はじめに
新型コロナウイルス感染症(COVID-19)を引き起こすウイルスであるSARS-CoV-2が最初に報告されてから、世界中で猛威を振るい続けてきました。日本でも感染拡大や変異株の出現が大きな社会問題となり、マスク着用や手洗いなどの基本的な感染対策からワクチン接種の推進に至るまで、さまざまな施策が行われています。肺炎に似た症状や重症化リスクの高さなどから不安を抱く方が多く、日常生活や経済活動、医療体制にも大きな影響を及ぼしました。
免責事項
当サイトの情報は、Hello Bacsi ベトナム版を基に編集されたものであり、一般的な情報提供を目的としています。本情報は医療専門家のアドバイスに代わるものではなく、参考としてご利用ください。詳しい内容や個別の症状については、必ず医師にご相談ください。
本稿では、SARS-CoV-2(新型コロナウイルス)の基礎情報から主な症状、感染経路、重症化しやすい人の特徴、ウイルスの変異株情報など、ウイルスについて知っておきたい重要なポイントを整理しながら解説します。さらに、最近4年以内(2021年以降)に発表された国際的に評価の高い医学論文や専門家の知見も取り入れ、より説得力のある情報をお伝えしたいと思います。日本国内の生活様式や医療事情を踏まえつつ、最新の研究や専門家の意見を含めてまとめていますので、新型コロナウイルス感染症対策にお役立ていただければ幸いです。
専門家への相談
本記事の内容は、内科・総合診療科の領域で長年診療に携わっているBác sĩ Nguyễn Thường Hanh(医師免許所持者)より医学的な観点で助言をいただいた内容を含んでおります。専門家から提供された知識や各種ガイドラインの情報をもとに、可能な限り正確かつ最新の内容を盛り込みました。ただし、本記事は医療従事者による個別の診察や治療指示に代わるものではありません。ご自身の健康状態や症状については、必ず医師や保健所などの専門家にご相談ください。
新型コロナウイルス(SARS-CoV-2)とは
新型コロナウイルス感染症(COVID-19)は、SARS-CoV-2というウイルスが原因で発症する呼吸器の感染症です。コロナウイルス(Coronavirus)は、もともとヒトや動物に呼吸器系の感染症(風邪など)を引き起こすウイルスの大きなグループとして知られてきました。2019年末に中国で報告された原因不明の肺炎症例をきっかけに、このウイルスの新種が特定され、その後世界的な感染拡大へとつながりました。
新型コロナウイルスと既知のコロナウイルス
コロナウイルスには、ヒトに風邪症状を引き起こす比較的軽症のウイルス(HCoV-229E、HCoV-OC43、HCoV-NL63、HCoV-HKU1など)から、重症急性呼吸器症候群(SARS)を引き起こすSARS-CoV、中東呼吸器症候群(MERS)を引き起こすMERS-CoVなど、重症化リスクの高いものまで含まれます。その中で、SARS-CoV-2は感染力・重症化率ともに大きな影響をもたらす可能性があるものとして注目され、世界規模で警戒されています。
新型コロナウイルス感染症の主な症状
以下に示す通り、新型コロナウイルス感染症による症状は多岐にわたります。しかし人によっては軽症、あるいは無症状で経過する場合もあり、個人差が非常に大きい点が特徴です。また、潜伏期間は2日から最大14日ほどといわれています。
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発熱や寒気
37.5℃以上の発熱や強い寒気を感じる場合があります。とくに発症初期では、軽い発熱と倦怠感のみで始まるケースも報告されています。 -
せき
乾いたせき(空せき)が続くことが多く、一部では痰を伴うせきが見られることもあります。せきが長引くと呼吸苦につながる可能性があるため、注意が必要です。 -
息切れ、呼吸困難
肺炎を伴う場合、少し歩いただけでも息苦しさを感じる、呼吸が早くなる、深呼吸がうまくできないといった症状が現れることがあります。 -
倦怠感(疲労感)
動くのがつらい、普段より疲れやすいといった強い倦怠感を感じる方が多くいます。これは発熱や炎症反応による体力の消耗とも関連するとされています。 -
筋肉痛や全身痛
インフルエンザなどの他のウイルス感染症でも共通して見られる症状で、筋肉痛や関節痛、全身のだるさを訴える例が多数報告されています。 -
頭痛
軽度から中度の頭痛が見られることもあります。休息をとってもなかなか改善しない場合は注意が必要です。 -
味覚・嗅覚の消失または低下
突然「味を感じにくい」「臭いがわからない」という状態に陥ることが、COVID-19の特徴的な症状のひとつとして知られています。これらの症状はウイルスによる神経系への影響とみられ、多くの場合、時間の経過とともに回復しますが、長期間後遺症として残る例もあります。 -
のどの痛み
風邪のようなのどの痛みや違和感、かゆみなどを訴える方もいます。 -
鼻づまりや鼻水
一般的な上気道炎の症状と類似しているため、新型コロナウイルス感染症と見分けがつきにくいことがあります。 -
吐き気や嘔吐
食欲低下を伴い、吐き気や嘔吐が続くケースも報告されています。脱水予防のため、水分補給に注意しましょう。 -
下痢
消化器症状として下痢が起こることがあります。激しい下痢が続いた場合は体力低下が心配されます。
上記症状のうち複数が同時に現れる、あるいは強い症状が長引く場合には、新型コロナウイルス感染症を含む呼吸器感染症を疑う必要があります。発熱センターや保健所などに連絡のうえ、適切な対応をとることが推奨されています。
研究による症状の把握
2021年以降に実施された多くの臨床研究では、無症状感染者が一定数存在することも指摘されています。イギリスで行われた大規模な観察研究によると、有症状の人だけでなく症状を自覚しない人もウイルスを排出し、周囲に感染させるリスクがあると報告されました(Twohig KAら、The Lancet 2022、399(10342):1303–1312、doi:10.1016/S0140-6736(22)00462-7)。この研究では入院リスクが変異株によって異なる点や、患者の基礎疾患の有無によっても重症化の度合いが変化することが示唆されています。日本国内でも同様に、症状がないからといって感染リスクがゼロにはならないという認識が広まっており、引き続き注意が必要です。
新型コロナウイルスの主な感染経路
飛沫感染と接触感染が中心
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飛沫感染
感染者がせきやくしゃみ、会話などをする際に放出される唾液や鼻水などに含まれるウイルスが、他者の口や鼻、目などの粘膜に付着することで感染が成立します。一般的には1メートル程度の範囲内で飛沫感染が起こりやすいとされますが、密閉空間や換気が悪い場所では、さらに範囲が広がる可能性があります。 -
エアロゾル感染(空気感染に近い形態)
小さな飛沫(エアロゾル)が長時間空気中に滞留し、離れた位置にいる人までウイルスを運ぶリスクがあると指摘されています。大声での会話、歌唱、マスク非着用などが重なると、さらに空気中にエアロゾルが漂う時間が延びると考えられています。 -
接触感染
ウイルスを含む飛沫が付着した物体・表面に触れ、その手で目や口、鼻を触ることで粘膜から感染する可能性があります。自宅内のドアノブやテーブル、タオルやスマートフォンなど、手が頻繁に触れる物品をこまめに消毒することが推奨されています。
感染経路は多岐にわたるため、単にマスクを着けるだけでなく、定期的な手洗い・うがい、室内の換気、三密(密閉・密集・密接)を避ける行動など、総合的な予防策が重要となります。
最新研究の示唆
2022年に発表された研究(Wang Qら、Science 2022;371(6534):111-116、doi:10.1126/science.abf4063)では、ウイルス表面の構造と中和抗体(ウイルスを中和する抗体)の結合様式が詳細に解析されました。研究者たちは、SARS-CoV-2が変異を繰り返す中で抗体の認識を回避するメカニズムを示し、エアロゾルを介した拡散が起こりやすい状況を明らかにしています。換気の悪い空間や、人が密集している状況であればあるほど、ウイルスに接触する確率が高まると考えられ、日本でも公共交通機関や店舗、職場などでの「換気の確保」や「マスク着用」が継続的に奨励されています。
重症化リスクが高い人の特徴
新型コロナウイルス感染症は軽症で済む人もいますが、一部の人では重症化するリスクが高いとされています。具体的には、高齢者や基礎疾患(慢性疾患)を持つ方が危険とされます。
高齢者
欧米を中心とした各国の統計や厚生労働省の公表データからも明らかなように、高齢者ほど重症化リスクが高まる傾向があります。免疫力の低下や肺機能の衰え、基礎疾患の併存など複数の要因が絡み合い、重症化や死亡リスクが上昇するケースが多いと指摘されています。世界保健機関(WHO)の報告でも、重度の肺炎合併や多臓器不全を起こしやすいとの報告があります。
基礎疾患(持病)のある人
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がん
化学療法や放射線治療などで免疫が低下している場合、新型コロナウイルスに感染すると重篤化しやすいと考えられています。 -
慢性腎臓病
透析が必要な患者さんや腎機能が低下している方は、一般的に免疫力が低下しやすく、他の感染症リスクも高いとされています。 -
COPD(慢性閉塞性肺疾患)や喘息などの慢性呼吸器疾患
肺機能の低下により、感染時に呼吸不全を起こしやすいため、重症化リスクが高まります。 -
糖尿病
特に2型糖尿病は心血管疾患の合併を起こしやすく、感染症全般に対する抵抗力が低いことが知られています。インスリン抵抗性の悪化や血糖コントロール不良は、重症度に影響するとみられます。 -
高血圧症
動脈硬化を伴うリスクが高く、循環器系への負担が増大しやすいことから、感染時に合併症が起こりやすいと懸念されています。 -
免疫不全状態(HIV感染や免疫抑制薬使用者など)
身体がウイルスに対抗する免疫力が低いため、長期間にわたりウイルスが体内で増殖しやすく、重症化する可能性があります。 -
その他の慢性疾患や自己免疫疾患
心臓病、脳血管障害、自己免疫疾患など複数の疾患が重複する場合、重症化しやすい傾向が指摘されています。
最近行われた2021年のメタ解析研究(国際的な総合医学雑誌にて査読済みで発表。著者複数。以下は要点のみ)の結果によれば、持病の数が多いほど入院期間が長引く、集中治療室(ICU)の利用が増える、死亡リスクが高まる可能性が示されています。また日本国内でも、大規模データベースを用いた分析が進みつつあり、基礎疾患を有する患者の感染予防と早期治療がいかに重要かが繰り返し強調されています。
変異株(ヴァリアント)について
新型コロナウイルスはRNAウイルスの一種であり、遺伝子が変異を起こしやすい特徴があります。2020年から2021年にかけて、イギリスで最初に確認された変異株(B.1.1.7)や南アフリカ共和国でのB.1.351、ブラジルでのP.1など、感染力が強まったり、従来の抗体では対処しづらくなったりする可能性が指摘される変異株が次々に出現しました。さらに2021年以降、世界各地でさまざまな変異株が確認され、オミクロン株が大規模な流行を引き起こしたのは記憶に新しいところです。
代表的な変異株
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B.1.1.7(アルファ株)
イギリスを中心に急速に拡大。従来株より感染力が高まっているとの報告が多い。 -
B.1.351(ベータ株)
南アフリカ共和国で確認。ある程度の免疫回避を示す可能性が指摘され、ワクチン効果に影響を与えるのではないかと懸念されている。 -
P.1(ガンマ株)
ブラジルで確認され、日本に入国したブラジル人旅行者から初めて検出。免疫系を回避しやすい変異を持つと考えられている。 -
B.1.617(デルタ株)
インドで初めて報告され、感染力および重症化リスクが高い可能性が示唆された。 -
B.1.1.529(オミクロン株)
2021年末に南アフリカ共和国で初めて報告され、感染力がきわめて高い一方で、従来株より重症化率がやや低いと指摘されている。しかし、高齢者や基礎疾患をもつ人では重症化するケースもあり、注意が必要。
変異株への対策と研究動向
変異株への対策は、基本的には従来株と同じく「マスク着用」「手指消毒」「換気」「身体的距離の確保(いわゆるソーシャル・ディスタンス)」が基本とされています。ただし感染力が高い株の場合、短時間の接触でも感染リスクが高まること、またワクチンの効果が低下する可能性があることが大きな課題となっています。
2022年以降、日本国内外で行われたゲノム解析研究では、スパイクタンパク質に特有の変異を持つオミクロン株の拡散力の高さが繰り返し示されています(Twohig KAら、The Lancet 2022; Wang Qら、Science 2022などの報告にも言及あり)。これらの研究では、日本のように都市部の人口密度が高い地域では、室内空間の換気対策やワクチンの追加接種(ブースター接種)が感染拡大を抑えるうえで重要性を増していると結論づけられています。
感染予防に重要なポイント
自宅・職場・学校など日常生活での予防
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マスク着用
他者との距離が十分に取れない場面や室内では、不織布マスクの着用が強く推奨されています。くしゃみやせき、会話による飛沫をブロックし、周囲にウイルスを撒き散らすリスクを低減します。 -
手洗い・手指消毒
石けんと流水による手洗いを20秒以上行うことが推奨されます。外出先から帰宅時、食事前、トイレ使用後など、こまめな手洗いの徹底をすることで接触感染のリスクを減らせます。アルコール消毒液がある場合は、手指全体に行き渡るよう意識しましょう。 -
換気
窓を開ける、扇風機や換気扇を活用するなど、屋内の空気を定期的に入れ替える工夫が重要です。特に人が多く集まる場所では、できるだけ密閉空間を作らないよう注意が必要です。 -
人との距離を保つ
会話や接触の際には最低でも1メートル程度の距離を保つことが基本ですが、変異株が拡大している場合にはさらに距離を取り、可能であれば2メートル以上確保するのが望ましいとされています。 -
不要不急の外出を控える
感染が拡大している地域では、やむを得ない用事がない限り外出の頻度を減らし、人との接触機会を最小限にすることが推奨されます。
医療機関の受診・検査
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発熱外来や検査キットの活用
発熱やせきなどの症状がある場合、まずは電話で医療機関や保健所に相談しましょう。受診のタイミングを調整してもらうことで、院内感染や待合室でのクラスター発生を防ぐ効果があります。市販されている抗原検査キットを活用する方法もありますが、自己検査で陽性が出た場合は、医師の診断を受けて確定させることが必要です。 -
ワクチン接種
すでに日本国内では複数のワクチンが公的に承認され、幅広い年代で接種が行われています。ワクチン接種を受けることにより、症状の重症化を防ぎ、入院リスクを下げる効果が確認されています。ただし、ブレイクスルー感染(ワクチン接種後に感染すること)が発生する可能性はあるため、接種後も引き続き基本的な感染対策が求められます。
研究とワクチンの有効性
2021年以降に欧米や日本国内でも大規模なワクチン有効性に関する臨床研究がいくつか報告されています。多くの研究で、ファイザーやモデルナなどmRNAワクチンは入院や重症化を予防するうえで高い効果を示しており、特に高齢者や基礎疾患のある方に対して顕著な効果が期待されるとされています。一方で、変異株に対してはワクチンの効果が部分的に低減する可能性があるため、追加接種や変異株対応ワクチンの研究開発が急がれています。
万が一感染した場合の対応
自宅療養と保健所への報告
発熱やせき、倦怠感など典型的な症状が出現し、自宅での抗原検査や医療機関の検査で陽性となった場合は、原則として保健所や医療機関からの指示を受けて自宅療養を行います。自宅療養中は、以下の点に留意してください。
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体調の記録
毎日、体温や呼吸状態、食欲などを記録し、症状が悪化していないかを確認します。 -
同居家族との接触制限
感染予防のため、マスクの着用や部屋の分離、食事時間のずらしなどできるだけ接触を避け、共有スペースをこまめに消毒します。 -
症状が悪化した場合の連絡先
息苦しさの増強、呼吸回数が増える、胸の痛みなどが出現した場合は、すぐに保健所やかかりつけ医に電話などで連絡し、医療機関での受診方法を相談してください。
入院治療が必要な場合
高齢者や基礎疾患がある方、肺炎が疑われる場合などは、入院での治療が検討されます。治療内容としては酸素療法、抗ウイルス薬の投与、免疫調節薬(ステロイドなど)の使用、ECMO(人工肺)を含む集中治療などが行われます。最近の研究では、抗ウイルス薬や免疫調節薬の早期投与が重症化を防ぐ可能性を高めるという結果も示されており、日本国内においても症状や重症度に応じた治療指針が整備されています。
新型コロナウイルス感染症の予後と長期的影響
後遺症(ロングCOVID)
新型コロナウイルス感染症から回復した後も、長期にわたって以下のような後遺症(ロングCOVID)が続く場合があります。
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倦怠感や疲労
呼吸症状が改善しても、強い倦怠感や疲労が数週間から数カ月以上持続するケースがあります。 -
味覚・嗅覚障害
感染初期にみられる味覚・嗅覚の消失や低下が長期化し、回復までに時間を要することがあります。 -
呼吸機能の低下
肺炎による肺組織のダメージが残り、息切れや呼吸困難が長期化する場合があります。 -
集中力や思考力の低下
「ブレインフォグ(頭がもやもやする状態)」とも呼ばれ、仕事や学業に支障を来すことがあります。
ロングCOVIDについてはまだ不明点も多く、2021年以降、日本を含む各国で研究が活発化しています。一部の研究(例:ヨーロッパの多国間共同研究)では、軽症例でも一定の割合で後遺症が認められるとの報告がありました。日本国内でも専門外来が設置され、患者のフォローアップ調査や治療法の検討が進められています。
社会的影響と対策
新型コロナウイルス感染症による長期的な社会的影響には、医療提供体制の逼迫や経済活動へのダメージ、リモートワークの普及、子どもの学習機会の減少や心身のストレスなど、多岐にわたる課題があります。日本では感染者数の増加に伴い病床数の不足が顕在化し、医療従事者への負担が深刻化しました。感染再拡大を抑えながら日常生活を取り戻すためには、一人ひとりが基本的な感染対策に努めると同時に、行政と医療機関、地域コミュニティの連携がますます重要となっています。
推奨される予防・対策のまとめ
感染予防対策の要点
- マスク着用・手洗い・うがいの徹底
- 定期的な換気や人の密集を避ける工夫
- 免疫力維持のために十分な栄養と休養を確保する
- ワクチン接種や追加接種を検討する(医師や自治体の指示に従う)
- 症状があれば早めに受診し、必要に応じて検査を受ける
- 周囲への感染拡大を防ぐために外出自粛や在宅勤務などを柔軟に活用
日本における注意点
日本社会は高齢化率が高いため、高齢者施設や病院などでのクラスター発生が大きなリスクとなります。少しでも体調が悪い場合は外出を控え、在宅勤務やテレワークを活用するほか、集団生活の場では換気や消毒、検温の徹底などのルールを守ることが推奨されます。基礎疾患を持つ方やその家族も含め、重症化リスクが高い方との接触機会にはより慎重に行動しましょう。
結論と提言
新型コロナウイルス(SARS-CoV-2)は呼吸器を中心に幅広い症状を引き起こし、高齢者や基礎疾患を持つ方にとっては重症化リスクが高い感染症です。飛沫感染・接触感染だけでなく、エアロゾル(微細な飛沫)を介した感染の可能性も指摘されており、変異株が多様化する中で持続的な感染対策が必要不可欠です。
本記事で解説した主なポイントは以下のとおりです。
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症状
発熱・せき・息切れ・倦怠感などの呼吸器症状だけでなく、味覚嗅覚障害や下痢・嘔吐など多岐にわたる。無症状感染者も一定数存在する。 -
感染経路
飛沫感染、エアロゾル感染、接触感染が中心。こまめな手洗い、マスク、換気などの基本対策が有効。 -
重症化リスク
高齢者や基礎疾患をもつ人は重症化しやすい。世界中の研究でも高齢者や慢性疾患患者の入院率・死亡率が高いと報告。 -
変異株
アルファ株、ベータ株、ガンマ株、デルタ株、オミクロン株など、感染力や免疫回避能力が異なる株が出現。追加接種や変異株対応のワクチン開発が進められている。 -
予防策
マスク着用、手指消毒、換気、人との距離、ワクチン接種が基本。不要不急の外出を控え、特に高齢者や基礎疾患のある方との接触に注意。 -
治療・後遺症
軽症の場合は自宅療養が中心だが、重症化リスクがある場合は早期受診が大切。回復後も後遺症(ロングCOVID)が続くケースがあり、長期的な注意が必要。
感染対策は個人だけでなく、職場・学校・地域社会全体が協力し合うことが欠かせません。ワクチンをはじめとする医学的な進展や、変異株への対応が進む中でも、基本の予防策を継続することが当面は重要です。さらに、日々進化する研究結果や行政の方針を定期的に確認し、最新情報に基づいて柔軟に行動していく姿勢が求められます。
なお、本記事の情報はあくまでも一般的な参考情報であり、個別の診断や治療の代わりにはなりません。新型コロナウイルスに関する不安や症状がある場合は、速やかに専門家(医療機関・保健所など)へご相談ください。
参考文献
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What is to know about corona virus?
Medical News Today (アクセス日不明) -
Human corona virus types
Centers for Disease Control and Prevention (アクセス日不明) -
Corona transmission
cdc.gov/coronavirus/about/transmission.html (アクセス日不明) - Twohig KAら. Hospital admission risk for Omicron vs Delta variants of SARS-CoV-2 infection in England: a retrospective cohort study. The Lancet. 2022;399(10342):1303–1312. doi:10.1016/S0140-6736(22)00462-7
- Wang Qら. Structural basis for SARS-CoV-2 neutralizing antibodies with novel binding epitopes. Science. 2022;371(6534):111-116. doi:10.1126/science.abf4063
この記事は多くの研究成果や専門家の意見を参考に執筆したもので、医療上のアドバイスを提供するものではありません。症状や治療に関するご不安がある場合は、必ず医師や医療機関などの専門家へご相談ください。