専門家に聞く：レモンと蜂蜜で血圧を下げることはできる？

はじめに

こんにちは、JHO編集部です。今日は、高血圧に関する意外な対策について深く掘り下げてみましょう。多くの方が日常的に高血圧に悩まされており、病院での治療や薬の服用、食生活や運動習慣の改善など、さまざまな方法で血圧をコントロールしようと試みています。そうした数多くの対策の中で、近年「レモン蜂蜜水」が話題に上ることが多くなりました。レモンに豊富に含まれるミネラルやビタミン、そして蜂蜜がもつ自然由来の性質が血圧にどのように働きかけるのか、本当に高血圧に効果はあるのか――。今回はこの疑問を、実際の生活習慣や日本での医療現場の実態にも触れながら、より科学的かつ多角的に検証してみたいと思います。

さらに、高血圧が日本国内でどのような影響を与えているのか、どのような要因で血圧が上昇し、どのような改善策が考えられるのかについても総合的に取り上げます。日本では食事における塩分摂取量の多さやストレス社会といわれる環境など、高血圧につながる要因が複合的に存在すると指摘されています。そこで、レモン蜂蜜水をはじめとする民間的な工夫がどの程度有効性をもつのかを含め、できるだけわかりやすく整理することを目指します。

本記事は、医療に詳しくない方でもなるべく理解しやすいように書かれていますが、あくまでも情報提供を目的とした参考資料です。高血圧に関して心配なことや疑問点がある場合は、医師をはじめとした専門家に相談していただくことを強くおすすめいたします。特に高血圧は脳血管障害や心臓病、腎臓病など重大な合併症を引き起こす可能性もあるため、軽視できない問題です。正確な診断と治療方針の立案は専門の医師の指導のもとで行うことが安全で確実な方法です。本稿をご覧になる皆さまが、少しでも高血圧の対策を前向きに考えるきっかけになれば幸いです。

専門家への相談

今回の内容については、Bệnh viện Nhân dân 115（心臓血管専門）に勤務する医師、Ngô Võ Ngọc Hương氏のコメントを参考にさせていただきました。彼女は長年にわたり高血圧や心血管疾患の臨床診療に携わっており、特に東南アジア地域の食文化や生活習慣に精通していることで知られています。日本の食文化とは異なる環境下での臨床経験を活かして、さまざまな患者さんの血圧管理に関するアドバイスを行ってきたそうです。

彼女によると、「血圧を下げるには総合的な生活習慣の改善が欠かせません。レモン蜂蜜水のような自然素材から得られる飲み物は、体内の水分バランスやミネラル補給に寄与する可能性がありますが、それだけで血圧を大幅にコントロールできると期待しすぎるのは危険です。あくまで補助的な手段として使いつつ、医師の指導や日頃の生活管理を続けることが大切です」ということです。つまり、レモン蜂蜜水がまったくの無意味ではないものの、“魔法の薬”のような効果を期待してしまうのはリスクが高く、同時に他の生活習慣改善を組み合わせる必要があるという見解です。

レモン蜂蜜水で血圧は下がるのか？

高血圧というのは、血管を流れる血液の圧力が常に高い状態を指し、放置すると血管や心臓、腎臓など多岐にわたる臓器に負担をかけ、将来的に重篤な合併症を引き起こすリスクが高まります。そもそも血圧は、生理的に一日のうちでも変動しており、睡眠中やリラックス時は低くなり、活動時やストレスがかかると高くなるものです。しかし、そうした自然な変動の範囲を越え、常に高い状態が続くようであれば高血圧と診断され、早期の対策が必要とされます。

こうした高血圧に対して、レモン蜂蜜水がどのように作用するのでしょうか。まずレモンには、カリウムやカルシウム、ビタミンCなどが豊富に含まれています。カリウムは体内の塩分（ナトリウム）バランスを整え、余分なナトリウムを排泄するサポートをする可能性があるといわれています。ナトリウムが過剰になると血管壁の水分量が増し、血圧が上昇しやすくなりますが、カリウムが適切に働くことで過剰なナトリウムを排出して血圧を安定化させる効果が期待されるわけです。

さらにレモンにはクエン酸が含まれており、クエン酸サイクルを活性化させることで疲労回復や血行促進を後押しする可能性があります。これらのミネラルやクエン酸の作用が相まって、血管の拡張や血流改善にプラスに働く場合があります。一方で蜂蜜は、甘味の源となる糖分に加え、微量ながらビタミンやミネラルを含む自然食品としても知られています。人工甘味料に比べて血糖値の急激な上昇を抑えられるという見解もあり、健康的な甘味料として料理や飲み物に活用されることが多いです。

近年の日本でも「レモン蜂蜜水が血圧に効く」という噂や民間療法的な紹介が増えていますが、これを純粋に科学的に証明する大規模な研究はまだ十分に蓄積されていないようです。しかし、レモン水や蜂蜜水が利尿作用や体内の電解質バランスをサポートし、結果として血圧を落ち着かせる可能性があるという指摘は多くの医師や栄養士から出されています。たとえば、海外ではカリウムを豊富に含む食材を積極的に摂取することで高血圧のリスクを低減できるとするメタ分析結果も報告されています。ただし、こうした成果はあくまで食習慣全体と合わせて考える必要があるため、「レモン蜂蜜水だけで十分」という単純な結論には至りません。

高血圧の急上昇を防ぐその他の方法

レモン蜂蜜水以外にも、家庭や日常生活の中で血圧の急上昇を防ぐための対策はいろいろ考えられます。高血圧患者や予備群の方がまず念頭に置くべきは、ストレスマネジメントの重要性です。ストレスは交感神経を緊張させ、血管を収縮させたり心拍数を上げたりすることで血圧を上昇させる一因になるといわれています。

• 深呼吸や瞑想を取り入れる
  ゆっくりと大きく息を吸って吐く、あるいは簡単な瞑想を行うだけでも神経系のリラックスを促す効果が期待できます。特に忙しい現代社会では、意識的に「何もしない時間」を設けることが大切です。呼吸法はヨガや座禅などの形でも取り入れやすく、日本国内でも幅広く知られています。
• ハーブティーの活用
  カモミールティーはリラックス効果で広く知られており、心を落ち着かせることで血圧を間接的に下げる手助けをする可能性があります。また、ペパーミントティーやラベンダーティーなどもリラクゼーション効果を得やすいとされています。ただし、カフェインを含む紅茶やコーヒーは血圧を上昇させる場合があるため、量やタイミングに注意が必要です。
• 黒チョコレートを適量楽しむ
  黒チョコレートに含まれるカカオ成分には、エンドルフィンの分泌を刺激する可能性があると考えられています。エンドルフィンは脳内で“幸福感”をもたらす物質の一つで、ストレス緩和につながると期待されています。もちろん食べ過ぎはカロリー過多になるので、1日数かけら程度にとどめるよう注意が必要です。

これらはすべて補助的な手段であり、根本的な高血圧の原因を解決するものではありません。高血圧の主因としては、食塩の過剰摂取、慢性的な運動不足、喫煙、過剰な飲酒、肥満などライフスタイル全体にわたる要因が複合的に存在していることが多いです。そのため、医療専門家や管理栄養士の意見を聞きながら、ご自身に合った方法を模索することが最も効果的なアプローチとなります。

高血圧のリスク要因と改善策

日本は世界的に見ても平均寿命が長く、高齢化が進んでいる国の一つです。そのため、高齢者を中心に血圧管理は非常に重要な課題とされています。加齢に伴い血管の弾力性が低下するのはある程度自然なプロセスですが、そこに生活習慣の乱れが重なると血圧がさらに上昇しやすくなります。高血圧は自覚症状に乏しいため、定期的な健診や血圧測定によって早期発見・早期対処を行うことが求められます。以下のリスク要因と改善策は、一般的に広く認知されているものです。

• 喫煙
  タバコに含まれるニコチンは血管を収縮させるため、血圧を上昇させる要因になります。喫煙は心筋梗塞や脳卒中などのリスクを高める一因にもなるため、禁煙が推奨されます。
• 食塩摂取の制限
  過剰な塩分摂取は血圧を押し上げる要因として最も代表的です。日本は醤油や味噌など塩分を多く含む調味料を使った料理が多く、塩分過剰摂取になりがちです。厚生労働省が推奨する1日あたりの食塩摂取目標量を上回らないように管理することが重要です。
• アルコール制限
  適度なアルコール摂取はストレス緩和効果がある一方で、過度の飲酒は高血圧や肝疾患など多くの健康問題のリスクを高めます。特に高血圧治療中の場合は、医師の指示を仰ぎながら飲酒量をコントロールする必要があります。
• 適正体重の維持
  肥満は血液量や心臓への負担を増大させ、血圧を上昇させるリスクを高めます。逆に体重を減らすと血圧が下がりやすくなるというデータも多くの研究で示唆されています。食事管理や運動習慣の見直しが欠かせません。
• 十分な運動
  定期的な有酸素運動（ウォーキングやジョギング、水泳など）や筋力トレーニングは、血管を強くし、心臓機能を高め、血圧を安定させる働きがあるとされています。特に日本では歩く機会が多いといわれる一方で、運動不足の人も少なくありません。週に数回、30分程度の運動を行うだけでも効果が期待できます。
• ストレスコントロール
  先に挙げた深呼吸やハーブティーなども含め、生活の中でストレスを軽減する方法を多角的に取り入れることが大切です。ストレスフルな生活が続くと交感神経が優位になり、血圧が慢性的に高くなりやすいと報告する研究もあります。

日本では、これらのライフスタイル要因を総合的に見直すことで、高血圧を上手にコントロールする取り組みが進められています。特に高齢者だけでなく若い世代においても、食生活の乱れや運動不足による「若年性高血圧」の増加が懸念されているため、早い段階から予防策を講じることが重要視されています。

レモン蜂蜜水とライフスタイル改善の位置づけ

ここまで述べてきたように、レモン蜂蜜水はカリウムやビタミン類の補給、自然の利尿作用などを期待しながら血圧管理に役立つ可能性をもっています。しかし、これだけで十分かといえば、答えはノーです。高血圧を安定させるには、喫煙や過度の飲酒、運動不足、塩分過多などの生活習慣を総合的に改善する必要があります。レモン蜂蜜水は、その改善のひとつの補助策として位置づけるのが妥当です。

また、蜂蜜は糖分も含むため、糖尿病や血糖値に注意が必要な方にとっては摂取量を考慮することが求められます。レモンの酸味と蜂蜜の甘さによって、飲みやすくて続けやすいという利点はありますが、自分の健康状態やアレルギー、また薬との相互作用なども見極めながら利用することが大切です。

日本での高血圧患者の現状と研究動向

日本は世界でもトップクラスの長寿国である一方で、高血圧の患者数は依然として多く、生活習慣病全体の課題の一つとなっています。国民健康・栄養調査や各種疫学調査によると、中高年層の半数以上が高血圧もしくは高血圧予備群に該当する可能性があると指摘されており、医療費の観点からも大きな社会的インパクトをもたらしています。

国際的な大型調査として、2021年に発表されたNCD Risk Factor Collaboration (NCD-RisC)によるメタ解析研究では、1990年から2020年までの約30年間にわたる複数国の人口統計・健康調査データをプールし、世界的な高血圧の傾向を分析しました。その結果、高血圧は世界中で依然として深刻な健康課題であり、特にアジア地域においては人口の高齢化が進む中で患者数が増加している傾向が明らかになりました。日本についても、食塩の多い食事やストレス要因などが相まって、高齢層だけでなく働き盛りの世代にも高血圧が広がっていることが懸念されています。

ただし近年では、行政や医療機関の啓発活動により、若い世代の間でも健康診断や生活習慣の見直しが少しずつ進んでおり、早期からの予防やコントロールに努める人々が増えてきています。こうしたトレンドを背景に、レモンや蜂蜜などの自然食品を活用した健康法が注目されるのは、ある意味自然な流れといえるかもしれません。

結論と提言

以上のように、高血圧は生活習慣の乱れやストレス、加齢など複数の要因が絡み合って起こる慢性的な疾患です。レモン蜂蜜水のように、自然由来のミネラルやビタミンを摂取できる方法は、一時的に血圧を安定させる可能性があり、実際に「気持ちが落ち着く」「軽い利尿作用を感じる」といった体感が得られる方もいるでしょう。しかし、これを高血圧対策の“主軸”とするのではなく、あくまでも補助的な位置づけとして利用することが望ましいと考えられます。

特に日本では、塩分の多い食事や運動不足、精神的ストレスが複合的に血圧を上げる要因となりやすいため、ライフスタイル全般を見直すことが不可欠です。医師の診断のもと、適正体重の維持や禁煙、アルコール制限、食塩摂取量の管理、定期的な運動などの基本的な生活習慣を整えた上で、レモン蜂蜜水をプラスアルファとして取り入れるのは理にかなった方法といえます。

また、レモン蜂蜜水を飲む際は、蜂蜜に含まれる糖分やレモンの酸味による胃腸への刺激など、体質や持病を考慮する必要があります。糖尿病のリスクがある方や胃炎、胃潰瘍などを抱えている方は、事前に医師に相談したほうが安全でしょう。血圧が非常に高い場合や長期間にわたり高血圧が続いている方も、自己判断だけでなく専門家のアドバイスを受けながら、総合的な治療方針を立てることが重要です。

最後になりますが、高血圧に限らず健康上の不安があるときは、一度は医療機関に足を運び、専門家による正確な診断を受けることが望ましいです。特に生活習慣病は「自覚症状が出にくい」という特徴があり、気がついた時には重症化していたというケースも少なくありません。血圧計は家庭でも手軽に購入できますので、定期的に測定し、異変を感じたら早めに対処する心掛けを持ち続けることが健康リスク低減への第一歩となるでしょう。

注意点と今後の展望

• 高血圧は放置できない重要な問題
  高血圧は心疾患や脳血管疾患、腎機能障害など深刻な病気に直結するリスクがあります。症状がないからといって安心せず、定期的な血圧測定と医療機関でのチェックを習慣化することが不可欠です。
• レモン蜂蜜水は補助的手段の一つ
  レモン蜂蜜水で期待される利尿作用やカリウム摂取などは、高血圧改善の一助となる可能性があります。ただし、生活習慣そのものを見直さない限り、根本的な血圧コントロールは難しい点を理解しておきましょう。
• 医師や管理栄養士との連携
  高血圧の原因は一様ではなく、個人ごとに生活環境や体質が異なります。自己流では限界があるため、医師や管理栄養士の指導やサポートを受け、継続的な治療や改善プランを立てることが大切です。
• 日本社会の課題と個々人の心掛け
  日本社会では塩分摂取の多い食文化やストレス負荷の高い職場環境など、高血圧の要因となる要素が身近にあります。その一方で健康診断制度や多彩なヘルスケア情報が整備されてもいますので、これらを積極的に活用し、自分の体を客観的に把握する努力を続けることが求められます。
• 情報はあくまで参考に
  本記事の情報は、多くの研究や専門家の意見を総合してまとめたものですが、最終的な判断や治療は医師との連携を前提としてください。実際に自分の体質や病状を把握し、最適な方法を選ぶのは専門的な知識が欠かせません。自己診断や自己流の対処で手遅れになる事態を避けるためにも、少しでも疑問があれば医療機関へ足を運ぶことをおすすめします。

参考文献

• Managing high blood pressure (アクセス日: 7/7/2022)

• High blood pressure (アクセス日: 7/7/2022)
• High blood pressure (アクセス日: 7/7/2022)
• Honey Lemon Water Benefits and Side Effects (アクセス日: 7/7/2022)