慢性じんましんの対処法を徹底解説|原因と予防策を詳しく紹介
皮膚科疾患

慢性じんましんの対処法を徹底解説|原因と予防策を詳しく紹介

はじめに

かゆみを伴うじんましん(蕁麻疹)が長引き、何度も繰り返し発症することで日常生活に大きな支障をきたすケースは少なくありません。なかには「もう何日も連続して赤いブツブツやみみず腫れのような発疹が出ていて困っている」「皮膚が常にムズムズして仕事や家事に集中できない」といった悩みを抱えている方も多いのではないでしょうか。

免責事項

当サイトの情報は、Hello Bacsi ベトナム版を基に編集されたものであり、一般的な情報提供を目的としています。本情報は医療専門家のアドバイスに代わるものではなく、参考としてご利用ください。詳しい内容や個別の症状については、必ず医師にご相談ください。

本稿では、いわゆる「じんましんが頻繁に繰り返し出る」「じんましんが慢性的に続く」状態について、その原因や症状、考えられる疾患、治療法やセルフケアのポイントなどを詳しく解説します。加えて、国内外の新しい研究(2021~2023年)で報告されている情報も織り交ぜ、どのように対処すれば症状の改善につながるのかをわかりやすく整理しています。筆者は医療従事者ではありませんが、皮膚科専門クリニックによる推奨事項や最新の信頼できる学術雑誌等を参考にして執筆し、さらに本記事の内容は「Phòng khám Da liễu Thái Hà」による監修・アドバイス(専門的見解)を踏まえてまとめています。

じんましんの原因は多岐にわたり、日常生活の小さなきっかけでも再発することがあります。特に慢性化・長期化したじんましんは精神的ストレスを増幅させるため、さらなる悪化要因になることもあります。そこで、まずはじんましんがどんな疾患なのか、その背景や症状の特徴などを明確に把握し、正しい知識を身につけることが重要です。

本記事はあくまでも一般的な情報を提供し、正確性を高めるために多方面の信頼できる研究や専門家の意見を引用しますが、最終的な治療方針は医療機関での受診・診断を優先してください。とくに長引くじんましんや日常生活に差し障りが出るほどかゆみが強い場合は、専門の皮膚科などで早めに相談することをおすすめします。

専門家への相談

Phòng khám Da liễu Thái Hàは皮膚科全般にわたる診療・治療を実施しており、じんましんやアレルギー疾患に関する知見を多く持ち合わせている専門クリニックです。もし「じんましんが長引く」「何度も繰り返して悩まされる」などの症状がある場合、まずは症状の経過や誘発因子を記録し、クリニックでの受診時に専門家へ具体的に伝えると原因特定や治療方針を立てやすくなります。

以下では、じんましんが連続して出る場合の概要、原因、考えられる病態、治療方法、セルフケアなどを詳しく見ていきます。


じんましんとは何か

じんましんの定義と特徴

じんましん(蕁麻疹)は、皮膚に突然現れる赤く盛り上がった発疹(膨疹)が特徴的な症状です。蚊に刺されたあとのような跡が大小さまざまに現れ、強いかゆみを伴うことが多いとされています。通常は数時間から1~2日ほどで跡形もなく消えることが多いですが、原因や病態によっては数日間持続する場合もあります。

頻繁に再発するじんましんは一般的に「慢性蕁麻疹(慢性じんましん)」に分類され、6週間以上にわたって週に2回以上の頻度で症状が出る場合を指すことが多いです。日本でも、女性の30~50代に比較的多く見られると報告されていますが、子どもから高齢者まで幅広い年代で発症する可能性があります。

繰り返し出現するじんましん(慢性じんましん)とは

1回出て数時間で消えるじんましん(急性じんましん)であれば、誘発因子を避けることで自然に症状が落ち着くことも少なくありません。一方、慢性化しているじんましんは定期的に何度も出てきては消え、また別のタイミングで再発するのを繰り返します。医療現場では、原因がはっきりしない「特発性(idiopathic)」のものと、アレルギーや自己免疫疾患などが関与している「原因特定型(secondary)」に分けて考えることが多いです。

慢性じんましんの背景には自己免疫疾患が疑われるケースもあり、血液検査などで自己抗体の有無をチェックする場合があります。また、最近の国内外の報告によれば、慢性じんましん患者の約3~4割が自己免疫機序を持っている可能性が示唆されています。とはいえ、すべてのケースで原因が明らかになるわけではなく、「原因不明(慢性特発性じんましん)」として扱われる症例も少なくありません。


なぜじんましんが繰り返し長引くのか

「じんましんが続く」「治ってもまた繰り返す」という場合、以下のような要因が考えられます。

  • アレルギー体質
    食物アレルギー(卵、乳製品、甲殻類、ナッツなど)や薬剤アレルギー、花粉、ペットの毛など、体質的にアレルゲンに過敏に反応しやすい方は、何度もじんましんを起こす可能性があります。
  • 自己免疫疾患
    自己免疫疾患(例:甲状腺疾患、関節リウマチ、膠原病など)の一環として、慢性じんましんを合併することがあります。特に甲状腺機能異常とじんましんとの関連が疑われる例が報告されています。
  • 物理的刺激
    締め付けの強い衣類、温度変化、圧迫、摩擦などの物理的刺激によってじんましんが出ることがあります。たとえば「皮膚描画症」と呼ばれるタイプでは、皮膚に軽く線を書いただけでも赤くみみず腫れが生じる場合があります。
  • ストレス
    精神的あるいは肉体的ストレスがきっかけで、かゆみが増したり新たに発疹が出現したりする人もいます。最近の国内研究でも、ストレスによるホルモンバランスの乱れが炎症性サイトカインを増幅し、じんましんの悪化要因となる可能性が指摘されています。
  • 感染症
    細菌やウイルスによる感染症、寄生虫感染などによる慢性的な炎症が、じんましんの引き金になっているケースがあります。
  • 原因不明(特発性)
    血液検査、アレルギーテスト、生活環境チェックなどで特定できる要因が何も見つからない場合は、慢性特発性じんましんと診断されることがあります。実際、この「原因不明」タイプが慢性じんましんの約半数を占めるとも言われています。

研究による知見:ストレスとじんましんの関係

2021年にアレルギー領域の国際学術誌で報告された研究(※後述「参考文献」に記載のガイドライン関連記事内の補足資料など)では、慢性じんましん患者のうちストレスを感じている人がそうでない人と比べて発疹の再発頻度が高かったとの結果があります。ストレスが続くと、体内でコルチゾールやアドレナリンなどのホルモンが変動し、その結果ヒスタミンの放出が増え、皮膚のかゆみを増強する可能性があると考えられています。


症状の特徴:じんましんが連続して出現する場合

じんましんに共通する主な症状として、以下が挙げられます。

  • 皮膚表面が赤く盛り上がる
    いわゆる「膨疹(ぼうしん)」や「みみず腫れ」と呼ばれる状態。直径数ミリの小さなものから、数センチの大きなものまでさまざま。
  • 強いかゆみ
    かゆみの度合いは個人差が大きいですが、寝ている間に無意識にかきむしってしまうほど強いケースもあります。
  • 数時間から数日間で消失し、また出現
    急性じんましんの場合は1日以内に消えることも多いですが、慢性化している場合は数日間繰り返し出没することもあります。
  • 皮膚以外の症状
    場合によっては唇やまぶた、喉などの粘膜が腫れる「血管性浮腫(けっかんせいふしゅ、アナフィラキシーの一種)」が併発するケースもあり、呼吸困難やのどの詰まり感などを感じることがあります。

慢性化の兆候とは

  • 6週間以上、断続的または連続的に繰り返す
  • 週2回以上のペースで発疹が現れる
  • かゆみが一向に治まらず、睡眠の妨げや日常生活に支障が出ている
  • 保湿や抗ヒスタミン薬を使用しても改善に時間がかかる

上記にあてはまる場合、慢性じんましんの可能性が高くなります。周囲の生活環境やストレス要因にも目を向けながら、専門医への受診を検討しましょう。


じんましんが長く続く場合の検査と診断

問診と視診

じんましんの診断において、まず医師は問診で症状の出方や生活習慣、既往歴などを確認します。具体的には以下のような質問を受けることが多いでしょう。

  • いつごろから発疹が出始めたか
  • 発疹が出るタイミングや頻度
  • 食事内容や服用中の薬剤
  • 衣類の素材や生活環境の変化
  • ストレス状況や睡眠状態

視診では、実際の発疹や皮膚の状態を確認し、じんましん特有の「膨疹」かどうかを確認します。必要に応じて写真撮影することもあります。

血液検査・アレルギーテスト

原因がアレルギーと疑われる場合は、血液検査でIgE抗体の有無やアレルゲン特異的IgEのレベルを調べるほか、皮膚プリックテスト、パッチテストなどを行うこともあります。自己免疫性が疑われる場合は自己抗体(抗IgE受容体抗体など)の存在を調べるケースもあります。

関連疾患のスクリーニング

慢性じんましんに甲状腺機能異常、膠原病、リウマチなどの自己免疫疾患が関係している場合もあるため、必要に応じて追加の血液検査や画像検査を行うことがあります。感染症による慢性炎症が疑われるケースでは、潜在的な感染の有無を調べるための検査が行われることもあります。


治療法:じんましんが頻繁に繰り返す、長引く場合

医療機関での治療

  1. 抗ヒスタミン薬(H1受容体拮抗薬)
    かゆみや膨疹の原因となるヒスタミンの作用を抑える薬です。第一世代、第二世代と分かれますが、一般的には副作用が少ない第二世代抗ヒスタミン薬が中心に用いられます。症状に応じて、服用回数や種類を調節します。
  2. 抗アレルギー薬
    一部の抗アレルギー薬は、ヒスタミン以外の物質が原因の場合にも有効なケースがあり、症状や体質に合わせて処方されることがあります。
  3. ステロイド外用薬・内服薬
    症状が重度で、短期的に炎症を強力に抑えたい場合に使用します。ただし、ステロイドは長期使用による副作用のリスクがあり、医師の指示を厳守する必要があります。
  4. 免疫抑制薬(シクロスポリンなど)
    自己免疫的な機序が強く関与していると考えられる場合に使用されることがあります。効果が高い反面、副作用も無視できないため、慎重に使われます。
  5. 生物学的製剤(オマリズマブなど)
    IgEの働きを阻害してじんましん発作を軽減する薬剤です。特に慢性特発性じんましんなど従来の治療が効きにくい症例で適応されるケースがあります。注射製剤で月1回程度の投与を行う方法が一般的です。
  6. その他(ヒドロキシクロロキンなど)
    自己免疫由来のじんましんで、特定の抗マラリア薬が有効とされる報告があります。実際に、8割近くの患者で症状が改善したという研究も存在します。ただし、医師の管理下で服用する必要があります。

新しい知見:2022年以降の治療アップデート

  • JAK阻害薬の可能性
    じんましんに対するJAK阻害薬の有効性を示唆する海外の臨床試験が2022年に報告されています(対象は数十名の慢性じんましん患者で、プラセボ対照試験の結果、かゆみスコアの大幅改善が認められた)。ただし、保険適用や安全性プロファイルなどは各国でまだ検討中の段階が多く、日本で一般的に利用できるかどうかは今後の研究と行政承認次第です。

自宅でできるケア・予防

  1. 保湿ケア
    皮膚のバリア機能を高めるために、低刺激の保湿剤をこまめに使用することが推奨されます。
  2. 衣類の工夫
    皮膚を締めつける服や、化学繊維が多い衣類は避け、通気性と肌あたりのやわらかい素材(コットンなど)を選ぶとよいでしょう。
  3. 入浴法の調整
    熱すぎる湯船はかゆみを増幅する恐れがあります。38~40℃程度のぬるま湯に短時間浸かることがおすすめです。
  4. ストレスマネジメント
    ストレスがかゆみを悪化させる報告があるため、適度な運動や十分な休息、リラクゼーション法(ヨガ、呼吸法など)を取り入れることが効果的です。
  5. 冷却(クーリング)
    かゆみがひどい部分に冷やしたタオルなどをあてると、一時的に血管が収縮してかゆみがやわらぐ場合があります。逆に冷却で悪化するタイプ(寒冷じんましん)の方は注意が必要です。
  6. アレルゲン回避
    思い当たるアレルギー源(特定の食品や薬など)がある場合は、それを摂取または接触しないように生活習慣を見直す必要があります。

症状が連続的・長期的に出る場合のQ&A

Q1. 慢性じんましんはどのくらい治療期間がかかるのか?

多くの場合、数か月から1年程度で自然寛解(症状が落ち着く)することもありますが、個人差が大きく、さらに数年にわたって慢性的に症状が続く例もあります。治療を続けることでかゆみや発疹の頻度をコントロールすることは可能ですので、漫然と放置せず、医師の指導のもとで抗ヒスタミン薬などを適切に活用しましょう。

Q2. じんましんは人にうつるか?

じんましんは感染症ではないため、人から人へ直接うつることはありません。同居家族で同時にじんましんが出る場合は、同じアレルゲン(食材や環境要因)にさらされた結果、偶然似た症状が出ている可能性が考えられます。

Q3. どのタイミングで医師を受診すべきか?

以下のような状況が見られる場合、できるだけ早めに受診しましょう。

  • 数週間以上、じんましんが頻繁に出たり引いたりを繰り返す
  • かゆみが非常に強く、睡眠障害や日常生活への支障が顕著
  • 発疹が感染したように赤く腫れ、膿があるように見える場合
  • 発疹以外に唇や喉の腫れなどがあり、呼吸が苦しくなる、あるいは喘鳴(ぜんめい)などが出る

これらの症状がある場合は、放置すると症状が悪化することもあります。自己判断でステロイドを乱用したり、民間療法のみで対処しようとせず、専門医に相談してください。


じんましんが長引く・繰り返す場合の予防・対策ポイント

  • 発疹日記をつける
    いつ、どのような状況で発疹が出たかを簡単に記録すると、原因や誘発因子の推測に役立ちます。食事内容、服用薬、ストレス状況、衣類、天候、体調など、思いつく範囲でメモしておきましょう。
  • 適切なスキンケア
    バリア機能が低下している肌は外部刺激を受けやすく、じんましんを繰り返しやすくなります。刺激の少ない保湿剤や石鹸を選び、入浴後はすぐに保湿しましょう。
  • 温度・湿度の調整
    暑すぎる環境や急激な温度変化はじんましんを誘発することがあります。エアコンや加湿器を適度に活用し、極端な温度差を避けることが望ましいです。
  • 生活習慣の改善
    十分な睡眠を取り、ストレスを軽減する習慣(ウォーキング、ヨガ、趣味など)を生活に取り入れると、発疹の悪化を抑制できる可能性があります。また、飲酒や喫煙も血行や皮膚の免疫バランスに影響を与えるため、控えるのが理想です。
  • 検査と定期的なフォローアップ
    原因が判明せずに慢性化している場合は、ときどき血液検査や専門医の診察を受け、他の合併症(甲状腺や免疫異常など)がないか確認するのも大切です。

研究動向:国内外の最新知見

国内外のガイドライン

国際アレルギー学会などを中心に、慢性蕁麻疹に対するガイドラインは随時更新されています。2021~2022年には、自己免疫性メカニズム生物学的製剤の新たな応用などが議論され、従来の抗ヒスタミン薬だけでなく多角的な治療アプローチが推奨されています。

大規模臨床研究

2022年に海外の主要アレルギー学術誌で報告されたフェーズII試験では、慢性じんましんの患者に対し生物学的製剤を投与したグループで有意に症状が改善することが示されました。被験者は約200名規模で行われ、プラセボ対照試験によって評価された結果、かゆみスコアの減少や発疹の範囲が縮小したとされています。ただし長期的な副作用リスクなどの検証はまだ道半ばであり、今後の追跡調査が待たれます。

国内向けの適用範囲

日本国内では生物学的製剤が保険適用されるかどうか、あるいはJAK阻害薬など新規治療薬の位置づけはまだ限定的です。しかし、症状が重く従来治療で効果が得にくいケースでは、専門医が慎重に判断したうえで新たな治療法を検討することもあります。


医療機関へ行くタイミング・受診時のポイント

  • 初期症状が軽い場合でも、6週間以上繰り返すなら早めに相談
  • 自己判断でステロイドを長期使用しない(副作用リスクが高まる)
  • 内科やアレルギー科、皮膚科など、じんましんを専門とする医師に相談
  • 症状日記やアレルギー検査結果など、準備して受診するとスムーズ

結論と提言

長引くじんましんは、しばしば「慢性じんましん」と呼ばれ、アレルギー体質や自己免疫異常、物理的刺激、ストレスなど多種多様な要因が複雑に絡み合っている可能性があります。6週間以上、週に2回以上の頻度で赤い膨疹が出続けたり再発したりする場合は、自己判断に頼らずに専門医の診断を受け、必要に応じて血液検査や原因検索を行うことが肝心です。

治療においては抗ヒスタミン薬が中心になりますが、自己免疫が関与する症例では免疫抑制薬や生物学的製剤が用いられることもあります。また、ストレスケアや生活習慣の見直し、衣類・入浴法の調整など、セルフケアも重要なポイントです。今後はJAK阻害薬を含む新しい治療法の研究がさらに進展することが期待され、日本国内での適用が拡大すれば、既存の治療で効果が得にくかった人々にとって大きな希望となるでしょう。

一方で、じんましんが日常生活を著しく阻害するほどの強いかゆみや痛み、喉や口腔内の腫れ(血管性浮腫)といった重篤な症状が出る場合は、なるべく早く医療機関を受診してください。とくに呼吸が苦しくなるような症状はアナフィラキシーのリスクも考えられるので、放置は禁物です。

最終的には、じんましんを「一時的な軽い症状」として見過ごすのではなく、「長引けば生活の質を大きく下げ、深刻な合併症を伴うこともある症状」と捉えて適切な対処を心がけることが重要です。自己流の治療や安易な民間療法に走るのではなく、皮膚科医・アレルギー科医など専門家の指導のもとで、適切な薬物療法と生活管理を行うのが望ましいといえます。


参考文献


免責事項
本記事の内容は健康情報の一般的な提供を目的としており、医師の診断や治療行為を代替するものではありません。症状の原因や治療法は個々の体質や病態により異なりますので、実際の受診・診断・治療は必ず医療従事者の判断を仰いでください。また、他の治療法や予防法と併せて確認し、不安な点があれば早めに専門家に相談されることをおすすめします。

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