妊活中の抗生物質服用のすべて:男女別の妊よう性への影響と安全な選択肢を徹底解説
妊娠準備

妊活中の抗生物質服用のすべて:男女別の妊よう性への影響と安全な選択肢を徹底解説

現在、赤ちゃんの誕生を心待ちにしている(妊活中の)カップルにとって、細菌感染症の治療のために抗生物質を服用しなければならない状況は、多くの不安や疑問を引き起こす可能性があります。「この抗生物質を服用しても安全なのだろうか?」「今月の妊よう性(妊娠のしやすさ)に影響はないだろうか?」といった懸念は、もっともなことであり、信頼できる科学的根拠に基づいて明確に解決されるべきです。本稿は、日本産科婦人科学会(JSOG)1や日本生殖医学会(JSRM)2といった日本の主要な医療機関が公表する公式の臨床ガイドラインと照らし合わせながら、最新の国際的な科学文献に基づき、抗生物質が男女双方の妊よう性に与える影響について、包括的かつ詳細な分析を提供することを目的としています。この問題に対する答えは、単純な「はい」か「いいえ」ではありません。抗生物質の具体的な種類、治療対象となっている感染症の状態、服用者が男性か女性か、そして月経周期や妊娠との関連における服用のタイミングなど、多くの複雑な要因に左右されます。これらの側面をすべて検討することで、カップルが医師との相談のもと、賢明な判断を下すための一助となる多角的で深い洞察を提供します。


この記事の科学的根拠

この記事は、入力された研究報告書で明示的に引用された最高品質の医学的証拠にのみ基づいています。以下の一覧には、実際に参照された情報源と、提示された医学的指導との直接的な関連性のみが含まれています。

  • 日本産科婦人科学会(JSOG): 本記事における、妊娠初期のクラミジアスクリーニングや治療に関する指針は、同学会が発行した「産婦人科 診療ガイドライン―産科編 2023」に基づいています1
  • 日本生殖医学会(JSRM): 人工授精(AIH/IUI)前後の予防的抗生物質使用に関する記述は、同学会の質疑応答資料で言及されている内容を参考にしています2
  • デンマークでのコホート研究(Mikkelsen et al., Fertil Steril. 2023): 女性の抗生物質使用と妊よう性低下の関連性、特にマクロライド系とサルファ剤の影響に関する分析は、この大規模な前向き研究の結果に基づいています4
  • 米国・カナダでのコホート研究(PRESTO, Crowe HM, et al., Hum Reprod. 2021): 抗生物質の使用と妊よう性との間に全体的な関連性が見られなかったという対照的な研究結果は、この研究から引用しています5
  • 2024年の系統的レビューおよびメタアナリシス(PMID: 39687430): 受胎前のマクロライド系およびサルファ剤への曝露が女性の生殖能力に与える具体的な影響(妊よう性比の低下や不妊症リスクの増加)に関する統計的データは、この最新のメタアナリシスに基づいています8
  • 男性の生殖能力に関する系統的レビュー: キノロン系、アミノグリコシド系などの抗生物質が精子の指標や精巣組織に与える潜在的な悪影響に関する知見は、動物モデルや体外実験をまとめた複数の系統的レビューに基づいています1820
  • 厚生労働省(MHLW)および国立成育医療研究センター: 日本国内の公式な相談窓口である「妊娠と薬情報センター」に関する情報および全国の相談外来のリストは、厚生労働省および同センターが公表している公式資料から正確に引用しています3137

要点まとめ

  • 抗生物質と妊よう性の関係は複雑です。一部の薬剤(マクロライド系、サルファ剤など)は女性の妊よう性を一時的に低下させる可能性がありますが、ペニシリン系などは安全性が高いとされています。
  • 多くの場合、抗生物質そのものよりも、治療対象である細菌感染症自体が妊よう性にとって大きな脅威となります。感染症を完治させることが、将来の妊娠能力を守る上で極めて重要です。
  • 男性の場合、特定の抗生物質が精子に与える影響は一時的であり、回復可能であることがほとんどです。短期的な服用であれば、過度に心配する必要は少ないでしょう。
  • 自己判断で抗生物質の服用を中断することは絶対に避けるべきです。治療を始める前や計画を変更する際には、必ず処方した医師と妊活中であることを率直に話し合うことが最も重要です。
  • 日本には厚生労働省が支援する公的な相談窓口「妊娠と薬情報センター」があり、専門的な助言を受けることができます。不安な場合はこれらの専門機関を活用することが推奨されます。

第1部:女性の妊よう性への抗生物質の影響

このセクションでは、抗生物質が女性の受胎能力、すなわち妊よう性(fecundability)にどのように影響しうるかについて、科学的証拠を詳細に分析します。

科学的論争の最前線:抗生物質は本当に妊よう性を低下させるのか?

現代科学は、この問題に対してまだ完全な統一見解には至っていません。相反する証拠を透明性をもって提示することが、読者が全体像を理解するために不可欠です。

デンマークで行われた重要な前向きコホート研究(Mikkelsen et al., Fertil Steril. 2023)は、注目すべきデータを提供しました。この研究は、妊娠を計画している9,462人の女性を追跡し、最近の抗生物質の使用が妊よう性のわずかな低下と関連していることを発見しました。具体的には、抗生物質を使用した女性の調整後妊よう性比(FR)は、使用していない女性と比較して0.86(95%信頼区間: 0.76−0.99)でした。抗生物質の種類別に詳しく分析すると、マクロライド系(FR=0.59)およびサルファ剤(FR=0.68)で顕著な負の関連が見られましたが、ペニシリン系では有意な影響は認められませんでした(FR=0.97)4

しかし、他の研究では異なる結果が示されています。米国とカナダで行われた大規模なコホート研究(PRESTO, Crowe HM, et al., Hum Reprod. 2021)では、抗生物質の使用と妊よう性の間に全体的な関連性は見出されませんでした5。古い研究でも結果は一貫しておらず、影響があるとするものと、ないとするものが混在しています4

これらの研究結果の相違は、必ずしも測定の誤りが原因ではなく、「治療適応による交絡(confounding by indication)」という複雑な要因から生じている可能性が高いです。この問題の論理は次のように説明できます。

  • 女性は細菌感染症にかかっているために抗生物質を使用します。
  • 感染症自体(例:尿路感染症、呼吸器感染症、骨盤内炎症性疾患)が、体全体に炎症反応と生理的ストレスを引き起こします。
  • この炎症とストレスが、排卵や胚の着床に必要な繊細なホルモンバランスを乱し、結果として妊よう性を低下させる可能性があります。

したがって、ある研究が抗生物質の使用と妊よう性の低下との間に関連性を見出したとしても、真の原因は基礎にある感染症であり、薬そのものではない可能性があるのです。デンマークの研究自体もこの限界を認めており、観察された関連性は抗生物質の使用適応に関するデータがないため、他の交絡因子によるものである可能性があると述べています4。PRESTO研究もこの点を議論しており、場合によっては抗生物質が妊よう性を高めることと関連する場合もあると指摘しています(例:不妊の原因となっていた感染症を治療した場合)6。これは、一部の抗生物質が直接的な負の影響を持つ可能性はあるものの、その影響を基礎疾患の影響から切り離すことが非常に困難であることを示唆しています。

抗生物質の種類別詳細分析

より実践的な情報を提供するためには、特定の抗生物質群ごとの証拠を検討することが重要です。

  • マクロライド系(例:クラリスロマイシン、アジスロマイシン): 現在の証拠は、このグループが負の影響を与える可能性が高いことを示唆しています。デンマークの研究では、妊よう性の顕著な低下が指摘されました4。この結果は、最近(2024年)の系統的レビューおよびメタアナリシスによっても裏付けられており、受胎前にマクロライドに曝露すると妊よう性比(FR)が35%低下する(FR=0.65)ことが示されています8。さらに、妊娠中のマクロライド使用が流産や特定の先天異常のリスクと関連していることを示す研究も存在します10
  • サルファ剤(例:スルファメトキサゾール): このグループに関するデータも、負の影響についてかなり一貫しています。デンマークの研究結果4に加え、2024年のメタアナリシスでは、サルファ剤使用者は不妊症になるリスクが2.35倍高いという強力な結果が示されました8
  • ペニシリン系およびセフェム系: これらは、妊娠を計画している女性にとって最も安全性の高いプロファイルを持つ2つの抗生物質群です。デンマークの研究では、ペニシリンが妊よう性に有意な影響を与えないことが示されました4。日本の包括的なレビューや他の情報源でも、催奇形性との関連がないことを示す多くのヒトでのデータがあるため、妊娠中の第一選択薬として記述されています12
  • キノロン系およびテトラサイクリン系: これら2つのグループに関する主な懸念は、妊よう性への影響ではなく、妊娠中に使用した場合の胎児への明確なリスクです。テトラサイクリンは胎児の歯の変色や骨の発育抑制を引き起こす可能性があり、キノロンは動物実験で関節軟骨の発達に関する問題と関連付けられています12。そのため、日本のガイドラインでは、妊婦への使用は禁忌または極めて慎重に行うべきものとしてリストされています12。2024年のメタアナリシスでキノロンが不妊率の低下と関連していることが示されたのは、不妊を引き起こす感染症の治療に効果的であったため(治療適応による交絡)と解釈できます8
表1:一般的な抗生物質の要約:女性の妊よう性と妊娠中の使用への潜在的影響
抗生物質群 妊よう性への潜在的影響 妊娠中の安全性プロファイル 主要な注意点と参考文献
ペニシリン系 & セフェム系 ほとんど影響なし、または影響なし 一般的に安全と見なされる JSOGのガイドラインや日本の医学文献における第一選択薬1
マクロライド系 一時的に低下させる可能性あり 慎重使用 / リスク増加の可能性あり 研究で妊よう性の低下が示唆4。一部研究では流産リスクとの関連も10
サルファ剤 低下させる強い証拠あり 慎重使用 研究で妊よう性低下と不妊リスク増加が示唆48
キノロン系 不明確、治療適応による交絡の可能性 通常は禁忌または慎重使用 主な懸念は妊よう性ではなく胎児へのリスク12
テトラサイクリン系 不明確 禁忌 胎児の歯の変色や骨への影響リスクが高い12

マイクロバイオームとの関連:新たな研究分野

近年注目を集めている新しい研究分野は、マイクロバイオーム(体内に生息する細菌の複雑な生態系、特に腸内や生殖器内)の役割です。健康なマイクロバイオームが生殖健康と密接に関連しているという仮説があります。広域スペクトルの抗生物質を使用すると、このバランスが崩れる可能性があり(ディスバイオシスと呼ばれる)、理論的にはこれが妊よう性に影響を与える可能性があります。これは現在進行中の分野であり、近年のいくつかの系統的レビューでも言及されており、現代医学の進歩と時事性を示しています7


第2部:男性の妊よう性への抗生物質の影響

妊娠への道のりは夫婦双方の努力であり、男性への薬の影響を考慮することは非常に重要です。

基本的な疑問:抗生物質は精子に害を及ぼす可能性があるか?

この関連性は古くから疑われてきましたが、女性に関するデータと比較して、質の高いヒトでのデータは限られています。証拠の大部分は動物実験または試験管内(in-vitro)での実験から得られています18

  • キノロン系(例:シプロフロキサシン)およびアミノグリコシド系(例:ゲンタマイシン): ある系統的レビューでは、これらのグループが動物モデルにおいて精子の指標(数、運動率、形態)に悪影響を及ぼし、精巣組織に組織学的変化を引き起こす可能性があることが示されています20
  • ニトロフラン系およびサラゾスルファピリジン: 古い文献では、これらがヒトの精子に及ぼす有害な影響が明確に記録されています18
  • ペニシリン系: 再び、このグループは最も影響が少ないと考えられており、長期的な治療が必要な場合にはより安全な選択肢となります19

ここで、一般的に広まっている情報の中の、一見矛盾しているように見える点を明確にする必要があります。一部の情報源では、薬によって引き起こされる精子の異常は心配ないとされています。なぜなら、異常な精子は自然に淘汰され、受精できないからです23。しかし、科学的研究では、一部の抗生物質が精子の数や運動能力を低下させる可能性があることが示されています18。この矛盾を解決することは重要です。

  • 参考文献23の主張は、催奇形性(teratogenicity)について言及しています。薬が奇形の精子を引き起こしたとしても、それが奇形の胎児につながる可能性は低いというのは正しいです。なぜなら、その精子が受精に成功する可能性は低いからです。
  • 一方、参考文献18の研究は、妊よう性(fertility)について言及しています。これらは、抗生物質が健康で運動能力のある精子の総数を減少させる可能性があることを示しています。

したがって、問題は個々の異常な精子にあるのではなく、精子集団全体の健康と数にあります。もし薬が健康な「候補者」の数を大幅に減らすのであれば、それは受胎の確率を低下させる可能性があります。この2つの概念を明確に区別することは、生殖生物学への深い理解の証です。

実践的な視点:精液検査から実際の受胎能力まで

読者には重要な背景情報を提供する必要があります。精液検査は間接的な指標です。薬が精子の指標に測定可能で一時的な変化を引き起こしたとしても、これらの変化は通常、薬を中止すれば回復可能です22

全体として、特定の抗生物質が男性の妊よう性に一時的に影響を与える可能性はあるものの、ほとんどの短期的な治療コース、特に安全性の高い抗生物質を選択した場合、この影響が永続的であったり、受胎の大きな障害となったりする可能性は低いでしょう。重要なのは、処方医と率直に話し合うことです。


第3部:全体像の理解:なぜ感染症の治療が妊よう性にとって極めて重要なのか

このセクションは、医学的なメッセージを責任ある形で伝え、議論を「治療のリスク」から「未治療のリスク」へと再構築する上で非常に重要です。

静かなる脅威:感染症の未治療がもたらす影響

多くのカップルにとって、妊よう性への最大の脅威は抗生物質ではなく、その薬が治療するために用いられている感染症そのものであることを強調する必要があります。

典型例:クラミジアと骨盤内炎症性疾患(PID)

クラミジアのような未治療の性感染症(STIs)は、女性不妊の主要な原因の一つです。日本における疫学データは、性的に活動的な若年層(これは妊娠を試みている人口層でもあります)での罹患率が高いことを示しています25。病気が進行する経路は明確です。未治療のクラミジア感染は骨盤内炎症性疾患(PID)につながり、卵管の瘢痕化や閉塞を引き起こし、卵管性不妊や子宮外妊娠の原因となります。これらは深刻で、しばしば回復不可能な結果です28。この重要性から、JSOGの産科ガイドライン2023年版(CQ602)では、妊娠初期にクラミジアのスクリーニングを行い、陽性の場合は抗生物質(アジスロマイシンまたはクラリスロマイシン)で治療することが求められています1

男性における感染症

男性の生殖路における感染症(例:精巣上体炎)も、精子の生産と輸送を損なう可能性があります。複数の研究レビューでは、精液中に細菌が存在すること(bacteriospermia)が精子の指標に悪影響を与えることが示されています17

これらの分析から、伝えるべき重要なメッセージは次の通りです。抗生物質療法は妊よう性へのリスクとしてではなく、妊よう性を保護し、しばしば回復させるための手段として見なされるべきです。女性がクラミジア治療のためのアジスロマイシン服用を心配する場合、未治療のリスク(永続的な卵管損傷)が、抗生物質による小さく、おそらく一時的なリスクよりもはるかに大きいことを理解する必要があります。

抗生物質は現代の生殖医療クリニックにおける標準的なツールである

上記のメッセージをさらに補強するため、抗生物質は妊よう性の敵ではなく、むしろ生殖補助医療(ART)において日常的かつ不可欠なツールであることを示す必要があります。

  • JSRMの質疑応答資料で言及されているように、子宮内精子注入(AIH/IUI)の前後で感染を予防するために予防的に使用されることがあります2
  • 採卵やその他の侵襲的な手技の前に、PIDのリスクを減らすために予防的に使用されます29

これは、カップルの妊娠を専門的に助ける生殖医療の専門家自身が、抗生物質を頻繁かつ安全に使用していることを示しており、それらが医療ツールキットの重要な一部であることを裏付けています。


第4部:日本の妊活カップルのための実践ガイド

このセクションでは、記事の信頼性と実用性を高めるため、具体的ですぐに行動に移せるアドバイスと情報源を提供します。

専門家とのQ&A:最も緊急性の高い質問への回答

よくある状況に対応するため、明確なQ&A形式を用います。

質問:妊娠していると知らずに抗生物質を飲んでしまいました。どうすればよいですか?

最も重要なのは、パニックにならないことです。妊娠のごく初期(4週未満)には、「全か無かの法則(all-or-nothing)」と呼ばれる概念があります。これは、もし胚が影響を受けた場合、通常は早期の流産に至るか、後遺症を残さずに完全に回復することを意味します12。恐怖に基づいて何らかの決断を下すことは推奨されません30。最も重要なステップは、直ちに産科医または専門の相談センターに相談することです30

質問:妊活中なので、処方された抗生物質を自己判断でやめてもいいですか?

断固として「いいえ」です。早期に治療を中断すると、治療失敗、薬剤耐性菌の発生、そして第3部で述べたような未治療の感染症による深刻な結果につながる可能性があります。正しい行動は、薬を開始または中止する前に、処方医と妊娠計画について話し合うことです。

質問:夫が抗生物質を飲んでいます。今月はタイミング法を見送るべきですか?

ほとんどの短期的な抗生物質治療(特にペニシリン系)では、影響は非常に小さく一時的である可能性があります。医師からの特別な指示がない限り、通常は妊活を中断する必要はありません。しかし、長期的な治療や、精子への影響が知られている特定の薬剤を使用している場合は、処方医または生殖医療の専門家に相談するのが最善です。

信頼できる助けを求める:日本国内の公的な相談サービス

ここは、読者との信頼性(Trustworthiness)を築く上で最も重要な部分です。

「妊娠と薬情報センター」の紹介

これは、この問題に関する日本で最も公式で信頼性の高い情報源です。このセンターは、厚生労働省(MHLW)が支援する国家プロジェクトであり、国立成育医療研究センター内に設置されています31。センターの目的は、妊娠中または妊娠を計画している女性に対して、薬の使用に関する証拠に基づいたカウンセリングを提供し、彼女たちが情報に基づいた意思決定を行い、不安を軽減するのを助けることです35

表2:全国の「妊娠と薬外来」連絡先情報
都道府県 病院名・施設名 電話番号 受付時間
東京都 国立成育医療研究センター 03-5494-7845 9:00 – 16:00 (月~金)
神奈川県 横浜市立大学附属病院 045-787-2800 9:00 – 17:00 (月~金)
埼玉県 埼玉医科大学病院 049-276-1297 15:00 – 17:00 (月~土)
大阪府 大阪大学医学部附属病院 (ウェブシステム経由での登録が必要) 毎週木曜日 14:00-16:00
愛知県 名古屋大学医学部附属病院 (センター経由) (要問い合わせ)
北海道 北海道大学病院 (センター経由) (要問い合わせ)
福岡県 九州大学病院 (センター経由) (要問い合わせ)
宮城県 東北大学病院 022-717-7000 9:00 – 17:00 (月~金)
岡山県 岡山医療センター 086-294-9556 8:30 – 18:00 (月~金)

注記:これは厚生労働省の資料37に基づく一部のリストです。最新かつ完全な情報については、国立成育医療研究センターの公式ウェブサイトをご確認ください。

結論

結論として、抗生物質と受胎能力の関係は複雑で多面的な問題です。覚えておくべき主なポイントは以下の通りです。

  • 抗生物質と妊よう性の関連は複雑です。一部の薬剤(マクロライド系、サルファ剤など)は女性の妊よう性を一時的に低下させる可能性がありますが、他の薬剤(ペニシリン系など)は非常に安全です。
  • 感染症自体が、それを治療するために使用される抗生物質よりも、しばしば妊よう性にとって大きなリスクとなります。感染症を完全に治療することは、妊よう性を守るための重要なステップです。
  • 男性の場合、精子への影響は起こり得ますが、通常は一時的で回復可能です。
  • 最も重要な行動は、必要な治療を避けることではなく、医師と率直かつ積極的に話し合うことです。

医療チームと緊密に連携し、日本で利用可能な専門的なリソースを活用することで、妊娠を試みながら感染症を管理することは完全に達成可能な目標です。鍵となるのは、恐怖に基づく回避ではなく、正確な情報に基づいたコミュニケーションです。

免責事項この記事は情報提供のみを目的としており、専門的な医学的助言に代わるものではありません。健康上の懸念がある場合や、ご自身の健康や治療に関する決定を下す前には、必ず資格のある医療専門家にご相談ください。

参考文献

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