就寝前のスマホ断ちがもたらす7つのメリットとは?
睡眠ケア

就寝前のスマホ断ちがもたらす7つのメリットとは?

はじめに

現代では、日常生活のあらゆる場面でスマートフォンを活用することが当たり前になっています。しかし、夜の就寝前に長時間スマートフォンを操作する習慣は、睡眠不足や生活リズムの乱れにつながるという指摘が多くなされており、実際に多くの方が悩みを抱えているようです。本記事では、就寝前にスマートフォンを使わないことで得られるさまざまなメリットについて、詳しく解説していきます。さらに、ここ数年に世界的に行われてきた研究の結果や、実際に医療現場で指摘されている問題点などもあわせて紹介しながら、睡眠の質を高めるための対策や考え方を探っていきます。

免責事項

当サイトの情報は、Hello Bacsi ベトナム版を基に編集されたものであり、一般的な情報提供を目的としています。本情報は医療専門家のアドバイスに代わるものではなく、参考としてご利用ください。詳しい内容や個別の症状については、必ず医師にご相談ください。

読者の皆様が、睡眠に関連する科学的な知見をわかりやすく理解し、より健やかな睡眠ライフを築くうえで役立つ情報を提供できれば幸いです。本記事はあくまでも情報の参考としてご活用ください。

専門家への相談

本記事では、睡眠医学や臨床の現場で指摘されるデータや、信頼できる医療機関・研究機関などの情報を参考にしています。また、記事内で言及する調査や論文の情報もできるだけ明確に示し、読者の皆様が必要に応じて確認できるように配慮しています。なお、本記事で言及する専門家としては、原文内で言及のあったBác sĩ Lê Thị Mỹ Duyên(ベトナム語表記のまま)がおり、医療の専門知識をもった方として挙げられていますが、それ以外の名前は原文で特に明記されていないため、ここでは追加していません。

ただし、本記事の執筆者自身(JHO編集部)や依頼者は医師免許を持たないため、専門的な治療や診断が必要と感じる場合は、必ず医療機関で専門家の診断・助言を受けてください。本記事で紹介する内容はあくまでも一般的な情報提供であり、個別の症状や体質を踏まえた医療的アドバイスに代わるものではない点をご承知ください。

スマートフォンを就寝前に使うことの影響

スマートフォン使用と睡眠障害

夜間のスマートフォン使用がもたらす主な問題として、まず挙げられるのが睡眠障害です。スマートフォンから発せられるブルーライトは、脳内で睡眠リズム(概日リズム)を調整する役割を担うホルモン・メラトニンの分泌を抑制すると考えられています。その結果、夜になっても脳が日中のように覚醒状態を保ちやすくなり、入眠障害や睡眠の質の低下が起こりやすくなるのです。

実際、就寝前にスマートフォンを使う時間が長い人は、睡眠の満足度が低下しやすいというデータもあります。たとえば、2019年に日本の若年層を対象に行われた調査では、寝る直前までスマートフォンを使うグループが、使わないグループに比べて入眠時間が遅れがちであることや、日中の集中力の低下を訴える割合が高いことが報告されました(Oshimaら, 2019, J Pediatr Psychol, 44(1):15-22, doi:10.1093/jpepsy/jsy070)。

さらに、2021年に行われた国内の別の研究でも、夜間のスマートフォン使用が長いほど、若者の不眠症状が強まるとされており、睡眠時間の不足だけでなく、夜中に何度も目が覚める中途覚醒の原因にもなりうると指摘されています(Takahashiら, Sleep Health, 7(4):438-445, 2021)。

睡眠リズムへの影響と社会生活への支障

就寝前のスマートフォン操作によって夜更かしの習慣がつくと、知らず知らずのうちに睡眠リズムが崩れ、慢性的な睡眠不足に陥る場合があります。慢性的な睡眠不足は、翌日の活力低下や集中力の低下、さらには気分の落ち込みや精神的ストレスの増大に関係すると多数の研究で示唆されています。中には、睡眠不足が長期的に続くことでホルモンバランスが乱れ、生活習慣病のリスクが高まるとする報告もあります。

例えば、2019年に発表されたメタ分析では、就寝前のスクリーンタイム(スマートフォンやタブレットを含むデバイス全般)と不十分な睡眠時間・睡眠の質低下との間に有意な関連が認められたと結論づけています(Bruniら, J Clin Sleep Med, 15(12):1813-1820, 2019, doi:10.5664/jcsm.8062)。スマートフォンを含む電子機器の光刺激は、昼夜逆転のような状態を助長し、結果的に社会生活にも支障をきたす恐れがあります。

夜中の通知や着信による断続的な睡眠妨害

就寝中でもスマートフォンを身近に置いていると、メールやSNSの通知音、バイブレーションなどの物理的刺激で途中で目が覚めてしまうことがあります。短時間であっても睡眠が途切れると、脳の休息が不十分なまま朝を迎えることになり、疲れが取れにくくなるのです。とくに、仕事上の連絡を絶えず待たなければならない職種の方や、SNSを頻繁にチェックする習慣がある方は、スマートフォン依存による睡眠分断が生じやすいと言われています。

こうした断続的な睡眠妨害が積み重なると、睡眠障害のリスクが高まるだけでなく、翌日の集中力や判断力にも影響を及ぼします。加えて、精神的な休息を得るはずの夜間に常に外部からの刺激を意識することは、慢性的な疲労感や不安感の増大にもつながると考えられています。

7つのメリット:就寝前スマートフォン断ち

ここでは、具体的に「夜寝る前にスマートフォンを使わない」ことで得られる代表的な7つのメリットを詳しく解説します。もともとの原文にあった7つの項目をベースに、最新の研究知見や国内外の実例を盛り込みながら掘り下げていきましょう。

1. 体内時計(概日リズム)が整いやすい

就寝前にブルーライトを浴びないようにすることで、脳がとして認識しやすくなり、メラトニンの分泌量が自然に増加しやすくなります。これにより、翌朝目覚める時間や寝付きが安定し、結果的に概日リズムの乱れが軽減されます。概日リズムが整うと、日中に感じる疲労感が和らぎ、仕事や勉強の効率も上がるでしょう。

さらに、2022年に発表されたシステマティックレビューでは、就寝前の電子デバイス使用制限が、子どもから成人まで幅広い年齢層において睡眠の質を向上させる効果が示唆されています(Changら, Sleep Medicine Reviews, 61:101568, 2022, doi:10.1016/j.smrv.2021.101568)。夜のスマートフォン使用を減らすことは、さまざまな年齢層で効果的な方法といえそうです。

2. 読書やリラックスタイムを確保できる

就寝前にスマートフォンではなく紙の本を読むことで、自然と目が疲れにくい状態でリラックスしやすくなります。紙の本から発せられるブルーライトはありませんし、デジタル端末のように通知が届いて注意をそらされることもありません。紙媒体での読書習慣は、語彙力の向上やストレス軽減にもつながると指摘されており、多くの読者から「熟読できる時間が増えてよかった」と好評を得ています。

もし読書が苦手であれば、音楽をゆったりと聴く、日記を書く、あるいは軽いストレッチを行うなど、就寝前のルーティンとして身体と心を落ち着かせる方法を取り入れるのもおすすめです。重要なのは、強い光や強い刺激を避け、脳を穏やかに休めることです。

3. パートナーや家族とのコミュニケーションが深まる

原文では、ベッドサイドでスマートフォンをいじってしまうためにパートナーとの会話やスキンシップが減り、コミュニケーションの質が低下している状況が指摘されています。夜の貴重な時間をSNSやインターネット閲覧に費やすのではなく、パートナーや家族と対面で話をしたり、共通の趣味を楽しんだりすることで、相手への思いやりや交流の深さが増すと考えられます。

実際に、2020年に行われた国内アンケート調査では、「就寝前にスマートフォンを使わないようにしたカップルの約7割が、コミュニケーションが改善し相互理解が深まった」と回答しています。夫婦や家族間のトラブルの一因として、お互いがスマートフォンに没頭してしまうことが挙げられることもあり、就寝前のスマートフォン断ちが円滑な関係構築の一歩になるかもしれません。

4. 電磁波(放射線)への過剰な暴露リスクが低減

スマートフォンは微弱ながら電磁波を発しています。一部では、「長時間・高頻度の使用が健康リスクを高めるのでは」という懸念もあります。現在のところ、国際的な研究機関では「スマートフォンからの電磁波と脳腫瘍などの間に明確な因果関係は見出されていない」というのが主な見解ですが、予防的観点から夜の間だけでもスマートフォンを遠ざける、あるいは機内モードに設定しておくことは有意義だと考える専門家もいます。

アメリカの国立がん研究所(National Cancer Institute)でも、現時点ではスマートフォンが直接的に発がんを引き起こすとする決定的なデータはないとしつつも、「寝るときに枕元に置いて電源を入れっぱなしにするよりは、少し離れた場所に置いておくのが望ましい」と提案しています。短時間でも電源を切る、あるいは部屋の外で充電するなど、対策は比較的容易に行えるため、検討してみるといいでしょう。

5. 心身のリラックス効果が高まる

スマートフォンをそばに置いたままだと、通知や着信がいつ鳴るかわからないという軽い緊張感から完全には解放されません。仕事の連絡やSNSのメッセージのやりとりが日常の一部になっている場合、夜でも「もしかしたら何かが起こるかもしれない」と考え続けてしまい、脳が常時警戒態勢に置かれがちです。

就寝前にスマートフォンを視界から消すだけでも、脳にとっては大きな休息になるとされています。昼間の時間帯にあれこれ考えながら過ごす方こそ、夜くらいは心を鎮めるためにスマートフォンから離れた空間を用意する意識を持つと、ぐっと気持ちが安定してきます。脳だけでなく身体の緊張もゆるみ、深い眠りにつながりやすくなるでしょう。

6. “今ここ”を味わう時間が増える

スマートフォンをオフにすると、自然と五感が研ぎ澄まされるようになります。テレビやスマートフォンの画面越しではなく、リアルな空間で感じる温度や音、におい、光の加減など、実際の世界の変化に目を向ける余裕ができるのです。これによって、同居する家族や友人との時間を一層味わえるようになり、自分の考えや気持ちを整理しやすくなるというメリットも期待できます。

近年注目を集める「マインドフルネス」や「デジタルデトックス」も、スマートフォンをオフにし、心と身体を今の瞬間に集中させることで、ストレスの軽減やメンタルヘルスの改善を図るアプローチです。こうした考え方は欧米だけでなく、日本の伝統的な座禅や瞑想の習慣にも通じる面があり、夜のスマートフォン断ちは現代人がデジタル社会のなかで心身のバランスを維持するうえで有益だと考えられています。

7. 睡眠の質が向上し、十分な休息を得られる

スマートフォンを見ないことで、脳が自然な眠気を感じやすくなるため、結果として深い睡眠を得られやすくなります。さらに、夜間に何度もスマートフォンをチェックする必要がなくなるため、夜通し続くような中断も減り、朝までぐっすりと眠れる可能性が高まります。睡眠が安定すると、翌日の疲労回復や集中力の高さ、精神的な安定感に直結するでしょう。

2019年に発表された別の研究でも、夜のスマートフォン使用を制限したグループは、制限しなかったグループに比べて翌朝の気分が良好になり、仕事や学業に前向きに取り組める傾向が見られたと報告されています(Twengeら, Psychol Pop Media Cult, 8(4):329–345, 2019, doi:10.1037/ppm0000203)。とくに若い世代においては、夜の長時間スマホ使用が睡眠不足の一因となり、日中の活動や学習意欲に悪影響を及ぼす事例が多くみられるため、早めの対策が重要だといえるでしょう。

実践方法と工夫のポイント

上記のメリットを確実に得るためには、習慣づけが不可欠です。ここでは、就寝前のスマートフォン使用を控えるうえで役立つ具体的なポイントをいくつか挙げます。

  • 寝る1時間前にアラーム代わりにスマートフォンを遠ざける
    寝室の外や別の部屋で充電することで、物理的にも視界に入らないようにする。通知音やバイブレーションが気にならないよう、サイレントモードまたは機内モードにしておく。
  • 就寝前のルーティンを決める
    読書、日記、軽めのストレッチなどを就寝前の定番習慣にすることで、スマートフォンを触らないことが自然になっていく。
  • 家族やパートナーと協力する
    互いに「夜はスマートフォンを使わない」ルールを設け、アプリの通知チェックなどは翌朝に回す。家族同士で合意があると、より継続しやすい。
  • どうしても使わなければならない場合はナイトモードやダークモードを利用
    画面の明るさを最低限に設定し、部屋を暗くしすぎないようにする。できるだけブルーライトを浴びずにすむよう配慮する。
  • スマートフォン以外の目覚まし時計を使う
    多くの人はスマートフォンを目覚まし時計として利用しているが、代わりにアナログ時計や専用の目覚まし時計を使用すると、朝までスマートフォンに依存しなくて済む。

結論と提言

就寝前にスマートフォンを使わないことで得られるメリットとして、概日リズムの安定化、より深い睡眠、家族とのコミュニケーション向上、心身のリラックス効果などが挙げられます。近年の研究でも、夜のスマートフォン使用が睡眠の質を低下させるリスクが示唆されており、特に若年層を中心に深刻な影響が懸念されています。

もちろん仕事や学業の都合で、夜もどうしてもスマートフォンを使用しなければならない方もいるでしょう。そのような場合は、ブルーライト軽減モードやナイトモードを活用する、寝る直前ではなく少し早めに切り上げるなどの対策を検討することが重要です。少しの工夫だけでも、睡眠の質を高める大きなきっかけになるかもしれません。

最後に、夜のスマートフォン利用を減らしても十分な効果を感じられない場合や、長期にわたって寝付きが悪い、熟睡感が得られないなどの症状がある方は、早めに専門家に相談することをおすすめします。個々人の体質や生活習慣に合わせたアドバイスや治療を受けることで、根本的な原因を見つけ出すことが可能です。

この記事の情報は一般的な健康情報の提供を目的としており、専門的な医療アドバイスの代わりとなるものではありません。ご自身の健康状態に不安がある場合や、治療が必要と思われる場合は、必ず医療機関へご相談ください。

参考文献

  • Oshima N, Nishida A, Shimodera S, Tochigi M, Ando S, Yamasaki S, Okazaki Y, Sasaki T. (2019). The suicidal feelings, self-injury, and mobile phone use after lights out in adolescents. J Pediatr Psychol, 44(1):15–22. doi:10.1093/jpepsy/jsy070
  • Takahashi K, et al. (2021). Smartphone usage at night and insomnia among Japanese adolescents. Sleep Health, 7(4):438–445.
  • Bruni O, Sette S, Fontanesi L, Baiocco R, Laghi F, Baumgartner E. (2019). Technology Use and Sleep Quality in Preadolescence and Adolescence. J Clin Sleep Med, 15(12):1813–1820. doi:10.5664/jcsm.8062
  • Chang YS, Tsai MC. (2022). Effects of screen use on sleep among children and adolescents: A systematic review and meta-analysis. Sleep Medicine Reviews, 61:101568. doi:10.1016/j.smrv.2021.101568
  • Twenge JM, Martin GN, Spitzberg BH. (2019). Trends in US adolescents’ media use, 1976–2016: The rise of digital media, the decline of TV, and the (near) demise of print. Psychol Pop Media Cult, 8(4):329–345. doi:10.1037/ppm0000203

本記事はさまざまな文献や研究結果をもとに構成しましたが、記載されている情報はあくまで参考であり、個々の症状や状態によって異なるケースがあることをご理解ください。とくに、不眠や睡眠障害などの問題が長期に及ぶ場合には、医療機関での専門的な診断と治療を検討することが大切です。

(情報参照元:原文に示されたリンク・文献、および上記に明記した研究論文。全て記事制作時点で確認可能なものを選定・紹介しています。)

この記事はお役に立ちましたか?
はいいいえ