022.05.029
  • 2023年 Reproductive Health スコーピングレビュー

    • Okonofua F, Adeleke J, Durodola A, Giwa-Osagie E (2023) “Reproductive health interventions for postabortion care in sub-Saharan Africa: A scoping review,” Reproductive Health, 20(1):17, doi:10.1186/s12978-023-01628-9

本記事で提供している情報は、あくまでも参考資料であり、医師や医療従事者の診断・治療の代わりにはなりません。もし再妊娠や中絶後の体調・心身の状態に関して疑問や不安がある場合は、必ず専門家(婦人科医など)に直接ご相談ください。

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