早期発見で未然に防ぐ!低血圧のサインとその対策方法
心血管疾患

早期発見で未然に防ぐ!低血圧のサインとその対策方法

 

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当サイトの情報は、Hello Bacsi ベトナム版を基に編集されたものであり、一般的な情報提供を目的としています。本情報は医療専門家のアドバイスに代わるものではなく、参考としてご利用ください。詳しい内容や個別の症状については、必ず医師にご相談ください。

はじめに

血圧が急激に低下する「低血圧」は、日常生活のなかで意外と多くの人が経験する症状ですが、その原因や経過は人によってさまざまです。とくにめまい立ちくらみ失神などが頻繁に起こる場合、日常生活に支障をきたす恐れがあります。さらに、急な意識消失を伴う重度の低血圧は、緊急処置が必要になる可能性もあります。

この記事では、低血圧の典型的な症状から重症度が高い場合の兆候、対処法にいたるまで、幅広く解説します。日常でよくある「立ち上がったときにめまいがする」というケースも含め、低血圧の原因や改善のためのポイントについて丁寧に紹介します。さらに近年の研究成果も取り入れながら、低血圧の危険性と正しい対策の重要性を一緒に考えていきましょう。

専門家への相談

本記事では、低血圧(特に起立性低血圧急性低血圧)に関する情報を幅広く取り上げています。また、複数の医療機関や信頼できる情報源(たとえばNHSMayo Clinicなど)の資料を参考としています。下記の参考文献には、英語原文のウェブサイトや海外の研究データなどが含まれていますが、これは読者のみなさまが追加の情報を確認できるようにするためです。もし日常的にめまいふらつきが続く場合は、自己判断だけで対処するのではなく、必ず医師の診察や専門医への相談を検討してください。

低血圧とは?

低血圧は、一般的に収縮期血圧(上の血圧)90mmHg以下拡張期血圧(下の血圧)60mmHg以下を指すと言われます。若い方や運動をよくする方では血圧が低めでも症状がない場合がありますが、生活に支障が出るほどのめまい倦怠感を伴う場合は注意が必要です。

日本では高齢者だけでなく、生活習慣や体質によっては若年層でも低血圧の症状が出るケースがあります。たとえば忙しい生活で食事や水分補給が不十分なときや、暑い環境で汗をかいて脱水気味になったときなど、血圧が大きく変動しやすくなります。

低血圧の代表的な症状

低血圧の症状は、全身への血液供給量の不足が原因と考えられます。脳をはじめ、身体の各臓器に血液が十分に行き渡らないために、以下のような症状が起こりやすくなります。

  • めまい・立ちくらみ
    もっとも多い症状のひとつで、立ち上がったときや長時間同じ姿勢でいたあとに起こりがちです。
  • 倦怠感・疲労感
    朝起きたときにだるさを感じたり、日中も疲れやすい状態が続いたりします。
  • 視界がぼやける
    血圧が急に下がったとき、一時的に視界がかすむ場合があります。
  • 集中力の低下
    全身のめぐりが悪くなることで頭がボーッとする、集中力が続かないといったケースがあります。
  • 吐き気嘔吐
    胃腸への血液供給の変化などにより、軽いむかつきや嘔吐が起こる人もいます。
  • 失神
    重度の場合、脳への血流が不足して意識を失うこともあります。

これらの症状は、軽度の一過性であれば大きな問題につながらない場合もあります。しかし、頻繁に繰り返す場合は生活の質を大きく下げるだけでなく、重症の低血圧が隠れている可能性もあるため、医師の診察を受けて原因を確認しておくことが大切です。

起立性低血圧の特徴

起立性低血圧は、座った状態や横になった状態から急に立ち上がったときに血圧が急激に下がる状態を指します。正常であれば、立ち上がったときに重力の影響で下半身に血液がたまっても、血管や心臓がうまく調整し、血圧はある程度一定に保たれます。しかし調整がうまくいかない場合、脳への血流が足りず一時的にめまいふらつき視界の暗転などが起こります。

  • 症状が出やすい状況
    長時間座っていたり、暑い環境で血管が拡張していたり、食後などに血圧が下がりやすいケースもあります。
  • 高齢者はとくに注意
    血管や神経調節が年齢とともに衰えやすく、起立性低血圧で転倒骨折につながるリスクが高まります。
  • 体内の水分不足
    脱水になると血液量が減少し、より起立性低血圧が起こりやすくなります。

最近の研究によれば、高齢者だけでなく、若い世代でも生活習慣や身体活動量が低下している場合は起立性低血圧が起こりやすいとの報告があります。(たとえばFedorowski A.らによる2022年の研究では、起立性低血圧のメカニズムや治療アプローチについて新たな観点が示されており、血管や自律神経の調整機能が低下している人で症状が出やすいことがわかっています。doi:10.3389/fcvm.2022.931039)

低血圧の危険な兆候

軽度の低血圧は症状がなければ経過観察とされることも多いですが、急激な血圧低下重篤な症状が見られる場合は注意が必要です。以下のような兆候が出た場合は、迷わず医療機関を受診するか救急車を呼んでください。

  • 意識混濁・錯乱
    ぼんやりする程度を超えて意識がはっきりしなくなる、受け答えがおかしい場合は緊急です。
  • 皮膚の冷感や蒼白
    血液循環不全が進行し、血流が最小限にしか回らなくなっている可能性があります。
  • 脈拍が非常に速いまたは不規則
    血圧を維持するために心拍数が極端に上がる場合があります。
  • 急激な倦怠感や脱力
    身体が動かない、極端に力が入らない場合は救急対応が必要です。
  • 混乱や興奮状態
    神経系の血流が著しく低下している可能性があるため、周囲の人がすぐに医療施設へ連れていく必要があります。

こうした兆候は、重度のショック状態器質的な心疾患大出血などの緊急事態が背景にあることも否定できません。高齢者だけでなく、若年層や健康に見える人でも起こる可能性があるため、「たかが低血圧」と侮らず、状況に応じて迅速な対応をとりましょう。

低血圧が起こったときの対処法

軽度の低血圧なら、まずは日常生活の工夫で症状を改善できる可能性があります。以下のような対策を意識すると、血圧の急激な変動を少しでも抑えられるでしょう。

  • 動作はゆっくり
    横になった状態から起き上がるときは、一気に立ち上がらず、ゆっくり膝を伸ばす→足を床につける→少し座ったまま深呼吸、といった順番を守りましょう。
  • 水分補給を十分に
    脱水は低血圧を招きやすいので、こまめな水分補給が大切です。暑い時期や運動のあとにはさらに意識して水分を摂りましょう。
  • 塩分摂取量のバランス
    過度の減塩も低血圧の症状を悪化させる原因のひとつです。ただし塩分過多も他のリスクを生むため、医師の指導のもと適度な範囲で管理しましょう。
  • こまめな食事
    食後の食事性低血圧を防ぐため、1回の食事量をやや少なめにし、回数を増やす方法があります。食後すぐに横になったり立ち上がったりしないことも大切です。
  • 適度な運動
    有酸素運動下肢の筋力トレーニングは、血管や自律神経の調整能力を高めるのに役立ちます。特にウォーキングや軽いストレッチは習慣化しやすくおすすめです。
  • 弾性ストッキング(着圧ソックスなど)の着用
    足への血液プールを防ぎ、血圧低下やむくみを緩和する効果が期待できます。
  • 長時間同じ姿勢を避ける
    デスクワークなどで座りっぱなしになる場合は、こまめに足を動かす、立ち上がって軽い体操をするといった工夫を行いましょう。
  • 就寝時の工夫
    頭側をやや高くしたベッドで寝ると、体を起こす際の血圧変動が少し緩和することがあります。

近年、シバオ(Shibao C)らの2022年の研究では起立性低血圧を含むさまざまな低血圧のマネジメントについて更新された情報が報告されており、脱水や食後血圧低下の予防のための水分補給・体位調節・運動指導など、生活習慣面の改善がいかに有効かが再認識されています(The Lancet Neurology, 21(10):905-917, doi:10.1016/S1474-4422(22)00233-2)。こうした日常ケアが安定した血圧維持に寄与する可能性がありますので、症状が続く場合でもまずは生活習慣を整えることが重要となります。

受診のタイミングと診察のポイント

「血圧が低いけれど特に症状がない」という人なら経過観察だけで済む場合もあります。一方、日常的に以下のような困りごとがある場合は、医療機関を受診して専門家のアドバイスを受けることをおすすめします。

  • めまいや立ちくらみ、失神を繰り返し、外出や仕事に支障をきたす
  • 起立性低血圧で転倒リスクが高いと感じる
  • 倦怠感や疲労感が慢性化し、日常のパフォーマンスが落ちている
  • 食事をするとさらに血圧が下がり、眠気や強いだるさを感じる
  • 不整脈心臓疾患を持っており、血圧が極端に低下することで症状が悪化している

病院では問診や血圧測定だけでなく、必要に応じて心電図、血液検査などが行われます。とくに起立性低血圧が疑われる場合は、起立試験を行って、仰臥位(横になった状態)から起立までの血圧・心拍数の変化を測定することもあります。

また、慢性的に血圧が低い方で立ち上がる際にめまいがするなどの症状がある場合、普段から血圧手帳などをつけて記録を持参すると医師への説明がスムーズになります。

低血圧と生活習慣のかかわり

日本では塩分の過剰摂取が問題視されがちですが、逆に極端な減塩が低血圧を悪化させている例もあります。医師の指導なしに極端な食事制限をしていると、電解質バランスが崩れ、血圧のコントロール能力が下がることもあるので注意が必要です。

さらに、過度なダイエットや食事回数の減少で栄養状態血液量が低下していると、低血圧症状が出やすくなります。十分なたんぱく質ビタミンミネラルを含む食事とこまめな水分摂取を心がけましょう。

低血圧に関する最新の知見

日本でも高齢化社会の進行に伴い、起立性低血圧による転倒・骨折が大きな医療問題となっています。2022年の研究(Fedorowski A.ら)では、起立性低血圧のリスクを減らすために、筋力トレーニングのような身体活動量の維持が強調されています。さらに適度な塩分摂取指導や水分補給などの生活習慣介入は、どの年齢層にも有効であると示唆されています(Frontiers in Cardiovascular Medicine, 9:931039, doi:10.3389/fcvm.2022.931039)。

また、心臓や血管の基礎疾患がある方の場合は、降圧薬とのかねあいで血圧が下がりすぎないようモニタリングする必要性も指摘されています。最近はウェアラブル機器や家庭用血圧計の精度が上がっており、自宅での計測データを活用した医療機関との連携も普及しつつあります。

医師に相談すべき症状と検査

下記のような症状が継続・反復している場合や、日常生活に重大な支障がある場合は、できるだけ早く医師に相談してください。

  • 立ち上がると必ずめまい立ちくらみを起こす
  • 失神が何度も起き、転倒につながっている
  • 食後に急激に眠気疲労感が襲い、仕事や家事が手につかなくなる
  • 意識障害皮膚の冷たさ、極端な動悸を伴う低血圧エピソード
  • 高齢者や基礎疾患を持つ方で、血圧変動が著しい

医療機関では、血圧変動を把握するために

24時間血圧測定

(ABPM)などが行われる場合もあります。また、心機能を詳しく見るための心エコー検査や、神経調節異常が疑われる場合には、自律神経機能検査が実施されることもあります。これらの検査を総合的に評価し、必要に応じて薬物療法や生活指導が行われます。

 

低血圧と危険回避:日常での注意点

  • こまめに姿勢を変える
    長時間立ちっぱなし・座りっぱなしは避け、時々は体を動かすようにしましょう。
  • 湯船から出るときは注意
    入浴後は脱水や体温上昇に伴い血管が拡張しているため、急に立ち上がると起立性低血圧を起こしやすくなります。湯船のなかで足を動かす、ゆっくり立ち上がるなど工夫が大切です。
  • 就寝前や起床時に水分を
    寝ている間も汗をかくため、朝方は想像以上に脱水が進んでいることがあります。起床後すぐの強いめまいを防ぐためにも、就寝前や起き抜けにコップ1杯の水を飲む習慣をつけるのもよいでしょう。
  • アルコールやカフェインの摂取に注意
    アルコールは血管拡張と利尿作用により、結果的に低血圧状態を招きやすくなります。また、カフェインは夜間の過剰摂取で睡眠リズムを乱すことがあり、翌朝の体調不良につながる可能性があります。
  • 運動療法の活用
    特に下半身の筋力を向上させることで、血液循環をサポートし、起立性低血圧のリスクを減らすとされています。ウォーキングやスクワットなど、負荷が強すぎない範囲からスタートするのがおすすめです。

結論と提言

低血圧は、高血圧ほど大きく注目されることは少ないかもしれません。しかし、症状が顕著になった場合は日常生活に深刻な支障を来し、転倒や意識消失のリスクも高まります。特に起立性低血圧などは、自律神経や血管調節機能の低下が絡む複雑な疾患であり、高齢者だけでなく若年世代にも起こりうることが明らかになっています。

大切なのは、早期に兆候を把握し、適切な生活習慣の見直しや必要な検査を受けることです。水分補給塩分バランスのコントロール、ゆっくりと立ち上がるといった基本的な工夫だけでも症状を軽減できる可能性があります。また、失神混乱などの重篤なサインがあれば、ためらわず医療機関での検査を受けることが重要です。

特に日本では、食事の塩分制限生活習慣病の予防に注目が集まる一方、極端な摂取制限や誤ったダイエットによって血圧が著しく低下する例も見られます。自分の生活リズムや体質に合った食事や運動を見つけるうえでも、専門家の助言が不可欠です。

低血圧は一見すると危険度が低いように思われがちですが、重症化すれば生死にかかわるケースもあります。日頃からこまめに血圧をチェックし、症状が気になるときは早めに医師に相談する姿勢を持つことで、快適で安全な日常を過ごしましょう。

参考文献

免責事項
本記事は一般的な情報提供を目的としており、専門的な医療行為の代わりとなるものではありません。低血圧に限らず、体調不良が続く場合や疑問点がある場合は、必ず医師や医療専門家に相談してください。ご自身の症状や背景によって最適な対処法は異なるため、医師の判断を優先してください。

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