妊婦さんの手足口病:安全性とリスク
妊娠

妊婦さんの手足口病:安全性とリスク

手足口病は、主に乳幼児の間で流行するウイルス性の感染症ですが、妊娠中の方が感染した場合、ご自身や赤ちゃんへの影響についてご心配されるのは当然のことです1。この記事では、妊娠中の手足口病に関する最新の医学的知見に基づき、その安全性、考えられるリスク、そして予防と対処法について、日本の妊婦さんに向けて専門的な観点から詳しく解説します。正しい情報を得て、過度な不安を軽減し、安心してマタニティライフを送るための一助となれば幸いです。

要点まとめ

  • 妊娠中の手足口病感染が胎児の先天異常を引き起こすという明確な医学的根拠は確立されていませんが、まれに流産や新生児への感染リスクが報告されています2, 3
  • 予防のためのワクチンや特効薬はないため、最も重要な対策は石鹸による徹底した手洗いや、感染者との密接な接触を避けることです1, 4
  • 大人が感染すると子どもより症状が重くなる傾向があり、高熱や強い痛みが出ることがあります。十分な休息と水分補給が回復の鍵となります5
  • 感染が疑われる症状が出た場合や、高熱が続く、水分が摂れないなどの場合は、自己判断せず速やかにかかりつけの産婦人科医に相談することが不可欠です6

1. 手足口病とは?

手足口病(てあしくちびょう)は、その名の通り、手、足、そして口の中に特徴的な水疱性の発疹が現れる急性のウイルス感染症です。

一般情報

手足口病の主な原因ウイルスとしては、コクサッキーウイルスA6(CA6)、A16(CA16)、CA10、エンテロウイルス71(EV71)などが挙げられます1。感染してから3~5日の潜伏期間を経て、口の中の粘膜、手のひら、足の裏や甲などに2~3mm程度の水疱性発疹が出現します1。発熱は約3分の1の症例で見られますが、通常は38℃以下のことが多く、高熱が続くことは稀です1。感染経路は、主に飛沫感染(咳やくしゃみなどに含まれるウイルスを吸い込む)、接触感染(ウイルスが付着した手で口や鼻に触れる)、そして糞口感染(便の中に排出されたウイルスが口から入る)です1。特に、おむつ交換の後などは注意が必要です。この疾患は、主に夏に流行のピークを迎え、5歳までの子どもたちが罹患しやすいとされていますが、妊婦さんを含む大人がかかることも稀にあります1

近年の日本における流行状況

日本国内における手足口病の流行状況は、年によって変動が見られます。国立感染症研究所の感染症発生動向調査(IDWR)によると、2024年は新型コロナウイルス感染症流行前とほぼ同様に4月頃から定点当たりの報告数が増加しており、過去5年間の週の平均と比較して多い水準で推移しています7。2020年は例年より報告数が大幅に少なかったものの、2021年から2023年にかけては、例年の水準に戻りつつもピーク時期が秋にずれる傾向が見られました7。このような流行状況を鑑みると、手足口病は依然として公衆衛生上の注意が必要な感染症であると言えます。最新の流行状況については、国立感染症研究所のウェブサイトなどで確認することが推奨されます7

2. 妊婦さんが手足口病にかかった場合

妊娠中に手足口病に感染した場合、母体や胎児への影響について多くの妊婦さんが不安を感じることでしょう。ここでは、現在の医学的知見に基づいて解説します。

妊婦さんの感染リスクと症状の特徴

成人の手足口病の感染は、子どもと比較すると多くはありません。これは、多くの場合、過去に不顕性感染(症状が出ない感染)を含め、原因ウイルスに感染し免疫を獲得しているためと考えられています1。しかし、妊娠中は一時的に免疫力が低下することがあり、感染症にかかりやすくなったり、症状が重くなったりする可能性が指摘されています5。この免疫力の変化は、胎児を異物として攻撃しないための体の自然な反応と考えられていますが、感染症に対しては注意が必要です6。大人が手足口病に感染した場合、子どもの症状よりも重症化するケースが多いと報告されており、発熱や倦怠感が強く出たり、皮膚症状が広範囲に及んだり、痛みが強かったりすることがあります5

胎児への影響:現在の知見

妊娠中の手足口病感染が胎児に与える影響については、多くの妊婦さんが最も懸念される点です。
先天異常との関連: 現時点では、妊婦の手足口病感染が胎児の先天異常のリスクを増加させるという明確な医学的根拠は確立されていません8。日本産科婦人科学会(JSOG)も2019年の通知で、手足口病と胎児奇形との間に明らかな因果関係を示した報告はないとしています3。しかし、症例数が少なく大規模な研究成果がまだないため、医学的には未知であるとも言え、念のための注意は必要とされています6
流産・早産・死産のリスク: ウイルス血症(ウイルスが血液中に侵入すること)を起こした場合に流産する可能性はゼロではありませんが、これは非常に稀なケースとされています8。実際に、子宮内胎児死亡や流産の報告例は数例のみで、ほとんどの場合は問題ないとされています3
出産直前の感染と新生児への影響: 出産間近に妊婦が手足口病に感染した場合、産道感染や生後早期の接触により新生児にウイルスが感染する可能性があります4。多くの場合、新生児の症状は軽症で済むと報告されています4。しかし、エンテロウイルス感染は新生児において重症化するリスクも稀ながら存在し、敗血症様症状や心筋炎、髄膜脳炎などを引き起こす可能性が指摘されています9。特にコクサッキーウイルスB群(CV-B)やエコーウイルスによる新生児の重症例が報告されており、母親の分娩直前の発熱が新生児感染に関連したケースも散見されます10。したがって、出産直前の感染には特に注意深く対応し、医師の指示に従い新生児の経過を慎重に観察する必要があります。
妊娠中の感染は症例数が限られているため、まだ解明されていない側面があることも事実です。そのため、過度に心配する必要はありませんが、基本的な感染予防策を講じ、何か異常を感じた場合は速やかに医師に相談することが重要です。

表1:妊娠中の手足口病:胎児への影響に関するQ&A
質問 回答 関連情報源
Q1: 妊娠中に手足口病にかかると、赤ちゃんに奇形が起こりますか? A1: 現在のところ、手足口病が原因で胎児に奇形が起こるという医学的根拠は確立されていません。 8
Q2: 流産や早産のリスクは高まりますか? A2: ウイルス血症を起こすと流産のリスクが全くないわけではありませんが、非常に稀です。ほとんどの場合は問題ありません。 8
Q3: 出産直前に感染した場合、赤ちゃんへの影響は? A3: 赤ちゃんに感染することがありますが、多くは軽症です。ただし、まれに重症化することもあるため、医師の指示に従い慎重な経過観察が必要です。 4

3. 妊婦さんが行うべき対処法

もし妊娠中に手足口病に感染してしまった場合、適切な対処を行うことが母体と胎児の健康を守るために重要です。

基本的な対処法

手足口病には特効薬はなく、治療は基本的に症状を和らげる対症療法が中心となります1
安静と休養: 体力を消耗しないよう、十分に休息をとることが回復を助けます。
水分補給: 発熱や口内炎による食欲不振で脱水症状を起こさないよう、こまめに水分を摂取しましょう。経口補水液や麦茶、湯冷ましなどが適しています5
栄養摂取: 口内炎で食事が摂りにくい場合は、刺激の少ない、喉越しの良いもの(おかゆ、ゼリー、ヨーグルト、スープなど)を選び、栄養を補給しましょう5
症状緩和: 発熱や頭痛、喉の痛みなどに対しては、医師に相談の上、妊娠中でも比較的安全に使用できる解熱鎮痛剤(アセトアミノフェンなど)を処方してもらうことがあります6

薬の使用に関する注意点

妊娠中は使用できる薬剤が限られています。自己判断で市販薬を使用することは絶対に避け、必ず医師または薬剤師に相談してください6。特に解熱鎮痛剤や総合感冒薬などには、妊娠中に避けるべき成分が含まれていることがあります。医師は、妊娠週数や母体の状態、症状の程度を総合的に判断し、最も安全で効果的な薬剤を選択します11

合併症の可能性と注意点

手足口病は多くの場合軽快しますが、稀に合併症を引き起こすことがあります。
脱水症状: 口の中の痛みで水分や食事が十分に摂れない場合、脱水症状に陥るリスクがあります。脱水は妊婦さんと胎児にとって好ましくないため、水分補給が困難な場合は医療機関に相談が必要です5。妊娠中の脱水は、羊水量の減少や早産のリスクを高める可能性も指摘されています11
稀な合併症: 成人では稀ですが、髄膜炎、脳炎、心筋炎といった重篤な合併症が報告されています1。特に免疫力が低下している場合は注意が必要です。

4. 医療機関を受診する目安

妊娠中に手足口病が疑われる症状が出た場合、または症状に変化が見られた場合は、早めに医療機関を受診することが大切です。

一般的な受診勧奨の症状

以下のような症状が見られる場合は、速やかに医療機関を受診しましょう。

  • 38℃以上の高熱が続く、または解熱剤を使用しても熱が下がらない1
  • 水分や食事が全く摂れない、または尿量が著しく少ない(脱水の兆候)5
  • ぐったりしている、意識が朦朧としている1
  • 頭痛がひどい、嘔吐を繰り返す1
  • 呼吸が速い、息苦しそうにしている1
  • 症状が7~10日経過しても改善しない、または悪化する傾向がある4

妊婦特有の注意点

妊娠しているという状況を考慮し、上記以外でも以下のような場合は、まずかかりつけの産婦人科医に連絡し、指示を仰ぐことが賢明です。

  • 妊娠週数に関わらず、手足口病への感染が疑われる症状が出た場合。
  • 同居家族(特に子ども)が手足口病と診断され、ご自身にも体調の変化が見られる場合。
  • 特に出産予定日が近い時期に感染した場合。この場合、新生児への感染リスクを考慮し、分娩方法や新生児の管理について産婦人科医と小児科医が連携して対応を検討する必要があります4

受診すべきか迷った場合や、夜間・休日の場合は、かかりつけ医の指示や、地域によっては「こども医療でんわ相談(#8000)」のような相談窓口(これは小児向けですが、同様の妊産婦向け相談窓口があればそちらも)も参考になるかもしれません1。ただし、最終的な判断は医師が行うため、不安な場合は直接医療機関に相談することが最も確実です。

5. 予防のためにできること

手足口病には、現在のところ有効なワクチンや特異的な予防薬はありません1。そのため、感染しないための予防策を日常生活で徹底することが最も重要です。

日常生活での基本的な予防策

  • 手洗いの徹底: 外出後、食事前、トイレの後、おむつ交換の後などは、石鹸と流水で30秒以上かけて丁寧に手を洗いましょう。アルコールベースの手指消毒剤も補助的に有効です1
  • 咳エチケット、マスクの着用: 咳やくしゃみをする際はティッシュや腕で口鼻を覆い、周囲への飛沫の拡散を防ぎましょう。流行期や人混みではマスクを着用することも、ウイルスの吸い込みを防ぐのに役立ちます6
  • 身の回りのものの消毒: ドアノブ、手すり、電気のスイッチ、リモコン、おもちゃなど、手がよく触れる場所は、次亜塩素酸ナトリウム(家庭用塩素系漂白剤を薄めたもの)やアルコールなどでこまめに消毒しましょう5

家族内・集団生活での注意点

  • 感染者との密接な接触を避ける: 手足口病に感染している人(特に症状が出ている子ども)とのキスや抱っこなどの密接な接触は、可能な限り避けましょう12
  • タオルの共有などを避ける: タオル、食器、カトラリーなどの共有は避けましょう4
  • 兄弟姉妹がいる場合の注意点: 上のお子さんが保育園や幼稚園に通っている場合、そこから家庭内にウイルスが持ち込まれる可能性があります6。お子さんの体調管理に気を配り、手洗いや身の回りのものの消毒をより一層徹底することが大切です。妊娠中の母親が、上の子どもから感染するケースは十分に考えられます。家庭内での感染対策は、特に小さなお子さんがいる場合には困難を伴うこともありますが、できる範囲で継続することが重要です。完璧を目指すあまり過度なストレスを抱える必要はありませんが、基本的な衛生習慣を家族全員で意識することが、感染リスクを低減させる鍵となります。

ワクチンや特異的な予防薬はないことを再確認

前述の通り、手足口病を特異的に予防するワクチンや治療薬は現在のところ存在しません1。この事実を理解し、日々の地道な予防策の重要性を再認識することが求められます。

表2:妊婦さんのための手足口病 予防と対処のポイント
カテゴリー ポイント 関連情報源
予防策 こまめな手洗い(石鹸と流水で30秒以上) 1
感染者(特に小児)との濃厚接触を可能な限り避ける 12
兄弟姉妹からの感染に注意(特に保育園・幼稚園児がいる家庭) 6
タオルの共有禁止、おもちゃ・ドアノブ等のこまめな消毒 4
十分な睡眠とバランスの取れた栄養で免疫力を維持 5
感染した場合の対処法 安静と十分な水分補給(経口補水液なども活用) 6
消化しやすく栄養価の高い食事(口内炎がある場合は刺激物を避ける) 4
発熱・痛みの管理:必ず医師に相談の上、アセトアミノフェンなど指示された薬剤を使用 6
医療機関受診の目安(高熱持続、水分摂取不良、強い倦怠感など)を把握し、該当する場合は速やかに受診 1
出産間近(特に妊娠後期)の場合は、症状の軽重に関わらず速やかに産婦人科医に相談 4

この表は、妊婦さんが手足口病に対して取るべき行動をまとめたものです。日々の生活の中でこれらのポイントを意識し、実践することが、ご自身と赤ちゃんの健康を守る上で非常に重要です。

6. 専門家からのアドバイスと公的機関の情報源

妊娠中の感染症に関する情報は、信頼できる専門機関からのものを参考にすることが不可欠です。

産婦人科医からのメッセージ

日本の産婦人科医療をリードする日本産科婦人科学会(JSOG)は、手足口病に関して、妊婦が感染することは稀であり、胎児の先天異常との明確な因果関係は報告されていないものの、まれに流産や死産の報告があるため、慎重な経過観察が必要であるとの見解を示しています3。多くの産婦人科医は、過度な心配は不要であるとしつつも、基本的な感染予防策の徹底と、何か気になる症状があれば早期に相談することの重要性を強調しています2。手足口病は基本的にはそれほど怖い病気ではなく、多くは自然に治癒しますが、危険な兆候を見逃さないように注意深く様子を見守ることが大切です13

厚生労働省・国立感染症研究所などの情報

日本の公衆衛生を管轄する厚生労働省(MHLW)や、感染症研究の中心的機関である国立感染症研究所(NIID)は、手足口病に関する詳細な情報(原因、症状、予防法、発生状況など)をウェブサイトで提供しています1。これらの情報は、科学的根拠に基づいており、国民が正確な知識を得るための重要なリソースです。最新の流行状況については、国立感染症研究所の感染症発生動向調査(IDWR)の週報などで確認することができます1。これらの公的機関からの情報を定期的に確認し、適切な知識を身につけることが、冷静な対応につながります。日本では、こうした公式な機関からの情報が非常に重視される傾向にあり、その信頼性は高く評価されています。

健康に関する注意事項

  • この記事は一般的な情報提供を目的としており、個別の医学的アドバイスに代わるものではありません。
  • 妊娠中に何らかの症状や不安がある場合は、自己判断せず、必ずかかりつけの産婦人科医や専門の医療機関にご相談ください。
  • 市販薬の使用については、妊娠中は特に慎重になる必要があります。必ず医師または薬剤師に確認してから使用してください。

よくある質問

上の子が手足口病と診断されました。妊娠中の私が感染しないために最も重要なことは何ですか?

最も重要なのは、接触感染と糞口感染を防ぐことです。具体的には、お子さんのおむつ交換後や鼻水・よだれの処理後には、石鹸と流水で30秒以上かけて徹底的に手を洗うことが不可欠です1。タオルの共有を避け、お子さんが使ったおもちゃやよく触る場所(ドアノブなど)をこまめに消毒することも有効です4, 5。可能であれば、キスや抱っこなどの密接な身体的接触も、お子さんの症状が落ち着くまでは控えることが推奨されます12

妊娠初期に手足口病に感染すると、リスクは特に高まりますか?

現時点では、妊娠のどの時期の感染が特にリスクが高いかについて、明確な結論は出ていません。しかし一般的に、胎児の重要な器官が形成される妊娠初期は、様々な外部からの影響に最も敏感な時期とされています。手足口病が胎児奇形を引き起こすという確固たる証拠はありませんが8, 3、理論上、高熱が持続した場合などは胎児に影響を与える可能性がゼロではありません。したがって、妊娠週数に関わらず、感染予防に努め、もし感染した場合は速やかに医師に相談することが重要です。

大人の手足口病の症状は、具体的にどのようなものですか?子どもとどう違いますか?

大人の手足口病は、子どもに比べて症状が重く出ることが多いと報告されています5。子どもでは軽度か見られないことが多い発熱も、大人では38℃以上の高熱が出ることがあります。また、手足の発疹に伴う痛みが非常に強く、歩行や手作業が困難になることもあります。倦怠感や筋肉痛、頭痛なども子どもより強く現れる傾向があります。口内炎も広範囲にできて痛みが激しく、食事や水分摂取が困難になるケースも少なくありません5

手足口病と診断されましたが、仕事は休むべきでしょうか?

手足口病には、学校保健安全法における明確な出席停止期間の定めはありません。しかし、発熱や発疹などの急性期症状がある間は、ウイルスの排出量が多く、感染を広げる可能性があります1。また、妊婦さん自身の体力の消耗を避けるためにも、症状が辛い時期は安静にすることが推奨されます。職場に妊娠中であることを伝え、医師の診断書を提出するなどして、体調が回復するまで休養を取ることが望ましいでしょう。最終的な判断は、ご自身の体調と医師の助言、職場の規定に基づいて行うべきです。

出産直前に感染した場合、帝王切開になる可能性はありますか?

出産直前の母親の感染は、新生児への感染リスクを伴います4。しかし、手足口病に感染したこと自体が、直ちに帝王切開の理由となるわけではありません。分娩方法は、母体の状態、胎児の状態、そして産科的な要因を総合的に判断して決定されます。経腟分娩でも新生児への感染は起こり得ます。重要なのは、産科医と小児科医が情報を共有し、生まれてくる赤ちゃんの状態を注意深く観察し、必要に応じて迅速な対応が取れるように準備しておくことです4。方針については、かかりつけの医師とよく相談してください。

結論

妊娠中の手足口病は、多くの妊婦さんにとって不安な出来事ですが、その大部分は母子ともに大きな問題なく回復に至ります。本稿で解説したように、胎児への深刻な影響(先天異常など)が起こるという確固たる証拠は現在のところありません2, 3。しかし、リスクがゼロではないことも事実であり、正しい知識を持つことが冷静な対応につながります。
最も重要なことは、ワクチンや特効薬が存在しない以上、石鹸と流水による手洗いという基本的かつ最も効果的な予防策を、ご自身とご家族が日常生活で徹底することです1。そして、万が一感染が疑われる症状が出た場合や、何か心配なことがある場合は、決して自己判断せず、速やかにかかりつけの産婦人科医に相談してください。医師はあなたの最も信頼できるパートナーとして、個々の状況に応じた最適なアドバイスとサポートを提供してくれます。
正しい情報と適切な予防策を武器に、過度な不安を乗り越え、前向きな気持ちで健やかな妊娠期間をお過ごしください。

免責事項この記事は医学的アドバイスに代わるものではなく、症状がある場合は専門家にご相談ください。

参考文献

  1. 厚生労働省. 手足口病. [インターネット]. [引用日: 2025年6月10日]. 以下より入手可能: https://www.mhlw.go.jp/bunya/kenkou/kekkaku-kansenshou19/hfmd.html
  2. journal.obstetrics.jp. [インターネット]. 2019年8月7日 [引用日: 2025年6月10日]. 以下より入手可能: https://journal.obstetrics.jp/2019/08/07/hfmd-preg/
  3. 公益社団法人日本産婦人科医会. [インターネット]. 2019年7月5日 [引用日: 2025年6月10日]. 以下より入手可能: http://www.jaog.or.jp/wp/wp-content/uploads/2019/07/h_f_m_disease20190705.pdf
  4. NHS inform. Hand, foot and mouth disease. [インターネット]. [引用日: 2025年6月10日]. 以下より入手可能: https://www.nhsinform.scot/illnesses-and-conditions/infections-and-poisoning/hand-foot-and-mouth-disease/
  5. IMC. 大人の手足口病に注意!症状や治療法、予防策を徹底解説(2024年…). [インターネット]. [引用日: 2025年6月10日]. 以下より入手可能: https://imc.or.jp/archives/mamechishiki/%E5%A4%A7%E4%BA%BA%E3%81%AE%E6%89%8B%E8%B6%B3%E5%8F%A3%E7%97%85%E3%81%AB%E6%B3%A8%E6%84%8F%EF%BC%81%E7%97%87%E7%8A%B6%E3%82%84%E6%B2%BB%E7%99%82%E6%B3%95%E3%80%81%E4%BA%88%E9%98%B2%E7%AD%96%E3%82%92
  6. アスクドクターズ. 妊婦の手足口病の胎児への影響、治療、予防 薬や重症化に注意?. [インターネット]. [引用日: 2025年6月10日]. 以下より入手可能: https://www.askdoctors.jp/articles/200003
  7. 国立感染症研究所. IDWR 2024年第27号<注目すべき感染症> 手足口病. [インターネット]. [引用日: 2025年6月10日]. 以下より入手可能: https://id-info.jihs.go.jp/surveillance/idwr/idwr/2024/27/article/index.html
  8. ベビーカレンダー. 妊娠初期の手足口病の影響は?|医師・専門家が回答Q&A. [インターネット]. [引用日: 2025年6月10日]. 以下より入手可能: https://baby-calendar.jp/knowledge/qanda/week6/351
  9. Khor CS, Sam IC, Hooi PS, Abdullah N, Chan YF. Perinatal Enterovirus Infection in Neonates: A Systematic Review. PMC – PubMed Central. 2024. [引用日: 2025年6月10日]. 以下より入手可能: https://pmc.ncbi.nlm.nih.gov/articles/PMC12015150/
  10. 国立感染症研究所. 長崎県におけるコクサッキーウイルスB4型による新生児~早期乳児の重症感染例. [インターネット]. [引用日: 2025年6月10日]. 以下より入手可能: https://id-info.jihs.go.jp/niid/ja/entero/entero-iasrd/7613-452d01.html
  11. Parents. What to Know About Hand, Foot, and Mouth Disease During Pregnancy. [インターネット]. [引用日: 2025年6月10日]. 以下より入手可能: https://www.parents.com/pregnancy/complications/hand-foot-mouth-disease-during-pregnancy/
  12. Healthline. Hand, Foot, and Mouth Disease Isolation Period. [インターネット]. [引用日: 2025年6月10日]. 以下より入手可能: https://www.healthline.com/health/hand-foot-and-mouth-quarantine-period
  13. journal.obstetrics.jp. 大流行の手足口病 うちの子も!私も! 妊娠中なのに大丈夫?. [インターネット]. 2019年8月7日 [引用日: 2025年6月10日]. 以下より入手可能: https://journal.obstetrics.jp/2019/08/07/hfmd-preg/
この記事はお役に立ちましたか?
はいいいえ