小児科

子どもの原因不明の発熱:定義、原因から家庭でのケア、受診の目安まで

お子さんが突然熱を出すと、保護者の方は大きな不安に駆られることでしょう。特に、熱が長引き、原因がすぐにはっきりしない場合、その心配は計り知れません。本レポートは、そのような状況にある保護者の皆様が、正確な知識に基づいて冷静に行動できるよう、子どもの「原因不明の発熱」について徹底的に解明することを目的としています。日本の小児医療における権威あるガイドライン1と、国際的な最新の研究成果57を統合し、発熱の定義から、家庭でできる効果的なケア、そして医療機関を受診すべき重大なサインまで、包括的かつ実践的な情報を提供します。

この記事の科学的根拠

本記事は、日本の公的機関・学会ガイドラインおよび査読済み論文を含む高品質の情報源に基づき、出典は本文のクリック可能な上付き番号で示しています。

  • 日本の主要ガイドライン: 日本小児感染症学会の指針に基づき、国内の臨床現場で用いられる発熱の定義や診断プロセスを解説しています。1
  • 国際的なシステマティック・レビュー: 複数の研究を統合した大規模な解析結果を用いて、原因不明の発熱の統計的な内訳と予後について客観的な情報を提供しています。25

要点まとめ

  • 日本では、子どもの発熱は一般的に脇の下で測った体温が37.5℃以上と定義されます。これは病気そのものではなく、体の正常な防御反応です。1
  • 体温の数字よりも、ぐったりしている、呼吸が苦しそう、水分が摂れないといった「レッドフラグ」と呼ばれる危険な兆候を見逃さないことが最も重要です。8
  • 解熱剤(アセトアミノフェン)は熱を下げるためではなく、お子さんのつらさを和らげるために、体重に基づいた正しい用量で使いましょう。14
  • 原因不明で長引く熱の半数以上は治療可能な「感染症」が原因であり、多くは自然に回復するため、過度に心配しすぎる必要はありません。25
  • 夜間や休日に判断に迷った際は「#8000」へ電話相談を、医療費についてはお住まいの自治体の「子ども医療費助成制度」を活用できます。928

I. お子さんの発熱を理解する:正常な反応から「原因不明の発熱」まで

「この体温は『熱』なの?」「原因不明と言われたけど、どういうことだろう?」お子さんの体温計の数字に一喜一憂し、医師からの聞き慣れない言葉に戸惑うお気持ち、とてもよく分かります。それは保護者として当然の反応です。科学的には、発熱は体が病原体と戦うために自ら体温を上げる、いわば「警報システム」のようなものです。その背景には、免疫という体の防衛軍が効率よく働くための合理的な仕組みがあります6。だからこそ、まずはこの警報が何を意味するのかを正しく理解し、冷静な第一歩を踏み出しましょう。

1.1 子どもの発熱の定義:日本の基準となる体温

保護者の方が最初に直面する疑問は、「この体温は『熱』にあたるのか?」という点です。日本の小児科学会や小児感染症学会では、一般的に子どもの「発熱」を腋窩温(脇の下で測った体温)で37.5℃以上と定義しています。さらに、39.0℃以上は「高熱」とされています1。この37.5℃という基準は、予防接種法においても発熱の定義として採用されており、日本の臨床現場で一貫した指標となっています2。一方で、海外では直腸温で38.0℃以上を発熱の基準とすることが多く、この違いを認識しておくことは、医療者との円滑なコミュニケーションのために重要です3

1.2 単純な発熱から専門的な段階へ:局在不明の発熱(FWS)と不明熱(FUO)

ほとんどの発熱は数日で原因が分かりますが、長引いてもはっきりしない場合、医師は専門的な用語を使うことがあります。これは診断プロセスが次の段階に進んだという合図です。まず「局在不明の発熱(FWS)」は、初期の診察や検査で1週間以内に原因が特定できない状態を指します1。さらに長引き、精密検査をしても原因が分からない場合を「不明熱(FUO)」と呼び、国際的には「38.0℃以上の発熱が8日間以上続くもの」と定義されています4。これらの言葉は特定の病名ではなく、原因を突き止めるための調査が進行中であることを示していると理解することが、過度な不安を和らげます。

1.3 身体の防御メカニズム:発熱は「敵」ではない

発熱そのものを悪いものと捉え、一刻も早く平熱に戻さなければならないという強い不安感は「フィーバーフォビア(発熱恐怖症)」とも呼ばれます6。しかし、医学的には、発熱は身体が病原体と戦っていることを示す重要なサインです。体温が上昇すると、体を守る免疫細胞の働きが活発になり、ウイルスや細菌の増殖が抑えられます7。つまり、発熱は感染に対する合理的かつ効果的な防御メカニズムなのです。したがって、家庭でのケアの目標は、熱を無理やり下げることではなく、発熱に伴うお子さんの不快感を和らげ、体力を消耗させずに免疫システムが十分に働ける環境を整えることです。

このセクションの要点

  • 日本の基準では、子どもの「発熱」は脇の下の体温で37.5℃以上を指します。
  • 発熱は、免疫システムが病原体と戦うための正常な体の防御反応であり、必ずしも悪いものではありません。

II. 重大な判断:保護者のための医療機関受診ガイド

「夜中にどんどん熱が上がってきた。救急車を呼ぶべき?」「いつもよりぐったり見えるけど、気のせいかな?」緊急時にどう行動すべきか、その判断に迷い、大きなストレスを感じるのは当然のことです。大切なのは、体温計の数字そのものよりも、お子さんの全体的な様子を冷静に観察することです。科学的には、重篤な病気の兆候は、体温の高さよりも意識状態や呼吸の変化に現れやすいことが分かっています8。だからこそ、これからお伝えする「レッドフラグ」を知っておくことが、いざという時のお守りになります。

2.1 レッドフラグ:すぐに救急受診が必要な危険な兆候

以下の症状が一つでも見られる場合は、夜間や休日であっても、ためらわずに救急外来を受診するか、119番に連絡してください。特に生後3か月未満の赤ちゃんの38.0℃以上の発熱は、極めて危険なサインと考えられています4

  • 意識・様子:ぐったりして元気がない、呼びかけへの反応が鈍い、視線が合わない9
  • 呼吸:呼吸が速い(1分間に60回以上が目安)、肩で息をしている、唇や顔色が悪い8
  • けいれん:手足が突っ張る、ガクガクと震える、白目をむいている8
  • 水分・栄養:水分を全く受け付けない、半日以上おしっこが出ていない、頻繁に嘔吐する10
  • 皮膚:体に押しても消えない小さな赤い点々(点状出血)や紫色のあざが出ている9

これらのレッドフラグに当てはまらなくても、2歳未満で24時間以上、2歳以上で3日間以上38.0℃以上の発熱が続く場合や、保護者の方が「何かおかしい」と強く感じる場合も、かかりつけ医に相談することが推奨されます。

2.2 日本の医療サポート体制の活用:子ども医療電話相談(#8000)

夜間や休日に医療機関を受診すべきか迷った際に、非常に有用な公的サービスが、厚生労働省が推進する「子ども医療電話相談事業(#8000)」です11。これは診断や治療を行うものではなく、電話をかけた先の都道府県の相談窓口で、小児科の医師や看護師が症状に応じた適切な対処法や受診の必要性についてアドバイスを提供する「トリアージ(緊急度判定)支援」です12。このサービスを適切に活用することで、保護者の不安を軽減し、救急外来の不必要な混雑を避けることにも繋がります13

受診の目安と注意すべきサイン

  • ぐったりして反応が鈍い、呼吸が苦しそう、けいれんを起こした場合は、時間帯にかかわらず救急受診が必要です。
  • 生後3か月未満の赤ちゃんの38.0℃以上の発熱は、重篤な感染症の可能性があるため、直ちに医療機関に連絡してください。
  • 判断に迷う場合は、一人で抱え込まずに「#8000」に電話して専門家のアドバイスを求めましょう。

III. 効果的なホームケア:エビデンスに基づいた快適さと安全のためのアプローチ

「熱でつらそうにしている我が子に、少しでも楽にしてあげたい」その一心で、様々なケアを試したくなるお気持ち、お察しします。大切なのは、そのケアが科学的根拠に基づいているか、そして安全か、という視点です。例えば、解熱剤の役割は、実は病気を治すことではなく、お子さんの「つらさ」を一時的に和らげることにあります。この目的を理解することが、薬との適切な付き合い方の第一歩です14。これから、ご家庭でできる安全で効果的なケアを具体的に見ていきましょう。

3.1 解熱剤の役割:アセトアミノフェンの安全で効果的な使い方

日本の小児科で最も一般的に処方される解熱剤は「アセトアミノフェン」です。使用を判断する基準は、熱の高さよりも「お子さんがつらそうにしているか」です。高熱でも機嫌が良く眠れているなら不要ですが、つらくて水分が摂れない、眠れない場合には使うのが良いでしょう9。投与量は年齢ではなく体重で決めるのが最も安全で、1回あたり体重1kgあたり10~15mgが基準です。厚生労働省は、1日の最大総量を体重1kgあたり60mgを超えないよう注意喚起しており、過量投与は重篤な肝障害を引き起こす危険があるため、投与間隔は4~6時間以上空ける必要があります1516

3.2 水分補給が鍵:十分な水分を摂らせるための実践的な工夫

発熱時は汗や速い呼吸で体から水分が失われやすく、脱水は回復を遅らせる大きな要因です8。母乳やミルク、湯冷まし、麦茶、子ども用のイオン飲料などを、一度にたくさんではなく、少量ずつ頻繁に与えるのがポイントです。コップを嫌がるならスプーンやスポイトを試したり、経口補水液を凍らせてアイスキャンディーにしたりするのも良い工夫です4。半日以上おしっこが出ない、量が極端に少ない場合は脱水のサインなので、医療機関に相談が必要です10

3.3 体を冷やすことの真実:冷却シートや水拭きの科学的根拠

体を冷やすケアには注意が必要です。厚着をさせず、薄着で熱を発散しやすくするのが基本です4。ぬるま湯で体を拭く方法は、一時的に体温を下げる効果は示されていますが、悪寒や鳥肌といった不快感を与える可能性が高いことも、質の高い研究(コクランレビュー、2003年)で指摘されており、お子さんが嫌がる場合は無理に行う必要はありません18。絶対に避けるべきなのは、冷水や冷たいタオルで急激に体を冷やすことや、アルコールで体を拭くことです。これらは血管を収縮させて熱の放散を妨げたり、中毒を引き起こす危険があるため、絶対に行ってはいけません917

今日から始められること

  • 解熱剤は「つらさ」の緩和が目的。熱が高くても元気なら不要です。使う際は必ず体重あたりの用量を守りましょう。
  • 水分補給を最優先に。スプーンやスポイト、自家製アイスなど、お子さんが受け入れやすい方法で少量ずつ頻繁に与えましょう。
  • 服装は薄着を基本とし、熱がこもらないようにしましょう。嫌がる冷却ケアは無理強いしないでください。

IV. 診断プロセスを解明する:病院で何が行われるか

検査が続くと、お子さんへの負担もさることながら、「これからどうなるのだろう」という見通しへの不安が保護者の方に重くのしかかります。その不安を和らげる鍵は、医師がどのような地図(診断プロセス)を頼りに進んでいるかを知ることです。不明熱の診断は、まるで探偵が証拠を集める作業に似ています。そして、その中で最も重要な手がかりを握っているのが、24時間お子さんのそばにいる保護者の皆様からの情報なのです19

4.1 観察の力:保護者が記録する「発熱ダイアリー」の重要性

不明熱の診断において、医師は繰り返し詳細な病歴聴取を行います。保護者による日々の詳細な観察記録は、診断の最も重要な情報源の一つです。いつ、何度熱が出て、その時のお子さんの様子はどうだったか、食事や水分は摂れたか、解熱剤は使ったか、といった情報を「発熱ダイア-リー」として時系列で記録しておくことは、医師が発熱のパターンを把握し、原因を絞り込むための非常に貴重なデータとなります。

4.2 身体診察と初期検査:血液、尿、そして画像検査

医師は、発疹やリンパ節の腫れなど、診断の手がかりを見つけるために繰り返し丁寧な全身の診察を行います19。並行して、原因として頻度の高い疾患を体系的に調べるため、血液検査(白血球数や炎症反応)、尿路感染症を確認する尿検査、そして隠れた肺炎がないかを見る胸部X線検査などが行われるのが一般的です9。血液中に細菌がいないかを調べる血液培養も重要な検査です。

4.3 高度な診断と専門医へのコンサルテーション

初期の検査で診断がつかない場合、超音波(エコー)検査でお腹の臓器を調べたり、CT・MRI検査でより詳細な情報を得たりすることがあります2220。また、不明熱の原因は多岐にわたるため、必要に応じて感染症、膠原病、血液・腫瘍など、より専門性の高い医師の協力が求められます20。これは診断への道を一歩ずつ進めるための重要なプロセスです。

このセクションの要点

  • 不明熱の診断において、保護者が記録する「発熱ダイアリー」は、医師にとって最も重要な情報源の一つです。
  • 診断は、身体診察、血液・尿検査といった初期検査から、必要に応じて高度な画像診断や専門医への紹介へと段階的に進められます。

V. 長引く熱の原因:包括的な概要

原因がわからないまま熱が続くと、「何か悪い病気なのでは」とつい最悪の事態を考えてしまうのは、仕方のないことです。しかし、ここで冷静に統計データを見てみましょう。医学的な事実は、保護者の方の不安を和らげる力を持っています。複数の研究を統合した大規模なシステマティック・レビュー(2011年、1,638人の子どもが対象)によると、診断がついた不明熱(FUO)のうち、最も多い原因は感染症であり、全体の51%を占めています25。これは、原因不明の熱の約半数は治療可能、あるいは自然に治癒する可能性が高いことを意味します。

5.1 炎症性・自己免疫性疾患と川崎病

感染症の次に多いのが、免疫システムが誤って自分自身の体を攻撃してしまう炎症性・自己免疫性疾患で、不明熱の原因の約9%から15%を占めます23。特に日本で注意すべき疾患として川崎病が挙げられます。これは主に4歳以下の乳幼児に起こる血管の炎症で、5日以上の発熱に加え、両目の充血、いちご舌、体に不定形の発疹、手足の腫れ、首のリンパ節の腫れといった特徴的な症状が見られます9。全ての症状が揃わない不全型もあるため、長引く熱では常に考慮される重要な疾患です。

5.2 稀な原因と「診断不明」というカテゴリー

保護者の方が最も心配される悪性腫瘍(白血病など)も原因となりえますが、頻度は高くなく、不明熱全体の約6%程度と報告されています23。そして重要なのは、多くの検査をしても最終的に原因が特定されない「診断不明」のケースが決して少なくないことです。研究によれば、不明熱のお子さんのうち約23%から43%は最後まで原因が特定されません23。しかし、これらのケースのほとんどは、特別な治療をしなくても自然に解熱し、後遺症もなく元気になることが分かっています4。これは、診断が難しいウイルス感染などが原因であった可能性を示唆しており、保護者の不安を和らげる上で非常に重要な事実です。

このセクションの要点

  • 統計的に、小児の不明熱の最大の原因は「感染症」(51%)であり、その多くは治療可能または自然治癒します。
  • 悪性腫瘍などが原因である可能性は低く、また、かなりの割合が原因不明のまま後遺症なく回復します。

VI. 日本における経済的・実際的側面のナビゲーション

お子さんの看病が長引くと、健康面の心配に加えて、「入院費はいくらかかるのだろう」「これ以上、仕事は休めない」といった現実的な問題が重くのしかかります。そのお気持ち、痛いほどよく分かります。しかし、日本にはこうした状況を支えるための強力なセーフティネットが整備されています。その代表が、ほとんどの自治体で実施されている「子ども医療費助成制度」です28。この制度の存在を知っておくだけで、経済的な不安は大きく和らぎ、安心して治療に専念することができます。

6.1 子ども医療費助成制度の詳細ガイド

「子ども医療費助成制度」は、子育て世帯の経済的負担を軽減するため、医療機関で支払う子どもの医療費の自己負担分を、自治体が大幅に、あるいは全額助成する制度です。対象年齢や助成内容は自治体によって異なりますが、例えば東京都の特別区では18歳年度末まで、入院・通院ともに自己負担はありません27。大阪市では1日最大500円の負担がありますが、同様に18歳年度末まで助成が受けられます28。入院や検査が長引いた場合でも、医療費の大部分が公的にカバーされることを知っておくことは非常に重要です。助成を受けるには、お住まいの市区町村への申請と「医療証」の交付が必要ですので、出生や転入の際に忘れずに手続きを行いましょう。

6.2 仕事と家庭の両立と保護者のセルフケア

先が見えない状況での看病は、保護者の心身に大きな負担をかけます。頻繁に仕事を休むことへの罪悪感や、職場への気兼ねといったストレスも加わります32。このような困難な時期を乗り越えるためには、保護者自身のケアが不可欠です。一人で抱え込まず、パートナーや家族と負担を分担し、利用できる看護休暇などの制度について職場と相談しましょう。自治体によっては病児保育などのサポートも利用できます。不安やストレスを感じるのは当然のことです。自分自身を大切にすることが、結果的にお子さんの最善のケアに繋がることを忘れないでください。

今日から始められること

  • お住まいの市区町村の「子ども医療費助成制度」の内容を確認し、医療証が手元にあるか確かめましょう。
  • 職場の就業規則を確認し、子どもの看護休暇などの制度について把握しておきましょう。
  • 看病の負担を一人で抱え込まず、パートナーや家族と協力体制について話し合っておきましょう。

よくある質問

高熱が出ると、脳に障害が残ることはありますか?

感染症による発熱そのものが、41℃程度までで脳に直接的なダメージを与えることは極めて稀です。熱性けいれんを起こすことはありますが、これも通常は後遺症を残しません。脳に影響が及ぶのは、髄膜炎や脳炎といった、脳そのものが病気の主戦場になった場合に限られます。したがって、過度に高熱を恐れる必要はありません。4

解熱剤を使っても熱が下がりません。薬が効いていないのでしょうか?

解熱剤の第一の目的は、熱を下げることではなく、熱によるつらさ(頭痛、体の痛み、不機嫌など)を和らげることです。薬を使った後、少しでもお子さんの機嫌が良くなったり、水分を摂れるようになったり、眠れるようになったりすれば、薬は十分に効果を発揮していると言えます。完全に平熱まで下がらなくても心配ありません。14

夜になると熱が上がりやすいのはなぜですか?

人の体温は、日内変動といって1日の中でも周期的に変動しています。一般的に、早朝が最も低く、夕方から夜にかけて最も高くなる傾向があります。これは発熱時にも同様で、病状が悪化したわけではなく、生理的なリズムによって夜間に熱が上がりやすく感じられることが多いのです。

結論

子どもの原因不明の発熱は、保護者にとって非常に不安な経験です。しかし、本稿で見てきたように、正しい知識を持つことで、冷静かつ効果的に対応することが可能です。日本の医療基準では37.5℃以上が発熱であり、それは体の正常な防御反応です。体温の数字に一喜一憂するのではなく、お子さんの全体的な様子を観察し、危険な兆候である「レッドフラグ」を見逃さないことが何よりも重要です。家庭でのケアは水分補給を最優先し、解熱剤はつらさを和らげる目的で正しく使用します。そして、長引く熱の多くは治療可能な感染症か、自然に回復するものであるという統計的事実を知り、過度な不安を和らげましょう。#8000や子ども医療費助成制度といった日本の手厚いサポート体制も、皆様の大きな支えとなります。この困難な道のりにおいて、保護者の皆様は診断チームの最も重要な一員です。本稿が、その道のりを歩む皆様にとって、信頼できる道しるべとなることを心から願っています。

免責事項

本コンテンツは一般的な医療情報の提供を目的としており、個別の診断・治療方針を示すものではありません。症状や治療に関する意思決定の前に、必ず医療専門職にご相談ください。

参考文献

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