この記事の科学的根拠
この記事は、ご提供いただいた研究報告書に明示的に引用されている、最高品質の医学的証拠にのみ基づいています。以下は、本稿で提示される医学的指針に直接関連する主要な情報源のリストです。
- 厚生労働省「日本人の食事摂取基準(2020年版)」: 本記事における授乳期のエネルギー付加量(+350 kcal/日)や、各種ビタミン・ミネラルの推奨摂取量に関する指針は、この日本の公的基準に基づいています。
- 日本小児科学会および厚生労働省の食物アレルギーに関する指針: 赤ちゃんの食物アレルギー発症予防を目的とした、妊娠中・授乳中の母親による予防的な食物除去を推奨しない、という本記事の最も重要な勧告は、これらの専門機関の公式見解を根拠としています。
- ラウリン酸および中鎖脂肪酸(MCTs)に関する科学的研究: ココナッツミルクの主成分であるラウリン酸が母乳にも含まれること、またMCTsが効率的なエネルギー源となるという記述は、複数の査読済み科学論文に基づいています。
要点まとめ
- 授乳期は母乳生成のため、1日あたり約350キロカロリーの追加エネルギーが必要です。ココナッツミルクに含まれる中鎖脂肪酸は、速やかにエネルギーに変換されるため、効率的な補給源となります。
- ココナッツミルクに豊富なラウリン酸は、人間の母乳にも含まれる抗菌・抗ウイルス作用を持つ成分であり、摂取することで母乳の保護機能を高める可能性があります。
- 赤ちゃんの食物アレルギー予防のために、母親が自己判断で特定の食品を除去することは、日本の厚生労働省や小児科学会によって推奨されていません。バランスの取れた食事が最も重要です。
- ココナッツミルクを選ぶ際は、有機JAS認定、無添加(漂白剤・増粘剤不使用)、そして容器がBPAフリーであることを確認することが、品質と安全性のために推奨されます。
第1部 授乳期の栄養の基礎:なぜ今、あなたの食事がこれまで以上に重要なのか
1.1 体の需要増:母乳生成のためのエネルギー
授乳は、母親の体が新しい生命を育むための母乳を生成するという、代謝的に非常に要求の高いプロセスです。このプロセスを支えるためには、妊娠していない時期に比べて、より多くのエネルギーと栄養素が必要となります。
日本の厚生労働省が策定した「日本人の食事摂取基準(2020年版)」や日本栄養士会の指針によると、授乳婦は非妊娠時に比べて1日あたりプラス350 kcalのエネルギーを付加的に摂取することが推奨されています12。これは、国際的な推奨値であるプラス500 kcal/日と比較するとやや控えめですが、日本人女性の体格や生活習慣を考慮した数値です3。
エネルギーだけでなく、特定の栄養素の需要も大幅に増加します。例えば、タンパク質はプラス20g、ビタミンAはプラス450 µgRAE、ビタミンCはプラス45mg、ヨウ素はプラス140 µgの付加量が推奨されています4。鉄分に関しては、月経が再開していない期間は妊娠後期よりも必要量が減少しますが、出産による失血からの回復のためには依然として重要な栄養素です。
ここで理解すべき最も重要な点は、母親の体が常に赤ちゃんの栄養を最優先するということです。たとえ母親の食事からの摂取が一時的に不足したとしても、体は自らの栄養素の蓄えを分解して、質の高い母乳を作り続けようとします1。この現象は「母体の枯渇(maternal depletion)」として知られており、母親自身の栄養状態が不十分な場合、母親の健康が損なわれる危険性があることを示唆しています5。したがって、授乳期の食事は、単に母乳の質を高めるためだけでなく、母親自身の健康と体力を維持し、育児という大役を乗り切るために不可欠なのです。
1.2 あなたの食事が母乳を作る:その直接的な関係
母親が摂取する食事が、母乳の成分にどのように影響を与えるのかを理解することは、賢い食品選択の第一歩です。母乳の全ての成分が母親の直近の食事に左右されるわけではありません。一部の栄養素は食事内容を直接反映し、また一部は母親の体内の蓄えから供給され、比較的安定しています。
食事内容に直接影響される栄養素
母乳の脂肪酸組成は、母親の食事内容を顕著に反映します6。例えば、母親が魚を多く食べれば母乳中のDHAやEPAといったオメガ3系脂肪酸の濃度が高まり、ココナッツミルクのような食品を摂取すれば、その特徴的な脂肪酸であるラウリン酸の割合が増加します7。また、ビタミンB群やビタミンCといった水溶性ビタミンも、母親の最近の摂取状況によって母乳中の濃度が変動しやすいことが知られています3。
食事内容にあまり影響されない栄養素
一方で、カルシウム、鉄、亜鉛、葉酸といった主要なミネラルや一部のビタミンは、母乳中の濃度が比較的安定しています3。これは、母親の食事からの摂取が不足した場合、体が必要量を母親自身の骨や組織の蓄えから動員して補うためです。この仕組みが、前述した「母体の枯渇」の危険性に直結します。つまり、これらの栄養素が不足した食事を続けると、まず影響を受けるのは母親自身の健康です。
母乳の三大栄養素である脂質、タンパク質、炭水化物の全体的なバランスは、比較的安定していますが、長期にわたる深刻な栄養不良は、これらの組成にも影響を及ぼす可能性があります6。この知識は、特定の食品(例えばココナッツミルク)が母乳にどのような影響を与えうるかを評価する上で、基本的な枠組みとなります。
第2部 ココナッツミルクの徹底解剖:栄養学的深掘り
2.1 クリーミーさの向こう側:主要栄養素のプロファイル
ココナッツミルクの栄養価を語る上で、まず注目すべきはその脂質含有量の高さです。製品にもよりますが、一般的に脂質が15〜20%を占め、高カロリーな食品に分類されます。この脂質の大部分は飽和脂肪酸であるため、健康への影響を懸念する声も聞かれます。しかし、ココナッツミルクの飽和脂肪酸は、動物性脂肪に多く含まれる長鎖脂肪酸とは性質が大きく異なります8。
その秘密は中鎖脂肪酸(Medium-Chain Triglycerides, MCTs)にあります。ココナッツミルクに含まれる脂肪酸の約半分はMCTsであり、これが栄養学的な独自性を生み出しています。MCTsは、長鎖脂肪酸とは異なる代謝経路をたどります。消化管から吸収された後、リンパ管を経由せず、門脈を通って直接肝臓に運ばれます。肝臓では、カルニチンを必要とせずにミトコンドリア内に入り、速やかに分解されてエネルギーとして利用されます9。この「速やかなエネルギー源」という特性が、MCTsが注目される最大の理由です。
2.2 ラウリン酸(C12:0)の力:自然の守護者
ココナッツミルクに含まれるMCTsの中でも、主役と言えるのがラウリン酸(C12:0)です10。ラウリン酸は、ココナッツオイルの脂肪酸の約50%を占める成分です。
特筆すべきは、このラウリン酸が人間の母乳にも自然に含まれる重要な成分であるという点です。研究によると、母乳に含まれる全脂肪酸のうち、ラウリン酸は約4〜6%を占めています11。この事実は、ココナッツミルクと母乳との間に自然な親和性があることを示唆しています。
さらに、ラウリン酸とその代謝物であるモノラウリンは、強力な抗菌・抗ウイルス作用を持つことが科学的に知られています11。これらの成分は、細菌やウイルスの脂質膜を破壊することでその活動を阻害し、免疫系が未熟な乳児を感染症から守る一助となると考えられています。
2.3 母体の健康に不可欠なミネラル
ココナッツミルクは、脂質だけでなく、母体の健康維持に役立つミネラルも供給します。特に、銅と鉄を豊富に含んでいる点が挙げられます12。鉄は、血液中のヘモグロビンの主成分であり、酸素を全身に運ぶために不可欠です。産後の回復期にある母親にとって、鉄欠乏性貧血の予防は極めて重要です。一方、銅は、体内で鉄を適切に輸送し、利用するために必要な補酵素として機能します。したがって、鉄と銅を同時に摂取することは、効率的な造血作用を促し、貧血を予防する上で相乗効果が期待できます12。
ココナッツミルクの栄養的な立ち位置を明確にするため、他の一般的なミルクと比較します。
栄養素 | ココナッツミルク(缶・無糖) | 牛乳(普通牛乳) | 豆乳(無調整) |
---|---|---|---|
エネルギー (kcal) | 約 150-180 | 約 61 | 約 44 |
総脂質 (g) | 約 15-18 | 約 3.8 | 約 2.0 |
飽和脂肪酸 (g) | 約 13-16 | 約 2.3 | 約 0.3 |
ラウリン酸 (g) | 約 7-9 | 0 | 0 |
タンパク質 (g) | 約 1.5-2.0 | 約 3.3 | 約 3.6 |
カルシウム (mg) | 約 15-20 | 約 110 | 約 15 |
鉄 (mg) | 約 1.6-2.0 | 微量 | 約 1.2 |
注:数値は製品によって変動するため、あくまで目安です。 |
この表から、ココナッツミルクは牛乳や豆乳に比べて著しく高カロリー・高脂質であることが一目瞭然です。一方で、タンパク質やカルシウムの含有量は少ないため、牛乳の完全な代替品としてではなく、そのユニークな特性(エネルギー源、風味付け)を活かして食事に取り入れるべき食品であることがわかります。
第3部 授乳中の母親にとってのココナッツミルクの科学的根拠に基づく利点
3.1 要求の多い時期のための効率的なエネルギー源
第1部で述べたように、授乳期の母親は1日あたりプラス350kcalの追加エネルギーを必要とします。育児による睡眠不足や身体的疲労が重なる中で、このエネルギー需要を満たすことは容易ではありません。ここで、ココナッツミルクに含まれる中鎖脂肪酸(MCTs)が大きな利点となります。
MCTsは、複雑な消化過程を必要とせず、肝臓で速やかにエネルギーに変換されるため、疲れた体にとって非常に効率的な「即効性のある燃料」となります9。朝食のスムージーや間食にココナッツミルクを少量加えることは、授乳と育児を乗り切るための持続的なエネルギーを補給する賢い方法と言えるでしょう。
3.2 母乳の保護機能の強化
母親の食事が母乳の脂肪酸組成に影響を与えるという事実は、ココナッツミルクの摂取が母乳の質に直接的に貢献する可能性を示唆します。ココナッツミルクに豊富なラウリン酸は、母乳にもともと含まれる抗菌成分です11。
したがって、母親が食事からラウリン酸を摂取することで、母乳中のラウリン酸濃度が高まり、結果として母乳が持つ自然の保護機能をさらに強化できる可能性があります。これは、特に乳児の免疫システムが発達途上にある生後数ヶ月間において、重要な意味を持つかもしれません。
3.3 多用途で安全な乳製品代替品
様々な理由で乳製品を避けたい母親にとって、ココナッツミルクは非常に優れた代替品となります。例えば、母親自身が乳製品を好まない場合や、乳糖不耐症である場合に活用できます。
また、頻度は低いものの、赤ちゃんが医師によって牛乳タンパクアレルギー(CMPA)と診断され、母乳を介したアレルゲンを減らすために母親の食事から乳製品を除去するよう指導された場合にも、ココナッツミルクは料理の風味やクリーミーさを補うのに役立ちます10。ただし、この点は非常に重要ですが、自己判断で予防的に食事制限を行うべきではありません。この問題については、次の第4部で詳しく解説します。
第4部 重要な注意点と専門家による推奨事項
ココナッツミルクには多くの利点がありますが、その摂取にあたってはいくつかの重要な注意点があります。特に、日本の母親が直面する可能性のある誤解や不安を解消するため、専門機関の公式な見解を基に解説します。
4.1 節度の原則:最適な量を見つける
ココナッツミルクの最大の利点である高エネルギー・高脂質という特性は、過剰摂取した場合の懸念点ともなります。MCTsはエネルギーとして利用されやすいとはいえ、消費されなければ最終的には体脂肪として蓄積される可能性があります。
日本の研究では、健康的な摂取量の目安として1日にカップ1杯(約200ml)程度が示唆されています8。この範囲内であれば、脂質の過剰摂取を避けつつ、その利点を享受することが可能です。ココナッツミルクはあくまで食事の「アクセント」として、適量を守って楽しむことが重要です。
4.2 食物アレルギーに関する日本の見解:すべての母親必読
これは、日本の授乳期の母親にとって最も重要な情報の一つです。赤ちゃんの食物アレルギーを心配するあまり、自己判断で特定の食品(特に鶏卵、牛乳、小麦など)を食事から除去する母親がいますが、これは公式には推奨されていません。
日本小児科学会や厚生労働省は、「食物アレルギーの発症予防のために、妊娠中および授乳中の母親が特定の食物を除去することは推奨しない」という明確な指針を提示しています13。
この推奨の背景には、非常に重要な理由があります。それは、根拠のない食事制限が、母親と赤ちゃんの両方にとって有害な栄養障害を引き起こす重大な危険性があるためです13。授乳期はただでさえ多くの栄養素を必要とする時期であり、不必要な除去食は母体の健康を損ない、母乳の質にも長期的に影響を与えかねません。実際、専門家は特定の食品を排除するのではなく、和食を基本としたバランスの取れた多様な食事を摂ることを推奨しています14。
母親の食事除去が医学的に必要となるのは、赤ちゃんが医師によって「食物アレルギーの関与する乳児アトピー性皮膚炎」などと明確に診断され、その治療の一環として医師の厳格な管理下で行われる場合に限定されます15。予防目的での自己判断による食事制限は、利益よりもはるかに大きな危険性を伴うことを、すべての母親が理解する必要があります。この公式な見解は、多くの母親を不必要な不安から解放し、自信を持ってバランスの取れた食事を楽しむための「許可証」とも言えるでしょう。
4.3 スーパーの通路をナビゲート:日本で最高のココナッツミルクを選ぶ方法
ココナッツミルクの健康効果を最大限に引き出すためには、製品選びが重要です。市場には多種多様な製品が出回っており、その品質は様々です。以下のポイントを参考に、賢い選択を心がけましょう。
- オーガニック(有機JAS認定)を選ぶ:農薬や化学肥料への曝露を最小限に抑えるため、可能な限り「有機」または「オーガニック」と表示された製品を選びましょう16。
- 無添加の製品を探す:漂白剤、安定剤(増粘剤)、乳化剤などが添加されていない、原材料が「ココナッツ」のみ、あるいはそれに近いシンプルな製品が理想的です17。無漂白のココナッツミルクは自然な灰色がかった色をしていますが、これが品質の証です17。
- BPAフリー缶を確認する:缶詰の内側のコーティングには、ビスフェノールA(BPA)という化学物質が使われていることがあります。BPAは内分泌かく乱作用が懸念されており、特に乳幼児への影響を考慮すると避けたい物質です。「BPAフリー」と明記された製品を選ぶことを強く推奨します18。オーガニック製品であっても缶のBPA対策がされていない場合があるため、これは別途確認すべき重要なポイントです19。
- パッケージの種類:従来の缶詰に加え、最近では紙パック(UHT製法)の製品も増えています。紙パックは缶の匂いが移りにくく、ココナッツ本来の風味をより楽しめるという利点があります17。
上記の選択基準に基づき、日本国内で入手しやすく、品質評価の高いブランドをいくつか紹介します。
ブランド名 | 主な特徴 | パッケージ |
---|---|---|
ミトク ココミ (Mitoku Cocomi) | 有機JAS認定、酸化防止剤・乳化剤不使用。脂肪分を均質化し滑らかな口当たり16 | 缶、紙パック |
SOMA FACTORY | 有機JAS認定、グァーガム不使用、BPAフリー缶。原材料は有機ココナッツのみ16 | 缶 |
ユウキ食品 (Youki) | 無添加(漂白剤・乳化剤・酸化防止剤不使用)。コクのある濃厚な味わい17 | 缶 |
レインフォレストハーブ (Rainforest Herbs) | 有機JAS認定、100%天然成分、BPAフリー缶。品質に定評あり16 | 缶、パウダー |
カラ (Kara) | UHT製法で自然な風味。自社農園で栽培・加工。扱いやすい紙パック17 | 紙パック |
注:購入時には、必ずご自身で製品ラベルの表示内容をご確認ください。 |
第5部 知識を実践へ:シンプルで健康的なレシピ
ココナッツミルクを適量、食事に取り入れるための簡単でおいしいレシピを3つご紹介します。いずれも忙しい母親のために、短時間で調理できるよう工夫されています。
レシピ1:ほうれん草とバナナの元気スムージー
朝食や手軽なエネルギー補給に最適な、栄養満点のスムージーです。
- 材料(1人分)
- ほうれん草:ひとつかみ
- バナナ:1本
- ココナッツミルク:100ml
- 水または豆乳:100ml
- (お好みで)はちみつまたはメープルシロップ:小さじ1
- 作り方
- 全ての材料をミキサーに入れ、滑らかになるまで撹拌する20。
- グラスに注いで完成。
レシピ2:15分で完成!鶏肉と野菜のココナッツカレーうどん
タンパク質と野菜を手軽に摂れる、満足感のある一品です。
- 材料(1人分)
- 冷凍うどん:1玉
- 鶏もも肉:50g
- お好みの野菜(玉ねぎ、パプリカなど):適量
- ココナッツミルク:150ml
- めんつゆ(3倍濃縮):大さじ2
- カレー粉:小さじ1〜2
- 水:100ml
- 作り方
- 鶏肉と野菜を一口大に切る。
- 鍋に鶏肉、野菜、水、めんつゆ、カレー粉を入れて火にかけ、具材に火が通るまで煮る。
- ココナッツミルクを加えて温め、沸騰直前で火を止める。
- 表示通りに解凍したうどんを器に入れ、3のスープをかければ完成21。
レシピ3:混ぜて冷やすだけ!マンゴーとココナッツのプリン
火を使わずに作れる、ヘルシーで簡単なデザートです。
- 材料(2個分)
- ココナッツミルク:200ml
- (お好みで)はちみつまたはアガベシロップ:大さじ1
- 粉ゼラチン:5g
- 水:大さじ2
- 冷凍マンゴー(角切り):適量
- 作り方
- 水に粉ゼラチンを振り入れてふやかしておく。
- 鍋にココナッツミルクとはちみつを入れ、弱火で温める。沸騰直前で火から下ろし、ふやかしたゼラチンを加えてよく溶かす。
- 容器に流し入れ、粗熱が取れたら冷蔵庫で2〜3時間冷やし固める。
- 固まったら上にマンゴーを飾って完成22。
よくある質問
授乳中にココナッツミルクを毎日飲んでも大丈夫ですか?
はい、適量であれば問題ありません。ココナッツミルクは高カロリー・高脂質であるため、過剰摂取は体重増加につながる可能性があります。日本の研究では1日にカップ1杯(約200ml)程度が健康的な目安として示唆されています8。料理の風味付けやスムージーに少量加えるなど、食事全体のバランスを考えて取り入れることが重要です。
赤ちゃんがアレルギーにならないように、ココナッツミルクは避けるべきですか?
いいえ、その必要はありません。日本小児科学会や厚生労働省は、赤ちゃんのアレルギー発症を予防する目的で、母親が特定の食品を自己判断で除去することを推奨していません13。むしろ、根拠のない食事制限は母親の栄養不足を招く危険性があります。赤ちゃんに食物アレルギーが疑われる症状が見られる場合は、自己判断せず、必ず小児科医やアレルギー専門医に相談してください。
ココナッツミルクは牛乳の代わりになりますか?
栄養的には完全な代替品にはなりません。記事中の栄養成分比較表(表1)が示すように、ココナッツミルクは牛乳に比べてタンパク質やカルシウムの含有量が少ないです。一方で、脂質、特にエネルギーになりやすい中鎖脂肪酸が豊富という特徴があります。風味やクリーミーさを加える目的や、乳製品を避けたい場合の選択肢としては優れていますが、栄養価の違いを理解した上で使い分けることが大切です。
結論
本ガイドで明らかになったように、ココナッツミルクは、その選択と摂取方法に注意を払うことで、授乳期の母親の食事において有益な役割を果たすことができます。特に、中鎖脂肪酸による効率的なエネルギー供給源として、また母乳の保護機能を高める可能性を持つ食品として、その価値は評価されるべきです。
しかし、最も重要なメッセージは、特定の食品に依存するのではなく、多様でバランスの取れた食事が母子双方の健康の基盤であるという点です。日本の専門機関が推奨するように、和食を基本とした食事は、必要な栄養素を過不足なく摂取するための優れたモデルとなります14。
そして何よりも、授乳期の母親には、食物アレルギーに関する不確かな情報や不安に惑わされることなく、日本の公式な医学的ガイドラインを信頼していただきたいと願います。根拠のない食事制限は、利益をもたらすどころか、むしろ害となる可能性があります。不必要な恐れから解放され、食事を楽しみ、自信を持って自分自身と赤ちゃんの健康を育むこと。それが、この最も貴重な時期を健やかに過ごすための鍵となるのです。
参考文献
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- ココナッツミルクのおすすめ17選。アレンジレシピもご紹介 – SAKIDORI. [インターネット]. [引用日: 2025年7月24日]. Available from: https://sakidori.co/article/1462798
- ココナッツミルク人気おすすめ10選!カレーやスイーツに【パウダー、液体も】. [インターネット]. [引用日: 2025年7月24日]. Available from: https://osusume.mynavi.jp/2780/
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